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明細書 :異形高分子微粒子の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4192245号 (P4192245)
公開番号 特開2006-143968 (P2006-143968A)
登録日 平成20年10月3日(2008.10.3)
発行日 平成20年12月10日(2008.12.10)
公開日 平成18年6月8日(2006.6.8)
発明の名称または考案の名称 異形高分子微粒子の製造方法
国際特許分類 C08F   2/22        (2006.01)
FI C08F 2/22
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2004-339148 (P2004-339148)
出願日 平成16年11月24日(2004.11.24)
審査請求日 平成17年8月26日(2005.8.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
発明者または考案者 【氏名】黒田 真一
【氏名】石 山
個別代理人の代理人 【識別番号】100085372、【弁理士】、【氏名又は名称】須田 正義
審査官 【審査官】小出 直也
参考文献・文献 特開平06-287244(JP,A)
特開平02-070741(JP,A)
特開平10-251312(JP,A)
特開2001-172337(JP,A)
特開2000-191706(JP,A)
特開2002-179708(JP,A)
速見裕亮 他,架橋構造の導入による高分子複合微粒子の異形化,高分子学会予稿集(CD-ROM),日本,2004年 5月10日,Vol.53, No.1,p.1139
Colloid and Polymer Science,2003年,Vol.281, No.4,331-336
調査した分野 C08F 2/00-2/60
CA(STN)
REGISTRY(STN)

特許請求の範囲 【請求項1】
アクリル酸のアリールエステル、メタクリル酸のC1~C3アルキルエステルメタクリル酸のアリールエステル及び芳香族ビニルから選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性モノマーからなるシードモノマーを水中で第1水溶性開始剤でソープフリー乳化重合法で重合させることにより前記シードモノマーが重合したシードポリマー粒子を生成する第1工程と、前記シードポリマー粒子を水に分散した分散液に表面モノマー及び第2水溶性開始剤を添加して、沈殿重合法で前記表面モノマーを重合させて表面ポリマーにすることにより、前記シードポリマー粒子の表面に前記表面ポリマーを被覆した高分子複合微粒子を得る第2工程とを含む異形高分子微粒子の製造方法であって、
前記表面モノマーが前記シードモノマーと異なる水溶性モノマーであり、
前記第2工程で前記分散液に溶解している表面モノマーが沈澱重合するに従って前記シードポリマー粒子表面に表面ポリマーが吸着することにより、前記シードポリマー粒子表面に表面ポリマーが鋭い突起状凸部に形成されたランブータン状高分子微粒子を得ることを特徴とする異形高分子微粒子の製造方法。
【請求項2】
ードポリマーがラジカル重合性モノマーを重合して得られるポリマー又はコポリマーであり、
表面モノマーがアクリロニトリル又はメタクリロニトリルである請求項記載の製造方法。
【請求項3】
第1及び第2水溶性開始剤が過硫酸塩又は水溶性イオン型アゾ化合物である請求項記載の異形高分子微粒子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子微粒子、特にその粒子形状が真球ではなく、粒子表面に多数のくぼみ或いは鋭い突起状凸部を有するか、二連球状のダルマ形状を有している異形高分子微粒子の製造方法に関する。更に詳しくはソープフリー乳化重合法に続く沈殿重合法によりサブミクロンサイズの異形の高分子複合微粒子を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高分子微粒子は、塗料や診断薬担体、分離カラム用充填材などの分野に広く利用されているが、これらの高分子微粒子は真球状のものが一般的である。しかし、近年、塗料などの白色度や光沢を高めたり、診断薬担体としての機能や分離カラム用充填剤としての機能を高めるために、前記真球状高分子微粒子とは異なる形態を有する高分子微粒子が提案されている。例えば、粒子表面に多数のくぼみを有するゴルフボール状高分子微粒子(例えば、特許文献1及び2参照。)及び円盤状の高分子微粒子(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。
