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明細書 :顕微鏡観察再現方法、顕微鏡観察再現装置、顕微鏡観察再現プログラムおよびその記録媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3837577号 (P3837577)
公開番号 特開2006-228185 (P2006-228185A)
登録日 平成18年8月11日(2006.8.11)
発行日 平成18年10月25日(2006.10.25)
公開日 平成18年8月31日(2006.8.31)
発明の名称または考案の名称 顕微鏡観察再現方法、顕微鏡観察再現装置、顕微鏡観察再現プログラムおよびその記録媒体
国際特許分類 G06T  13/00        (2006.01)
G02B  21/36        (2006.01)
FI G06T 13/00 C
G02B 21/36
請求項の数または発明の数 7
全頁数 16
出願番号 特願2005-211567 (P2005-211567)
出願日 平成17年7月21日(2005.7.21)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 鷲谷 清忠、蒲 貞行,“「リンパ・網内系細胞診」解説”,2004年7月24日、細胞検査士会 Internet Cytologyをインターネットに発表
優先権出願番号 2005010758
優先日 平成17年1月18日(2005.1.18)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成17年8月29日(2005.8.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
発明者または考案者 【氏名】蒲 貞行
【氏名】鷲谷 清忠
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】橋爪 正樹
調査した分野 G06T 1/00-17/50
特許請求の範囲 【請求項1】
処理部が、顕微鏡像のうちの撮影対象領域を、互いに周辺部の一部が重なり合うように区分けした複数の区分け領域について、拡大観察する最高倍率で撮影された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータの入力を受け付け、
前記処理部が、前記各区分け領域においてそれぞれ焦点を変えて撮影された複数のフォーカシング用静止画像のデータの入力を受け付け、
前記処理部が、入力された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータおよび入力された複数のフォーカシング用静止画像のデータを記憶手段に記憶させ、
前記処理部が、前記記憶手段から前記複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータを取り出して、これらのデータを繋ぎ合わせた後、所要の範囲を切り抜いて、スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを作成し、該スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを前記記憶手段に記憶させ、
前記処理部が、前記記憶手段から前記複数のフォーカシング用静止画像のデータを取り出して、各フォーカシング用静止画像のデータを同じ精度で編集して、編集済みフォーカシング用静止画像のデータを作成し、該編集済みフォーカシング用静止画像のデータを前記記憶手段に記憶させ、
前記処理部が、前記記憶手段からスクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを取り出してスクリーニング用の動画およびズーミング用の動画を作成し、それらの動画データを前記記憶手段に記憶させ、
前記処理部が、前記記憶手段から編集済みフォーカシング用静止画像のデータを取り出してフォーカシング用の動画を作成し、その動画データを前記記憶手段に記憶させ、
前記処理部が、実際の顕微鏡観察におけるスクリーニング時、ズーミング時、フォーカシング時に見られる顕微鏡像の動きを再現する動画をコンピュータ画面に表示させることを特徴とする顕微鏡観察再現方法。
【請求項2】
前記動画をコンピュータ画面に表示させるとき、この動画上の特定部位にマウスカーソルが位置したときに当該特定部位に関する噴出し説明を表示させることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡観察再現方法。
【請求項3】
顕微鏡像のうちの撮影対象領域を、互いに周辺部の一部が重なり合うように区分けした複数の区分け領域について、拡大観察する最高倍率で撮影された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータを入力する手段、
前記各区分け領域においてそれぞれ焦点を変えて撮影された複数のフォーカシング用静止画像のデータの入力を受け付ける手段、
