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明細書 :減圧処理/加圧処理の使用を含むエレクトロポーレーション方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2005-534299 (P2005-534299A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成17年11月17日(2005.11.17)
特許番号 特許第4273231号 (P4273231)
登録日 平成21年3月13日(2009.3.13)
発行日 平成21年6月3日(2009.6.3)
発明の名称または考案の名称 減圧処理/加圧処理の使用を含むエレクトロポーレーション方法
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12M   1/00        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12M 1/00 A
請求項の数または発明の数 58
全頁数 49
出願番号 特願2004-521208 (P2004-521208)
出願日 平成15年7月14日(2003.7.14)
国際出願番号 PCT/JP2003/008937
国際公開番号 WO2004/007736
国際公開日 平成16年1月22日(2004.1.22)
優先権出願番号 2002207611
優先日 平成14年7月16日(2002.7.16)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年2月27日(2006.2.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501167644
【氏名又は名称】独立行政法人農業生物資源研究所
発明者または考案者 【氏名】萩尾 高志
【氏名】田部井 豊
個別代理人の代理人 【識別番号】100078282、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 秀策
【識別番号】100062409、【弁理士】、【氏名又は名称】安村 高明
【識別番号】100113413、【弁理士】、【氏名又は名称】森下 夏樹
審査官 【審査官】森井 隆信
参考文献・文献 国際公開第00/063408(WO,A1)
国際公開第01/005994(WO,A1)
調査した分野 C12N 15/00
C12M 1/00
BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
核酸を植物種子に導入する方法であって、以下の工程:
a)植物種子大気圧よりも0.096MPa低い減圧下に維持する工程;および
b)工程(a)の後に、種子と該核酸とを、エレクトロポーレーションが起きる条件下に配置する工程
を包含する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記b)工程が、少なくとも二種類の方向で、前記細胞と前記核酸とに電圧パルスをかけることを含む、方法。
【請求項3】
前記植物が、単子葉植物である請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記単子葉植物がイネ科植物である、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記イネ科植物がコムギ(Triticum aestivum L.)である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記イネ科植物がイネ(Oryza sativa L.)である、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記イネ科植物がトウモロコシ(Zea mays L.)である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記植物が、双子葉植物である請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記双子葉植物がアブラナ科植物である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記アブラナ科植物がハクサイ(Brassica rapa L.)である、請求項の方法。
【請求項11】
前記アブラナ科植物がナタネ(Brassica napus L.)である、請求項の方法。
【請求項12】
前記双子葉植物がマメ科植物である、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記マメ科植物がダイズ(Glycine max Merr)である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記双子葉植物がナス科植物である、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記ナス科植物がトマト(Lycopersicum esculentum Mill)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記双子葉植物がウリ科植物である、請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記ウリ科植物がマクワウリ(Cucumis melo L.)である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記双子葉植物がヒルガオ科植物である、請求項に記載の方法。
【請求項19】
前記ヒルガオ科植物がアサガオ(Pharbitis nil Choisy)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
核酸を細胞内に導入した植物を作製する方法であって、以下の工程:
a)植物種子大気圧よりも0.096MPa低い減圧下に維持する工程;および
b)工程(a)の後に、種子と該核酸とを、エレクトロポーレーションが起きる条件下に配置する工程
を包含する方法。
【請求項21】
請求項2に記載の方法であって、前記種子を、分化、成長および/または増殖させる工程をさらに包含する、方法。
【請求項22】
前記種子が、単子葉植物の種子である請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記単子葉植物の種子がイネ科の種子である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記イネ科種子がコムギ(Triticum aestivum L.)種子である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記イネ科種子がイネ(Oryza sativa L.)種子である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記イネ科種子がトウモロコシ(Zea mays L.)種子である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記種子が、双子葉植物の種子である請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記双子葉植物の種子がアブラナ科種子である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記アブラナ科種子がハクサイ(Brassica rapa L.)種子である、請求項28の方法。
【請求項30】
前記アブラナ科種子がナタネ(Brassica napus L.)種子である、請求項28の方法。
【請求項31】
前記双子葉植物の種子がマメ科種子である、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記マメ科種子がダイズ(Glycine max Merr)種子である、請求項3に記載の方法。
【請求項33】
前記双子葉植物の種子がナス科種子である、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記ナス科種子がトマト(Lycopersicum esculentum Mill)種子である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記双子葉植物の種子がウリ科種子である、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記ウリ科種子がマクワウリ(Cucumis melo L.)種子である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記双子葉植物の種子がヒルガオ科種子である、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記ヒルガオ科種子がアサガオ(Pharbitis nil Choisy)種子である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
核酸を植物種子内に導入するための装置であって、以下:
a)植物種子大気圧よりも0.096MPa低い減圧下に維持する手段;および
b)エレクトロポーレーション手段、
を備えた、装置。
【請求項40】
請求項9に記載の装置であって、前記b)のエレクトロポーレーション手段は、アノードとして作用する第一電極およびカソードとして作用する第二電極を備え、ここで該第一電極と該第二電極との間の距離が、植物種子を収容し得る距離である、装置。
【請求項41】
前記第一電極と前記第二電極との間の距離が、少なくとも5mmである、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記第一電極と前記第二電極との間の距離が、1cmよりも長い、請求項40に記載の装置。
【請求項43】
前記第一電極および前記第二電極が白金電極である、請求項40に記載の装置。
【請求項44】
請求項9に記載の装置であって、前記b)のエレクトロポーレーション手段は、アノードとして作用する第一電極およびカソードとして作用する第二電極を備え、ここで該第一電極と該第二電極との間の距離は、該第一電極と該第二電極との間の距離が植物種子を収容し得る距離となるように変動可能である、装置。
【請求項45】
前記第一電極および前記第二電極が白金電極である、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
植物種子大気圧よりも0.096MPa低い減圧下に維持することと組み合わせて、核酸を該種子内に導入するためのエレクトロポーレーション装置であって、該装置は、アノードとして作用する第一電極およびカソードとして作用する第二電極を備え、ここで該第一電極と該第二電極との間の距離が、植物種子を収容し得る距離である、装置。
【請求項47】
前記第一電極と前記第二電極との間の距離が、少なくとも5mmである、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記第一電極と前記第二電極との間の距離が、1cmよりも長い、請求項46に記載の装置。
【請求項49】
前記第一電極および前記第二電極が白金電極である、請求項46に記載の装置。
【請求項50】
植物種子大気圧よりも0.096MPa低い減圧下に維持することと組み合わせて、核酸を該植物種子内に導入するためのエレクトロポーレーション装置であって、該装置は、アノードとして作用する第一電極およびカソードとして作用する第二電極を備え、ここで該第一電極と該第二電極との間の距離は、該第一電極と該第二電極との間の距離が植物種子を収容し得る距離となるように変動可能である、装置。
【請求項51】
前記第一電極および前記第二電極が白金電極である、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
大気圧と異なる圧力に耐える能力を有し、かつ植物種子を収容し得る大きさを有する、エレクトロポーレーションチャンバー。
【請求項53】
前記エレクトロポーレーションチャンバーの内面の少なくとも3点に接する最大の内接円の直径が、少なくとも5mmである、請求項52に記載のエレクトロポーレーションチャンバー。
【請求項54】
前記エレクトロポーレーションチャンバーの内面の少なくとも3点に接する最大の内接円の直径が、1cmよりも大きい、請求項52に記載のエレクトロポーレーションチャンバー。
【請求項55】
前記チャンバーが四角形の横断面を有し、該チャンバーの内寸が、1cm×2cm×2cmである、請求項52に記載のエレクトロポーレーションチャンバー。
【請求項56】
前記チャンバーが円形の横断面を有し、該チャンバーの内寸が1cm×4cmである、請求項52に記載のエレクトロポーレーションチャンバー。
【請求項57】
大気圧と異なる圧力に耐える能力を有し、かつ植物種子を収容し得る大きさに変動可能である、エレクトロポーレーションチャンバー。
【請求項58】
自動化してエレクトロポーレーションを実行する装置であって、該装置は、以下:
a)核酸と植物種子とを含む混合液を入れる容器;
b)該a)の容器中に核酸を入れる手段;
c)該a)の容器中に植物種子を入れる手段;
d)植物種子大気圧よりも0.096MPa低い減圧下に維持する容器であって、大気圧と異なる圧力に耐える能力を有する、容器;
e)該植物種子を、該d)の容器中に配置する手段;
f)該d)の容器中を、大気圧と異なる圧力に維持する手段;
g)該核酸と該植物種子とを含む混合液に電圧パルスをかける容器;
h)該核酸と該植物種子とを含む混合液を、該g)の容器中に配置する手段;
i)該g)の容器中において、該核酸と該植物種子胞とを含む混合液に対して電圧パルスをかける手段;および
j)該b)、c)、e)、f)、h)およびi)の手段を自動化して実行する手段
を備え、ここで該b)の手段および該c)の手段は、互いに同一であるかまたは異なり、そして該e)の手段および該h)の手段は、互いに同一であるかまたは異なり、そして該a)の容器、該d)の容器および該g)の容器は、互いに同一であるかまたは異なる、装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧処理または加圧処理と、エレクトロポーレーションを用いて、所望の核酸を細胞または組織(植物組織を含む)へ導入し、核酸導入体(形質転換体を含む)を作出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コムギ、オオムギ、イネ、トウモロコシ、ダイズなどの主要穀物は人類の生存にとって必須のものであるが、世界的な人口増加に見合った食料生産の増加をするためには、従来の作物より収量の多い作物を開発していく必要がある。収率を上げる品種改良の一つとして、組換えDNA技術を用いた形質転換作物の開発が行われている。
【0003】
また、例えば、ハクサイ、トマト、キュウリなどの野菜類は食生活を豊かにし、栄養面でも必須の作物である。しかしながら、これらの野菜は様々な病虫害に弱く、遺伝子組換え技術の利用により耐病虫害性を付与することができるならば、収穫量を安定させることが可能となる。そのため、有用な遺伝子の単離と共にこれらの遺伝子を用いる形質転換方法が開発されてきた。
【0004】
形質転換を行うためには、植物の場合、一般に、以下の2つの方法がある:植物に対して直接的に遺伝子導入を行う方法(直接的遺伝子導入法);および植物に対して間接的に遺伝子導入を行う方法(間接的遺伝子導入法)が行われる。
【0005】
現在までに、間接的な遺伝子導入法として、アグロバクテリウムを利用した方法が広く利用されている。例えばイネの完熟種子を培養して3週間後に得られたカルスに対してアグロバクテリウムを感染させる方法(Hieiら,Plant Journal,6:271-282,1994を参照)あるいは、発芽後4-5日の種子に対してアグロバクテリウムを感染させて形質転換体を迅速に得ることができる方法(田中ら、特許第3141084号を参照)を挙げることができる。
【0006】
直接的遺伝子導入方法の例として、パーティクルガン法(Christou P.ら,Bio/Technology,9:957-962,1991を参照)、ポリエチレングリコール法(Datta,S.K.ら,Bio/Technology,8:736-740,1990を参照)、およびエレクトロポーレーション法(Shimamoto,K.ら,Nature,338:274-276,1989を参照)などが挙げられ、形質転換体の作出に利用されている。エレクトロポーレーション法は、所望のDNAを含む溶液に細胞(例えば、植物細胞)を入れ、電気的刺激により遺伝子を細胞内に取り込むことによって、遺伝子導入を行うものである。
【0007】
この直接的遺伝子導入方法は、間接的遺伝子導入方法と比較して、組織培養およびアグロバクテリウムの調製が不要であるなどの利点を有する。しかし、直接的遺伝子導入方法であるパーティクルガン法の場合には、形質転換組織から形質転換体(例えば、形質転換植物体)を再生する効率が依然として低いという欠点がある(Hagio,JARQ,32(4):239-247,1998)。エレクトロポーレーション法の場合には、適用可能な細胞および組織が限定されるという欠点がある。そのため、直接的遺伝子導入方法は、制限された適用を有していた。
【0008】
従来のエレクトロポーレーション法は、細胞壁が遺伝的に存在しない細胞および細胞壁を人工的に取り去った細胞(例えば、プロトプラスト)に対してのみ可能であった。これに対して、細胞壁を有する細胞(例えば、植物(例えば、種子などの休眠組織が挙げられる))に対しては、エレクトロポーレーションを行うことが、不可能であると考えられている。実際に、種子にエレクトロポーレーションによって核酸導入する方法は報告されていない。従って、従来のエレクトロポーレーション法を用いて核酸導入体(特に、形質転換植物体)を得るためには、プロトプラストなどの組織に対して核酸導入をした後に、プロトプラスト培養、組織培養(例えば、再分化)または他の操作が必須である。そのため、エレクトロポレーションは、必ずしも簡便な方法ではなく、費用、時間および労力を必要とした。
【0009】
一方、コムギへ遺伝子導入する場合には、未熟胚が用いられていた(J.T.Weeksら,Plant.Physiol.,102:1077-1084,1993を参照)。しかし、未熟胚を入手するためには、圃場や温室で植物を育成しなければならず、圃場では6-7ヶ月、温室では3-5ヶ月を要する。
【0010】
したがって、アグロバクテリウムなどの培養・調製を必要とせず、核酸導入する試料の調製が容易であり、かつ、核酸導入の後の核酸導入体(特に、形質転換体)を容易に得ることができる、簡便かつ迅速な核酸導入法(特に、形質転換法)は存在していない。
【0011】
本発明の目的は、簡便かつ迅速な核酸導入方法(特に、植物の形質転換方法)が確立されていないという上記現状に鑑み、当該分野において、(1)アグロバクテリウムなどの培養・調製を必要とせず、(2)核酸導入する試料の調製が容易であり、かつ、(3)核酸導入の後の核酸導入体を容易に得ることができる、簡便かつ迅速な核酸導入方法(特に、植物の形質転換方法)を提供することである。
【0012】
簡便かつ迅速な本発明の方法を用いることによって、核酸導入体(特に、形質転換植物体)を、迅速かつ大量に得ることが可能になる。従って、本発明は、植物形質転換体を得ることが必要な産業分野のみならず、植物を用いる開発研究においても利用され得、大量処理・大量解析を容易にし得る。さらに、本発明は、飛躍的な研究の進歩を誘発し、画期的な組換え作物の開発につながる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記課題は、
