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明細書 :摩擦試験装置及び摩擦試験方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4200216号 (P4200216)
公開番号 特開2005-331280 (P2005-331280A)
登録日 平成20年10月17日(2008.10.17)
発行日 平成20年12月24日(2008.12.24)
公開日 平成17年12月2日(2005.12.2)
発明の名称または考案の名称 摩擦試験装置及び摩擦試験方法
国際特許分類 G01N  19/02        (2006.01)
FI G01N 19/02 C
請求項の数または発明の数 6
全頁数 22
出願番号 特願2004-147977 (P2004-147977)
出願日 平成16年5月18日(2004.5.18)
審査請求日 平成18年10月4日(2006.10.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
発明者または考案者 【氏名】藤井 雄作
【氏名】山口 誉夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279、【弁理士】、【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】▲高▼見 重雄
参考文献・文献 特開2000-283873(JP,A)
特開平10-062273(JP,A)
実開平05-014876(JP,U)
特許第2725682(JP,B2)
調査した分野 G01N 19/02
特許請求の範囲 【請求項1】
ガイド部に沿って移動可能に該ガイド部に取付けられると共に第1の被測定物が取り付け可能な可動部と、
前記可動部に取り付けられた前記第1の被測定物に押圧される第2の被測定物を取り付けるための取り付け部材と、
前記可動部に固定された反射部材及び該反射部材に光を入射させる光源を備え、前記可動部に取付けられた第1の被測定物と前記取り付け部材に取付けられた第2の被測定物とを押圧させた状態で、前記反射部材、前記可動部、及び前記第1の被測定物を一体とした物体が前記第2の被測定物に対して相対移動したときの該反射部材からの反射光の状態変化を検出する光波干渉計と、
前記光波干渉計で検出された反射光の状態変化に基づいて、前記物体の変位速度を検出し、検出した前記変位速度から前記物体の加速度を検出し、検出した前記加速度に基づいて検出される前記物体の慣性力を、前記第1の被測定物と前記第2の被測定物との間に作用する摩擦力として検出する物理量検出手段と、
を含む摩擦試験装置。
【請求項2】
第1のガイド部に沿って移動可能に該第1のガイド部に取付けられると共に第1の被測定物が取り付け可能な第1の可動部と、
前記第1のガイド部に対して並列配置された第2のガイド部に沿って移動可能に該第2のガイド部に取付けられると共に前記第1の被測定物に押圧される第2の被測定物が取り付け可能な第2の可動部と、
前記第1の可動部に固定された第1の反射部材及び該第1の反射部材に光を入射させる第1の光源を備え、前記第1の可動部に取付けられた第1の被測定物と前記第2の可動部に取付けられた第2の被測定物とを押圧させた状態で、前記第1の反射部材、前記第1の可動部、及び前記第1の被測定物を一体とした第1の物体が前記第2の被測定物に対して相対移動したときの該第1の反射部材からの反射光の状態変化を検出する第1の光波干渉計と、
前記第2の可動部に固定された第2の反射部材及び該第2の反射部材に光を入射させる第2の光源を備え、前記第1の可動部に取付けられた第1の被測定物と前記第2の可動部に取付けられた第2の被測定物とを押圧させた状態で、前記第2の反射部材、前記第2の可動部、及び前記第2の被測定物を一体とした第2の物体が前記第1の被測定物に対して相対移動したときの該第2の反射部材からの反射光の状態変化を検出する第2の光波干渉計と、
前記第1の光波干渉計及び前記第2の光波干渉計の少なくとも一方で検出された反射光の状態変化に基づいて、前記第1の物体及び前記第2の物体の少なくとも一方の物体の変位速度を検出し、検出した前記変位速度から前記物体の加速度を検出し、検出した前記加速度に基づいて検出される前記物体の慣性力を、前記第1の被測定物と前記第2の被測定物との間に作用する摩擦力として検出する物理量検出手段と、
を含む摩擦試験装置。
【請求項3】
前記第2の可動部に該第2の可動部に対して移動可能な第3の可動部を設け、前記第2の可動部に該第3の可動部を介して前記第2の被測定物を取り付け可能とした請求項2記載の摩擦試験装置。
【請求項4】
前記第2の被測定物に作用する押圧力を検出する押圧力検出手段を更に設け、
前記物理量検出手段によって、前記摩擦力を検出すると共に、前記押圧力検出手段によって検出された押圧力に対する前記第1の被測定物と前記第2の被測定物との間に作用する摩擦力の比で表される摩擦係数を検出する請求項1~請求項3のいずれか1項記載の摩擦試験装置。
【請求項5】
前記物理量検出手段は、前記摩擦力を検出すると共に、検出した前記変位速度から前記物体の基準位置を基準とした変位を検出する請求項1~請求項4のいずれか1項記載の摩擦試験装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1項記載の摩擦試験装置を用いた摩擦試験方法であって、
ガイド部に沿って移動可能に設けられた錘体に前記第1の被測定物を取付けると共に前記錘体に取り付けられた第1の被測定物に前記第2の被測定物を押圧し、
前記第1の被測定物に前記第2の被測定物を押圧した状態で前記第1の被測定物及び前記錘体を一体とした物体を移動させ、
