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明細書 :パッチアンテナ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3837553号 (P3837553)
公開番号 特開2005-051315 (P2005-051315A)
登録日 平成18年8月11日(2006.8.11)
発行日 平成18年10月25日(2006.10.25)
公開日 平成17年2月24日(2005.2.24)
発明の名称または考案の名称 パッチアンテナ
国際特許分類 H01Q  13/08        (2006.01)
H01P   5/08        (2006.01)
FI H01Q 13/08
H01P 5/08 Z
請求項の数または発明の数 6
全頁数 8
出願番号 特願2003-203108 (P2003-203108)
出願日 平成15年7月29日(2003.7.29)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 映像情報メディア学会技術報告 第27巻第6号(平成15年1月30日発行)第49-52頁に発表
審査請求日 平成15年7月29日(2003.7.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
発明者または考案者 【氏名】福迫 武
【氏名】久保▲崎▼ 満
【氏名】三田 長久
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
審査官 【審査官】緒方 寿彦
参考文献・文献 特表2003-509937(JP,A)
特開平09-199934(JP,A)
特開2005-079838(JP,A)
調査した分野 H01Q 13/08
H01P 5/08
特許請求の範囲 【請求項1】
給電線路と、地板と、パッチとをこの順序で各々の間に絶縁体を挟んで積層して具えるパッチアンテナにおいて、ダイオードをさらに具え、前記ダイオードのアノードを前記給電路の一方の端に接続し、前記ダイオードのカソードを接地し、前記地板は、互いにほぼ直交する向きに配置され各々の中心が前記給電線路に重なるように設けられた2つのスロットを有し、前記給電線路の前記一方の端から前記2つのスロットのうち一方の中心までの前記給電線路の長さが実行波長の約1/2であり、前記給電線路の前記一方の端から前記2つのスロットのうち他方の中心までの前記給電線路の長さが実行波長の約1/4であることを特徴とするパッチアンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のパッチアンテナにおいて、前記パッチが方形であり、前記2つのスロットが前記パッチの2辺とそれぞれ平行であることを特徴とするパッチアンテナ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパッチアンテナにおいて、前記配電線路が直線状であることを特徴とするパッチアンテナ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のパッチアンテナにおいて、前記配電線路が前記2つのスロット間でほぼ直角に曲がるL字型であることを特徴とするパッチアンテナ。
【請求項5】
請求項1に記載のパッチアンテナにおいて、前記パッチが、方形パッチの一組の対角をそれぞれ切り落とした形状であり、切り落とし面積を円偏波が発生するように選択したものであることを特徴とするパッチアンテナ。
【請求項6】
請求項1に記載のパッチアンテナにおいて、前記パッチが、円周上に2つの窪みを設けられた円形であり、前記2つの窪みを結ぶ直線が前記パッチの中心を通り、前記パッチ表面における前記2つの窪みの面積を円偏波が発生するように選択したものであることを特徴とするパッチアンテナ。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナに関し、特に、給電線路と、地板と、パッチ(放射素子)とをこの順序で各々の間に絶縁体を挟んで積層して具えるパッチアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
上述したようなパッチアンテナは、携帯電話に代表される小型携帯通信端末、アナログまたはディジタルによる無線画像伝送システム、無線LAN、家電ネットワーク等のような、高品質で高速な通信の実現のために偏波ダイバーシティ技術が必要な分野において使用される。
【0003】
電波は直交する電界と磁界の相互作用によって空間を伝播するが、このとき、電界が発生する面を偏波面という。電波の送受信の際には、この偏波を合わせることが原則である。電波の送受信にあたり直接波を使う限りは偏波のずれはほとんど生じないが、反射や回折等があると偏波面が変化することが知られている。
【0004】
近年高速に無線でデータを伝送する要求が高まっているが、特に都市部のような電波の回折、反射の多き場所においては、多重波伝播によるフェージングが起こり、高い通信品質が必要とされる高速データ伝送に大きく影響を及ぼすことが知られている。
【0005】
