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明細書 :外側に可動部を持たない小型ロボット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5000099号 (P5000099)
公開番号 特開2006-305695 (P2006-305695A)
登録日 平成24年5月25日(2012.5.25)
発行日 平成24年8月15日(2012.8.15)
公開日 平成18年11月9日(2006.11.9)
発明の名称または考案の名称 外側に可動部を持たない小型ロボット
国際特許分類 B25J   7/00        (2006.01)
A61J   3/07        (2006.01)
FI B25J 7/00
A61J 3/07 E
請求項の数または発明の数 4
全頁数 17
出願番号 特願2005-133145 (P2005-133145)
出願日 平成17年4月28日(2005.4.28)
審査請求日 平成20年4月28日(2008.4.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】古田 勝久
【氏名】李 洪誼
個別代理人の代理人 【識別番号】110000800、【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
【識別番号】100081477、【弁理士】、【氏名又は名称】堀 進
審査官 【審査官】金丸 治之
参考文献・文献 国際公開第2003/053225(WO,A1)
特開2003-265404(JP,A)
特開2003-265403(JP,A)
調査した分野 B25J 7/00
A61J 3/07
特許請求の範囲 【請求項1】
筒状の本体と、前記本体の内部に該本体の進行方向と平行に移動自在な可動体として収納された磁石と、前記本体の周囲に巻いたコイルと、前記本体の内部に前記磁石が移動する空間を残して前記本体内に収納され、前記本体内で前記磁石を移動させるために前記コイルに電圧を印加する駆動回路とを有し、
前記駆動回路は、前記磁石を前記本体の進行方向と反対の方向に移動させるときには、前記コイルに所定電圧の高周波パルスを印加することで高速移動させ、前記磁石を前記本体の進行方向に移動させるときには、前記コイルに所定電圧の低周波パルスを印加することで低速移動させるように制御され、
前記磁石の高速移動時には運動量保存の法則に従って前記本体を進行させ、前記磁石の低速移動時には前記本体とその周囲との静止摩擦力により前記本体を静止させたまま、前記磁石を前記本体に対する当初位置に戻すことを特徴とする、外側に可動部を持たない小型ロボット。
【請求項2】
請求項1記載の小型ロボットにおいて、前記駆動回路は、
前記磁石を前記本体内の前方停止位置から前記本体の進行方向と反対の方向に大きい加速度で駆動することにより、前記本体を停止位置から進行方向に高速度で移動させるステップ1と、
前記磁石の駆動開始からの経過時間をtで表わすとき、t=t1の時点で前記磁石の前記反対の方向への駆動を停止することにより、t=t2の時点で前記本体の進行方向への移動を停止するステップ2と、
前記本体の停止後、t=t3の時点で前記磁石が前記本体内の後方停止位置で停止するまで前記磁石を前記反対の方向に駆動するステップ3と、
前記本体が停止している状態で、前記磁石を前記後方停止位置から前記本体の進行方向に駆動し、t=t4の時点で前記磁石を前記本体内の前方停止位置で停止させるステップ4とを繰り返すことによって前記本体を移動させるように構成され、
前記本体の移動開始から停止までの時間t2を短くすることにより、前記本体と前記磁石の質量の比が小さいほど前記本体の平均移動速度が増大するようにしたことを特徴とする小型ロボット
【請求項3】
請求項2記載の小型ロボットにおいて、
前記駆動回路は、外部の駆動制御手段からの制御信号に応じて、前記ステップ1~4における前記磁石の駆動を制御する駆動信号を発生するように前記本体内に収納されていることを特徴とする小型ロボット。
【請求項4】
請求項2記載の小型ロボットにおいて、
前記駆動回路は、前記本体に対抗して前記磁石を前記ステップ1~4の繰返しで駆動する電圧を前記コイルに加えるように構成されていることを特徴とする小型ロボット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、外側に可動部を持たない自動推進式の小型ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
カプセルロボット或いはマイクロロボットと称される(超)小型の自律走行型ロボットには、以下のタイプがある。一つは、可動脚を持つロボット又は尺取虫型の(inchworm)ロボットである。このタイプのロボットは、外側に可動部を有し、ボディの形状変化させることで動く。このため、構造が複雑で小型にするのが難しく、容易に故障し、特に医療への応用では人体を損傷する可能性がある。
【0003】
もう1つのタイプは、外部から推進駆動するロボットである。このタイプのロボットは、例えば、外部の磁界で動かされる磁石を有する。このため、強い磁界を必要とし、制御するのが難しい。医療に用いる場合は、ロボットを入れる人体を外部磁界に置く必要があり、そのためのシステムが大掛かりなものとなり、高価である。
【0004】
また、人体に経口投入して臓器を検査するための、自律走行型ではないマイクロカプセル型ロボットが提案されている(下記特許文献1参照)。このロボットは、カプセル状のロボット本体に、カメラ装置、照明装置、送受信装置、制御装置及び電源装置を内蔵するとともに、送受信装置が人体の外部から無線で受信した停止制御信号に基づいて作動して、臓器の特定検査部位でロボットの移動を停止させ又は遅くするための停止手段を搭載し、人体の外部からの停止制御信号により特定検査部位でロボットの移動を停止させるものである。しかしながら、このマイクロカプセル型ロボットは、上記停止手段として、ロボット本体から突出する掛止部材又は膨張部材、或いはロボット本体の外周に配設された吸着部を備えており、これら停止手段は、ロボットの外側でボディの形状を変化させる可動部であるから、前述のような問題点がある。また、このマイクロカプセル型ロボットは、それ自体で移動可能な自律走行型ではない。
【0005】