【0003】
この特許文献1に記載のゴルフボール状高分子微粒子は、シードポリマー粒子としてのポリスチレン粒子にアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルをシード乳化重合させることにより得られる。
また特許文献2に記載のゴルフボール状高分子微粒子は、アクリル酸のC1-C8アルキルエステル、メタクリル酸のC1-C8アルキルエステル及び芳香族ビニルから選ばれるポリマー又はコポリマーをシード粒子として分散させた媒体に、この媒体に溶解するモノマーであって、上記ポリマー又はコポリマーとは異なり上記ポリマー又はコポリマーに比し媒体との親和性が低いか又は同等であるポリマーを与えるモノマー等をシード分散重合法により重合させることにより得られる。
【0004】
更に特許文献3に記載の高分子微粒子は、媒体中にシードポリマー粒子を分散させた分散液に、表面モノマー、補助溶媒、開始剤及び分散剤を添加して、シード分散重合法により表面モノマーを重合させることにより得られる。このとき補助溶媒として、シードポリマーの貧溶媒又は非溶媒であるが、表面ポリマーの良溶媒であり、かつ媒体に部分溶解する有機溶媒を使用することが必要であって、媒体として、媒体中の貧溶媒の比率を90重量%以上とするとともに、補助溶媒をシードポリマーの100重量%以上使用することにより、円盤状の高分子微粒子が得られる。
この明細書において、「シードポリマー」とは異形高分子微粒子のコアを形成するポリマーをいい、「表面ポリマー」とは上記コアを被覆するシェルとなるポリマーをいう。

【特許文献1】特開平6-287244号公報(請求項1、[0005])
【特許文献2】特開2002-179708号公報(請求項1、図4)
【特許文献3】特開2003-226708号公報(請求項7、[0073])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載のゴルフボール状高分子微粒子は、その粒径がサブミクロンサイズであるけれども、微粒子表面のくぼみが浅く比表面積が小さいため、診断薬担体としての機能や分離カラム用充填剤としての機能が十分でなく改良する余地があった。またこの高分子微粒子は約100℃になったり、各種の有機溶媒と接触すると、微粒子の形状が容易に真球状に変化する欠点があった。
【0006】
また特許文献2及び3に記載の高分子微粒子は、その粒径が数ミクロンサイズと特許文献1に記載の高分子微粒子と比べて大きく比表面積が小さいため、診断薬担体としての機能や分離カラム用充填剤としての機能が十分でなく改良する余地があった。またこの高分子微粒子は約100℃になったり、各種の有機溶媒と接触すると、微粒子の形状が容易に真球状に変化する欠点があった。
【0007】
本発明の目的は、従来の高分子微粒子に比べて比表面積が大きく、診断薬担体としての機能や分離カラム用充填剤としての機能が高く、しかも約200℃になっても或いは各種の有機溶媒に接触しても、微粒子の形状が容易に変形しないサブミクロンサイズの異形高分子微粒子を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
求項に係る発明は、アクリル酸のアリールエステル、メタクリル酸のC1~C3アルキルエステルメタクリル酸のアリールエステル及び芳香族ビニルから選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性モノマーからなるシードモノマーを水中で第1水溶性開始剤でソープフリー乳化重合法で重合させることによりシードモノマーが重合したシードポリマー粒子を生成する第1工程と、このシードポリマー粒子を水に分散した分散液に表面モノマー及び第2水溶性開始剤を添加して、沈澱重合法で表面モノマーを重合させることにより、シードポリマー粒子の表面に表面モノマーが重合した表面ポリマーを被覆した高分子複合微粒子を得る第2工程とを含む異形高分子微粒子の製造方法である。その特徴ある点は、表面モノマーがシードモノマーと異なる水溶性モノマーであり、第2工程で分散液に溶解している表面モノマーが重合するに従ってシードポリマー粒子表面に表面ポリマーが吸着することにより、シードポリマー粒子表面に表面ポリマーが鋭い突起状凸部に形成されたランブータン(rambutan)状高分子微粒子を得ることにある。
【発明の効果】
【0009】
