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明細書 :押出加工物の製造方法及び押出加工物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4324671号 (P4324671)
公開番号 特開2005-288507 (P2005-288507A)
登録日 平成21年6月19日(2009.6.19)
発行日 平成21年9月2日(2009.9.2)
公開日 平成17年10月20日(2005.10.20)
発明の名称または考案の名称 押出加工物の製造方法及び押出加工物
国際特許分類 B21C  23/22        (2006.01)
B21C  23/10        (2006.01)
B21C  25/06        (2006.01)
F28F   1/00        (2006.01)
F28F   1/02        (2006.01)
F28F   1/04        (2006.01)
FI B21C 23/22 Z
B21C 23/10
B21C 25/06
F28F 1/00 A
F28F 1/02 B
F28F 1/04
請求項の数または発明の数 18
全頁数 17
出願番号 特願2004-108602 (P2004-108602)
出願日 平成16年4月1日(2004.4.1)
審査請求日 平成19年3月28日(2007.3.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人 電気通信大学
発明者または考案者 【氏名】村田 眞
【氏名】久保木 孝
【氏名】牧山 高大
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
【識別番号】100101247、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 俊一
【識別番号】100120455、【弁理士】、【氏名又は名称】勝 治人
審査官 【審査官】福島 和幸
参考文献・文献 特開平05-076925(JP,A)
特開昭58-125314(JP,A)
調査した分野 B21C 23/00
B21C 25/06
特許請求の範囲 【請求項1】
管形状又は管の一部を長さ方向に切り欠いた形状の周側壁と、この周側壁の内部を長さ方向に仕切るリブとを備えた押出加工物の製造方法であって、押出方向に貫通孔が設けられたマンドレルと、このマンドレルの周囲に配されたダイスとを備えた成形用金型を準備し、前記周側壁を形成するための母材を前記マンドレルと前記ダイスの間の空間内に充填して押出方向に力を付与しつつ前記リブを形成するための被接合材を前記貫通孔を通して押出方向に供給し、前記ダイスの出口又はその付近で前記被接合材の長さ方向両側端部が前記母材の内周部に食い込んで前記母材と接合されるようにしたことを特徴とする押出加工物の製造方法。
【請求項2】
前記被接合材と前記母材が、これらの摩擦により生じる熱で溶着接合されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の押出加工物の製造方法。
【請求項3】
前記被接合材と前記母材が同じ材料から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の押出加工物の製造方法。
【請求項4】
前記被接合材の降伏応力又は縦弾性係数が前記母材の降伏応力又は縦弾性係数よりも高いことを特徴とする請求項1記載の押出加工物の製造方法。
【請求項5】
前記マンドレルの先端部形状は、外周部が押出方向に向かって連続的に縮小したテーパ状又は外周部が段状に縮小した段付き状であることを特徴とする請求項1記載の押出加工物の製造方法。
【請求項6】
前記マンドレルの先端部に開口した前記被接合材の供給口の所定の部位と前記ダイスの出口の開口面との押出方向の距離dが、-0.5D≦d≦0.5D(但しDは前記ダイスの出口の内径)の範囲内となるように、前記マンドレルと前記ダイスを組み合わせたことを特徴とする請求項5記載の押出加工物の製造方法。
【請求項7】
前記ダイスの出口の近傍に、前記母材を前記マンドレルの径方向外側へ導くフローガイドが設けられたことを特徴とする請求項5記載の押出加工物の製造方法。
【請求項8】
前記フローガイドは、前記ダイスの出口の周囲に形成された段差部であることを特徴とする請求項7記載の押出加工物の製造方法。
【請求項9】
前記フローガイドは、前記ダイスの出口の周縁部に形成されたテーパ面であることを特徴とする請求項7記載の押出加工物の製造方法。
