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明細書 :二酸化炭素の高度固定化物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5055536号 (P5055536)
公開番号 特開2006-219406 (P2006-219406A)
登録日 平成24年8月10日(2012.8.10)
発行日 平成24年10月24日(2012.10.24)
公開日 平成18年8月24日(2006.8.24)
発明の名称または考案の名称 二酸化炭素の高度固定化物
国際特許分類 C07D 317/38        (2006.01)
H01B   1/06        (2006.01)
H01M  10/05        (2010.01)
FI C07D 317/38
H01B 1/06 Z
H01M 10/40 A
請求項の数または発明の数 2
全頁数 6
出願番号 特願2005-033574 (P2005-033574)
出願日 平成17年2月9日(2005.2.9)
審査請求日 平成20年1月31日(2008.1.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
発明者または考案者 【氏名】葭田 真昭
個別代理人の代理人 【識別番号】100101340、【弁理士】、【氏名又は名称】丸山 英一
審査官 【審査官】砂原 一公
参考文献・文献 米国特許出願公開第2002/0168575(US,A1)
特表2002-534775(JP,A)
特表2001-516492(JP,A)
特開2002-175837(JP,A)
特開2003-040885(JP,A)
調査した分野 C07D 317/38
H01B 1/06
H01M 10/05
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(4a)及び(4b)で表される化合物を超臨界二酸化炭素で処理することにより、下記一般式(1)で表される、二酸化炭素の高度固定化物を製造する方法。
【化1】
JP0005055536B2_000007t.gif

【請求項2】
下記一般式(5a)及び(5b)で表される化合物を超臨界二酸化炭素で処理することにより、下記一般式(1)で、二酸化炭素の高度固定化物を製造する方法。
【化2】
JP0005055536B2_000008t.gif
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な二酸化炭素の高度固定化物に関し、詳しくは電気化学電池に使用されるカーボネート誘導体である二酸化炭素の高度固定化物に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボネート類は、リチウムイオン電池用電解質、電気二重層キャパシタ用電解質、アルカリ金属電気化学電池用電解質などに利用されている化合物群である。
【0003】
これまでその電気化学的な機能を高めるために、環状カーボネート官能基を有するポリマーが提案されたり(特許文献1)、新規なグリセリンジカーボネートが提案されたり(特許文献2)、環状カーバメート等が提案されている(特許文献3)。

【特許文献1】特開平10-60210号公報
【特許文献2】特開2003-40885号公報
【特許文献3】特開2003-77536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、電解質は衝撃を与えるとしばしば発火するなど問題があるものの、積極的に安全性の対策がなされてこなかった。
【0005】
本発明者は、電解質の電気化学機能に、難燃性の機能を付加した新たなカーボネート類を開発し、安全性に寄与することを見出し、本発明に至った。
【0006】
本発明の課題は、電気化学機能に、難燃性の機能を付加した新たなカーボネート類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、電気化学機能に、難燃性の機能を付加した新たなカーボネート類を開発に鋭意研究の結果、電気化学電池に使用されるカーボネート誘導体の多くが、二酸化炭素が固定された形の分子構造であることに注目し、分子中に二酸化炭素由来の部分ができるだけ多いカーボネート類を開発した。これらは熱分解時に二酸化炭素が発生し、自己消型の難燃性の機能が付加された材料である。
【0008】
即ち、上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0009】
(請求項1)
下記一般式(1)で表されることを特徴とする二酸化炭素の高度固定化物。
【化4】
JP0005055536B2_000002t.gif

〔式中、Aは酸素原子またはNHを表す。〕
【0010】
(請求項2)
下記一般式(2)で表されることを特徴とする二酸化炭素の高度固定化物。
【化5】
JP0005055536B2_000003t.gif


〔式中、Aは酸素原子またはNHを表す。〕
【0011】
(請求項3)
下記一般式(3)で表されることを特徴とする二酸化炭素の高度固定化物。
【化6】
JP0005055536B2_000004t.gif