該物体を移動させたときの該物体の慣性力を、前記第1の被測定物と前記第2の被測定物との間に作用する摩擦力として検出する摩擦試験方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦試験装置及び摩擦試験方法にかかり、特に、慣性力または慣性モーメントを用いて摩擦力等の摩擦に関する物理量を検出する摩擦試験装置及び摩擦試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、直動軸受のガイド部に支持された可動部を力センサに衝突させ、その間の速度変化から力センサに作用した真の力を推定することで、力センサの衝撃応答の評価を行なう評価装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、一対の回転ドラムに懸架された無端ベルトの外面に試料ホルダに保持された試料を押し当てて無端ベルトを回転させ、ロードセル等の力センサを用いて試料ホルダに作用する力を検出して、摩擦状態を検出する方法が知られている(特許文献2)。
【0004】
そして、リニアモータにより駆動されるスライダに第1の試料を固定すると共に第1の試料の上に第2の試料を載置し、第2の試料の上に錘を載置した状態で、リニアモータを駆動させ、リニアモータのモータ電流値とリニアモータの推力定数から推力を求め、この推力を静摩擦力とする摩擦力測定装置が知られている(特許文献3)。この摩擦力測定装置では、リニアモータを定速で駆動し、リニアモータの電流-推力特性からモータ電流値に応じた推力を求め、この推力を動摩擦力としている。また、リニアエンコーダによりスライダの移動量を検出している。

【特許文献1】特開2000-283873号公報
【特許文献2】特開2001-174400号公報
【特許文献3】特開平10-62273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は力センサの衝撃応答の評価装置に関するものであり、特許文献2の技術については、静的な力に対する力センサの検出出力の較正手法(静的較正法)については確立されているが、力センサに動的な力が作用した場合には、力の変化に対する検出出力の応答遅れ等の現象を生じ、力センサの検出出力を静的較正法で較正しても、動的な力を正確に計測することはできない。従って、被測定物(試料)間に作用する摩擦力が変化した場合には、その摩擦力を力センサで計測しても、計測精度を確保できず、被測定物間の摩擦特性を示す物理量を正確に検出することが困難である、という問題があった。
【0006】
そして、特許文献3の技術では、動摩擦力を計測するためには、予めリニアモータの電流-推力特性を求めておく必要があると共に、細長い形状のリニアモータやリニアスライダを用いているため、ずれやゆがみが生じ易く、個精度良くが摩擦力を検出するのが困難である、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、力センサを用いることなく被測定物間の摩擦特性を示す摩擦力等の摩擦に関する物理量を動的な状態でも正確に検出することができる摩擦試験装置及び摩擦試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の摩擦試験装置は、ガイド部に沿って移動可能に該ガイド部に取付けられると共に第1の被測定物が取り付け可能な可動部と、前記可動部に取り付けられた前記第1の被測定物に押圧される第2の被測定物を取り付けるための取り付け部材と、前記可動部に固定された反射部材及び該反射部材に光を入射させる光源を備え、前記可動部に取付けられた第1の被測定物と前記取り付け部材に取付けられた第2の被測定物とを押圧させた状態で、前記反射部材、前記可動部、及び前記第1の被測定物を一体とした物体が前記第2の被測定物に対して相対移動したときの該反射部材からの反射光の状態変化を検出する光波干渉計と、前記光波干渉計で検出された反射光の状態変化に基づいて、前記物体の変位速度を検出し、検出した前記変位速度から前記物体の加速度を検出し、検出した前記加速度に基づいて検出される前記物体の慣性力を、前記第1の被測定物と前記第2の被測定物との間に作用する摩擦力として検出する物理量検出手段と、を含んで構成したものである。
【0009】
本発明では、可動部に取付けられた第1の被測定物と取り付け部材に取付けられた第2の被測定物とを押圧させた状態で、反射部材、可動部、及び第1の被測定物を一体とした物体を第2の被測定物に対して相対移動させ、そのときの反射部材からの反射光の状態変化を光波干渉計で検出する。そして、光波干渉計で検出された反射光の状態変化に基づいて、物体の変位速度を検出し、検出した変位速度から物体の加速度を検出し、検出した加速度に基づいて検出される物体の慣性力を、第1の被測定物と第2の被測定物との間に作用する摩擦力として検出する。
【0010】
ここで、反射部材、可動部、及び第1の被測定物を一体とした物体を第2の被測定物に対して相対移動させると、第1の被測定物から第2の被測定物に作用する力と第2の被測定物から第1の被測定物に作用する力とは、作用・反作用の法則により、大きさが等しい逆向きの力になる。そして、ガイド部と可動部との間に作用する内部摩擦力及び空気抵抗等の外力が無視できる条件下では、上記物体の慣性力は、2つの被測定物間に作用する摩擦力と等しい大きさになる。このため、慣性力を検出することにより、第1の被測定物と第2の被測定物との間に作用する摩擦に関する物理量としての摩擦力を高精度に検出することができる。
【0011】
この物体の慣性力は、物体の質量と加速度との積に等しいので、物体の変位速度を光波干渉計により検出し、検出した変位速度を微分すれば物体の加速度を正確に検出することができ、この加速度と物体の質量とから物体の慣性力を正確に検出することができる。
