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明細書 :複合金属酸化物多孔体の製造方法およびこれにより得られる複合金属酸化物多孔体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5098000号 (P5098000)
公開番号 特開2006-256947 (P2006-256947A)
登録日 平成24年10月5日(2012.10.5)
発行日 平成24年12月12日(2012.12.12)
公開日 平成18年9月28日(2006.9.28)
発明の名称または考案の名称 複合金属酸化物多孔体の製造方法およびこれにより得られる複合金属酸化物多孔体
国際特許分類 C01G  49/00        (2006.01)
B01J  23/78        (2006.01)
B01J  35/04        (2006.01)
B01J  35/10        (2006.01)
C01G  53/00        (2006.01)
FI C01G 49/00 D
C01G 49/00 A
C01G 49/00 C
B01J 23/78 M
B01J 35/04 C
B01J 35/10 301G
C01G 53/00 A
請求項の数または発明の数 10
全頁数 24
出願番号 特願2005-141946 (P2005-141946)
出願日 平成17年5月13日(2005.5.13)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成17年2月18日 北海道大学主催の「北海道大学大学院工学研究科 物質工学専攻 修士論文発表会」において文書をもって発表
優先権出願番号 2005041330
優先日 平成17年2月17日(2005.2.17)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年1月28日(2008.1.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
発明者または考案者 【氏名】定金 正洋
【氏名】上田 渉
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
審査官 【審査官】大工原 大二
参考文献・文献 特開2004-250321(JP,A)
特開2000-233999(JP,A)
特開平04-254419(JP,A)
調査した分野 C01G 49/00-49/08
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の金属の金属塩を、ポリオール(A)を含む溶媒に溶解して、原料溶液を調製する原料溶液調製工程と、
前記原料溶液調製工程で得られた原料溶液を、有機ポリマーのコロイド結晶からなるテンプレートに含浸させる含浸工程と、
前記原料溶液を含浸させた前記テンプレートを焼成して、複合金属酸化物を合成するとともに、前記テンプレートを除去する焼成工程とを含み、
前記ポリオール(A)を含む溶媒は、ポリオール(A)と、前記有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒(B)とからなることを特徴とする複合金属酸化物多孔体の製造方法。
【請求項2】
上記有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒(B)は、上記原料溶液100容量部に対して、5容量部以上、90容量部以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の複合金属酸化物多孔体の製造方法。
【請求項3】
上記有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒溶媒(B)はアルコールであることを特徴とする請求項1または2に記載の複合金属酸化物多孔体の製造方法。
【請求項4】
上記ポリオール(A)は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ペンタジオール、1,4-ブタンジオール、またはこれらの2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の複合金属酸化物多孔体の製造方法。
【請求項5】
上記複合金属酸化物はペロブスカイト型金属酸化物であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の複合金属酸化物多孔体の製造方法。
【請求項6】
上記複合金属酸化物はフェライト化合物であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の複合金属酸化物多孔体の製造方法。
【請求項7】
上記コロイド結晶を形成する有機ポリマーのコロイド粒子の粒径は30nm以上、10000nm以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の複合金属酸化物多孔体の製造方法。
【請求項8】
上記原料溶液を含浸させた上記テンプレートを200℃以上1000℃未満で焼成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の複合金属酸化物多孔体の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の複合金属酸化物多孔体の製造方法により製造される複合金属酸化物多孔体。
【請求項10】
細孔径が30nm以上、10000nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の複合金属酸化物多孔体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、複合金属酸化物多孔体の製造方法およびこれにより得られる複合金属酸化物多孔体に関するものである。

【背景技術】
【0002】
均一で規則的な細孔を持つメソないしマクロ多孔体は、組成や構造に多様性があり、繊維や薄膜に加工できるなど形態制御が可能である。それゆえ、ゼオライトなどでは対応できない大きな分子の触媒、吸着剤、分子ふるい、多孔性電極、フォトニック結晶(光結晶)、磁性材料をはじめとして、さまざまな用途に利用できる可能性を有する材料である。かかるメソないしマクロ多孔体を、コロイド結晶からなるテンプレートを用いて合成する方法およびその応用に関する研究が近年盛んに行われている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2等参照。)。
【0003】
粒径のよく揃った粒子(単分散粒子)が規則的に配列した構造を形成したものは、コロイド結晶と呼ばれている。かかるコロイド結晶をテンプレートとして用いる上記方法では、例えば、金属酸化物多孔体を製造する場合を例に挙げると、上記テンプレートに金属酸化物の原料を含浸させ、コロイド粒子の間隙に金属酸化物の原料を浸透させた後、不溶化処理を行い、その後テンプレートを焼成除去するとともに、原料が不溶化されてできた不溶性前駆体から目的とする金属酸化物への合成を行う。
【0004】
かかる方法において用いられる金属酸化物の原料としては、金属アルコキシドを用いる方法や、金属塩を用いる方法が知られている。加水分解により不溶化することが容易なアルコキシドを原料として用いる場合は簡単に目的とする金属酸化物を得ることができる。原料としてその他の金属塩を用いる場合は、アルカリ処理またはシュウ酸処理等により不溶化が行われる。しかし、かかる方法は、単一の金属の金属酸化物には有効であるが、複合金属酸化物の場合は、不溶化処理時に不均質化が起こるという問題があった。
【0005】
かかる問題を解決するために、本発明者らは、複合金属酸化物の原料となる複数の金属の金属塩を、従来用いられていた溶媒である水やアルコール等ではなく、ポリオールに溶解した溶液を、テンプレートのコロイド結晶の間隙に含浸させた後焼成することにより、均質な複合金属酸化物多孔体を製造することに成功している(例えば、非特許文献3、4、5等参照。)。

【特許文献1】米国特許第6680013号公報
【非特許文献1】A.Stein, Micropor.Mesopor.Mater. 44-45(2001)227-239
