TOP > 国内特許検索 > マイクロバブル発生ノズル > 明細書

明細書 :マイクロバブル発生ノズル

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4982730号 (P4982730)
公開番号 特開2006-212562 (P2006-212562A)
登録日 平成24年5月11日(2012.5.11)
発行日 平成24年7月25日(2012.7.25)
公開日 平成18年8月17日(2006.8.17)
発明の名称または考案の名称 マイクロバブル発生ノズル
国際特許分類 C02F   3/20        (2006.01)
C02F   7/00        (2006.01)
B01F   3/04        (2006.01)
FI C02F 3/20 Z
C02F 7/00
B01F 3/04 A
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2005-028780 (P2005-028780)
出願日 平成17年2月4日(2005.2.4)
審査請求日 平成20年1月25日(2008.1.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
発明者または考案者 【氏名】社河内 敏彦
審査官 【審査官】伊藤 紀史
参考文献・文献 特表2003-530989(JP,A)
特開平02-040225(JP,A)
特開2003-010662(JP,A)
特開2006-061817(JP,A)
特開平08-290192(JP,A)
特開2005-305219(JP,A)
社河内敏彦、大池崇博、西山聡司,微小気泡の生成とその応用に関する研究,日本混相流学会年会講演会2002講演論文集,日本,日本混相流学会年会講演会2002実行委員会,2002年 7月,p.159-p.160
社河内敏彦,噴流工学-基礎と応用-,日本,森北出版株式会社,2004年 3月24日,p.193-p.195
社河内敏彦、秋田朋宣、黒柳秀人,水噴流によるエアレーションに関する基礎研究,日本機械学会創立100周年東海支部記念式典・講演会講演論文集,日本,1997年,No.973-2,p.172-p.173
社河内敏彦、阿部博聴、西尾昌洋、辻本公一、安藤俊剛,マイクロバブルの生成と気泡噴流に関する研究,日本機械学会東海支部第54期総会講演会講演論文集,日本,2005年,p.295-p.296
調査した分野 C02F 3/20
B01F 3/04
C02F 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
水中に微細気泡を生成させる微細気泡発生装置であって、
水噴流ノズルと、気体ノズルとが一体に形成され、
前記水噴流ノズルの水噴流の出口放出孔が、流路を絞るオリフィスを有しており、
前記オリフィスの絞り流路が下流側に拡大するテーパ状に形成されており、
前記気体ノズルの出口放出孔が、前記水噴流ノズルの出口放出孔と同一面上にあって、且つ、前記水噴流ノズルの出口放出孔の外縁部に形成され、
前記水噴流ノズルの噴出方向と、前記気体ノズルの噴出方向が同一であることを特徴とする気液二相微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記水噴流ノズルのオリフィス開口比(流路断面積に対するオリフィス部断面積の比)が0.2~0.8であることを特徴とする請求項1に記載の気液二相微細気泡発生装置。
【請求項3】
前記水噴流ノズルの出口放出孔が流路を絞るオリフィス部を有する2次元細長孔であり、その外縁部に気体ノズルを配置してなることを特徴とする請求項1乃至2の何れか一項に記載の気液二相微細気泡発生装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡の生成装置及び方法に関わり、詳しくは微細気泡を生成するためのノズルに関わる。
【背景技術】
【0002】
河川、湖沼、内湾等の閉鎖性水域における水質汚染は、近年ことに深刻化しており、低層での無酸素水塊の拡大、赤潮等の発生により、水中生物の減少や養殖魚介類への被害拡大及び上水浄化機能の低下などが問題となっている。そして、これらの水質汚染の原因の一部となる厨房廃水や浴場廃水に対しても、廃水処理が必要となってきている。
汚濁水質の浄化法としては、ろ過法、吸着法、植生浄化法、微生物分解法等様々な対策があるが、空気、酸素又はオゾンをガス成分とする微細気泡を水中に吹き込んで水中酸素濃度を富加する方法(エアレーションと呼ばれる)も重要な手段として報告されている(例えば、非特許文献1)。ここで、微細気泡とはその直径が0.5mm以下の微細なガス気泡を言う。
【0003】
微細気泡は体積に対する比表面積が大きい、水中滞在時間が長い等の理由から、水中に酸素成分を導入して水中の溶存酸素量を増やす効果や、電気的に帯電しており浮遊物等に対する吸着性をもつことから、水中の汚濁物を吸着浮上させる効果を有することが知られている。従って、微細気泡の生成装置や方法として、多くの提案がある。例えば、インジェクション式減圧方式、攪拌方式、エジェクター方式、散気管方式等種々の法式がある(例えば特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
しかしながら、これまで提案された何れの方法も気泡径のバラツキが大きいこと、装置が大型であったり運転コストが高くなること、及び水中生物の生育に悪影響を及ぼすこと等から実用化が遅れている。
【0004】

