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明細書 :結晶粒微細化加工方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5050188号 (P5050188)
公開番号 特開2006-176837 (P2006-176837A)
登録日 平成24年8月3日(2012.8.3)
発行日 平成24年10月17日(2012.10.17)
公開日 平成18年7月6日(2006.7.6)
発明の名称または考案の名称 結晶粒微細化加工方法
国際特許分類 C22F   1/08        (2006.01)
C22F   1/00        (2006.01)
FI C22F 1/08 A
C22F 1/00 602
C22F 1/00 603
C22F 1/00 604
C22F 1/00 623
C22F 1/00 625
C22F 1/00 626
C22F 1/00 630A
C22F 1/00 651A
C22F 1/00 661A
C22F 1/00 685A
C22F 1/00 685Z
C22F 1/00 691B
C22F 1/00 694A
C22F 1/00 694B
請求項の数または発明の数 4
全頁数 19
出願番号 特願2004-371534 (P2004-371534)
出願日 平成16年12月22日(2004.12.22)
審査請求日 平成19年10月22日(2007.10.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
発明者または考案者 【氏名】三浦 博己
個別代理人の代理人 【識別番号】100082740、【弁理士】、【氏名又は名称】田辺 恵基
審査官 【審査官】相澤 啓祐
参考文献・文献 特開2004-176134(JP,A)
特開2000-073152(JP,A)
特開2004-060048(JP,A)
特開昭62-260045(JP,A)
特開昭51-037019(JP,A)
調査した分野 C22F 1/00- 3/02
C22C 5/00-25/00
C22C 27/00-28/00
C22C 30/00-30/06
C22C 35/00-45/10
特許請求の範囲 【請求項1】
母相結晶中に第二相粒子が析出又は分散している金属材料加工素材を冷間雰囲気内で微小単位加工量だけひずみ加工する低ひずみ加工ステップと、
上記低ひずみ加工ステップに続いて、上記金属材料加工素材の加工組織を温間雰囲気内で回復させることにより、上記微小単位加工量に対応する加工ひずみを蓄積させる温間回復処理ステップと
を含む加工サイクルを、複数サイクル繰り返すことにより、上記金属材料加工素材の結晶粒を微化加工し、
上記低ひずみ加工ステップにおける上記微小単位加工量は、直後の上記温間回復処理ステップにおける回復処理時に再結晶を発現させない大きさであり、
かつ上記温間回復処理ステップにおける加工熱処理温度は、動的あるいは静的再結晶が起らず回復のみが起る温度であり、
これにより上記複数サイクルにおける上記加工サイクルの微化加工処理ごとに上記金属材料加工素材のひずみ量を蓄積加工する
ことを特徴とする結晶粒微化加工方法。
【請求項2】
母相結晶中に第二相粒子が析出又は分散している金属材料加工素材を温間雰囲気内で微小単位加工量だけひずみ加工する低ひずみ加工ステップと、
上記低ひずみ加工ステップに続いて、上記金属材料加工素材の加工組織を温間雰囲気内で回復させることにより、上記微小単位加工量に対応する加工ひずみを蓄積させる温間回復処理ステップと
を含む加工サイクルを、複数サイクル繰り返すことにより、上記金属材料加工素材の結晶粒を微化加工し、
上記低ひずみ加工ステップにおける上記微小単位加工量は、当該低ひずみ加工処理時及び直後の上記温間回復処理ステップにおける回復処理時に再結晶を発現させない大きさであり、
かつ上記温間回復処理ステップにおける加工熱処理温度は、動的あるいは静的再結晶が起らず回復のみが起る温度であり、
これにより上記複数サイクルにおける上記加工サイクルの微化加工処理ごとに上記金属材料加工素材のひずみ量を蓄積加工する
ことを特徴とする結晶粒微化加工方法。
【請求項3】
母相結晶中に第二相粒子が析出又は分散している金属材料加工素材を冷間雰囲気内で微小単位加工量だけひずみ加工する第1の低ひずみ加工ステップと、上記第1の低ひずみ加工ステップに続いて、上記金属材料加工素材の加工組織を温間雰囲気内で回復させることにより、上記微小単位加工量に対応する加工ひずみを蓄積させる第1の温間回復処理ステップとを含む第1の加工サイクルと、
上記金属材料加工素材を温間雰囲気内で微小単位加工量だけひずみ加工する第2の低ひずみ加工ステップと、上記第2の低ひずみ加工ステップに続いて、上記金属材料加工素材の加工組織を温間雰囲気内で回復させることにより、上記微小単位加工量に対応する加工ひずみを蓄積させる第2の温間回復処理ステップとを含む第2の加工サイクルと、
を含む加工サイクルを、複数サイクル繰り返すことにより、上記金属材料加工素材の結晶粒を微化加工し、
