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明細書 :歩行者信号用音響装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4714861号 (P4714861)
公開番号 特開2006-260406 (P2006-260406A)
登録日 平成23年4月8日(2011.4.8)
発行日 平成23年6月29日(2011.6.29)
公開日 平成18年9月28日(2006.9.28)
発明の名称または考案の名称 歩行者信号用音響装置
国際特許分類 G08G   1/095       (2006.01)
G08G   1/005       (2006.01)
G10K   9/12        (2006.01)
G10K   9/13        (2006.01)
FI G08G 1/095 F
G08G 1/005
G10K 9/12
G10K 9/13 102A
請求項の数または発明の数 1
全頁数 11
出願番号 特願2005-079609 (P2005-079609)
出願日 平成17年3月18日(2005.3.18)
審査請求日 平成20年3月6日(2008.3.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
発明者または考案者 【氏名】末田 統
個別代理人の代理人 【識別番号】100074354、【弁理士】、【氏名又は名称】豊栖 康弘
【識別番号】100104949、【弁理士】、【氏名又は名称】豊栖 康司
審査官 【審査官】▲高▼木 真顕
参考文献・文献 特開昭54-084499(JP,A)
特開2002-196765(JP,A)
実開平07-040312(JP,U)
特開平07-020877(JP,A)
特開2000-298058(JP,A)
特開平08-006573(JP,A)
特開平11-016084(JP,A)
特開昭59-231700(JP,A)
特開昭51-101499(JP,A)
調査した分野 G08G 1/00 - 1/16
G10K 9/00 - 9/22
特許請求の範囲 【請求項1】
横断歩道の歩行可信号を出力する発生回路と、発生回路から出力される歩行可信号を増幅するアンプと、アンプの出力側に接続されて、アンプの歩行可信号を歩行可音として横断歩道に出力するスピーカーと、アンプの入力側に接続され、かつ横断歩道の騒音レベルを検出して、検出した騒音レベルに基づいてスピーカーの出力を制御する音圧制御回路とを備える歩行者信号用音響装置であって、
音圧制御回路が、騒音レベル信号の平均レベルを検出する平均レベル検出回路と、騒音レベルの変化パターンを分析するパターン分析回路と、平均レベル検出回路及びパターン分析回路から出力される信号で、発生回路からアンプに入力される歩行可信号の信号レベルをコントロールする自動音量制御回路とを備え、
前記平均レベル検出回路にて求められた騒音レベル信号の平均レベルと、前記パターン分析回路にて識別された騒音レベル信号の変化パターンが自動音量制御回路に入力され、自動音量制御回路が、騒音レベル信号の変化パターンと騒音レベル信号の平均レベルから、騒音レベルに対するスピーカーの出力を変化し、
騒音レベルがピーク値に上昇する騒音ピークの発生率が高い高騒音パターンに比較して、騒音ピークの発生率が少ない低騒音パターンの状態において、騒音レベルに対するスピーカーの出力を小さく、かつ騒音レベル信号の平均レベルが大きいとスピーカーの出力を大きく、騒音レベル信号の平均レベルが小さいとスピーカーの出力を小さく制御するようにしてなる歩行者信号用音響装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚障害者のために、横断歩道にスピーカーから歩行可音を出力する歩行者信号用音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点には、視覚障害者のために、青信号を音で知らせる歩行者信号用音響装置を設けている。この装置は、青信号になると、スピーカーから横断歩道に歩行可音を出して信号が青であることを知らせている。この装置は、スピーカーから横断歩道に出す歩行可音の音圧レベルを周囲の騒音レベルよりも大きくする必要がある。それは、騒音レベルよりも歩行可音の音が小さい、いいかえると音圧レベルが低いと、歩行可音を明確に聞き取りできなくなるからである。ただ、騒音レベルよりも大きな歩行可音は、歩行者にはっきりと聞こえるが、周囲の住民にも聞こえる。この歩行可音は騒音レベルよりも大きいので、周囲の住民には大きな騒音となりかねない。また、歩行可音の音圧レベルを最大騒音レベルよりも大きい音圧レベルに設定すると、騒音レベルは常に一定でないため、騒音レベルが低いときに、大きな歩行可音は、周囲に住民にとって耳ざわりな騒音となる。