【非特許文献1】大成博文他、「マイクロバブルの高機能性と水質浄化」、資源処理技術、vol.46,No4,1999,P.52-58
【0005】

【特許文献1】特開2004-290893号
【特許文献2】特開平8-229370号
【特許文献3】WO00/69550号
【特許文献4】特開2003-230824号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明において解決しようとする課題は、上述の公知の技術が抱える問題点を解決することであり、具体的には閉鎖性海域、湖沼、池、ダム、水棲生物の養殖、汚水処理等の水質改善を目的とし、工業的規模で気泡径のバラツキが少ない微細気泡を効率的に生成することのできる実用的な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記の課題を解決するため、本発明者が従来から研究開発している気液二相噴流法(非特許文献2)を基本技術として、これを改良することにより本発明に到達した。ここで気液二相噴流法とは、ある深さの液面下に設置したノズルから気液二相噴流を噴出させる、又は、水噴流の近傍に気体ノズルを設置することにより気泡噴流を生じさせる方法である。例えば図1に示すように、比較的高速の水噴流の外縁部に気泡を噴出させると、気泡は水噴流に誘引され速度勾配の大きなせん断層で微細化され微細気泡群となって上昇する。
図2は、これまでに本発明者らにより開発された円形標準ノズルであるが(非特許文献3)、平均空気気泡直径は0.27mmと大きかった。