【非特許文献2】A.Stein, R.C.Schroden, Current Opinion in Solid State and Materials Science 5(2001)553-564
【非特許文献3】上田渉他、北海道大学触媒化学研究センター 新棟移転記念シンポジウム資料、p81、平成16年1月9日開催
【非特許文献4】上田渉他、北海道支部2004年冬季研究発表会要旨集、p35、平成16年2月3日開催
【非特許文献5】上田渉他、第44回オーロラセミナー・第15回吸着シンポジウム(日本吸着学会・触媒学会北海道地区)、p44、平成16年8月5日開催
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複合金属酸化物の原料となる複数の金属の金属塩をポリオールに溶解した溶液を、テンプレートに含浸させた後焼成する、上記非特許文献3、4、5に記載の構成では、均質な複合金属酸化物からなる3次元の多孔体は形成されるが、得られる複合金属酸化物多孔体において多孔構造が形成される部分の複合金属酸化物材料全体に対する割合は、5ないし6割であり、該複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成される部分の割合が十分ではないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、均質な複合金属酸化物からなる複合金属酸化物多孔体であって、複合金属酸化物材料全体にわたって多孔構造が形成されている複合金属酸化物多孔体の製造方法およびこれにより得られる複合金属酸化物多孔体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法は、複数の金属の金属塩を、ポリオール(A)を含む溶媒に溶解して、原料溶液を調製する原料溶液調製工程と、前記原料溶液調製工程で得られた原料溶液を、有機ポリマーのコロイド結晶からなるテンプレートに含浸させる含浸工程と、前記原料溶液を含浸させた前記テンプレートを焼成して、複合金属酸化物を合成するとともに、前記テンプレートを除去する焼成工程とを含み、前記ポリオール(A)を含む溶媒は、ポリオール(A)と、前記有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒(B)とからなることを特徴としている。
【0009】
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法では、上記有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒(B)は、上記原料溶液100容量部に対して、5容量部以上、90容量部以下の範囲であることが好ましい。
【0010】
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法では、上記有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒溶媒(B)はアルコールであることが好ましい。
【0011】
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法では、上記ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ペンタジオール、1,4-ブタンジオール、またはこれらの2種以上の混合物であることが好ましい。
【0012】
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法では、上記複合金属酸化物はペロブスカイト型金属酸化物であることが好ましい。
【0013】
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法では、上記複合金属酸化物はフェライト化合物であってもよい。
【0014】
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法では、上記コロイド結晶を形成する有機ポリマーのコロイド粒子の粒径は30nm以上、10000nm以下であることが好ましい。
【0015】
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法では、上記原料溶液を含浸させた上記テンプレートを200℃以上1000℃未満で焼成することが好ましい。
【0016】
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体は、上記複合金属酸化物多孔体の製造方法により製造された複合金属酸化物多孔体であることを特徴としている。
【0017】
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体では、細孔径が30nm以上、10000nm以下であることが好ましい。
【0018】
本発明にかかる触媒材料は、上記複合金属酸化物多孔体からなることを特徴としている。本発明にかかる触媒は、上記触媒材料を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法は、以上のように、複数の金属の金属塩を、ポリオール(A)を含む溶媒に溶解して、原料溶液を調製する原料溶液調製工程と、前記原料溶液調製工程で得られた原料溶液を、有機ポリマーのコロイド結晶からなるテンプレートに含浸させる含浸工程と、前記原料溶液を含浸させた前記テンプレートを焼成して、複合金属酸化物を合成するとともに、前記テンプレートを除去する焼成工程とを含み、前記ポリオール(A)を含む溶媒は、ポリオール(A)と、前記有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒(B)とからなる構成を備えているので、均質な複合金属酸化物からなる複合金属酸化物多孔体であって、複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成されている部分の割合が向上した複合金属酸化物多孔体が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の複合金属酸化物多孔体の製造方法および複合金属酸化物多孔体並びにその利用について説明すると以下の通りである。
【0021】
(1)複合金属酸化物多孔体の製造方法
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法は、複数の金属の金属塩を、ポリオール(A)を含む溶媒に溶解して、原料溶液を調製する原料溶液調製工程と、前記原料溶液調製工程で得られた原料溶液を、有機ポリマーのコロイド結晶からなるテンプレートに含浸させる含浸工程と、前記原料溶液を含浸させた前記テンプレートを焼成して、複合金属酸化物を合成するとともに、前記テンプレートを除去する焼成工程とを含み、前記ポリオール(A)を含む溶媒は、ポリオール(A)と、前記有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒(B)(以下、本明細書において「溶媒(B)」と略称することがある。)とからなる。
【0022】
すなわち、本発明の複合金属酸化物多孔体の製造方法では、複合金属酸化物の原料となる複数の金属の金属塩をポリオール(A)を含む溶媒に溶解して得られた原料溶液を用いることによって、均質な複合金属酸化物を製造可能であるとともに、複数の金属の金属塩をポリオールのみに溶解する場合は、均質な複合金属酸化物からなる多孔体は形成されるが、該複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成される部分の割合が十分ではないという問題を解決するために、ポリオール溶液に、コロイド結晶を形成する有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒を共存させる。
【0023】
以下、本発明にかかる製造方法について、(1-1)コロイド結晶を形成する有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒(B)、(1-2)原料溶液調製工程、(1-3)含浸工程、(1-4)焼成工程の順に説明する。
【0024】