【0003】
この弊害を防止するために、騒音レベルによって歩行可音の大きさを変化させる技術が開発されている(特許文献1参照)。この歩行者信号用音響装置は、騒音レベルに基づいて、歩行可音をコントロールする。歩行可音は、騒音があっても歩行者に聞こえるように、騒音レベルよりも5~10デシベル大きな音としている。この装置は、騒音レベルが小さくなると、歩行可音も小さくなるので、騒音の少ない静かなときに、歩行可音が騒音となるのを少なくできる。
【0004】
しかしながら、この装置であっても、夜間の静かなときには歩行可音が周囲の住民の騒音となる。さらに、この弊害を防止するために、夜間に歩行可音を停止する技術が開発されている(特許文献2参照)。また、歩行可音の周波数を、騒音の周波数帯域と異なる音とする技術も開発されている(特許文献3参照)。

【特許文献1】特開昭52-109900号公報
【特許文献2】特開昭56-129999号公報
【特許文献3】特開平01-239699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
夜間にスピーカーから出力する歩行可音を停止する装置は、歩行可音に起因する夜間の騒音を皆無にできる。しかしながら、この装置は、夜間に視覚障害者が横断歩道を渡ることができないという、信号機として大きな欠点がある。とくに、人通りの少ない夜間は、視覚障害者を案内する人が少ないため、視覚障害者にとって夜間に歩行可音を停止することが、信号機の機能を失うことに等しい。
【0006】
また、歩行可音の周波数を騒音の周波数帯域と異なる周波数とする装置は、歩行可音を小さくして、騒音から歩行可音を識別できる。それは、人間の耳が有する独特の特性であるマスク効果を有効に利用するからである。マスク効果は、大きさが異なるふたつの音を一緒に聞くと、大きな音が小さい音をマスクして聞き取りできなくなることである。とくに、この効果は、聞く人が心理的に聞き難くなるのではなくて、大きな音を聞くときには、耳の感度が自動的に悪くなって、小さい音を全く聞き取りできなくする効果である。マスク効果は、ふたつの音の周波数が同じであると、大きい音は小さい音を特に聞き取り難くする。しかしながら、ふたつの音の周波数が異なるときは、大きい音が小さい音を聞き取り難くする作用が少なく、小さい音と大きい音の音圧レベルの差が大きいときに限って、小さい音が聞き取りできなくなる。このため、歩行可音の周波数を、騒音レベルの周波数帯域と異なる周波数とする装置は、騒音が歩行可音を聞こえ難くする作用が小さく、すなわち、騒音が歩行可音をマスクすることが少ない。このため、音圧レベルの低い歩行可音が騒音によりマスクされることが少なく、歩行可音を小さくできる。この装置は原理的には、騒音に起因する歩行可音を小さくできる。しかしながら、騒音はその周波数帯域が極めて広いので、歩行可音の周波数を騒音の周波数帯域外に設定するのは難しい。また、騒音に含まれない周波数の歩行可音は、人間の耳の感度が高い、たとえば1~3kHzの周波数成分に設定できないために、視覚障害者が明確に聞き取りするのが難しくなる欠点がある。このため、現実には、マスク効果を利用しても歩行可音の音圧レベルをそれほど大きく低下できず、歩行可音が深夜に騒音となるのを有効には解決できない。
【0007】
本発明は、この欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、歩行可音を明確に聞き取りできるようにしながら、夜間の静かなときに歩行可音が周囲に騒音となるのを有効に防止できる歩行者信号用音響装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1の歩行者信号用音響装置は、横断歩道の歩行可信号を出力する発生回路と、発生回路から出力される歩行可信号を増幅するアンプと、アンプの出力側に接続されて、アンプの歩行可信号を歩行可音として横断歩道に出力するスピーカーと、アンプの入力側に接続され、かつ横断歩道の騒音レベルを検出して、検出した騒音レベルに基づいてスピーカーの出力を制御する音圧制御回路とを備える。