【0008】
<nplcit num="2"><text>社河内 敏彦著、「噴流工学」p193-195、森北出版株式会社、2004年3月発行。</text></nplcit><nplcit num="3"><text>大池 崇博、三重大学工学部大学院工学研究科平成13年度修士論文、「気泡噴流の流動特性とその制御」</text></nplcit>
【0009】
ここにおいて、本発明者は以下のように水噴流ノズルおよびガスノズルを改良することにより、本発明を完成した。
即ち、本発明は水中に設置されて使用される微細気泡発生ノズルあって、水噴流ノズルと、
気体ノズルが一体に形成されている。
オリフィス(またはオリフィス形状)とは流路中に設けられた絞りを意味し、前記水噴流
ノズルの水噴流の出口放出孔が、流路を絞るオリフィス部になっている。オリフィスの最
小径になる部位の流路長(オリフィスの板厚)は短いほど好ましく、オリフィスの絞り流
路は下流側に拡大するテーパ状に形成される。
気体ノズルの出口放出孔は、水噴流ノズルの出口放出孔と同一面上に形成され、しかも、
前記水噴流ノズルの出口放出孔の外縁部に配置されている。
水噴流ノズルの噴出方向と気体ノズルの噴出方向は同一方向であるので、水噴流と気体は同一面から同一方向に噴出される。
ノズルのオリフィス開口比(流路断面積に対するオリフィス部断面積の比)は小さい程、絞り面積比が大きくなって水噴流の速度勾配が大きくなるため、せん断力も大きくなる。しかし、一方で圧力損失が増加するため、水噴流を発生させるためのモーター消費動力が増加しコスト高となる。
従って、オリフィス形状を有する水流噴出部のオリフィス開口比は0.2~0.8であることが望ましい。
【0010】
上記において、水噴流ノズルの外縁部に気体ノズルを配置するが、外縁部とは気体ノズル出口部から放出される気体が水噴流に誘引される周縁部を云い、水噴流の速度により水噴流ノズルと気体ノズルの距離は異なってくる。水噴流速度が大きいほど、水噴流部への周辺からの流れ込みが強くなり、遠距離でも気体誘引力が強いためである。水流噴出部と前記気体噴出部とを一体に形成させる気液二相微細気泡発生ノズルは、構造が簡単でしかも水流の噴出部と気体噴出の噴出部とを容易に同一平面に形成させることができる。ここで、水噴流ノズル最外辺と気体ノズル出口部の距離は、0mm~20mmとするのが一般的であるが必ずしもこれに限定されるものではない。
【0011】
次に、水流噴出部の孔形状がスリット形状またはオリフィス形状を有する2次元細長孔であり、その外縁部に気体ノズルを配置してなる気液二相微細気泡発生装置に関わる。ここで、水噴流ノズルの出口放出孔がスリット形状またはオリフィス形状を有する2次元細長孔であり、その外縁部に気体ノズルを配置してなる気液二相微細気泡発生装置とは、図3に一例を示すように、2次元的な細長孔の水噴流ノズルの外縁部に気体ノズルを配置した装置を云い、1次元水噴流ノズルよりも水噴流によるせん断層を有効に利用でき、大量のマイクロバブルの生成が可能となる。又、スリット形状とは、流路上にオリフィス状の絞込みがない平滑なノズルを云う。
【発明の効果】
【0012】
本発明による気液二層微細気泡発生ノズルを使用することにより、平均直径が0.05mm以下の空気又は酸素ガスの微細気泡の大量生成が可能となり、河川、湖沼、内湾等の閉鎖性水域、魚介類の養殖場および水族館等における水質劣化を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明による気液二相微細気泡発生ノズルを利用して、微細気泡を発生させる場合のシステム概念図を図4に示す。又、オリフィス状の水噴流ノズルの断面拡大図の一例を図5に示す。水噴流ノズルと気体ノズルは、各々個別に用意し適切な位置に設置することもできるが、図6に示すように一体型とするほうが、ノズルの作製、保守および設置の上から合理的である。なお、図6に記載した「orifice
nozzle(Ф4mm)」の意味は、この位置に図5に示す内径4mmのオリフィスが存在することを示している。
ここで、ノズルの材質として、海水等に対する耐食性、水噴流に対する耐エロージョン性、ノズル加工性の点から、耐食性鉄合金、真ちゅう等の銅合金又は硬質プラスチックスが一般的に用いられる。
【0014】
微細気泡を大量に発生させる場合は図3に示すように、水噴流ノズルの出口放出孔は2次元細長孔とすることが望ましい。一方、限定された領域の水質を浄化する場合には、図7に示すように1次元の円形状オリフィスノズルを用いても良い。ここで、水噴流ノズルの周囲に配置される気体ノズルは、複数個設置されることが一般的である。
【0015】
以下に本発明の好適な一実施の形態を実施例によって説明するが、本発明の技術的範囲は下記の実施形態によって限定されるものでなく、その要旨を変更することなく様々に改変して実施することができる。
【実施例1】
【0016】
本実施例に用いた装置について、図4に示すシステム概念図を参照しながら説明する。透明なアクリル樹脂製の貯水槽(長さ1150,幅550,高さ800mm,水位:770mm =一定)からの水は,ポンプ,流量調節バルブ,流量計を経て,水槽底面中央に設置された水噴流ノズルから貯水槽へ噴出される。また,エアコンプレッサからの空気は,流量計を経て水噴流ノズルの近傍に設置した空気ノズルから噴出される。座標軸は水噴流ノズル出口中心を原点とし、鉛直上方向をX軸、水平方向をY軸、X-Y
平面に垂直な方向をZ軸とした。
【0017】
水噴流ノズルについては、出口直径d=4.0mm,絞り面積比
A/A=0.64,0.44,0.25の3種類(流路内径5mm、6mm、8mmに該当)のオリフィス状ノズル(図7)を準備し、A/A=1 (流路内径4mm)のものを比較ノズルとした。又、空気ノズルは、水噴流ノズルから
6.0mm 離れた十字方向4箇所に、その内1方向にはさらに 2.0mmずつ離れた3箇所に、直径d=1.0mmの空気ノズルを形成させた。しかし、評価試験に用いた空気ノズルは十字方向4箇所に形成したものの内の1本のみで、他の6本の空気ノズルは閉鎖して実験を行った。
また、空気ノズルの水槽底面からの高さは、任意に調節可能とした。