上記第1及び第2の低ひずみ加工ステップにおける上記微小単位加工量は、当該第1及び第2の低ひずみ加工処理時及び直後の上記第1及び第2の温間回復処理ステップにおける回復処理時に再結晶を発現させない大きさであり、
かつ上記第1及び第2の温間回復処理ステップにおける加工熱処理温度は、動的あるいは静的再結晶が起らず回復のみが起る温度であり、
これにより上記複数サイクルにおける上記加工サイクルの微化加工処理ごとに上記金属材料加工素材のひずみ量を蓄積加工する
ことを特徴とする結晶粒微化加工方法。
【請求項4】
上記温間回復処理ステップの上記加工熱処理温度は、0.5Tm(融点Tmの半分の温度)以下である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の結晶粒微化加工方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶粒微細化加工方法に関し、特に金属材料を大量生産する際に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、高密度集積化したLSIにおいて、プリント基板や、リードフレームなどにおいて用いられる配線は、微細化するために、断面積が小さくなって行く傾向にあり、その結果、電気抵抗が増加したり、温度の上昇が生じたり、強度が低下して断線し易くなったりする問題がある。
【0003】
この問題を解決する手法として、従来、配線材料をアルミニウムから銅へと置き換えると共に、エレクトロマイグレーション現象を防ぐ観点から析出強化銅合金が用いられるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、析出強化銅合金においても、配線をミクロンオーダにまで細線化すると、材料の個々の結晶粒の結晶方位の影響が無視できなくなって、加工面に凹凸が生ずるために、配線の断面積が不均一になる問題がある。
【0005】
この場合、断面積が小さい部分では、エレクトロマイグレーションや再結晶が生じ、これが原因となって電気的な短絡が生じ易くなる。
【0006】
この問題を解決する手法として、ECAE等の強ひずみ加工方法や加工熱処理法によって結晶粒を微細化する方法が提案されている。
【0007】
金属材料の強度上昇には結晶粒の微細化が非常に有効であり、その強度は結晶粒径の-1/2乗に比例することがホールペッチ則で知られている。そのため様々な手法で結晶粒の微細化が図られている。また結晶粒の微細化は、例えば極細線による配線の断面等の均一化に大きく効果がある。
【0008】
結晶粒微細化の手法としては古くから多用されている加工熱処理法が一般的である。これは動的再結晶(高温下での変形による蓄積ひずみ現象を駆動力として新粒が形成される現象)を利用して粗大粒を微細化させるものと、その後の冷間加工と焼鈍による静的再結晶、の両方を利用したものである。
【0009】
これら動的あるいは静的再結晶による加工熱処理法では新粒生成に結晶粒の成長が必然的に起るため、結晶粒の下限が存在し、最低でも1μm程度であった。
【0010】
一方で、さらなる結晶粒の微細化が強ひずみ加工法により図られ、実際にECAP法、ARB法あるいは多軸鍛造法により0.2μm程度の超微細粒が得られるようになった。これは例えば1μm結晶粒材料との強度を先にホールペッチ則から比較すると、約2.2倍の強度を得られることになり、実際に通常材料に比べて2倍以上の強度が得られることが実験的にも広く示されてきている。
【0011】
しかしながら、強ひずみ加工法を利用した微細化方法は、加工素材の形状やサイズが制限されたり、長尺形状のものを適用できなかったりするために、大量生産には向かない問題があった。
【0012】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、大量生産に適合するような加工方法を用いることによって、1ミクロンオーダないしサブミクロンオーダの結晶粒を得ることができるようにした結晶粒微細化加工方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため本発明においては、母相結晶中に第二相粒子が析出又は分散している金属材料加工素材を冷間雰囲気内又は温間雰囲気内で微小単位加工量だけひずみ加工する低ひずみ加工ステップと、低ひずみ加工ステップに続いて、金属材料加工素材の加工組織を温間雰囲気内で回復させることにより、微小単位加工量に対応する加工ひずみを蓄積させる温間回復処理ステップとを含む加工サイクルを、複数サイクル繰り返すことにより、上記金属材料加工素材の結晶粒を微小化加工し、低ひずみ加工ステップにおける微小単位加工量は、当該低ひずみ加工処理時及び直後の温間回復処理ステップにおける回復処理時に再結晶を発現させない大きさであり、かつ温間回復処理ステップにおける加工熱処理温度は、動的あるいは静的再結晶が起らず回復のみが起る温度であり、これにより複数サイクルにおける加工サイクルの微小化加工処理ごとに金属材料加工素材のひずみ量を蓄積加工する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、冷間又は温間低ひずみ加工ステップ及びこれに続く温間回復処理ステップを含む加工サイクルを複数サイクル繰り返す際に、低ひずみ加工ステップにおける微小単位加工量を当該低ひずみ加工処理時及び直後の温間回復処理ステップにおける回復処理時に再結晶を発現させない大きさにし、かつ温間回復処理ステップにおける加工熱処理温度を動的あるいは静的再結晶が起らず回復のみが起る温度にすることにより、微小化加工処理ごとに金属材料加工素材のひずみ量を蓄積加工することにより、金属材料加工素材の結晶粒を、再結晶を発現させずに微細化加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0016】