求項に係る製造方法では、ソープフリー乳化重合法及び沈澱重合法を用いるためサブミクロンサイズの高分子微粒子が得られる。この第2工程で分散液に溶解している水溶性の表面モノマーが第2水溶性開始剤により重合して表面ポリマーとなり、重合とともにシードポリマー粒子表面に表面ポリマーが吸着し、これによりシードポリマー粒子表面に表面ポリマーが鋭い突起状凸部に形成される。この高分子微粒子は、従来の高分子微粒子よりその比表面積が大きくなり、診断薬担体としての機能や分離カラム用充填剤として高い機能を有する。表面ポリマーがポリアクリロニトリル又はポリメタクリロニトリルであって、ジメチルホルムアミドのような特殊な有機溶媒にしか溶解性がないため、この異形高分子微粒子は通常の有機溶媒に接触しても耐溶媒性に優れ、粒子形状が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
明の実施の形態を説明する。
(a) 第1工程:ソープフリー乳化重合によるシードポリマー粒子の作製
このソープフリー乳化重合に用いられるシードモノマーとしては、この重合法によりポリマー粒子化する、水に僅かに溶けるか又は水に不溶性のモノマーが選ばれる。なお、この明細書で「水に僅かに溶ける」とは、3重量%以下の割合で水に溶けることをいう。具体的には、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、等のアクリル酸のアリールエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸のC1~C3アルキルエステル又はメタクリル酸のアリールエステル、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルスチレン、ジメチルスチレン等の芳香族ビニルから選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性モノマーが例示される。シードポリマーはこのラジカル重合性モノマーを重合して得られるポリマー又はコポリマーである。
【0011】
シードポリマー粒子を作製するときの媒体としては、重合がソープフリー乳化重合法であるため、水が用いられる。所期の重合を行うため、脱イオン水が好ましい。シードモノマー100重量部に対して水は300~2500重量部が好ましく、340~1200重量部が特に好ましい。また重合を開始させるための開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2.2`-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩等の水溶性イオン型アゾ化合物が用いられる。この水溶性開始剤はシードモノマー100重量部に対して0.1~30重量部が好ましく、0.3~8重量部が更に好ましい。
【0012】
このソープフリー乳化重合法では、シードモノマー、水及び水溶性開始剤を容器に入れて、50~300rpm程度の回転速度で攪拌機により攪拌する。重合温度は30~90℃、好ましくは40~70℃である。また重合時間は3~24時間、好ましくは5~10時間である。重合は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
このソープフリー乳化重合法で作られるシードポリマー粒子の平均粒径は、サブミクロンサイズである。具体的には100~600nmの範囲にある。このシードポリマー粒子の平均粒径は電子顕微鏡写真の画像処理法により測定される
【0013】
(b) 第2工程:沈殿重合による高分子複合微粒子の作製
本発明の特徴ある構成は、第2工程が沈殿重合法であり、この沈殿重合に用いられる表面モノマーである。この表面モノマーはシードモノマーと異なる水溶性モノマーである。具体的には、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルが例示される。表面ポリマーはこの表面モノマーを重合して得られるものである。表面モノマーは、第1工程で得られたシードポリマー粒子100重量部に対して、300~1000重量部が好ましく、特に400~700重量部が好ましい。表面モノマーの添加量が上記下限値未満では、異形化の程度が弱いか、又は異形にならない。
【0014】
