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明細書 :ビアを用いない左手系媒質

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3947793号 (P3947793)
公開番号 特開2006-245984 (P2006-245984A)
登録日 平成19年4月27日(2007.4.27)
発行日 平成19年7月25日(2007.7.25)
公開日 平成18年9月14日(2006.9.14)
発明の名称または考案の名称 ビアを用いない左手系媒質
国際特許分類 H01P   1/00        (2006.01)
FI H01P 1/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 20
出願番号 特願2005-058443 (P2005-058443)
出願日 平成17年3月3日(2005.3.3)
審査請求日 平成18年10月6日(2006.10.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】真田 篤志
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
審査官 【審査官】儀同 孝信
参考文献・文献 国際公開第2004/025783(WO,A1)
特開2002-510886(JP,A)
特開2002-204123(JP,A)
特開2005-020266(JP,A)
特開2003-158416(JP,A)
特表2002-534883(JP,A)
特表2003-526423(JP,A)
米国特許第5728346(US,A)
特開2004-032779(JP,A)
特開2004-032777(JP,A)
ROBERTO COCCIOLI,APERTURE-COUPLED PATCH ANTENNA ON UC-PBG SUBSTRATE,IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES,米国,IEEE INC.,1999年11月,VOL.47 No.11,2123-2130
調査した分野 H01P 1/00- 1/08、 3/00- 5/22、
H01Q 5/00-19/32
特許請求の範囲 【請求項1】
基板上面に複数の単位セルからなる導電パターンを形成し、基板下面にグランド面としての導電パターンを形成してなる左手系媒質において、上面基板の導電パターンとグランド面の導電パターンとの間でキャパシタンスを形成し、グランド面の導電パターンの一部とグランド面のグランド部分でもって電気的に等価な並列インダクタンスを形成することを特徴とするビアを用いない左手系媒質。
【請求項2】
上記基板上面の単位セルの導電パターンは方形金属パッチで形成され、該基板上面の単位セルの導電パターンに対向するグランド面の導電パターンは、2辺をグランド領域で隔離され、他の1辺の部分で導電体に接続された三角形の金属パッチが、グランド領域で隔離された2辺でなる頂点で対向するように配置された4つの三角形の金属パッチの組み合わせで形成されることを特徴とする請求項1記載のビアを用いない左手系媒質。
【請求項3】
上記基板上面の単位セルの導電パターンは菱形の金属パッチで形成され、該基板上面の単位セルの導電パターンに対向するグランド面の導電パターンは、長辺をグランド領域で隔離され、他の2辺でなる頂点が導電体に接続された三角形の金属パッチが、頂点で対向するように配置された4つの三角形の金属パッチの組み合わせで形成されることを特徴とする請求項1記載のビアを用いない左手系媒質。
【請求項4】
上面基板の導電パターンとグランド面の導電パターンとの間でキャパシタンスを形成し、グランド面の導電パターンにおける上面基板の導電パターンの縁と対向する部分と、グランド面のグランド部分でもって電気的に等価な並列インダクタンスを形成することを特徴とする請求項2または請求項3記載のビアを用いない左手系媒質。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はビア(スルーホール)を用いない、左手系特性を持つ2次元構造周期構造の媒質に関する。
【背景技術】
【0002】
金属、誘電体、磁性体、超伝導体などの小片を、波長に対して十分短い間隔(波長の20分の1程度以下)で並べることで自然にはない性質を待った媒質を人工的に構成することができる。この媒質を自然にある媒質を超えると言う意味でメタマテリアル(metamaterials)と呼んでいる。メタマテリアルの性質は、単位粒子の形状、材質およびそれらの配置により様々に変化するが、中でも、等価的な誘電率εと透磁率μとが同時に負となるメタマテリアルは、その電界と磁界と波数ベクトルが左手系をなすことから「左手系媒質」(Left-Handed Materials)と名づけられた。これに対して、等価的な誘電率εと透磁率μとが同時に正となる通常の媒質は「右手系媒質(Left-Handed Materials」と呼ばれる。特に、「左手系媒質」は、バックワード波と呼ばれる、波の群速度(エネルギーの伝播する速度)と位相速度(位相の進む速度)の符号が逆転している波の存在や、また、非伝播領域で指数関数的に減衰する波であるエバネセント波の増幅、等の特異な性質を持つことが1967年にロシアの物理学者Veselagoによって予言されている。これら誘電率ε、透磁率μと媒質との関係領域は、図1に示すように、誘電率εの正負及び透磁率μの正負に応じた第1象限~第4象限の媒質に分類できる。
