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明細書 :プリント配線基板とその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4660761号 (P4660761)
公開番号 特開2007-017921 (P2007-017921A)
登録日 平成23年1月14日(2011.1.14)
発行日 平成23年3月30日(2011.3.30)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
発明の名称または考案の名称 プリント配線基板とその製造方法
国際特許分類 G03F   7/075       (2006.01)
H05K   3/18        (2006.01)
FI G03F 7/075 501
H05K 3/18 C
請求項の数または発明の数 15
全頁数 20
出願番号 特願2005-227209 (P2005-227209)
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
審査請求日 平成20年6月11日(2008.6.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504165591
【氏名又は名称】国立大学法人岩手大学
発明者または考案者 【氏名】森 邦夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】倉持 俊輔
参考文献・文献 特開平07-168356(JP,A)
特開平07-084371(JP,A)
特開平04-326719(JP,A)
特開平02-298284(JP,A)
特開平01-151591(JP,A)
特開2001-203462(JP,A)
特開2001-085666(JP,A)
特開2005-338338(JP,A)
特開2005-331564(JP,A)
調査した分野 G03F 7/004-7/18,7/26
特許請求の範囲 【請求項1】
次式
【化1】
JP0004660761B2_000006t.gif

(式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を示し、Rは、炭化水素鎖又は異種原子若しくは官能基が介在してもよい炭化水素鎖を示し、Xは、水素原子又は炭化水素基を示し、Yは、アルコキシ基を示し、nは1から3までの整数であり、Mはアルカリ金属である。)
で表わされるチオール反応性アルコキシシラン化合物の1種又は2種以上であることを特徴とする多機能性分子レジスト。
【請求項2】
は、H-,CH-,C-,n-C-,CH=CHCH-,n-C-,C-,又は11-であり、
は、-CHCH-,-CHCHCH-,-CHCHCHCHCHCH-,-CHCHSCHCH-,-CHCHCHSCHCHCH-,-CHCHNHCHCHCH-,-CHCHOCONHCHCHCH-,又は-CHCHNHCONHCHCHCH-であり、
Xは、H-,CH-,C-,n-C-,i-C-,n-C-,i-C-,又はt-C-であり、
Yは、CHO-,CO-,n-CO-,i-CO-,n-CO-,i-CO-,又はt-CO-であり、
Mは、Li,Na,K又はCsであることを特徴とする請求項1の多機能性分子レジスト。
【請求項3】
請求項1または2の多機能性分子レジストを含有することを特徴とするレジスト組成物。
【請求項4】
請求項3のレジスト組成物に1μm以下の表面粗度Raを有する平滑なOH基含有樹脂平面又は立体面を浸漬処理して、樹脂平面又は立体面に単分子層で結合した分子レジストを生成させることを特徴とする反応性樹脂表面の作成方法。
【請求項5】
請求項4の方法で得られた平滑な反応性樹脂表面をマスクで覆い、200~400nmの波長の紫外線を照射することを特徴とする反応性及び非反応性微細模様印加樹脂表面の作成方法。
【請求項6】
請求項5の方法で得られた反応性及び非反応性微細模様印加樹脂表面を還元性金属塩溶液に浸漬することを特徴とする1μm以下の表面粗度Raを有する平滑な樹脂平面又は立体面の触媒担持活性化方法。
【請求項7】
請求項6の方法で得られた触媒担持活性化された平滑な樹脂表面を無電解めっき浴に浸漬することを特徴とする導電性微細金属配線模様の1層プリント配線基板の製造方法。
【請求項8】
請求項4の方法で得られた平滑な反応性樹脂表面の表及び裏面にマスクを当てて紫外線照射し、その後、還元性金属塩溶液への浸漬と無電解めっき浴への浸漬の操作を行うことを特徴とする表裏に配線された2層プリント配線基板の製造法。
【請求項9】
請求項8の方法において、紫外線を照射する前に、OH基含有樹脂平面又は立体面に予めスルホールを開けることを特徴とする表裏両面が導通された2層プリント配線基板の製造法。
【請求項10】
請求項8の方法において、請求項4のレジスト組成物に平滑なOH基含有樹脂平面又は立体面を浸漬処理する前に、予めOH基含有樹脂平面又は立体面にスルホールを開けることを特徴とする表裏両面が導通された2層プリント配線基板の製造法。
【請求項11】
請求項7から10のいずれかの方法で得られたプリント配線基板を電気めっきすることを特徴とする金属配線の増膜厚化方法。
【請求項12】