(1)第1の実施の形態
図1は、第1の実施の形態における結晶粒微細化加工工程を示し、加工素材である析出強化合金又は分散強化合金に対して、加工開始時点t0から第1段加工サイクルSY1、第2段加工サイクルSY2……第N段加工サイクルSYNを順次実行する。
【0017】
ここで、析出強化合金は、温度低下に伴い固溶し切れなくなった溶質原子が、第二相粒子として晶出している合金である。
【0018】
また、分散強化合金は、析出強化合金以外の方法、すなわち内部酸化法を、固溶しない粒子を母相内に凝固時に分散させる方法、あるいは機械的に強制的に混ぜる方法を用いて母相に溶け込まない粒子を分散させた合金である。
【0019】
第1段、第2段……第N段加工サイクルSY1、SY2……SYNは加工素材に対して、温度T1で、数%ないし数10%の冷間低ひずみ加工C1、C2……CNをした後、温度を温間温度T2に上昇させた状態で温間回復処理W1、W2……WNをする。
【0020】
ここで、温間温度T2は、0.5Tm>T2>室温(0.5Tmは融点Tmの半分の温度)の温間域の値に選定する。
【0021】
また、冷間低ひずみ加工C1、C2……CNの加工によって加工素材に加えられる全加工ひずみ量は、ほぼ50%である。
【0022】
さらに、加工サイクルSY1、SY2……SYNの温間回復処理時間は、焼鈍による再結晶が発現しないような短い時間(例えば30秒程度)に選定する。
【0023】
図1の結晶粒微細化加工工程によれば、複数の加工サイクル、すなわち第1段、第2段……第N段加工サイクルSY1、SY2……SYNを順次実行して行くことにより、各加工サイクルの冷間低ひずみ加工C1、C2……CNによって加工素材に与えられたひずみは、低いひずみ量であるので、当該冷間低ひずみ加工の直後の温間回復処理W1、W2……WNによって再結晶を発現させずに、組織を回復させることができる。その結果、加工サイクルSY1、SY2……SYNを順次繰り返すことにより、加工素材には低いひずみ量が徐々に蓄積加工されて行くことによって結晶粒が少しずつ微細化されて行き、結局加工素材の結晶粒は、サブミクロンオーダにまで微細化されて行く。
【0024】
図1の加工手法は、前述の加工熱処理法と比較して、動的あるいは静的再結晶を起こさない条件下での加工熱処理を行うという意味で本質的には異なる。
【0025】
すなわち、動的あるいは静的再結晶はある加工ひずみが蓄積されかつ温度が0.5Tm(材料の融点Tmの半分の温度)以上の時に発現する。図1の結晶粒微細化加工手法は、加工熱処理を動的あるいは静的再結晶が起こらない0.5Tm以下で行い、「回復」のみを積極的に利用したものである。
【0026】
ここで回復とは蓄積ひずみが再結晶が起こらないまま、開放される現象を指す。材料の加工ひずみ量を低くし、焼鈍温度あるいは加工温度を0.5Tm以下にすれば、動的あるいは静的再結晶は起らず、回復のみが起る。
【0027】
通常、回復のみが起る場合、結晶粒の微細化は起らず、結晶粒内の亜結晶粒(方位差が数度以下の粒)のみが形成される。図1の結晶粒微細化加工手法は、この加工と回復を複数回繰り返すことにより、この亜結晶粒を結晶粒へと転換させ、結果的に超微細粒組織を生成させる。
【0028】
このような結晶粒微細化加工工程によって得られる析出強化合金又は分散強化合金は、ミクロンオーダの結晶粒サイズを有するために、単にホールペッチの法則や析出強化又は分散強化による材料強度の上昇効果が得られるだけではなく、微細配線に使用できるような高精度加工を実現できることにより、加工面の凹凸の影響を小さくできると共に、エレクトロマイグレーションなどによる電気的短絡が起こりにくいような金属材料を実現できる。
【0029】
また、繰り返し温間回復(すなわち温間焼鈍)することによって加工素材に含まれているFe粒子の析出と成長を促進できることにより、転位密度を低下させ得る。その結果電気抵抗増をもたらす銅中の固溶Fe濃度と転位密度とを減少させることによって電気抵抗を減少させる効果をも同時に得ることができる。
【0030】
これと共に、加工素材の結晶粒が微細化できることにより、材料強度が大きくなるため、強度の大きいLSIの配線を実現できるばかりではなく、その他の高い強度が要求される部材、例えばトロリ線、銅チューブ、熱交換器、冷温水配管などの素材としても適用できるような金属材料を得ることができる。
【0031】
(2)薄板用結晶粒微細化加工装置
図1に示す結晶粒微細化加工工程を適用することにより、薄板金属材料を得る装置として、図2に示すような薄板用結晶粒微細化加工装置1を構築できる。