【請求項10】
前記マンドレルの外周面に沿って前記被接合材の長さ方向両側面に向かって流れる前記母材を、前記マンドレルの先端部に開口した前記被接合材の供給口よりも上流側において前記被接合材の両面から離反する方向に分岐させた後、前記被接合材と前記母材の接合が行われる位置で前記被接合材を両面から挟み込むように合流させる母材誘導部が前記マンドレルに設けられたことを特徴とする請求項1記載の押出加工物の製造方法。
【請求項11】
前記母材誘導部は、前記マンドレルの外周面上に設けられた突起であることを特徴とする請求項10記載の押出加工物の製造方法。
【請求項12】
管形状又は管の一部を長さ方向に切り欠いた形状の周側壁と、この周側壁の内部を長さ方向に仕切るリブとを備えた押出加工物であって、前記リブが前記周側壁とは別体であり、かつ前記リブの長さ方向両側端部が前記周側壁の内周部に食い込んだ状態で前記周側壁と接合されたことを特徴とする押出加工物。
【請求項13】
前記リブの長さ方向両側端部と前記周側壁が溶着接合されたことを特徴とする請求項12記載の押出加工物。
【請求項14】
前記リブと前記周側壁が同じ材料から成ることを特徴とする請求項12又は請求項13記載の押出加工物。
【請求項15】
前記リブの表面に沿って形成される熱交換流体の層流に乱流を生じさせる貫通孔が前記リブに設けられたことを特徴とする請求項12記載の押出加工物。
【請求項16】
前記リブの表面に沿って形成される熱交換流体の層流に乱流を生じさせる凹凸が前記リブに設けられたことを特徴とする請求項12記載の押出加工物。
【請求項17】
前記リブが長さ方向に座屈可能に形成されたことを特徴とする請求項12記載の押出加工物。
【請求項18】
前記リブの長さ方向両側端部が凹凸状に形成されたことを特徴とする請求項12記載の押出加工物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のラジエータや空調装置の熱交換器のコアを構成する熱交換パイプ、あるいは各種構造物を構成するチャンネル材等として用いられる押出加工物に関する。
【背景技術】
【0002】
管形状又は管の一部を長さ方向に切り欠いた形状の押出加工物が、自動車のラジエータや空調装置の熱交換器のコアを構成する熱交換パイプ、あるいは各種構造物を構成するチャンネル材等として用いられている。
【0003】
この種の押出加工物では、強度や熱交換効率の向上等を目的として、内部を長さ方向に仕切るリブを設けている場合がある。
【0004】
近年、この種の押出加工物を用いた物品に対し、設置スペース、外形寸法、重量等の制限がますます厳しくなる傾向にあり、必要な性能を確保しつつ小型軽量化や低コスト化を図るために、横断面形状を長さ方向に変化させた押出加工物が要求されるようになってきている。
【0005】
特開平6-198328号公報には、そのような押出加工物の一例が開示されており、図23はこの押出加工物の斜視図、図24、図26はこの押出加工物を製造するための成形用金型の断面図、図25は図24のg-g線断面図、図27は図26のh-h線断面図である。
【0006】
図23に示すように、この押出加工物101は、管形状の周側壁102と、この周側壁102の内部を長さ方向に仕切るリブ103とを備えており、リブ103が長さ方向に間欠的に配置された構造となっている。
【0007】
この押出加工物101は以下の手順により製造される。まず、図24に示すように、マンドレル201の先端側の第1成型部202をダイス301の出口302内に位置せしめた状態(以下、第1位置状態と称する)とし、コンテナ401内に充填したビレット501に押出方向の力(図の右方向)を付与する。
【0008】
これにより、マンドレル201の第1成形部202とダイス301の出口302とにより形成されたロの字形の第1成形隙間g1(図25参照)をビレット501が通過して周側壁102が形成されると共に、溶着室204内に押し込まれたビレット501がスリット状の隙間205(図25参照)を通過してリブ103が形成される。
【0009】
そして、所定の時点で、マンドレル201を押出方向前方に突出させ、図26に示すように、第1成形部202よりも押出方向後方の第2成形部206をダイス301の出口302内に位置せしめた状態(以下、第2位置状態と称する)とする。
【0010】
これにより、マンドレル201の第2成形部206とダイス301の出口302とにより形成されたロの字形の第2成形隙間g2(図27参照)をビレット501が通過して周側壁102が形成される。
【0011】