入力された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータおよび入力された複数のフォーカシング用静止画像のデータを記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段から前記複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータを取り出して、これらのデータを繋ぎ合わせた後、所要の範囲を切り抜いて、スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを作成し、該スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを前記記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段から前記複数のフォーカシング用静止画像のデータを取り出して、各フォーカシング用静止画像のデータを同じ精度で編集して、編集済みフォーカシング用静止画像のデータを作成し、該編集済みフォーカシング用静止画像のデータを前記記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段からスクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを取り出してスクリーニング用の動画およびズーミング用の動画を作成し、それらの動画データを前記記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段から編集済みフォーカシング用静止画像のデータを取り出してフォーカシング用の動画を作成し、その動画データを前記記憶手段に記憶させる手段、および
実際の顕微鏡観察におけるスクリーニング時、ズーミング時、フォーカシング時に見られる顕微鏡像の動きを再現する動画をコンピュータ画面に表示させる手段
を備えることを特徴とする顕微鏡観察再現装置。
【請求項4】
さらに、前記動画上の特定部位に関する噴出し説明を予め記憶しておく手段、および表示された前記動画上の前記特定部位にマウスカーソルが位置したときに当該特定部位に関する前記噴出し説明を読み出して表示する手段
を備えることを特徴とする請求項に記載の顕微鏡観察再現装置。
【請求項5】
顕微鏡像のうちの撮影対象領域を、互いに周辺部の一部が重なり合うように区分けした複数の区分け領域について、拡大観察する最高倍率で撮影された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータの入力を受け付ける手段、
前記各区分け領域においてそれぞれ焦点を変えて撮影された複数のフォーカシング用静止画像のデータの入力を受け付ける手段、
入力された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータおよび入力された複数のフォーカシング用静止画像のデータを記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段から前記複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータを取り出して、これらのデータを繋ぎ合わせた後、所要の範囲を切り抜いて、スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを作成し、該スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを前記記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段から前記複数のフォーカシング用静止画像のデータを取り出して、各フォーカシング用静止画像のデータを同じ精度で編集して、編集済みフォーカシング用静止画像のデータを作成し、該編集済みフォーカシング用静止画像のデータを前記記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段からスクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを取り出してスクリーニング用の動画およびズーミング用の動画を作成し、それらの動画データを前記記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段から編集済みフォーカシング用静止画像のデータを取り出してフォーカシング用の動画を作成し、その動画データを前記記憶手段に記憶させる手段、および
実際の顕微鏡観察におけるスクリーニング時、ズーミング時、フォーカシング時に見られる顕微鏡像の動きを再現する動画をコンピュータ画面に表示させる手段
としてコンピュータを機能させることを特徴とする顕微鏡観察再現プログラム。
【請求項6】
さらに、前記動画上の特定部位に関する噴出し説明を予め記憶しておく手段、および表示された前記動画上の前記特定部位にマウスカーソルが位置したときに当該特定部位に関する前記噴出し説明を読み出して表示する手段を備え、コンピュータを機能させることを特徴とする請求項に記載の顕微鏡観察再現プログラム。
【請求項7】