【0009】
音圧制御回路は、騒音レベル信号の平均レベルを検出する平均レベル検出回路と、騒音レベルの変化パターンを分析するパターン分析回路と、平均レベル検出回路及びパターン分析回路から出力される信号で、発生回路からアンプに入力される歩行可信号の信号レベルをコントロールする自動音量制御回路とを備え、平均レベル検出回路にて求められた騒音レベル信号の平均レベルと、パターン分析回路にて識別された騒音レベル信号の変化パターンが自動音量制御回路に入力され、自動音量制御回路が、騒音レベル信号の変化パターンと騒音レベル信号の平均レベルから、騒音レベルに対するスピーカーの出力を変化させる。
騒音レベルがピーク値に上昇する騒音ピークの発生率が高い高騒音パターンに比較して、騒音ピークの発生率が少ない低騒音パターンの状態において、騒音レベルに対するスピーカーの出力を小さく、かつ騒音レベル信号の平均レベルが大きいとスピーカーの出力を大きく、騒音レベル信号の平均レベルが小さいとスピーカーの出力を小さく制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の歩行者信号用音響装置は、歩行可音を明確に聞き取りできるようにしながら、夜間の静かなときに歩行可音が周囲に騒音となるのを有効に防止できる。それは、昼間の騒がしいときには、騒音レベルよりも歩行可音を大きくして、歩行可音を聞き取りやすくし、夜間の静かなときであって、歩行可音を聞き取りやすいときには、騒音レベルに対する歩行可音を小さくするからである。
【0013】
図1は、マスク効果を示す実験結果の例である。この図の実線Aは、400Hz、80dBの純音があるとき、他の純音の可聴限界がどのようになるかを示している。鎖線Bは410Hzを中心とした幅の狭い周波数帯域の80dBの雑音があるときの純音の可聴限界を示す。図の実線A及びBよりも大きい音はマスクされずに聞き取りできるが、小さい音はマスクされて聞き取りできなくなる。この図から明らかなように、純音に対して周波数帯域の広い雑音は、マスク効果が大きく、この図において、純音に対して周波数帯域のある雑音は、20dBの大きい音をマスクして聞こえなくする。昼間の騒がしい騒音は種々の雑音成分が混合されて雑音の周波数帯域が広く、夜間の静かな騒音は雑音源が少ないために周波数帯域が狭くなる。このことから、夜間の騒音はマスク効果が少なく、昼間の騒音はマスク効果が大きくなる。本発明はこのような人間の耳に独得の特性を有効に利用して、夜間においては、歩行者には歩行可音を明瞭に聞き取りできるようにしながら、付近の住民の騒音にならない音圧レベルに歩行可音を小さくする。すなわち、夜間の静かなときには、昼間に比較して、歩行可音の音圧レベルを騒音レベルの平均レベルよりも小さくして、歩行可音をスピーカーから出力する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための歩行者信号用音響装置を例示するものであって、本発明は歩行者信号用音響装置を以下のものに特定しない。
【0015】
図2に示す歩行者信号用音響装置は、横断歩道の歩行可信号を出力する発生回路と、発生回路から出力される歩行可信号を増幅するアンプと、アンプの歩行可信号を歩行可音として横断歩道に出力するスピーカーと、横断歩道の騒音レベルを検出して、検出した騒音レベルに基づいてスピーカーの出力を制御する音圧制御回路とを備える。
【0016】
発生回路は、スピーカーから再生されて歩行可音となる歩行可信号を音圧制御回路に出力する。この発生回路は、PSG(Programable Sound Generator)音源回路、あるいは、特定の基本周波数を周波数変調するFM(Frequency Modulation)音源回路、あるいは、複数の発振回路から出力される信号をミキシングして出力する回路等で、歩行可信号を合成して出力する回路である。発生回路から出力される歩行可信号は、たとえば、効果音や固定メロディーとすることができる。さらに、交差点等の向きが異なる複数の横断歩道に配設される歩行者信号用音響装置においては、発生回路から出力される歩行可信号のパターンや周期、音色等を横断歩道の方向に応じて変更することができ、これにより、青信号である横断歩道を正確に認識することができる。
【0017】