【0032】
薄板用結晶粒微細化加工装置1は、薄板加工素材10を第1段、第2段……第N段加工サイクル部4SY1、4SY2……4SYNを一連の板材料として通すことにより、薄板加工金属材料11を得る。
【0033】
すなわち、第1段加工サイクル部4SY1は、その冷間低ひずみ加工部2C1に供給される薄板加工素材10を冷間低ひずみ加工することにより圧延素材101を得、この圧延素材101を温間回復部3W1に送り出す。これにより、第1段加工サイクル部4SY1は、加工素材に加えられた加工ひずみを蓄積するように温間回復処理を実行することにより回復素材101Xを得て、これを第2段加工サイクル部4SY2に供給する。
【0034】
以下同様にして、第2段加工サイクル部4SY2……第N段加工サイクル部4SYNにおいて、冷間低ひずみ加工部2C2……2CNにおいて冷間低ひずみ加工を実行することにより得られる圧延素材102……10Nを温間回復部3W2……3WNにおいてひずみを蓄積させた状態で回復処理して回復素材102X……10NXを送出する。
【0035】
かくして結晶粒微細化加工が終わった回復素材10NXが送出部5を介して薄板加工金属材料11として薄板用結晶粒微細化加工装置1から送り出される。
【0036】
実装置として、第1段、第2段……第N段加工サイクル部4SY1、4SY2……4SYNの冷間低ひずみ加工部2C1、2C2……2CNは、図3に示すように、圧延ローラ21A及び21Bによって外部から供給される薄板加工素材10ないし回復素材101X……回復素材101(N-1)を冷間雰囲気内において圧延する。
【0037】
また、第1段、第2段……第N段加工サイクル部4SY1、4SY2……4SYNの温間回復部3W1、3W2……3WNは送りローラ22A、22B及び22Cを有し、冷間ひずみ加工部2C1、2C2……2CNから得られる圧延素材101、102……10Nを送りローラ22A、22B及び22Cを順次介して送ることにより、温間温度T2の雰囲気中を処理時間(例えば30秒)の間搬送することにより、再結晶の発現を抑えながらひずみ加工された加工素材の回復処理をして回復素材101X……10NXとして送り出す。
【0038】
かくして第1段、第2段……第N段加工サイクル部4SY1、4SY2……4SYNを、1枚の薄板でなる加工素材が矢印aないしeに示すように1枚の薄い板材として流れて行き、かくして第N段加工サイクル部4SYNの温間回復部3WNから送り出される回復素材10NXが、送出ローラ23A及び23Bを有する送出部5から矢印fで示すように薄板加工金属材料11として送出される。
【0039】
図2及び図3の構成によれば、外部から供給された薄板加工素材10を、全体として1枚の薄板加工材料として、第1段、第2段……第N段加工サイクル部4SY1、4SY2……4SYNを通しながら、加工素材に再結晶を発現させない状態で、低ひずみ蓄積加工をすることができることにより、結晶粒をサブミクロンオーダのサイズまで微細化加工することができる。
【0040】
因に、低ひずみ加工によって導入された転位は温間回復によって亜結晶粒界に吸収されることにより、結晶間の方位がわずかではあるが増加する。この増加した結晶間の方位は、繰返し工程によって蓄積するので、結晶間の方位差が一定以上になっときに結晶粒が生成したとすることができる。
【0041】
かくするにつき加工サイズや形状に格別な制限がないことにより、大量生産に適した薄板用結晶粒微細化加工装置1を実現できる。
【0042】
(3)厚板用結晶粒微細化加工装置
図4は、図1の結晶粒微細化加工工程を厚板用結晶粒微細化加工装置31に適用した実施の形態を示すもので、厚板用結晶粒微細化加工装置31は、厚板加工素材32を繰返し加工サイクル部33において繰り返し結晶粒微細化加工をした後、厚板加工金属材料34を送出する。
【0043】
繰返し加工サイクル部33は、前段温間回復部35と、冷間低ひずみ加工部36と、後段温間回復部37とを有し、厚板加工素材32に対する結晶粒微細化加工の開始時、厚板加工素材32を前段温間回復部35を介して冷間低ひずみ加工部36に導入する。
【0044】
冷間低ひずみ加工部36は供給された圧延素材32Xを冷間雰囲気内において冷間低ひずみ加工をして後段温間回復部37に供給する。
【0045】
後段温間回復部37は供給された圧延素材32Xを温間雰囲気内において温間回復処理をした後、冷間低ひずみ加工部36に送り返す。
【0046】
このとき冷間低ひずみ加工部36は、冷間雰囲気内において同じ圧縮率で圧延素材32Xに対して冷間低ひずみ加工をした後、前段温間回復部35に送り返す。
【0047】
前段温間回復部35は送り返されて来た圧延素材32Xを温間雰囲気内において温間回復処理をした後、これを再度冷間低ひずみ加工部36に送り込む。
【0048】
以下同様にして、圧延素材32Xは、前段温間回復部35及び後段温間回復部37間を冷間低ひずみ加工部36を通って往復することにより繰り返し冷間低ひずみ加工された後、前段温間回復部35及び後段温間回復部37において温間回復処理される。
【0049】