請求項5または6に記載の顕微鏡観察再現プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本願発明は、病理組織検査や細胞診などで行われる顕微鏡観察のコンピュータ上での再現およびその際の噴出し説明表示に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、学会や研修会などで病理組織標本や細胞診標本の顕微鏡画像を提示する場合、スライドや写真を使ってその静止画を表示することが行われてきた。しかし、顕微鏡から得られる標本の情報は詳細で多岐にわたるので、静止画では標本の限られた情報しか伝えられないことになる。また、細胞診では撮られた静止画は検査技師や医師の判断によるところが大きく、当然その客観的判断には限界があると考えられる。
【0003】
そこで、本願発明の発明者は、病理組織検査や細胞診などで行われる顕微鏡観察をコンピュータ上で動画により正確に再現したものを既に提案している(非特許文献1参照)。
【0004】
ここで提案している動画は、顕微鏡で観察する場合の種々の操作をコンピュータ上で再現しようとするものである。すなわち、顕微鏡観察では、たとえば細胞診標本のスクリーニング(移動観察)や要注意細胞のズーミング(拡大観察)およびフォーカシング(立体的観察)、組織標本の弱拡大(全体)から強拡大(部分)の確認など、いろいろな操作をしながら観察をしている。上記提案では、実際の顕微鏡観察におけるスクリーニング時、ズーミング時、フォーカシング時に見られる顕微鏡像の動きを再現する動画(Animated Microscopic Imageと呼ぶ)をコンピュータ画面上に表示し、ユーザがスクリーニングやズーミング、フォーカシングを指示する操作をコンピュータに入力すると、その入力に従って実際の顕微鏡像と同じ動きをした動画が再生されるようにしたものである。操作入力については、マウス等を用いてコンピュータ画面上に表示されているスクリーニング用ボタン、ズーミング用ボタン、フォーカシング用ボタンを操作したり画像をドラッグしたりして行われる。
【0005】
たとえば、スクリーニング用の操作を入力すると、コンピュータ画面上に表示されている顕微鏡像がスクリーニング方向に移動する。つまり実際にスクリーニング方向に現れる顕微鏡像が次々と滑らかに映し出される。このときさらにズーミング用の操作を入力すると、コンピュータ画面上の顕微鏡像が拡大または縮小する。つまり実際に拡大または縮小して現れる顕微鏡像が瞬時に映し出される。これにより、広範囲に渡る弱拡大像を見ながら目に止まった組織や細胞を強拡大してチェックでき、スクリーニングおよびズーミングが忠実に再現されることとなる。もちろんフォーカシングについても同様に再現される。

【非特許文献1】鷲谷 清忠、"顕微鏡観察を再現するMicroscope Imaging Technolo gy"、[online]、2003年2月3日、細胞検査士会、http://www.intercyto. com/research/MIT1/index.htm
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記非特許文献1では、再現動画の表示およびその操作についての開示にとどまっており、その動画の具体的な作成手法についての具体的な開示はない。また、上記のような動画の特定部位に関する噴出し説明をも表示することができれば、さらに一層効果的な発表や学習を実現できると考えられる。たとえば、学習指導上重要と思われる異型細胞等の要注意細胞や組織について噴出し説明を自動表示させることで、詳細なヴァーチャル顕微鏡学習が可能になる。
【0007】
そこで、以上のとおりの事情に鑑み、本願発明は、顕微鏡で観察する場合の種々の操作をコンピュータ上で再現させることができる顕微鏡観察再現方法、顕微鏡観察再現装置、顕微鏡観察再現プログラムおよびその記録媒体を提供することを課題としている。
【0008】
また、本願発明は、上記動画の特定部位に関する噴出し説明を表示させることができる顕微鏡観察再現方法、顕微鏡観察再現装置、顕微鏡観察再現プログラムおよびその記録媒体を提供することを別の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、
処理部が、顕微鏡像のうちの撮影対象領域を、互いに周辺部の一部が重なり合うように区分けした複数の区分け領域について、拡大観察する最高倍率で撮影された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータの入力を受け付け、
前記処理部が、前記各区分け領域においてそれぞれ焦点を変えて撮影された複数のフォーカシング用静止画像のデータの入力を受け付け、
前記処理部が、入力された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータおよび入力された複数のフォーカシング用静止画像のデータを記憶手段に記憶させ、
前記処理部が、前記記憶手段から前記複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータを取り出して、これらのデータを繋ぎ合わせた後、所要の範囲を切り抜いて、スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを作成し、該スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを前記記憶手段に記憶させ、