このとき、溶着室204はダイス301の出口302の前方に位置しており、ビレット501が押し込まれないため、リブ103は形成されない。
【0012】
このように、押出加工中に、マンドレル201を、図24に示す第1位置状態と、図26に示す第2位置状態とに交互に切り換えることにより、図23に示すように、長さ方向にリブ103が間欠的に配置された構造の押出加工物101が形成されることになる。
【0013】
また、特開平5-76925号公報には、マンドレルの軸心に設けた貫通孔から中仕切りフィンを押出方向に供給し、これと同時にマンドレルの先端部外周に配したダイスとマンドレルとの間から管形状の周側壁を押し出して周側壁内部に中仕切りフィンを密着させるようにした多穴管の製造方法が開示されている。

【特許文献1】特開平6-198328号公報
【特許文献2】特開平5-76925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、リブ103の横断面形状がマンドレル201の隙間205の形状によって決まるため、リブ103の横断面形状を長さ方向に変化させることができず、リブ103を所望の形状にすることができない。また周側壁102とリブ103を形成する材料が同一であることに限られる。
【0015】
また、リブ103や、隣り合う二つのリブ103間の隙間104を精度良く形成することができないと考えられる。したがって、所望の性能(例えば熱交換効率や強度等)を確保しづらいという問題点がある。
【0016】
また、上記特許文献2の技術では、周側壁を熱収縮させて中仕切りフィンに密着させるか、あるいは周側壁と中仕切りフィンとをろう付けすることにより周側壁と中仕切りフィンとを接合するようにしているため、周側壁と中仕切りフィンの間の接合強度が不十分であり、熱伝導性も良くないと考えられる。
【0017】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、管形状又は管の一部を長さ方向に切り欠いた形状の周側壁と、この周側壁の内部を長さ方向に仕切るリブとを備えた押出加工物において、リブを所望の形状にすることができると共に精度良く形成できるようにし、さらに周側壁とリブの間の接合強度を大きくすると共に熱伝導性を良好にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の押出加工物の製造方法は、管形状又は管の一部を長さ方向に切り欠いた形状の周側壁と、この周側壁の内部を長さ方向に仕切るリブとを備えた押出加工物の製造方法であって、押出方向に貫通孔が設けられたマンドレルと、このマンドレルの周囲に配されたダイスとを備えた成形用金型を準備し、押出加工物の周側壁を形成するための母材をマンドレルとダイスの間の空間内に充填して押出方向に力を付与しつつ押出加工物のリブを形成するための被接合材をマンドレルの貫通孔を通して押出方向に供給し、ダイスの出口又はその付近で被接合材の長さ方向両側端部が母材の内周部に食い込んで母材と接合されるようにしたことを特徴としている。
【0019】
また、本発明の押出加工物は、管形状又は管の一部を長さ方向に切り欠いた形状の周側壁と、この周側壁の内部を長さ方向に仕切るリブとを備えた押出加工物であって、リブが周側壁とは別体であり、かつリブの長さ方向両側端部が周側壁の内周部に食い込んだ状態で周側壁と接合されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明の押出加工物は、リブが周側壁とは別体であり、かつ押出加工時にマンドレルの貫通孔を通して供給される被接合材によってリブが形成されるため、リブを所望の形状にすることができる。
【0021】
また、リブを形成する被接合材はプレス加工や機械加工等により製造されると共に所望の材料で形成することができるため、リブを精度良く形成することができると共に、コスト削減や軽量化を図ることができる。
【0022】
また、リブを形成する被接合材に自由に加工を施すことができるので、所望の性能(例えば熱交換効率や強度等)が得られ易いと共に、軽量化を図ることができる。
【0023】
また、リブの長さ方向両側端部が周側壁の内周部に食い込んだ状態で周側壁と接合されており、かつリブの長さ方向両側端部の表面全体が周側壁に隙間無く密着しているため、リブと周側壁の間の熱伝導性が良好であると共に、リブと周側壁の接合強度が大きいので信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態である押出加工物1の一部破断斜視図、図2は押出加工物1を製造するために用いられる成形用金型21の断面図、図3は図2のa-a線断面図、図4は成形用金型21の一部を成すマンドレル22の側面図、図5はマンドレル22の先端部を軸線方向に見た図、図6はマンドレル22とダイス23の位置関係の説明図、図7は押出加工物1の製造方法の説明図である。