請求項7から10のいずれかの方法で得られたプリント配線基板の金属表面及び樹脂表面をトリアジントリチオールと還元剤の溶液に浸漬することを特徴とするプリント配線基板の接着活性化法。
【請求項13】
請求項12の方法で得られた接着活性化されたプリント配線基板と樹脂基板を多層に重ねて加熱圧着することを特徴とする多層プリント配線基板の製造法。
【請求項14】
請求項7から10及び13のいずれかの方法で得られたプリント配線基板がその構成の少なくとも一部とされていることを特徴とする電気機器又は電子機器。
【請求項15】
請求項14の機器において、1GHz以上のクロック高周波特性を有している高密度多層プリント配線基板がその構成の少なくとも一部とされていることを特徴とする電気機器又は電子機器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は各種用途に使用される電子機器及びコンピューター制御製品に使用され、クロック高周波に優れた単層又は多層プリント配線基板とその製造方法並びにこれらを使用した製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に示されるように、従来のプリント配線基板は先ずガラスエポキシ基板と表面粗化電解銅箔(銅の成長面、電極面は平滑)を合わせて大型のプレス機で90分以上の時間をかけてプレス加熱して接着し、銅箔貼合せエポキシ基板を調製する。このため、従来では、予め銅箔を製造する技術、銅箔とエポキシ板を接着する技術を必要とし、これらを製造するのに莫大の設備と人手が必要であった。
【0003】
次に得られた銅箔貼合せエポキシ基板の平滑銅箔面にホトレジストを塗布し、マスク上から露光後、アルカリ溶液で現像して配線模様を描く。露光した銅張エポキシ基板は現像によってレジストが溶解した部分に銅がむき出して現れ、不溶のレジストが残渣として残っている部分が配線模様となる。
【0004】
ただ、ホトレジストの塗布厚みは配線の形状に影響するため、できるだけ薄く塗布することが望ましいが、スピンコート法などでは限界があり、また例えナノレベルの超薄膜レジストが可能となっても、エッチング液によるレジスト薄膜の劣化の問題がある。また、一枚一枚露光するためホトレジストの感度が問題となり、ホトレジスト感度向上の研究が続けられているが、画期的に露光時間を短縮する方法はないのも現状である。
【0005】
現像処理した銅張エポキシ基板は酸化性の酸溶液からなるエッチング液に浸漬すると、むき出しの銅は溶解する。現像時に溶解しないで残った不溶性レジスト残渣は粘着シートを使用して剥ぎ取られ、エポキシ基板上に銅配線模様が描かれる。
【0006】
実際に使用される多層プリント配線基板は上記のような作業をエポキシ基板の両面で行い、両面に配線模様のエポキシ配線基板を得る。
【0007】
以上の手順を基本単位として、中にエポキシフィルムシートを挟んで多層に積み上げて、多層基板を造るのがビルドアップ法と言われる多層プリント配線基板の製造方法である。また、この時、平滑銅配線面とエポキシ樹脂の接着が十分でないため、実際には、平滑銅配線面を酸化して表面を粗化する方法が行われている。
【0008】
従来のプリント基板の製造においては、銅箔とエポキシ板を接着させるとき、接着強度を高めるため、銅箔の接着面を粗化する必要があった。しかし、粗化銅箔は周波数の高い電気信号を減衰させる欠点があることから、1GHzレベルの周波数信号の伝達には使用できないなどの大きな課題がある。
【0009】
以上のように従来法は工程数が多く、人手と大型の設備を使用するため日本では競争力の低い産業とされ、特殊で高級品以外は中国をはじめとするアジア諸国に産業移転が行われ、日本にはほとんど残っていない。
【0010】
さらに、最近はシステム イン パッケイジ(SIP)のように、電子部品のハウジングなどへの立体的な配線技術が要求されているが、上記のような銅箔を接着する製造方法では対応できないのが大きな課題となっており、従来とは異なる全く新しい配線技術の出現が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、以上のような背景から、日本の物造り産業の基盤となる配線技術の復興をかけて、賃金の安い諸外国とも十分競争できる省力化された新規な平面及び立体面プリント配線基板の技術を提供することと、同時に高周波数電流でも電気信号が伝播される平滑表面の金属配線を高い接着力で樹脂表面に形成する化学接着技術を提供すること、及びこれらの多層プリント配線基板を用いて高周波数対応の電子機器製品を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題を解決するためには樹脂表面と結合して樹脂表面に反応性を賦与し、その反応面を紫外線照射及び未照射により活性部分と非活性部分に分別後、金属イオンと反応させて触媒活性部分と非活性部分に変化させて金属原子の析出を分別化すると同時に、金属と樹脂間を化学接着する多機能性分子レジストが必要不可欠である。
【0013】
そこで本発明は、このことを可能とする、新しい機能性分子レジストと、これを用いたプリント配線基板の製造方法を提供する。
【0014】
本発明における機能性分子レジストとプリント配線基板の製造方法は以下の特徴を有している。
【0015】
第1:次式
【0016】
【化1】
JP0004660761B2_000002t.gif