【0012】
本発明では、摩擦に関する物理量として、第1の被測定物と第2の被測定物との間に作用する摩擦力の他、物体の基準位置を基準とした変位を検出することができる。光波干渉計で検出した物体の変位速度を積分することにより物体の変位を検出するようにすれば、物体の変位を計測する計測手段を別途設ける必要がなくなるので、コスト的にも有利になる。
【0013】
本発明によれば、力センサを用いていないので、変動する摩擦に関する物理量の計測精度を力センサを用いた従来方法に比較し飛躍的に向上させることができる。
【0014】
本発明の可動部は、その運動が1自由度に制限されるように、静圧空気直動軸受や磁気直動軸受等の直動軸受で支持することが望ましい。静圧空気直動軸受は、高い運動精度(運動軸以外の5軸に関する高い安定性)と小さな摩擦という2つの大きな特徴を有している。この2つの特徴を持つ静圧空気直動軸受を用いれば、物体に作用する摩擦力を極力小さくして物体の慣性力と被測定物間に作用する摩擦力との偏差を極めて小さな値に減少できると共に、2つの被測定物の相対運動の精度(摩擦測定を高精度に行うためには、2つの被測定物の相対運動の幾何学的精度も、非常に重要である。)を高めることが可能となり、計測精度を向上することができる。
【0015】
本発明では、前記第2の被測定物に作用する押圧力を検出する押圧力検出手段を更に設け、前記物理量検出手段によって、摩擦力を検出すると共に、前記押圧力検出手段によって検出された押圧力に対する前記第1の被測定物と前記第2の被測定物との間に作用する摩擦力の比で表される摩擦係数を検出するようにしてもよい。
【0016】
この場合、ガイド部等で構成した可動軸を測定したい摩擦力の主成分の方向に対して垂直に設置した直動軸受機構を設けて可動軸に第2の被被測定物を取り付け、測定したい摩擦力の主成分の方向に対して垂直の方向の力成分を光波干渉計で検出することにより、摩擦力の主成分と垂直な成分の測定を、力センサを用いることなく、高精度に行うことが可能になる。
【0017】
本発明では、可動部及び光波干渉計を含む計測ユニットを一対設けて摩擦試験装置を以下のように構成することができる。すなわち、第1のガイド部に沿って移動可能に該第1のガイド部に取付けられると共に第1の被測定物が取り付け可能な第1の可動部と、前記第1のガイド部に対して並列配置された第2のガイド部に沿って移動可能に該第2のガイド部に取付けられると共に前記第1の被測定物に押圧される第2の被測定物が取り付け可能な第2の可動部と、前記第1の可動部に固定された第1の反射部材及び該第1の反射部材に光を入射させる第1の光源を備え、前記第1の可動部に取付けられた第1の被測定物と前記第2の可動部に取付けられた第2の被測定物とを押圧させた状態で、前記第1の反射部材、前記第1の可動部、及び前記第1の被測定物を一体とした第1の物体が前記第2の被測定物に対して相対移動したときの該第1の反射部材からの反射光の状態変化を検出する第1の光波干渉計と、前記第2の可動部に固定された第2の反射部材及び該第2の反射部材に光を入射させる第2の光源を備え、前記第1の可動部に取付けられた第1の被測定物と前記第2の可動部に取付けられた第2の被測定物とを押圧させた状態で、前記第2の反射部材、前記第2の可動部、及び前記第2の被測定物を一体とした第2の物体が前記第1の被測定物に対して相対移動したときの該第2の反射部材からの反射光の状態変化を検出する第2の光波干渉計と、前記第1の光波干渉計及び前記第2の光波干渉計の少なくとも一方で検出された反射光の状態変化に基づいて、前記第1の物体及び前記第2の物体の少なくとも一方の物体の変位速度を検出し、検出した前記変位速度から前記物体の加速度を検出し、検出した前記加速度に基づいて検出される前記物体の慣性力を、前記第1の被測定物と前記第2の被測定物との間に作用する摩擦力として検出する物理量検出手段と、を含んで構成することができる。
【0018】
この場合、前記第2の可動部に該第2の可動部に対して移動可能な第3の可動部を設け、前記第2の可動部に該第3の可動部を介して前記第2の被測定物を取り付けることもできる。
【0022】
また、本発明の摩擦試験方法は、上記の摩擦試験装置を用いた摩擦試験方法であって、ガイド部に沿って移動可能に設けられた錘体に第1の被測定物を取付けると共に前記錘体に取り付けられた第1の被測定物に第2の被測定物を押圧し、第1の被測定物に第2の被測定物を押圧した状態で前記第1の被測定物及び前記錘体を一体とした物体を移動させ、該物体を移動させたときの該物体の慣性力を、前記第1の被測定物と前記第2の被測定物との間に作用する摩擦力として検出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明の摩擦試験装置によれば、力センサを用いることなく摩擦を検出しているので、被測定物間の摩擦特性を示す摩擦力を動的な状態でも正確に検出することができる、という効果が得られる。
【0025】
また、本発明の摩擦試験方法によれば、物体の慣性力に基づいて摩擦力を検出しているので、摩擦力を動的な状態でも正確に検出することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態には、金属板等の第1の被測定物21を取付けるための直動軸受10、及び光波干渉計12を備えた計測ユニットが設けられている。直動軸受10は、摩擦抵抗の小さい直動静圧空気軸受で構成されており、直動静圧空気軸受としては、例えば、NTN株式会社製のエアスライド(登録商標)を使用することができる。
【0028】