前記処理部が、前記記憶手段から前記複数のフォーカシング用静止画像のデータを取り出して、各フォーカシング用静止画像のデータを同じ精度で編集して、編集済みフォーカシング用静止画像のデータを作成し、該編集済みフォーカシング用静止画像のデータを前記記憶手段に記憶させ、
前記処理部が、前記記憶手段からスクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを取り出してスクリーニング用の動画およびズーミング用の動画を作成し、それらの動画データを前記記憶手段に記憶させ、
前記処理部が、前記記憶手段から編集済みフォーカシング用静止画像のデータを取り出してフォーカシング用の動画を作成し、その動画データを前記記憶手段に記憶させ、
前記処理部が、実際の顕微鏡観察におけるスクリーニング時、ズーミング時、フォーカシング時に見られる顕微鏡像の動きを再現する動画をコンピュータ画面に表示させることを特徴とする顕微鏡観察再現方法を提供する。
【0010】
第2に、上記第1の発明において、前記動画をコンピュータ画面に表示させるとき、この動画上の特定部位にマウスカーソルが位置したときに当該特定部位に関する噴出し説明を表示させることを特徴とする顕微鏡観察再現方法を提供する。
【0011】
また、本願発明は、第3に
顕微鏡像のうちの撮影対象領域を、互いに周辺部の一部が重なり合うように区分けした複数の区分け領域について、拡大観察する最高倍率で撮影された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータを入力する手段、
前記各区分け領域においてそれぞれ焦点を変えて撮影された複数のフォーカシング用静止画像のデータの入力を受け付ける手段、
入力された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータおよび入力された複数のフォーカシング用静止画像のデータを記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段から前記複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータを取り出して、これらのデータを繋ぎ合わせた後、所要の範囲を切り抜いて、スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを作成し、該スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを前記記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段から前記複数のフォーカシング用静止画像のデータを取り出して、各フォーカシング用静止画像のデータを同じ精度で編集して、編集済みフォーカシング用静止画像のデータを作成し、該編集済みフォーカシング用静止画像のデータを前記記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段からスクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを取り出してスクリーニング用の動画およびズーミング用の動画を作成し、それらの動画データを前記記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段から編集済みフォーカシング用静止画像のデータを取り出してフォーカシング用の動画を作成し、その動画データを前記記憶手段に記憶させる手段、および実際の顕微鏡観察におけるスクリーニング時、ズーミング時、フォーカシング時に見られる顕微鏡像の動きを再現する動画をコンピュータ画面に表示させる手段
を備えることを特徴とする顕微鏡観察再現装置を提供する。
【0012】
第4に、上記第3の発明において、さらに、前記動画上の特定部位に関する噴出し説明を予め記憶しておく手段、および表示された前記動画上の前記特定部位にマウスカーソルが位置したときに当該特定部位に関する前記噴出し説明を読み出して表示する手段を備えることを特徴とする顕微鏡観察再現装置を提供する。
【0013】
また、本願発明は、第5に、
顕微鏡像のうちの撮影対象領域を、互いに周辺部の一部が重なり合うように区分けした複数の区分け領域について、拡大観察する最高倍率で撮影された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータの入力を受け付ける手段、
前記各区分け領域においてそれぞれ焦点を変えて撮影された複数のフォーカシング用静止画像のデータの入力を受け付ける手段、