【0017】
(式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を示し、Rは、炭化水素鎖又は異種原子若しくは官能基が介在してもよい炭化水素鎖を示し、Xは、水素原子又は炭化水素基を示し、Yは、アルコキシ基を示し、nは1から3までの整数であり、Mはアルカリ金属である。)で表わされるチオール反応性アルコキシシラン化合物の1種又は2種以上であることを特徴とする多機能性分子レジスト。
【0018】
第2:Rは、H-,CH-,C-,n-C-,CH=CHCH-,n-C-,C-,又は11-であり、Rは、-CHCH-,-CHCHCH-,-CHCHCHCHCHCH-,-CHCHSCHCH-,-CHCHCHSCHCHCH-,-CHCHNHCHCHCH-,-CHCHOCONHCHCHCH-,又は-CHCHNHCONHCHCHCH-であり、Xは、H-,CH-,C-,n-C-,i-C-,n-C-,i-C-,又はt-C-であり、Yは、CHO-,CO-,n-CO-,i-CO-,n-CO-,i-CO-,又はt-CO-であり、Mは、Li,Na,K又はCsであることを特徴とする請求項1の多機能性分子レジスト。
【0019】
第3:上記1または2の多機能性分子レジストを含有することを特徴とするレジスト組成物。
【0020】
第4:上記3のレジスト組成物中に1μm以下の表面粗度Raを有する平滑なOH基含有樹脂平面又は立体面を浸漬処理して、樹脂平面又は立体面に単分子層で結合した分子レジストを生成させることを特徴とする反応性樹脂表面の作成方法。
【0021】
第5:上記4の方法で得られた平滑な反応性樹脂表面をマスクで覆い、200~400nmの波長の紫外線を照射することを特徴とする反応性及び非反応性微細模様印加樹脂表面の作成方法。
第6:上記5の方法で得られた反応性及び非反応性微細模様印加樹脂表面を還元性金属塩溶液に浸漬することを特徴とする1μm以下の表面粗度Raを有する平滑な樹脂平面又は立体面の触媒担持活性化方法。
【0022】
第7:上記6の方法で得られた触媒担持活性化された平滑な樹脂表面を無電解めっき浴に浸漬することを特徴とする導電性微細金属配線模様の1層プリント配線基板の製造方法。
【0023】
第8:上記4の方法で得られた平滑な反応性樹脂表面の表及び裏面にマスクを当てて紫外線照射し、その後、還元性金属塩溶液への浸漬と無電解めっき浴への浸漬の操作を行うことを特徴とする表裏に配線された2層プリント配線基板の製造法。
第9:上記8の方法において、紫外線を照射する前に、OH基含有樹脂平面又は立体面に予めスルホールを開けることを特徴とする表裏両面が導通された2層プリント配線基板の製造法。
【0024】
第10:上記8の方法において、請求項4のレジスト組成物に平滑なOH基含有樹脂平面又は立体面を浸漬処理する前に、予めOH基含有樹脂平面又は立体面にスルホールを開けることを特徴とする表裏両面が導通された2層プリント配線基板の製造法。
第11:上記7から10のいずれかの方法で得られたプリント配線基板を電気めっきすることを特徴とする金属配線の増膜厚化方法。
【0025】
第12:上記7から10のいずれかの方法で得られたプリント配線基板の金属表面及び樹脂表面をトリアジントリチオールと還元剤の溶液に浸漬することを特徴とするプリント配線基板の接着活性化法。
【0026】
第13:上記12の方法で得られた接着活性化されたプリント配線基板と樹脂基板を多層に重ねて加熱圧着することを特徴とする多層プリント配線基板の製造法。
【0027】
第14:上記7から10及び13のいずれかの方法で得られたプリント配線基板がその構成の少なくとも一部とされていることを特徴とする電気機器又は電子機器。
【0028】
第15:上記14の機器において、1GHz以上のクロック高周波特性を有している高密度多層プリント配線基板がその構成の少なくとも一部とされていることを特徴とする電気機器又は電子機器。
【発明の効果】
【0029】
以上のとおりの本発明によれば、省力化された簡便な方法によって、高周波電流でも電気信号が伝播される、金属配線が高い接着力で樹脂表面に形成される。そして1GHz以上の高周波特性に優れた多層プリント配線基板とこれを用いた電気-電子機器が実現されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の本発明での操作手順を示したブロック図である。
【図2】紫外線マスクを示した平面概要図である。
【図3】紫外線照射後の樹脂板を示した平面概要図である。
【図4】無電解銅めっき板を示した平面概要図である。
【図5】金網でマスクしてめっき処理した試料を示した図である。
【図6】L/Sの異なる試料を示した図である。
【図7】測定ポイントについて示した図である。
【図8】2層板について示した図である。
【図9】多層配線板の形成について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は以上のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。

【0032】
本発明のプリント配線基板の製造方法において必須とされている多機能性分子レジストは、前記の〔化1〕の式で示される1種又は2種以上のもの、あるいはこれを含有する組成物である。

【0033】
〔化1〕のトリアジン骨格を有するチオール反応性アルコキシシラン化合物については、たとえば、R-NH-R-SiX3-nで表されるアルコキシシラン含有アミン化合物と塩化シアヌルとを反応させ、生成されるアルコキシシラン含有トリアジンジクロリドと水硫化アルカリ(MSH)化合物とを反応させることにより合成することができる。この方法については発明者が既に特許出願しているところである。

【0034】
そこで、図1に示した本発明の新規方法については、以下のとおり説明される。

【0035】
まず、第1工程の樹脂基板製造であるが、上記の多機能性分子レジストは有機溶剤、水及び有機-水混合溶媒に溶解し、これに樹脂基板を浸漬処理すると、樹脂表面に反応性のチオール基を賦与することができる。

【0036】
本発明で云う樹脂とはセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、二酢酸セルロース、フェノール樹脂、ハイドロキノン樹脂、クレゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、レゾルシン樹脂、セロファン、メラミン樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、水酸基含有ポリビニルホルマール樹脂、ポリヒドロキシエチルメタアクリレートとその共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレートとその共重合体、ポリビニルアルコールとその共重合体など樹脂製品の表面に水酸基を有する樹脂であれば何でも良い。従って上記以外の樹脂に対して高分子量又は低分子量の多価アルコール類を混合し、表面に水酸基を有する樹脂複合体なども使用できる。