直動軸受10には、水平方向を向くようにベース(図7参照)に固定された直線状のガイド部10Bと、ガイド部10Bに沿って移動可能にガイド部10Bに取付けられると共に錘体の一部として機能するブロック状の可動部10Cとが設けられている。可動部10Cには、貫通孔が穿設されており、図2に示すように、ガイド部10Bはこの貫通孔を貫通して設けられている。この貫通孔の内周面とガイド部10Bの外周面との間には、ガイド部10Bの外周面全周に亘って圧縮空気層(約5~10μm)が形成されてている。これにより、可動部10Cは、極めて小さい摩擦抵抗でガイド部10Bの長さ方向に直進運動することが可能である。なお、図示を省略したが、圧縮空気はガイド部10Bの一端から導入されて、ガイド部10Bの中央部に形成された出口から可動部10Cの内周に形成された溝を介して可動部10Cの中央部に形成された入口に導かれ、可動部10Cの内部配管を介して上記間隙に供給される。可動部10Cに給気チューブを介して圧縮空気を直接導入すれば、給気通路の構造は更に簡単になるが、本実施の形態では給気チューブからの外力が可動部10Cに作用することを防止するため、ガイド部10Bから圧縮空気を導入している。
【0029】
また、可動部10Cの上面10Aは、金属板等の第1の被測定物21を取付け可能に構成されており、可動部10Cの側面後方には、光波干渉計を構成するコーナ・キューブ・プリズム10Dが光入出射側を後方に向けて固定されている。
【0030】
ガイド部10Bの端部に対向するようにベース14が立設されており、ベース14のガイド部10B側の側面上方には、可動部10Cが当接するゴムブロック等で構成された緩衝材14Aが固定されている。
【0031】
ベース14と可動部10Cとの間の可動部10Cに接近した位置に設定された基準位置には、基準位置で鉛直方向に沿った光路を形成するように、レーザダイオード16Aとフォトダイオード16Bとで構成された基準位置センサ16が配置されている。基準位置センサ16のフォトダイオード16Bは、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータ18を介してパーソナルコンピュータ20に接続されている。パーソナルコンピュータ20には、後述する計測ルーチンのブログラムを記憶したROM、計測された時系列データを記憶するハードディスク等で構成された記憶媒体、及び記憶した時系列データを表示するLCDやCRT等で構成された表示装置が設けられている。
【0032】
可動部10Cの上方には、可動部10Cに取り付けられた第1の被測定物21に押圧される、例えばミニチュアカー等の第2の被測定物22を取り付けるための取付け部材24が設けられている。取付け部材24は、第2の被測定物22に対して鉛直方向に作用する押圧力(垂直力Fn)を検出する力センサ26を介して摩擦試験装置のベースに上下方向に移動可能に取付けられている。
【0033】
力センサ26は、力センサ出力を増幅する増幅器28及び増幅器から出力された電流値を検出するデジタルマルチメータ30を介してパーソナルコンピュータ20及びパーソナルコンピュータ20に接続されたDAコンバータ32に接続されている。デジタルマルチメータに代えて、電圧計(例えば、HP製3458A)を使用してもよい。
【0034】
光波干渉計12は、ゼーマンタイプのヘリウムネオンレーザ等から構成された光源32を備えており、この光源32から出射された光は偏光ビームスプリッタ34で測定光と参照光とに分光される。測定光は、可動部10Cに固定されたたコーナ・キューブ・プリズム10Dに入射され、コーナ・キューブ・プリズム10Dで反転されて光路が180°変更され、再度偏光ビームスプリッタ34に入射される。ここで、偏光ビームスプリッタ34とコーナ・キューブ・プリズム10Dとの間の光路の方向は、ガイド10Bの長さ方向、すなわち可動部10Cの移動方向と平行なるように設定されており、測定光は、コーナ・キューブ・プリズム10Dで反転する際に、可動部10Cのガイドに沿った変位速度に応じたドップラシフト(ドップラ効果による周波数変化または位相変化)を生じ、反射光の状態が変化する。
【0035】
一方、参照光は偏光ビームスプリッタ34から第2のコーナ・キューブ・プリズム36方向に反射され、第2のコーナ・キューブ・プリズム36で反転されて再度偏光ビームスプリッタ34に入射され、偏光ビームスプリッタ34で第1のコーナ・キューブ・プリズム10Dからの反射光(信号光)と干渉し、信号光と参照光との周波数の差分の周波数のビートを生ずる干渉光が生じる。すなわち、信号光に生じた状態変化(信号光の周波数のドップラーシフト、または信号光の位相の変化)が、干渉により光波干渉計によって検出される。
【0036】
干渉光は、偏光ビームスプリッタ34から反射ミラー38と偏光板(例えば、グラン・トンプソン・プリズム)40とを介してフォトダイオードで構成された光検出器42に入射され、光検出器42で干渉光のビート周波数fbeatに応じた電気信号に変換されて第1周波数カウンタ44に入力される。そして、第1周波数カウンタ44によりビート周波数fbeatの値を表すデジタルデータが生成され、このデジタルデータがパーソナルコンピュータ20に入力される。
【0037】
また、光源32に内蔵された光検出器から、可動部10Cの静止状態に対応する基準周波数frestの電気信号が生成され、この電気信号が第2周波数カウンタ46に入力される。そして、第2周波数カウンタ46により基準周波数frestの値を表すデジタルデータが生成され、このデジタルデータがコンピュータ20に入力される。
【0038】
次に、本実施の形態の計測ルーチンを図3を参照して説明する。まず、可動部10Cの上面に第1の被測定物(例えば、金属板)21を取付けると共に、取付け部材24に第2の被測定物(例えば、ミニチュアカー)22を取り付ける。これにより、第2の被測定物22等の自重により、第2の被測定物22によって第1の被測定物が押圧される。この場合、所定の押圧力が得られるように取付け部材24を下方に移動させて第2の被測定物に鉛直下向きに荷重を加えて第1の被測定物が押圧るようにしても良い。