【0003】
従来より、左手系媒質がいくつか発明されているので、以下に代表的な物を例示する。スプリット・リング共振器とワイヤ共振器とを単位セルとして構成した左手系人工媒質があり、左手系特性を示すことが実験的にも示されている(例えば、非特許文献1参照。)。この構造は共振器を用いるため共振型左手系媒質と呼ばれる。この媒質は、スプリット・リング共振器とワイヤ共振器の共振周波数付近でのみ動作することができるため、共振による損失が非常に大きくかつ動作帯域も非常に狭いものであった。
【0004】
共振器を用いないで左手系特性を得る1次元の非共振型の左手系媒質として、マイクロストリップ線路のもの(例えば、非特許文献2参照。)、あるいはコプレーナ線路(Coplanar Waveguide:CPW)を基にした1次元の構成のもの(例えば、非特許文献3参照。)もある。これらの媒質は、隣接する単位セル金属パターン間の直列容量と、金属パターンとグランド面を接続するビアにより生ずる並列インダクタンスにより左手系特性を得ている。ところが、基板を貫通するビアの密度は制作上限られているため、この制限により単位セルの大きさを小さくすることが難しく、集積化が困難といった問題があった。また、基板面のみの加工に加えて基板を貫通する金属を作成するため、製造コストがかかるといった問題点もあった。
【0005】
また、2次元の非共振型左手系媒質として、直列容量と並列インダクタンスをLC集中定数チップ素子で構成したもの(例えば、非特許文献4参照。)、金属パターンのみにより構成した分布定数型のもの(例えば、非特許文献5参照。)がある。いずれの場合にも、接地面に対する並列インダクタンスを構成するために、基板を貫通するインダクタチップまたはビア(スルーホール)を用いており前述の問題を孕んでいる。
【0006】
ビアを用いないで左手系特性を持たせるよう工夫した1次元線路も知られており、この構造は並列のインダクタンスをビアで基板裏面の接地面に直接接続する代わりに、大きな対地容量を持つ大面積金属パッチに接続した構成である(例えば、非特許文献6参照。)。ところが、この構成は大面積の金属パッチを必要とするため、集積化には向かない。また、2次元媒質への拡張もなされていない。

【非特許文献1】D.R.Smith,W.J.Padilla,D.C.Vier,S.C.Nemat-Nasser,and S.Schultz,“Composite medium with simultaneously negative permeability and permittivity,”Phys.Rev.Lett.,vol.84,no.18,pp.4184-4187,May 2000.
【非特許文献2】C.Caloz,and T.Itoh,“Application of the transmission line theory of left-handed(LH)materials to the realization of a microstrip LH transmission line”,IEEE-APS Int‘l Symp.Digest,vol.2,pp.412-415,June 2002.
【非特許文献3】A.Grbic and G.V.Eleftheriades,“Experimental verifica-tion of backward-wave radiation from a negative refractive index material,”Journal of Applied Physics,Vol.92,No.10,pp.5930-5935,Nov.2002.
【非特許文献4】A.K.Iyer and G.V.Eleftheriades,“Negative refractive index media using periodically L-C loaded Transmission lines,”IEEE-MTT Int‘l Symp.Digest,pp 1067-1070,June 2002.
【非特許文献5】Atsushi Sanada,Christophe Caloz and Tatsuo Itoh,``Planar Distributed Structures with Negative Refractive Index,’’IEEE Trans.on Microw-ave Theory and Techniques,Vol.52,No.4,pp.1252-1263,April 2004.