(1-1)有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒
本発明者らは、複数の金属の金属塩をポリオールのみに溶解する場合に、多孔構造が形成される部分の複合金属酸化物材料全体に対する割合が十分ではないのは、テンプレートとして用いているコロイド結晶のコロイド粒子が、原料溶液を含浸させたテンプレートの焼成時に、ガラス転移温度で融解しテンプレートが収縮する際に、コロイド結晶内に染み込んでいたポリオール溶液がコロイド結晶から外に出たためではないかと考えた。そこで、金属塩をポリオールのみに溶解したポリオール溶液に、コロイド結晶を形成する有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒を共存させたところ、得られる複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成される部分の割合が飛躍的に向上することを見出した。これは、コロイド結晶内に染み込んでいたコロイド粒子のガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒がコロイド粒子収縮前に蒸発し、コロイド粒子収縮の際にコロイド結晶から外に出る溶媒の量が減少したためであると考えられる。
【0025】
このように、本発明にかかる製造方法においては、ポリオール(A)を含む溶媒は、コロイド結晶のガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒(B)を含み、実質的に、ポリオール(A)と、前記有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒(B)とからなっている。かかる溶媒(B)は、コロイド結晶を形成する有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有しているものであればよい。したがって、溶媒(B)は、コロイド結晶の種類に応じて適宜選択することができる。上記有機ポリマーが、例えば、後述するポリスチレンである場合は、上記溶媒(B)は、ポリスチレンのガラス転移温度である82℃より低い沸点を有する溶媒であればよい。また上記有機ポリマーが、例えば、後述するポリメタクリル酸メチルである場合は、上記溶媒(B)は、ポリメタクリル酸メチルのガラス転移温度である105℃より低い沸点を有する溶媒であればよい。なお、このような沸点の例は、原料溶液を含浸させたテンプレートを常圧下で焼成する場合の例であって、減圧下で焼成する場合は、溶媒(B)はより高い沸点を有していてもよい。
【0026】
かかる溶媒(B)としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール等のアルコール;アセトン、2-ブタノン、3-ペンタノン、メチルイソプロピルケトン、メチルn-プロピルケトン、3-ヘキサノン、メチルn-ブチルケトン等のケトン;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の低級飽和炭化水素;酢酸エチルエステル等のエステル;水等を挙げることができる。また、上記溶媒(B)は、上述した1種以上の溶媒の混合物であってもよい。中でも、上記溶媒(B)は、アルコールであることが好ましく、メタノールまたはエタノールであることがより好ましい。
【0027】
また、上記ポリオール(A)を含む溶媒に含まれる上記溶媒(B)の割合は、コロイド結晶を焼成するときにコロイド粒子に染み込んでいたポリオール(A)を含む溶媒が、コロイド粒子がガラス転移点で収縮する際に、コロイド結晶の外に出る量が減少するような量であればよい。かかる溶媒(B)の割合とするためには、上記原料溶液100容量部に対して、溶媒(B)の下限は、5容量部であることが好ましく、10容量部であることがより好ましく、20容量部であることがさらに好ましい。上記原料溶液100容量部に対して、混合する上記溶媒(B)の容量の下限をかかる割合にすることにより、得られる複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成される部分の割合を向上させることが可能となる。また、上記原料溶液100容量部に対して、混合する上記溶媒(B)の容量の上限は、90容量部であることが好ましく、70容量部であることがより好ましく、60容量部であることがさらに好ましい。上記原料溶液100容量部に対して、混合する上記溶媒(B)の容量の上限をかかる割合にすることにより、均質な複合金属酸化物多孔体を得ることが可能となる。
【0028】
また、上記原料溶液100容量部に対して、ポリオール(A)の下限は、1容量部であることが好ましく、5容量部であることがより好ましく、10容量部であることがさらに好ましい。上記原料溶液100容量部に対して、混合する上記溶媒(B)の容量の下限をかかる割合にすることにより、均質な複合金属酸化物多孔体を得ることが可能となる。また、上記原料溶液100容量部に対して、混合するポリオール(A)の容量の上限は、95容量部であることが好ましく、90容量部であることがより好ましく、85容量部であることがさらに好ましい。上記原料溶液100容量部に対して、混合する上記溶媒(B)の容量の上限をかかる割合にすることにより、得られる複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成される部分の割合を向上させることが可能となる。
【0029】
(1-2)原料溶液調製工程
原料溶液調製工程では、複数の金属の金属塩を、ポリオール(A)を含む溶媒に溶解して原料溶液を調製する。ここで、本発明の製造方法で製造する目的物質である複合金属酸化物の金属源となる、金属塩としては、上記金属の硝酸塩;酢酸塩等のカルボン酸塩等を挙げることができる。
【0030】
また、上記金属としては、上記塩として存在する金属であれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、Al、Cu、Zn、Cd、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Yb、Mg、Ca、Sr、Ba等を挙げることができる。
【0031】
上記金属塩としても、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、硝酸鉄(II)六水和物、硝酸鉄(III)九水和物、硝酸ニッケル(II)六水和物、硝酸コバルト(II)六水和物、硝酸マンガン(II)六水和物、硝酸クロム(III)九水和物、硝酸アルミニウム九水和物、硝酸銅(II)三水和物、硝酸亜鉛六水和物、硝酸ランタン(III)六水和物、硝酸ユーロピウム(III)六水和物、硝酸ガドリニウム(III)五水和物、硝酸ストロンチウム四水和物、硝酸セリウム(III)六水和物、硝酸セリウム、硝酸カルシウム等を挙げることができる。
【0032】
本発明では、複合金属酸化物を製造するための、複数の金属の金属源として、複数の金属の金属塩を用いる。したがって、2種以上の上記金属塩を用い、目的とする複合酸化物に応じて、金属塩の組み合わせ、用いる複数の金属塩の割合を適宜選択すればよい。
【0033】
上記金属塩は、ポリオール(A)を含む溶媒に溶解して、原料溶液を調製する。ここで、上記ポリオール(A)としては、例えば具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタジオール、1-6-ヘキサンジオール、またはこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。
【0034】
また、本工程では、複数の金属の金属塩を、ポリオール(A)を含む溶媒に溶解して、原料溶液を調製するが、ここで、「ポリオール(A)を含む溶媒」とは、上記(1-1)で説明したように、ポリオール(A)と、前記有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒(B)とからなっている。したがって、調製された上記原料溶液には、上記複数の金属の金属塩と、上記ポリオール(A)と、上記有機ポリマーのガラス転移温度より低い沸点を有する溶媒(B)とが含まれていればよい。また、これらを混合する順序はどのような順序であってもよく、金属塩をポリオール(A)に溶解した後に、上記溶媒(B)を加えてもよいし、ポリオール(A)と上記溶媒(B)とを混合後、金属塩を溶解してもよい。また、上記溶媒や金属塩を混合するときに、溶液を攪拌することが好ましい。