【特許文献1】特開2004-440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の課題を解決するものとして、自律推進型で外側に可動部を持たない超小型化可能なカプセルロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の小型ロボットは、筒状の本体と、前記本体の内部に該本体の進行方向と平行に移動自在な可動体として収納された磁石と、前記本体の周囲に巻いたコイルと、前記本体の内部に前記磁石が移動する空間を残して前記本体内に収納され、前記本体内で前記磁石を移動させるために前記コイルに電圧を印加する駆動回路とを有し、
前記駆動回路は、前記磁石を前記本体の進行方向と反対の方向に移動させるときには、前記コイルに所定電圧の高周波パルスを印加することで高速移動させ、前記磁石を前記本体の進行方向に移動させるときには、前記コイルに所定電圧の低周波パルスを印加することで低速移動させるように制御されるものであり、
前記磁石の高速移動時には運動量保存の法則に従って前記本体を進行させ、前記磁石の低速移動時には前記本体とその周囲との静止摩擦力により前記本体を静止させたまま、前記磁石を前記本体に対する当初位置に戻すことを特徴とする
【0008】
本発明の実施態様では、前記駆動回路は、前記磁石を前記本体内の前方停止位置から前記本体の進行方向と反対の方向に大きい加速度で駆動することにより、前記本体を停止位置から進行方向に高速度で移動させるステップ1と、
前記磁石の駆動開始からの経過時間をtで表わすとき、t=t1の時点で前記磁石の前記反対の方向への駆動を停止することにより、t=t2の時点で前記本体の進行方向への移動を停止するステップ2と、
前記本体の停止後、t=t3の時点で前記磁石が前記本体内の後方停止位置で停止するまで前記磁石を前記反対の方向に駆動するステップ3と、
前記本体が停止している状態で、前記磁石を前記後方停止位置から前記本体の進行方向に駆動し、t=t4の時点で前記磁石を前記本体内の前方停止位置で停止させるステップ4とを繰り返すことによって前記本体を移動させるように構成され、
前記本体の移動開始から停止までの時間t2を短くすることにより、前記本体と前記磁石の質量の比が小さいほど前記本体の平均移動速度が増大することが好ましい
【0009】
上記実施態様において、前記駆動回路は、外部の駆動制御手段からの制御信号に応じて、前記ステップ1~4における前記磁石の駆動を制御する駆動信号を発生するように前記本体内に収納されることが好ましい。
【0010】
また、一の実施形態では、前記駆動回路は、前記本体に対抗して前記磁石を前記ステップ1~4の繰り返しで駆動する電圧を前記コイルに加えるように構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、本体の内部に前記磁石が移動する空間を残して本体内に収納され、前記本体内で前記磁石を移動させるために前記コイルに電圧を印加する駆動回路は、前記磁石を前記本体の進行方向と反対の方向に移動させるときには、前記コイルに所定電圧の高周波パルスを印加することで高速移動させ、前記磁石を前記本体の進行方向に移動させるときには、前記コイルに所定電圧の低周波パルスを印加することで低速移動させるように制御される。
これにより、前記磁石の高速移動時には運動量保存の法則に従って前記本体を進行させ、前記磁石の低速移動時には前記本体とその周囲との静止摩擦力により前記本体を静止させたまま、前記磁石を前記本体に対する当初位置に戻す動作を行う小型ロボットが、カプセル状の本体の外側に可動部を持たない極めて単純な機械的及び電気的な構造で、非常に信頼性が高く、極めて小型化されたものとして実現できる。例えば、直径6mm、長さ30mm以下のサイズに作ることができる。また、高価な部品は不要であるから、安価に造ることができる。

