TOP > 国内特許検索 > 酸化プルトニウムを含む規格外燃料および/または廃棄物からのプルトニウム回収方法 > 明細書

明細書 :酸化プルトニウムを含む規格外燃料および/または廃棄物からのプルトニウム回収方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4019180号 (P4019180)
公開番号 特開2006-226902 (P2006-226902A)
登録日 平成19年10月5日(2007.10.5)
発行日 平成19年12月12日(2007.12.12)
公開日 平成18年8月31日(2006.8.31)
発明の名称または考案の名称 酸化プルトニウムを含む規格外燃料および/または廃棄物からのプルトニウム回収方法
国際特許分類 G21C  19/46        (2006.01)
FI G21C 19/46 A
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願2005-042488 (P2005-042488)
出願日 平成17年2月18日(2005.2.18)
審査請求日 平成17年2月18日(2005.2.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人 日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】高橋 芳晴
個別代理人の代理人 【識別番号】100096862、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 千春
審査官 【審査官】山口 敦司
参考文献・文献 特開平04-161888(JP,A)
特開平10-332881(JP,A)
調査した分野 G21C 19/46
特許請求の範囲 【請求項1】
酸化プルトニウムを含む規格外燃料および/または廃棄物と、炭化珪素とを混合した後、真空中あるいは非酸化性雰囲気中にて、1000℃~1700℃の範囲で加熱してプルトニウムと珪素との共晶体を形成し、次いで当該共晶体を2N~7N、20℃~70℃の硝酸に溶解させ、プルトニウムを硝酸プルトニウムとして回収することを特徴とする酸化プルトニウムを含む規格外燃料および/または廃棄物からのプルトニウム回収方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化プルトニウムを含む規格外燃料および/または廃棄物からプルトニウムを回収する湿式処理方法に関する。詳しくは、プルトニウムと珪素との共晶体を形成させ、前記共晶体からプルトニウムを溶解回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非特許文献1に示されるように、プルトニウムの再利用を目的とし、MOX燃料製造時の規格外燃料や、試験施設及び分析施設などから発生する酸化プルトニウムの試験体等の廃棄物からプルトニウムを回収する方法として、これらの規格外燃料や廃棄物を硝酸と作用させることにより酸化プルトニウムを硝酸に溶解させ、硝酸プルトニウムとして回収する方法が取られてきた。
【0003】
しかしながら、プルトニウムの冨化度が高い(例えば15%以上)酸化プルトニウム燃料又はこの酸化物の焙焼体(酸化雰囲気中で例えば500℃以上)を含有する場合は硝酸溶解が困難である。
【0004】
このため、非特許文献2に開示されるように、このような酸化プルトニウム燃料等の硝酸溶解を容易にするため、規格外燃料や廃棄物にウランを添加し、例えば1,200℃以上の高温度でプルトニウムとウランとの固溶体を形成させ、ウランの硝酸溶解能力を利用しプルトニウムを例えば100~110℃の硝酸に長時間溶解させていた。その結果、プルトニウムを単独で取り出せないという欠点があった。
【0005】

【非特許文献1】R.E.Lerch,“Dissolution of Unirradiated Mechanically Blended,Sol-Gel,and Coprecipitated Mixed Oxide Fuel”,HEDL-TME,72-67 C-10(June 1972).
【非特許文献2】M.D.Freshley,D.W.Brite,J.L.Dniel and P.E.Hart,“Irradiation -Induced Densification And PuO2 Particle Behavior In Mixed-Oxide Pellet Fuel”,Journal of Nuclear Materials, vol.81, P63-92(1979).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため,本発明は、プルトニウム冨化度や熱履歴に影響されることなく、酸化プルトニウムを含む規格外燃料および/または廃棄物からプルトニウムを単独で回収する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究の下、酸化プルトニウムを含む規格外燃料および/または廃棄物と、炭化珪素とを混合し、加熱することにより、プルトニウムの富化度や熱履歴に影響されることなくプルトニウムと珪素との共晶体が形成でき、この共晶体においてプルトニウムが硝酸に溶解し易いことを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
【0008】
すなわち本発明は、酸化プルトニウムを含む規格外燃料および/または廃棄物と、炭化珪素とを混合した後、真空中あるいは非酸化性雰囲気中にて、1000℃~1700℃の範囲で加熱してプルトニウムと珪素との共晶体を形成し、次いで当該共晶体を2N~7N、20℃~70℃の硝酸に溶解させ、プルトニウムを硝酸プルトニウムとして回収することを特徴とする酸化プルトニウムを含む規格外燃料および/または廃棄物からのプルトニウム回収方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プルトニウムと珪素との共晶体を形成し、この共晶体と硝酸とを混合することにより、プルトニウムのみが硝酸に溶解するため、硝酸プルトニウムとして容易にプルトニウムを回収することができる。
【0011】
