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明細書 :穿刺制御装置、穿刺ロボット及び穿刺制御用プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4390146号 (P4390146)
公開番号 特開2006-271546 (P2006-271546A)
登録日 平成21年10月16日(2009.10.16)
発行日 平成21年12月24日(2009.12.24)
公開日 平成18年10月12日(2006.10.12)
発明の名称または考案の名称 穿刺制御装置、穿刺ロボット及び穿刺制御用プログラム
国際特許分類 A61B  17/34        (2006.01)
A61B  19/00        (2006.01)
B25J   3/00        (2006.01)
B25J  13/08        (2006.01)
FI A61B 17/34
A61B 19/00 502
B25J 3/00 A
B25J 13/08 A
B25J 13/08 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2005-092644 (P2005-092644)
出願日 平成17年3月28日(2005.3.28)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2004年12月10日 CAS2004学会大会事務局発行の「第13回日本コンピュータ外科学会大会、第14回コンピュータ支援画像診断学会大会 合同論文集」に発表
審査請求日 平成20年3月11日(2008.3.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
発明者または考案者 【氏名】藤江 正克
【氏名】岡本 淳
【氏名】小林 洋
個別代理人の代理人 【識別番号】100114524、【弁理士】、【氏名又は名称】榎本 英俊
審査官 【審査官】川端 修
参考文献・文献 特開2004-081852(JP,A)
特開2001-061860(JP,A)
特開平05-127718(JP,A)
特開2004-329726(JP,A)
特開平02-277101(JP,A)
調査した分野 A61B 17/34
A61B 19/00
B25J 3/00
B25J 13/08
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の生体組織に穿刺を行う針を保持するマニピュレータの動作を制御する穿刺制御装置において、
前記生体組織の一般情報が記憶された情報記憶部と、当該情報記憶部に記憶された前記一般情報を穿刺対象患者の個体差に応じた個体情報に補正する補正部と、当該補正部で求められた前記個体情報を考慮して前記マニピュレータの動作を予測制御する進路決定部とを備え、
前記進路決定部では、前記生体組織内の針に対する力情報及び/又は視覚情報と、前記補正部での前記個体情報から得られたモデルによる情報とを複合することで、前記生体組織内での針の動作を予測して針の進路を決定し、当該進路に沿って針が動くように前記マニピュレータの動作を制御することを特徴とする穿刺制御装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記生体組織内の針に対する力情報及び/又は視覚情報から得られた前記生体組織内の前記針の状態に基づき、前記一般情報を前記個体情報に補正するように機能することを特徴とする請求項1記載の穿刺制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の穿刺制御装置を備えたことを特徴とする穿刺ロボット。
【請求項4】
所定の生体組織に穿刺を行う針を保持するマニピュレータの動作を制御する穿刺制御装置に組み込まれた穿刺制御用プログラムであって、
前記生体組織の一般情報を穿刺対象患者の個体差に応じた個体情報に補正した上で、前記生体組織内の針に対する力情報及び/又は視覚情報と、前記個体情報から得られたモデルによる情報とを複合することで、前記生体組織内での針の動作を予測して針の進路を決定するステップと、当該進路に沿って針が動くように前記マニピュレータへの動作指令を行うステップとを、
前記穿刺制御装置に実行させることを特徴とする穿刺制御用プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、穿刺制御装置、穿刺ロボット及び穿刺制御用プログラムに係り、更に詳しくは、ロボットを使って生体組織に穿刺を行う際に、当該生体組織の特性を考慮し、穿刺のターゲットに針を確実に到達させることに寄与する穿刺制御装置、穿刺ロボット及び穿刺制御用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、医療現場では、患者に負担の少ない低侵襲な治療が求められているが、その中でも、針を用いた穿刺による治療法が注目を集めている。この治療法としては、例えば、ガン等の治療等に用いられるRFA(ラジオ波凝固療法)がある。このRFAは、腫瘍の存在する生体組織の病変部位に針を刺し、当該病変部位に対してラジオ波による高熱を付与することにより凝固壊死させる療法である。ところが、医師の手で生体組織の表面から穿刺の対象部分(ターゲット)に針を正確に到達させるには、針の移動に伴う生体組織の変形をも考慮に入れながら、針の位置や進入角度等を調整しなければならず、相当の熟練度を要し、医師の経験と勘に頼るところが大きい。特に、最も柔らかい臓器の一つである肝臓は、熟練した医師であっても、失敗する可能性が高いと言われている。