〔式中、Aは酸素原子またはNHを表す。〕
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、電気化学機能に、難燃性の機能を付加した新たな二酸化炭素の高度固定化物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、新規な二酸化炭素の高度固定化物を提供するものであり、その構造式は、上記一般式(1)、(2)又は(3)で表される。これらは熱分解時に二酸化炭素が発生し、自己消型の難燃性の機能が付加された材料となるので、本発明の新規化合物は、電気化学機能に、難燃性の機能が付加されたものである。
【0014】
本発明に係る一般式(1)、(2)又は(3)で表される二酸化炭素の高度固定化物は、該化合物の分子量のうち二酸化炭素由来の部分が50%を超えることが好ましい。分子量のうち二酸化炭素由来の部分が50%を超えると、電気化学機能に、難燃性の機能がより高度に付加されたものとなり好ましい。
【0015】
本発明の一般式(1)で示す化合物であるトリカーボネート〔(式中、Aはすべて酸素原子(O))は、下記化7で示す式のようにグリシドールとエピクロロヒドリンから、塩基(例えば炭酸カリウム)およびオニウム塩(例えばテトラブチルアンモニウムブロマイド)存在下で、超臨界二酸化炭素で処理することにより、合計3分子の二酸化炭素を固定してワンポットで得ることができる。
【0016】
【化7】
JP0005055536B2_000005t.gif

【0017】
この反応は段階的に行うことができ、環状カーボネートのアルコールと環状カーボネートの塩化物とを入手後、上記と同様に反応しても得られる。
【0018】
環状カーボネートの塩化物単独でも、上記の反応条件をやや厳しくすることでトリカーボネートを得ることができる。
【0019】
環状カーボネートのアルコールは、ホスゲンやトリホスゲンのようなホスゲン等価体と、ピリジン中で処理してもトリカーボネートを得ることができる。
【0020】
環状カーボネート誘導体の代わりに環状ウレタンのアルコールやハライドを用いて同様な反応を行うと、環状ウレタンカーボネートが得られる。
【0021】
環状カーボネートや環状ウレタンのアミンを原料に用いるとウレタン結合や尿素結合で環状化合物を連結した化合物が得られる。
【0022】
上記一般式(1)、(2)又は(3)で示される化合物の例示化合物は、式中のAに、酸素原子またはNHを導入したものが挙げられる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例について説明するが、かかる実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施例1)
50mlステンレス製オートクレーブに、炭酸カリウム(1.385 g)とテトラブチルアンモニウムブロマイド(0.081 g)を秤量瓶で測りとったもの、グリシドール(0.38 g)、エピクロロヒドリン(0.75 g)およびDMSO(0.8 g)の順に加え、室温で液化二酸化炭素(13.5 g)を導入し、100℃に加熱すると超臨界状態(7.4 MPa)となり1時間撹拌反応させた。
【0025】
反応後、反応容器を氷冷し減圧した後容器を開け、アセトニトリルで生成物を抽出し、無機化合物をろ過で除いた。ろ液を濃縮すると、下記構造式のトリカーボネートが1.15 g得られた。
【0026】
【化8】
JP0005055536B2_000006t.gif

【0027】
アセトニトリルから再結晶するとmp155.5-157.0℃の無色の結晶が得られた。IR (KBr) 1760,1792cm2; 1H-NMR (400 MHz, DMSO) δ=4.28~4.32 (2H, m), 4.36 (2H, ddd, J=12.2, 5.2, 0.8 Hz), 4.41 (2H, ddd, J=12.2, 2.8, 0.8 Hz), 4.58 (2H, t, J=8.8 Hz), 5.04~5.09 (2H, m); 13C-NMR (100 Hz, DMSO) δ=65.7, 67.2, 74.0, 153.8, 154.8.
【0028】
(実施例2)
100mlステンレス製オートクレーブに、炭酸カリウム(4.13 g)とテトラブチルアンモニウムブロマイド(0.024 g)、4-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン(1.77 g)、4-クロロメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン(3.0 g)および液化二酸化炭素を加え90℃に加熱し、9 MPaで2時間撹拌反応した。反応後、実施例1と同様に処理し、実施例1と同一の構造式のトリカーボネートが3.03 g得られた。
【0029】
(実施例3)
30 mlフラスコに4-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン(0.59 g)を加え乾燥ピリジン(5 ml)で溶解する。フラスコを冷却しながらトリホスゲン(1.48 g)を徐々に加え、室温で1時間撹拌反応する。反応後、析出した塩酸塩をろ別し、ろ液を濃縮すると、実施例1と同一の構造式のトリカーボネートが0.61 g得られた。