この沈殿重合法では、第1工程で得られたシードポリマー粒子、表面モノマー、水及び水溶性開始剤を容器に入れる。水溶性開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2.2`-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩等の水溶性イオン型アゾ化合物が用いられる。この中で過硫酸塩が分散媒体である水に対する溶解性が高く、シードポリマー粒子表面により鋭い突起状凸部の表面ポリマーを形成させるため、好ましい。この水溶性開始剤は表面モノマー100重量部に対して0.3~1.5重量部が好ましく、0.5~0.9重量部が更に好ましい。水溶性開始剤の添加量が上記上限値を超えると反応系が凝集しやすくなる不具合を生じる。この第2工程で分散液に溶解している水溶性の表面モノマーが水溶性開始剤により重合して表面ポリマーとなり、重合とともにシードポリマー粒子表面に表面ポリマーが鋭い突起状凸部となって吸着した高分子複合微粒子が得られる。
【0015】
この高分子複合微粒子を含む液を遠心分離、濾過等により固液分離した後、固形分から水分を除去することにより、ランブータン状高分子微粒子が得られる。なお、この高分子複合微粒子をエマルジョンのままで使用するときには、上記固液分離以降の工程は不要である。本発明の製造方法における異形化は、シードポリマーと表面ポリマーが非相溶であるために、表面ポリマーがセル層を形成しながら重合固化することによる。この異形高分子微粒子の平均粒径は0.15~1μmであり、突起の高さは0.01~0.2μmである。ここで粒径は突起の先端を含む大きさをいう。
【実施例】
【0016】
次に本発明の実施例を参考例及び比較例とともに説明する。
参考例1>
第1工程:ソープフリー乳化重合によるポリメタクリル酸メチルシード粒子の作製
メタクリル酸メチルモノマー45g、脱イオン水155g及び開始剤として過硫酸カリウム60mgをセパラブルフラスコに入れ、300rpmの回転速度で攪拌しながら30分間窒素ガスでバブリングした。その後バブリングを止め、70℃で5時間同じ回転速度で攪拌しながら加熱してソープフリー乳化重合を行い、平均粒径が約420nmのポリメタクリル酸メチルシードラテックスを作製した。
【0017】
第2工程:ソープフリー乳化重合によるポリメタクリル酸メチル/ポリスチレン異形粒子の作製
0.6gの固体ポリマーを含む 所定量のポリメタクリル酸メチルシードラテックス、脱イオン水及び開始剤としての過硫酸カリウム20mgをセパラブルフラスコに入れ、300rpmの回転速度で攪拌しながら30分間窒素ガスでバブリングして130mlの分散液を調製した。その後バブリングを止め、ポリメタクリル酸メチルに対して70モル%となる表面モノマーとしてのスチレン、及びスチレンに対して0.5モル%となる架橋剤としてのジビニルベンゼンを加え、60℃で6時間同じ回転速度で攪拌しながら加熱してソープフリー乳化重合を行い、ポリメタクリル酸メチル/ポリスチレン異形複合ラテックスを得た。この複合ラテックスから水分を除去して異形高分子微粒子を得た。
【0018】
参考例2>
第2工程で、ポリメタクリル酸メチルに対して70モル%となる表面モノマーとしてのスチレン、及びスチレンに対して2.0モル%となる架橋剤としてのジビニルベンゼンを加えた以外、参考例1と同様にして、ポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面にポリスチレンを被覆した異形複合ラテックスを得た。この異形複合ラテックスから水分を除去して異形高分子微粒子を得た。
【0019】
参考例3>
第2工程で、ポリメタクリル酸メチルに対して80モル%となる表面モノマーとしてのスチレン、及びスチレンに対して4.0モル%となる架橋剤としてのジビニルベンゼンを加えた以外、参考例1と同様にして、ポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面にポリスチレンを被覆した異形複合ラテックスを得た。この異形複合ラテックスから水分を除去して異形高分子微粒子を得た。この異形高分子微粒子の走査型電子顕微鏡の写真図を図1に示す。
【0020】
<比較例1>
第2工程で、架橋剤を加えない以外、参考例1と同様にして、ポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面にポリスチレンを被覆した複合ラテックスを得た。この複合ラテックスから水分を除去し、異形でない球状高分子微粒子を得た。
【0021】
<比較評価1>