【0012】
また、本発明の小型ロボットは外側に可動部を持たないので、人体内に投入されても、人体内を損傷する可能性が最少であり、消化器などの臓器の検査や手術のような医学分野での応用に大きい将来性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の実施例として、動作試験用に製作されたカプセルロボット1を示す。(A)及び(B)は、長さ方向及び直径方向の断面図である。このカプセルロボット1は、その外周面にコイル2を巻いた円筒形のカプセル状本体3と、この本体3の内部において長さ方向に移動自在に収納された可動体としての円柱形のNiFeB磁石4と、本体3の内部において円筒の一端側(図では左側)に円筒の長さのほぼ半分に亘って収納固定された駆動回路部5とから成る。この実施例では、本体3の長さは98mm、その外径(コイル2を含む)及び内径はそれぞれ16mm及び12mm、磁石4の長さ及び直径はそれぞれ20mm及び10mmである。従って、磁石4は、コイル2に電圧を加えることで磁界が発生すると、本体3内をほぼ40mmの長さ範囲に亘って移動するスライダとして動作することができる。
【0014】
駆動回路部5は、図2に示すように、4個のMOS型トランジスタ(FET)6~9を接続したH-ブリッジ駆動回路から成り、これに15ボルトのDC電源10が接続されると共に、入力側の2つのFET6,7のゲートに接続したパラレル入力ポート(Input 1,Input 2)には、駆動制御手段としてのコンピュータ(図示省略)から制御信号が供給される。
【0015】
H-ブリッジ駆動回路は、入力ポートに供給される制御信号に応じて、ブリッジを構成する各FETのオン・オフを切替えることにより、ブリッジの出力ポート間に接続したコイル2に加える電圧を制御する。この電圧は、図3に示すように、一定振幅(例えば10ボルト)の正及び負のパルスから成り、後述 (図6) のように、速い移動状態(Fast Mode)では高周波数のパルスとして、遅い移動状態(Slow Mode)では低周波数のパルスとして、コイル2に加えられる。図3に示した電圧は、後述のステップ1~4による1ストローク動作のための供給電圧である。この電圧によるロボットの駆動制御動作については、後述する。
【0016】
この実施例では、電源10と、制御信号を発生する駆動制御手段としてのコンピュータは、カプセルロボット1の外部にあって、リード線のような電気的接続手段により駆動回路部5と接続されるが、電源は、超小型のバッテリーを用いて本体3内の駆動回路部5に収納することが望ましい。また、駆動制御手段と駆動回路部5は、無線で通信可能に構成してもよい。特に、カプセルロボット1を人体内の検査或いは診断に用いる場合には、その動作を制御する信号を無線方式で送信することが好ましい。
【0017】
図4は、本発明のカプセルロボットの動作を説明するための基本構成図である。図において、x及びxはx軸上における本体3(質量m)及び磁石4(質量m)の位置、μはカプセルロボットとこれが移動する環境(例えば、カプセルを人体内に入れたとき、これを移動させる食道や内臓の壁面)との間の静止摩擦係数、uは本体3と磁石4との間に作用する内力である。
【0018】
このカプセルロボットを前方(図の右方向:x>0)に動かすために必要な制御動作は、次の4つのステップから成る。なお、速度(dx/dt)をv,加速度(d2x/dt2)をαと表す。
(1)磁石4を後方へ大きく加速するとき(α2<<0)、本体3は前方へ加速運動を行う(α>0)。
(2)磁石4を後方へ減速するとき(α2>0)、本体3は前方へ減速して停止する(α<0)。
(3)磁石4を更に減速するとき(α2>0)、本体3は静止している(v=0)。
(4)磁石4を前方へ低速度で動かすとき(v2≦ε)、本体3は静止している(v=0)。
【0019】
このカプセルロボットの動作は、次のようになる。
【0020】
図5に示すように、初めに(時刻t=0)、本体3は開始位置(x1(0)=0)にあり、磁石4は本体3内の最前方位置(開始位置から所定距離aだけ前方に離れた位置:x2(0)=x1(0)+a)にあって、停止している。
【0021】
コイル2に所定の電圧を加えて、磁石4を後方に加速移動させると、ステップ1で、本体3は前方に加速移動する。その後、コイル電圧が0になると(t=t1)、ステップ2で、磁石4は減速し、本体3も減速して停止する(t=t)。その後、ステップ3で、磁石4が本体3内の最後方位置で停止したとき(t=t)、本体3は停止している。ここで、コイル2に逆の電圧を加えて、磁石4を反対方向すなわち前方へ低速度で移動させると、ステップ4で、本体3は停止したまま磁石4が本体3内の最前位置に戻る(t=t)。これらのステップ1~4において、磁石4の速度は、図6に示すように変化する。
【0022】
上記4つのステップにより、本体3は、ステップ1の開始位置x1(0)からステップ2の停止位置x1(t2)まで一定の距離dを移動する。この距離dは、後述のように式(14)で表される。これを1ストロークとして上記4つのステップの動作を繰り返すことで、カプセルロボットは前進運動を続けることができる。
【0023】
図7は、上記カプセルロボットの動作状態の遷移を表した図である。すなわち、カプセルロボットの動作状態は、速い移動(Fast Mode)と遅い移動(Slow Mode)とに分けられる。前者の状態は上記ステップ1及び2を含み、後述の運動方程式(3)及び(4)で表される。後者の状態は上記ステップ3及び4を含み、本体3の速度v=0及び後述の式(4)で表される。
【0024】
これらの状態遷移は、次のように行われる。初めに、速い移動が開始され、最後に本体3が停止して(v=0)、遅い移動へ移行し、遅い移動の最後に磁石4が停止して(v=0)、速い移動の開始前に戻る。このとき、磁石4と本体3の位置は一定距離だけ離れている(x2-x1=a)。
【0025】
以下、本発明のカプセルロボットの動作原理を説明する。
【0026】
まず、図4のカプセルロボットの運動方程式は、次のように表される。
【0027】
【数1】
JP0005000099B2_000002t.gif