【0035】
また、上記原料溶液中の金属塩に対するポリオールの割合は、全金属元素1molに対して、0.1mol~50molであることが好ましく、0.3mol~30molであることがより好ましく、0.5mol~15molであることがさらに好ましい。ポリオールの割合が、全金属元素1molに対して、0.1molより小さくてもまた50molより大きくても、均質な複合金属酸化物を得ることができない可能性がある。
【0036】
(1-3)含浸工程
含浸工程では、上記原料溶液調製工程で得られた原料溶液を、有機ポリマーのコロイド結晶からなるテンプレートに含浸させる。
【0037】
本工程で用いるコロイド結晶は、有機ポリマーのコロイド粒子が規則的に配列した構造を形成したものであれば特に限定されるものではない。上記コロイド結晶を形成するコロイド粒子は、形状が揃っているものであることがより好ましい。また、上記コロイド粒子の形状は、球形であることが好ましいが、規則的に配列し、かつ、コロイド粒子間に空隙が存在していれば、他の形状であってもよい。また、上記コロイド粒子は粒径が揃っていることが好ましく、その粒径の相対標準偏差が10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。なお、ここで粒径とは、粒子の形状の最も寸法の大きい方向の寸法をいい、球形の場合はその直径をいう。また、上記コロイド粒子は、周期的な規則配列構造形成しているものであればよいが、最密構造を有することが特に好ましい。本発明の製造方法では、上述したようなコロイド結晶を用いることにより、規則的な細孔を有する複合金属酸化物多孔体を製造することができる。
【0038】
また、上記コロイド粒子の粒径は、30nm以上、10000nm以下であることが好ましく、100nm以上、1000nm以下であることがより好ましい。上記、コロイド粒子の粒径をかかる範囲内で適宜選択することにより、細孔径が30nm~10000nmの範囲で、所望の細孔を有する複合金属酸化物多孔体を製造することが可能となる。
【0039】
また、上記コロイド結晶を形成する有機ポリマーも、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル等を挙げることができる。
【0040】
上記コロイド結晶を調整する方法は特に限定されるものではないが、例えば、単分散した上記有機ポリマーの懸濁液を遠心沈降または重力により沈降させる方法、スピンコートによる方法、単分散した上記有機ポリマーの粉末を圧縮する方法等を挙げることができる。なお、懸濁液から調製したコロイド結晶は、さらに乾燥または焼成されていてもよい。また、本発明で用いるコロイド結晶としては、市販されているコロイド結晶を用いてもよい。
【0041】
本工程では、上記コロイド結晶をテンプレートとして、このテンプレートに、上記原料溶液を含浸させる。含浸させる方法としては、テンプレートを上記原料溶液に浸漬する方法等を挙げることができるが、原料溶液をコロイド粒子の間隙に染み込ませることができる方法であれば特に限定されるものではない。また、テンプレートに、上記原料溶液を含浸させた後、余分な原料溶液の液切り、乾燥等を行ってもよい。
【0042】
上記原料溶液を、コロイド結晶の粒子間に含浸させることにより、規則正しく配列されたコロイド粒子の隙間に上記原料溶液が染み込む。この間隙内で、原料溶液中の金属塩は、後述する焼成工程で、不溶化され、溶融しない金属酸化物前駆体となる。上記金属酸化物前駆体は続いて複合金属酸化物に合成され、コロイド粒子は焼成により除去されるので、除去されたコロイド粒子の部分が孔となり、間隙に存在する複合金属酸化物が規則的に配列する細孔を有する多孔体として残る。
【0043】
(1-4)焼成工程
焼成工程では、上記含浸工程で、原料溶液を含浸させた前記コロイド結晶を焼成する。これにより、上述したようにコロイド結晶は除去され、金属酸化物前駆体は金属酸化物に合成される。
【0044】
焼成の温度は、その下限が200℃であることが好ましく、300℃であることがより好ましく、400℃であることがさらに好ましい。また、焼成温度は、800℃未満であることが好ましく、900℃未満であることがより好ましく、1000℃未満であることがさらに好ましい。この範囲の温度で、複合金属酸化物多孔体が形成される。
【0045】
焼成の時間は、特に限定されるものではないが、10時間以内であることが好ましい。これにより、複合金属酸化物多孔体が形成される。すなわちこれ以上長く焼成すると、結晶の成長により、多孔構造が破壊される可能性がある。
【0046】
また、焼成時の昇温速度は、特に限定されるものではないが、上限は、毎分1000℃であることが好ましく、毎分100℃であることがより好ましい。焼成時の昇温速度の上限をかかる温度とすることにより、多孔構造が破壊される可能性を回避することができる。
【0047】
また、焼成の雰囲気も特に限定されるものではなく、大気中で行ってもよいし、酸素雰囲気下、窒素雰囲気下、または水素雰囲気下で行ってもよい。また、大気中で焼成を行う場合には、空気気流は、0.1mL/min~1000mL/minであることが好ましい。かかる空気気流の範囲とすることにより、テンプレートの除去がスムーズに進み、多孔構造を容易に形成することが可能となる。また、焼成において、発熱を抑えるために、原料溶液を含浸させたテンプレートを、石英砂で希釈してもよい。
【0048】
(2)複合金属酸化物多孔体
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体は、上述した本発明の製造方法により製造される複合金属酸化物多孔体である。この複合金属酸化物多孔体は、均質な複合金属酸化物からなる複合金属酸化物多孔体であって、得られる複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成される部分の割合が向上している複合金属酸化物多孔体である。
【0049】
本発明の複合金属酸化物多孔体において、複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成される部分の割合は、複合金属酸化物材料全体を100容量部としたときに、50容量部以上であることが好ましく、60容量部以上であることがより好ましく、70容量部以上であることがさらに好ましい。これにより、複合金属酸化物多孔体を触媒、吸着剤、分子ふるいとして用いる際の選択性が向上する。
【0050】
また、この複合金属酸化物多孔体は、多数の細孔を有し、かかる細孔の細孔径は30nm以上、10000nm以下の範囲であることが好ましく、50nm以上、1000nm以下の範囲であることがより好ましい。なお、ここで細孔径とは、細孔の断面の最も大きい寸法をいい、細孔の断面が円形の場合はその直径をいう。本発明の複合金属酸化物多孔体は、3次元多孔構造を有する複合金属酸化物多孔体であることが好ましい。また、本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の細孔は細孔径が揃っていることが好ましく、規則的に配列していることが好ましい。なお、ここで細孔径が揃っているとは、細孔径の相対標準偏差が好ましくは20%以下であり、より好ましくは10%以下であることをいう。また、規則的に配列しているとは、3次元のそれぞれの方向において少なくとも10の細孔が等間隔で配列していることをいう。
【0051】
また、本発明の複合金属酸化物多孔体の大きさや形状は、特に限定されるものではない。したがって、本発明の複合金属酸化物多孔体はフィルム状の形状を有していてもよいし、より厚い形状を有していてもよい。
【0052】
また、本発明にかかる複合金属酸化物多孔体を形成する、複合金属酸化物は、上記金属を含む複合金属酸化物であれば、特に限定されるものではないが、かかる複合金属酸化物としては、例えば、ペロブスカイト型酸化物、フェライト化合物等を挙げることができる。
【0053】
