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明細書 :流量測定方法およびそれに用いる測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4565233号 (P4565233)
公開番号 特開2004-271523 (P2004-271523A)
登録日 平成22年8月13日(2010.8.13)
発行日 平成22年10月20日(2010.10.20)
公開日 平成16年9月30日(2004.9.30)
発明の名称または考案の名称 流量測定方法およびそれに用いる測定装置
国際特許分類 G01F   1/708       (2006.01)
FI G01F 1/708
請求項の数または発明の数 11
全頁数 11
出願番号 特願2004-043386 (P2004-043386)
出願日 平成16年2月19日(2004.2.19)
優先権出願番号 2003042619
優先日 平成15年2月20日(2003.2.20)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年12月14日(2006.12.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000045
【氏名又は名称】株式会社キャンパスクリエイト
発明者または考案者 【氏名】山田 幸生
【氏名】桃木 秀幸
【氏名】角田 直人
個別代理人の代理人 【識別番号】100091904、【弁理士】、【氏名又は名称】成瀬 重雄
審査官 【審査官】藤原 伸二
参考文献・文献 特開2002-148089(JP,A)
特開平11-202211(JP,A)
特開昭59-048621(JP,A)
特開昭63-058404(JP,A)
特開昭54-011765(JP,A)
特表2001-516019(JP,A)
調査した分野 G01F 1/00-1/30
G01F 1/34-1/54
G01F 1/56-1/90
G01P 5/18
G01N 21/27
特許請求の範囲 【請求項1】
次のステップを含むことを特徴とする流量測定方法:
(1)流路内を流れる流体を加熱または冷却するステップ;
(2)前記流体を加熱または冷却した位置よりも下流側において、前記流体に対して光を照射するステップ;
(3)前記流体における前記光の吸光度スペクトルを検出するステップ;
(4)前記吸光度スペクトルにおける、波長方向でのピーク位置の変動に基づいて、前記加熱または冷却された流体の到着時点を検出し、この到着時点を用いて、既定の位置から前記光の吸光度スペクトルを検出した位置まで前記流体が到達するまでの所要時間を算出することにより、前記流体の流量を検出するステップ。
【請求項2】
次のステップを含むことを特徴とする流量測定方法:
(1)流路内を流れる流体を加熱または冷却するステップ;
(2)前記流体を加熱または冷却した位置よりも下流側において、前記流体に対して複数の位置で光を照射するステップ;
(3)前記複数の位置において、前記流体における前記光の吸光度スペクトルを検出するステップ;
(4)前記複数の位置における前記吸光度スペクトルの、波長方向でのピーク位置の変動に基づいて、前記加熱または冷却された流体が前記複数の位置を順次通過するための所要時間を求め、この所要時間に基づいて前記流体の流量を検出するステップ。
【請求項3】
前記加熱又は冷却された流体の到着時点の検出は、前記波長方向でのピーク位置の変動と前記流体の温度変化量との関係を示す、予め取得された検量線に基づいて行われることを特徴とする請求項1に記載の流量測定方法。
【請求項4】
前記流体は、水を含む液体であり、前記流体に照射される光の波長帯域は、1400~1500nmの帯域を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の流量測定方法。
【請求項5】
前記流体は、水を含む液体であり、前記流体に照射される光の波長帯域は、1414nmまたは1463nm付近の帯域を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の流量測定方法。
【請求項6】
前記流体は、水を含む液体であり、
前記流体に照射される光の波長帯域は、1414nmおよび1463nm付近の帯域を含んでおり、
前記波長方向でのピーク位置の変動は、1414nm付近での波長における出力の差分と、1463nm付近での波長における出力の差分を用いて判定される
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の流量測定方法。