【0025】
図1に示す押出加工物1は、例えば自動車のラジエータや空調装置の熱交換器のコアを構成する熱交換パイプとして用いられるものであって、アルミニウム等の熱伝導性に優れた材料により形成され、断面ロの字形の管形状の周側壁2と、この周側壁2の内部を長さ方向に仕切るリブ3とを備えている。
【0026】
リブ3は周側壁2とは別体であり、かつリブ3の長さ方向両側端部4が周側壁2の内周部に食い込んだ状態で周側壁2と接合されている。また、リブ3には、その両側に形成された通路を相互に連通させる貫通孔5が長さ方向に間隔をおいて複数個設けられている。
【0027】
この押出加工物1は、図2、図3に示すような成形用金型21を用いて製造される。同図に示すように、この成形用金型21は、マンドレル22と、このマンドレル22の周囲に同心状に配されたダイス23とを備えている。
【0028】
マンドレル22は角柱状に形成され、その先端部形状は、外周部が押出方向に向かって連続的に縮小したテーパ状を成している。マンドレル22には、軸線方向に貫通孔24が設けられており、押出加工時において、この貫通孔24を通してリブ3を形成するための被接合材31が供給される。
【0029】
図4、図5に示すように、この貫通孔24は、マンドレル22の先端部に開口してスリット状の供給口25を形成している。この供給口25は、マンドレル22の先端面22aを縦断して両端がテーパ状の外周面22bに切れ込んでいる。
【0030】
被接合材31は、押出加工物1の周側壁2を形成するための母材であるビレット(後述)との接合性の良い材料により形成された長尺の帯状の部材で、長さ方向に所定間隔をおいて複数個の貫通孔32(図2参照)が設けられており、フープ状に巻き回されている。
【0031】
この被接合材31の先端部をマンドレル22における押出方向と反対側の端部から貫通孔24内に挿入し、図示しない送り装置で被接合材31を長さ方向に繰り出すことにより被接合材31が供給口25を介してダイス23の出口26(後述)に向けて供給される。
【0032】
なお、送り装置を用いず、被接合材31とビレットの間に生じる、例えば摩擦力や保持力等によって被接合材31を繰り出すようにしてもよく、この場合、設備費を削減することができるという利点が有る。
【0033】
ダイス23は、押出加工物1の周側壁2を形成するビレットを押し出すための出口26を有している。この出口26の形状によって押出加工物1の外周部形状が決定される。
【0034】
図6に示すように、マンドレル22とダイス23は、マンドレル22の先端部の供給口25(図4参照)の両端25aが、ダイス23の出口26の内側開口面26aの近傍に位置するように組み合わされている。
【0035】
より具体的には、出口26の内径をDとすると、供給口25の両端25aと出口26の開口面26aとの押出方向の距離dが、-0.5D≦d≦0.5Dとなるようにマンドレル22とダイス23が組み合わされている。このようにすることで、ビレットと被接合材の接合がより確実に行われるようになると共に、押出加工時にビレットが供給口25に流入するのを防ぐことができる。
【0036】
なお、dが正の場合は供給口の両端25aが開口面26aよりも押出方向前方に位置し、dが負の場合は供給口の両端25aが開口面26aよりも押出方向後方に位置していることを表す。
【0037】
出口26とマンドレル22の先端部の間に形成された環状の成形隙間Gをビレットが通過することによって、図1に示すような管形状の周側壁2が形成される。なお、この周側壁2におけるリブ3の幅方向と平行な方向の内寸法D1は、リブ3の幅寸法Wよりも小さくなるように設定されている。
【0038】
図1に示す押出加工物1は、上記の成形用金型21を用いて以下のような製造方法により製造される。
【0039】
図7に示すように、加熱されて軟化したビレット41をマンドレル22とダイス23の間の空間内27に充填し、押出方向(矢印方向)に力を付与する。また、これと同時に、あらかじめ複数個の貫通孔32を形成した被接合材31をマンドレル2の貫通孔24(図2参照)を通して押出方向に供給する。
【0040】
ビレット41は、ダイス23の出口26とマンドレル22の先端部の間に形成された環状の成形隙間G(図6参照)を通って押し出され、押出加工物1の周側壁2を形成する。一方、被接合材31は、その長さ方向両側端部33(図2参照)が、成形隙間Gを通過する管形状のビレット41の内周部に食い込んでゆき、ビレット41により幅方向に挟み込まれた状態でビレット41と接合される。