【0037】
これらの樹脂は熱による変形を防ぐため補強する必要があるが、この目的のためにカーボン、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、湿式及び乾式シリカなどの充填剤やレーヨン、ナイロン、ポリエステル、ビニロン、スチール、ケブラ、炭素繊維、ガラス繊維などの繊維や布を入れたり、過酸化物などの架橋剤を加えて三次元化して使用することができる。

【0038】
クロック周波数が1GHzを超えて作動させるためには銅配線の表面粗度Raが1μm以下にすることが望ましい。この目的を達成するためには樹脂表面粗度Raが少なくとも1μm以下にする必要がある。1μm以下の樹脂表面粗度を得るためには基板の加工過程で使用されるロール、プレス板及び金型などの成型加工機の表面粗度Raを少なくとも1μm以下とすることが必要である。現在の日本の研磨技術では金属の表面粗度をRa:0.01μmレベルに仕上げることは比較的簡単であるから、樹脂表面の粗度を同程度に仕上げることは十分可能である。

【0039】
樹脂表面に反応性表面を作成するための多機能性分子レジスト溶液は上記の〔化1〕の化合物を溶剤に0.001から10重量%(以下wt%と言う)の範囲内で溶剤に溶解して調整する。好ましくは0.01から2重量%である。0.01wt%以下ではめっきの被覆率が十分であるが、十分な剥離強度が得られない場合が発生しやすくなる。2wt%以上では1分子膜層のほかに多分子膜の層も生成し、表面粗化や凹凸の原因となり接着力も低下するので好ましくない。

【0040】
ここで云う、溶剤とは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、カルビトール、セルソルブ、エチレングリコール、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、ヘキサノン、酢酸エチルなどとこれらの混合溶媒が使用可能である。

【0041】
多機能性分子レジスト溶液に樹脂基板を浸漬する場合は0℃から100℃の温度範囲内で、1秒から60分間の浸漬で目的が達成される。浸漬条件は溶液の温度、時間及び濃度によって支配されるので、一義的に決められないが、一定濃度では、温度が低い場合は時間が長く、また温度が高い場合は時間が短くなる傾向は明示できる。

【0042】
浸漬後、樹脂基板は40~200℃で1~30分間の加熱乾燥や前記の溶剤による洗浄を行い、反応性の賦与工程を終了する。

【0043】
多機能性分子ホトレジスト溶液にエポキシ樹脂を浸漬処理した場合にはアルコキシラン基と水酸基が反応して多機能性レジストがエポキシ樹脂表面に単分子層で結合され、反応性のチオール基が導入される。

【0044】
この処理法は浸漬であるから、平面及び立体面の全部を処理することが出来る。また、部分的に処理する場合は粘着テープなどを貼り、保護すると部分的な処理が可能となる。

【0045】
上記のような処理によって樹脂表面に結合した反応性チオール基(SH基)が導入されるが、通常の空気中に放置しても活性は変化しない。しかし、チオール基が太陽光や酸化性の雰囲気に放置されると活性を減少させる。従って、長期に保存する場合や移動する場合には光を遮断して窒素雰囲気下に保存することが重要である。

【0046】
活性が減退した場合でも、ヒドラジン溶液やNaBH溶液などの還元性溶液に浸漬することによって活性を回復させることができる。

【0047】
本願技術の第2工程は露光工程である。ここでは反応性のSH基が結合した樹脂基板をマスクで覆い、これに紫外線照射すると、紫外線照射部分はジスルフィド基(SS基)に変化し、未照射部分はSH基として残る。このように紫外線照射により、樹脂表面を反応性の異なる部分に分別することができる。

【0048】
紫外線の光源として、水銀ランプ(波長;254、303、313、365nm)やメタルハライドランプ(200-450nm)を使用できる。また、ベンゾフェノン系の増感剤を吸着させるとハイパーメタルハライドランプ(400-450nm)も使用可能である。

【0049】
紫外線照射の条件は0~100℃、1秒~100分間で目的を達成できるが、好ましくは20~50℃で20秒~180秒である。これら以下の条件では紫外線照射部分が完全にSS基に変換しないでSH基が残る場合がある。またこれら以上の条件では紫外線照射部分が分解する場合があるので、好ましくない場合がある。一般に、100%SS基変換率は温度が低いと、長時間で達成され、温度が高いと短時間で達成される。単分子層での反応であるので、SS基変化速度は一般のホトレジストに比べて高いのが特徴である。

【0050】
多機能性分子レジストは反応性の違いにより配線模様を識別するので、一般に使用されているホトレジストと異なり、現像の操作を必要としないことが特徴である。さらに、エッチングやレジスト残渣の除去操作も必要としない。

【0051】
本願技術の第3工程は無電解めっき工程である。先ず、上記の配線樹脂基板を活性化浴に浸漬してSH基部分を活性化し、その後無電解めっき浴に浸漬する。

【0052】
活性化工程で使用される活性化浴はパラジウム塩、白金塩、銀塩、塩化スズ、アミン錯体などからなる水溶液であり、この水溶液にSH基とSS基含有樹脂基板を浸漬すると、SH基部分にパラジウム、白金及び銀などが反応して化学的に結合するので洗浄しても脱落しない。しかし、SS基部分には全く付着しない。付着しても水又は酸性水で洗浄すると容易に落ちる。

【0053】
一般に、Pd-Sn系の触媒が活性化工程で使用されるが、この活性化浴は水にPdClとSnC12・7HOを溶解させて調整する。PdClとSnC12・7HOはそれぞれ0.001-1mol/Lの濃度範囲で調製され、0-70℃の温度範囲で1秒-60分の浸漬時間で使用される。