【請求項7】
前記流体の加熱は、透過光強度が入射光強度の約30~80%である波長を有する光によって行われることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項記載の流量測定方法。
【請求項8】
流路と、温度変化部と、検出部とを備えており、前記流路は、その内部における流体の移動を許容するものであり、前記温度変化部は、前記流路内を流れる流体を加熱または冷却するものであり、前記検出部は、前記流体の流れ方向において、前記温度変化部よりも下流側に配置されており、さらに、前記検出部は、発光部と受光部と解析部とを備えており、前記受光部は、前記発光部において発せられ、かつ、前記流体を通過または拡散反射した光を受光するものであり、前記解析部は、前記受光部で受光した光の吸光度スペクトルにおける、波長方向でのピーク位置の変動に基づいて、前記加熱または冷却された流体の到着時点を解析し、この到着時点を用いて、既定の位置から前記光の照射位置まで前記流体が到達するための所要時間を算出するものであることを特徴とする流量測定装置。
【請求項9】
前記流体は、水を含む液体であり、
前記発光部は、1400~1500nmの波長帯域を含む光を前記流体に照射するものであることを特徴とする請求項8に記載の流量測定装置。
【請求項10】
前記発光部から前記流体に照射される光の波長帯域は、1414nmまたは1463nm付近の帯域を含むことを特徴とする請求項8に記載の流量測定装置。
【請求項11】
前記流体は、水を含む液体であり、
前記発光部から前記流体に照射される光の波長帯域は、1414nmおよび1463nm付近の帯域を含んでおり、
前記解析部は、1414nm付近でのピークの波長における出力の差分と、1463nm付近でのピークの波長における出力の差分を用いて、前記加熱または冷却された流体の到達時点を解析するものであることを特徴とする請求項8に記載の流量測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を測定する方法およびそれに用いる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流量測定方法として、下記特許文献1記載のものがある。この技術は、光によって流体を加熱し、さらに、加熱された流体の到着を光によって検出するものである。この技術によれば、流体の汚染がなく、さらに、加熱手段を流体内に装備する必要がないという利点がある。
【0003】
しかしながら、この技術では、加熱流体の検出を、加熱流体における屈折率の変化または泡の発生に基づく受光量の変化により行っている。
【0004】
屈折率の変化による受光量の変化は一般に非常に小さい。このため、これを用いた検出では精度を上げることが難しい。加熱量を大きくすれば精度向上が可能であるが、大幅な加熱ができない流体も存在する。また、加熱量の増大は設備コストや運転コストの増加につながる。
【0005】
さらに、流体内で泡を発生させる方法は、泡を発生させることが不適切な流体には適用できないという問題がある。また、泡を発生させるほどの加熱量は、一般にかなり大きなものとなってしまうという問題もある。
【0006】

【特許文献1】特開2002-148089公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、光を用いて精度良く流量を測定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る流量測定方法は、次のステップを含んでいる。
(1)流路内を流れる流体を加熱または冷却するステップ;
(2)前記流体を加熱または冷却した位置よりも下流側において、前記流体に対して光を照射するステップ;
(3)前記流体における前記光の吸光度スペクトルを検出するステップ;および
(4)前記吸光度スペクトルにおける、波長方向でのピーク位置の変動に基づいて、前記加熱または冷却された流体の到着時点を検出し、この到着時点を用いて、既定の位置から前記光の吸光度スペクトルを検出した位置まで前記流体が到達するまでの所要時間を算出することにより、前記流体の流量を検出するステップ。
【0009】
本発明に係る流量測定方法は、次のステップを含む構成であっても良い。
(1)流路内を流れる流体を加熱または冷却するステップ;
(2)前記流体を加熱または冷却した位置よりも下流側において、前記流体に対して複数の位置で光を照射するステップ;
(3)前記複数の位置において、前記流体における前記光の吸光度スペクトルを検出するステップ;および