【0041】
ビレット41は、例えばアルミニウムであれば400~550℃程度に加熱されて軟化しており、加えて被接合材31の長さ方向両側端部33がビレット41の内周部に食い込むように押し付けられるため、ビレット41は被接合材31の表面の微細な凹凸形状に沿って隙間無く密着する。したがって、ビレット41によって形成される周側壁2と、被接合材31によって形成されるリブ3との間の熱伝導性は良好となる。
【0042】
このように、被接合材31の長さ方向両側端部33がビレット41の内周部に食い込んだ状態で接合されるようにしたことで、上記特開平5-76925号公報のもののように、ビレットを熱収縮させて被接合材の両側面に密着させる場合や、ビレットと被接合材をろう付け接合する場合等に比べて接触面積や接合強度が大きく、熱伝導性及び信頼性が高くなる。
【0043】
なお、被接合材31とビレット41の間に生じる摩擦熱により被接合材31とビレット41が溶融して両者が溶着接合されるようにすれば、さらに熱伝導性が良好となると共に接合強度も向上するので好ましい。このような溶着接合が確実に行われるようにするためには、ビレット41と被接合材31を同じ材料で形成するのが好ましい。
【0044】
このようにして被接合材31と一体化された状態で出口26から押し出された管形状のビレット41を所定の長さで切断することにより、図1に示すような押出加工物1が得られる。
【0045】
この押出加工物1では、リブ3が貫通孔5(被接合材31の貫通孔32)を有しているため、リブ3の表面に沿って形成される熱交換流体(例えば水、空気等)の層流に乱流が生じる。この層流は熱伝導性を低下させるものであり、乱流が生じることで層流が破断して熱伝導性が向上する。なお、この貫通孔5に代えて、例えば洗濯板の表面に形成されたような形状の凹凸をリブ3に形成することで、熱交換流体の層流に乱流を生じさせるようにすることもできる。
【0046】
また、リブ3に貫通孔5を設けたことで軽量化するため、重量を削減することができる。この場合、必要な強度を確保できるよう、強度が必要とされる部位には貫通孔5を設けず、その他の部位にのみ貫通孔5を設けるようにすればよい。
【0047】
また、図8に示すように、貫通孔5の形状を各部位毎に異なる形状としてもよい。この場合、貫通孔5の形状は、各部位毎に必要とされる性能(例えば強度、熱交換率等)に応じて設定される。
【0048】
本発明では、リブ3が周側壁2とは構造的に別体であるため、リブ3を所望の形状にすることができると共に、上記の貫通孔5以外にも所望の加工を施すことができる。
【0049】
例えば、押出加工物1に加わる外力に応じてリブ3の肉厚を長さ方向に変化させることにより、軽量化を図ることができる。
【0050】
また、リブ3を長さ方向に座屈可能に形成しておくと、押出加工物1に対して長さ方向に物理的衝撃が加えられた場合にリブ3が座屈して衝撃を吸収するため、衝撃吸収材としても機能するようになる。
【0051】
そのような構造のリブとしては、例えば、肉厚が薄い薄肉部が長さ方向に間隔をおいて形成され、長さ方向に荷重が付与されたときにアコーディオン状に座屈するように形成されたもの等が考えられる。
【0052】
また、被接合材31の降伏応力又は縦弾性係数を、周側壁2を形成する母材の降伏応力又は縦弾性係数よりも高くなるように設定すると、押出加工物1の製品強度を高めることができる。
【0053】
また、周側壁2とリブ3を異なる材料で形成することにより、高機能化を図ることもできる。
【0054】
なお、周側壁2とリブ3の接合強度を向上するために、リブ3の長さ方向両側端部4を凹凸状に形成してもよい。図9、図10には、そのような加工を施したリブ3の一例を示している。
【0055】
即ち、図9(a)の例では、リブ3の長さ方向両側端部4に沿って複数個の貫通孔6が設けられている。また、図9(b)の例では、リブ3の長さ方向両側端部4に沿って複数個の切欠部7が設けられている。そして、図9(c)の例では、リブ3の長さ方向両側端部3aに沿って多数の線状の傷痕8が格子状に設けられている。
【0056】
また、図10の例では、リブ3の長さ方向両側端部4が断面波状に形成されている。なお、長さ方向両側端部4のみでなく、リブ3全体を断面波状に形成するようにしてもよい。
【0057】