かくして繰返し加工サイクル部33は、外部から供給された厚板加工素材32を複数回往復通過させることにより所定の圧縮率で冷間低ひずみ加工をするごとに前段又は後段温間回復部35又は37において温間加工回復処理をし、これにより厚板加工素材32に対して再結晶を発現させない状態で、結晶ひずみ量を少しずつ蓄積させて行き、全加工ひずみ量がほぼ50%になったとき、厚板加工金属材料34として送り出す。
【0050】
実装置として、前段温間回復部35は、図5に示すように、入口側に1対の送りローラ35A1及び35A2を有し、外部から供給される厚板加工素材32を送りローラ35A1及び35A2によって内側に取り込んで従動ローラ35B1~35B4上を圧延素材32Xとして冷間低ひずみ加工部36の方向に温間雰囲気内において搬送して行く。
【0051】
冷間低ひずみ加工部36は、一対の圧延ローラ36A1及び36A2を有し、この圧延ローラ36A1及び36A2によって圧延素材32Xを冷間雰囲気内において所定の圧下率、すなわち10%で圧延することにより、冷間低ひずみ加工をする。
【0052】
かくして低ひずみ加工された圧延素材32Xは、続いて後段温間回復部37の従動ローラ37B1~37B4によって、温間雰囲気内を、出口側に設けられた一対の送りローラ37A1及び37A2の方向に搬送されて行き、これにより後段温間回復部37は温間回復処理をする。
【0053】
やがてこの温間回復処理が済むと、後段温間回復部37は、送りローラ37A1及び37A2の回転方向を逆転させることにより圧延素材32Xを冷間低ひずみ加工部36の方向に送り返し、これにより冷間低ひずみ加工部36において2回目の冷間低ひずみ加工をさせる。
【0054】
このとき圧延ローラ36A1及び36A2間の圧下量は所定量だけ小さくされることにより、圧延ローラ36A1及び36A2が所定の圧下率、すなわち10%で2回目の圧延をする。
【0055】
かくして冷間低ひずみ加工部36において2回目の冷間低ひずみ加工された圧延素材32Xは前段温間回復部35の従動ローラ35B4ないし35B1によって温間雰囲気内を入口側の送りローラ35A1及び35A2の方向に搬送され、これにより前段温間回復部35が圧延素材32Xを温間回復処理をする。
【0056】
この温間回復処理が済むと、前段温間回復部35は、送りローラ35A1及び35A2の回転方向を逆転させることにより、圧延素材32Xを再度冷間低ひずみ加工部36の方向に搬送することにより、冷間低ひずみ加工部36による3回目の冷間低ひずみ加工をさせる。
【0057】
以下同様にして、繰返し加工サイクル部33は、圧延素材32Xが前段温間回復部35及び後段温間回復部37間を繰り返し往復するように搬送させることにより、冷間低ひずみ加工部36の圧延ローラ36A1及び36A2によって繰り返し圧延低ひずみ加工した後、前段又は後段温間回復部35又は37において温間回復処理することにより、再結晶を発現させない状態で圧延素材32Xに加工蓄積ひずみを増加させて行く。
【0058】
以上の構成によれば、圧延素材32Xを繰返し加工サイクル部33内を往復するように搬送することにより、冷間低ひずみ加工部36において冷間低ひずみ加工をすると共に、その後、前段又は後段温間回復部35又は37において再結晶を発現させないように温間回復処理をすることにより、図2及び図3について上述したと同様にして、圧延素材32Xの結晶粒をサブミクロンオーダにまで微細化加工することができる。
【0059】
かくするにつき、加工サイズや形状に格別な制限が必要ではないことにより、大量生産に適した厚板用結晶粒微細化加工装置31を実現できる。
【0060】
(4)第1の実施の形態による実施例
図6は図1の結晶粒微細化加工方法を用いて微細化加工をした結果得られた金属材料の微細化組織の方位分散状態を透過型電子顕微鏡による結晶方位分布図として表したものである。
【0061】
この実施例の場合、用いた加工素材は、Cu-1.7vol.%Feを、973kで3時間時効処理したFe粒子分散強化銅である。
【0062】
この加工素材を、1回の冷間低ひずみ加工ごとに、10%圧延をした後、温間回復処理によって623kの温間雰囲気内において30秒焼鈍する処理をし、その結果全ひずみが0.54になるまで、複数の加工サイクルSY1ないしSYNを行った。
【0063】
図6によれば、結晶粒微細化加工処理された金属材料には、サブミクロンオーダの微細粒が生成していることを確認できた。
【0064】
そしてこの結晶粒の微細化の程度は、粒子の分散状況(サイズと体積率)や、圧延及び焼鈍の条件で変わることを確認できた。
【0065】
図6のような微細粒組織の方位分布図が得られた金属材料は、図7に示すような室温硬さ特性を示した。
【0066】
図7において、特性曲線NDは圧延面の硬さを示し、特性TDは圧延方向と垂直な断面の硬さを示す。
【0067】
特性曲線ND及びTDは共に、ひずみ(圧延回数)の増加と共に上昇して行く。
【0068】
この効果は、(a)結晶粒の微細化による硬化と、(b)焼鈍時間が不十分であるために、残存転位密度がひずみ増加と共に増加した硬化との両方によるものと考えられる。
【0069】
ひずみ量εが0.54で硬さが急減しているのは、部分的に再結晶が起こった結果であると考えられる。