(4)前記複数の位置における前記吸光度スペクトルの、波長方向でのピーク位置の変動に基づいて、前記加熱または冷却された流体が前記複数の位置を順次通過するための所要時間を求め、この所要時間に基づいて前記流体の流量を検出するステップ。
【0010】
前記吸光度スペクトルの検出とは、例えば、前記吸光度スペクトルにおけるピーク位置の検出である。
【0011】
また、前記吸光度スペクトルの検出を、特定の波長帯域または波長において行うことができる。この、特定の波長帯域とは、例えば1400~1500nmである。さらに、特定の波長帯域とは、例えば、1414nmまたは1463nm付近の帯域であってもよい。
【0012】
前記流体の加熱を、透過光強度が入射光強度の約80%以下となる波長を有する光によって行うことができる。
【0013】
本発明に係る流量測定装置は、流路と、温度変化部と、検出部とを備えている。前記流路は、その内部における流体の移動を許容するものである。前記温度変化部は、前記流路内を流れる流体を加熱または冷却するものである。前記検出部は、前記流体の流れ方向において、前記温度変化部よりも下流側に配置されている。さらに、前記検出部は、発光部と受光部と解析部とを備えている。前記受光部は、前記発光部において発せられ、かつ、前記流体を通過または拡散反射した光を受光するものである。前記解析部は、前記受光部で受光した光の吸光度スペクトルにおける、波長方向でのピーク位置の変動に基づいて、前記加熱または冷却された流体の到着時点を解析し、この到着時点を用いて、既定の位置から前記光の照射位置まで前記流体が到達するための所要時間を算出するものである。


【0014】
前記検出部は、複数であってもよい。複数の検出部は、例えば、前記流体の流れ方向において離間している。
【0015】
前記温度変化部は、複数の方向から前記流体に光を照射することによって前記流体を加熱する構成であってもよい。
【0016】
前記温度変化部は、発光部とミラーとを備えることができる。この場合、前記発光部は、前記流体に向けて、前記流体を加熱できる波長を有する光を照射するものである。さらに、前記ミラーは、前記流体を通過した、前記発光部からの光を、前記流体に向けて戻す位置に配置される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光を用いて精度良く流量を測定する方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の第1実施形態に係る流量測定方法を説明する。まず、この方法に用いる測定装置を添付の図面を参照しながら説明する。この測定装置は、流路1と、加熱部(温度変化部に相当)2と、第1検出部3と、第2検出部4と、制御部5とを主体として備えている(図1A参照)。
【0019】
流路1は、その内部における流体の移動を許容するものである。流路1としては、例えば、配管である。流体としては、例えば液体や気体である。液体としては、例えば水を主成分とする液体である。この実施形態では、液体として水を用いた例を説明する。流体としては、光による加熱が可能であり、かつ、加熱により吸光度スペクトルが変動するものを用いることができる。この実施形態では、流体は、流路1を図1A中左から右へ流れると仮定する。
【0020】
加熱部2は、流路1の内部を流れる流体を加熱するものである。具体的には、加熱部2は、発光素子を備えている。発光素子としては、この実施形態ではレーザ素子を用いている。レーザ素子としては、パルス光を発するものでも、CW光を発するものでもよい。また、発光素子としては、レーザ素子に限らず、LEDなど、流体を加熱する光を発するものであればよい。加熱部2は、この実施形態では、1200nmの波長を有する光を流体に照射するようになっている。
【0021】
第1検出部3は、流体の流れ方向において、加熱部2よりも下流側に配置されている(図1A参照)。第1検出部3は、発光部31と受光部32と解析部33とを備えている。発光部31は、発光素子としてのレーザ素子を備えている。レーザ素子としては、パルス光を発するものでも、CW光を発するものでもよい。
【0022】
また、発光部31は、特定の波長帯域、例えば1400~1500nm(より具体的には1414nmおよび1463nm)の波長を有する光を発光できるようになっている。そのような発光部31は、異なる発振波長を有するレーザ素子を並列に設置することによって容易に構成することができる。発光部31においては、二つの波長の光を交互に発生させる。
【0023】