【0003】
従って、マスター・スレーブ方式等を採用する手術支援ロボットが種々研究されている中、マニピュレータに保持された針を生体組織表面から穿刺のターゲットに確実に到達させるような手術支援ロボットが要請されている。ここで、針の進路の決定に際しては、生体組織の状態や変形を考慮し、当該変形を予測して生体組織の状態に対応させることが必要である。
【0004】
ところで、生体組織のターゲットに針を到達させる際に、生体組織の境界を貫通したか否かを針に作用する荷重の変化から検知する穿刺装置が知られている(特許文献1参照)。

【特許文献1】特開2004-81852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記穿刺装置にあっては、針が生体組織の境界を貫通したか否かを判断するものであって、針が正確に穿刺のターゲットに到達できるように、針の進路を決定するものでなく、針を正確にターゲットに導くことができない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて案出されたものであり、その目的は、穿刺される生体組織のターゲット部分に正確に針が到達するように、当該針を保持するマニピュレータの動作制御を行うことができる穿刺制御装置、穿刺ロボット及び穿刺制御用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)前記目的を達成するため、本発明は、所定の生体組織に穿刺を行う針を保持するマニピュレータの動作を制御する穿刺制御装置において、前記生体組織の一般情報が記憶された情報記憶部と、当該情報記憶部に記憶された前記一般情報を穿刺対象患者の個体差に応じた個体情報に補正する補正部と、当該補正部で求められた前記個体情報を考慮して前記マニピュレータの動作を予測制御する進路決定部とを備え、
前記進路決定部では、前記生体組織内の針に対する力情報及び/又は視覚情報と、前記補正部での前記個体情報から得られたモデルによる情報とを複合することで、前記生体組織内での針の動作を予測して針の進路を決定し、当該進路に沿って針が動くように前記マニピュレータの動作を制御する、という構成を採っている。
【0008】
(2)ここで、前記補正部は、前記生体組織内の針に対する力情報及び/又は視覚情報から得られた前記生体組織内の前記針の状態に基づき、前記一般情報を前記個体情報に補正するように機能する、という構成を採ることが好ましい。
【0009】
(3)また、本発明に係る穿刺ロボットは、前述の穿刺制御装置を備えている。
【0010】
(4)更に、本発明は、所定の生体組織に穿刺を行う針を保持するマニピュレータの動作を制御する穿刺制御装置に組み込まれた穿刺制御用プログラムであって、
前記生体組織の一般情報を穿刺対象患者の個体差に応じた個体情報に補正した上で、前記生体組織内の針に対する力情報及び/又は視覚情報と、前記個体情報から得られたモデルによる情報とを複合することで、前記生体組織内での針の動作を予測して針の進路を決定するステップと、当該進路に沿って針が動くように前記マニピュレータへの動作指令を行うステップとを、前記穿刺制御装置に実行させる、という構成を採っている。

【発明の効果】
【0011】
前記(1)、(3)、(4)のように構成することで、生体組織内の針に対する力情報及び視覚情報から実際の針の状態を把握しつつ、生体組織の各種情報から得られるモデルを使って、針の動作を予測して針の進路を決定することができ、生体組織の状態と変形を考慮しながら、針をターゲットに確実に到達させることができる。このため、医師の経験と勘に全て頼らなくても、穿刺を確実に行うことができる。
【0012】
前記(2)のように構成することで、生体組織の状態や変形を個体差に応じて把握することができ、穿刺される生体組織のターゲット部分に針を一層正確に到達させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0014】
図1には、本実施例に係る穿刺制御装置の概略構成図が示されている。この穿刺制御装置10は、生体組織を穿刺する穿刺ロボット11の動作制御に用いられ、具体的には、ヒトの肝臓に対して穿刺する針13を保持するマニピュレータ14の動作を制御する装置である。このマニピュレータ14は、マスター・スレーブ方式によって医師が遠隔操作可能に設けられており、医師が超音波画像等を見ながら、図示しない操作具を操作することで、肝臓の表面からその内部であるターゲットに向かって針13を移動させるようになっている。ここで、本実施例の穿刺制御装置10は、針13が肝臓内を移動する際の当該肝臓の状態や変形によって、針13の先端側が医師の意図しない方向に進んだときでも、針13の先端側がターゲットに向かうように、医師の指示した進路を自動修正し、マニピュレータ14を動作させるアクチュエータ16に動作指令する。この穿刺ロボット11には、針13に作用する力情報(外力)を測定する力センサ18と、肝臓内を移動する針13の視覚情報(画像)を所定時間単位で取得する超音波診断装置、磁気共鳴画像診断装置(MRI)等の画像取得装置19とが設けられている。
【0015】
前記穿刺制御装置10は、図1に示されるように、一般的なヒトの肝臓の各種情報(以下、「一般情報」と称する。)が記憶された情報記憶部21と、情報記憶部21の一般情報を穿刺対象患者の個体差に応じた個体情報に補正する補正部22と、補正部22での個体情報から得られたモデルによる情報と力センサ18及び画像取得装置19によって得られた力情報及び/又は視覚情報とを複合して針13の進路を決定し、アクチュエータ16に駆動指令を行う進路決定部23とを備えて構成されている。