【非特許文献6】Atsushi Sanada,Koichi Murakami,Shuji Aso,Hiroshi Kubo,and Ikuo Awai,“A via-free microstrip left-handed transmission line,”IEEE International Microwave Symposium Digest,pp.301-304,Fort Worth,June 2004.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のものは基板を貫通し上面基板とグランド面との間を接続してインダクタンスを形成するためのビア(スルーホール)を穿孔しなければならないが、そのために設けるビアの密度の上限は限られているため、集積化が困難といった問題があった。また、基板面のみの加工に加えて基板を貫通する金属を作成するため、製造コストがかかるといった問題点もあった。そこで、本発明は、直接基板表面と裏面のグランド面とを結ぶビアを用いることなく、基板上面に施した導体パターンとグランド面に施した導体パターンとの組み合わせにより電気的に等価な並列インダクタンスを実現し、左手系特性を持つ2次元構造周期構造の媒質を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成させるために、この発明の請求項1に係るビアを用いない左手系媒質は、基板上面に複数の単位セルからなる導電パターンを形成し、基板下面にグランド面としての導電パターンを形成してなる左手系媒質において、上面基板の導電パターンとグランド面の導電パターンとの間でキャパシタンスを形成し、グランド面の導電パターンの一部とグランド面のグランド部分でもって電気的に等価な並列インダクタンスを形成する構成とした。
【0009】
この発明の請求項2に係るビアを用いない左手系媒質は、基板上面に複数の単位セルの導電パターンを形成した上面基板と、導電パターンを形成したグランド面を間隔をもって上下に配置して左手系媒質を構成し、上面基板の導電パターンとグランド面の導電パターンとの間でキャパシタンスを形成し、グランド面の導電パターンの一部とグランド面のグランド部分でもって電気的に等価な並列インダクタンスを形成する構成とし、上記基板上面の単位セルの導電パターンは方形金属パッチで形成され、該基板上面の単位セルの導電パターンに対向するグランド面の導電パターンは、2辺をグランド領域で隔離され、他の1辺の部分で導電体に接続された三角形の金属パッチが、グランド領域で隔離された2辺でなる頂点で対向するように配置された4つの三角形の金属パッチの組み合わせで形成される構成とした。
【0010】
この発明の請求項3に係るビアを用いない左手系媒質は、基板上面に複数の単位セルの導電パターンを形成した上面基板と、導電パターンを形成したグランド面を間隔をもって上下に配置して左手系媒質を構成し、上面基板の導電パターンとグランド面の導電パターンとの間でキャパシタンスを形成し、グランド面の導電パターンの一部とグランド面のグランド部分でもって電気的に等価な並列インダクタンスを形成する構成とし、上記基板上面の単位セルの導電パターンは菱形の金属パッチで形成され、該基板上面の単位セルの導電パターンに対向するグランド面の導電パターンは、長辺をグランド領域で隔離され、他の2辺でなる頂点が導電体に接続された三角形の金属パッチが、頂点で対向するように配置された4つの三角形の金属パッチの組み合わせで形成される構成とした。
【0011】
この発明の請求項4に係るビアを用いない左手系媒質は、上記請求項2または請求項3記載のビアを用いない左手系媒質において、上面基板の導電パターンとグランド面の導電パターンとの間でキャパシタンスを形成し、グランド面の導電パターンにおける上面基板の導電パターンの縁と対向する部分と、グランド面のグランド部分でもって電気的に等価な並列インダクタンスを形成するように構成した。
【0012】
これにより、本発明のビアを用いない左手系媒質では、本媒質の動作周波数は、スケール則により構造を拡大・縮小することにより自由に変化させることができるため、ビア密度の縛りを超えてスケーラビリティを持たせることで、単位セルの集積度を飛躍的に上げる設計が可能となる。また、ビアを必要としないので、ビア作製のプロセスを省くことができるため、製造コストが抑えられるといったメリットがある。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のビアを用いない左手系媒質は、次のような効果を奏する。即ち、本媒質の動作周波数は、スケール則により構造を拡大・縮小することにより自由に変化させることができるため、本発明によりビア密度の縛りを超えてスケーラビリティを持たせることで、単位セルの集積度を飛躍的に上げる設計が可能となる。