a)細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する工程;および
b)該細胞と該核酸とを、エレクトロポーレーションを導入し得る条件下に配置する工程を包含する、核酸を細胞内に導入する方法によって達成された。
【0014】
一つの実施形態では、本発明の方法は、
1)植物組織を大気圧と異なる圧力下に維持する工程;および
2)エレクトロポーレーションを用いて、所望の遺伝子を植物へ導入する工程、
によって実施される。
【0015】
具体的には、本願明細書において発明者らは、植物において首尾よくエレクトロポーレーションを行うために、核酸が細胞内に取り込まれやすいように細胞を処理するための種々の方法を試みた。その結果、(1)植物を真空状態に保ち、Agrobacteriumを用いる核酸導入法は、Arabidopsis以外の植物には効果的でなく、そしておよび(2)Agrobacteriumを用いる核酸導入のためには、植物を真空状態に保つ必要がない(Bent,Plant Physiology,124:1540-1547,2000年12月)と考えられていた。対照的に、以下の実施例に示すように、本発明者らは、エレクトロポーレーションを用いる植物核酸導入は、植物組織を大気圧と異なる圧力下に維持する工程によって最適化されることを見出した。この本発明の方法は、植物細胞のみならず任意の細胞に対して適用され得、そしてエレクトロポーレーションの核酸導入効率を顕著に改善し得る。
【0016】
本方法は極めて簡便である。さらに、本発明の方法は、核酸導入操作後に従来必要な培養過程を必要としない。従って、本発明は、形質導入体が培養変異を含まないという利点も有する。従来の核酸導入操作後に必要とされた培養過程では、必然的に、培養変異が起こることが知られている。培養変異とは、当業者が通常理解し得る通り、培養過程で生じる遺伝学的変異を意味し、すなわち、培養過程の間に、核酸導入される細胞がもともと有していた核酸配列および/または導入する核酸配列において生じる任意の配列改変(例えば、置換、欠失、挿入、転座、逆位、重複など)をいう。意図されない培養変異は、核酸導入した核酸導入体に望ましくない形質を付与することが多い。従って、この培養変異のない所望の核酸導入体を得ることができるため、本発明の方法は、非常に有益である。
【0017】
本発明は、従来法の遺伝子導入技術によって形質転換体を得ることが不可能であるか、または極めて困難であった植物種に対する形質転換を可能にするという利点をさらに提供する。具体的には、以下の実施例において用いたコムギ品種農林61号は、日本におけるコムギ主要品種の1つであるが、組織培養における植物体の再生が不可能であり、すなわち、従来技術によって形質転換体を得ることが非常に困難であった(Machiiら,Plant Cell,Tissue and Organ Culture,53:67-74,1998)。また、例えば、本明細書中で、実施例4で用られたダイズも、いまだ再分化技術が十分に確立されていない。ダイズは、形質転換体を得ることが非常に困難であった。しかし、本明細書の実施例に記載するように、本発明は、従来形質転換体を得ることが不可能であるか、または極めて困難であった植物種を形質転換することを可能にした。本発明の方法は、従来、形質転換体を得ることが不可能であるか、または極めて困難であった任意の他の種に対して適用され得る。
【0018】
従って、本発明は以下を提供する。
1.核酸を細胞内に導入する方法であって、以下の工程:
a)細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する工程;および
b)該細胞と該核酸とを、エレクトロポーレーションが起きる条件下に配置する工程
を包含する方法。
2.前記細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する工程が、前記細胞を減圧処理する工程である、項目1に記載の方法。
3.前記細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する工程が、前記細胞を加圧処理する工程である、項目1に記載の方法。
4.前記細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する工程が、該細胞と前記核酸とを、エレクトロポーレーションが起きる条件下に配置する工程の前に行われる、項目1に記載の方法。
5.前記減圧処理する工程が、大気圧よりも0.096MPa低い減圧下で行われる、項目2に記載の方法。
6.項目1に記載の方法であって、前記b)工程が、少なくとも二種類の方向で、前記細胞と前記核酸とに電圧パルスをかけることを含む、方法。
7.前記細胞が植物細胞である、項目1に記載の方法。
8.前記植物細胞が、植物の休眠組織の細胞である、項目7に記載の方法。
9.前記植物の休眠組織が種子である、項目8に記載の方法。
10.前記植物が、単子葉植物である項目7に記載の方法。
11.前記単子葉植物がイネ科植物である、項目10に記載の方法。
12.前記イネ科植物がコムギ(Triticum aestivum L.)である、項目11に記載の方法。
13.前記イネ科植物がイネ(Oryza sativa L.)である、項目11に記載の方法。
14.前記イネ科植物がトウモロコシ(Zea mays L.)である、項目11に記載の方法。
15.前記植物が、双子葉植物である項目7に記載の方法。
16.前記双子葉植物がアブラナ科植物である、項目15に記載の方法。
17.前記アブラナ科植物がハクサイ(Brassica rapa L.)である、項目16の方法。
18.前記アブラナ科植物がナタネ(Brassica napus L.)である、項目16の方法。
19.前記双子葉植物がマメ科植物である、項目15に記載の方法。
20.前記マメ科植物がダイズ(Glycine max Merr)である、項目19に記載の方法。
21.前記双子葉植物がナス科植物である、項目15に記載の方法。
22.前記ナス科植物がトマト(Lycopersicum esculentum Mill)である、項目21に記載の方法。
23.前記双子葉植物がウリ科植物である、項目15に記載の方法。
24.前記ウリ科植物がマクワウリ(Cucumis melo L.)である、項目23に記載の方法。
25.前記双子葉植物がヒルガオ科植物である、項目15に記載の方法。
26.前記ヒルガオ科植物がアサガオ(Pharbitis nil Choisy)である、項目25に記載の方法。
27.核酸を細胞内に導入した植物を作製する方法であって、以下の工程:
a)細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する工程;および
b)該細胞と該核酸とを、エレクトロポーレーションが起きる条件下に配置する工程
を包含する方法。
28.項目27に記載の方法であって、前記細胞を、分化、成長および/または増殖させる工程をさらに包含する、方法。
29.項目27または28に記載の方法であって、前記a)工程が、前記細胞を含む種子を大気圧と異なる圧力下に維持する工程を含み、かつ、前記b)工程が、該細胞を含む該種子と該核酸とを、エレクトロポーレーションが起きる条件下に配置する工程を含む、方法。
30.前記種子が、単子葉植物の種子である項目29に記載の方法。
31.前記単子葉植物の種子がイネ科の種子である、項目30に記載の方法。
32.前記イネ科種子がコムギ(Triticum aestivum L.)種子である、項目31に記載の方法。
33.前記イネ科種子がイネ(Oryza sativa L.)種子である、項目31に記載の方法。
34.前記イネ科種子がトウモロコシ(Zea mays L.)種子である、項目31に記載の方法。
35.前記種子が、双子葉植物の種子である項目29に記載の方法。
36.前記双子葉植物の種子がアブラナ科種子である、項目35に記載の方法。
37.前記アブラナ科種子がハクサイ(Brassica rapa L.)種子である、項目36の方法。
38.前記アブラナ科種子がナタネ(Brassica napus L.)種子である、項目36の方法。
39.前記双子葉植物の種子がマメ科種子である、項目35に記載の方法。
40.前記マメ科種子がダイズ(Glycine max Merr)種子である、項目39に記載の方法。
41.前記双子葉植物の種子がナス科種子である、項目35に記載の方法。
42.前記ナス科種子がトマト(Lycopersicum esculentum Mill)種子である、項目41に記載の方法。
43.前記双子葉植物の種子がウリ科種子である、項目35に記載の方法。
44.前記ウリ科種子がマクワウリ(Cucumis melo L.)種子である、項目43に記載の方法。
45.前記双子葉植物の種子がヒルガオ科種子である、項目35に記載の方法。
46.前記ヒルガオ科種子がアサガオ(Pharbitis nil Choisy)種子である、項目45に記載の方法。
47.項目27~46のいずれか1項に記載の方法によって作製された、植物。
48.培養変異を含まない、項目47に記載の植物。
49.核酸を細胞内に導入するための装置であって、以下:
a)細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する手段;および
b)エレクトロポーレーション手段、
を備えた、装置。
50.細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する前記手段は、大気圧より低い圧力に維持する能力を含む、項目49に記載の装置。
51.前記細胞が植物細胞である、項目49に記載の装置。
52.項目49に記載の装置であって、前記b)のエレクトロポーレーション手段は、アノードとして作用する第一電極およびカソードとして作用する第二電極を備え、ここで該第一電極と該第二電極との間の距離が、植物種子を収容し得る距離である、装置。
53.前記第一電極と前記第二電極との間の距離が、少なくとも約5mmである、項目52に記載の装置。
54.前記第一電極と前記第二電極との間の距離が、約1cmよりも長い、項目52に記載の装置。
55.前記第一電極および前記第二電極が白金電極である、項目52に記載の装置。
56.項目49に記載の装置であって、前記b)のエレクトロポーレーション手段は、アノードとして作用する第一電極およびカソードとして作用する第二電極を備え、ここで該第一電極と該第二電極との間の距離は、該第一電極と該第二電極との間の距離が植物種子を収容し得る距離となるように変動可能である、装置。
57.前記第一電極および前記第二電極が白金電極である、項目56に記載の装置。
58.細胞を大気圧と異なる圧力下に維持することと組み合わせて、核酸を該細胞内に導入するためのエレクトロポーレーション装置であって、該装置は、アノードとして作用する第一電極およびカソードとして作用する第二電極を備え、ここで該第一電極と該第二電極との間の距離が、植物種子を収容し得る距離である、装置。
59.前記第一電極と前記第二電極との間の距離が、少なくとも約5mmである、項目58に記載の装置。
60.前記第一電極と前記第二電極との間の距離が、約1cmよりも長い、項目58に記載の装置。
61.前記第一電極および前記第二電極が白金電極である、項目58に記載の装置。
62.細胞を大気圧と異なる圧力下に維持することと組み合わせて、核酸を該細胞内に導入するためのエレクトロポーレーション装置であって、該装置は、アノードとして作用する第一電極およびカソードとして作用する第二電極を備え、ここで該第一電極と該第二電極との間の距離は、該第一電極と該第二電極との間の距離が植物種子を収容し得る距離となるように変動可能である、装置。
63.前記第一電極および前記第二電極が白金電極である、項目62に記載の装置。
64.大気圧と異なる圧力に耐える能力を有し、かつ植物種子を収容し得る大きさを有する、エレクトロポーレーションチャンバー。
65.前記エレクトロポーレーションチャンバーの内面の少なくとも3点に接する最大の内接円の直径が、少なくとも約5mmである、項目64に記載のエレクトロポーレーションチャンバー。
66.前記エレクトロポーレーションチャンバーの内面の少なくとも3点に接する最大の内接円の直径が、約1cmよりも大きい、項目64に記載のエレクトロポーレーションチャンバー。
67.前記チャンバーが四角形の横断面を有し、該チャンバーの内寸が、約1cm×2cm×2cmである、項目64に記載のエレクトロポーレーションチャンバー。
68.前記チャンバーが円形の横断面を有し、該チャンバーの内寸が約1cm×4cmである、項目64に記載のエレクトロポーレーションチャンバー。
69.大気圧と異なる圧力に耐える能力を有し、かつ植物種子を収容し得る大きさに変動可能である、エレクトロポーレーションチャンバー。
70.自動化してエレクトロポーレーションを実行する装置であって、該装置は、以下:
a)核酸と細胞とを含む混合液を入れる容器;
b)該a)の容器中に核酸を入れる手段;
c)該a)の容器中に細胞を入れる手段;
d)細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する容器であって、大気圧と異なる圧力に耐える能力を有する、容器;
e)該細胞を、該d)の容器中に配置する手段;
f)該d)の容器中を、大気圧と異なる圧力に維持する手段;
g)該核酸と該細胞とを含む混合液に電圧パルスをかける容器;
h)該核酸と該細胞とを含む混合液を、該g)の容器中に配置する手段;
i)該g)の容器中において、該核酸と該細胞とを含む混合液に対して電圧パルスをかける手段;および
j)該b)、c)、e)、f)、h)およびi)の手段を自動化して実行する手段
を備え、ここで該b)の手段および該c)の手段は、互いに同一であるかまたは異なり、そして該e)の手段および該h)の手段は、互いに同一であるかまたは異なり、そして該a)の容器、該d)の容器および該g)の容器は、互いに同一であるかまたは異なる、装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、例を挙げて本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。
【0020】
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
【0021】
本明細書において、用語「核酸導入」とは、人為的に核酸を細胞内または組織内に導入することを意味する。「核酸導入」によって核酸を導入した細胞または組織の表現型は、変化しても変化しなくても良い。本明細書において、用語「遺伝子導入」とは、遺伝形質を規定する因子である遺伝子を含む核酸を、人為的に細胞内または組織内に導入することを意味する。「遺伝子導入」によって遺伝子を含む核酸を導入した細胞または組織の表現型は、変化しても変化しなくても良い。本明細書において、用語「形質転換」とは、細胞内または組織内に、遺伝子を含む核酸を導入することによって、その細胞またはその組織の表現型に変化を生じることを意味する。ただし本明細書では、特定の局面において、用語「核酸導入」と「遺伝子導入」と「形質転換」とが互換可能に使用される場合がある。本明細書中において、これらの用語が指す意味は、その用語が含まれる文脈から明らかである。
【0022】
用語「核酸導入体」、「遺伝子導入体」および「形質転換体」とは、それぞれ、核酸導入、遺伝子導入、および形質転換された細胞または組織から発生する生命体の全部または一部をいう。ただし本明細書では、特定の局面において、用語「核酸導入体」と「遺伝子導入体」と「形質転換体」とが互換可能に使用される場合がある。本明細書中において、これらの用語が指す意味は、その用語が含まれる文脈から明らかである。核酸導入体、遺伝子導入体、および形質転換体は、任意の生命体であり得、例えば、原核細胞、および真核細胞(例えば、植物細胞等)または組織から発生する生命体が挙げられる。形質転換体は、その対象に依存して、形質転換細胞、形質転換組織、形質転換宿主などともいわれ、本明細書においてそれらの形態をすべて包含するが、特定の文脈において特定の形態を指し得る。同様のことが、用語「核酸導入体」および用語「遺伝子導入体」においても当てはまる。
【0023】
用語「細胞」は、任意の生物由来の細胞(たとえば、任意の種類の多細胞生物(例えば、動物(たとえば、脊椎動物、無脊椎動物)、植物(たとえば、単子葉植物、双子葉植物など)、真菌類など)、単細胞生物(例えば、細菌(例えば、大腸菌)など)由来の細胞)を、言う。好ましくは、本発明において使用される細胞は、細胞壁を有する細胞であり、特に好ましくは、植物細胞である。
【0024】
本明細書において使用される場合、「組織」(tissue)とは、多細胞生物において、実質的に同一の機能および/または形態をもつ細胞集団をいう。通常「組織」は、同じ起源を有するが、同一の機能および/または形態を有するのであれば、異なる起源を持つ細胞集団であってもよい。通常、組織は、器官の一部である。植物では、組織は、例えば構成細胞の発達段階によって分裂組織と永久組織とに大別され、また構成細胞の種類によって単一組織と複合組織とに分けるなど、いろいろな様式で分類されている。動物の組織は,形態的、機能的または発生的根拠に基づき、上皮組織、結合組織、筋肉組織、神経組織などに区別される。
【0025】
本明細書中において、用語「組織」は、任意の生物由来の任意の組織(たとえば、任意の種類の多細胞生物(例えば、動物(たとえば、脊椎動物、無脊椎動物)、植物(たとえば、単子葉植物、双子葉植物など)、真菌類など)由来の組織)を言う。好ましくは、本発明において使用される組織は、細胞壁を含む組織であり、特に好ましくは、植物組織である。「植物組織」としては、休眠組織、生殖質、生長点、および花芽が挙げられるが、これに限定されない。好ましい休眠組織の例としては、完熟種子、未熟種子、冬芽、および塊茎が挙げられ、特に好ましくは完熟種子であるが、これに限定されない。
【0026】
用語「器官」は、生物個体のある機能が個体内の特定の部分に局在して営まれ,かつその部分が形態的に独立性をもっている構造体をいう。一般に多細胞生物(例えば、動物、植物、真菌類)では器官は特定の空間的配置で形成され、組織は多数の細胞からなる。そのような植物器官の例としては、根、葉、茎、および花などが挙げられ、動物の例としては、皮膚、心臓、血管、角膜、網膜、腎臓、肝臓、膵臓、腸、胎盤、臍帯、肺、脳、神経、四肢末梢などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0027】
本願明細書において使用する場合、用語「選抜」とは、抗生物質に対する耐性検定および/または遺伝子工学的手法(例えば、PCR、サザンブロット法、ノーザンブロット法など)によって、核酸導入された核酸導入体を、核酸導入されていないものと区別することを意味する。特定の場合では、用語「選抜」は、形質転換生物を薬物存在下で培養および/または育成することによって、薬物耐性遺伝子によって形質転換された形質転換体を、形質転換されていない生物とを区別する工程を意味する。
【0028】