かかるペロブスカイト型酸化物は、一般式ABO(式中A、Bは金属を示す。)で表される金属であれば特に限定されるものではないが、例えば、LaFeO、La1-XFeO(M=Ca、SrまたはBa)、LaMnO、La1-XMnO(M=Ca、SrまたはBa)、La1-XCoO(M=Ca、SrまたはBa)、SrTiO、Ba1-XSrTiO等(上記式において0<X<1)を挙げることができる。
【0054】
また、フェライト化合物としては、特に限定されるものではないが、MIIO・Fe(式中MIIはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Cd)等を挙げることができる。
【0055】
(3)本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の利用
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体は、例えば触媒材料として好適に用いることができる。したがって、本発明には、本発明の複合金属酸化物多孔体からなる触媒材料も含まれる。
【0056】
本発明にかかる触媒材料は上述した複合金属酸化物多孔体からなる。したがって、本発明の触媒材料は、上述したように、均質な複合金属酸化物からなる複合金属酸化物多孔体であって、複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成される部分の割合が向上している複合金属酸化物多孔体である。この複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成される部分の割合、多数の細孔を有する点、細孔径、細孔径の分布については、上記(2)で説明した複合金属酸化物多孔体と同様である。
【0057】
また、本発明にかかる触媒材料は、上述した金属を含む複合金属酸化物多孔体であれば、特に限定されるものではないが、かかる複合金属酸化物としては、例えば、ペロブスカイト型酸化物、フェライト化合物等を挙げることができる。ここで、本発明の触媒材料に用いられるペロブスカイト型酸化物およびフェライト化合物についても、上記(2)で説明したとおりであるので、ここでは説明を省略する。中でも、本発明にかかる触媒材料は、上記ペロブスカイト型酸化物の多孔体であることが特に好ましい。
【0058】
本発明の触媒材料は、本発明の複合金属酸化物多孔体からなることにより、多孔体の細孔内に、触媒作用を受ける分子や粒子が侵入するため、高い触媒活性を発揮することが可能となる。さらに、本発明の触媒材料は、それ自体が多孔体であるため、多孔体である触媒担体に触媒を担持させる必要がなく、触媒担体と触媒とが一体となった材料として非常に有用である。なお、本発明の触媒材料は、それ自体で触媒として用いることができるが、もちろん本発明の触媒材料にさらに触媒を担持させて用いてもよい。
【0059】
本発明の触媒材料により、活性化される反応も特に限定されるものではなく、本発明の触媒材料は、例えば、酸化触媒、酸-塩基触媒、光触媒、還元触媒として用いることができる。中でも、例えば、複合金属酸化物が上記ペロブスカイト型酸化物である本発明の触媒材料は、酸化触媒として好適に用いることができる。それゆえ、本発明の触媒材料は、例えば、排ガス中の炭素等の燃焼を促進して除去する燃焼触媒または排ガス浄化用触媒として好適に用いることができる。
【0060】
また、本発明にかかる触媒材料は、上記複合金属酸化物多孔体の細孔に侵入することができる大きさの分子や粒子に対して、特に好適に用いることができる。すなわち、本発明の触媒材料は、分子や粒子の断面の最も小さい寸法が、1nm以上、10000nm以下、より好ましくは、5nm以上、1000nm以下であるような、分子や物質に対してより効果的に用いることができる。また、本発明の触媒材料では、このように、細孔径が、大きいため、特に、比較的大きい分子や粒子に対しても優れた触媒活性を発揮させることが可能となる。
【0061】
また、本発明には、上記触媒材料を含む触媒も含まれる。かかる触媒は、本発明の触媒材料を含んでいれば、特に限定されるものではなく、本発明の触媒材料のみからなるものであってもよいし、さらに他の成分を含むものであってもよい。他の成分を含むものとしては、特に限定されるものではないが、例えば、本発明の触媒材料の細孔内部にさらに他の触媒を担持させたような触媒等を挙げることができる。かかる本発明の触媒は、例えば、酸化触媒、酸-塩基触媒、光触媒、還元触媒として用いることができる。それゆえ、本発明の触媒は排ガス浄化用触媒、水浄化触媒、環境触媒等として好適に用いることができる。
【0062】
(4)本発明にかかる複合金属酸化物粒子の製造方法
本発明者らは、複数の金属の金属塩を、ポリオールを主成分とする溶媒に溶解して、上記テンプレートに含浸することなく、そのまま乾燥し、焼成したところ、ナノサイズの粒子径を有する複合金属酸化物微粒子が得られることを見出した。
【0063】
従って、かかる複合金属酸化物微粒子の製造方法も本発明に含まれる。すなわち本発明にかかる複合金属酸化物微粒子の製造方法は、複数の金属の金属塩を、ポリオールを主成分とする溶媒に溶解する原料溶液調製工程と、前記原料溶液を乾燥後得られる固体を焼成して、複合金属酸化物を合成する焼成工程とを含む構成である。
【0064】
上記ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ペンタジオール、1,4-ブタンジオール、またはこれらの2種以上の混合物であることが好ましい。これにより、均質な複合金属酸化物の微粒子を簡便に製造することができる。
【0065】
また、上記原料溶液中の金属塩に対するポリオールの割合は、全金属元素1molに対して、全金属元素1molに対して、0.1mol~50molであることが好ましく、0.3mol~30molであることがより好ましく、0.5mol~15molであることがさらに好ましい。ポリオールの割合が、全金属元素1molに対して、0.1molより小さくてもまた50molより大きくても、均質な複合金属酸化物を得ることができない可能性がある。
【0066】
また、上記複合金属酸化物はペロブスカイト型金属酸化物であることが好ましい。また上記複合金属酸化物はフェライト化合物であってもよい。上記原料溶液は200℃以上1000℃未満で焼成することが好ましい。
【0067】
また、上記方法により得られた複合金属酸化物微粒子の粒径は5nm以上、1000nm以下であることが好ましく、5nm以上、200nm以下であることがより好ましい。
【0068】
また、上記金属、金属塩、ポリオールは上記(1-2)と、上記焼成の条件は(1-4)と、ペロブスカイト酸化物およびフェライト化合物については上記(2)と同様であるので、ここでは記載を省略する。
【実施例1】
【0069】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0070】
〔実施例1:ペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeO多孔体の製造〕
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法を用いて、ペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeO多孔体の製造を行った。
【0071】
<原料溶液の調製>
10.8g(25mmol)のLa(NO)・6HO(和光純薬製)と、10.1g(25mmol)のFe(NO)・9HO(和光純薬製)とを、100mLのビーカーに入れた後、5mLのエチレングリコールを加え2時間攪拌した。その後、得られたエチレングリコール溶液を全量25mLのメスフラスコに移し、メタノール10mLを添加した後、ビーカーに付着した金属塩のエチレングリコール溶液をエチレングリコールでメスフラスコに洗い出して全容量を25mLとして原料溶液を得た。得られた原料溶液の全金属濃度は2mol/L、メタノールは40vol%であった。
【0072】
<原料溶液のテンプレートへの含浸>
ポリスチレン懸濁液を遠心分離(740G、48時間)して、ポリスチレンの球形コロイド粒子(粒径161±10nm)からなるコロイド結晶をテンプレートとして調製した。得られたテンプレートを原料溶液に8時間漬け、原料溶液をテンプレートに染み込ませた。含浸後、ろ過により余分な溶液を除去し、室温で一晩乾燥した。