【0039】
また、パーソナルコンピュータを立ち上げ、図3の計測処理ルーチンを起動させると共に、フォトダイオード16B及び検出部42にレーザ光が入射されるように、レーザダイオード16A及び光源32からレーザ光を発振させておく。このように第1の被測定物と第2の被測定物とを押圧させた状態で、可動部10Cをベース14の長さ方向に初期の段階に手で押して、可動部10Cを慣性で移動させる。これにより、第1のコーナ・キューブ・プリズム、可動部、及び第1の被測定物を一体とした物体(以下、錘体という)が慣性でガイド部に沿ってガイド部の長さ方向に移動する。なお、アクチュエータを設けてこのアクチュエータで錘体に初速(または、初期運動量、または初期運動エネルギー)を与えても良い。
【0040】
ステップ100において、基準位置センサ16から基準位置信号が入力されたか否かを判断し、基準位置信号が入力されたと判断されると、ステップ102においてトリガ信号をデジタルマルチメータ30、第1周波数カウンタ44、及び第2周波数カウンタ46に入力し、これらを起動する。これによって、デジタルマルチメータによる垂直力、カウンタによる周波数が同期して検出される。
【0041】
次のステップ104では、デジタルマルチメータ30、第1周波数カウンタ44、及び第2周波数カウンタ46から出力される信号を所定のサンプル時間間隔で取込み、ステップ106において錘体(第1のコーナ・キューブ・プリズム10D、可動部10C、及び第1の被測定物を一体とした物体)の速度vを以下の(1)式に従って演算し、錘体の変位速度vを検出する。錘体は、ガイド部に沿って移動するため、運動の自由度は、水平の一軸方向に制限されている。
【0042】
v=λair・(fbeat-frest)/2 ・・・(1)
ここで、λairは、空気の屈折率である。
【0043】
次のステップ108では、この変位速度vをサンプル時間間隔で積分することによりガイド部の長さ方向の錘体の変位(すなわち、基準位置を基準とした位置)xを検出する。また、ステップ110において、変位速度vをサンプル時間間隔で微分することによりガイド部の長さ方向の錘体の加速度αを検出する。
【0044】
ここで、錘体が直動静圧空気軸受のガイド部等で支持されていて、錘体とガイド部との間に作用する摩擦力を無視できる場合には、錘体の慣性力Fは、2つの被測定物間に作用する摩擦力に等しくなる。なお、錘体の慣性力Fは、錘体の質量をM、錘体の加速度をαとして、F=M・αで表すことができる。
【0045】
したがって、ステップ112では、検出された加速度αと予め記憶されている錘体の質量Mとを乗算することにより、ガイド部の長さ方向の錘体の慣性力Fを摩擦力として検出する。
【0046】
次のステップ114では、慣性力Fを力センサ26で検出された垂直力Fnで除算することにより摩擦係数μを検出する。そして、ステップ116において、上記の演算によって検出した被測定物間に作用する摩擦に関する物理量である変位速度v、加速度α、位置x、慣性力F、及び摩擦係数μの各データを時系列的にハードディスク等の記憶媒体に記憶保持する。
【0047】
次のステップ118では、錘体が基準位置を通過してから所定時間経過したか否かを判断することにより、計測終了時期か否かを判断し、計測終了時期でなければ上記のサンプル時間間隔で変位速度v、加速度α、位置x、慣性力F、及び摩擦係数μの各データの検出を継続する。
【0048】
錘体が基準位置を通過してから所定時間経過して計測が終了したと判断されたときは、ステップ120において、キーボードの操作等により時系列データの表示指示があったか否かを判断し、表示指示があった場合にはステップ122において記憶媒体から時系列データを読み出して表示装置に表示する。また、時系列データをプリンタ等から適宜出力するようにしてもよい。
【0049】
なお、上記では、サンプル時間間隔で変位速度v等を検出する例について説明したが、測定は高速測定(周波数測定では、デットタイム(休止時間)ゼロの測定)が望ましいので、予めサンプリング数(測定記録データ数)を示すデータを通信回線(GPIB等)を介してパーソナルコンピュータからデジタルマルチメータやカウンタ等の測定器に送信し、測定器で予め定められたサンプリング数のデータを測定した後、測定器からパーソナルコンピュータに測定データを転送し、転送された測定データに基づいて変位速度v等の摩擦に関する物理量を検出するようにしてもよい。このサンプリング数としては、例えば、1000個、1400個とすることができる。
【0050】
また、上記では周波数カウンタを用いた例について説明したが、周波数カウンタを用いずに、光検出器42から出力される電気信号を高性能の波形記録装置により記録し、記録した後に、記録された波形から時間変化に対する周波数変化、すなわちビート周波数fbeatの時間変化を求めるようにしてもよい。このようにビート周波数fbeatのを求めるようにすれば、より高精度な周波数測定が可能になる。
【0051】
次に、ミニチュアカーと金属板とを用いて上記の摩擦試験装置によってサンプリング数を予め送信して摩擦に関する物理量を計測した結果を図4に示す。この計測では、錘体の質量は約8.9kgとした。図4(a)~(e)にビート周波数fbeat、ビート周波数fbeatから算出した錘体の変位速度v、変位速度vを積分して算出した錘体の変位x、変位速度vを微分して算出した錘体の加速度α、錘体の質量Mに加速度αを乗算して算出した錘体の慣性力Fの計測結果を示す。図4(e)に示す慣性力は、2つの被測定物(ミニカーと金属板)間に作用する摩擦力に等しい大きさを持っている。
【0052】