本明細書において使用する場合、用語「エレクトロポーレーション」とは、直流の高電圧パルスを適用して物理的に細胞(例えば、植物細胞)に小孔をあけ、そこから核酸(例えば、遺伝子を含む核酸)を細胞内に導入する、細胞への核酸導入技術をいう。エレクトロポーレーションの条件は、使用する種、組織、細胞などに依存して、当業者が適宜選択し得る。代表的なエレクトロポーレーションの電圧の条件は、10V/cm~200V/cm、好ましくは20V/cm~150V/cm、より好ましくは30V/cm~120V/cm、なおより好ましくは40V/cm~100V/cm、最も好ましくは50V/cm~100V/cmであるが、これらに限定されない。代表的なエレクトロポーレーションのパルス幅の条件は、1マイクロ秒~90マイクロ秒、好ましくは10マイクロ秒~90マイクロ秒、なお好ましくは20マイクロ秒~80マイクロ秒、なおより好ましくは30マイクロ秒~80マイクロ秒、さらになおより好ましくは40マイクロ秒~70マイクロ秒、最も好ましくは50マイクロ秒~60マイクロ秒であるが、これらに限定されない。代表的なエレクトロポーレーションのパルスの回数は、1回~200回、好ましくは10回~150回、より好ましくは20回~120回、なおより好ましくは30回~110回、最も好ましくは40回~100回であるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書において使用する場合、句「細胞(または組織)と核酸とを、エレクトロポーレーションが起きる条件下に配置する」とは、細胞(または組織)と核酸とを、それらの間でエレクトロポーレーション(すなわち、細胞(または組織)への核酸導入)が起きるために必須のすべての条件(電圧条件、パルス幅条件、パルス回数条件、細胞(または組織)と核酸との間の位置関係、エレクトロポーレーションの実行時間などを含む)を備えた状態に配置することを意味する。エレクトロポーレーションが起きるために必須の条件は、当業者に容易に明らかであり、当業者はその条件を適宜決定し得る。
【0030】
本発明において、エレクトロポーレーションは、好ましくは、細胞(または組織)と核酸とに、少なくとも二種類の方向で高電圧パルスをかけることによって、実行される。最も簡単には、細胞(または組織)と核酸とに所定の時間高電圧パルスをかけた後で、アノード電極とカソード電極とを逆にして高電圧パルスをかけ直すことによって、この技術は達成され得る。この技術はまた、エレクトロポーレーションチャンバー内で別の位置に配置された電極対を使用しても達成され得る。少なくとも二種類の方向で高電圧パルスをかけることによって、核酸導入効率が顕著に高まる。例えば、アブラナ科の植物種子と核酸とに対して二種類の方向から高電圧パルスをかけた結果、その種子への核酸導入効率は、一種類の方向から高電圧パルスをかけた場合よりも約2倍以上改善されることが本発明者らによって見出された。
【0031】
本発明においてエレクトロポーレーションを行う際に使用されるエレクトロポーレーションチャンバーは、核酸導入される細胞および/または組織を収容できるものであれば、どのような大きさであってもよい。特に好ましくは、エレクトロポーレーションチャンバーは、植物組織(例えば、植物種子)を収容し得る大きさを有する。本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、任意の形状であり得る。このような形状の例としては、立方体、直方体、円筒形、チューブ形(例えば、胴体が均一であるかまたは均一でない横断面を有し、かつ底が先細りしてもしなていなくてもよい形状)などが挙げられるが、これらに限定されない。植物種子を収容し得る大きさであるために、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーの内面の少なくとも3点に接する最大の内接円の直径は、例えば、以下の長さであり得る:少なくとも約5mmであるかまたは約5mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約6mmであるかまたは約6mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約7mmであるかまたは約7mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約8mmであるかまたは約8mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約9mmであるかまたは約9mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約1cmであるかまたは約1cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約2cmであるかまたは約2cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約3cmであるかまたは約3cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約4cmであるかまたは約4cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約5cmであるかまたは約5cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約6cmであるかまたは約6cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約7cmであるかまたは約7cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約8cmであるかまたは約8cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約9cmであるかまたは約9cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約10cmであるかまたは約10cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約15cmであるかまたは約15cmよりも長い、そして好ましくは、少なくとも約20cmであるかまたは約20cmよりも長い。本発明のエレクトロポーレーションチャンバーの内面の少なくとも3点に接する最大の内接円の直径の上限は、例えば、以下であり得るが、これらに限定されない:約25cm、約20cm、約15cm、約10cm、約9cm、約8cm、約7cm、約6cm、約5cm、約4cm、約3cm、約2cm、約1cm、約9mm、約8mm、約7mm、または約6mm。この長さは、上記に明示した数値の間の長さ(例えば、1.5cmなど)であり得る。本明細書中において「内接円」とは、チャンバー容器の内面上における少なくとも3つの任意の点に接するように描かれる任意の円を指す。ここで、チャンバー内に配置された電極も容器の一部とみなされ、従って、チャンバー容器の内面は、電極表面も含む。代表的に、使用される電極の厚みは、無視できるほど非常に薄い(例えば、0.1mmなど)。
【0032】
本発明の一つの局面において、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、四角形の横断面を有し、かつ内寸(例えば、縦×横×高さ)が、1cm×2cm×2cmである。本発明の別の局面に従い、エレクトロポーレーションチャンバーは、円形の横断面を有し、かつ内寸(例えば、直径×高さ)が、1cm×4cmである。ここで、電極の占める領域は、チャンバーの内寸から除かれる。代表的に、使用される電極の厚みは、無視できるほど非常に薄い。本明細書中において横断面とは、チャンバーの長軸方向に直交する断面をいう。本明細書中において内寸とは、チャンバー容器内面上の任意の2点を結ぶ長さを指し、特に、四角形の横断面を有するチャンバーの場合には、その横断面の縦および横、ならびに高さを指し、そして円形の横断面を有するチャンバーの場合には、その横断面の直径、および高さを指す。
【0033】
一つの実施形態では、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、植物種子を収容し得る大きさに変動可能である。大きさは、任意の手段によって変動され得る。例えば、チャンバーの大きさは、ネジなどの手段によって適切な大きさに調整され得る。
【0034】
本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、任意の材料から作製され得る。エレクトロポーレーションチャンバーの材料としては、固体を形成し得る任意の材料が使用され得る。このような材料の例としては、ガラス、シリカ、シリコン、セラミック、二酸化珪素、プラスチック、金属(合金も含まれる)、天然および合成のポリマー(例えば、ポリスチレン、セルロース、キトサン、デキストラン、およびナイロン)などが挙げられるがそれらに限定されない。チャンバーは、複数の異なる材料の層から形成されていてもよい。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、酸化珪素、炭化珪素、窒化珪素などの無機絶縁材料を使用することができる。ポリアミド、ポリカーボネート、(変性)ポリフェニレンオキサイド、ポリブチレンテレフタレート、強化ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリスルホンなどの有機材料なども使用され得る。好ましくは、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、大気圧と異なる圧力に耐える能力(例えば、大気圧と異なる圧力にさらされても、破壊、亀裂および変形しない能力)を有し、特に好ましくは、減圧処理に耐える能力を有する。特に好ましくは、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、ポリプロピレン、シリコーン樹脂、およびガラスから作製され、そして白金製またはステンレス製の電極を備える。
【0035】
好ましくは、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、温度制御手段を備える。温度制御手段は、例えば、センサーなどで温度変化を感知し、手動または自動で、チャンバーの温度を制御し得る。温度制御手段は、代表的に、チャンバーの温度を冷却するように作用する冷却手段である。冷却手段は任意の手段であり得、例えば、氷、冷却ゲルなどを利用した手段であり得る。
【0036】
本発明のエレクトロポーレーションチャンバーには、少なくとも一対(二個)の電極が備えられる。従って、特定の実施形態では、本発明のチャンバーは、一対(二個)より多い電極(例えば、二対(四個)の電極、三対(六個)の電極、四対(八個)の電極、五対(十個)の電極、またはより多い対の電極)を備え得る。例えば、四角形の横断面を有するチャンバーにおいて、向かい合う内面に沿って電極を配置すると、二対(四個)の電極を取り付けることが可能である。さらなる例として、六角形の横断面を有するチャンバーにおいて、向かい合う内面に沿って電極を配置すると、三対(六個)の電極を取り付けることが可能である。このように、本発明のチャンバー内に配置される電極対は、任意の数であり得、また、任意の空間的位置関係をとり得る。
【0037】
本発明のエレクトロポーレーションチャンバー内に配置される電極の間の距離は任意の距離であり得、核酸導入される細胞および/または組織の大きさに応じて変動し得る。特に好ましくは、電極間の距離は、植物組織(例えば、植物種子)を収容するのに十分な距離である。植物種子を収容するのに十分な距離であるために、電極間の距離は、例えば、以下の長さであり得る:少なくとも約5mmであるかまたは約5mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約6mmであるかまたは約6mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約7mmであるかまたは約7mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約8mmであるかまたは約8mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約9mmであるかまたは約9mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約1cmであるかまたは約1cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約2cmであるかまたは約2cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約3cmであるかまたは約3cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約4cmであるかまたは約4cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約5cmであるかまたは約5cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約6cmであるかまたは約6cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約7cmであるかまたは約7cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約8cmであるかまたは約8cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約9cmであるかまたは約9cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約10cmであるかまたは約10cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約15cmであるかまたは約15cmよりも長い、そして好ましくは、少なくとも約20cmであるかまたは約20cmよりも長い。電極間の距離の上限は、例えば、以下であり得るが、これらに限定されない:約25cm、約20cm、約15cm、約10cm、約9cm、約8cm、約7cm、約6cm、約5cm、約4cm、約3cm、約2cm、約1cm、約9mm、約8mm、約7mm、または約6mm。電極間の距離は、上記に明示した数値の間の長さ(例えば、1.5cmなど)であり得る。
【0038】
一つの実施形態では、電極間の距離は、対になった電極間が植物種子を収容し得るように変動可能である。電極間の距離の変動は、任意の手段によって達成され得る。例えば、電極間の距離は、ネジなどを利用して適切な距離に調整され得る。
【0039】
電極は、電流を流し得るという性質を有する限りにおいて任意の材料から作製され得る。電極の材料の例としては、例えば、白金、金、ステンレス、炭素、導電性ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましくは、電極は白金電極である。
【0040】
例示的なエレクトロポーレーションチャンバーは、白金電極を備える縦1cm×横2cm×高さ2cmの直方形チャンバーであり、その白金電極間の距離は、約1cmである。このエレクトロポーレーションチャンバーは、中程度の大きさ(約5~15mm程度)の植物種子(例えば、コムギ、イネ、トウモロコシなど)を処理する際に特に有用である。このチャンバーを使用することにより、中程度の大きさの植物種子を大量にまとめて(例えば、約10~30粒)処理することが可能である。
【0041】
別の例示的なエレクトロポーレーションチャンバーは、ステンレス電極を備える内径1cm×高さ4cmのマイクロチューブ型チャンバーであり、ステンレス電極間の距離は、約1cmである。このマイクロチューブ型チャンバーは、市販のマイクロチューブの内面に、ステンレス箔(例えば、約5×40mm(厚さ約0.1mm))を接着剤などで貼り付けることによって、容易に作製され得る。このマイクロチューブ型チャンバーは、遠心分離にかけて、細胞、組織および/または種子を底に沈殿させることができるため、溶液の交換は、容易に行われ得る。このため、このマイクロチューブ型チャンバーは、微小な(約0.1~5mm程度の)植物種子(例えば、シロイヌナズナなど)を処理する際に特に有用である。このチャンバーを使用することにより、微小な大きさの植物種子を大量にまとめて処理することが可能である。
【0042】
本願明細書において使用する場合、細胞/組織(植物組織を含む)を、「大気圧と異なる圧力下に維持する」とは、細胞/組織(植物組織を含む)を、大気圧(通常は、1気圧=101.325kPa=約0.1MPa)よりも高い圧力下に維持する工程(加圧処理)、または低い圧力下に維持する工程(減圧処理)をいう。
【0043】
いかなる理論にも拘束されることを意図しないが、細胞/組織(植物組織を含む)を大気圧と異なる圧力下に維持することによって、細胞/組織が受ける環境中の圧力が変化し、DNAなどの核酸を含む緩衝液が組織間の腔・細胞間の腔に浸透しやすくなり、その結果、従来不可能と考えられていた細胞壁を有する細胞および組織(特に、植物細胞および植物組織)を標的とするエレクトロポーレーションによる核酸導入/形質転換を行うことが可能になったものと考えられる。
【0044】
本明細書において使用する場合、用語「減圧処理」とは、核酸導入/形質転換のために、細胞/組織(植物組織(例えば、種子)を含む)を大気圧より低い気圧下に維持する工程をいう。本発明において、減圧処理は、大気圧よりも、0.02MPa低い圧力、好ましくは0.04MPa低い圧力、より好ましくは0.06MPa低い圧力、さらにより好ましくは0.08MPa低い圧力、最も好ましくは0.096MPa低い圧力で行われるが、これらに限定されない。減圧処理の時間は、1分~120分、好ましくは10分~100分、より好ましくは15分~90分、さらにより好ましくは30分~70分、最も好ましくは約60分であるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書において使用する場合、用語「加圧処理」とは、核酸導入/形質転換のために、細胞/組織(植物組織(例えば、種子)を含む)を大気圧より高い気圧下に維持する処理をいう。
【0046】
本発明の一つの局面において、エレクトロポーレーション装置を、提供する。本発明のエレクトロポーレーション装置は、顕著に高い効率で任意の細胞または組織に対して核酸導入し得、そして特に、これまでエレクトロポーレーションによる核酸導入が不可能であった、細胞壁を有する細胞または組織(例えば、植物細胞または植物組織)に核酸導入するために有用である。一つの実施形態では、本発明のエレクトロポーレーション装置は、a)細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する手段、および、b)エレクトロポーレーション手段の両方の手段を備える。
【0047】
細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する手段としては、減圧および/または加圧する能力を有する任意の手段が利用され得る。市販の減圧装置(例えば、真空デシケーターなど)および/または加圧装置もまた利用され得る。任意のエレクトロポーレーション手段が利用され得る。市販のエレクトロポーレーション手段(例えば、CUY21EDIT遺伝子導入装置、ネッパジーン社、日本国千葉県市川市)もまた利用され得る。好ましくは、エレクトロポーレーション手段に配置される2つの電極(第一電極および第二電極)の間の距離は、上記で定義付けられたような、植物種子を収容するのに十分な距離にある。
【0048】
本発明の別の実施形態では、本発明のエレクトロポーレーション装置は、植物種子を収容するのに十分な距離にある二つの電極を含み、そしてこのエレクトロポーレーション装置は、細胞/組織を大気圧と異なる圧力下に維持する手段と組み合わせて使用される。この実施形態では、このエレクトロポーレーション装置と、細胞/組織を大気圧と異なる圧力下に維持する手段とが、同一の機器の中に存在する必要はない。