特に、酸化プルトニウムを含む規格外燃料や廃棄物にウランを添加して、プルトニウムとウランとの固溶体を形成させる従来技術においては、固溶体を溶解させる際に使用する硝酸の濃度や温度、溶解時間、添加剤などの厳しい条件が必要となったが、本発明においては、ウランを添加することなく酸化プルトニウムと珪素との共晶体を容易に形成でき、この共晶体を溶解させる際にも比較的低温度、低濃度の硝酸を使用することができる。また、共晶体からプルトニウムを溶解させる場合も、共晶体を形成している珪素、未反応の炭化珪素及び反応副生成物の珪素酸化物等は硝酸に溶解することなく、プルトニウムのみを回収することができる。
【0012】
さらに、酸化プルトニウムと珪素との共晶体を、2N~7Nの低濃度、20℃~70℃の低温度の硝酸で溶解できることは、プルトニウムを回収するうえで不純物を硝酸溶解させない方法のひとつとして利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の酸化プルトニウムを含む規格外燃料および/または廃棄物からのプルトニウム回収方法について、この方法を実施するために好ましく使用できる装置を図示した図1及び図2を用いて、以下に説明する。図1は、電磁波を用いた加熱装置であり、図2は、電気抵抗式加熱装置である。
【0014】
図1における電磁波を用いた加熱装置は、共晶体を収容する回収容器1を内部に備えたオーブン2と、このオーブン2の熱源となるマイクロ波発振器3(例えば2.4GHz)と、マイクロ波発振器3により発振されるマイクロ波をオーブン2に伝達する導波管4とを備えている。このオーブン2内は、真空又は非酸化性雰囲気としてある。
一方、図2における電気抵抗式加熱装置は、共晶体を収容する回収容器11と、複数のヒータ13を有する加熱炉12とを備えている。この加熱炉12内は、真空又は非酸化性雰囲気としてある。
【0015】
かような装置を用いて本発明の方法を実施するに際しては、まず、酸化プルトニウムを含む規格外燃料および/または廃棄物と炭化珪素とを回収容器1,11に収容し、これらの混合物を被処理物とする。
その際、図1の電磁波による加熱装置を用いた場合には、回収容器1内に載置されている炭化珪素の焼成体で成形されたハニカム5に、酸化プルトニウム(粉末状、ペレット状若しくはこれらの混合物)を充填して、被処理物とする。同様に、図2の電気抵抗式加熱炉を用いた場合にも、ハニカム15に、酸化プルトニウムを充填して、被処理物とする。
上述のように炭化珪素のハニカムに酸化プルトニウムを充填したものを被処理物とすることができるが、粉末状またはペレット状の酸化プルトニウムと、炭化珪素とを混合したものを被処理物としてもよい。この場合には、反応効率を向上させることも可能である。
【0016】
次いで、被処理物を真空中又は非酸化性雰囲気中にて、1,000℃~1,700℃に加熱して、プルトニウムと珪素との共晶体を得る。ここで、非酸化性雰囲気とは、不活性ガス存在下等の非酸化性雰囲気にあることを意味する。
なお、加熱装置は、上述の装置に限られるものではなく、酸化プルトニウムと炭化珪素との被処理物を加熱できるものであればよい。
【0017】
次いで、上述の共晶体を、2N~7Nの低濃度、20℃~70℃の低温の硝酸に溶解させる。
すると、プルトニウムのみが硝酸に急速に溶解して、硝酸プルトニウムとして回収できる。なお、共晶体を形成している珪素、未反応の炭化珪素及び反応副生成物の珪素酸化物等は、硝酸に不溶解となるため硝酸プルトニウムを効率よく回収できる。
また、この未反応の炭化珪素、反応副生成物の珪素酸化物及び硝酸溶解残渣等は、炭化珪素原料に混合することにより再利用が可能である。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
<共晶体1>
プルトニウム冨化度30%の高速炉用の規格外MOXペレット(5mmΦ,8mmH)と高熱履歴(非酸化性雰囲気中にて1,650℃で加熱)酸化プルトニウムペレット焼結体とを、炭化珪素セラミックス板上(70mmL×50mmD×5mmT)に縦置きしたものを、アルゴン95%,水素5%の混合ガス中(非酸化性雰囲気)にて1,650℃で2時間加熱した。これによりMOXペレット及び酸化プルトニウムペレット焼結体は、炭化珪素セラミックス板にはめ込まれるように溶融し、プルトニウム及びウランと珪素との共晶体1を形成した。
【0019】
<共晶体2>
炭化珪素セラミックス板を破壊して塊状片としたものの中に前記高熱履歴酸化プルトニウムペレット焼結体を埋めたものを、共晶体1と同一の条件にて加熱した。これにより酸化プルトニウムペレット焼結体が、塊状片の炭化珪素セラミックスにはめ込まれるように溶融し、プルトニウムと珪素との共晶体2を形成した。
【0020】
前記共晶体1を、70℃,4Nの硝酸に浸したところプルトニウムとウランとが急速に溶解し、硝酸プルトニウム及び硝酸ウラニルが同定された。さらに、溶媒抽出法やイオン交換法を用いて、ウランを除去し、硝酸プルトニウムを単独で回収した。
また、前記共晶体2を、同一条件の硝酸に浸したところプルトニウムが急速に溶解し、硝酸プルトニウムが同定された。なお、共晶体1及び2ともに、共晶体の珪素、未反応の炭化珪素セラミックス及び反応副生成物の珪素酸化物は、硝酸に溶解しなかった。
【0021】
(実施例2)
酸化プルトニウム粉末に炭化珪素粉末を質量比で(1:2)に混合し、坩堝に入れ真空中(10-3~10-4Torr)にて、温度1,000~1,300℃で8時間加熱した。すると、反応ガス(CO,CO2)の発生を伴いながら、約1,000℃から反応が開始し、1,300℃で反応が完了した。この加熱後の坩堝内の試料を、70℃,4規定の硝酸に浸したところプルトニウムのみが急速に溶解し、硝酸プルトニウムが同定された。共晶体の珪素、未反応の炭化珪素及び反応副生成物の珪素酸化物は、硝酸に溶解しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の方法を実施するために用いられる加熱装置の一実施例を示す断面模式図である。
【図2】本発明の方法を実施するために用いられる加熱装置の別の実施例を示す断面模式図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1