【0070】
このことから、蓄積ひずみの増加による転位密度が増加し、静的再結晶に必要な限界転位密度に達した部分が生じているということが理解できる。
【0071】
従ってこの部分的な再結晶が起らない程度に、複数の加工サイクルの全ひずみ量を選定することにより、再結晶を生じさせないような微細化加工を行
【0072】
(5)第2の実施の形態
図8は本発明の第2の実施の形態の結晶粒微細化加工工程を示し、図1と比較して、低ひずみ加工処理を温間雰囲気内において行うようにした点が相違する。
【0073】
図8の場合、時点t0から第1段加工サイクルSY1を開始すると、まず温間温度T2の雰囲気内において低ひずみ加工C11をした後、時点t1から同じ温度T2の温間雰囲気内において時点t1Xまで温間回復処理W11を行う。
【0074】
以下同様にして、第2段……第N段加工サイクルSY2……SYNにおいて、温間低ひずみ加工C12……C1N及び温間回復処理W12……W1Nを順次行う。
【0075】
この場合、温間低ひずみ加工C11、C12……C1Nを行う温間温度T2Xは、温間回復処理W11、W12……W1Nを行う温間温度T2と同一又は近傍の温度(図8の場合、同一温度)に設定され、0.5Tm>T2(T2X)>室温(0.5Tmは融点Tmの半分の温度)で、この温間温度T2及びT2Xは、加工素材である析出強化合金又は分散強化合金において再結晶が起こりにくい温度となるように選定されている。
【0076】
ここで、温間回復処理を行う温間温度T2の近傍の温度とは、温間温度T2とは相違するが加工素材に再結晶が起りにくい範囲の温度をいう。
【0077】
第1段、第2段……第N段加工サイクルSY1、SY2……SYNの温間低ひずみ加工C11、C12……C1Nでは圧延率がそれぞれ数%ないし数10%の圧延加工を行うようにすることにより、加工素材である金属材料の結晶中に転位を増殖、蓄積させる。
【0078】
また、第1段、第2段……第N段加工サイクルSY1、SY2……SYNの温間回復処理W11、W12……W1Nにおいては、加工組織を回復させるように保持するような処理を行う。
【0079】
このように第1段、第2段……第N段加工サイクルSY1、SY2……SYNにおいて温間低ひずみ加工及び温間回復処理を繰り返すことにより、転位する組織が順次微細化加工されて微細結晶粒へと変化して行き、また分散粒子のピンニング(pinning)により生成した微細粒が安定に保持される。
【0080】
かくして図8の結晶粒微細化加工方法によれば、図1の結晶粒微細化加工方法と同様にして、加工素材に再結晶が起らない雰囲気内において、各加工サイクルの低ひずみ加工及び回復処理をすることにより、低ひずみ加工によって導入された転位が温間回復によって亜結晶粒界に吸収されることにより、結晶間の方位がわずかではあるが増加し、これが繰り返し工程によって、結晶間の方位差が一定以上になったときに微細化された結晶粒が生成したとすることができる。
従って金属材料を微細化加工しても、結晶粒が微細化されていることにより、配線金属材料の表面に凹凸が生ずるようなことはなく、従って電気抵抗が大きくなったり、異常に発熱したりするような現象を生じさせないようにできる。
【0081】
さらに、結晶粒を微細化できることにより、加工処理された金属材料の強度を一段と強化することができる。
【0082】
これに加えて図8の結晶粒微細化方法によれば、温間低ひずみ加工時の雰囲気温度を温間回復処理時の雰囲気温度と同一又は近傍の温度に選定することにより、加工サイクルSY1~SYNにおける熱効率を向上させることができる。
【0083】
(6)薄板用結晶粒微細化加工装置
図9は図8の結晶粒微細化加工工程を薄板用金属材料を得る薄板用結晶粒微細化加工装置41に適用したもので、薄板状加工素材42を第1段加工サイクル部4SY11の温間低ひずみ加工部2C11に供給して圧延素材421を得た後、温間回復部3W11に供給することにより、回復素材421Xを得る。
【0084】
以下同様して、第2段……第N段加工サイクル部4SY12……4SY1Nにおいて、前段の加工サイクル部から供給される回復素材421X……42(N-1)Xを温間低ひずみ加工部2C12……2C1Nに受けて温間低ひずみ加工をして圧延素材422……42Nを得た後、温間回復部3W12……3W1Nに供給することにより、回復素材422X……42NXを得る。
【0085】
かくして、薄板用結晶粒微細化加工装置41は、第N段加工サイクル部4SY1Nから得られる回復素材42NXを、送出部5から薄板加工金属材料43として送出する。
【0086】
実装置として、第1段、第2段……第N段加工サイクル部4SY11、4SY12……4SY1Nの温間低ひずみ加工部2C11、2C12……2C1Nは、図10に示すように、温間温度の雰囲気内において、一対の圧延ローラ21A及び21Bによって、数%ないし数10%から選定した一定圧延量で圧延加工を行う。
【0087】
これに続いて温間回復部3W11、3W12……3W1Nは、供給された圧延素材を送りローラ22A、22B及び22Cによって送ることにより、所定の回復処理時間(例えば30秒)の間温間雰囲気内で回復処理を行う。
【0088】