【0049】
従来のエレクトロポーレーション装置は、極めて小さい細胞に対して高電圧パルスをかけることを目的としていたため、チャンバーの内寸および電極間の距離をできるだけ小さくする必要があった。このため、従来のエレクトロポーレーション装置のチャンバーの内寸および電極間の距離は、代表的に、1mmまたは2mm程度であり、長くてもせいぜい4mmであった。従って、本発明のような、植物種子をも収容し得るほど大きなチャンバーおよび植物種子をも収容し得るほど長い距離で配置された電極を備えたエレクトロポーレーション装置は、これまで知られていない。
【0050】
さらに、本発明のエレクトロポーレーション装置は、自動化して実行され得る。本発明の自動化エレクトロポーレーション装置において、緩衝液などの溶液の注入および/または交換は、自動分注機により行われ得る。自動分注機は、例えば、市販のepMotion5070 ワークステーション(エッペンドルフ株式会社 日本国東京都千代田区東神田3)などが利用され得るが、これに限定されない。特に、核酸と細胞とを含む混合液を入れる容器中に、核酸および/または細胞を入れる手段として、このような自動分注機が有利に使用され得る。
【0051】
核酸と細胞とを含む混合液を入れる第一容器、細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する第二容器、および核酸と細胞とを含む混合液に高電圧パルスをかける第三容器は、任意の容器であり得る。これらの容器は、同一であっても異なってもよい。この容器の材質としては、固体を形成し得る任意の材質であり得る。例えば、ガラス、シリカ、シリコン、セラミック、二酸化珪素、プラスチック、金属(合金も含まれる)、天然および合成のポリマー(例えば、ポリスチレン、セルロース、キトサン、デキストラン、およびナイロン)などが挙げられるがそれらに限定されない。容器は、複数の異なる材料の層から形成されていてもよい。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、酸化珪素、炭化珪素、窒化珪素などの無機絶縁材料を使用することができる。ポリアミド、ポリカーボネート、(変性)ポリフェニレンオキサイド、ポリブチレンテレフタレート、強化ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリスルホンなどの有機材料なども使用され得る。
【0052】
好ましくは、本発明の第一容器は、透明度が高く材料観察を容易にする材料(例えば、ポリスチレン)から作製される。好ましくは、本発明の第二容器は、大気圧と異なる圧力(特に、減圧)に耐える能力を有する材料(例えば、ポリアミド、ポリカーボネート、(変性)ポリフェニレンオキサイド、ポリブチレンテレフタレート、強化ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドおよびエポキシ樹脂)から作製され、より好ましくは、透明度が高く材料観察を容易にする性質も備えた材料(例えば、アクリル樹脂)から作製される。好ましくは、本発明の第三容器は、細胞との親和性を示す材料(例えば、ポリプロピレン、シリコーン樹脂、およびガラス)から作製され、白金製、金製、ステンレス製、炭素製、または導電性ポリマー製の電極を備える。これらの材料は、所望の性質を付与するために(例えば、容器本体に絶縁性を付与するために、または電極の導電性を高めるために)、任意の適切な材料でコーティングされてもよい。
【0053】
さらに、好ましくは、本発明の第一容器および第二容器は、大気圧と異なる圧力に耐える能力を有し、特に好ましくは、減圧処理に耐える能力を有する。例えば、上記の第一容器は、上記の第二容器内および/または上記の第三容器内に収容されてもよい。または、核酸と細胞とを含む混合液は、上記の第一容器から、上記の第二容器(または、その内部に収容される別の容器)内および/または上記の第三容器(または、その内部に収容される別の容器)内に注入されてもよい。
【0054】
細胞を、上記の第二容器中に配置する手段、および核酸と細胞とを含む混合液を、上記の第三容器中に配置する手段には、ベルトコンベアなどが有利に使用され得るが、これに限定されず、任意の手段が利用され得る。自動ポンプなどを利用して、第一容器、第二容器および第三容器中に配置された液体を、吸引/排出することによって移動され得る。
【0055】
本発明の自動化エレクトロポーレーション装置は、各操作手段を自動化する制御装置を含む。本発明のエレクトロポーレーション装置は、電源装置を含む。このような制御装置および電源装置は、エレクトロポーレーション装置と同一の機器内に配置されても、別々の機器としてコードで接続されてもよい。
【0056】
種子に対してエレクトロポーレーションを行う場合、好ましくは、減圧処理または加圧処理をする種子を、処理前に、水(例えば、水道水)中に放置する。処理前の種子を水中に放置する場合、その放置時間は、6時間~48時間、好ましくは12時間~36時間、より好ましくは18時間~30時間、さらにより好ましくは20時間~26時間、最も好ましくは約24時間であるが、これらに限定されない。
【0057】
本発明における例示的な核酸導入の条件は、種子を25℃で一晩水道水中に放置し、翌日、真空装置の中に置き、大気圧より0.096MPa低い圧力にて1時間減圧処理を行い、その後、減圧処理した種子に対して、エレクトロポーレーションによる高電圧パルス(100V、50マイクロ秒、ただし、電極間の距離は1cm)を50回程度かけ、核酸導入/遺伝子導入を行うという条件である。電圧およびパルス回数は作物によって変化し得、当業者は、必要に応じて、そのエレクトロポーレーション条件を適宜選択し得る。その後、抗生物質を含む培地において選抜し、その後鉢上げ(ポットでの育成)により通常の植物個体を得ることができる。
【0058】
本明細書において用いられる「植物」とは、植物界に属する生物の総称であり、葉緑体、硬い細胞壁、豊富な永続性の胚的組織の存在,および運動する能力がない生物により特徴付けられる。植物は、例えば、「原色牧野植物大図鑑」(北隆館(1982年)日本)などにおいて広範に分類されており、そこに記載されるすべての種類の植物が、本発明において使用され得る。代表的には、植物は、細胞壁の形成・葉緑体による同化作用をもつ顕花植物をいう。「植物」は、単子葉植物および双子葉植物のいずれも含む。単子葉植物としては、イネ科植物が挙げられる。好ましい単子葉植物としては、トウモロコシ、コムギ、イネ、エンバク、オオムギ、ソルガム、ライムギ及びアワが挙げられ、さらに好ましくは、トウモロコシ、コムギ、イネが挙げられるが、これらに限定されない。コムギには、従来法では形質転換体を得ることが困難であったコムギ品種農林61号も含まれる。双子葉植物としては、アブラナ科植物、マメ科植物、ナス科植物、ウリ科植物、ヒルガオ科植物が挙げられるが、これらに限定されない。アブラナ科植物としては、ハクサイ、ナタネ、キャベツ、カリフラワーが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいアブラナ科植物は、ハクサイおよびナタネである。特に好ましいアブラナ科植物は、ナタネである。マメ科植物としては、ダイズ、アズキ、インゲンマメ、ササゲが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいマメ科植物は、ダイズである。ナス科植物としては、トマト、ナス、バレイショが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいナス科植物は、トマトである。ウリ科植物としては、マクワウリ、キュウリ、メロン、スイカが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいウリ科植物は、マクワウリである。ヒルガオ科植物としては、アサガオ、カンショ、ヒルガオが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいヒルガオ科植物は、アサガオである。特に他で示さない限り、植物は、植物体、植物器官、植物組織、植物細胞、および種子のいずれをも意味する。植物器官の例としては、根、葉、茎、および花などが挙げられる。植物細胞の例としては、カルスおよび懸濁培養細胞が挙げられる。特定の実施形態では、植物は、植物体を意味し得る。
【0059】
別の実施形態において、本発明において使用され得る植物種の例としては、ナス科、イネ科、アブラナ科、バラ科、マメ科、ウリ科、シソ科、ユリ科、アカザ科、セリ科、ヒルガオ科、キク科などの植物が挙げられる。さらに、本発明において使用され得る植物種の例としては、任意の樹木種、任意の果樹種、クワ科植物(例えば、ゴムの木)、およびアオイ科植物(例えば、綿花)が挙げられる。
【0060】
簡便には、本発明の方法は、植物組織(休眠組織(完熟種子、未熟種子、冬芽、および塊茎を含む)、生殖質、生長点、および花芽を含む)に対してエレクトロポーレーションを行い、最も簡便には、種子に対してエレクトロポーレーションを行う。本発明のエレクトロポーレーション方法により核酸導入された種子はそのまま、例えば、土に植えて栽培することにより、容易に核酸導入体/形質転換体となり得る。種子は通常、胚、胚乳および種皮の三部分から構成される(野口弥吉・川田信一郎監修,該当部分は千坂英夫著,農学大事典,養賢堂,896頁,1987年を参照のこと)。胚は、植物のすべての遺伝情報を備え、そして植物体へと生育する部分である。すべての単子葉植物および双子葉植物は胚を有する。本発明のエレクトロポーレーション方法により核酸導入すると、胚の部分において、導入した核酸の発現が認められた。従って、胚を含む種子を有するあらゆる植物で、本発明のこの最も簡便な方法により、容易に核酸導入植物体/形質転換植物体を得ることができる。
【0061】
アブラナ科の植物の例としては、Raphanus、Brassica、Arabidopsis、Wasabia、またはCapsellaに属する植物が挙げられ、例えば、大根、アブラナ種子、シロイヌナズナ、ワサビ、ナズナなどを含む。
【0062】
イネ科の植物の例としては、Oryza、Triticum、Hordeum、Secale、Saccharum、Sorghum、またはZeaに属する植物が挙げられ、例えば、イネ、オオムギ、ライムギ、サトウキビ、ソルガム、トウモロコシなどを含む。
【0063】
本明細書において用いられる「動物」とは、動物界に属する生物の総称であり、酸素と有機性食物を必要とし,植物界や鉱物界と違って任意的に動くことができる生物により特徴付けられる。動物は、大きく脊椎動物と無脊椎動物とに分類される。脊椎動物としては、例えば、メクラウナギ類、ヤツメウナギ類、軟骨魚類、硬骨魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳動物などが用いられ、より好ましくは、哺乳動物(例えば、単孔類、有袋類、貧歯類、皮翼類、翼手類、食肉類、食虫類、長鼻類、奇蹄類、偶蹄類、管歯類、有鱗類、海牛類、クジラ目、霊長類、齧歯類、ウサギ目など)が用いられる。さらに好ましくは、霊長類(たとえば、チンパンジー、ニホンザル、ヒト)が用いられる。最も好ましくはヒト由来の細胞または器官などが用いられる。無脊椎動物としては、例えば、甲殻綱、ヤスデ綱、エダヒゲムシ綱、ムカデ綱、コムカデ綱、昆虫綱などが用いられる。より好ましくは、昆虫(例えば、チョウ目(カイコなどを含む))が用いられる。
【0064】
本明細書において、「トランスジェニック生物」とは、特定の遺伝子が組み込まれた生物をいう。「トランスジェニック植物」とは、特定の遺伝子が組み込まれた植物をいい、同様に「トランスジェニック動物」とは、特定の遺伝子が組み込まれた動物をいう。
【0065】
本発明の方法により核酸導入/形質転換された細胞および組織は、当該分野において公知の任意の方法によって、分化、成長および/または増殖され得る。植物種の場合、細胞または組織を分化、成長および/または増殖させる工程は、例えば、その植物細胞もしくは植物組織またはそれらを含む植物体を栽培することによって達成され得る。本明細書では、植物の栽培は当該分野において公知の任意の方法により行うことができる。植物の栽培方法は、例えば、監修 島本功および岡田清,「モデル植物の実験プロトコール-イネ・シロイヌナズナ編-」:細胞工学別冊植物細胞工学シリーズ4;イネの栽培法(奥野員敏)pp.28-32、ならびに、丹羽康夫著,シロイヌナズナの栽培法,pp.33-40に例示されており、当業者であれば容易に実施することができることから本明細書では詳述する必要はない。例えば、シロイヌナズナの栽培は土耕、ロックウール耕、水耕いずれでも行うことができる。白色蛍光灯(6000ルクス程度)の下、恒明条件で栽培すれば播種後4週間程度で最初の花が咲き、開花後16日程度で種子が完熟する。1さやで約40~50粒の種子が得られ、播種後約2~3ケ月で枯死するまでの間に10000粒程度の種子が得られる。また、例えば、コムギの栽培においては、播種後に一定期間の低温短日条件にさらされなければ、出穂および開花しないことが周知である。従って、例えば、人工環境下(例えば、温室やグロスチャンバー)においてコムギを栽培する場合には、生育初期段階で、コムギ幼植物に低温短日処理(例えば、20℃ 明期8時間(約2000ルクス)および8℃ 暗期16時間での処理など)を行う必要がある。この処理は春化処理(vernalization)と呼ばれる。このような各植物種ごとに必要とされる栽培条件は、当該分野において一般に広く知られており、従って、本明細書中で詳述する必要はない。
【0066】
植物以外の種(例えば、動物種)の場合においても、本発明の方法によって、核酸導入/形質転換された細胞および組織は、当該分野において公知の任意の方法によって、分化、成長および/または増殖され得る(例えば、泉美治ら編,生物化学実験のてびき 4.動物・組織実験法,化学同人,1987年などを参照のこと)。例えば、エレクトロポーレーションにより核酸導入した細胞および/または組織は、市販の飼料を供給しながら常温下(約25℃)で育成され得る。
【0067】
本明細書において使用される場合、導入される遺伝子は、ポリヌクレオチドからなる。
【0068】
本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた、「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」を含む。「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’-O-メチル-リボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’-P5’ホスホロアミデート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC-5プロピニルウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC-5チアゾールウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC-5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine-modified cytosine)で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボースが2’-O-プロピルリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’-メトキシエトキシリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドなどが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)およびその相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzerら,Nucleic Acid Res.,19:5081,1991;Ohtsukaら,J.Biol.Chem.,260:2605-2608,1985;Rossoliniら,Mol.Cell.Probes,8:91-98,1994)。用語「核酸」はまた、本明細書において、遺伝子、「cDNA」、「mRNA」、「オリゴヌクレオチド」、および「ポリヌクレオチド」と互換可能に使用される。特定の核酸配列はまた、「スプライス改変体」を包含する。同様に、核酸によりコードされた特定のタンパク質は、その核酸のスプライス改変体によりコードされる任意のタンパク質を暗黙に包含する。その名が示唆するように「スプライス改変体」は、遺伝子のオルタナティブスプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写物は、異なる(別の)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするようにスプライスされ得る。スプライス改変体の産生機構は変化するが、エキソンのオルタナティブスプライシングを含む。読み通し転写により同じ核酸に由来する別のポリペプチドもまた、この定義に包含される。スプライシング反応の任意の産物(組換え形態のスプライス産物を含む)がこの定義に含まれる。
【0069】
本明細書において「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定する遺伝子を構造遺伝子といい、その発現を制御する遺伝子を調節遺伝子という。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」をさすことがある。本明細書において遺伝子の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。
【0070】
本明細書では塩基配列の同一性の比較および相同性の算出は、配列分析用ツールであるBLASTのデフォルトパラメータを用いて算出される。
【0071】
本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」とは、その遺伝子などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一態様であり得る。より好ましくは、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。
【0072】
本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体ヌクレオチド」または「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なるが、もとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログは、当該分野において周知である。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログの例としては、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド-核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書において、「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1~n-1までの配列長を有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。
【0074】