【0028】
故に、
【0029】
【数2】
JP0005000099B2_000003t.gif

【0030】
ここで、
【0031】
【数3】
JP0005000099B2_000004t.gif

【0032】
とすると、
【0033】
【数4】
JP0005000099B2_000005t.gif

【0034】
本体3の速度が正のとき、式(1)を2回積分すると次のようになる。
【0035】
【数5】
JP0005000099B2_000006t.gif

【0036】
式(8)は、運動量保存則である。
【0037】
上記のように、ステップ1及び2では、
【0038】
【数6】
JP0005000099B2_000007t.gif

【0039】
すなわち、t=t2のとき
【0040】
【数7】
JP0005000099B2_000008t.gif

【0041】
であるから、式(8)より
【0042】
【数8】
JP0005000099B2_000009t.gif

【0043】
ここで、時間t2 は、後述のように小さいほどよい(t2<<0 )。次に、カプセルロボットの動作を上記のように制御するために必要な力uは、本体3が1ストローク移動した時点t2で、条件
【0045】
【数9】
JP0005000099B2_000010t.gif

【0046】
を満たすものでなければならないが、この条件を満たすユニークな解はない。そこで、全ての可能な制御力uのうち最小のエネルギーを最小化するものを見つける。これは、エネルギー関数
【0047】
【数10】
JP0005000099B2_000011t.gif

【0048】
を最小にするuを見つけることである。
【0049】
まず、上記式(3)について積分すると、式(16)の第1条件から
【0050】
【数11】
JP0005000099B2_000012t.gif

【0051】
ここで、uは次のように平均の力u0と変化分δuとに分解できる。
【0052】
【数12】
JP0005000099B2_000013t.gif

【0053】
従って、エネルギー関数は、次のようになる。
【0054】
【数13】
JP0005000099B2_000014t.gif

【0055】
故に、変化分
【0056】
【数14】
JP0005000099B2_000015t.gif

【0057】
を最小化すればよい。
【0058】
次に、式(7)について2回積分すると、式(16)の第2条件により
【0059】
【数15】
JP0005000099B2_000016t.gif

【0060】
右辺に式(19)及び(20)を代入すると、
【0061】
【数16】
JP0005000099B2_000017t.gif

【0062】
故に、δuについての方程式
【0063】
【数17】
JP0005000099B2_000018t.gif

【0064】
を得る。この制約条件で上記エネルギー関数の変化分η’を最小にするδuを求めるために、次の補助定理を用いる。
[定理]
定数T,M及び一定でない関数α(t)を与えるとき、次の最適化問題:
【0065】
【数18】
JP0005000099B2_000019t.gif