【0018】
次に、微細気泡噴流の気泡径分布及び溶存酸素量を、水噴流流量
Qw=6.0L/min (Re = 31700)、噴出空気流量Qa=
0.4L/min、水-空気噴流ノズル中心間距離 L/d = 1.5、空気ノズル1本の条件で測定した。気泡径分布は、望遠レンズ付きカメラにより撮影した写真から、位置(x,y,z)=(x=
625~655, y= 0~30, z = 0)の 30×30mm の範囲の気泡を目視できる範囲で計測し、気泡径daとその頻度Nを求めた。溶存酸素量は,亜硫酸ソーダ法を用い、貯水内の水の溶存酸素量Cをその温度における飽和酸素量Cs
の10%にまで下げた状態から測定を開始し、開始から120分間、30秒ごとに測定した。

【0019】
<試験結果>
図8に気泡径分布を示す。A/Aが小さくなると気泡径0.2mm以下の微細気泡が多くなる。そして、平均気泡径はA/A=0.25 で最小値0.14mmとなった。これは,A/Aが小さくなるとノズル出口での水噴流の速度分布がより矩形に近づき、噴出空気を巻き込む位置でのせん断力が大きくなることによると考えられる.
【0020】
溶存酸素量Cと、その温度における飽和酸素量Csの差を未溶存酸素量(=Cs-C)とする。
また、未溶存酸素量と飽和酸素量の比を未飽和溶存酸素量率(=(Cs-C)/Cs)とし、未飽和溶存酸素量率の時間変化を図9に示す。未溶存酸素量はいずれの場合も時間tの経過とともに減少し、その減少量はA/A0=0.25の場合が最も小さく、比較ノズルの場合に比べ未溶存酸素量は約23%減少した。

【0021】
以上のように、水噴流の速度勾配の大きな外縁に空気を噴出させると気泡が容易に微少化される。そして
水噴流ノズルをオリフィス形状にすることによりノズル出口での速度分布がより矩形になり、噴流外縁での速度勾配が大きくなる。その結果、気泡直径が0.2mm以下の微細気泡生成量が増加し、水中への溶存酸素量も増加した。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】水噴流により形成されるせん断力により、気体ノズルから放出された気泡が微細化されることを示す概念図である。
【図2】公知の円形状ノズルを示す断面図である。
【図3】本発明による2次元細長形状の気液二相微細気泡発生装置を示す平面図である。
【図4】本発明の気液二相微細気泡発生装置を駆動するためのシステムを示す概念図である。
【図5】本発明による水噴流オリフィスノズルの一例を示す拡大図である。
【図6】本発明による水噴流オリフィスノズルと気体ノズルが一体化された気液二相微細気泡発生装置を示す断面図である。
【図7】本発明による円形状の気液二相微細気泡発生装置の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施例における気泡径と発生頻度を示す図である。
【図9】本発明の実施例における溶存酸素量を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図7】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図6】
8