【0073】
<テンプレートの除去および複合金属酸化物多孔体の製造>
上述したように原料溶液に含浸させ乾燥して得られたテンプレート約0.5gを約2.5gの石英砂で希釈した。この石英砂で希釈されたテンプレートを内径12mmの石英管中で、50mL/minの空気気流中、昇温速度1℃/minで600℃まで昇温し、5時間保持し、赤茶色の固体粉末を得た。
【0074】
<得られたペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeO多孔体の評価>
RINT Ultima+(株式会社リガク製)を用いて、得られた赤茶色の固体粉末のX線回折を行った。測定は、CuKα線(λ=0.154nm)を用いて行った。図1下段に、得られた複合金属酸化物のX線回折結果を示す。図1下段に示すように、得られた複合金属酸化物は、鉄の酸化物や塩、ランタンの酸化物や塩を含まない結晶性のペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeOであることが確認された。Scherreの式から結晶子径は、16nmと算出された。
【0075】
また、得られた赤茶色の固体粉末の形状、細孔径等を、走査型電子顕微鏡により観察した。走査型電子顕微鏡による観察は、JSM-6500F(日本電子製)を用いて行った。図2に走査型電子顕微鏡による観察結果を示す。図2に示されるように得られた赤茶色の固体粉末は、規則的に配列する3次元多孔構造を有することが確認された。また、得られた複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成される部分の割合が、上記原料溶液がポリオールのみである場合と比較して飛躍的に向上していることが確認された。細孔断面の形状は、略円形であり、細孔径は約95nm、細孔を構成している壁の厚みは約20nmであった。細孔径は、ポリスチレン粒子の粒径と比較して、約60%収縮していた。また、BET測定の結果、得られたペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeO多孔体の比表面積は49m/gであった。
【0076】
〔実施例2:ペロブスカイト型複合金属酸化物La0.9Sr0.1FeO多孔体の製造〕
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法を用いて、ペロブスカイト型複合金属酸化物La0.9Sr0.1FeO多孔体の製造を行った。
【0077】
<原料溶液の調製>
9.7g(11.25mmol)のLa(NO)・6HO(和光純薬製)と、0.25g(1.25mmol)のSr(NO)2(和光純薬製)と、5.1g(12.5mmol)のFe(NO)・9HO(和光純薬製)とを、100mLのビーカーに入れた後、5mLのエチレングリコールを加え2時間攪拌した。その後、得られたエチレングリコール溶液を全量25mLのメスフラスコに移し、メタノール10mLを添加した後、ビーカーに付着した金属塩のエチレングリコール溶液をエチレングリコールでメスフラスコに洗い出して全容量を25mLとして原料溶液を得た。得られた原料溶液の全金属濃度は2mol/L、メタノールは40vol%であった。
【0078】
<原料溶液のテンプレートへの含浸>
ポリスチレン懸濁液を遠心分離(740G、48時間)して、ポリスチレンの球形コロイド粒子(粒径161±10nm)からなるテンプレートを調製した。得られたテンプレートを原料溶液に8時間漬け、原料溶液をテンプレートに染み込ませた。含浸後、ろ過により余分な溶液を除去し、室温で一晩乾燥した。
【0079】
<テンプレートの除去および複合金属酸化物多孔体の製造>
上述したように原料溶液に含浸させ乾燥して得られたテンプレート約0.5gを約2.5gの石英砂で希釈した。この石英砂で希釈されたテンプレートを内径12mmの石英管中で、50mL/minの空気気流中、昇温速度1℃/minで600℃まで昇温し、5時間保持し、黒っぽい赤茶色の固体粉末を得た。
【0080】
<得られたペロブスカイト型複合金属酸化物La0.9Sr0.1FeO多孔体の評価>
RINT Ultima+ (株式会社リガク製)を用いて、得られた黒っぽい赤茶色の固体粉末のX線回折を行った。測定は、CuKα線(λ=0.154nm)を用いて行った。図1上段に、得られた複合金属酸化物のX線回折結果を示す。図1上段に示すように、得られた複合金属酸化物は、鉄の酸化物や塩、ランタンやストロンチウムの酸化物や塩を含まない結晶性のペロブスカイト型複合金属酸化物La0.9Sr0.1FeOであることが確認された。Scherreの式から結晶子径は、18nmと算出された。
【0081】
また、得られた赤茶色の固体粉末の形状、細孔径等を、走査型電子顕微鏡により観察した。走査型電子顕微鏡による観察は、JSM-6500F(日本電子製)を用いて行った。図3に走査型電子顕微鏡による観察結果を示す。図3に示されるように得られた黒っぽい赤茶色の固体粉末は、規則的に配列する3次元多孔構造を有することが確認された。また、得られた複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成される部分の割合が、上記原料溶液がポリオールのみである場合と比較して飛躍的に向上していることが確認された。細孔断面の形状は、略円形であり、細孔径は約72nm、細孔を構成している壁の厚みは約17nmであった。細孔径は、ポリスチレン粒子の粒径と比較して、約45%収縮していた。また、BET測定の結果、得られたペロブスカイト型複合金属酸化物La0.9Sr0.1FeO多孔体の比表面積は42m/gであった。
【0082】
〔実施例3:フェライト化合物NiFe多孔体の製造〕
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法を用いて、フェライト化合物NiFe多孔体の製造を行った。
【0083】
<原料溶液の調製>
7.3g(25mmol)のNi(NO)2・6HO(和光純薬製)と、10.1g(25mmol)のFe(NO)・9HO(和光純薬製)とを、100mLのビーカーに入れた後、5mLのエチレングリコールを加え2時間攪拌した。その後、得られたエチレングリコール溶液を全量25mLのメスフラスコに移し、メタノール10mLを添加した後、ビーカーに付着した金属塩のエチレングリコール溶液をエチレングリコールでメスフラスコに洗い出して全容量を25mLとして原料溶液を得た。得られた原料溶液の全金属濃度は2mol/L、メタノールは40vol%であった。
【0084】
<原料溶液のテンプレートへの含浸>
ポリメチルメタクリレート懸濁液を遠心分離(1000rpm、72時間)して、ポリメチルメタクリレートの球形コロイド粒子(粒径290nm)からなるテンプレートを調製した。得られたテンプレートを原料溶液に8時間漬け、原料溶液をテンプレートに染み込ませた。含浸後、ろ過により余分な溶液を除去し、室温で一晩乾燥した。
【0085】
<テンプレートの除去および複合金属酸化物多孔体の製造>
上述したように原料溶液に含浸させ乾燥して得られたテンプレート約0.5gを約2.5gの石英砂で希釈した。この石英砂で希釈されたテンプレートを内径12mmの石英管中で、50mL/minの空気気流中、昇温速度1℃/minで600℃まで昇温し、5時間保持し、赤茶色の固体粉末を得た。
【0086】
<得られたフェライト化合物NiFe多孔体の評価>
RINT Ultima+ (株式会社リガク製)を用いて、得られた赤茶色の固体粉末のX線回折を行った。測定は、CuKα線(λ=0.154nm)を用いて行った。得られた複合金属酸化物のX線回折結果より、得られた複合金属酸化物は、鉄の酸化物や塩、ニッケルの酸化物や塩を含まない結晶性のフェライト化合物NiFe多孔体であることが確認された。
【0087】
また、得られた赤茶色の固体粉末の形状、細孔径等を、走査型電子顕微鏡により観察した。走査型電子顕微鏡による観察は、JSM-6500F(日本電子製)を用いて行った。図4に走査型電子顕微鏡による観察結果を示す。図4に示されるように得られた赤茶色の固体粉末は、規則的に配列する3次元多孔構造を有することが確認された。また、得られた複合金属酸化物材料全体に対して多孔構造が形成される部分の割合が、上記原料溶液がポリオールのみである場合と比較して飛躍的に向上していることが確認された。