アンプは、発生回路から入力される歩行可信号を増幅して、スピーカに出力するもので、出力信号を電圧増幅するプリアンプと、プリアンプから出力される歩行可信号を電力増幅してスピーカーを駆動するパワーアンプからなる。
【0018】
スピーカーは、アンプから出力される電気信号の歩行可信号を歩行可音に変換して横断歩道に向かって出力する。スピーカーは、横断歩道の両端の上方に配置される。さらに、スピーカーは、横断歩道の両端から対向する側に向かって配置することができ、これにより、横断中の歩行者にも聞こえやすく歩行可信号を出力することができる。スピーカーは、横断歩道に向かって歩行可音を出力するように指向性をコントロールして、低い音圧レベルで横断歩道の歩行者に歩行可音を聞こえやすくできる。
【0019】
音圧制御回路は、発生回路とアンプとの間に接続されて、発生回路から出力される歩行可信号の信号レベルを制御して、信号レベルを制御した歩行可信号をアンプに出力する回路である。図2の音圧制御回路は、横断歩道の騒音レベルを検出して騒音レベル信号を出力する騒音計と、この騒音計から出力される騒音レベル信号から、騒音レベル信号の平均レベルを検出する平均レベル検出回路と、騒音レベル信号の変化パターンを検出するパターン分析回路と、平均レベル検出回路及びパターン分析回路から出力される信号で、発生回路からアンプに入力される歩行可信号の信号レベルをコントロールする自動音量制御回路とを備える。
【0020】
騒音計は、横断歩道の近傍に配設されて、横断歩道の騒音レベルをマイクで検出する。騒音計は検出した騒音レベルを、騒音レベル信号として、平均レベル検出回路およびパターン分析回路に出力する。
【0021】
平均レベル検出回路は、騒音計から出力される騒音レベル信号を積分して、騒音レベル信号の平均レベルを検出する。パターン分析回路は、騒音計から出力される騒音レベル信号の単位時間におけるピーク回数をカウントして、騒音レベル信号の変化パターンを判別する。パターン分析回路は、騒音レベル信号から、騒音ピークの発生率が少ない低騒音パターンと、騒音ピークの発生率が高い高騒音パターンとに判別する。図3に、夜間の騒音レベルパターンの時間経過の一例を示し、図4に、昼間の騒音レベルパターンの時間経過の一例を示す。たとえば、騒音ピークの発生率が少ない低騒音パターンには、図3の騒音レベルパターンが該当し、騒音ピークの発生率が高い高騒音パターンには、図4の騒音レベルパターンが該当する。
【0022】
また、音圧制御回路はアナログ回路およびデジタル回路にて実現でき、検出した騒音レベルに基づいてスピーカから出される歩行可音の出力をコントロールする処理を、たとえば、以下のように行う。
【0023】
騒音計では、検出する騒音レベル信号を、内蔵するA/Dコンバータによって所定のサンプリング時間、たとえば50ms毎にA/D変換してデジタル信号として出力し、あるいはデジタル信号に変換することなく、アナログ信号として出力する。騒音計から出力される騒音レベル信号は、平均レベル検出回路とパターン分析回路に入力される。デジタル処理する平均レベル検出回路は、デジタル信号の騒音レベル信号を一定周期において積分し、その積分値を積分期間にて割り算することにより、騒音レベル信号の平均レベルを求める。アナログ処理する平均レベル検出回路は、入力される騒音レベル信号をローパスフィルターに通過させて、騒音レベル信号の平均レベルを検出する。
【0024】
パターン分析回路は、騒音レベル信号の一定周期における騒音ピーク数をカウントする。パターン分析回路は、一定周期における騒音ピーク数により、騒音レベルの変化パターンを識別する。パターン分析回路は、一定周期における騒音ピーク数が設定回数よりも少ないときは「低騒音パターンA」と判定し、騒音ピーク数が設定回数よりも多いときは「高騒音パターンB」と判定する。騒音ピーク数をカウントする周期は、たとえば30分とする。ただし、この周期は10~60分とすることもできる。低騒音パターンAと高騒音パターンBを判定する騒音ピークの設定回数は、周期により変化するが、たとえば、周期を30分とする場合40カウントとする。ただし、30分における設定回数は、20~50カウントとすることもできる。
【0025】
デジタル回路のパターン分析回路は、騒音レベルを設定値に比較して騒音レベルが70dB以上であり、かつ、所定のサンプリング周期で出力される騒音レベルを前回と次回とで比較して、騒音レベルが大きくなって上昇した後、小さくなって下降するときをピークと判定する。
【0026】