【0054】
Pd-Sn触媒が担持された配線模様樹脂基板を無電解めっき浴に浸漬するが、ここで云う無電解めっき浴とは金属塩と還元剤が主成分であり、これにpH調整剤、緩衝剤、錯化剤、促進剤、安定剤及び改良剤などの補助成分が添加されてなる。

【0055】
無電解めっきできる金属は金、銀、銅、ニッケル、コバルト、鉄、パラジウム、白金、真鍮、モリブデン、タングステン、パーマロイ、スチールなどであり、これらの金属塩が使用される。

【0056】
具体的な金属塩として、AuCN,Ag(NHNO,AgCN,CuSO・5HO,CuEDTA,NiSO・7HO,NiCl,Ni(OCOCH、CoSO,CoCl,SnCl・7HO、PdClなどを挙げることができ、主に0.001-1mol/Lの濃度範囲で使用される。

【0057】
還元剤とは上記の金属塩を還元して金属を生成する作用を持つものであり、KBH,NaBH,NaHPO,(CHNH・BH,CHO,NHNH,ヒドロキシルアミン塩、N,N-エチルグリシンなどであり、0.001-1mol/Lの濃度範囲で使用される。

【0058】
以上のような主成分に対して、無電解めっき浴の寿命を延長させたり、還元効率を高める目的で補助成分を加えるが、塩基性化合物、無機塩、有機酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、水酸化アンモニア、EDTA,ジアミノエチレン、酒石酸ナトリウム、エチレングリコール、チオ尿素、トリアジンチオール、トリエタノールアミンなどを0.001-0.1mol/Lの濃度範囲で使用される。

【0059】
無電解めっきは浴の種類及びめっきの目的などによりめっき条件は異なり明確に範囲指定し難いが、大よそ0-98℃の温度範囲及び、1分から300分の浸漬時間で使用される。

【0060】
触媒が担持された配線模様樹脂基板を無電解めっき浴に浸漬すると、触媒が担持された部分に金属が析出して導電性金属配線模様が出来上がる。この時、触媒は樹脂と化学結合したSH基とイオン結合で結合しているので、金属膜と樹脂は化学結合で連結され、接着強度を発生する。

【0061】
同時に析出した金属の界面(樹脂と接触した部分)は樹脂表面の粗さが転写されるので、Ra:1μmを超えない。また金属膜の表面(空気との接触面)はレベリング剤などの作用により、Ra:1μm付近を維持する。

【0062】
導電性金属配線模様における金属膜を厚化する場合は電気鍍金を行うと、短時間で金属膜が成長する。

【0063】
以上のようにして、表面に金属配線が描写された1層プリント配線基板が得られる。

【0064】
樹脂表面の反応性賦与、紫外線照射による配線模様の描写、触媒担持、無電解めっき及び電解めっきを樹脂基板の表裏両面でおこなうと、2層プリント配線基板が得られる。また、予め、基板に層間の連結をするスルホールを空けておくか、紫外線照射後にスルホールを空けて、触媒担持、無電解めっき及び電解めっきを樹脂基板の表裏両面でおこなうと、表裏が連結された2層プリント配線基板が得られる。

【0065】
本願技術の第4工程は1又は2層プリント配線基板の接着工程である。多層プリント配線基板は1又は2層プリント配線基板と未処理樹脂の熱圧着による接着によって得られる。この目的を達成するためには、1又は2層プリント配線基板の金属表面及び樹脂表面に接着活性処理をする必要がある。

【0066】
又は2層プリント配線基板をKBH,NaBH,NaHPO,(CHNH・BH,CHO,NHNH,ヒドロキシルアミン塩、N,N-エチルグリシンなどの還元性水溶液に0~80℃で1~100分間浸漬すると、配線基板上のSS基はSH基に容易に還元されて、接着性が賦与される。

【0067】
また、1又は2層プリント配線基板を1~100mmol/dmのトリアジントリチオールモノナトリウムとトリエタノールアミン混合水溶液に20~80℃で1秒~200秒間浸漬し、配線金属表面に接着性を賦与した配線基板を作成する。

【0068】
上記のようにして接着処理した1又は2層プリント配線基板と未処理の樹脂基板を交互に複数枚合わせて100-200℃、1分から180分間、100MPaの圧力で加熱プレスすると多層プリント配線基板が得られる。