入力された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータおよび入力された複数のフォーカシング用静止画像のデータを記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段から前記複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータを取り出して、これらのデータを繋ぎ合わせた後、所要の範囲を切り抜いて、スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを作成し、該スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを前記記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段から前記複数のフォーカシング用静止画像のデータを取り出して、各フォーカシング用静止画像のデータを同じ精度で編集して、編集済みフォーカシング用静止画像のデータを作成し、該編集済みフォーカシング用静止画像のデータを前記記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段からスクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを取り出してスクリーニング用の動画およびズーミング用の動画を作成し、それらの動画データを前記記憶手段に記憶させる手段、
前記記憶手段から編集済みフォーカシング用静止画像のデータを取り出してフォーカシング用の動画を作成し、その動画データを前記記憶手段に記憶させる手段、および
実際の顕微鏡観察におけるスクリーニング時、ズーミング時、フォーカシング時に見られる顕微鏡像の動きを再現する動画をコンピュータ画面に表示させる手段
としてコンピュータを機能させることを特徴とする顕微鏡観察再現プログラムを提供する。
【0014】
第6に、上記第5の発明において、さらに、前記動画上の特定部位に関する噴出し説明を予め記憶しておく手段、および表示された前記動画上の前記特定部位にマウスカーソルが位置したときに当該特定部位に関する前記噴出し説明を読み出して表示する手段を備え、コンピュータを機能させることを特徴とする顕微鏡観察再現プログラムを提供する。
【0015】
さらに、本願発明は、第7に、上記第5または第6の顕微鏡観察再現プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0016】
上記の顕微鏡観察方法および顕微鏡観察装置によれば、顕微鏡観察を再現する動画(以下「AMI」と呼ぶこととする)をコンピュータ上で正確に再現することが可能となる。また、表示させている際に、たとえば学習指導上重要と思われる異型細胞等の要注意細胞や組織などの特定部位についての噴出し説明を任意に自動表示させることができ、これにより詳細なヴァーチャル顕微鏡学習が可能になる。
【0017】
上記の顕微鏡観察プログラムおよび記録媒体によれば、上記の顕微鏡観察方法および顕微鏡観察装置の発明と同様な効果が得られるコンピュータプログラムおよびそれを記録したフレキシブルディスクやCD、DVDなどの記録媒体が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本願発明の一実施形態について説明する。
【0019】
まず、本願発明による顕微鏡観察用動画として再現したAMIの作成方法の実施形態について述べる。なお、ここでは、細胞診顕微鏡標本の画像を扱う例により説明を行うが、本願発明を限定するものではない。
【0020】
(1)AMI用画像は、たとえば顕微鏡専用のデジタルカメラもしくはハイビジョンカメラを用い、デジタル画像として撮影する。また、AMI作成のために、画像編集・合成(Tiling)用ソフトと、動画作成用ソフトを使用する。このようなソフトは市販のものを使用することができ、たとえば画像編集・合成用ソフトとしては、Photoshop elements 2.0 (登録商標:Adobe社製)等、動画作成用ソフトとしては:ホームページ・ビルダーV9(登録商標:IBM社製)に付属しているHotmedia Creator等を使用することができる。以下では、ここに例示のソフトを用いて説明を行う。
【0021】
(2)デジタル画像の撮影
(i)スクリーニング・ズーミング用画像
撮影したい範囲を決め、拡大観察する最高倍率で目的の視野を全部撮影しておく。なお、画像は合成するので、たとえば10%以上の範囲が重なり合うように撮影する。
【0022】
(ii)フォーカシング用画像
細胞診標本で見られる細胞集塊は細胞が重なっているので、焦点ごとに画像は変化する。その焦点が合った画像をすべて撮影しておく。
【0023】
(3)画像の編集
(i)スクリーニング・ズーミング用画像
撮影した画像を画像編集・合成用ソフトPhotoshop elements 2.0 (登録商標:Adobe社製)で合成(タイリング)する。ファイルメニューの「Photomerge」 を選択し、ソースファイルの「参照ボタン」で合成する画像をすべて選択する(図1(a))と、自動で合成が行われる(図1(b))。合成はピクセル単位で行うので、画像のずれは認められない。合成した画像を切り抜き(図1(c))、編集後ファイル名を付けて保存する(図1(d))。
【0024】
(ii)フォーカシング用画像
得られた画像は同じ精度で編集しておく。ここで編集とは、ある区分け領域で焦点を変えて撮像された複数の画像をフォーカシング方向(像の存在する面に垂直な方向)に積み重ねることである。フォーカシング用画像は合成を行わない。なお、デジタル画像の編集や精度を保つ方法に関しては、たとえば鷲谷 清忠「インターネットサーベイの運用」、Medical Technology, 2001, 1:p.75-81、鷲谷 清忠「第43回細胞診セミナー(仙台)」、ハンドアウト、p.67-76,2001を参照することができる。