ところで、本実施形態では、図7に示すように、マンドレル22の先端部の径が変化しているために、ビレット41がダイス23の出口26から押し出される際にマンドレル22の先端近傍の外周面22bに沿って径方向内側に流れようとするため、ビレット41の材質や押出条件等によっては、出口26から押し出される管形状のビレット41の外径が縮小して出口26の内径と同径にならないことがある。
【0058】
そこで、出口26の近傍に、ビレット41をマンドレル22の径方向外側へ導くフローガイドを設けるようにすると、そのような問題を解消することができる。図11、図12はそのようなフローガイドを設けた成形用金型21の一例を示している。
【0059】
図11に示す例では、ダイス23の出口26の上流側に隣接してリング状のバッファプレート61を設けている。このバッファプレート61の内径は出口26の上流側の開口径よりも大きくなっており、出口26の周囲に段差部62を形成している。なお、バッファプレート61の形状はリング状に限られるものではなく、厚み方向に貫通する貫通孔を設けたプレート状のものであれば、他の形状でもよい。また、図12に示す例では、出口26の周縁部にテーパ面63が形成されている。
【0060】
このようにすると、出口26付近のビレット41がダイス23の出口26の形状に従って流れるため、出口26から押し出される管形状のビレット41の外径を出口26の内径と同径又はそれに近い径にすることができる。
【0061】
また、出口26に押し込まれたビレット41が、供給口25(図4参照)から出てくる被接合材31を幅方向に挟み込むと、被接合材31が変形する恐れがある。このような問題が生じないようにするには、マンドレル22の外周面に沿って流れるビレット41を被接合材31の長さ方向両側面に流れ込まないように誘導する必要がある。
【0062】
図13、図14はそのように構成されたマンドレルの側面図である。これらの図に示すように、マンドレル22の外周面22bにおける供給口25の上流の部位に一対の突起71を設けている。この突起71の形状は、例えば三角形、四角形、紡錘形等が考えられる。
【0063】
マンドレル22の外周面22bに沿って被接合材31の長さ方向両側面34に向かって流れるビレットは、この突起71の部分において矢印で示すように被接合材31の両面から離反する方向に分岐した後、この突起71の下流側、すなわち、被接合材31とビレットの接合が行われる位置で被接合材31を両面から挟み込むように合流する。
【0064】
したがって、ビレットが被接合材31の長さ方向両側面34に流れ込むことがなく、被接合材31がビレットによって幅方向に挟圧されないため、変形する恐れがない。また、この場合、被接合材31とビレットの接合強度を大きくすることもできる。
【0065】
なお、本発明の押出加工物の断面形状は上記実施形態に限定されるものではなく、その他の形状であってもよい。例えば、リブ3は平板以外の形状あってもよく、図15(a)に示すような断面十字形、あるいはその他の形状であってもよい。
【0066】
また、図15(b)に示すように、リブ3を複数個設けるようにしてもよい。
【0067】
また、周側壁2の断面形状は、図15(c)~図15(e)に示すような断面円形状、あるいはその他の形状であってもよい。
【0068】
また、周側壁2の形状は管形状に限定されるものではなく、図15(f)に示すように、管の一部を長さ方向に切り欠いた断面C字形状や断面コの字形状等であってもよい。
【0069】
また、成形用金型のマンドレルの先端部形状は、図16、図17に示すように、外周部が段状に縮小した段付き状としてもよい。図16は段付き状のマンドレルを備えた成形用金型の縦断面図、図17は図16のc-c線断面図である。
【0070】
なお、被接合材31の長さ方向両側端部がビレットの内周部に食い込むことができるように、マンドレル22の先端部の小径部22cの幅は被接合材31の幅よりも小さくなっている。このマンドレルの場合、先端部がテーパ状のものに比べてダイス26の出口の内周面との間に空間が生じにくいため、出口26から押し出される管形状のビレットの外径が出口26の内径よりも小さくなりにくい。
【0071】
なお、このマンドレルの場合、図18、図19に示すように、小径部22cと大径部22dの間の境界部22eをテーパ状に形成すると、ビレットが流れ易くなるので好ましい。
【0072】
また、成形用金型のダイスを、図20~図22に示すようなポートホールダイス(ブリッジダイスともいう)とすることもできる。図20はポートホールダイスを備えた成形用金型の縦断面図、図21は図20のe-e線断面図、図22は図21のf-f線断面図である。
【0073】