【0016】
前記情報記憶部21は、一般的なヒトの肝臓の弾性係数、摩擦係数、せん断係数、ポアソン比、大きさ、形状等の各種情報が一般情報として記憶されている。
【0017】
前記補正部22は、力センサ18及び/又は画像取得装置19によって得られたデータに基づく穿刺対象患者の肝臓内の針13の状態から、情報記憶部21に記憶された一般情報を前記穿刺対象患者の個体情報に補正するように機能する。例えば、前記各種情報のうち弾性係数は、肝臓内の針に作用する力が力センサ18で検出され、そのときの分布荷重と、予め記憶された情報記憶部21の弾性係数から算出された分布荷重とが対比され、誤差等が考慮されて、針13の周囲の肝臓部位における患者個人の弾性係数が決定される。なお、前記補正部22では、画像取得装置19のデータによって得られた穿刺対象患者の肝臓内の針13の状態に基づいて、前述した補正を行うことも可能である。
【0018】
前記進路決定部23では、図示しない操作具からの指令に基づき、次のステップで針の進路が決定される。すなわち、予めターゲットとなる肝臓内の部位が記憶された状態で、肝臓の表面からその内部に進入した針13の現在の状態が力センサ18及び/又は画像取得装置19によって把握され、次なる針13の進路を決定する際の参考とされる。すなわち、力センサ18で針13に作用する力が一定の閾値を超えたときには、針13から肝臓に危険な力が付与されたと判断され、針13を進行させ難くするように穿刺ロボット11を制御する。また、肝臓は、ある一定以上伸びると、硬化する性質を持つため、前記閾値は、肝臓を硬化させないような値に設定される。ここで、針13を進行させ難くする穿刺ロボット11の制御とは、例えば、マニピュレータ14を操作する医師の操作具(図示省略)に対し操作上の抵抗を付加したり、装置から警告音を発したり、図示しないモニターに危険情報を表示したり、針13の進行を停止する等、種々の態様がある。
【0019】
また、画像取得装置19のデータから、肝臓内の針13の画像が撮像され、針13の原形を撮像した画像とマッチングを行うことで、針13の変形が把握される。すなわち、肝臓内を移動する針は、肝臓に囲まれているため、針13の動作に応じて肝臓から反力を受け、撓みを生じる場合がある。このとき、針13の先端は、撓みが生じていない場合に対して位置がずれることになる。従って、前述した画像マッチングによって、針の撓み量を求め、当該撓みによる針13の先端の位置ずれをキャンセルする方向に針13が動くように、マニピュレータ14を動作させる。また、画像取得装置19のデータから、予め設定された穿刺不可部位(例えば、肝硬変部位や血管等)と針13の先端との距離が求められ、当該距離が一定以下になったときには、針13を進行させ難くするように、穿刺ロボット11が制御される。ここでの制御も、例えば、マニピュレータ14を操作する医師の操作具に対し、操作上の抵抗を付加したり、警告音を発したり、図示しないモニターに危険情報を表示したり、針13の進行を停止したり等、種々の態様がある。
【0020】
更に、補正部22で求められた穿刺対象患者の個体情報を考慮して、マニピュレータの動作が予測制御される。すなわち、肝臓には個体差があり、個々で特性が異なることから、補正部22で求めた穿刺対象患者の肝臓の各種情報から、当該肝臓がモデル化(モデリング)され、針13が意図するルートで進むと、実際どうなるのかを有限要素法等を用いて判断され、前述した力センサ18及び/又は画像取得装置19の各種データによる進路決定と複合して進路決定が行われる。例えば、画像取得装置19のデータから、針13の先端が進行方向左側に5mm撓んだことが把握されると、針13の先端は、ある時間の目標位置から左側に5mmずれてしまうことになる。そのため、その針13の撓みの影響を考慮し、針13を進行方向右側に5mm移動させながら進行させれば良いと判定される。ところが、穿刺対象患者の肝臓のモデリングから、針13の移動前後における肝臓の部位の硬度が相違するため、実際には、針13を進行方向右側に5mm移動させても、針13の先端が前記目標位置から例えば進行方向左側に1mmずれてしまうと計算され、当該計算から、その1mmを加え、針13を進行方向右側に6mm移動させながら進行させれば良いと決定される。
【0021】
従って、このような実施例によれば、穿刺対象患者の肝臓に関する個体情報によるシミュレーションを行いながら、力センサ18や画像取得装置19から実際の状態に応じた制御が行われることになるため、穿刺制御の難しい肝臓等の臓器に対しても、穿刺ロボットにより針13を正確にターゲットに到達させることができるという効果を得る。
【0022】
なお、本発明は、肝臓の穿刺制御に限らず、他の臓器や生体組織の穿刺制御に適用することも可能であり、また、他の動物の生体組織に対する穿刺制御にも適用可能である。
【0023】
また、前記穿刺制御装置10は、針13を保持するマニピュレータ14を有する穿刺ロボット11に一体的に設けられていても良いし、別体としても良い。
【0024】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施例に係る穿刺制御装置の構成図。
【符号の説明】
【0026】
10 穿刺制御装置
11 穿刺ロボット
13 針
14 マニピュレータ
18 力センサ
19 画像取得装置
21 情報記憶部
22 補正部
23 進路決定部
図面
【図1】
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