【0069】
さらに、射出成型などで得られた立体樹脂面を立体的なマスクで覆い紫外線照射すると、立体樹脂面にSH基部分とSS基部分からなる配線模様が描かれ、これを触媒液、無電解浴に浸漬すると金属配線を立体的に作ることができる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により詳細かつ具体的に説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
<実施例1-8>
先ず、表面粗さRaが6.4μmと0.42μm((株)レスカ社製Friction Playerにて測定)のステンレス板(40×80×0.2mm)をエミリ紙を用いて研磨して作成した。次に、エポキシ基板(40×80×1mm、味の素ファインテック(株)ABF-GX)をサンドイッチに重ねて、1kgf/cmの圧力下で150℃で2分間プレスしてエポキシ樹脂基板のRaを6.1μmと0.40μmに調整した後、石鹸水で洗浄、水洗して表面の汚れを除去して使用した。エポキシ樹脂基板に2個のスルホール(穴)をあけてこれを、表1に示される多機能性分子レジスト(FMPR)0.1gを100mlのアルコールに溶解して作成した多機能性分子レジスト水溶液に40℃で5分間浸漬する。ここで、表1におけるFMPR-Rの表記においては、上記〔化1〕化合物において、-N-R-SiX3-nがRに相当するものとして示されている。また、〔化1〕でのアルカリ金属(M)はNaである。そして、表面をXPS分析を行うため、減圧下150℃で20分間乾燥及びアルコール洗浄して試料を調整した。アルバックファイ(株)製PHI-5600を用いるXPS分析によりS2pスペクトルの強度を求め、多機能性分子レジストの結合量とした。次に、図2のようにマスクで囲み、高圧水銀ランプ(出力:1.5kW,照射エネルギー:2800mJ/cm,アイグラフィック(株)製アイミニグランテイジ)を用いて20℃で裏表30秒間ずつ紫外線を照射すると、図3のようにエポキシ樹脂板の表面はチオール基面(紫外線未照射部分)とジスルフィド基面(紫外線照射部分)に分かれる。紫外線照射処理したエポキシ樹脂板はNP-8 150ml/lとHCl 150ml/lに調整した触媒処理液(上村工業(株)製)に25℃で1分間浸漬して、Pd-Sn触媒を担持し、乾燥後の重量(Wa)を測定した。触媒担持エポキシ樹脂板は上村工業(株)のスルカップPSY-1A 100ml/l、スルカップPSY-1B 55ml/l,18.5ホルマリン水溶液 20ml/lからなる無電解銅めっき浴に33℃で20分間浸漬すると、図4のような銅めっきエポキシ板が得られた。無電解めっき銅の特徴を比較例1-3とともに表1に示した。なお、乾燥後の重量(Wb)を測定して銅めっき量を測定した。めっき析出量は(Wb-Wa)/32cmとして求めた。また、以下のようにして碁盤目試験を行った。銅めっき析出部分の1cmの面積に1mm角の縦横の切身を入れ、セロハンテープを貼って剥がし、1mm角の銅箔が剥がれた数を測定し、%で示した。
【実施例】
【0071】
比較例1、2及び3に示されるように、全く処理しないか又は6-ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール(DB)のように非反応性のトリアジンジチオールではエポキシ樹脂板表面にはXPS分析においても硫黄の存在は認められない。従って、その後触媒担持されないので無電解銅めっきに浸漬しても銅金属の析出はない。しかしながら、実施例1-8に示されるように、多機能性分子レジスト水溶液中でエポキシ板を処理すると、反応性分子レジストのアルコキシシラン基とエポキシ基のOH基が反応していることがXPS分析においてS2pピーク(硫黄原子の存在を示す)が観察されることから明らかであり、本願が請求する多機能性分子レジストが有効であることが分かる。その結果として、触媒がチオール基面の部分に担持され、光未照射部分に銅薄膜が生成することが明らかである。また、碁盤目試験においても100個の1mm角が全部残り、高い密着強度を持つことが分かる。さらに、ステンレス金型のRaがエポキシ樹脂板に転写され、また無電解めっきされた銅箔のRaもエポキシ樹脂板のRaに近いことが明らかとなった。
【実施例】
【0072】
【表1】
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【実施例】
【0073】
<実施例9-13>
表2には、表面にOH基を有しないポリ酢酸ビニル樹脂板(40×80×mm、比較例4)、これを5%-NaOHアルコール溶液に50℃で20分間浸漬して、表面にOH基を生成させたポリビニルアルコール樹脂(40×80×mm、実施例9)、完全に硬化反応したエポキシ樹脂(40×80×mm、実施例10)、親水性のOH基を持つセロファン紙樹脂板(40×80×mm、実施例11)、芳香族性のOH基を有するフェノール樹脂板(40×80×mm、実施例12)、通常の半硬化したエポキシ樹脂板(40×80×mm、実施例13)を用意した。これらを、表2に示される多機能性分子レジスト(FMPR)0.1gを100mlの水に溶解して作成した多機能性分子レジスト水溶液に樹脂基板(40×80×mm)を40℃で5分間浸漬する。この樹脂基板を図2のようにマスクで囲み、高圧水銀ランプ(出力:1.5kW,照射エネルギー:2800mJ/cm,アイグラフィック(株)製アイミニグランテイジ)を用いて20℃で裏表30秒間ずつ紫外線を照射すると図3のように基板の表面はチオール基面(紫外線未照射部分)とジスルフィド基面(紫外線照射部分)に分かれる。