アナログ回路のパターン分析回路は、入力される騒音レベル信号から、設定レベル以上の信号、たとえば75dB以上をスライサー回路で切り取って出力する。スライサー回路の出力を波形成形回路で矩形波に整形し、整形された矩形波を微分回路で微分して、パルス信号を出力し、プラスのパルス信号をカウントし、あるいはプラスのパルス信号を単安定マルチバイブレータのトリガー信号として単安定マルチバイブレータで一定の時間幅のパルスを出力させ、単安定マルチバイブレータの出力パルスを積分回路で積分して、パルス数に比例した出力電圧を出力させる。積分回路の出力電圧を比較回路で設定電圧に比較し、積分回路の出力電圧が設定電圧よりも低いときは低騒音パターンA、設定電圧よりも高いときは高騒音パターンBと判定する。
【0027】
平均レベル検出回路にて求められた騒音レベル信号の平均レベルと、パターン分析回路にて識別された騒音レベル信号の変化パターンは自動音量制御回路に入力される。自動音量制御回路は、騒音レベル信号の変化パターンと騒音レベル信号の平均レベルから、騒音レベルに対するスピーカーの出力を変化させる。スピーカーの出力は、騒音レベルで制御され、騒音レベル信号の平均レベルが大きいとスピーカーの出力を大きく、騒音レベル信号の平均レベルが小さいとスピーカーの出力を小さくする。さらに、自動音量制御回路は、騒音レベル信号の平均レベルのみでなく、騒音レベル信号の変化パターンによっても、スピーカーの出力を変化させ、騒音レベル信号の平均レベルが同じであっても、騒音レベル信号の変化パターンが低騒音パターンAのときには、高騒音パターンBよりもさらにスピーカーの出力を小さくする。たとえば、騒音レベル信号の平均レベルが同じであっても、低騒音パターンAのときのスピーカーの出力は、高騒音パターンBのときのスピーカーの出力よりも-6dB小さくする。ただし、自動音量制御回路は、低騒音パターンAにおけるスピーカーの出力を、高騒音パターンBにおけるスピーカーの出力よりも、-3~-20dB小さくすることもできる。
【0028】
図5に示す歩行者信号用音響装置の自動音量制御回路は、第1と第2のかけ算器を備える。第1と第2のかけ算器は、ふたつの入力を有し、入力される信号をかけ算して出力する。第1のかけ算器は、平均レベル検出回路の出力とパターン分析回路の出力を入力する。パターン分析回路は、低騒音パターンAと高騒音パターンBとで出力する電圧を変化させる。低騒音パターンAのときの出力を高騒音パターンBの出力よりも低くする。たとえば、低騒音パターンAの出力電圧を、高騒音パターンBの出力電圧の1/2~1/10とする。ただし、低騒音パターンAの出力電圧は、高騒音パターンBの出力電圧の1/1.414~1/100とすることができる。低騒音パターンAのときと、高騒音パターンBのときにおけるスピーカーの出力の比は、低騒音パターンAと高騒音パターンBの出力電圧の比により特定できる。
【0029】
第1のかけ算器は、一方の入力にパターン分析回路からの信号が入力され、他方の入力に平均レベル検出回路からの信号が入力される。したがって、第1のかけ算器は、平均レベル検出回路から出力される騒音レベル信号の平均レベルを、パターン分析回路から出力される電圧で変化させる。たとえば、パターン分析回路が、低騒音パターンAのときに1/5Vの電圧を出力し、高騒音パターンBのときに1Vの電圧を出力するとすれば、第1のかけ算器は、低騒音パターンAとのときは、騒音レベル信号の平均レベルを1/5とした信号を出力し、高騒音パターンBのときは騒音レベル信号の平均レベルに等しい電圧を出力する。
【0030】
第2のかけ算器は、一方の入力に第1のかけ算器の出力を入力し、他方の入力に発生回路から出力される歩行可信号を入力する。したがって、第2のかけ算器は、歩行可信号と第1のかけ算器の出力とをかけ算した信号レベルの歩行可信号が出力される。たとえば、低騒音パターンAにおいて、第1のかけ算器は、騒音レベル信号の平均レベルの1/5の信号が出力され、高騒音パターンBにおいては、第1のかけ算器は騒音レベル信号の平均レベルの信号が出力される。したがって、第2のかけ算器は、低騒音パターンAにおいては、歩行可信号と騒音レベル信号の平均レベルとの積に1/5をかけた信号レベルの歩行可信号を出力する。高騒音パターンBにおいては、歩行可信号と騒音レベル信号の平均レベルとの積に1をかけた信号レベルの歩行可信号を出力する。したがって、騒音レベル信号の平均レベルが同じであっても、低騒音パターンAのときのスピーカーの出力は、高騒音パターンBのときにスピーカーの出力の1/5となる。現実には、低騒音パターンAの騒音レベル信号の平均レベルが高騒音パターンBの騒音レベル信号の平均レベルよりも小さく、仮に低騒音パターンAが高騒音パターンBの平均レベルの1/10とすれば、低騒音パターンAにおいてスピーカーから出力される歩行可信号は、高騒音パターンBの1/50と極めて小さくなる。