本発明において利用され得る一般的な分子生物学的手法としては、Ausubel F.A.ら編,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley,New York,NY,1988;Sambrook J.ら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1987などを参酌して当業者であれば容易に実施をすることができる。
【0075】
本明細書において遺伝子について言及する場合、「ベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を標的の細胞へと移入させることができるものをいう。そのようなベクターとしては、原核生物細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体および植物個体等の宿主細胞、好ましくは植物細胞において自律複製が可能であるか、またはその染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。
【0076】
本明細書において用いられる「発現ベクター」は、構造遺伝子およびその発現を調節するプロモーターに加えて種々の調節エレメントが宿主の細胞中で作動し得る状態で連結されている核酸配列をいう。調節エレメントは、好ましくは、ターミネーター、薬剤耐性遺伝子のような選択マーカーおよび、エンハンサーを含み得る。生物(例えば、植物)の発現ベクターのタイプおよび使用される調節エレメントの種類が、宿主細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。選抜のための選択マーカーとしては、抗生物質カナマイシンに対して耐性を与える酵素ネオマイシンホスホトランスフェラーゼをコードするneo遺伝子(Beckら,Gene,19:327,1982;抗生物質ハイグロマイシンに対して耐性を与える酵素ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼをコードするhyg遺伝子(Gritz及びDavies,Gene,25:179,1983);及び除草剤ホスフィノトリシン(phosphinothricin)に対して耐性を与えるホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼをコードするbar遺伝子(EP 242236);ストレプトマイシンフォスフォトランスフェラーゼをコードするspt遺伝子;ストレプトマイシン耐性遺伝子;スペクチノマイシン耐性遺伝子などの薬剤耐性遺伝子(例えば、H.S.Chawla,Introduction to Plant Biotechnology第2版:363,Science Publishers,Inc.,単行本,2002);ならびにβ-グルクロニダーゼをコードするGUS遺伝子(Jeffersonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,6:3901,1986)およびルシフェラーゼ遺伝子(Owら,Science,234:856,1986)、およびGFP(緑色蛍光タンパク質)コード遺伝子(例えば、フナコシ株式会社、東京都文京区本郷から入手可能)のようなスクリーニング可能な選択マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本発明において選抜に使用する薬剤としては、カナマイシン、ハイグロマイシン、ジェネティシン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0078】
「組換えベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を標的の細胞へと移入させることができるベクターをいう。そのようなベクターとしては、植物細胞、および植物個体等の宿主細胞において自律複製が可能、または染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。
【0079】
植物細胞に対する「組換えベクター」としては、Tiプラスミド、タバコモザイクウイルスベクター、ジェミニウイルスベクターなどが例示される。
【0080】
「ターミネーター」は、遺伝子のタンパク質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNAに転写される際の転写の終結、ポリA配列の付加に関与する配列である。ターミネーターは、mRNAの安定性に関与して遺伝子の発現量に影響を及ぼすことが知られている。ターミネーターとしては、CaMV35Sターミネーター、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tnos)、タバコPR1a遺伝子のターミネーターが挙げられるが、これに限定されない。本明細書において用いられる「プロモーター」とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、またその頻度を直接的に調節するDNA上の領域をいい、RNAポリメラーゼが結合して転写を始める塩基配列である。プロモーターの領域は、通常、推定タンパク質コード領域の第1エキソンの上流約2kbp以内の領域であることが多いので、DNA解析用ソフトウエアを用いてゲノム塩基配列中のタンパク質コード領域を予測すれば、プロモーター領域を推定することができる。推定プロモーター領域は、通常構造遺伝子の上流にあるが、好ましくは、推定プロモーター領域は、第一エキソン翻訳開始点から上流約2kbp以内に存在する。
【0081】
本明細書において、遺伝子の発現について用いられる場合、一般に、「部位特異性」とは、生物(例えば、植物)の部位(例えば、植物の場合、根、茎、幹、葉、花、種子、胚芽、胚、果実など)におけるその遺伝子の発現の特異性をいう。「時期特異性」とは、生物(例えば、植物)の発達段階(例えば、植物であれば生長段階(例えば、発芽後の芽生えの日数)に応じたその遺伝子の発現の特異性をいう。そのような特異性は、適切なプロモーターを選択することによって、所望の生物に導入することができる。
【0082】
本明細書において、本発明のプロモーターの発現が「構成的」であるとは、生物のすべての組織において、その生物の生長の幼若期または成熟期のいずれにあってもほぼ一定の量で発現される性質をいう。具体的には、本明細書の実施例と同様の条件下でノーザンブロット分析したとき、例えば、任意の時点で(例えば、2点以上(例えば、5日目および15日目))の同一または対応する部位のいずれにおいても、ほぼ同程度の発現量がみられるとき、本発明の定義上、発現が構成的であるという。構成的プロモーターは、通常の生育環境にある生物の恒常性維持に役割を果たしていると考えられる。本発明のプロモーターの発現が「ストレス応答性」であるとは、少なくとも1つのストレスが生物体に与えられたとき、その発現量が変化する性質をいう。特に、発現量が増加する性質を「ストレス誘導性」といい、発現量が減少する性質を「ストレス抑制性」という。「ストレス抑制性」の発現は、正常時において、発現が見られることを前提としているので、「構成的」な発現と重複する概念である。これらの性質は、生物の任意の部分からRNAを抽出してノーザンブロット分析でRNAの発現量を分析することまたは発現されたタンパク質をウェスタンブロットにより定量することにより決定することができる。ストレス誘導性のプロモーターを目的のポリペプチドをコードする核酸とともに組み込んだベクターで形質転換された植物または植物の部分(特定の細胞、組織など)は、そのプロモーターの誘導活性をもつ刺激因子を用いることにより、ある条件下での特定の遺伝子の発現を行うことができる。
【0083】
本明細書において用いられる「エンハンサー」は、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられる配列をいう。植物において使用する場合、エンハンサーとしては、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域が好ましい。エンハンサーは複数個用いられ得るが1個用いられてもよいし、用いなくともよい。
【0084】
本明細書において「作動可能に連結された(る)」とは、所望の配列の発現(作動)がある転写翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)または翻訳調節配列の制御下に配置されることをいう。プロモーターが遺伝子に作動可能に連結されるためには、通常、その遺伝子のすぐ上流にプロモーターが配置されるが、プロモーターと構造遺伝子との間に介在する配列が存在してもよいため、プロモーターと構造遺伝子とは必ずしも隣接して配置される必要はない。
【0085】
導入した遺伝子の存在は、サザンブロット法またはPCR法によって確認し得る。導入した遺伝子の転写は、ノーザンブロット法またはPCR法により、検出し得る。必要に応じて、遺伝子産物たるタンパク質の発現を、例えば、ウェスタンブロット法により確認し得る。
【0086】
以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、以下の実施例は、例示の目的のみに提供される。従って、本発明の範囲は、上記発明の詳細な説明にも下記実施例にも限定されるものではなく、請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例】
【0087】
(方法および材料)
(1)導入遺伝子
本発明においては、抗生物質耐性遺伝子および/あるいはGUS遺伝子を含むプラスミドDNAを主に用いたが、これらに限定されない。実施例においては以下の3種のプラスミドを用いた。pBI221はClontech社のもので、カリフラワーモザイクウイルス(CMV)の35Sプロモーター、βグルクロニダーゼ(GUS)遺伝子、ノパリン合成酵素(NOS)遺伝子のターミネーターを含んでいる。主に導入遺伝子の発現をGUS活性でモニターする目的で用いた。pWI-H5K(図1にその制限酵素マップを記載する)は、pWI-GUS(Masashi Ugakiら,Nucleic Acids Res.,19:371-377,1991)のGUS遺伝子を除去して、NPT II遺伝子を挿入することにより構築した。このpWI-H5Kは、hpt(ハイグロマイシン耐性遺伝子)とCMVのターミネーター並びにNPT II(カナマイシン及びゲンタマイシン耐性遺伝子)、CMVの35Sプロモーターとターミネーターを含んでいる。pBC1は、米国・コーネル大学のフロム博士(現、モンサント社)が開発したものであるが、トウモロコシのアルコール脱水素酵素遺伝子のプロモーターとイントロンの一部、GUS遺伝子、NOSのターミネーター並びにCMVの35Sプロモーター、hpt(ハイグロマイシン耐性遺伝子)、NOSのターミネーターを含んでいる(Hagioら,Plant Cell Rep.,14:329-334,1995)。プラスミドDNAとして、pWI-GUSのGUS遺伝子の部分をGFP(緑色蛍光タンパク質)遺伝子に置き換えたもの、またはpigA3GFPプラスミド(Tamura,Journal of Sericultural Science of Japan,69:1-12,2000)なども用いられる。
【0088】
(2)種子の前処理(1日目)
種子は当研究所で生育したもの、あるいは種・種苗会社から購入したものを用いた。目視により適当な完熟種子を約10~30粒選択し(種子の大きさにより異なる)、水道水中にて25℃で一晩吸水させた。好ましくは、吸水に使用される水道水は、雑菌の繁殖を抑えるために次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含む(有効塩素濃度が約0.01%となるように調整する)。コムギの形質転換植物体作出を目的とした実験においては、好ましくは、この吸水は10℃で二晩にわたって行う。
【0089】
(3)エレクトロポーレーションの装置
本発明に用いたエレクトロポーレーションの装置には、市販のエレクトロポーレーション手段(例えば、CUY21EDIT遺伝子導入装置、ネッパジーン社、千葉県市川市)を使用し得る。
【0090】
本実施例においてエレクトロポーレーションを行う際に使用されるエレクトロポーレーションチャンバーは、形質転換の対象となる植物組織を収容できるものであれば、どのような大きさであってもよいが、冷却可能なチャンバーが好ましい。本実施例では、白金電極を備える縦1cm×横2cm×高さ2cmの特注のエレクトロポーレーションチャンバーを使用した。
【0091】
(4)緩衝液の調製(2日目)
1回の実験に、1.5mlの以下の緩衝液と150マイクログラムのプラスミドDNAを用いた。緩衝液の組成は、250mM塩化カルシウム、12.5mMスペルミジン、0.5%ポリビニルピロリドン、0.3%Tween20である。
【0092】
(5)減圧処理
直径35mm×深さ10mmシャーレに緩衝液と発芽を始めた種子を入れ、0.096MPaまたは0.06MPaの減圧処理を1時間行った。
【0093】
(6)エレクトロポーレーション
減圧処理の後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに移し、氷上に1分間静置した。そして、実施例に示すように、100Vあるいは50Vの電圧で(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒の矩形波(50マイクロ秒の間、電圧を加え、75マイクロ秒休む周期を繰り返す)、パルス回数50回あるいは99回行った。さらに氷上にチャンバーを2分間静置した後、緩衝液を捨て、元のシャーレに処理した種子を戻した。この種子を戻したシャーレに、2mlの0.5%ポリビニルピロリドン(PVP)水溶液を入れた。このPVP水溶液は、雑菌の繁殖を抑えるために次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含んだ(有効塩素濃度が約0.01%となるように調整した)。
シャーレを4℃で約1時間保存した後、25℃で一晩静置した。
【0094】
(7)種子の後処理(3日目)
翌日、緩衝液を捨て、次いで、同じ組成の新しい緩衝液を2ml加えて25℃で一晩静置した。
【0095】
(8)GUS分析(4日目)
翌々日、緩衝液を捨て、X-Gluc液(100 mM pH7.0 リン酸緩衝液、0.05% X-Gluc(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド シクロヘキシルアンモニウム塩)、0.5mM フェリシアン化カリウム、0.5mM フェロシアン化カリウム、0.3% トライントンX-100、20% メタノール)を2ml加え、25℃で一晩静置した。5日目以降の染色の程度からGUS遺伝子の発現を確認した。
【0096】
(9)抗生物質培地による選抜(4日目以降)
GUS分析を行わず、以下のように生育させた。
a)ろ紙を敷いた9cm×15mmのシャーレに、種子を移した。
b)シャーレに蒸留水に溶かした抗生物質の水溶液を10ml添加した。コムギの種子をジェネティシンで選抜する場合、この濃度は2000ppmまたは1200ppmであった。なお、イネの種子をジェネティシンで選抜するときの濃度は、200ppmであった。
c)培養室で、25℃ 明期16時間(約2000ルクス) 暗期8時間の条件下または20℃ 明期8時間(約2000ルクス)および8℃ 暗期16時間の条件下にて、育成した。
【0097】
(10)形質転換体の育成(11日目以降)
抗生物質含有培地による選抜の後、植物を、園芸用培土(ニューマジックソイル;株式会社サカタのタネ、横浜市都筑区)を入れた直径8.5cm、高さ5.5cmのポット(植木鉢)を用いて、隔離型のグロスチャンバーで育成した(15℃ 明期8時間(ナトリウムランプ、約50000ルクス)、暗期16時間の条件または20℃ 明期8時間(約2000ルクス)および8℃ 暗期16時間の条件)。
【0098】
(11)DNAの抽出
遺伝子導入を確認するPCRを行うために、形質転換植物の葉および茎を採取して、DNAを抽出した。DNAの抽出には、任意の周知の方法を使用し得る。代表的なDNA抽出方法は、CTAB法である(内宮博文「植物遺伝子操作マニュアル トランスジェニック植物の作り方」講談社サイエンティフィック,71-74頁,単行本,1989年)。
【0099】
(12)PCR分析
エレクトロポーレーション後、14日目の個体の葉からDNAを抽出し、NPT II遺伝子を検出する一対のプライマー(5’-ctgcgtgcaatccatcttg-3’:配列番号1、5’-actcgtcaagaaggcgatagaag-3’:配列番号2)を用いてPCRを行った。また、さらなる一対のプライマー(5’-catgattgaacaagatggattgcacgcaggttctc-3’:配列番号3、5’-cagaagaactcgtcaagaaggcgatagaaggcgat-3’:配列番号4)もまた使用され得、このプライマー対は、より特異的にNPT II遺伝子を検出し得るので、より好ましい。ポリメラーゼは、株式会社パーキンエルマージャパン(横浜市西区)のAmpliTaq Gold(登録商標)を、製造業者の指示に従って、使用した。増幅に使用したサーマルサイクラーの条件は:
(a)95℃ 10分間を1サイクル;
(b)95℃ 1分間、64℃ 2分間、72℃ 2分間を50サイクル;
(c)72℃ 7分間を1サイクル;および
(d)その後4℃にて保存
であった。
【0100】
(13)サザンブロット分析
エレクトロポーレーション後、上記(12)のPCR分析により導入遺伝子の存在が確認された個体由来のDNAを用いて、サザンブロット分析を行った。サザンブロット法は当該分野において周知であり、当業者は、その条件を必要に応じて適宜選択し得る。サザンブロット分析では、導入したNPT II遺伝子に特異的な配列(配列表において、配列番号5として示される)を、プローブとして使用した。
【0101】
(14)遺伝解析
サザンブロット分析により導入遺伝子が確認された植物については、さらに生育させ、自家受粉により多数の完熟種子を得た。その中からランダムに約10個の種子を取り、土を詰めたポットで栽培した。幼植物の葉からDNAを抽出し、このDNAをテンプレートとして上記(12)PCR分析に記載の条件下でPCRを行った。
【0102】
(実施例1)
(コムギの形質転換)
コムギ農林61号の完熟種子を供試した。25℃で一晩吸水させ、発芽を始めた種子30粒及びpWI-GUS(GUS分析用)あるいはpWI-H5K(生育用)のプラスミドDNA(200μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに移し、氷上に1分間静置後、電気パルスを印加した。その電気的条件は以下に記載するとおりである。パルス幅は50マイクロ秒、パルス回数は50回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃で約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置した。GUS活性を指標にした遺伝子発現量の結果を以下の表1に示す:
(表1)
電圧(V/cm) 遺伝子発現量 備考
---------------------------------
0 -
10 -
20 -
50 ±
75 ±
100 +
150 - 種子は褐変・枯死
200 - 種子は褐変・枯死。
【0103】
上記の結果から、100V(ただし、電極間の距離は1cm)の電圧条件において、最も効率よく形質転換が可能であることが示される。
【0104】
同様の結果を、図2に示す。図2は、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回、減圧条件0.096MPaの条件下で、A:100V、B:50V、C:20V、D:0Vという電圧条件にてエレクトロポーレーションを行った結果を示す。100Vの条件での形質転換効率が最も高かった。