【0088】
〔実施例4:ペロブスカイト型複合金属酸化物多孔体からなる触媒(触媒材料)の製造〕
本発明にかかる複合金属酸化物多孔体の製造方法を用いて、組成の異なる5種類のペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeO、La1-XSrFeO(X=0.1、0.2、0.3、および0.4)多孔体の製造を行い、得られたペロブスカイト型複合金属酸化物多孔体を酸化触媒として用いたときの酸化触媒活性を評価した。反応にはペロブスカイト型複合金属酸化物多孔体の細孔径の約10分の1の大きさの炭素ナノ粒子(粒径10nm以下の燃焼反応を用いた。
【0089】
<ペロブスカイト型複合金属酸化物多孔体の製造>
以下の表1に示す量のLa(NO)・6HO(和光純薬製)と、Sr(NO)2(和光純薬製)と、Fe(NO)・9HO(和光純薬製)とをそれぞれ用いた以外は、実施例2と同様にして、ペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeO、La0.9Sr0.1FeO、La0.8Sr0.2FeO、La0.7Sr0.3FeO、およびLa0.6Sr0.4FeOの多孔体を製造した。また、実施例2と同様にして、得られたペロブスカイト型複合金属酸化物多孔体の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0090】
【表1】
JP0005098000B2_000002t.gif

【0091】
【表2】
JP0005098000B2_000003t.gif

【0092】
<触媒活性の評価>
ナノアマンド(NanoAmando(登録商標)) ナノダイヤモンドコロイド(有限会社ナノ炭素研究所製、成分:エタノール(分散媒)、8.23wt%、(80.0g/L)、粒径:10nm以下)を用い、30ml/min空気気流中下でTG-DTA(熱重量-示差熱分析)を測定した。
【0093】
まず、触媒として本実施例で製造されたペロブスカイト型複合金属酸化物多孔体20mg、ナノダイヤモンドコロイド溶液を25ml、およびCOH(試薬特級、関東化学株式会社製)625mlを混合し、5分間超音波処理を行った。その後、100℃で1時間乾燥し、ナノ炭素粒子が約10wt%になるようなナノ炭素粒子と触媒の混合試料を得た。この混合試料約10mgのTG-DTAを、TG-DTA(リガク製、差動型示差熱天秤TG8120、熱分析装置Thermo Plus)を用いて行った。測定条件は以下のとおりである。サンプルパン:Pt、基準物質:α-Al、雰囲気:空気、昇温速度:10℃/min、測定温度範囲:20~800℃。
【0094】
触媒として、本実施例で得られたLaFeO多孔体を用いたときのTG-DTAの結果を図6(b)に、本実施例で得られたLa0.8Sr0.2FeO多孔体を用いたときのTG-DTAの結果を図6(c)に、本実施例で得られたLa0.6Sr0.4FeO多孔体を用いたときのTG-DTAの結果を図6(d)に示す。
【0095】
また、後述する比較例1および2に示すように、エチレングリコール法で合成した同じ組成のLaFeO、La1-XSrFeOで細孔を持たないペロブスカイト型複合金属酸化物、メカノケミカル法(1100℃、20時間焼成)で合成した細孔を持たないペロブスカイト型複合金属酸化物、触媒を用いない場合についても、TG-DTAを行いその結果を比較した。なお、ここでエチレングリコール法とは、テンプレートを用いずに、金属塩のエチレングリコール溶液から複合金属酸化物を合成する方法をさす。また、メカノケミカル法とは原料金属酸化物を物理混合し、高温焼成により複合金属酸化物を得る方法をいう。図6(a)には、後述する比較例1における、触媒を用いない場合のTG-DTAの結果を、図6(e)、(f)および(g)には、後述する比較例2における、触媒としてエチレングリコール法で製造した細孔を持たない、それぞれ、LaFeO、La0.8Sr0.2FeO、およびLa0.6Sr0.4FeOを用いた場合のTG-DTAの結果を、図6(h)には、後述する比較例2における、触媒として、メカノケミカル法で製造した細孔を持たないLaFeOを用いた場合のTG-DTAの結果を示す。
【0096】
これらの結果から、炭素ナノ粒子の燃焼にともなう発熱ピークを比較することで、触媒活性を比較した。触媒を用いない場合(図6(a))には、480℃から630℃にかけて大きな発熱を伴いながら約96%の重量減少が起きた。この発熱ピークは炭素ナノ粒子の燃焼に伴うピークである。このときDTAが最大となる時の温度は584℃であった。炭素ナノ粒子と本実施例で得られた触媒(触媒材料)を混合させた場合(図6(b)、(c)および(d))には、室温から430℃付近にかけて1~2wt%の重量減少が見られ、さらに昇温すると、430℃から550℃にかけて発熱を伴いながら8~10wt%の重量減少が見られた。この発熱は炭素ナノ粒子の燃焼によるものである。このとき、DTA発熱ピークが最大となる時の温度は本実施例で得られたLaFeOを触媒に用いた時は495℃(図6(b))、本実施例で得られたLa0.8Sr0.2FeOを触媒に用いた時は520℃(図6(c))、本実施例で得られたLa0.6Sr0.4FeOを触媒に用いた時は528℃(図6(d))となり、触媒を用いない場合よりも低温で炭素ナノ粒子の燃焼が起きたことから、本実施例で得られたこれらの触媒(触媒材料)は、炭素の酸化反応に対して活性をもつことが分かる。このように本実施例で得られた細孔を持つ触媒の中で比較した場合は、Srを含まないLaFeOが最も高い触媒活性を示した。この理由としては明らかではないが、Srを含む触媒(触媒材料)は、Srを含まないLaFeOと比較して、表2に示すようにBET表面積が減少し、また細孔が歪んでいることから、炭素ナノ粒子が細孔に十分取り入れられてないことが可能性として挙げられる。
【0097】
細孔を持たない触媒を炭素ナノ粒子と混合させた場合には、室温から460℃にかけて約1wt%の重量減少が見られた後、460℃から575℃にかけて炭素ナノ粒子の燃焼による発熱を伴いながら約6~7wt%の重量減少が見られた。また、DTA発熱ピークが最大となる時の温度は細孔を持たないエチレングリコール法で合成されたLaFeOを触媒に用いた時は540℃(図6(e))、細孔を持たないエチレングリコール法で合成されたLa0.8Sr0.2FeOを触媒に用いた時は526℃(図6(f))、細孔を持たないエチレングリコール法で合成されたLa0.6Sr0.4FeOを触媒に用いた時は526℃となり(図6(g))、細孔を持たないエチレングリコール法で合成された触媒の中で比較した場合はLa0.8Sr0.2FeO、La0.6Sr0.4FeOの方がLaFeOより高い触媒活性を示した。また、細孔を持たないメカノケミカル法で合成したLaFeOは566℃でDTAが最大となり(図6(h))、最も触媒活性が低かった。
【0098】
また、図7に、本実施例で製造した細孔を持つLaFeOを触媒として用いた場合(a)、エチレングリコール法で合成した細孔を持たないLaFeOを触媒として用いた場合(b)、メカノケミカル法で合成した細孔を持たないLaFeOを触媒として用いた場合(c)、触媒を用いない場合(d)のDTA測定の結果を示す。図6に示すように、炭素ナノ粒子の燃焼に伴うDTAが最大となる温度は、本実施例で得られた細孔を有するLaFeOでは495℃、エチレングリコール法で合成した細孔を持たないLaFeOでは540℃、メカノケミカル法で合成した細孔を持たないLaFeOでは566℃、触媒を用いない場合584℃であることから細孔を持つLaFeOが最も触媒活性が高いことが分かった。これは、細孔を持つ場合は10nm程度の炭素ナノ粒子が細孔に取り入れられ、炭素と触媒が十分に接触しているのに対し、細孔を持たない場合は、触媒と炭素ナノ粒子が十分に接触していないためであると考えられる。以上のことから、10nm程度の大きさの炭素の燃焼反応にペロブスカイト型複合金属酸化物多孔体が触媒として有効であることが分かった。
【0099】
以上のように、ペロブスカイト型複合金属酸化物多孔体は、細孔より小さく、拡散が遅い固体の燃焼に特に有効であると考えられる。このことから、ペロブスカイト型複合金属酸化物多孔体は目視できない炭素の微小粒子を除去する触媒として有用であると考えられる。それゆえ、ペロブスカイト型複合金属酸化物多孔体はディーゼルエンジンの排ガス成分であるPM(Particulate Matter)を除去する触媒としての応用が期待できる。