【0066】
の解は、
【0067】
【数19】
JP0005000099B2_000020t.gif

【0068】
で、最小コスト(エネルギー)は、
【0069】
【数20】
JP0005000099B2_000021t.gif

【0070】
である。
【0071】
[証明]
Cauchy-Schwartzの不等式に従えば、α0を任意の定数としたとき、
【0072】
【数21】
JP0005000099B2_000022t.gif

【0073】
ここで、βを定数として、
【0074】
【数22】
JP0005000099B2_000023t.gif

【0075】
とすれば、式(28)の第1条件から
【0076】
【数23】
JP0005000099B2_000024t.gif

【0077】
これを式(33)に代入すると、
【0078】
【数24】
JP0005000099B2_000025t.gif

【0079】
また、式(28)の第2条件から
【0080】
【数25】
JP0005000099B2_000026t.gif

【0081】
これが、最小のuを与える。
関数α(t)における変化分が全エネルギーを最小にする機会を与える。
【0082】
ここで、α(t)をt、Tをt2、Mを
【0083】
【数26】
JP0005000099B2_000027t.gif

【0084】
とすると、エネルギーを最小にする解は、式(29)より
【0085】
【数27】
JP0005000099B2_000028t.gif

【0086】
となる。また、対応する最小コストは、
【0087】
【数28】
JP0005000099B2_000029t.gif

【0088】
である。
【0089】
エネルギー効率を増すために、終端時間t2の選択により、一の変位(1ストローク)についてエネルギー使用を最小にすることができる。
【0090】
【数29】
JP0005000099B2_000030t.gif

【0091】

このη1のt2についての変化分dη1/dt2=0を数値的に解くことが必要である。
【0092】
次に、上記ステップ3及び4では、本体3の速度v=dx1/dt=0であり、図5に示すように、本体3(m1)と磁石4(m2)との間に力Fを加えて、磁石4を本体3に対しステップ1の開始時の位置、すなわちx2(t4)=x(t2)+aに戻すことができる。
【0093】
このとき、本体3の静止状態を維持するためには、力Fの大きさは、本体3とその環境との間の最大摩擦力より小さい、すなわち、|F|<μ(m1+m2)gでなければならない。ここで、静止摩擦係数と摺動摩擦係数は互いに僅かに異なるが、その違いは区別しない。ここでは、ステップ3及び4に費される時間を最小にする、すなわち min(t4-t2)を求めることが必要である。
【0094】
磁石4に加えられる最大加速度の大きさをβとすれば、
【0095】
【数30】
JP0005000099B2_000031t.gif

【0096】
ステップ4に費やされる時間(t4-t3)は、次式を満足する。
【0097】
【数31】
JP0005000099B2_000032t.gif

【0098】
また、式(14)より
【0099】
【数32】
JP0005000099B2_000033t.gif

【0100】
故に、時間t2をできるだけ短くすると、カプセルの平均速度は次のようになる。
【0101】
【数33】
JP0005000099B2_000034t.gif

【0102】
従って、カプセルの平均速度を増大するためには、本体3と磁石4の質量の比(m1/m2)をできるだけ小さくすることが必要である。
【0103】
最後に、上記実施例のカプセルロボットを、図3の電圧信号で駆動したときの結果を示す。カプセルロボットは、平均20ストロークで158mm前進、すなわち1ストロークで7.9mm、1秒あたり19.8mm移動した。
【0104】
上記実施例によれば、駆動回路部5で前記4つのステップを繰り返すことによって本体3を移動させることに加えて、本体3の移動開始から停止までの時間2を短くすることにより、本体3と磁石4の質量の比が小さいほど本体3の平均移動速度が増大するので、迅速に動作する小型ロボットを実現できる。
【0105】
上記のように本発明の小型ロボットは、外側に可動部分がなく、人体内に投入可能な大きさに小型化できるものであるから、例えば自動推進式内視鏡として、医療分野において大きな応用性を有する。或いは、工場や研究設備などで細い管路やチューブ内を点検する場合のように、小型の自動推進マシンを必要とする分野で有用性がある。

【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施例として動作試験用に製作されたカプセルロボットを示す図。
【図2】図1のカプセルロボットに用いられる駆動回路の構成を示す回路図。
【図3】図1のカプセルロボットが1ストローク動作するための供給電圧の例を示す図。
【図4】本発明のカプセルロボットの基本構成図。
【図5】図4のカプセルロボットの動作説明図。
【図6】ステップ1~4における磁石の速度の変化を示す図。
【図7】カプセルロボットの動作状態の遷移を示す図。
【符号の説明】
【0107】
1…カプセルロボット、2…コイル、3…カプセル状本体、4…磁石、5…駆動回路部、6~9…FET。

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6