このような場合、2つの異なる偏波の内より良い通信ができる偏波のアンテナを選択的に使用する偏波ダイバーシティ技術が用いられる。切り替えの対象となる偏波は、直線偏波の垂直偏波と水平偏波の切り替えと、円偏波の右旋偏波と左旋偏波の切り替えである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記偏波ダイバーシティ技術を、例えば携帯端末で使用できるような1つの小型パッチアンテナで実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によるパッチアンテナは、ダイオードをさらに具え、前記ダイオードのアノードを前記給電路の一方の端に接続し、前記ダイオードのカソードを接地し、前記地板は、互いにほぼ直交する向きに配置され各々の中心が前記給電線路に重なるように設けられた2つのスロットを有し、前記給電線路の前記一方の端から前記2つのスロットのうち一方の中心までの前記給電線路の長さが実行波長の約1/2であり、前記給電線路の前記一方の端から前記2つのスロットのうち他方の中心までの前記給電線路の長さが実行波長の約1/4であることを特徴とする。このようにすれば、給電線路を介してダイオードに直流バイアス電圧を印加するか否かによってパッチに給電するスロットを選択することにより、偏波切り替えを行うことができる。
【0008】
本発明によるパッチアンテナの他の実施形態は、前記パッチが方形であり、前記2つのスロットが前記パッチの2辺とそれぞれ平行であることを特徴とする。このようにすれば、簡単な構成で垂直偏波と水平偏波とを切り替えることができるパッチアンテナを実現できる。
【0009】
本発明によるパッチアンテナのさらに他の実施形態は、前記配電線路が直線状であることを特徴とするパッチアンテナ。このようにすれば、配電線路の形状を最も単純にすることができる。
【0010】
本発明によるパッチアンテナのさらに他の実施形態は、前記配電線路が前記2つのスロット間でほぼ直角に曲がるL字型であることを特徴とする。このようにすれば、パッチに対するスロットの位置を選択する際の自由度を増すことができる。
【0011】
本発明によるパッチアンテナのさらに他の実施形態は、前記パッチが、方形パッチの一組の対角をそれぞれ切り落とした形状であり、切り落とし面積を円偏波が発生するように選択したものであることを特徴とする。このようにすれば、円偏波の右旋偏波と左旋偏波との切り替えが可能になる。
【0012】
本発明によるパッチアンテナのさらに他の実施形態は、前記パッチが、縮退分離法によって円偏波が発生するように構成された円形のパッチである特徴とする。このようにすれば、円偏波の右旋偏波と左旋偏波との切り替えが可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によるパッチアンテナの一実施形態の構造を示す上面図および側面図である。パッチアンテナ1は、マイクロストリップ線路等に代表される直線状の給電用平面型給電線路2と、地板4と、1辺の寸法がWの方形のパッチ6とを、絶縁体14および16を間に挟んで積層して具える。パッチアンテナ1は、平面型電線路2の一方の端aに接続されたダイオード8をさらに具える。地板4には、パッチ6の2辺とそれぞれ平行の2つのスロット10および12が設けられており、これらのスロットの各々の中心bおよびcは給電線路2上にあり、スロット10の中心bから平面型電線路2の端aまでの平面型電線路2の長さLは、実効波長の約1/2であり、スロット12の中心cから平面型電線路2の端aまでの平面型電線路2の長さLは、実効波長の約1/4である。
【0015】
図2は、本発明によるパッチアンテナの他の実施形態の構造を示す上面図および側面図である。パッチアンテナ21は、ほぼ直角に曲げられたL字型の給電用平面型給電線路22と、地板24と、1辺の寸法がWの方形のパッチ26とを、絶縁体34および36を間に挟んで積層して具える。パッチアンテナ21は、平面型電線路22の一方の端a´に接続されたダイオード28をさらに具える。地板24には、パッチ26の2辺とそれぞれ平行の2つのスロット30および32が設けられており、これらのスロットの各々の中心b´およびc´は平面型給電線路22上にあり、スロット30の中心b´から平面型電線路22の端a´までの平面型電線路22の長さLは、実効波長の約1/2であり、スロット32の中心c´から平面型電線路22の端a´までの平面型電線路22の長さLは、実効波長の約1/4である。本実施形態は、図1の実施形態においてスロット10と12の間の距離が実行波長の1/4に限定されるのに対して、平面型給電線路22の曲げかたをほぼ直角以外にすることによって、パッチ26におけるスロット30および32の位置を選択する自由度を増すことができるという利点を有する。
【0016】
図3は、図1のパッチアンテナにおける偏波の切り替えの原理を説明する線図である。パッチ6への給電に用いられるスロット10および12は、スロット10の中心が給電線路2においてその先端aから実効波長の2分の1に相当する距離だけ離れた点b上に、スロット12の中心が給電線路2においてその先端aから実効波長の4分の1に相当する距離だけ離れた点c上になるように配置される。一方において図3Aに示すように、伝送信号と同時にダイオード8の順方向に相当する直流バイアス電圧を給電線路2に印加すると、給電線路2の先端にあるダイオード8が導通し短絡する。これにより、模式的に図示したように給電線路2の先端から実効波長の1/2離れた点bにおいて電流が最大になるため、この点b上に中心があるスロット10によって磁界結合が生じ、パッチ6はスロット10によって給電される。このとき、給電線路2の先端aから実効波長の1/2離れた点c上では電流が最小になるため、この点c上に中心があるスロット12によっては磁界結合が生じず、スロット12からパッチ6への給電は行われない。他方において図3Bに示すように、前記直流バイアス電圧を給電線路2に印加しないと、給電線路2の先端aは開放になるため、模式的に図示したように給電線路2の先端aから実効波長の1/4離れた点c上で電流が最大になり、この点c上に中心があるスロット12によって磁界結合が生じ、パッチ6はスロット12によって給電される。このとき、給電線路2の先端aから実効波長の1/2離れた点b上では電流が最小になるため、この点b上に中心があるスロット10によっては磁界結合が生じず、スロット10からパッチ6への給電は行われない。このようにして、パッチ6への給電に用いる2個のスロット10および12を、1個のダイオード8に印加する直流バイアス電圧によって切り替えることができる。これら2個のスロット10および12は、互いにほぼ直交する向きにおいて配置されているため、パッチ6に給電するスロットを切り替えることによって水平偏波と垂直偏波とを切り替えることができる。図2のような実施形態の場合においても、同様の原理で水平偏波と垂直偏波とを切り替えることができる。