かくして第N段加工サイクル部4SY1Nの温間回復部3W1Nに得られる回復素材42NXは第1段ないし第N段加工サイクル部4SY11~4SY1Nにおいて少しずつ加工ひずみが蓄積するように加工されることにより、全加工ひずみ量εがほぼ0.5の薄板加工金属材料43として、送出部5の送出ローラ23A及び23Bによって送出される。
【0089】
図9及び図10の薄板用結晶粒微細化加工装置41によれば、単にホールペッチの法則や析出又は分散強化による材料強度の上昇だけではなく、微細化された粒子をもつ配線を高精度加工できるようにしかつエレクトロマイグレーション等による電気的短絡を起こしにくくすることができる。
【0090】
また、繰り返し温間加工及び温間回復処理をすることによって、Fe粒子の析出と成長を促進することにより、転位密度を低下させることができ、その結果電気抵抗の増加をもたらすような固有Fe濃度と転位密度を低下させ得ることにより、電気抵抗を減少させることができる。
【0091】
さらに、金属材料の結晶粒を微細化することができることにより、材料強度を強化でき、これによりトロリ線や、銅チューブや、熱交換器や、冷温水配管のように、高強度を必要とする部材に適用し得るような金属材料を得ることができる。
【0092】
かくするにつき、結晶粒の微細化加工を、加工対象素材のサイズや形状の制限を受けることなく連続的に加工処理をすることができることにより大量生産に適した結晶粒微細化加工装置を実現できる。
【0093】
(7)厚板用結晶粒微細化加工装置
図11は、図8の結晶粒微細化加工工程を厚板用結晶粒微細化加工装置51に適用した実施の形態を示すもので、外部から供給された厚板加工素材52に対して温間低ひずみ加工及び温間回復処理を繰り返すことにより厚板加工金属材料53を得る。
【0094】
厚板用結晶粒微細化加工装置51は厚板加工素材52を前段温間回復部54に受けて温間低ひずみ加工部55に送り込む。
【0095】
温間低ひずみ加工部55は送り込まれた圧延素材52Xを所定の圧延率で圧延して後段温間回復部56に供給する。
【0096】
後段温間回復部56は、温間低ひずみ加工部55から受けた圧延素材52Xを温間雰囲気内において搬送すると共に、所定の回復処理時間(例えば30秒)が過ぎたとき圧延素材52Xを温間低ひずみ加工部55へ逆送させる。
【0097】
温間低ひずみ加工部55は逆送されて来た圧延素材52Xを温間雰囲気内において所定の圧延率で圧延して前段温間回復部54に送出する。
【0098】
このとき前段温間回復部54は送られて来た圧延素材52Xを温間雰囲気内において受け入れることにより温間回復処理をした後、所定の温間回復処理時間(例えば30秒)が経過したとき、当該圧延素材52Xを温間低ひずみ加工部55へ逆送する。
【0099】
以下同様にして圧延素材52Xが前段温間回復部54及び後段温間回復部56間を往復するように搬送されるごとに、温間低ひずみ加工部55が当該圧延素材52Xに所定の圧延率で圧延した後、前段温間回復部54又は後段温間回復部56において結晶粒に与えられた低ひずみ加工を温間回復処理をする動作を繰り返す。
【0100】
その結果圧延素材52Xには、温間低ひずみ加工部55において、加工ひずみが再結晶の発現をさせないように蓄積されて行くと共に、前段又は後段温間回復部54又は56において回復処理されることにより圧延素材52Xの結晶粒が微細化されて行く。
【0101】
実装置として、前段温間回復部54は、図12に示すように、図5について上述したと同様に、入口側に設けられた一対の送りローラ35A1及び35A2によって外部から供給された圧延素材52Xを従動ローラ35B1ないし35B4によって温間低ひずみ加工部55の圧延ローラ36A1及び36A2に搬送する。
【0102】
温間低ひずみ加工部55は、温間雰囲気内において圧延ローラ36A1及び36A2によって圧延素材52Xを所定の圧延率で圧延加工して後段温間回復部56の従動ローラ37B1ないし37B4上に送り込む。
【0103】
後段温間回復部56は、温間雰囲気内において送り込まれた圧延素材を従動ローラ37B1ないし37B4によって出口側に設けられた一対の送りローラ37A1及び37A2に向かって搬送し、温間回復処理時間が終わったとき、当該一対の送りローラ37A1及び37A2によって圧延素材52Xを温間低ひずみ加工部55に逆送する。
【0104】
かくして温間低ひずみ加工部55は、逆送されて来た圧延素材52Xを温間雰囲気内において圧延ローラ36A1及び36A2によって所定の圧延率で圧延加工して前段温間回復部54の従動ローラ35B4~35B1上に送り込む。
【0105】
前段温間回復部54は、当該圧延素材52Xを温間雰囲気内において温間回復処理をし、温間回復処理時間が経過したとき送りローラ35A1及び35A2によって圧延素材52Xを温間低ひずみ加工部55へ逆送する。
【0106】
以下同様にして、温間低ひずみ加工部55は、往復するように送られて来る圧延素材52Xを圧延ローラ36A1及び36A2によって繰り返し所定の圧延量ずつ圧延加工する。
【0107】
かくして図11及び図12の構成によれば、厚板加工素材52についてそのサイズ及び形状に制限を加えることなく、しかも連続的に結晶粒の微細化加工を行うことができる。