【0025】
(4)動画作成
動画作成用ソフトHotMedia creatorで動画(AMI)にする処理について説明する。
【0026】
(i)スクリーニング・ズーミング用画像
HotMedia creator画面のスクロール・イメージをチェックし、「追加ボタン」で合成した画像を読み込む(図2(a))。「プロパティボタン」で画像の設定(最大拡大率:3 初期移動:0 初期表示:1)を行い(図2(b))、ファイルメニューからWebページとして保存する(図2(c))。ここで、mvr(動画)とhtmlの2つのファイルができるので、htmlソースファイルを開き、「APPELET」で囲まれた画像サイズ「(WIDTH, HEIGHT)」の箇所を、パソコンで表示したいサイズに変更(図2(d))する。AMIの実行は、htmlファイルを起動して行う。
【0027】
(ii)フォーカシング用画像
HotMedia creator起動画面のアニメーションをチェックし、「追加ボタン」でフォーカシング用に撮影した画像を読み込む(図3(a))。「プロパティボタン」で画像の設定(アニメーションの自動再生:ループ デフォルト・トランジション時間[表示間隔時間]:3000)を行い(図3(b))、Webページとして、mvrとhtmlの2つのファイル名を付けて保存する。htmlファイルを起動すると、AMIが起動する。
【0028】
次に、解説付噴出し表示可能なAMIの作成方法について述べる。
【0029】
HotMedia creator で作成したmvrファイルを指定(ダブルクリック)して開き(図4(a))、解説付噴出しを作成するために開いた画像をダブルクリックしてポップアップさせておく。次に、マウスをドラッグして噴出し解説をつけたい細胞(部位)を四角で囲むと、「ホットリンクトリガー設定画面」が開く(図4(b))。そこで「マウスオーバーアクション編集ボタン」をクリックして、「ツールヒント欄」に説明を記入する(図4(c))。図4(b)と図4(c)の操作を繰り返すと、複数の噴出し解説を設定できる(図4(d))。htmlファイルにもAltタグという噴出し解説機能があるが、数秒で消えてしまう。その点、ここで述べた方法による解説噴出しはポイントしている間は消えないので、学習用教材として用いた場合にはじっくり勉強できるメリットがある。
【0030】
次に、噴出し説明を表示させることができる本願発明の実施形態を図5を参照して詳細に説明する。図5は本願発明の顕微鏡観察装置のシステム構成図であるである。
【0031】
まず、処理部3は、主記憶部4に記憶されているプログラムの指令を受けて、顕微鏡像のうちの撮影対象領域を、互いに周辺部の一部が重なり合うように区分けした複数の区分け領域について、拡大観察する最高倍率で撮影された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデジタルデータを入力部2より取り込む。また、処理部3は、前記各区分け領域においてそれぞれ焦点を変えて撮影された複数のフォーカシング用静止画像のデジタルデータを入力部2より取り込む。そして、処理部3は、入力された複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータおよび入力された複数のフォーカシング用静止画像のデータを静止画データベース5に記憶させる。
【0032】
続いて、処理部3は、静止画データベース5から前記複数のスクリーニング・ズーミング用静止画像のデータを取り出して、これらのデータを繋ぎ合わせた後、所要の範囲を切り抜いて、スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを作成する。そして、処理部3は、該スクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを静止画データベース5に記憶させる。
【0033】
また、処理部3は、静止画データベース5から前記複数のフォーカシング用静止画像のデータを取り出して、各フォーカシング用静止画像のデータを同じ精度で編集して、編集済みフォーカシング用静止画像のデータを作成する。そして、処理部3は、作成した該編集済みフォーカシング用静止画像のデータを静止画データベース5に記憶させる。
【0034】
次に、処理部3は、静止画データベース5からスクリーニング・ズーミング用合成静止画像のデータを取り出してスクリーニング用の動画およびズーミング用の動画を作成し、それらの動画データを動画データベース6に記憶させる。
【0035】
また、処理部3は、静止画データベース5から編集済みフォーカシング用静止画像のデータを取り出してフォーカシング用の動画を作成し、その動画データを動画データベース6に記憶させる。
【0036】
以上のようにしてAMIが作成される。
【0037】
AMIを表示させる場合、まず、処理部3は、主記憶部4に記憶されているプログラムの指令を受けて、動画データベース6に格納されているAMIを読み出して、表示部1に表示させる。
【0038】
続いて、処理部3は、表示されているAMI上にマウスカーソルを表示させる。このマウスカーソルは、ユーザによるマウス操作に連動してAMI上を移動するものである。
【0039】
