TOP > 国内特許検索 > 有機質系廃液の燃焼ノズル装置、並びにエネルギー発生システム > 明細書

明細書 :有機質系廃液の燃焼ノズル装置、並びにエネルギー発生システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4830098号 (P4830098)
公開番号 特開2007-017099 (P2007-017099A)
登録日 平成23年9月30日(2011.9.30)
発行日 平成23年12月7日(2011.12.7)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
発明の名称または考案の名称 有機質系廃液の燃焼ノズル装置、並びにエネルギー発生システム
国際特許分類 F23G   7/04        (2006.01)
F23D  11/38        (2006.01)
F23D  14/48        (2006.01)
FI F23G 7/04 601F
F23G 7/04 603A
F23D 11/38 E
F23D 14/48 A
請求項の数または発明の数 10
全頁数 16
出願番号 特願2005-199908 (P2005-199908)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
審査請求日 平成20年6月30日(2008.6.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
発明者または考案者 【氏名】鳥居 修一
個別代理人の代理人 【識別番号】100092163、【弁理士】、【氏名又は名称】穴見 健策
審査官 【審査官】吉澤 伸幸
参考文献・文献 実開昭55-034145(JP,U)
特開2003-074821(JP,A)
実開昭62-198335(JP,U)
特開昭54-034566(JP,A)
特開昭60-086321(JP,A)
特表昭62-500118(JP,A)
調査した分野 F23G 7/04
F23D 11/38
F23D 14/48
特許請求の範囲 【請求項1】
中空閉鎖容器と、
中空閉鎖容器の中空部にそれぞれ異なる連通ポートで連通接続された有機質廃液圧送管と、助燃材圧送管と、空気圧送管と、
中空閉鎖容器内に圧送される有機質廃液と助燃材と空気との混合流体を大気側へ噴出させる噴出ノズルと、を含み、
有機質廃液と助燃材と空気とを同時に中空閉鎖容器内に圧送し噴出ノズルから噴出されるそれらの混合流体を燃材として着火燃焼させる有機質系廃液の燃焼ノズル装置であり、
空気圧送管の中空閉鎖容器との連通ポートは、有機質廃液と助燃材とのそれぞれの中空閉鎖容器との連通ポートよりも噴出ノズルに対して、より離隔した位置に設定されており、
さらに、中空閉鎖容器の中空部は、空気圧送管の連通ポートが連通する空気室と、有機質廃液圧送管と助燃材圧送管の各連通ポートが連通する混合室と、を小通路を中央にしてその両側に連通接続して設けられていることを特徴とする有機質系廃液の燃焼ノズル装置。
【請求項2】
小通路は、噴出ノズルのノズル孔の芯合わせ方向に長い通路からなる請求項記載の有機質系廃液の燃焼ノズル装置。
【請求項3】
小通路を介して空気室から混合室へ空気を圧送する際の空気の流量を調節する調節弁機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の有機質系廃液の燃焼ノズル装置。
【請求項4】
調節弁機構は、ニードルの先端を小通路の入り開口に突入するように進退移動するニードル弁装置からなる請求項記載の有機質系廃液の燃焼ノズル装置。
【請求項5】
すくなくとも有機質廃液圧送管と助燃材圧送管とは、同じ圧縮装置に連通されて有機質廃液と助燃材とが中空部に圧送されることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の有機質系廃液の燃焼ノズル装置。
【請求項6】
少なくとも有機質廃液と助燃材とは略同じ圧送力で中空閉鎖容器内に圧送されることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の有機質系廃液の燃焼ノズル装置。
【請求項7】
空気は有機質廃液又は助燃材と略同じかあるいはそれらよりも高い圧力で圧送されることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の有機質系廃液の燃焼ノズル装置。
【請求項8】
中空閉鎖容器に圧送される助燃材と有機質廃液とが容積比で1:1~5:1で設定されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の有機質系廃液の燃焼ノズル装置。
【請求項9】
請求項1ないしのいずれかの燃焼ノズル装置の噴出ノズル近傍に着火装置を配置し、発生する燃焼エネルギーを熱源又は動力源として利用することを特徴とするエネルギー発生システム。
【請求項10】
中空閉鎖容器に圧送する有機質廃液と助燃材との粘度に対応して噴出ノズルの先端から着火装置による着火位置までの距離を変更設定する着火位置可変機構を有することを特徴とする請求項記載のエネルギー発生システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は有機質系廃液の燃焼ノズル装置、エネルギー発生システム及びその燃焼処理方法に係り、特に、食品製造分野、発酵工業あるいは畜産業などから排出される残渣液や尿などの有機系廃液を効果的に処理しかつ処理エネルギーを有効利用し得る装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動が引き起こす都市・生活公害問題や地球規模の環境問題が深刻になってきており、特に、各種産業から排出される廃棄物の処理については公的な規制が適用されるのがほとんどである。廃棄物中の有機質系の廃液、例えば焼酎製造に伴う廃液、大豆等の煮汁廃液その他の種々の食品加工工程で廃棄される廃液、豚糞尿その他の畜産糞尿廃液等は、いずれも高いBOD(biochemical oxygen demand:生物化学的酸素要求量)、SS(suspended solid:水中懸濁有機無機物質)、COD(chemical oxygen demand:化学的酸素要求量)値を有し、そのままの状態で河川へ放流することは禁じられている。しかも、これらの廃液は種々の有機成分を含み、分離あるいは分解処理が困難で、しかも長期の放置により酸化が大きく進んで処理を困難にしている場合が多い。さらに、焼却処理場の建設や埋め立て処理地の確保はしだいに困難となっている。