【0031】
以上の自動音量制御回路は、2組のかけ算器で歩行可信号の信号レベルを、騒音レベル信号の平均レベルと騒音レベル信号の変化パターンとで制御するが、本発明の自動音量制御回路はデジタル演算回路で実現することもできる。このデジタル演算回路にて実現される自動音量制御回路は、入力される歩行可信号と、平均レベルと、騒音パターンを演算して、歩行可信号の信号レベルを特定する。
【0032】
図6に示す歩行者信号用音響装置は、音圧制御回路に、横断歩道の騒音レベルを検出して騒音レベル信号を出力する騒音計と、この騒音計から出力される騒音レベル信号から、騒音レベル信号の平均レベルを検出する平均レベル検出回路と、時間帯により異なる信号を発生する24時間タイマーと、平均レベル検出回路及び24時間タイマーから出力される信号で、発生回路からアンプに入力される歩行可信号の信号レベルをコントロールする自動音量制御回路とを備える。ただし、この装置は本発明の実施例にかかるものではない。
【0033】
24時間タイマーは、時間帯により異なる信号を発生する回路であり、24時間タイマーは、24時間を、たとえば午後9.00時から午前6.00時までを夜間と、その他の時間帯である昼間とに判別し、判別した時間帯毎に異なる信号を発生する。ただし、夜間の時間帯は、横断歩道の場所によっては、開始時間を午後7.00時~10.00時とすることもでき、終了時間を午前4.00時~8.00時とすることができる。24時間タイマーは、時間帯により異なる信号を自動音量制御回路に出力して、スピーカから出力される歩行可音の音圧レベルをコントロールすることができる。
【0034】
24時間タイマーは、時間帯によって自動音量制御回路への出力を変化させる。24時間タイマーは、アナログ回路およびデジタル回路にて実現できる。デジタル回路の24時間タイマーは、昼間、夜間の時間帯を区別して、昼間、夜間で異なる信号を自動音量調整回路に出力する。アナログ回路の24時間タイマーは、昼間と夜間の時間帯によって、自動音量制御回路へ出力する電圧を変化させる。たとえば、24時間タイマーが、夜間の時に1/5Vの電圧を出力し、昼間の時に1Vの電圧を出力する。
【0035】
図6に示す歩行者信号用音響装置において、平均レベル検出回路にて求められた騒音レベル信号の平均レベルと、24時間タイマーにて発生した、昼夜と夜間の時間帯とを区別する信号は自動音量制御回路に入力される。自動音量制御回路は、騒音レベル信号の変化パターンと昼夜と夜間の時間帯とを区別する信号から、騒音レベルに対するスピーカーの出力を変化させる。スピーカーの出力は、騒音レベルで制御され、騒音レベル信号の平均レベルが大きいとスピーカーの出力を大きく、騒音レベル信号の平均レベルが小さいとスピーカーの出力を小さくする。さらに、自動音量制御回路は、騒音レベル信号の平均レベルのみでなく、24時間タイマーが発生する昼間と夜間の時間帯とを区別する信号によっても、スピーカーの出力を変化させ、騒音レベル信号の平均レベルが同じであっても、24時間タイマーが発生する昼間と夜間の時間帯とを区別する信号が夜間を示す信号であるときには、昼間と夜間の時間帯とを区別する信号が昼間を示す信号であるときよりもスピーカーの出力を小さくする。たとえば、騒音レベル信号の平均レベルが同じであっても、昼間と夜間の時間帯とを区別する信号が夜間を示す信号であるときのスピーカーの出力は、昼間と夜間の時間帯とを区別する信号が昼間を示す信号であるときのスピーカーの出力よりも-6dB小さくする。ただし、自動音量制御回路は、昼間と夜間の時間帯とを区別する信号が夜間を示す信号であるときのスピーカーの出力を、昼間と夜間の時間帯とを区別する信号が昼間を示す信号であるときのスピーカーの出力よりも、-3~-20dB小さくすることもできる。
【0036】