ユーザがスクリーニング、ズーミング、フォーカシングを指示する操作をコンピュータに入力すると、その入力に従って実際の顕微鏡像と同じ動きをした動画が再生される。操作入力については、マウス等を用いてコンピュータ画面上に表示されているスクリーニング用ボタン、ズーミング用ボタン、フォーカシング用ボタンの操作あるいは画像のドラッグ等により行う。
【0040】
スクリーニング用の操作を入力すると、コンピュータ画面上に表示されている顕微鏡像がスクリーニング方向に移動し、実際にスクリーニング方向に現れる顕微鏡像が次々と滑らかに映し出される。このときさらにズーミング用の操作を入力すると、コンピュータ画面上の顕微鏡像が拡大または縮小する。これにより、広範囲に渡る弱拡大像を見ながら目に止まった組織や細胞を強拡大してチェックでき、スクリーニングおよびズーミングが忠実に再現されることとなる。もちろんフォーカシングについても同様に再現される。
【0041】
AMI上の特定部位に関する噴出し説明も行う場合について述べると、この場合、処理部3は、このマウスカーソルがAMI上の特定部位に位置したときに、その特定部位に関する噴出し説明を表示させる。噴出し説明については、予め、AMI上の特定部位を一つまたは複数設定し、特定部位毎に噴出し説明データを作成して説明データベース7に格納しておく。処理部3は、AMI上のマウスカーソルの動きをトラッキングし、設定した特定部位の位置にマウスカーソルが位置したときに、該当する特定部位の噴出し説明データを説明データベース7から読み出して瞬時に表示させる。
【0042】
これにより、ユーザは、AMIを見ながら気になった部位にマウスカーソルを動かすだけで、その部位の具体的な説明を見ることができ、顕微鏡操作をシミュレーションしながら重要部位の学習も可能になる。
【0043】
図6(a)~(d)は、各々、噴出し説明が表示される具体例を示したものである。
【0044】
まず図6(a)に示したように、コンピュータ画面上に映し出されている細胞診標本のAMI上にマウスカーソルが表示されており、このマウスカーソルがユーザによるマウス操作と連動してAMI上を移動している間に学習上重要と思われる部位に差し掛かると、図6(b)に示したようにその部位を含む領域の枠が表示される。次に、その枠内をクリックすると、図6(c)に示したように枠内のAMIが拡大表示される。そしてさらに、この拡大AMI内にてマウスカーソルが学習上重要と思われる部位の一つに差し掛かると、図6(d)に示したようにその部位に関する噴出し説明が表示される。このとき、ユーザはAMI上のマウスカーソルをマウス操作により移動させるだけでよく、マウスポイントが特定部位に位置したときに自動的に噴出し説明が表示される。
【0045】
このように、この例では、全体として次のような動作が可能となる。
【0046】
まず、スクリーニング用の操作を入力することにより、コンピュータ画面上に表示されている顕微鏡像がスクリーニング方向に移動する。つまり実際にスクリーニング方向に現れる顕微鏡像が次々と滑らかに映し出される。
【0047】
このときさらにズーミング用の操作を入力すると、コンピュータ画面上の顕微鏡像が拡大または縮小する。つまり実際に拡大または縮小して現れる顕微鏡像が瞬時に映し出される。これにより、広範囲に渡る弱拡大像を見ながら目に止まった組織や細胞を強拡大してチェックでき、スクリーニングおよびズーミングが忠実に再現されることとなる。
【0048】
また、フォーカシング用の操作をすると、たとえばある細胞集塊を立体的に観察した場合は、そのフォーカシングが同様に忠実に再現される。
【0049】
さらに、ユーザがマウスカーソルをAMI上で移動している間に学習上重要と思われる部位に差し掛かると、その部位を含む領域の枠が表示され、その部位に関する噴出し説明が表示される。
【0050】
したがって、以上のとおりに対象標本の顕微鏡観察をコンピュータ上で正確に再現できるので、学会等での発表のみならず、顕微鏡学習にも極めて有用である。
【0051】
もちろん、本願発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能である。たとえば、本願発明は、顕微鏡観察だけではなく、内視鏡観察や肉眼観察にも応用できると考えられ、実際の観察時に見られる動きと同じ動きをする動画を作成し、ユーザの操作入力に従ってその動画を再生させながら任意に説明噴出しを表示できるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(a)~(d)は、スクリーニング・ズーミング用静止画像の編集の説明図 。
【図2】(a)~(d)は、スクリーニング・ズーミング用画像の動画作成の説明図 。
【図3】(a)、(b)は、フォーカシング用画像の動画作成の説明図。
【図4】(a)~(d)は、解説付噴出し表示可能なAMIの作成方法の説明図。
【図5】本願発明の一実施形態を示したシステム構成図。
【図6】(a)~(d)は、各々、噴出し説明を表示する場合のコンピュータ画面の ハードコピー図。
【符号の説明】
【0053】
1 表示部
2 入力部
3 処理部
4 主記憶部
5 静止画データベース
6 動画データベース
7 説明データベース
8 バス
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5