また、ビアを必要としないので、ビア作製のプロセスを省くことができるため、製造コストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の左手系媒質は、上面基板の上面導体パーンとグランド面との間にビアを設けることなく、基板上面に複数の単位セルの導電パターンを形成した上面基板と、導電パターンを形成したグランド面を間隔をもって上下に配置して左手系媒質を構成し、上面基板の導電パターンとグランド面の導電パターンとの間でキャパシタンスを形成し、グランド面の導電パターンの一部とグランド面のグランド部分でもって電気的に等価な並列インダクタンスを形成することを特徴とするものであり、以下に、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図2は本発明のビアを用いない左手系媒質の第1の実施例の概略図を示し、1は左手系媒質であり、複数の単位セルとなる導電パターン21で構成される上面基板2と、複数の導電パターン31が形成されたグランド面3を間隔をもって上下に配置した周期構造としている。図3に左手系媒質1の単位セルの構造を示し、上面基板2の導電パターン21と、グランド面3上の導電パターン31が対向配置されている。
【0016】
図4は上面基板2の表面パターンを示し、単位セルは破線で示す横a、縦bのサイズであり、誘電体基板の表面に方形金属パッチ(グレー部分)が形成されている。上面基板2の単位セルの導電パターン21に対向する裏面のグランド面3には、図5のように、グランド面の導電パターンは、2辺をグランド領域で隔離され、他の1辺の部分cで導電体に接続された三角形の金属パッチが、グランド領域で隔離された2辺でなる頂点で対向するように配置された4つの三角形の金属パッチ(グレー部分)の組み合わせでなる導電パターン31が形成されている。
【0017】
図6には、図6(A)の上面基板2の単位セルの導電パターンと、図6(B)のグランド面3の導電パターンを並べて示している。特に図6(B)には、各部のパラメータが記入されており、縦の細い濃線は電気的に等価な並列インダクタンスを示し、上面基板2とグランド面3を間隔をもって上下に配置して左手系媒質1を構成した時に、グランド面3上の導電パターンの一部とグランド面のグランド部分が接続されることによって電気的に等価な並列インダクタンスを形成する。ここで、電気的に等価な並列インダクタンスはグランド面3の導電パターンにおける上面基板2の導電パターンの縁と対向する部分に形成される。
【0018】
また、上面基板2の導電パターン21とグランド面3の導電パターン31との間でキャパシタンスを形成し、媒質中の直列の容量の役割を果たす。上述の構成でなる本発明の第1の実施例における左手系媒質の電気的な等価回路を図7の単位セルの構造に示している。この構造は、これらの両者の相互の働きにより左手系特性を示すものである。
【0019】
一般に2次元結晶に対して、図8(A)のようなkx(=2π/λx),ky(=2π/λy)(ここで、λxおよびλyはそれぞれx方向およびy方向の波長)とすると、平面上の点Γ,X,Mで囲まれる3角形の部分はブリルアンゾーンと呼ばれる。
【0020】
分散特性の理論と三次元電磁界数値シミュレーションとの比較については、非特許文献7に詳述されている。
<nplcit num="7"><text>Atsushi Sanada,Christophe Caloz and Tatsuo Itoh,“Planar Distributed Structures with Negative Refractive Index”IEEE Trans.on Microwave Theory and Techniques,Vol.52,No.4,pp.1252-1263,April 2004.</text></nplcit>
【0021】
図6(B)の各部のパラメータを表1の値にしたときの、ブリルアンゾーン境界上の分散特性の三次元電磁界数値シミュレーション結果は図8(B)に示すようになった。横軸はブリルアンゾーンのΓ、X、Mポイント示し、縦軸は周波数を示す。図8(B)は結晶中の波の分散関係(周波数fと波数β=(kx2+ky2)1/2の関係)を示したもので、横軸βは、
Γ-Xの範囲では 0≦kx≦π/a,ky=0
X-Mの範囲では kx=π/a,0≦ky≦π/a
M-Mの範囲では 0≦kx=ky≦π/a
のように、kxおよびkyを変化させたときの波数βの値を示す。2次元結晶中の波の分散関係は慣例的にこの軸上に描かれる。
【0022】
このうち最も周波数の低い伝送モードは7.96GHzから8.02GHzの範囲で、LH(左手系媒質)モードはその傾きが負となっている。これは群速度が負であるバックワード波の存在を示している。即ち、これはこの媒質が左手系特性を示す媒質であることの証拠である。
【0023】
【表1】
JP0003947793B2_000002t.gif

【0024】
このように、本発明のビアを用いない左手系媒質では、本媒質の動作周波数は、スケール則により構造を拡大・縮小することにより自由に変化させることができるため、ビア密度の縛りを超えてスケーラビリティを持たせることで、単位セルの集積度を飛躍的に上げる設計が可能となる。また、ビアを必要としないので、ビア作製のプロセスを省くことができるため、製造コストが抑えられるといったメリットがある。
【実施例2】
【0025】