図7に示す歩行者信号用音響装置の自動音量制御回路は、第1と第2のかけ算器を備える。ただし、この装置も本発明の実施例に係るものではない。第1と第2のかけ算器は、ふたつの入力を有し、入力される信号をかけ算して出力する。第1のかけ算器は、平均レベル検出回路の出力と24時間タイマーの出力を入力する。24時間タイマーは、昼間の時間帯と夜間の時間帯とで出力する電圧を変化させる。夜間の時間帯の出力を、昼間の時間帯の出力よりも低くする。たとえば、夜間の時間帯の出力電圧を、昼間の時間帯の出力電圧の1/2~1/10とする。ただし、夜間の時間帯の出力電圧は、昼間の時間帯の出力電圧の1/1.414~1/100とすることができる。夜間の時間帯と、昼間の時間帯におけるスピーカーの出力の比は、夜間の時間帯と昼間の時間帯の出力電圧の比により特定できる。
【0037】
第1のかけ算器は、一方の入力に24時間タイマーからの信号が入力され、他方の入力に平均レベル検出回路からの信号が入力される。したがって、第1のかけ算器は、平均レベル検出回路から出力される騒音レベル信号の平均レベルを、24時間タイマーから出力される電圧で変化させる。たとえば、24時間タイマーが夜間の時間帯に1/5Vの電圧を出力し、昼間の時間帯に1Vの電圧を出力するとすれば、第1のかけ算器は、夜間の時間帯は、騒音レベル信号の平均レベルを1/5とした信号を出力し、昼間の時間帯は騒音レベル信号の平均レベルに等しい電圧を出力する。
【0038】
第2のかけ算器は、一方の入力に第1のかけ算器の出力を入力し、他方の入力に発生回路から出力される歩行可信号を入力する。したがって、第2のかけ算器は、歩行可信号と第1のかけ算器の出力とをかけ算した信号レベルの歩行可信号が出力される。たとえば、夜間の時間帯において、第1のかけ算器は、騒音レベル信号の平均レベルの1/5の信号が出力され、昼間の時間帯においては、第1のかけ算器は騒音レベル信号の平均レベルの信号が出力される。したがって、第2のかけ算器は、夜間の時間帯においては、歩行可信号と騒音レベル信号の平均レベルとの積に1/5をかけた信号レベルの歩行可信号を出力する。昼間の時間帯においては、歩行可信号と騒音レベル信号の平均レベルとの積に1をかけた信号レベルの歩行可信号を出力する。したがって、騒音レベル信号の平均レベルが同じであっても、夜間の時間帯のスピーカーの出力は、昼間の時間帯のスピーカー出力の1/5となる。現実には、夜間の時間帯の騒音レベル信号の平均レベルが昼間の時間帯の騒音レベル信号の平均レベルよりも小さく、仮に夜間の時間帯の平均レベルが昼間の時間帯の平均レベルの1/10とすれば、夜間の時間帯においてスピーカーから出力される歩行可信号は、昼間の時間帯の1/50と極めて小さくなる。
【0039】
以上の自動音量制御回路は、2組のかけ算器で歩行可信号の信号レベルを、騒音レベル信号の平均レベルと24時間タイマーの出力とで制御するが、本発明の自動音量制御回路はデジタル演算回路で実現することもできる。この自動音量制御回路は、入力される歩行可信号と、平均レベルと、24時間タイマーの出力を演算して、歩行可信号の信号レベルを特定する。
【0040】
なお、24時間タイマーにおける設定時刻は、昼と夜の二段階に区別することに限らず、交通量調査の結果をもとに、2段階以上の複数回に区別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】マスク効果を示す実験結果の例。
【図2】本発明の一実施例にかかる歩行者信号用音響装置のブロック図。
【図3】夜間における騒音レベルパターンの一例を示すグラフ。
【図4】昼間における騒音レベルパターンの一例を示すグラフ。
【図5】自動音量制御回路にかけ算器を用いた、本発明の一実施例にかかる歩行者信号用音響装置のブロック図。
【図6】音圧制御回路が24時間タイマーを備えており、この24時間タイマーでもって、騒音レベルに対するスピーカーの出力を変化するようにしてなる、歩行者信号用音響装置のブロック図。
【図7】音圧制御回路が24時間タイマーを備えており、この24時間タイマーでもって、騒音レベルに対するスピーカーの出力を変化するようにしてなり、かつ、自動音量制御回路にかけ算器を用いた、歩行者信号用音響装置のブロック図。
【符号の説明】
【0042】
1…発生回路
2…アンプ
3…スピーカー
4…音圧制御回路
5…騒音計
6…パターン分析回路
7…平均レベル検出回路
8…自動音量制御回路
9…第1のかけ算器
10…第2のかけ算器
11…24時間タイマー
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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