【0105】
図3は、1:電圧100V、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回、減圧条件0.096MPaの条件下で、形質転換したコムギ種子、2:減圧処理を行わずに、電圧100V、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回の条件下で、エレクトロポーレーションのみを行ったコムギ種子、3:コントロールのコムギ種子の写真である。図3に示すように、減圧処理とエレクトロポーレーションを組み合わせた場合にのみ、形質転換を行うことができた。
【0106】
生育用の種子はGUS活性の実験を行わず、減圧処理の後、ジェネティシン 2000ppmを含む蒸留水の上で生育させた(上記(7)種子の後処理、(9)抗生物質培地による選抜、および(10)形質転換体の育成のとおりに行った)。その結果を図4に示す。幼苗からDNAを抽出しPCR法で導入遺伝子の存在確認を行った(上記(11)DNAの抽出、および(12)PCR分析のとおりに行った)。
【0107】
配列番号1および2を用いたPCRの結果、NPT II遺伝子が植物体に導入されていることが確認された。
【0108】
上記の実験結果の再現性を調べるため、上記と実質的に同じ様式で実験を繰り返して、同様の結果が得られることを確認した。この反復実験で行った具体的な手順の詳細は、以下の通りである。まず、90×15mmのシャーレ中に直径7cmの濾紙を入れ、この濾紙の上にコムギ農林61号の種子150粒を置いた。このシャーレに10mlの水を添加し、10℃で暗黒下に2日間おいて種子に吸水させた。この添加した水は、雑菌の繁殖を抑えるために次亜塩素酸ナトリウム溶液を含んだ(有効塩素濃度が約0.01%となるように調整)。2日目に、幼根および幼芽が種子を破り、種子の発芽の開始が認められた。この2日目に、この種子を水道水で十分に洗浄し、その直後、本発明の核酸導入処理を行った。このコムギ種子30粒及びpWI-H5KのDNA(200μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに移し、氷上に1分間静置後、電気パルスを印加した。その電気的条件は以下に記載するとおりである。電圧条件は100V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅は50マイクロ秒、パルス回数は50回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃で約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。この処理を、5回繰り返して、合計150粒のコムギ種子に本発明の核酸導入処理を行った。
【0109】
次いで、90×15mmのシャーレに、褐変防止剤として10mlの0.5%ポリビニルピロリドン(PVP)水溶液を入れ、そしてこのシャーレに、上記の核酸導入処理後のコムギ種子を置いた。このPVP水溶液は、雑菌の繁殖を抑えるために次亜塩素酸ナトリウム溶液を含んだ(有効塩素濃度が約0.01%となるように調整)。このシャーレを、10℃で暗黒下に2日間静置した。2日後、新たな90×15mmのシャーレに、1200ppmのジェネティシン水溶液10mlを入れ、そしてこのシャーレに上記のコムギ種子を移した。このジェネティシン水溶液は、雑菌の繁殖を抑えるために次亜塩素酸ナトリウム溶液を含んだ(有効塩素濃度が約0.02%となるように調整)。次いで、このシャーレを、培養室で、20℃ 明期8時間(約2000ルクス)および8℃ 暗期16時間の春化処理条件下において、種子を2週間育成した。
【0110】
さらに、上記のジェネティシン抗生物質による選抜において発芽を示した生存コムギ植物を、土をいれたポットに移植して約3~4ヶ月間育成した。この育成は、上記と同じ培養室において、20℃ 明期8時間(約2000ルクス)および8℃ 暗期16時間の条件下で行った。ポットへの移植から約1ヶ月後、育成したコムギ植物から葉を採取し、この採取した葉からDNAを抽出した。この抽出DNAをテンプレートとして用いてPCRを行うことにより、導入遺伝子の存在を確認した。このPCR分析は、上記(12)PCR分析に記載のプライマー対および増幅条件を使用して行った。その結果を図5に示す。
【0111】
約5,000個のコムギ種子を同様に処理した。その結果、ジェネティシン耐性を示す205個体の植物が得られ、そのうちの87個体が、PCR分析において導入遺伝子の存在を示した。このPCRで導入遺伝子の存在を示した87個体をさらに育成し、サザンブロット分析に供した。87個体のなかで無作為に選択された8個体から抽出されたDNAを用いて、サザンブロット分析を行った。その結果、8個体すべてにおいて、導入したNPT II遺伝子の存在が確認された。この結果を図6に示す。
【0112】
このサザンブロット分析において導入遺伝子の存在が確認された8個体をさらに育成したところ、8個体すべてにおいて種子稔性のある個体が得られた。この種子稔性を有するコムギ形質転換植物体の写真を、図7に示す。このコムギ形質転換植物体(当世代:T0世代)から得られた種子(次世代:T1世代)を土に播種し、幼植物まで生長させた。この幼植物6個体の葉からDNAを抽出し、この抽出DNAをPCR分析に供することにより、導入遺伝子の存在を確認した。このPCR分析も、上記(12)PCR分析に記載のプライマー対および増幅条件を使用した。その結果を図8に示す。図8に示されるように、6個体の幼植物すべてにおいて、導入したNPT II遺伝子の存在が確認された。これにより、本発明の核酸導入法が、目的とする外来遺伝子を安定してゲノム中に組み込み、そして本発明の方法によって導入された外来遺伝子は、次世代にも安定して伝達され得ることが明らかとなった。
【0113】
(実施例2)
イネジャポニカ品種コシヒカリの完熟種子を材料に用いた。
【0114】
25℃で1晩吸水させ、発芽を始めた種子30粒及びpWI-GUSあるいはpWI-H5KのプラスミドDNA(200μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加した。その電気的条件は電圧50V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数99回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置した。GUS活性を指標にした遺伝子発現量の結果を以下の表2に示す:
(表2)
電圧(V/cm) 遺伝子発現量 備考
----------------------------------
0 -
10 -
20 ±
50 +
75 ± 種子は褐変・生育不良
100 - 種子は褐変・枯死
150 - 種子は褐変・枯死
200 - 種子は褐変・枯死。
【0115】
上記の結果から、50V(ただし、電極間の距離は1cm)の電圧条件において、最も効率よく形質転換が可能であることが示される。
【0116】
同様の結果を、図9に示す。図9は、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数99回、減圧条件0.096MPaの条件下で、A:50V、B:20V、C:10V、D:0Vという電圧条件にてエレクトロポーレーションを行った結果を示す。50Vの条件での形質転換効率が最も高かった。
【0117】
図10は、1:電圧50V、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数99回、減圧条件0.096MPaの条件下で、形質転換したイネ種子、2:減圧処理を行わずに、電圧50V、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数99回の条件下で、エレクトロポーレーションのみを行ったイネ種子、3:コントロールのイネ種子の写真である。図10に示すように、減圧処理とエレクトロポーレーションを組み合わせた場合にのみ、形質転換を行うことができた。
【0118】
生育用の種子はGUS活性の実験を行わず、減圧処理の後、ジェネティシン 200ppmを含む蒸留水の上で生育させた(上記(7)種子の後処理、(9)抗生物質培地による選抜、および(10)形質転換体の育成のとおりに行った)。その結果を図11に示す。
【0119】
上記の実験結果の再現性を調べるため、上記と実質的に同じ様式で実験を繰り返して、同様の結果が得られることを確認した。この反復実験で行った具体的な手順の詳細は、以下の通りである。まず、90×15mmのシャーレ中に直径7cmの濾紙を入れ、この濾紙の上にイネ種子(玄米)100粒を置いた。このシャーレに10mlの水を添加し、25℃で明期16時間の条件下に1日間おいて種子に吸水させた。この添加した水は、雑菌の繁殖を抑えるために次亜塩素酸ナトリウム溶液を含んだ(有効塩素濃度が約0.01%となるように調整)。翌日、この種子を水道水で十分に洗浄し、その直後、本発明の核酸導入処理を行った。このイネ種子20粒及びpWI-H5KのDNA(100μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液1mlをシャーレに入れた。0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加した。その電気的条件は電圧50V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数99回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。この処理を、5回繰り返して、合計100粒のイネ種子に本発明の核酸導入処理を行った。
【0120】
次いで、90×15mmのシャーレに、褐変防止剤として10mlの0.5%ポリビニルピロリドン(PVP)水溶液を入れ、そしてこのシャーレに、上記の核酸導入処理後のイネ種子を置いた。このPVP水溶液は、雑菌の繁殖を抑えるために次亜塩素酸ナトリウム溶液を含んだ(有効塩素濃度が約0.01%となるように調整)。このシャーレを、25℃で明期16時間の条件下に2日間静置した。2日後、新たな90×15mmのシャーレに、200ppmのジェネティシン水溶液10mlを入れ、そしてこのシャーレに上記のイネ種子を移した。このジェネティシン水溶液は、雑菌の繁殖を抑えるために次亜塩素酸ナトリウム溶液を含んだ(有効塩素濃度が約0.02%となるように調整)。次いで、このシャーレ中の種子を、25℃で明期16時間の条件下において2週間育成した。
【0121】
さらに、上記のジェネティシン抗生物質による選抜において発芽を示した生存イネ植物を、土をいれたポットに移植して約3~4ヶ月間育成した。この育成は、25℃の閉鎖系温室内において通常の栽培条件下で行った。ポットへの移植から約1ヶ月後、育成したイネ植物から葉を採取し、この採取した葉からDNAを抽出した。この抽出DNAをテンプレートとして用いてPCRを行うことにより、導入遺伝子の存在を確認した。このPCR分析は、上記(12)PCR分析に記載のプライマー対および増幅条件を使用した。このPCR分析によって、NPT II遺伝子の存在が確認された。
【0122】
約2,000個のイネ種子を同様に処理した。その結果、ジェネティシン耐性を示す55個体の植物が得られ、そのうちの33個体が、PCR分析において導入遺伝子の存在を示した。このPCRで導入遺伝子の存在を示した33個体をさらに育成し、サザンブロット分析に供した。33個体のなかで無作為に選択された6個体から抽出されたDNAを用いて、サザンブロット分析を行った。その結果、2個体において、導入したNPT II遺伝子の存在が確認された。この結果を図12に示す。
【0123】
このサザンブロット分析において導入遺伝子の存在が確認されたイネ植物体をさらに育成したところ、種子稔性のあるイネ植物体が得られた。この種子稔性を有するイネ形質転換植物体の写真を、図13に示す。このイネ形質転換植物体(当世代:T0世代)から得られた種子(次世代:T1世代)を土に播種し、幼植物まで生長させた。この幼植物8個体の葉からDNAを抽出し、この抽出DNAをPCR分析に供して導入遺伝子の存在を確認した。このPCR分析も、上記(12)PCR分析に記載のプライマー対および増幅条件を使用して行った。その結果を図14に示す。図14に示されるように、8個体の幼植物すべてにおいて、導入したNPT II遺伝子の存在が確認された。これにより、本発明の核酸導入法が、目的とする外来遺伝子を安定してゲノム中に組み込み、そして本発明の方法によって導入された外来遺伝子は、次世代にも安定して伝達され得ることがさらに確証付けられた。
【0124】
(実施例3)
イネインディカ品種(IR24)の完熟種子を材料に用いた。
【0125】
25℃で1晩吸水させ、発芽を始めた種子30粒およびpWI-GUSのプラスミドDNA(200μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加した。その電気的条件は電圧50V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数99回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置した。その結果を図15に示す。図15に示すように、減圧処理とエレクトロポーレーションを組み合わせた場合にのみ、形質転換を行うことができた。
【0126】
また、減圧処理の後、ジェネティシン200ppmを含む蒸留水の上で選抜する。
【0127】
(実施例4)
ダイズ品種オオスズの完熟種子を材料に用いた。25℃で1晩吸水させた。
【0128】
発芽を始めた種子10粒及びpBC1あるいはpWI-GUSのプラスミドDNA(100μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加した。その電気的条件は電圧100V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置した。形質転換が成功した結果を図16に示す。
【0129】
(実施例5)
トウモロコシ(品種:ピーターコーン)の完熟種子を材料に用いた。25℃で1晩吸水させ、発芽を始めた種子3粒及びプラスミドDNA(100μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加した。その電気的条件は電圧100V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回である。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻す。シャーレを4℃約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置する。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置する。
【0130】
(実施例6)
ハクサイ(品種;無双)の完熟種子を材料に用いた。25℃で1晩吸水させ、発芽を始めた種子30粒及びプラスミドDNA(100μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加した。その電気的条件は電圧100V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置した。形質転換が成功した結果を図17に示す。
【0131】
生育用の種子はGUS活性の実験を行わず、減圧処理の後、適量のジェネティシンを含む蒸留水の上で生育させる(上記(7)種子の後処理、(9)抗生物質培地による選抜、および(10)形質転換体の育成のとおりに行う)。幼苗からDNAを抽出しPCR法で導入遺伝子の存在確認を行う(上記(11)DNAの抽出、および(12)PCR分析のとおりに行う)。さらに、PCRで導入遺伝子の存在を示した個体をさらに育成し、サザンブロット分析に供する。無作為に選択された育成個体から抽出されたDNAを用いて、サザンブロット分析を行う。
【0132】
(実施例7)
トマト(品種ミニキャロル)の完熟種子を材料に用いた。25℃で1晩吸水させ、発芽を始めた種子30粒及びプラスミドDNA(100μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加した。その電気的条件は電圧100V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置した。形質転換が成功した結果を図18に示す。
【0133】
(実施例8)
マクワウリ(品種:キンショーメロン)の完熟種子を材料に用いる。25℃で1晩吸水させ、発芽を始める。
【0134】
種子40粒及びプラスミドDNA(100μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れる。0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加する。その電気的条件は電圧100V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回である。
【0135】
さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻す。
【0136】
シャーレを4℃約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置する。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置する。
【0137】
(実施例9)
アサガオ(品種「サンスマイル」と「曜白大輪」)の完熟種子を材料に用いた。25℃で1晩吸水させ、発芽を始めた種子10粒及びプラスミドDNA(100μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加した。その電気的条件は電圧100V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置した。形質転換が成功した結果を図19に示す。
【0138】
(実施例10)
シロイヌナズナ(品種;Col-0)の完熟種子を材料に用いた。25℃で1晩吸水させ、発芽を始めた種子約1000粒及びプラスミドDNA(100μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をマイクロチューブ型チャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加した。その電気的条件は電圧100V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置した。
【0139】
生育用の種子はGUS活性の実験を行わず、減圧処理の後、適量のジェネティシンを含む蒸留水の上で生育させる(上記(7)種子の後処理、(9)抗生物質培地による選抜、および(10)形質転換体の育成のとおりに行う)。幼苗からDNAを抽出しPCR法で導入遺伝子の存在確認を行う(上記(11)DNAの抽出、および(12)PCR分析のとおりに行う)。PCRで導入遺伝子の存在を示した個体をさらに育成し、サザンブロット分析に供する。無作為に選択された育成個体から抽出されたDNAを用いて、サザンブロット分析を行う。
【0140】