あるいは、発光部31としては、より広い波長帯域(例えば1200~1600nm)を有する光源(例えばハロゲンランプや白色レーザ)を用いても良い。
【0024】
受光部32は、発光部31において発せられ、かつ、流体を通過した光を受光するものである。受光部32は、流路1を挟んで、発光部31に対向して配置されている。受光部32は、例えば一つのフォトダイオード(図示せず)を用いることによって構成することができる。
【0025】
あるいは、発光部31として広い波長帯域を有する光源を用いた場合には、図1Bに示されるように、受光部32を、分光器321と光検出器322とから構成しても良い。光検出器322とは、例えば、波長スキャン型検出器や、ある波長範囲を同時に測定できるリニアセンサーである。
【0026】
解析部33は、受光部32で受光した光の吸光度スペクトルに基づいて、加熱された流体の到着時点を解析するものである。詳しい解析手順は後述する。解析部33は、後述する制御部5と共に、コンピュータ6によって実装されている。
【0027】
第2検出部4は、発光部41と受光部42と解析部とを備えている。発光部41および受光部42は、前記した第1検出部3における発光部31および受光部32と同様なので、詳しい説明を省略する。さらに、第2検出部4における解析部は、この実施形態では、前記した第1検出部3における解析部33と共用となっている。
【0028】
制御部5は、加熱部2、第1検出部3および第2検出部4の動作を制御するものである。これら各部の動作の詳細は後述する。制御部5は、解析部33と同様に、コンピュータ6によって実装されている。コンピュータ6は、加熱部2、発光部31・41、受光部32・42に接続されており、これらに対して制御を行い、また、これらからの出力があれば受け取ることができるようになっている。
【0029】
つぎに、前記のように構成された測定装置を用いた流量測定方法を説明する。なお、この明細書においては、流量測定とは、流速測定を含めた意味で用いる。流量は、流速と流路の断面積(既知)とから導くことができるからである。
【0030】
まず、流路1の内部に流体を流しておく。ついで、加熱部2により、流路内を流れる流体を加熱する。この実施形態では、波長1200nmのレーザ光を流体に照射することによって流体を加熱する。水の吸収係数は、1450nm付近で最大となる。この実施形態では、流体の加熱を、流体の吸光度スペクトルにおける吸収係数が小さい波長を有する光で行っている。そのような光とは、例えば、透過光強度が入射光強度の約80%以下となる波長を有する光である。より好ましくは、透過光強度は、入射光強度の30%~50%である。用いる光の波長としては、管壁近傍の温度を急激に上昇させないものであることが好ましい。もし、吸収係数が大きいと、流路の管壁近傍の温度が大きく上昇し、流路の中央付近での温度上昇が小さい。すると、管壁からの熱伝達により流体の温度低下を生じやすく、加熱部分の測定の精度が劣化しやすいという問題がある。
【0031】
本実施形態では、吸収係数が比較的に小さい波長(具体的には1200nm)の光を加熱に用いているので、流路の周辺から中央にかけての温度勾配をなだらかにすることができる。このため、この測定方法によれば、第1・第2検出部3・4による加熱部分(加熱流体)の検出(後述)を精度良く行うことができるという利点がある。加熱された流体は、流路1の下流側に流れる。加熱時期や光の照射出力の制御は、制御部5により行われる。
【0032】
ついで、第1検出部3の発光部31から流体に向けてレーザ光を照射する。このとき、二つの波長の光を交互に照射する。流体を透過した光は、受光部32により受光される。受光部32では、二つの波長の光を交互に受光する。発光部31における発光の間隔や長さは既知なので、受光部32におけるフォトダイオードが一つであっても、どちらの波長の光に対する出力であるかを判別することができる。
【0033】
あるいは、受光部32として分光器321と光検出器322を用いた場合には、光検出器322によって、広い波長範囲でのスペクトルを取得できる。
【0034】
受光部32の出力は、解析部33により解析される。解析部33は、受光部32で受光された光のスペクトル変化を検出する。つまり、解析部33は、流体を加熱した位置よりも下流側の位置において、流体における光の吸光度スペクトルの変化を検出する。この検出の原理を以下に詳細に説明する。
【0035】
流体(この実施形態では水)による光の吸光度スペクトルのピークは、図3に示されるように、流体(水)温度が高くなるほど短波長側に移動する。つまり、吸光度スペクトルは、流体温度の変化に伴って変化する。したがって、吸光度スペクトルの時間変化を記録することにより、加熱流体の到来時点を決定することができる。吸光度スペクトルがどの程度移動した時点を到来時とするかは、例えば予め実験的に設定した検量線により行うことができる。