また、図5(1)に、慣性力として測定された摩擦力FF、力センサで計測された垂直力FNの変位に対する変化を示し、図5(2)に摩擦係数μの変位に対する変化を示す。そして、図6に、2回の計測実験における慣性力として測定された摩擦力の変化を重ねて示す。
【0053】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図7に示すように、第2の実施の形態には、直動静圧空気軸受で構成された直動軸受及び光波干渉計からなる一対の計測ユニット50、52が設けられている。一対の計測ユニット50、52は、相互に接近する方向及び離反する方向に移動可能に設けられている。
【0054】
計測ユニット50は、第1の実施の形態の計測ユニットと同一構成であるので、直動軸受部分のみ図示し、他の部分は図示を省略する。また、計測ユニット50の直動軸受部分の第1の実施の形態と対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
計測ユニット52には、計測ユニット50と略同様の構成であるので、対応する部分に添字1を付した符号を付して説明すると、ガイド部10Bと平行になるように設けられた直線状の上側ガイド部10B1と、上側ガイド部10B1の長さ方向に沿って移動可能に上側ガイド部10B1に取付けられたブロック状の上側可動部10C1とを備えた直動静圧空気軸受等で構成された直動軸受が設けられている。上側可動部10C1の下面には、力センサ54が鉛直下方を向くように固定されている。
【0056】
本実施の形態では、パーソナルコンピュータは1台設けられており、一対の光波干渉計の各々に設けられているデジタルマルチメータ、第1周波数カウンタ、及び第2周波数カウンタの各々は、このパーソナルコンピュータに接続されている。
【0057】
本実施の形態において摩擦に関する物理量を計測する場合には、可動部の上面に支持板58を介して第1の被測定物60を取付け、力センサ54の下端部に第2の被測定物56を取付ける。そして、計測ユニットの各々が接近するように押圧し、この状態で可動部、力センサ、及び第1の被測定物を一体とした物体、または可動部、力センサ、及び第2の被測定物を一体とした物体(各々の物体は、第1の実施の形態の錘体に相当する)を慣性で移動させ、第1の実施の形態と同様に、2つの光波干渉計によって摩擦に関する物理量を検出する。
【0058】
本実施の形態において用紙とボールペンとの摩擦に関する物理量を検出する場合には、図6に示すように、可動部の上面に支持板を介して用紙を取付け、力センサ54の下端部にボールペンを取付ける。そして、用紙とボールペンの先とが押圧されるように計測ユニットの各々に荷重を加えて相互に押圧する。この状態で、可動部10Cまたは可動部10C1を手で押して可動部10Cまたは可動部10C1を慣性で移動させる。これにより、コーナ・キューブ・プリズムを備えた可動部、支持板、及び用紙を一体とした物体、またはコーナ・キューブ・プリズムを備えた可動部、力センサ、及びボールペンを一体とした物体が慣性でガイド部に沿ってガイド部の長さ方向に変位する。
【0059】
したがって、第1の実施の形態と同様に、2つの光波干渉計によって摩擦に関する物理量を検出することができる。
【0060】
本実施の形態では、摩擦を計測するための一対の計測ユニットを用いて2つの被測定物間に作用する変位速度、変位、加速度、及び摩擦力等の摩擦に関する物理量を計測しているので、任意の相対運動での摩擦状態を計測することがより容易になる。また、直動軸受の内部抵抗等の外力が無視できる条件下では、2つの錘体の各々に作用する慣性力は、大きさが等しく、向きが逆になることになる(作用と反作用の法則)ので、種々の条件下での2つの錘体の各々に作用する慣性力を測定して比較することにより、軸受の内部抵抗等の外力が無視できるとした仮定ことが妥当か否かを評価することができる。また、本実施の形態は、予期せぬ外力の存在(例えば、見過ごされた不確かさ要因)の探索等に有効な手法である。
【0061】
次に、本発明の第3の実施の形態を図8を参照して説明する。図に示すように、第3の実施の形態には、直動軸受及び光波干渉計からなる一対の計測ユニット70、72が設けられている。計測ユニット70は、第1の実施の形態の計測ユニットと同一構成であるので、直動軸受部分のみ図示し、他の部分は図示を省略する。また、計測ユニット70の直動軸受部分の第1の実施の形態と対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
計測ユニット72は、計測ユニット50と略同様の構成であるので、対応する部分には同一の符号に添字2を付して説明する。計測ユニット72には、ガイド部10Bと所定間隔隔てて水平方向を向きかつガイド部10Bと直交するようにベースに固定された直線状の上側ガイド部10B2と、上側ガイド部10B2に沿って移動可能に上側ガイド部10B2に取付けられたブロック状の上側可動部10C2とを備えた直動静圧空気軸受等で構成された直動軸受が設けられている。
【0063】
上側可動部10C2の上面には、光波干渉計を構成するコーナ・キューブ・プリズム10D2が固定されている。また、上側可動部10C2の側面には、鉛直方向に貫通した貫通孔が穿設された軸受62が固定されている。この軸受62には、鉛直方向に移動可能に鉛直ガイド部64が挿入されている。この鉛直ガイド部64の上端には、力センサ26と同様に鉛直方向に作用する押圧力である垂直力Fnを検出する力センサ66が固定されている。
【0064】
次に、本実施の形態における摩擦状態の計測方法について説明する。可動部10Cの上面に第1の被測定物21を取付け、鉛直ガイド部64の下端面に第2の被測定物22を取付ける。このとき、鉛直ガイド部64の自重により第1の被計測部材と第2の被計測部材とが押圧される。なお、力センサ66を介して荷重を作用させることにより、第1の被計測部材と第2の被計測部材とが押圧されるようにしてもよい。