サザンブロット分析において導入遺伝子の存在が確認されたシロイヌナズナ個体をさらに育成して種子稔性のある個体を得る。このシロイヌナズナ形質転換植物体(当世代:T0世代)から得られた種子(次世代:T1世代)を土に播種し、幼植物まで生長させる。この幼植物の葉からDNAを抽出し、この抽出DNAをPCR分析に供することにより、導入遺伝子の存在を確認する。このPCR分析も、上記(12)PCR分析に記載のプライマー対および増幅条件を使用する。
【0141】
(実施例11)
マクワウリ(品種「キンショーメロン」)の完熟種子を材料に用いた。25℃で1晩吸水させ、発芽を始めた種子30粒及びプラスミドDNA(100μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。減圧なし、ならびに0.06MPaおよび0.096MPaで1時間減圧処理を行った後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加した。その電気的条件は電圧100V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置した。その結果は、以下の表3のとおりである:
(表3)
減圧(MPa) 遺伝子発現量
------------------------
0 -
0.06 -
0.096 +
-;形質転換した全ての種子において、X-Glucによる染色が確認されなかった。
+;形質転換した30個の種子中、15個以上の種子において、X-Glucによる染色が確認された。
【0142】
この表3では、X-Gluc液での染色の程度を、遺伝子発現量の指標とした。この結果に示されるとおり、マクワウリの場合は、0.096MPa程度の減圧条件が好ましい条件であった。
【0143】
次に、マクワウリの形質転換に好ましい電圧条件を検討した。0.096MPaの減圧条件を用い、そして以下の表に示される電圧条件を用いた以外は、上記の条件で、マクワウリの形質転換を行った。その結果を以下の表4に示す:
(表4)
電圧(V/cm) 遺伝子発現量
------------------------
0 -
10 -
20 -
50 ±
75 ±
100 +
150 ±
200 ±
-;形質転換した全ての種子において、X-Glucによる染色が確認されなかった。
±;形質転換した30個の種子中、1~14個の種子において、X-Glucによる弱い染色が確認された。
+;形質転換した30個の種子中、15個以上の種子において、X-Glucによる染色が確認された。
【0144】
上記の結果から、100V(ただし、電極間の距離は1cm)の電圧条件において、最も効率よく形質転換が可能であることが示された。
【0145】
(実施例12)
コムギ品種農林61号の完熟種子を材料に用いて、減圧条件について比較検討した。25℃で1晩吸水させ、発芽を始めた種子30粒及びプラスミドDNA(100μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。プラスミドDNAを含まないエレクトロポーレーション緩衝液2ml中の発芽種子を、コントロールとした。減圧なし、ならびに0.06MPaまたは0.096MPaで1時間減圧処理を行った後(ただし、コントロールの種子には、減圧処理を行わなかった)、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加した。その電気的条件は電圧100V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃で約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置した。その結果を、図20に示す。X-Gluc液での染色の程度を、遺伝子発現量の指標とすると、図20に示されるように、コムギの場合は0.096MPa程度の減圧条件が好ましい条件であった。また、0.06MPa程度の減圧を行ったコムギ種子においても、X-Gluc液での染色が確認された。
【0146】
(実施例13)
イネジャポニカ品種コシヒカリの完熟種子を材料に用いて、減圧条件について比較検討した。25℃で1晩吸水させ、発芽を始めた種子30粒及びプラスミドDNA(100μg/2ml)を添加したエレクトロポーレーション緩衝液2mlをシャーレに入れた。プラスミドDNAを含まないエレクトロポーレーション緩衝液2ml中の発芽種子を、コントロールとした。減圧なし、ならびに0.06MPaまたは0.096MPaで1時間減圧処理を行った後(ただし、コントロールの種子には、減圧処理を行わなかった)、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポーレーションにより電気パルスを印加した。その電気的条件は電圧50V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数99回であった。さらに氷上にチャンバーを2分間静置後、元のシャーレに種子と緩衝液を共に戻した。シャーレを4℃で約1時間保存した後、25℃で1晩静置した。翌日、緩衝液を捨て、蒸留水を2ml加えて25℃で1晩静置した。さらに翌々日、蒸留水を捨て、X-Gluc液を2ml加えて25℃で1晩静置した。その結果を、図21に示す。X-Gluc液での染色の程度を、遺伝子発現量の指標とすると、図21に示されるように、イネの場合は0.096MPa程度の減圧条件が好ましい条件であった。また、0.06MPa程度の減圧を行ったイネ種子においても、X-Gluc液での染色が確認された。
【0147】
(実施例14)
(カイコの形質転換)
節足動物であるカイコ(Bombyx mori Linnaeus)の卵を用いる。冷蔵庫で保存中の休眠卵から任意に50粒、もしくは産卵直後から産卵後10日目の範囲の非休眠卵から任意に50粒のカイコ卵、及びプラスミドDNA(200μg/2ml)を添加したエレクトロポレーション緩衝液2mlをシャーレに入れる。プラスミドDNAとして、pWI-GUSのGUS遺伝子の部分をGFP(緑色蛍光タンパク質)遺伝子に置き換えたものを用いる。または、pigA3GFPプラスミド(Tamura,Journal of Sericultural Science of Japan,69:1-12,2000)を用いる。GFP(緑色蛍光タンパク質)遺伝子は市販品(フナコシ株式会社、東京都文京区本郷)を用いる。0.096MPaで5分間減圧処理を行った後、シャーレの中の卵と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポレーションにより電気パルスを印加する。その電気的条件は電圧50V(ただし、電極間の距離は1cm)パルス幅50マイクロ秒、パルス回数5回である。さらに氷上にチャンバーを2分間静置する。
【0148】
ろ紙を敷いたシャーレにエレクトロポレーションを行った卵のみを移し、25℃で2~3週間育成する。飼料は市販の人工飼料(片倉工業株式会社、埼玉県狭山市奥富)などを用いる。孵化した幼虫に紫外光や青色光を照射し、核酸導入体が発する緑色蛍光を確認する。
【0149】
緑色の蛍光を確認した幼虫についてはさらに成体まで育成し、同種類の核酸を導入した他の個体などと交配し、導入した核酸の次世代個体への伝達を、紫外光や青色光を照射したときに発生する緑色蛍光で確認する。
【0150】
(実施例15)
(大腸菌の形質転換)
原核生物である大腸菌を用いる。大腸菌約10~10細胞/ml及びpBC1プラスミドDNA(10ng/ml)を添加したエレクトロポレーション緩衝液2mlをシャーレに入れる。0.096MPaで1分間減圧処理を行った後、シャーレの中の大腸菌と緩衝液をチャンバーに入れ、氷上に1分間静置後、エレクトロポレーションにより電気パルスを印加する。その電気的条件は電圧200V(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅2マイクロ秒、パルス回数1回である。さらに氷上にチャンバーを2分間静置する。
【0151】
エレクトロポーレーションを行った大腸菌を、アンピシリン100ppmを含むLB(市販の実験書、例えば、Molecular Cloning 2版を参照のこと)寒天培地に移植し、37℃で1晩培養する。この大腸菌よりプラスミドDNAとゲノムDNAを各々抽出し、PCR法などによりアンピシリン耐性遺伝子の存在を確認する。
【0152】
(実施例16)エレクトロポーレーション装置およびチャンバー
ここで本発明のエレクトロポーレーション装置およびエレクトロポーレーションチャンバーを、添付の例示的な図面を参照して説明する。ここで説明するそれぞれの図面は、本発明の一実施形態を示すに過ぎず、本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0153】
図22は、本発明のエレクトロポーレーション装置の一実施形態を示す。この装置は、細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する手段とエレクトロポーレーション手段とを備える。容器(106)の内側には、対向する少なくとも一対の電極(104、105)が配置される。なお、図22では、一対(二個)の電極(104、105)として描かれているが、この容器(106)内に配置される電極対は、一対より多い電極対であってもよい。この容器(106)は、必要に応じて、温度制御手段(128)を備える。核酸導入の対象となる細胞(109)および導入される核酸(110)は、必要に応じて緩衝液(111)と共に、この容器(106)中に配置される。この容器(106)は、一つの実施形態では、別の容器(108)の内部に配置される。この容器(108)の内部は、大気圧と異なる圧力に維持されることが可能である。容器(108)の内部の圧力の変更は、容器内部を大気圧と異なる圧力に維持する手段(126)を作動させて通気口(107)を通して空気を導入すること(加圧処理の場合)または空気を排出すること(減圧処理の場合)によって、達成され得る。容器(106)が、密閉可能な蓋をさらに備えることによって、容器(106)と容器(108)とは同一の容器であり得る(すなわち、容器(106)が容器(108)を代替し得る)。この装置はさらに、高電圧パルスを発生する手段(101)を含み、この高電圧パルス発生手段(101)に接続した2本のコード(102、103)は、それぞれ、一対となった2つの電極(104、105)に接続される。高電圧パルス発生手段(101)をオンにして高電圧パルスを発生させると、接続された電極(104)と電極(105)は、それぞれ、アノードとカソードまたはカソードとアノードとして作用し得る。必要ではないが、好ましくは、この高電圧パルス発生手段(101)は、電流の流れを逆転させる極性切替手段(127)を備える。極性切替手段(127)を、オン/オフに作動することにより、細胞(109)と核酸(110)とに二種類の方向から電圧パルスをかけることが可能となる。
【0154】
図23は、本発明のエレクトロポーレーション装置の他の実施形態を示す。この装置は、一つの容器(212)の内部で、細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する手段とエレクトロポーレーション手段とが別々に配置されている装置を示す。この装置において、細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する手段は、容器(206-a)を含む。容器(206-a)中には、核酸導入の対象となる細胞(209)が配置される。必要に応じて、この容器(206-a)中には、細胞(209)と共に、導入される核酸および/または緩衝液も配置される。容器(206-a)は、一つの実施形態では、別の容器(208)の内部に配置される。この容器(208)の内部は、大気圧と異なる圧力に維持されることが可能である。容器(208)の内部の圧力の変更は、容器内部を大気圧と異なる圧力に維持する手段(226)を作動させて、通気口(207)を通して空気を導入すること(加圧処理の場合)または空気を排出すること(減圧処理の場合)によって、達成され得る。容器(206-a)が、密閉可能な蓋をさらに備えることによって、容器(206-a)と容器(208)とは同一の容器であり得る(すなわち、容器(206-a)が容器(208)を代替し得る)。
【0155】
上記手段によって減圧および/または加圧処理された細胞は、次いで、エレクトロポーレーション手段によって処理される。エレクトロポーレーション手段は、容器(206-b)を含む。容器(206-b)は、容器(206-a)と異なっても同一であってもよく、すなわち、加圧および/または減圧処理に使用された容器(206-a)がそのまま容器(206-b)として使用されてもよい。必要に応じて、この容器(206-a、206-b)は、温度制御手段(228-a、228-b)を備える。容器(206-b)の内側には、対向する少なくとも一対の電極(204、205)が配置される。なお、図23では、一対(二個)の電極(204、205)として描かれているが、この容器(206-b)内に配置される電極対は、一対より多い電極対であってもよい。核酸導入の対象となる細胞(209)および導入される核酸分子(210)は、必要に応じて緩衝液(211)と共に、この容器(206-b)中に配置される。このエレクトロポーレーション手段はさらに、高電圧パルスを発生する手段(201)を含み、この高電圧パルス発生手段(201)に接続した2本のコード(202、203)は、それぞれ、2つの電極(204、205)に接続される。高電圧パルス発生手段(201)をオンにして高電圧パルスを発生させると、接続された電極(204)と電極(205)は、それぞれ、アノードとカソードまたはカソードとアノードとして作用し得る。必要ではないが、好ましくは、この高電圧パルス発生手段(201)は、電流の流れを逆転させる極性切替手段(227)を備える。極性切替手段(227)を、オン/オフに作動することにより、細胞(209)と核酸(210)とに二種類の方向から電圧パルスをかけることが可能となる。
【0156】
図24は、本発明のエレクトロポーレーション装置の他の実施形態を示す。この装置は、細胞を大気圧と異なる圧力下に維持することと組み合わせて、核酸を細胞内に導入するためのエレクトロポーレーション装置を示す。この装置は、エレクトロポーレーション手段のみを含む。この装置は、容器(306)を含む。容器(306)の内側には、対向する少なくとも一対の電極(304、305)が配置される。なお、図24では、一対(二個)の電極(304、305)として描かれているが、この容器(306)内に配置される電極対は、一対より多い電極対であってもよい。この容器(306)は、必要に応じて、温度制御手段(328)を備える。核酸導入の対象となる細胞(309)および導入される核酸分子(310)は、必要に応じて緩衝液(311)と共に、この容器(306)中に配置される。この細胞(309)は、任意の他の手段によって、大気圧と異なる圧力下に配置されて加圧および/または減圧処理を受けた細胞である。この装置はさらに、高電圧パルスを発生する手段(301)を含み、この高電圧パルス発生手段(301)に接続した2本のコード(302、303)は、それぞれ、一対となった2つの電極(304、305)に接続される。高電圧パルス発生手段(301)をオンにして高電圧パルスを発生させると、接続された電極(304)と電極(305)は、それぞれ、アノードとカソードまたはカソードとアノードとして作用し得る。必要ではないが、好ましくは、この高電圧パルス発生手段(301)は、電流の流れを逆転させる極性切替手段(327)を備える。極性切替手段(327)を、オン/オフに作動することにより、細胞(309)と核酸(310)とに二種類の方向から電圧パルスをかけることが可能となる。この装置において、電極(304)と電極(305)との間の距離(α)は、植物種子を収容し得る距離である。植物種子を収容し得る距離は、本明細書中の上記において定義されている。
【0157】
図25は、本発明の直方形エレクトロポーレーションチャンバーの一実施形態を示す。このチャンバーは、大気圧と異なる圧力に耐える能力を有する材料(例えば、ポリプロピレンなど)から作製される。このエレクトロポーレーションチャンバー(406)の内側には、内壁に密着して、対向する少なくとも一対の電極(413、414)が配置される。なお、図25では、一対(二個)の電極(413、414)として描かれているが、この容器(406)内に配置される電極対は、一対より多い電極対であってもよい。電極(413、414)は好ましくは、対向する二面に沿って配置される板状の形態である。必要に応じて、この電極(413)および電極(414)からはそれぞれ、電極(413、414)と同じかまたは異なる金属で作製された線(404)および線(405)が伸長する。この線(404)および線(405)に対して、高電圧パルス発生手段(401)に接続したコード(402)およびコード(403)が、それぞれ接続される。線(404)および線(405)は存在しなくてもよく、存在しない場合には、高電圧パルス発生手段(401)に接続したコード(402)およびコード(403)は、電極(413)および電極(414)に直接的に接続され得る。高電圧パルス発生手段(401)をオンにして高電圧パルスを発生させると、接続された電極(413)と電極(414)は、それぞれ、アノードとカソードまたはカソードとアノードとして作用し得る。このチャンバーは、植物種子を収容し得る大きさを有する。このチャンバーの大きさは、横断面の縦a×横断面の横b×高さcの内寸によって表される。植物種子を収容し得る大きさは、本明細書中の上記において定義されている。好ましくは、植物種子を収容し得るこのチャンバーの大きさは、縦1cm×横2cm×高さ2cmである。核酸導入の対象となる細胞および導入される核酸分子は、必要に応じて緩衝液と共に、この容器(406)中に配置される。この容器(406)は、必要に応じて、温度制御手段(428)を備える。
【0158】
図26は、本発明のマイクロチューブ形エレクトロポーレーションチャンバーの一実施形態を示す。このチャンバー(506-a)は、大気圧と異なる圧力に耐える能力を有する材料(例えば、ポリプロピレンなど)から作製される。このチャンバー(506-a)の内側には、内壁に密着して、対向する少なくとも一対の電極(504、505)が配置される。なお、図26では、一対(二個)の電極(504、505)として描かれているが、この容器(506-a)内に配置される電極対は、一対より多い電極対であってもよい。電極(504、505)は、好ましくは、例えば、マイクロチューブの内面に、ステンレス箔(例えば、約5×40mm(厚さ約0.1mm))を接着剤などで貼り付けることによって作製され得る。特定の実施形態では、この電極(504)および電極(505)の末端は、このマイクロチューブ(506-a)からはみ出るように配置される。これらの電極(504)および電極(505)の末端に対して、高電圧パルス発生手段(501)に接続したコード(502)およびコード(503)が、それぞれ接続される。高電圧パルス発生手段(501)をオンにして高電圧パルスを発生させると、接続された電極(504)と電極(505)は、それぞれ、アノードとカソードまたはカソードとアノードとして作用し得る。このチャンバーは、植物種子を収容し得る大きさを有する。このチャンバーの大きさは、横断面の直径e×高さdの内寸によって表される。植物種子を収容し得る大きさは、本明細書中の上記において定義されている。好ましくは、植物種子を収容し得るこのチャンバーの大きさは、直径1cm×高さ4cmである。核酸導入の対象となる細胞および導入される核酸分子は、必要に応じて緩衝液と共に、この容器(506-a)中に配置される。必要に応じて、このマイクロチューブ(506-a)は、マイクロチューブを密封するための蓋(515)を備える。この容器(506-a)は、必要に応じて、温度制御手段(528)を備える。
【0159】