【0100】
〔比較例1:触媒を用いない場合の炭素ナノ粒子の燃焼反応〕
ナノアマンド(NanoAmando(登録商標)) ナノダイヤモンドコロイド(有限会社ナノ炭素研究所製、成分:エタノール(分散媒)、8.23wt%、(80.0g/L)、粒径:10nm以下)を用い、触媒を用いないで、30ml/min空気気流中下でTG-DTA(熱重量-示差熱分析)を測定した。
【0101】
Ptパンに25mlのナノダイヤモンドコロイド溶液を入れ、100℃で1時間乾燥させた後に析出する約2mgの炭素ナノ粒子のTG-DTAを行った。測定条件は以下の通りである。サンプルパン:Pt、基準物質:α-Al、雰囲気:空気、昇温速度:10℃/min、測定温度範囲:20~800℃。
【0102】
〔比較例2:細孔を持たないペロブスカイト型複合金属酸化物を用いた場合の触媒活性の評価〕
細孔を持たないペロブスカイト型複合金属酸化物を製造し、実施例4と同様にして炭素ナノ粒子の燃焼反応における触媒活性の評価を行った。
【0103】
<細孔を持たないペロブスカイト型複合金属酸化物のエチレングリコール法による製造>
表1に示す量のLa(NO)・6HO(和光純薬製)と、Sr(NO)2(和光純薬製)と、Fe(NO)・9HO(和光純薬製)とをそれぞれ用いた以外は、実施例2と同様にして原料溶液(原料金属塩のエチレングリコールとメタノール混合液(全金属濃度2M))を調製した。得られた原料溶液約10gをそれぞれマッフル炉(YAMATO FP-22)で1℃/minの昇温速度で室温から200℃まで昇温し、溶媒を蒸発させて固体を得た。得られた固体を50ml/minの空気気流中、1℃/minの昇温速度で600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した。
【0104】
<細孔を持たないペロブスカイト型複合金属酸化物のメカノケミカル法による製造>
LaO(25mmol、8.145g)とFeO(25mmol、3.990g)を自動乳鉢器(AMN 1000型、日陶化学株式会社製)で12時間混合した。この混合試料をマッフル炉で、10℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させ、1100℃で20時間保持した。
【0105】
〔実施例5:ペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeO微粒子の製造〕
本発明にかかる複合金属酸化物微粒子の製造方法を用いて、ペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeO微粒子の製造を行った。
【0106】
<原料溶液の調製>
10.8g(25mmol)のLa(NO)・6HO(和光純薬製)と、10.1g(25mmol)のFe(NO)・9HO(和光純薬製)とを、100mLのビーカーに入れた後、5mLのエチレングリコールを加え2時間攪拌し、原料溶液を調製した。
【0107】
<複合金属酸化物微粒子の製造>
得られた原料溶液約10mLを、200℃まで毎分1度で昇温して乾燥した。その後、さらに600℃まで昇温し、5時間保持して赤茶色の固体粉末を得た。
【0108】
<得られたペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeO微粒子の評価>
RINT Ultima+(株式会社リガク製)を用いて、得られた赤茶色の固体粉末のX線回折を行った。測定は、CuKα線(λ=0.154nm)を用いて行った。図5に、得られた複合金属酸化物微粒子のX線回折結果を示す。図5に示すように、得られた複合金属酸化物は、鉄の酸化物や塩、ランタンの酸化物や塩を含まない結晶性のペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeOであることが確認された。Scherreの式から結晶子径は、18.8nmと算出された。
【0109】
また、得られた赤茶色の固体粉末の形状、細孔径等を、走査型電子顕微鏡により観察した。走査型電子顕微鏡による観察は、JSM-6500F(日本電子製)を用いて行った。得られた複合金属酸化物は、略円形で、粒径が52±8nmの微粒子であった。
【産業上の利用可能性】
【0110】
50nm~1000nmの細孔を有する複合金属酸化物多孔体は、例えば触媒、吸着剤、分子ふるい、多孔性電極、フォトニック結晶(光結晶)、磁性材料のような多くの技術分野において利用できる。
【0111】
本発明は、従来は、合成が困難であった、複合金属酸化物材料全体にわたって均質な多孔構造が形成されている複合金属酸化物多孔体を合成可能にするものである。また、極めて簡便に上記特性を有する複合金属酸化物多孔体を製造できるという利点があり、製造工業での大量合成を計る上で大きな利点となる。
【0112】
それゆえ本発明は、複合金属酸化物多孔体を基礎素材として供給する基礎材料化学工業のみならず、触媒、吸着剤、分子ふるい、多孔性電極等を製造する化学工業、燃料電池等を製造する電池製造業、電子部品製造業、機械器具製造業、電気機械器具製造業等においても利用することができ、しかも非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】実施例において得られたペロブスカイト型複合金属酸化物のX線回折結果を示す図であり、上段は実施例2において得られたペロブスカイト型複合金属酸化物La0.9Sr0.1FeO多孔体のX線回折結果を示す図であり、下段は実施例1において得られたペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeO多孔体のX線回折結果を示す図である。
【図2】実施例1において得られたペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeO多孔体の走査型電子顕微鏡による観察結果を示す図である。
【図3】実施例2において得られたペロブスカイト型複合金属酸化物La0.9Sr0.1FeO多孔体のX線回折結果を示す図である。
【図4】実施例3において得られたフェライト化合物NiFe多孔体の走査型電子顕微鏡による観察結果を示す図である。
【図5】実施例5において得られたペロブスカイト型複合金属酸化物LaFeO微粒子のX線回折結果を示す図である。
【図6】炭素ナノ粒子の燃焼反応におけるTG-DTAの結果を示すグラフであり、図6(a)は触媒を用いない場合の炭素ナノ粒子の燃焼反応のTG-DTAの結果を、図6(b)は触媒として実施例4で製造したLaFeO多孔体を用いたときの炭素ナノ粒子の燃焼反応のTG-DTAの結果を、図6(c)は触媒として実施例4で製造したLa0.8Sr0.2FeO多孔体を用いたときの炭素ナノ粒子の燃焼反応のTG-DTAの結果を、図6(d)は触媒として実施例4で製造したLa0.6Sr0.4FeO多孔体を用いたときの炭素ナノ粒子の燃焼反応のTG-DTAの結果を、図6(e)は触媒として比較例2でエチレングリコール法を用いて製造したLaFeOを用いたときの炭素ナノ粒子の燃焼反応のTG-DTAの結果を、図6(f)は触媒として比較例2でエチレングリコール法を用いて製造したLa0.8Sr0.2FeOを用いたときの炭素ナノ粒子の燃焼反応のTG-DTAの結果を、図6(g)は触媒として比較例2でエチレングリコール法を用いて製造したLa0.6Sr0.4FeOを用いたときの炭素ナノ粒子の燃焼反応のTG-DTAの結果を、図6(h)は触媒として比較例2でメカノケミカル法を用いて製造したLaFeOを用いたときの炭素ナノ粒子の燃焼反応のTG-DTAの結果を示すグラフである。
【図7】実施例4で製造した細孔を持つLaFeOを触媒として用いた場合、エチレングリコール法で合成した細孔を持たないLaFeOを触媒として用いた場合、メカノケミカル法で合成した細孔を持たないLaFeOを触媒として用いた場合、触媒を用いない場合のDTA測定の結果を示すグラフである。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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