【0036】
さらに、吸光度スペクトルの差分値は、波長1414nmでは温度と共に上昇し、波長1463nmでは温度と共に減少する(図3参照)。したがって、これらの波長における出力を検出し、その差分を取ることにより、加熱部位の到着を精度良く測定することができる。本実施形態では、解析部33により、出力の差分(直前の時点との差分)を、二つの波長においてそれぞれ検出することができる。ただし、一方の波長における差分のみを検出に用いることも可能である。
【0037】
この実施形態では、解析部33は、出力の差分がしきい値(これは例えば実験的に求めておくことができる)に到達したか、あるいはしきい値を超えた時点を、加熱流体の到着時点と判断することができる。ただし、差分を取るのではなく、吸光度スペクトルのピーク波長の移動を直接検出することによって加熱流体の到来を検出することも可能である。
【0038】
このように、本実施形態の方法によれば、流体の吸光度に基づいて加熱流体の到来を検出することができる。
【0039】
さらに、この実施形態では、第2検出部4の発光部41からも、流体に向けてレーザ光を照射する。この光は、受光部42により受光され、解析部33により解析される。これらの動作は第1検出部3と同様なので、説明を省略する。第2検出部4により、第1検出部3から離間した位置における、加熱流体の到来時点を検出することができる。
【0040】
流体の流速vは、以下のように算出できる。
v=L/(t-t) (1)
ただし、
L:第1検出部3から第2検出部4までの距離(既知)、
:第1検出部で検出された、加熱流体の到着時間、
:第2検出部で検出された、加熱流体の到着時間、
である。
流量は、流路の断面積(既知)と、算出された流速とから算出することができる。
【0041】
また、前記した従来の特許文献1に記載した技術のように、流体の屈折率変化を用いた検出方法では、流体の温度が流路断面内で一様ではないことが条件となる。さらに、絶対的な温度を計測することはできない。これに対して、本実施形態の方法によれば、流体温度が流路断面内で一様であっても加熱流体の到来を検出することができる。また、本実施形態の方法では、検出された吸光度スペクトルに基づいて、絶対的な温度変化も検出することができるという利点がある。
【0042】
さらに、前記した従来の特許文献1の技術では、測定精度の向上が難しいという問題がある。これに対して、本実施形態の方法によれば、スペクトルの変動に基づいて温度変化を検出できるので、例えば0.1℃刻みでの温度変化を検出することも可能である。したがって、本実施形態によれば、流体の加熱量は僅かで済み、流体の温度変化に伴う流量自体への影響を減少させることもできる。さらには、大幅な加熱ができない流体の流量計測も可能となる。また、微少温度変化を測定できることからも、流量の測定精度を向上させることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、第1検出部3と第2検出部4とを用いる構成としたが、第1検出部2のみを用いる構成としてもよい。この場合には、前記した式(1)において
:加熱部による流体の加熱時点、
:第1検出部で検出された、加熱流体の到着時間、
と読み替えればよい。もちろん、この場合には、流体へ加熱した時点を記録しておく必要がある。
【0044】
また、本実施形態では、加熱部2において用いる波長を1200nmとしたが、これに限るものではなく、流路の径、流速、流体の種類等の条件に対応して選択することができる。
【0045】
さらに、本実施形態では、発光部31から二つの波長のレーザ光を交互に発生させる構成としたが、これらを同時に発生させる構成としても良い。この場合には、受光部32において、それぞれのレーザ光を別々に受光する二つのフォトダイオードを備えることが好ましい。
【0046】
さらに、前記実施形態では、流量を測定するものとしたが、流速を測定することも当然に可能である。また、前記実施形態において、加熱部2、発光部31または発光部42を構成するレーザを流路1の内部に配置しても良い。このようにすると、幅の大きい流路1についても本実施形態の方法を適用することが容易となる。
【0047】
また、加熱部2から照射する光としては、流体を加熱できるものであればどのような波長でもよい。さらに、発光部31および42から発せられる光としては、流体の温度により吸光度スペクトルが変化する光であればどのような波長でもよい。また、この実施形態では、光にはミリ波の電磁波を含むものとする。