上記の例では、図26に示されるように、胴体が均一である横断面を有し、かつ底が先細りしている形状のマイクロチューブ(506-a)を用いて例示されたが、本発明のマイクロチューブ型エレクトロポーレーションチャンバーの形状は、他の任意の形状であり得る。例えば、このチャンバーは、胴体の横断面が均一でなく、底に向かって徐々に先細りしていく形状のマイクロチューブ(506-b)であり得る。他の実施形態では、このチャンバーは、胴体の横断面が頂部から底部まで均一であり、従って、底が先細りしていない形状のマイクロチューブ(506-c)であり得る。さらに他の実施形態では、このチャンバーは、胴体の横断面が均一でない、506-dに示されされるような形状でもあり得る。
【0160】
本発明のチャンバーは、植物種子を収容し得る大きさを有する限り、任意の形状であり得る。チャンバーが、植物種子を収容し得る大きさであるか否かは、チャンバーの内面に接する内接円の直径を測定することによって確認され得る。この内接円は、チャンバー内面上における少なくとも3つの任意の点に接する。例えば、図27に示されるように、三角柱のような形状のチャンバー(606)である場合、図27に示されるように3点で接する最大の内接円(616)の大きさ(直径(f))が、植物種子を収容し得る大きさである。そしてこの三角柱形状のチャンバー内には、例えば、図27に示されるように、少なくとも一対の電極(604-a、605-a)が配置される。なお、図27に示される三角柱形状のチャンバーでは、一対(二個)の電極(604-a、605-a)として描かれているが、この容器(606)内に配置される電極対は、一対より多い電極対であってもよい。同じく図27に示されるように、五角柱のような形状のチャンバー(607)である場合、図27に示されるように5点で接する最大の内接円(617)の大きさ(直径(g))が、植物種子を収容し得る大きさである。そしてこの五角柱形状のチャンバー内には、例えば、図27に示されるように、少なくとも一対の電極(604-b、605-b)が配置される。なお、図27に示される五角柱形状のチャンバーでは、一対(二個)の電極(604-b、605-b)として描かれているが、この容器(607)内に配置される電極対は、一対より多い電極対であってもよい。他の形状のチャンバーの場合でも、同様にして描かれる最大の内接円の大きさ(直径)が、植物種子を収容し得る大きさである。
【0161】
図28は、本発明の自動化エレクトロポーレーション装置の簡略化した模式図を示す。この装置は、以下を含む:
a)核酸分子と細胞とを含む混合液を入れる容器(706-a);
b)該a)の容器中に核酸分子を入れる手段(724);
c)該a)の容器中に細胞を入れる手段(725);
d)細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する容器であって、大気圧と異なる圧力に耐える能力を有する、容器(708);
e)該細胞を、該d)の容器中に配置する手段(718-a);
f)該d)の容器中を、大気圧と異なる圧力に維持する手段(726);
g)該核酸分子と該細胞とを含む混合液に電圧パルスをかける容器(720);
h)該核酸分子と該細胞とを含む混合液を、該g)の容器中に配置する手段(718-b);
i)該g)の容器中において、該核酸分子と該細胞とを含む混合液に対して電圧パルスをかける手段(701);および
j)該b)、c)、e)、f)、h)およびi)の手段を自動化して実行する手段(719)。
【0162】
まず容器(706-a)が準備される。この容器(706-a)に対して、手段(725)から細胞が注入される。必要に応じて、この細胞注入の前か、この細胞注入と同時にかまたはこの細胞注入後に、手段(724)から核酸分子が、同じ容器(706-a)中に注入されてもよい。上記細胞(および、必要に応じて、上記核酸分子)またはそれを注入された容器(706-a)は、配置手段(718-a)の作用によって、容器(708)中に配置される。容器(708)は、大気圧と異なる圧力に耐える能力を有する材質(例えば、ポリプロピレンなど)から作製される。この容器(708)中に配置された、細胞(および、必要に応じて、核酸分子)を注入された容器を706-bとして示す。いくつかの場合においては、容器(708)と容器(706-b)とは同一の容器であり得る。このようにして細胞が容器(708)中に配置されると、次いで、手段(726)が作動する。この手段(726)の作用によって、容器(708)中の圧力は大気圧と異なる圧力に維持され、従って、容器(708)中に配置された細胞(および、必要に応じて、核酸分子)は、加圧および/または減圧処理を受ける。このようにして加圧および/または減圧処理を受けた細胞またはそれが入った容器は、配置手段(718-b)の作用によって、容器(708)から出て容器(720)中へと配置される(容器(720)中に配置される細胞を含む容器を706-cとして示す(ここで、容器(720)と容器(706-c)とが同一の容器であってもよい))。容器(706-b/706-c)中に核酸分子が入っていない場合には、配置手段(718-b)が作動する前または後で、手段(724)から容器(706-b/706-c)に核酸分子を注入する。必要に応じて、緩衝液も核酸分子と一緒にまたは核酸分子と別々ではあるが連続して、容器(706-b/706-c)中に注入され得る。このようにして細胞と核酸分子とを含む混合液が容器(720)中に配置されると、次いで、手段(701)が作動する。この手段(701)の作用によって、容器(720)中に配置された細胞と核酸分子とを含む混合液は、電圧パルスを受け、それによりその細胞と核酸分子との間でエレクトロポーレーションが起こる。本発明のエレクトロポーレーション装置は、さらに、上記の各手段(具体的には、724、725、718-a、726、718-b、および701として示される手段)を自動化して実行する制御手段(719)を備える。制御手段719と各手段724、725、718-a、726、718-b、および701との間は、図28に示されるように、それぞれコード(721-a、721-b、721-c、721-d、721-e、および721-f)で接続されており、これらのコードの内部を通って制御信号が伝達される。この本発明の自動化エレクトロポーレーション装置において、手段(724)および手段(725)は、互いに同一であっても異なっても良く、そして手段(718-a)および手段(718-b)は、互いに同一であっても異なっても良く、そして容器(706-a)、容器(706-b)および容器(706-c)は、互いに同一であっても異なっても良い。さらに、本発明のエレクトロポーレーション装置において、容器(708)中における加圧および/または減圧処理と、容器(720)中におけるエレクトロポーレーション処理とは任意の順序で実行され得る。好ましくは、容器(708)中における加圧および/または減圧処理の後に、容器(720)中におけるエレクトロポーレーション処理が実行され得る。
【0163】
図29では、より具体的に、本発明の自動化エレクトロポーレーション装置の一実施形態を示す。図29に示される実施形態では、まず、細胞を入れる手段(825)から、容器(806-a)中に細胞が注入される。必要に応じて、この細胞注入の時点で、核酸分子を入れる手段(824)から、核酸分子もまた容器(806-a)中に注入され得る。必要に応じて、容器(806-a)は、電極(804-a、805-a)も含む。このようにして細胞(および、必要に応じて、核酸分子)を注入された容器(806-a)は、ベルトコンベアなどのような手段(818-a)によって、容器(808)の入口(822-a)を通って、容器(808)中に配置される。容器(808)中に配置された、細胞(および、必要に応じて、核酸分子)を注入された容器を806-bとして示す(および、容器(806-b)中に配置された電極を、804-b、805-bとして示す)。容器(808)中に細胞が配置されると、容器(808)の入口(822-a)および出口(822-b)が閉鎖された状態となり、容器(808)内は密封される。密封状態となった容器(808)において、手段(826)が作動し、容器(808)中は大気圧と異なる圧力に維持される。この大気圧と異なる圧力への変更は、手段(826)が作動して、通気口(807)を通して空気を導入すること(加圧処理の場合)または空気を排出すること(減圧処理の場合)によって、達成され得る。この操作により加圧および/または減圧処理された細胞(および、必要に応じて、核酸分子)を注入された容器(806-b)は、ベルトコンベアなどのような手段(818-b)によって、容器(808)の出口(822-b)を通って、容器(808)から出され、容器(820)へと移動される。この時点で容器(806-b/806-c)中に核酸分子が注入されていない場合には、この移動工程の間に、核酸分子を容器(806-b/806-c)中に注入する。このように移動して容器(820)中に配置された、細胞および核酸分子を注入された容器を、806-cとして示す(および、容器(806-c)中に配置された電極を、804-c、805-cとして示す)。このようにして容器(820)中に細胞および核酸分子が配置されると、好ましくは、容器(820)の入口(823-a)および出口(823-b)が閉鎖された状態となる。この容器(820)は、高電圧パルスを発生する手段(801)を含み、この高電圧パルス発生手段(801)に接続した2本のコード(802、803)は、それぞれ、電極(804-c)および電極(805-c)に接続される。高電圧パルス発生手段(801)をオンにして高電圧パルスを発生させると、接続された電極(804-c)と電極(805-c)は、それぞれ、アノードとカソードまたはカソードとアノードとして作用し得る。必要ではないが、好ましくは、この高電圧パルス発生手段(801)は、電流の流れを逆転させる極性切替手段(827)を備える。極性切替手段(827)を、オン/オフに作動することにより、細胞(809)と核酸分子(810)とに二種類の方向から電圧パルスをかけることが可能となる。さらに、本発明の自動化エレクトロポーレーション装置は、上記の各手段(具体的には、824、825、818-a、826、818-b、801として示される手段)を自動化して実行する制御手段(819)を備える。制御手段819と各手段824、825、818-a、826、818-b、および801との間は、図29に示されるように、それぞれコード821-a、821-b、821-c、821-d、821-e、および821-fで接続されており、これらのコードの内部を通って制御信号が伝達される。なお、図29では、容器(806-a)中に核酸分子を入れる手段(824)と、容器(806-a)中に細胞を入れる手段(825)が、別個の手段として描かれているが、これらの手段824と825は、同一の手段であってもよい(すなわち、容器(806-a)中に、細胞と核酸分子とを入れる単一の手段であってもよい)。また、図29では、電極は一対(二個)の電極(804-a、805-a;804-b、805-b;804-c、805-c)として描かれているが、この容器(それぞれ、806-a;806-b;806-c)内に配置される電極対は、一対より多い電極対であってもよい。さらに図29では、配置手段(818-aおよび818-b)が単一のベルトコンベアとして描かれているが、これらの配置手段818-aおよび818-bは、連続していない別々の手段であってもよい。また、核酸分子および/または細胞が注入された容器(806-a、806-b、806-c)がベルトコンベアにより移動されるのと同時にかまたはその代わりに、圧力を変更する処理に使用される容器(808)および/またはエレクトロポーレーション処理に使用される容器(820)がベルトコンベアにより移動されてもよい。あるいは、配置手段は、ベルトコンベアなどに拠らずに、自動ポンプなどを利用して、容器(806-a)、容器(806-b)および容器(806-c)中に配置された材料/懸濁物を、吸引/排出することによって移動させてもよい。さらに、容器(806-a)、容器(806-b)および容器(806-c)は、同じ容器であっても異なる容器であってもよい。異なる容器である場合には、容器(806-a)から容器(806-b)へと、および/または容器(806-b)から容器(806-c)へと、などのように各容器間で内容物(すなわち、細胞および/または核酸分子)が移し替えられる。この移し替えは、例えば、単に容器を傾けることによってか、または、自動分注機/自動ピペット/自動ポンプなどによって吸引/排出されることによって実施され得る。これらの容器(806-a、806-b、806-c)は、必要に応じて、温度制御手段(828-a、828-b、828-c)を備える。
【0164】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0165】
簡便かつ迅速な核酸導入方法が提供される。
【0166】
簡便な本発明の核酸導入方法はこの分野の開発研究において重要な大量処理・大量解析を容易にせしめ、ひいては飛躍的な研究の進歩を誘発し、画期的な組換え作物の開発につながる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】図1は、pWI-H5Kの制限酵素地図である。
【図2】図2は、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回、大気圧より低い(減圧の)0.096MPaの条件下でエレクトロポレーションしたコムギ(農林61号)を示し、そして適用した電圧は、A:100V、B:50V、C:20V、D:0Vであった。
【図3】図3は、以下をGUS染色した結果を示す:(1)減圧処理+エレクトロポーレーションしたコムギ種子(2)エレクトロポーレーションのみを行ったコムギ種子(3)コントロールのコムギ種子。
【図4】図4は、形質転換したコムギをジェネティシン 2000ppmで選抜した結果を示す。A:プラスミドを用いたサンプル、B:プラスミドを用いないコントロール。
【図5】図5は、形質転換したコムギのDNAを用いたPCR分析の結果を示す。レーン1~8:形質転換したコムギのDNAサンプル、M:マーカー、P:ポジティブコントロール、N:ネガティブコントロール。右の矢印は、目的産物(約0.75kb)の位置を示す。
【図6】図6は、形質転換したコムギのDNAを用いたサザンブロット分析の結果を示す。レーン1~8:形質転換したコムギのDNAサンプル、P1:ポジティブコントロール1、P2:ポジティブコントロール2、N:ネガティブコントロール。右の矢印は、上から順に、約4.0kb、約2.0kb、約1.5kb、および約1.0kbの位置を示す。
【図7】図7は、種子稔性を有するコムギ形質転換植物体の写真を示す。この写真の植物は、図6に示されるサザンブロット分析においてポジティブであった、レーン1およびレーン2の植物に対応する。
【図8】図8は、形質転換したコムギの次世代個体(T1)のDNAを用いたPCR分析の結果を示す。レーン1~6:形質転換したコムギの次世代個体(T1)のDNAサンプル、M:マーカー、P:ポジティブコントロール、N:ネガティブコントロール。右の矢印は、目的産物(約0.75kb)の位置を示す。
【図9】図9は、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数99回、大気圧より低い(減圧の)0.096MPaの条件下でエレクトロポレーションしたイネ種子(ジャポニカ)を示し、そして適用した電圧は、A:50V、B:20V、C:10V、D:0Vであった。
【図10】図10は、以下をGUS染色した結果を示す:(1)減圧処理+エレクトロポーレーションしたジャポニカイネ種子(2)エレクトロポーレーションのみを行ったジャポニカイネ種子(3)コントロールのジャポニカイネ種子。
【図11】図11は、形質転換したジャポニカイネのジェネティシン 200ppmでの選抜の結果を示す。A:プラスミドを用いたサンプル、B:プラスミドを用いないコントロール。
【図12】図12は、形質転換したジャポニカイネのDNAを用いたサザンブロット分析の結果を示す。レーン1~6:形質転換したジャポニカイネのDNAサンプル、P:ポジティブコントロール(約5コピーに相当)、N:ネガティブコントロール。右の矢印は、目的産物(約0.8kb)の位置を示す。
【図13】図13は、種子稔性を有するジャポニカイネ形質転換植物体の写真を示す。この写真の植物は、図12に示されるサザンブロット分析においてポジティブであった、レーン5の植物に対応する。
【図14】図14は、形質転換したジャポニカイネの次世代個体(T1)のDNAを用いたPCR分析の結果を示す。レーン1~8:形質転換したジャポニカイネの次世代個体(T1)のDNAサンプル、M:マーカー、P:ポジティブコントロール、N:ネガティブコントロール。右の矢印は、目的産物(約0.75kb)の位置を示す。
【図15】図15は、以下をGUS染色した結果を示す:(A)減圧処理+エレクトロポーレーションしたインディカイネ種子(B)エレクトロポーレーションのみを行ったインディカイネ種子(C)コントロールのインディカイネ種子。
【図16】図16は、1:減圧処理+エレクトロポーレーションしたダイズ種子、2:コントロールのダイズ種子をGUS染色した結果である。
【図17】図17は、A:減圧処理+エレクトロポーレーションしたハクサイ種子、B:コントロールのハクサイ種子をGUS染色した結果である。
【図18】図18は、以下をGUS染色した結果を示す:(A)減圧処理+エレクトロポーレーションしたトマト種子(B)エレクトロポーレーションのみを行ったトマト種子(C)コントロールのトマト種子。
【図19】図19は、以下をGUS染色した結果を示す:(A)減圧処理+エレクトロポーレーションしたアサガオ種子(B)コントロールのアサガオ種子。
【図20】図20は、電圧100V、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数50回の条件下で、A:大気圧より0.096MPa下、B:大気圧より0.06MPa下、C:減圧せず、D:コントロール(DNAなし、減圧せず)エレクトロポレーションしたコムギを示す。
【図21】図21は、電圧50V、パルス幅50マイクロ秒、パルス回数99回の条件下で、A:大気圧より0.096MPa下、B:大気圧より0.06MPa下、C:減圧せず、D:コントロール(DNAなし、減圧せず)という減圧条件にてエレクトロポレーションしたジャポニカイネ種子を示す。
【図22】図22は、本発明のエレクトロポーレーション装置の一実施形態を示す。
【図23】図23は、本発明のエレクトロポーレーション装置の他の実施形態を示す。
【図24】図24は、本発明のエレクトロポーレーション装置の他の実施形態を示す。
【図25】図25は、本発明の直方形エレクトロポーレーションチャンバーの一実施形態を示す。
【図26】図26は、本発明のマイクロチューブ型エレクトロポーレーションチャンバーの一実施形態を示す。
【図27】図27は、本発明の例示的エレクトロポーレーションチャンバーの内面の少なくとも3点に接する最大の内接円の例を示す。
【図28】図28は、本発明の自動化エレクトロポーレーション装置の概略図を示す。
【図29】図29は、本発明の自動化エレクトロポーレーション装置の一実施形態を示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
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【図18】
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【図19】
18
【図20】
19
【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
28