【0065】
この状態で、可動部10C、上側可動部10C2、または可動部10C及び上側可動部10C2の両方を手で押して可動部10C、上側可動部10C2、または可動部10C及び上側可動部10C2の両方を慣性で移動させる。これにより、コーナ・キューブ・プリズム10D、可動部10C、第1の被測定物21を一体とした物体、またはコーナ・キューブ・プリズム10D2、上側可動部10C2、力センサ66、軸受62及び第2の被測定物22を一体とした物体(各々の物体は、第1の実施の形態の錘体に相当する)が慣性でガイド部に沿ってガイド部の長さ方向に変位する。
【0066】
したがって、第1の実施の形態と同様に、2つの光波干渉計によって摩擦に関する物理量を検出することができる。本実施の形態では、可動部10C及び上側可動部10C2の両方を移動させることで、第1の被測定物と第2の被測定物とを相対的に2次元状に移動させたときの摩擦に関する物理量を検出することができる。また、第1の被測定物と第2の被測物との移動速度を異ならせたり、往復移動させることで、種々の軌跡に応じた運動状態における摩擦に関する物理量を検出することができる。
【0067】
本実施の形態において、直動軸受に対してエアをガイド部10B2から供給すると、エアは可動部10C2に導かれる。このエアの一部を、ガイド部64に供給するようにすれば、可動するガイド部64へのエアパイプの接続をなくすことが可能になる。
【0068】
上記では、力センサを用いて垂直力Fnを検出する例について説明したが、力センサ66に代えて光波干渉計を用いて垂直力Fnを検出するようにしてもよい。この場合、垂直力は、ガイド部64及び第2の被測定物からなる物体の慣性力Maとこの物体に作用する重力Mgの和として測定する。これにより、力センサを用いずに、垂直力を高精度に測定することができる。光波干渉計を用いて垂直力を検出する場合、光波干渉計は可動部10C2に固定することができる。この場合の光波干渉計の光源はHe-Neレーザではなく、LDが好適である。また、光波干渉計をガイド部64の上方に配置し、可動部10C2の移動を計測する光波干渉計からの信号に基づいて、ガイド部64の上方に配置した光波干渉計をガイド部10B2の長さ方向に可動部10C2の移動に追随するように移動させることも好適である。
【0069】
本実施の形態では、ガイド部が直交するように配置された2つの計測ユニットを用いて2つの被測定物間に作用する変位速度、変位、加速度、及び摩擦力等の摩擦に関する物理量を計測しているので、任意の軌跡での摩擦状態を計測することがより容易になる。
【0070】
次に、本発明の第4の実施の形態を図9を参照して説明する。図に示すように、第4の実施の形態には、直動軸受及び光波干渉計からなる計測ユニット80が設けられているが、計測ユニット80は、第1の実施の形態の計測ユニットと同一構成であるので、直動軸受部分のみ図示し、他の部分は図示を省略する。また、計測ユニット80の直動軸受部分の第1の実施の形態と対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
本実施の形態では、可動部10Cの底面に鉛直方向に延びる棒状の挿入部82の基端が固定されている。
【0072】
本実施の形態では、水槽に貯留された水等の流体中に挿入部82をの先端部分を挿入させた状態で、可動部10Cを手でガイド部に沿って移動させる。これによって、コーナ・キューブ・プリズム10D、可動部10C、及び挿入部82を一体とした物体が慣性で移動し、この物体が移動したときのコーナ・キューブ・プリズム10Dからの反射光の状態変化が光波干渉計によって検出され、第1の実施の形態で説明したのと同様に、挿入部に作用する流体摩擦抵抗に関する物理量を検出することができる。
【0073】
本実施の形態によれば、流体工学の分野における自由表面を持つ流体中での海洋構造物、船舶、その他流体機械一般に代表される物体の流体抵抗を高精度に測定することができる。
【0074】
また、本実施の形態において、ガイド部を水平方向に対して傾けて設置すると共に、挿入部の先端に被測定物を取り付け、可動部をガイド部に沿って自重でスライドさせ被測定物を流体中に突入させれば、重力のために自由な角度での設置が難しい被測定物(例えば、流体の自由表面、または、砂面など)に対する突入時の摩擦抵抗の計測等に利用することができる。
【0075】
また、本実施の形態では、挿入部を可動部に対して着脱可能し、種々の形状の挿入部と交換して摩擦抵抗を計測するようににすれば、種々の形状の挿入部に対する摩擦抵抗を計測することができる。例えば、挿入部として船体モデルを用いれば、船体の流体に対する摩擦抵抗等を計測することができる。
【0076】
次に本発明の第5の実施の形態について、図10を参照して説明する。
【0077】
上記の各実施の形態では、計測ユニットに直動軸受を用いる例について説明したが、タイヤと路面との間に作用する摩擦力や路面摩擦抵抗μ等を計測するの場合、タイヤの転動する距離を長くして計測しようとすると、可動部の上面の長さやガイド部の長さを長くする必要がある。このため、第5の実施の形態では、静圧空気直動軸受に代えて静圧空気回転軸受(ラジアル・スラスト軸受)等の回転軸受を用い、水平方向に移動する錘体に作用する慣性力を検出する代わりに、回転する錘体の角加速度を用いて摩擦に関する物理量を検出するようにしたものである。
【0078】
図9に示すように、本実施の形態は、貫通孔が形成されたガイド部90Bと、ガイド部90Bの貫通孔に回転可能に挿入された回転体90Cとから構成された静圧空気回転軸受90が設けられている。
【0079】