参考例1~3の高分子微粒子と比較例1の高分子微粒子とをそれぞれ超薄切片にして透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、これらの高分子微粒子はすべてポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面をポリスチレンが被覆するコア/シェル構造であった。比較例1の高分子微粒子が球状であったのに対して、参考例1~3の高分子微粒子は金平糖状であった。これらの高分子微粒子の平均粒径、くぼみの平均深さ及び形状を表1に示す。表1から架橋剤の添加量に相応して、くぼみの深さが大きくなることが判った。また参考例1~3の高分子微粒子を空気中で200℃に加熱する熱変形試験と、トルエン中に浸漬する耐溶媒性試験を行った。参考例1~3の高分子微粒子は、熱変形試験及び耐溶媒性試験において、いずれも元の形状を維持した。
【0022】
【表1】
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参考例4>
第1工程:ソープフリー乳化重合によるポリメタクリル酸メチルシード粒子の作製
メタクリル酸メチルモノマー15g、メタクリル酸メチルモノマーに対して0.5モル%となる架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレート、450gの脱イオン水及び開始剤として過硫酸カリウム20mgをセパラブルフラスコに入れ、300rpmの回転速度で攪拌しながら30分間窒素ガスでバブリングした。その後バブリングを止め、70℃で5時間同じ回転速度で攪拌しながら加熱してソープフリー乳化重合を行い、平均粒径が約270nmのポリメタクリル酸メチルシードラテックスを作製した。
【0023】
第2工程:ソープフリー乳化重合によるポリメタクリル酸メチル/ポリスチレン異形粒子の作製
0.6gの固体ポリマーを含む 所定量のポリメタクリル酸メチルシードラテックス、脱イオン水及び開始剤としての過硫酸カリウム20mgをセパラブルフラスコに入れ、300rpmの回転速度で攪拌しながら30分間窒素ガスでバブリングして130mlの分散液を調製した。その後バブリングを止め、ポリメタクリル酸メチルに対して80モル%となる表面モノマーとしてのスチレンを加え、室温で2時間ポリメタクリル酸メチルシードラテックスを膨潤させた後、60℃で6時間同じ回転速度で攪拌しながら加熱してソープフリー乳化重合を行い、ポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面にポリスチレンを被覆した異形複合ラテックスを得た。この異形複合ラテックスから水分を除去して第1球体とポリスチレンからなる第2球体が一体化したダルマ状高分子微粒子を得た。
【0024】
参考例5>
第1工程で、ポリメタクリル酸メチルに対して2.0モル%となる架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレートを加えた以外、参考例4と同様にして、ソープフリー乳化重合を行い、平均粒径が約250nmのポリメタクリル酸メチルシードラテックスを作製した。第2工程で、参考例4と同様にして、ソープフリー乳化重合を行い、ポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面にポリスチレンを被覆した異形複合ラテックスを得た。この異形複合ラテックスから水分を除去して第1球体とポリスチレンからなる第2球体が一体化したダルマ状高分子微粒子を得た。
【0025】
参考例6>
第1工程で、ポリメタクリル酸メチルに対して4.0モル%となる架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレートを加えた以外、参考例4と同様にして、ソープフリー乳化重合を行い、平均粒径が約260nmのポリメタクリル酸メチルシードラテックスを作製した。第2工程で、参考例4と同様にして、ソープフリー乳化重合を行い、ポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面にポリスチレンを被覆した異形複合ラテックスを得た。この異形複合ラテックスから水分を除去して第1球体とポリスチレンからなる第2球体が一体化したダルマ状高分子微粒子を得た。このダルマ状高分子微粒子の走査型電子顕微鏡の写真図を図2に示す。
【0026】
<比較例2>
第1工程で、架橋剤を加えない以外、参考例4と同様にして、ポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面にポリスチレンを被覆した複合ラテックスを得た。この複合ラテックスを脱水し、異形でない球状高分子微粒子を得た。
【0027】
<比較評価2>