【0048】
また、前記実施形態では、流体を透過した光の吸光度スペクトルに基づいて加熱流体の到来を判断している。しかし、これに限らず、流体で拡散反射した光の吸光度スペクトルに基づいて対象物の温度を計測することも、同様の方法により可能である。図4(a)および(b)に、拡散反射の場合における吸光度スペクトルと温度との関係を示す。これらの図から、対象物の温度によって吸光度(あるいは吸光度スペクトル)が変化していることが判る。
【0049】
なお、前記実施形態では、温度変化部として加熱部を例示したが、これに代えて、流体を冷却するための冷却部としてもよい。冷却部としては、例えば、任意の冷却素子(例えば熱電素子)を用いて容易に構成できる。
【0050】
つぎに、本実施形態の第2実施形態に係る測定装置を図5に基づいて説明する。この実施形態では、二つの加熱部2を設けている。一方の加熱部2は、他方の加熱部2に対して、光軸がほぼ直交する位置に配置されている。このようにすると、流体の中心付近を加熱しやすくなる。すると、管壁から逃げる熱を減少させることができ、加熱流体の到着を精度良く判定することができ、流速測定精度を向上させることができる。加熱部2は二つ以上であってもよい。他の構成は第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0051】
つぎに、本実施形態の第3実施形態に係る測定装置を図6に基づいて説明する。この実施形態では、加熱部2を、発光部21とミラー22とから構成している。発光部21は、前記した第1実施形態における加熱部2と同様である。ミラー22は、流路1の外側の側面に取り付けられている。また、ミラー22は、流体を通過した、発光部21からの光を、流体に向けて戻す位置に配置されている。第3実施形態においても、流体の中心付近を加熱しやすくなり、流速測定精度を向上させることができるという利点がある。他の構成は第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0052】
なお、前記各実施形態の記載は単なる一例に過ぎず、本発明に必須の構成を示したものではない。各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、上記に限らない。
また、各実施形態を実現するための各部(機能ブロックを含む)の具体的手段は、ハードウエア、ソフトウエア、ネットワーク、これらの組み合わせ、その他の任意の手段を用いることができ、このこと自体は当業者において自明である。
さらに、機能ブロックどうしが複合して一つの機能ブロックに集約されても良い。また、一つの機能ブロックの機能が複数の機能ブロックの協働により実現されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】本発明の第1実施形態に係る流量測定装置の概略を示す要部断面図である。
【図1B】受光部の構成の変形例を示す説明図である。
【図2】図(a)は、温度による、水の吸光度スペクトルの変化を説明するためのグラフであって、横軸は光の波長、縦軸は吸光度である。図(b)は、図(a)に示されるスペクトルのピーク部分(波長1450nm付近)における拡大図である。
【図3】温度による、水の吸光度スペクトルの変化を説明するためのグラフであって、横軸は光の波長、縦軸は各温度における吸光度の間の差分である。
【図4】図(a)は、温度による、水の吸光度スペクトルの変化を説明するためのグラフである。このグラフにおいて、横軸は、光の波長、縦軸は、拡散反射における吸光度である。図(b)は、図(a)に示されるスペクトルのピーク部分(波長1450nm付近)における拡大図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る流量測定装置における流路の拡大断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る流量測定装置における流路の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 流路
2 加熱部(温度変化部)
21 加熱部の発光部
22 ミラー
3 第1検出部
31 発光部
32 受光部
33 解析部
4 第2検出部
41 発光部
42 受光部
5 制御部
6 コンピュータ
図面
【図1A】
0
【図1B】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6