回転体90Cの一端には、フライホイール92が回転体90Cと一体に回転可能に取付けられている。この場合、回転体とフライホイールとは、一体となった剛体と見なせることが好ましい。この回転体とフライホイールとは、一つの金属塊から削り出しにより製作しても良い。なお、回転体とフライホイールとの区別は、便宜上のものである。すなわち、回転体は回転軸受の回転部を意味し、フライホイールはその回転体と一体となって回転し、全体(回転体及びフライホイール)の慣性モーメントを大きくする目的、及び摩擦試験面を便利な位置にする目的の少なくとも一方の目的で導入される。
【0080】
フライホイール92の上方には、フライホイール92の周面に被測定物を押圧可能に取付けるための取付部材94が設けられている。本実施の形態においてタイヤ等の回転する被測定物をを用いる場合には、取付部材94に被測定物を回転可能に取付ける。
【0081】
また、本実施の形態には、回転体及びフライホイールからなる錘体の角加速度を検出する検出装置が設けれている。この検出装置は、錐体の角速度をフライホール外周面の速度から検出するレーザードップラー速度計と、角速度から角加速度αを検出する角加速度検出装置とから構成されている。角加速度αは、角速度aをフライホイールの半径rで乗算して、α=a/rとして求めることができる。
【0082】
また、レーザードップラー速度計に代えて、非接触型の高精度ロータリーエンコーダを回転体に取り付けて角度を検出するようにしてもよい。この場合、角度を2回微分して角加速度を求めればよい。
【0083】
以下本実施の形態のにおいてタイヤとフライホイール外周部との間に作用する摩擦力を測定する場合について説明する。静圧空気回転軸受内部の摩擦トルク等が無視できる条件下では、下記の式が有り立つ。
【0084】
T+Iα=0 ・・・(2)
ここで、Tは、フライホイール外周面に作用する回転方向の力(フライホイール外周面に押し付けられた物体とフライホイール外周面との間に作用する摩擦力)によるトルク、Iはフライホイールと回転体を含めた回転体全体(回転する錘体)の慣性モーメント、αは回転する錘体の角加速度である。なお、Fを被測定物であるタイヤとフライホイールとの間に作用する摩擦力、rをフライホイール外周面と回転中心との距離(すなわち、フライホイールの半径)とすると、T=rFである。
【0085】
フライホイールの半径r及び慣性モーメントIは既知の値であるので、角加速度αを検出することで、被測定物であるタイヤとフライホイールとの間に作用する摩擦力Fを検出することができる。
【0086】
なお、本実施の形態では、回転する錘体を剛体とみなしたが、見なせない場合には、FEM解析等によって補正することが望ましい。
【0087】
なお、上記各実施の形態の摩擦試験装置において、被測定物の内部の加速度分布、速度分布、及び変位分布等を計測するため、各種全視野測定機器を導入することも可能である。また、有限要素法等の数値解析法と組み合わせることも可能であり、これにより、一層高度な摩擦特性評価が可能になる。また、錘体として1g程度のものを用いることにより、1μN以下の微小な力に対する摩擦試験を行うことができる。従って、マイクロマシン、ナノマシン等で用いられる各種材料の力学的特性を試験することも可能になる。
【0088】
なお、上記の各実施の形態では、摩擦試験装置の振動の影響を防止するため、ベースとして床に固定された重い定盤(例えば、鋳鉄製定盤)を用い、摩擦試験装置全体を強固に構成すると共に、光波干渉計をベースに対し緩衝材や防振材等を介して支持させか吊り下げ支持する等の防振対策を講ずることが望ましい。
【0089】
また、例えば、ワイパーの摩擦測定、自由表面を含む液体中での摩擦抵抗の想定等、形状の変化が予想される摩擦測定においては、CCDカメラ等での画像の撮影を同時に行うことが現象の多角的把握を行う上で有効である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施の形態の摩擦試験装置を示すブロック図である。
【図2】図1のII-II線端面図である。
【図3】第1の実施の形態の摩擦力等を検出する処理ルーチンを示す流れ図である。
【図4】(a)はビート周波数の測定データを示すグラフ、(b)はビート周波数の測定データから算出した錘体の変位速度を示すグラフ、(c)は変位速度から算出した錘体の変位を示すグラフ、(d)は変位速度から算出した錘体の加速度を示すグラフ、(e)は加速度から算出した錘体の慣性力を示すグラフである。
【図5】(1)は慣性力として測定された摩擦力FF、及び力センサで測定された垂直力FNの変位を横軸として示したグラフ、(2)は摩擦係数の変化μの変位を横軸として示したグラフである。
【図6】2回の測定実験における慣性力として測定された摩擦力を示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施の形態の摩擦試験装置を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の摩擦試験装置を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態の摩擦試験装置を示すブロック図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態の摩擦試験装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0091】
10 直動軸受
10B ガイド部
10C 可動部
10D コーナ・キューブ・プリズム
12 光波干渉計
14 ベース
16 基準位置センサ
26 力センサ
32 光源
34 偏光ビームスプリッタ
50 計測ユニット
52 計測ユニット
54 力センサ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9