参考例4~6の高分子微粒子と比較例2の高分子微粒子とをそれぞれ超薄切片にして透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、比較例2の高分子微粒子が球状であったのに対して、参考例4~6の高分子微粒子はすべてポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面をポリスチレンが被覆するコア/シェル構造の第1球体とポリスチレンのみからなる第2球体が一体化したものであった。これらの高分子微粒子の平均粒径、第2球体の平均大きさ及び形状を表2に示す。表2から架橋剤の添加量に相応して、第2球体が大きくなることが判った。また参考例4~6の高分子微粒子を空気中で200℃に加熱する熱変形試験と、トルエン中に浸漬する耐溶媒性試験を行った。参考例4~6の高分子微粒子は、熱変形試験及び耐溶媒性試験において、いずれも元の形状を維持した。
【0028】
【表2】
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<実施例
第1工程:ソープフリー乳化重合によるポリメタクリル酸メチルシード粒子の作製
メタクリル酸メチルモノマー30g、脱イオン水170g及び開始剤として過硫酸カリウム60mgをセパラブルフラスコに入れ、300rpmの回転速度で攪拌しながら30分間窒素ガスでバブリングした。その後バブリングを止め、70℃で5時間同じ回転速度で攪拌しながら加熱してソープフリー乳化重合を行い、平均粒径が約310nmのポリメタクリル酸メチルシードラテックスを作製した。
【0029】
第2工程:沈殿重合によるポリメタクリル酸メチル/ポリアクリロニトリル異形粒子の作製
0.6gの固体ポリマーを含む 所定量のポリメタクリル酸メチルシードラテックス、脱イオン水及び開始剤としての過硫酸カリウム20mgをセパラブルフラスコに入れ、300rpmの回転速度で攪拌しながら30分間窒素ガスでバブリングして130mlの分散液を調製した。その後バブリングを止め、表面モノマーとして3mlのアクリロニトリルを加え、70℃で8時間同じ回転速度で攪拌しながら加熱して沈殿重合を行った。この重合によりポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面にポリアクリロニトリルを被覆した異形複合ラテックスを得た。この異形複合ラテックスから水分を除去して異形高分子微粒子を得た。
【0030】
<実施例
第2工程で、表面モノマーとして4mlのアクリロニトリルを加えた以外、実施例と同様にして、ポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面にポリアクリロニトリルを被覆した異形複合ラテックスを得た。この異形複合ラテックスから水分を除去して異形高分子微粒子を得た。
【0031】
<実施例
第2工程で、表面モノマーとして5mlのアクリロニトリルを加えた以外、実施例と同様にして、ポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面にポリアクリロニトリルを被覆した異形複合ラテックスを得た。この異形複合ラテックスから水分を除去して異形高分子微粒子を得た。この異形高分子微粒子の走査型電子顕微鏡の写真図を図3に、また透過型電子顕微鏡の写真図を図4にそれぞれ示す。
【0032】
<比較評価3>
実施例1~3の高分子微粒子をそれぞれ超薄切片にして透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、実施例1~3の高分子微粒子はすべてポリメタクリル酸メチルシード粒子の表面をポリアクリロニトリルが被覆するコア/シェル構造であった。これらの高分子微粒子の平均粒径、突起の平均高さ及び形状を表3に示す。表3からアクリロニトリルの添加量に相応して、鋭い突起が高くなることが判った。また実施例1~3の高分子微粒子を空気中で200℃に加熱する熱変形試験と、トルエン中に浸漬する耐溶媒性試験を行った。実施例1~3の高分子微粒子は、熱変形試験及び耐溶媒性試験において、いずれも元の形状を維持した。
【0033】
【表3】
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【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】参考例3の異形高分子微粒子の走査型電子顕微鏡の写真図。
【図2】参考例6のダルマ状高分子微粒子の走査型電子顕微鏡の写真図。
【図3】実施例の異形高分子微粒子の走査型電子顕微鏡の写真図。
【図4】実施例の異形高分子微粒子の透過型電子顕微鏡の写真図。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3