次に他の実施例につき説明する。図9は本発明のビアを用いない左手系媒質の第2の実施例の概略図を示し、1は左手系媒質であり、複数の単位セルとなる導電パターン41で構成される上面基板4と、複数の導電パターン31が形成されたグランド面3を間隔をもって上下に配置した周期構造としている。図10に左手系媒質1の単位セルの構造を示し、上面基板4の導電パターン41と、グランド面3上の導電パターン31が対向配置されている。
【0026】
図11は上面基板4の表面パターンを示し、単位セル41は破線で示す横a、縦bのサイズであり、誘電体基板の表面に菱形金属パッチ(グレー部分)42が形成されている。上面基板4の単位セル41に含まれる導電パターンに対向する裏面のグランド面3には、図12のように、グランド面の導電パターンは、長辺をグランド領域で隔離され、他の2辺でなる頂点cが導電体に接続された三角形の金属パッチ(グレー部分)が、頂点で対向するように配置された4つの三角形の金属パッチの組み合わせでなる導電パターン31が形成されている。
【0027】
図13には、図13(A)の上面基板4の単位セルの導電パターンと、図13(B)のグランド面3の導電パターンを並べて示している。特に図13(B)には、各部のパラメータが記入されており、斜めの細い濃線は電気的に等価な並列インダクタンスを示し、上面基板4とグランド面3を、間隔をもって上下に配置して左手系媒質1を構成した時に、グランド面3上の導電パターンの一部とグランド面3のグランド部分が接続されることによって電気的に等価な並列インダクタンスを形成する。ここで、電気的に等価な並列インダクタンスはグランド面3の導電パターンにおける上面基板4の導電パターンの縁と対向する部分に形成される。
【0028】
また、上面基板4の導電パターン41とグランド面3の導電パターン31との間でキャパシタンスを形成し、媒質中の直列の容量の役割を果たす。上述の構成でなる本発明の第1の実施例における左手系媒質の電気的な等価回路を図14の単位セルの構造に示している。この構造は、これらの両者の相互の働きにより左手系特性を示すものである。
【0029】
図13(B)の各部のパラメータを表2の値にしたときの、ブリルアンゾーン境界上の分散特性のシミュレーション結果は図15に示すようになった。横軸はブリルアンゾーンのΓ、X、Mポイント示し、縦軸は周波数を示す。このうち最も周波数の低い伝送モードは7.54GHzから8.24GHzの範囲で、LHモードはその傾きが負となっている。これは群速度が負であるバックワード波の存在を示している。即ち、これはこの媒質が左手系特性を示す媒質であることの証拠である。
【0030】
【表2】
JP0003947793B2_000003t.gif


【0031】
このように、本発明のビアを用いない左手系媒質では、本媒質の動作周波数は、スケール則により構造を拡大・縮小することにより自由に変化させることができるため、ビア密度の縛りを超えてスケーラビリティを持たせることで、単位セルの集積度を飛躍的に上げる設計が可能となる。また、ビアを必要としないので、ビア作製のプロセスを省くことができるため、製造コストが抑えられるといったメリットがある。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のビアを用いない左手系媒質は、超高周波用のアンテナ、サブ波長用焦点レンズ、超小型通信用の共振器、フィルタ、発振器等のデバイスの構成要素として広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】誘電率ε,透磁率μと媒質の関係領域図である。
【図2】本発明の左手系媒質の第1の実施例の概略図である。
【図3】実施例1の左手系媒質の単位セル構造である。
【図4】実施例1の左手系媒質の上面基板の表面パターンである。
【図5】実施例1の左手系媒質の上面基板のグランド面パターンである。
【図6】実施例1の上面基板の単位セルの導電パターンとグランド面の導電パターン図である。
【図7】実施例1における左手系媒質の電気的な等価回路と単位セルの構造である。
【図8】実施例1のブリルアンゾーン境界上の分散特性のシミュレーション結果である。
【図9】本発明の左手系媒質の第2の実施例の概略図である。
【図10】実施例2の左手系媒質の単位セル構造である。
【図11】実施例2の左手系媒質の上面基板の表面パターンである。
【図12】実施例2の左手系媒質の上面基板のグランド面パターンである。
【図13】実施例2の上面基板の単位セルの導電パターンとグランド面の導電パターン図である。
【図14】実施例2における左手系媒質の電気的な等価回路と単位セルの構造である。
【図15】実施例2のブリルアンゾーン境界上の分散特性のシミュレーション結果である。
【符号の説明】
【0034】
1 左手系媒質
2 上面基板
21 方形金属パッチの導電パターン
3 グランド面
31 グランド面の浮島状の導電パターン
4 上面基板
41 菱形金属パッチの導電パターン
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図8】
3
【図9】
4
【図15】
5
【図4】
6
【図5】
7
【図6】
8
【図7】
9
【図10】
10
【図11】
11
【図12】
12
【図13】
13
【図14】
14