紫外線照射処理した基板はNP-8 150ml/lとHCl 150ml/lに調整した触媒処理液(上村工業(株)製)に25℃で1分間浸漬して、Pd-Sn触媒を担持し、乾燥後の重量(Wa)を測定した。触媒担持基板は上村工業(株)のスルカップPSY-1A 100ml/l、スルカップPSY-1B 55ml/l,18.5ホルマリン水溶液 20ml/lからなる無電解銅めっき浴に33℃で20分間浸漬すると、図4のような銅めっき基板が得られた。乾燥後の重量(Wb)を測定して銅めっき量を測定した。表2には、比較例4とともに無電解めっき銅の特徴を示した。めっき析出量は(Wb-Wa)/32cmとして求めた。さらに、電気鍍金浴(上村工業(株)製スルカップETN浴、CuSO・5HO;80g/l,HSO;200g/l,Cl-;50ppm,スルカップETN-1A;1ml/l,スルカップETN-1B;10ml/l)中で、無電解銅めっき基板を2.5A/dmで25℃、40分間電気鍍金を行った結果、銅めっき膜厚はおよそ20μmに達した。これに1cm幅の切りを入れて、その端を2cm剥がし、島津オートグラフP-100により、5mm/minの速度でT字型剥離試験を行い、基板と銅箔の接着強度を測定した。
【実施例】
【0074】
なお、比較例4は酢酸ビニル樹脂基板にOH基を持たないので多機能性分子レジストが付着せず、未処理の場合と同様に、触媒担持、無電解銅めっきを行ったが、いずれも銅めっき膜の析出は認められなかった。しかしながら、酢酸ビニル樹脂の表面を加水分解してOH基を生成させると、多機能性分子レジストが反応して付着するため、触媒が担持し、無電解銅めっき浴に浸漬すると、銅膜が生成し、さらにこれを電気鍍金後剥離試験すると、高い接着強度で銅膜が樹脂基板に接着していることが明らかとなった。又、セロファン樹脂基板やフェノール樹脂基板も同様に高い接着強度で銅箔を生成させることが出来た。更に、半硬化のエポキシ樹脂基板はOH基濃度が十分高くないので、接着強度は十分高くならなかった。
【実施例】
【0075】
【表2】
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【実施例】
【0076】
<実施例14>
実施例1と同様のエポキシ樹脂基板を表1に示される多機能性分子レジスト(FMPR)0.1gを100mlのアルコールに溶解して作成した多機能性分子レジスト水溶液に40℃で5分間浸漬する。次に、エポキシ樹脂基板を図2のようにマスクで囲み、高圧水銀ランプ(出力:1.5kW,照射エネルギー:2800mJ/cm,アイグラフィック(株)製アイミニグランテイジ)を用いて20℃で裏表30秒間ずつ紫外線を照射すると、図3のようにエポキシ樹脂板の表面はチオール基面(紫外線未照射部分)とジスルフィド基面(紫外線照射部分)に分かれる。紫外線照射処理したエポキシ樹脂板はNP-8 150ml/lとHCl 150ml/lに調整した触媒処理液(上村工業(株)製)に25℃で1分間浸漬して、Pd-Sn触媒を担持し、乾燥後の重量(Wa)を測定した。触媒担持エポキシ樹脂板はカニゼン(株)のシュマー 硫酸ニッケル20g/dm,ジ亜燐酸ソーダー24g/dm,乳酸27g/dm,プロピオン酸2g/dm,からなる無電解ニッケル-リン浴に80℃で60分間浸漬すると、ニッケルめっきエポキシ樹脂基板(図4において銅の代わりニッケル)が得られた。乾燥後の重量(Wa)を測定したところ、100%被覆率が得られた。また、ニッケルめっき析出部分の1cmの面積に1mm角の縦横の切身を入れ、セロハンテープを貼って剥がし、1mm角の残したニッケル箔は100%であった。
【実施例】
【0077】
このように無電解ニッケルめっきにおいても、触媒担持した部分にニッケル箔が成長し、かつ強固に結合していることが分かった。しかし、多機能性分子レジストにより処理しない場合(比較例5)や紫外線照射面は触媒が担持されないのでニッケルめっきが析出しないことが確認された。
<実施例15>
実施例1のエポキシ樹脂基板(20×40×1mm、Ra:0.40μm)を多機能性分子レジスト(FMPR)0.1gを100mlのアルコールに溶解して作成した多機能性分子レジスト水溶液に40℃で5分間浸漬する。減圧下150℃で20分間乾燥及びアルコール洗浄して試料を調整した後、エポキシ樹脂基板上に金網マスクとして載せ、高圧水銀ランプ(出力:1.5kW,照射エネルギー:2800mJ/cm,アイグラフィック(株)製アイミニグランテイジ)を用いて20℃で裏表30秒間ずつ紫外線を照射すると、エポキシ樹脂板の表面はチオール基面(紫外線未照射部分)とジスルフィド基面(紫外線照射部分)に分かれる。紫外線照射処理したエポキシ樹脂板はNP-8 150ml/lとHCl 150ml/lに調整した触媒処理液(上村工業(株)製)に25℃で1分間浸漬して、Pd-Sn触媒を担持し、上村工業(株)のスルカップPSY-1A 100ml/l、スルカップPSY-1B 55ml/l,18.5ホルマリン水溶液 20ml/lからなる無電解銅めっき浴に33℃で20分間浸漬すると、図5のように金網の模様が転写された銅めっき配線エポキシ樹脂板が得られた。この試料について碁盤目試験を行ったが、1mm角の銅箔の剥離はなかった。
【実施例】
【0078】
以上のように配線模様のマスクを使用すると、紫外線が照射されない部分に銅めっきが析出して配線模様ができることが確認できた。
<実施例16-18>