【0017】
図4は、このような本発明によるパッチアンテナの放射指向性を測定した実験結果を示すグラフである。図4Aは、給電線路に直流バイアス電圧を印加せず、給電線路の先端が開放されている場合の放射パターンである。図4Bは、給電線路に直流バイアス電圧を印加し、給電線路の先端が短絡されている場合の放射パターンである。それぞれ縦軸は相対的な出力をデシベルで表し、横軸は方位角を度で表す。これらのグラフ中で直線は垂直偏波、点線は水平偏波を表す。これらのグラフからわかるように、給電線路に直流バイアス電圧を印加するか否かで、垂直偏波と水平偏波とを切り替えることができる。
【0018】
図5は、本発明によるパッチアンテナのさらに他の実施形態の構成を示す上面図および側面図である。パッチアンテナ41は、マイクロストリップ線路等に代表される直線状の給電用平面型給電線路42と、地板44と、1辺の寸法がWの方形の一組の対角部分57および58を除去した形状をのパッチ46とを、絶縁体54および56を間に挟んで積層して具える。パッチの切り落とし部分57および58の面積を、縮退分離法によって円偏波が発生するように決定する。パッチアンテナ41は、平面型電線路42の一方の端dに接続されたダイオード48をさらに具える。地板44には、パッチ46の2辺とそれぞれ平行の2つのスロット50および52が設けられており、これらのスロットの各々の中心eおよびfは給電線路42上にあり、スロット50の中心eから平面型電線路42の端dまでの平面型電線路42の長さLは、実効波長の約1/2であり、スロット52の中心fから平面型電線路42の端eまでの平面型電線路42の長さLは、実効波長の約1/4である。スロット50および52のいずれを平面型電線路42の給電に使用するかを、図1の実施形態と同様に、平面型電線路42を経てダイオード48に直流バイアス電圧を印加するか否かで選択することができる。本実施形態においては、このようにして平面型電線路42に給電するスロットを切り替えることにより、右旋偏波と左旋偏波とを切り替えることができる。
【0019】
図6は、本発明によるパッチアンテナのさらに他の実施形態の構成を示す上面図および側面図である。パッチアンテナ61は、マイクロストリップ線路等に代表される直線状の給電用平面型給電線路62と、地板64と、半径がRで互いを結んだ直線が円の中心となるような円周上の位置に2つの窪み77および78を有する円形のパッチ66とを、絶縁体74および76を間に挟んで積層して具える。窪み77および78の面積を、縮退分離法によって円偏波が発生するように決定する。パッチアンテナ61は、平面型電線路62の一方の端d´に接続されたダイオード68をさらに具える。地板64には、前記2つの窪み77および78を結んだ直線と直交する直線が直角を構成しない辺である直角二等辺三角形の他の2辺とそれぞれ平行の2つのスロット70および72が設けられており、これらのスロットの各々の中心e´およびf´は給電線路62上にあり、スロット70の中心e´から平面型電線路62の端d´までの平面型電線路62の長さLは、実効波長の約1/2であり、スロット72の中心f´から平面型電線路62の端d´までの平面型電線路62の長さLは、実効波長の約1/4である。スロット70および72のいずれを平面型電線路62の給電に使用するかを、図1の実施形態と同様に、平面型電線路62を経てダイオード72に直流バイアス電圧を印加するか否かで選択することができる。本実施形態においては、このようにして平面型電線路62に給電するスロットを切り替えることにより、右旋偏波と左旋偏波とを切り替えることができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、従来よく知られている設計方法を使用して、従来と同様の構造のパッチを使用することができるため放射特性への影響が少なく、使用するダイオードが1個だけでよい、偏波切り替えができる小型パッチアンテナを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Aは本発明によるパッチアンテナの一実施形態の構成を示す上面図であり、Bはその側面図である。
【図2】 Aは本発明によるパッチアンテナの他の実施形態の構成を示す上面図であり、Bはその側面図である。
【図3】 AおよびBは図1のパッチアンテナにおける偏波の切り替えの原理を説明する線図である。
【図4】 本発明によるパッチアンテナの放射指向性を測定した実験結果を示すグラフである。
【図5】 Aは本発明によるパッチアンテナのさらに他の実施形態の構成を示す上面図であり、Bはその側面図である。
【図6】 Aは本発明によるパッチアンテナのさらに他の実施形態の構成を示す上面図であり、Bはその側面図である。
【符号の説明】
1、21、41、61 パッチアンテナ
2、22、42、62 平面型給電線路
4、24、44、64 地板
6、26、46、66 パッチ
8、28、48、68 ダイオード
10、12、30、32、50、52、70、72 スロット
14、16、34、36、54、56、74、76 絶縁体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5