これらの図に示すように、ダイス23は、マンドレル22との間に形成される空間27を横断するブリッジ部23aを有しており、このブリッジ部23aにマンドレル22が一体的に形成されている。
【0074】
マンドレル22を押出方向に貫通する貫通孔24はブリッジ部23aの中間部で屈曲して押出方向と交差する方向に延び、ダイス23の側面に開口している。被接合材31は、ダイス23の側面から貫通孔24内に入り込み、途中で屈曲してマンドレル22内を押出方向に貫通し、供給口25から出口26に供給される。
【0075】
図7に示すような構造の成形用金型では、ビレット41を円筒状にしてダイス23内に充填する必要があるが、図20に示すような構造の成形用金型では、ビレットを円柱状の状態でダイス23内に充填するため、図7に示すものに比べて手間がかからず生産性が良いという利点がある。
【0076】
なお、本発明は、熱交換器のコアを構成する熱交換パイプ以外の押出加工物(例えば各種構造物を構成するチャンネル材)にも適用可能である。
【0077】
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に種々の改変を施すことができる。
【0078】
本発明の押出加工物は、設置スペース、外形寸法、重量等の制限が厳しい物品(例えば自動車のラジエータやカーエアコンの熱交換器等)に適用した場合、熱交換効率や強度の向上、寸法や重量の削減等の点において大きな効果が期待できるため、極めて有効である。
【0079】
また、本発明の押出加工物は、上述した物品以外にも様々な物品に適用可能であり、一例として、工場や燃料電池発電システム等の排熱回収装置にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態である押出加工物の一部破断斜視図である。
【図2】図1の押出加工物を製造するために用いられる成形用金型の断面図である。
【図3】図2のa-a線断面図である。
【図4】図2の成形用金型の一部を成すマンドレルの側面図である。
【図5】図4のマンドレルの先端部を軸線方向に見た図である。
【図6】図2の成形用金型におけるマンドレルとダイスの位置関係の説明図である。
【図7】図1の押出加工物の製造方法の説明図である。
【図8】図1の押出加工物の変形例の斜視図である。
【図9】長さ方向両側端部を凹凸状に形成したリブの一例を示す平面図である。
【図10】長さ方向両側端部を凹凸状に形成したリブの一例を示す斜視図である。
【図11】フローガイドを設けた成形用金型の一例を示す断面図である。
【図12】フローガイドを設けた成形用金型の一例を示す断面図である。
【図13】母材誘導部を設けたマンドレルの一例を示す側面図である。
【図14】図13のマンドレルを別方向から見た側面図である。
【図15】押出加工物の変形例を示す断面図である。
【図16】段付き状のマンドレルを備えた成形用金型の縦断面図である。
【図17】図16のc-c線断面図である。
【図18】段付き状のマンドレルを備えた成形用金型の縦断面図である。
【図19】図18のd-d線断面図である。
【図20】ポートホールダイスを備えた成形用金型の縦断面図である。
【図21】図20のe-e線断面図である。
【図22】図21のf-f線断面図である。
【図23】横断面形状を長さ方法に変化させた従来の押出加工物の斜視図である。
【図24】図23の押出加工物を製造するための成形用金型(第1位置状態)の断面図である。
【図25】図24のg-g線断面図である。
【図26】図23の押出加工物を製造するための成形用金型(第2位置状態)の断面図である。
【図27】図26のh-h線断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 押出加工物
2 周側壁
3 リブ
21 成形用金型
22 マンドレル
23 ダイス
31 被接合材
41 ビレット(母材)
62 段差部(フローガイド)
63 テーパ面(フローガイド)
71 突起(母材誘導部)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
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【図11】
10
【図12】
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【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
23
【図25】
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【図26】
25
【図27】
26