実施例1のエポキシ樹脂基板(20×40×1mm、Ra:0.40μm)を多機能性分子レジスト(FMPR)0.1gを100mlのアルコールに溶解して作成した多機能性分子レジスト水溶液に40℃で5分間浸漬する。減圧下150℃で20分間乾燥及びアルコール洗浄して試料を調整した後、エポキシ樹脂基板上にポリエステル上にマスクパターン幅L/Sの異なるポリエステル上に配線模様の描かれたマスクを載せ、高圧水銀ランプ(出力:1.5kW,照射エネルギー:2800mJ/cm,アイグラフィック(株)製アイミニグランテイジ)を用いて20℃で裏表30秒間紫外線を照射すると、エポキシ樹脂板の表面はチオール基面(紫外線未照射部分)とジスルフィド基面(紫外線照射部分)に分かれる。紫外線照射処理したエポキシ樹脂板はNP-8 150ml/lとHCl 150ml/lに調整した触媒処理液(上村工業(株)製)に25℃で1分間浸漬して、Pd-Sn触媒を担持し、上村工業(株)のスルカップPSY-1A 100ml/l、スルカップPSY-1B 55ml/l,18.5ホルマリン水溶液 20ml/lからなる無電解銅めっき浴に33℃で20分間浸漬すると、図6のように模様が転写された銅めっき配線エポキシ樹脂板が得られた。この試料について碁盤目試験を行ったが、1mm角の銅箔の剥離はなかった。結果は表3に示す。なお測定のポイントは図7に示した。
【実施例】
【0079】
配線幅L/Sは狭くなるに従い、マスクの幅と異なることが分かるが、現在の段階で十分実用性にかなう配線幅を確保できることが分かる。
【実施例】
【0080】
【表3】
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【実施例】
【0081】
<実施例19>
実施例1のエポキシ樹脂基板(20×40×1mm、Ra:0.40μm)を多機能性分子レジスト(FMPR)0.1gを100mlのアルコールに溶解して作成した多機能性分子レジスト水溶液に40℃で5分間浸漬する。減圧下150℃で20分間乾燥及びアルコール洗浄して試料を調整した後、エポキシ樹脂基板の表裏面に金網マスクをずらして載せ、高圧水銀ランプ(出力:1.5kW,照射エネルギー:2800mJ/cm,アイグラフィック(株)製アイミニグランテイジ)を用いて20℃で裏表30秒間ずつ紫外線を照射すると、エポキシ樹脂板の表裏面はチオール基面(紫外線未照射部分)とジスルフィド基面(紫外線照射部分)に分かれる。紫外線照射処理したエポキシ樹脂板はNP-8150ml/lとHCl 150ml/lに調整した触媒処理液(上村工業(株)製)に25℃で1分間浸漬して、Pd-Sn触媒を担持し、上村工業(株)のスルカップPSY-1A 100ml/l、スルカップPSY-1B 55ml/l,18.5ホルマリン水溶液 20ml/lからなる無電解銅めっき浴に33℃で20分間浸漬すると、図8のようにポキシ樹脂基板の表裏面に金網の模様が転写された2層銅めっきプリント配線エポキシ樹脂板が得られた。この試料について碁盤目試験を行ったが、1mm角の銅箔の剥離はなかった。
【実施例】
【0082】
図8から分かるように、表裏両面に銅配線が描かれていることからビルドアップ多層配線基板の製造が可能となることが分かる。
<実施例20>
実施例1のエポキシ樹脂基板(20×40×1mm、Ra:0.40μm)を多機能性分子レジスト(FMPR)0.1gを100mlのアルコールに溶解して作成した多機能性分子レジスト水溶液に40℃で5分間浸漬する。減圧下150℃で20分間乾燥及びアルコール洗浄して試料を調整した後、エポキシ樹脂基板の表面の右半分をマスクで覆い、高圧水銀ランプ(出力:1.5kW,照射エネルギー:2800mJ/cm,アイグラフィック(株)製アイミニグランテイジ)を用いて20℃で裏表30秒間ずつ紫外線を照射すると、エポキシ樹脂板の右半分はチオール基面(紫外線未照射部分)となり、左半面がジスルフィド基面(紫外線照射部分)となる。紫外線照射処理したエポキシ樹脂板はNP-8 150ml/lとHCl 150ml/lに調整した触媒処理液(上村工業(株)製)に25℃で1分間浸漬して、Pd-Sn触媒を担持し、上村工業(株)のスルカップPSY-1A 100ml/l、スルカップPSY-1B 55ml/l,18.5ホルマリン水溶液 20ml/lからなる無電解銅めっき浴に33℃で20分間浸漬すると、右半面に銅めっきが析出し、左半面には樹脂面となる。
【実施例】
【0083】
これを5%ヒドラジン水溶液中で20℃で10分間浸漬、水洗後、50mmol/dmのトリアジントリチオールモノナトリウムとトリエタノールアミンの水溶液に50℃で30秒浸漬処理する。このトリアジンチオール処理により銅配線部分に接着性が賦与される。従って、トリアジンチオール処理銅配線基板1枚と未処理のエポキシ樹脂基板2枚を合わせて、1kg/dmの圧力下で150℃で30分間熱プレスすると接着物が得られる。これに1cmの切れ身をいれて、5mm/minの速度で剥離試験を行ったところ、銅箔/樹脂間で0.8kgf/cm,また樹脂/樹脂間で6kgf/cmの剥離強度が得られた。上記のような処理をしないときにはいずれも接着しない。
【実施例】
【0084】
また、1層又は2層プリント配線基板を予め簡単なTT処理をしておき、未処理樹脂板と重ねてプレスすることにより、図9のように容易に多層基板が製造できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
7
【図9】
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