【0108】
(8)第2の実施の形態の実施例
加工素材として、Cu-0.41vol.%SiO2 分散強化合金を、図8の結晶粒微細化加工工程を用いて、温間温度673kの雰囲気内で低ひずみ加工及び回復処理を繰り返すことによって、図13に示すような微細粒組織の方位分散像をもつ加工金属材料を得た。
【0109】
図13は、加工金属材料を方位分散分析装置で観察した結晶方位分布像を示すもので、図13によれば、1μm程度の微細粒がほぼ均一に生成していることが分かる。
【0110】
その結晶粒径は、粒子の分散状況(サイズと体積率)や、温間圧延加工及び温間回復処理の条件によって変わり、分散粒子体積率の増加によって容易に、より微細な結晶粒を生成することができることが確認できた。
【0111】
(9)他の実施の形態
なお、図8の第2の実施の形態においては、温間低ひずみ加工C11、C12……C1Nの低ひずみ加工温度を、温間回復処理W11、W12……W1Nの処理温度と同一の温度と設定する場合について述べたが、温間低ひずみ加工C11、C12……C1Nの加工温度を温間回復処理温度とは異なるが圧延加工時に再結晶が生じないような温度に選定するようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0112】
また、図1及び図8の結晶粒微細化加工工程における温間回復処理時間(上述の実施の形態の場合30秒)及びその処理温度は、分散粒子系と加工率とに依存して変更することができる。
【0113】
さらに、図1の結晶粒微細化加工工程においては、全ての加工サイクルSY1~SYNが冷間低ひずみ加工ステップC1~CNをもつようにした場合について述べたが、これに代え、加工サイクルの一部に、再結晶を起さないような温間雰囲気内で低ひずみ加工をした後、温間回復処理をするようにしても良い。
【0114】
さらに、図8の結晶粒微細化加工工程においては、全ての加工サイクルSY1~SYNが温間低ひずみ加工ステップC11~C1Nをもつようにした場合について述べたが、これに代え、加工サイクルの一部に、再結晶を起さない冷間雰囲気内で低ひずみ加工をした後、温間回復処理をするようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は析出強化合金又は分散強化合金でなる金属材料の結晶粒を微細化する場合に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1の実施の形態における結晶粒微細化加工工程を示す曲線図である。
【図2】図1の結晶粒微細化加工工程を適用した薄板用結晶粒微細化加工装置を示すブロック図である。
【図3】図2の詳細構成を示す略線図である。
【図4】図1の結晶粒微細化加工工程を適用した厚板用結晶粒微細化加工装置を示すブロック図である。
【図5】図4の詳細構成を示す略線図である。
【図6】図1の結晶粒微細化加工工程の処理によって得られた金属材料の微細粒組織の方位分散像を示す略線図である。
【図7】図1の結晶粒微細化加工工程によって得られる金属材料の結晶粒における低ひずみ蓄積加工量と硬さの関係を示す特性曲線図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における結晶粒微細化加工工程を示す曲線図である。
【図9】図8の結晶粒微細化加工工程を適用した薄板用結晶粒微細化加工装置を示すブロック図である。
【図10】図9の詳細構成を示す略線図である。
【図11】図8の結晶粒微細化加工工程を適用した厚板用結晶粒微細化加工装置を示すブロック図である。
【図12】図11の詳細構成を示す略線図である。
【図13】図8の結晶粒微細化加工工程によって得られた金属材料の微細粒組織の方位分散像を示す略線図である。
【符号の説明】
【0117】
1、41……薄板用結晶粒微細化加工装置、2C1~2CN……冷間低ひずみ加工部、2C11~2C1N……温間低ひずみ加工部、3W1~3WN、3W11~3W1N……温間回復部、4SY1~4SYN、4SY11~4SY1N……第1段~第N段加工サイクル部、5……送出部、10、42……薄板加工素材、11、43……薄板加工金属材料、101~10N、421~42N……圧延素材、101X~10NX、421X~42NX……回復素材、31、51……厚板用結晶粒微細化加工装置、32、52……厚板加工素材、32X、52X……圧延素材、33、57……繰返し加工サイクル部、34、53……厚板加工金属材料、35、54……前段温間回復部、36……冷間低ひずみ加工部、55……温間低ひずみ加工部、37、56……後段温間回復部、35A1、35A2,37A1、37A2 ……送りローラ、35B1~35B4、37B1~37B4……従動ローラ、36A1、36A2……圧延ローラ。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図7】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図10】
8
【図11】
9
【図12】
10
【図6】
11
【図13】
12