【0003】
一例として、焼酎粕の処分では、その含水量が90~95%含まれる高濃度廃液であるために固液分離が困難であり、有効な処理方法が模索されている。近年のエネルギー危機の中で、高含水有機性廃棄物から容易にエネルギーを回収できる手段としてメタン発酵が注目されており、この発酵は、高含水量、高濃度廃液を処理でき、ランニングコストが安い点で有利である。この方法では、含水率の高い有機系廃棄物の嫌気性発酵による処理が行なわれているものの、この処理には多大のエネルギー投入が必要で、実用化に難点がある。一方、レストラン等から排出される汚泥の焼却処理についての方法及び装置が特開平7-91636号において提案されている。

【特許文献1】特開平7-91636号、0005、図1、図2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の方法ないし装置は、油水分離槽の上部に浮遊して溜まった油脂分を多く含む有機物からなる「スカム」の処理において、槽中の中間層の汚水の一部に界面活性剤等の添加剤を加えてこれを発泡容器に供給し、この発泡容器内で多数の気泡を形成させて該気泡を燃焼室に供給することにより、気泡中の水分を蒸発させるとともに、スカムや固形分残渣の可燃混合物を燃焼させ、灰燼化した固形分を回収するようにしたものである。しかしながら、特許文献1の装置では、燃焼に先立って気泡を発生しやすくするための攪拌破砕装置や界面活性剤、並びに気泡発生装置としての発泡容器が必要であり、システムが複雑化し高コストとなる。また、気泡容器での気泡発生のために水没させたチャンバに形成したパンチング孔の細孔を汚水に通過させる必要があるが、この際に目詰まりを生じやすく燃焼の前の気泡発生について装置運転時の管理が必要で、煩雑であった。また、汚水投入から燃焼までの間に複数の処理を必要とするから処理量が大きく制約され、そのぶん一次あるいは二次貯留槽を大型化させてコストや設置スペースについて不利であった。特に、ボイラやタービン等の機器の熱源としてシステム化する際には、汚水の燃焼工程のみに要する設備が長大化し、海浜沿い等の限られた地域でしか設置することが困難であった。さらに、その燃焼工程においては、燃焼中のガスバーナ11の火炎に気泡化された汚水と空気をあてて燃焼させるものであるから、十分な燃焼力を保持するために供給されるバーナの重油やガス等の燃焼用燃料コストが高くつくという問題があった。さらに、燃焼用の気泡送出スリット9g部分で、汚水が目詰まりしない確実性はなく、依然として装置稼働中のメンテナンス等を複数の装置あるいは部品について頻繁に行なう必要があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その1つの目的は簡単な構成で低コストであり、しかも小型の装置構成により小スペースでボイラやタービンその他の熱源あるいは駆動源機器と接続して設置し得る有機質系廃液の燃焼ノズル装置、エネルギー発生システム及びその燃焼処理方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、燃焼用燃費コストを大幅に低減できる有機質系廃液の燃焼ノズル装置、エネルギー発生システム及びその燃焼処理方法を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、簡単な構造により装置のメンテナンスや管理を簡単に行なえる有機質系廃液の燃焼ノズル装置、エネルギー発生システム及びその燃焼処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、中空閉鎖容器12と、中空閉鎖容器の中空部にそれぞれ異なる連通ポート30~34で連通接続された有機質廃液圧送管14と、助燃材圧送管16と、空気圧送管18と、中空閉鎖容器内に圧送される有機質廃液と助燃材と空気との混合流体を大気側へ噴出させる噴出ノズル20と、を含み、有機質廃液と助燃材と空気とを同時に中空閉鎖容器12内に圧送し噴出ノズル20から噴出されるそれらの混合流体を燃材として着火燃焼させる有機質系廃液の燃焼ノズル装置であり、空気圧送管18の中空閉鎖容器12との連通ポート34a~34dは、有機質廃液と助燃材とのそれぞれの中空閉鎖容器との連通ポート30、32よりも噴出ノズル20に対して、より離隔した位置に設定されており、さらに、中空閉鎖容器12の中空部は、空気圧送管18の連通ポート34a~34dが連通する空気室38と、有機質廃液圧送管14と助燃材圧送16管の各連通ポート30,32が連通する混合室40と、を小通路36を中央にしてその両側に連通接続して設けられていることを特徴とする有機質系廃液の燃焼ノズル装置10から構成される。同一の中空閉鎖容器の中空部に対し、同時に複数の異なる連通ポートを介して有機質廃液と助燃材と空気とを圧送し、混合させて外部に噴出させる。比較的に大きな連通ポート孔から閉鎖容器内部に流体を導入させ、十分に混合した混合流体を比較的に小さな噴出ノズルから噴射させることで有機廃液や助燃材等の流動の際の目詰まりをしないようにさせつつ、燃焼に適した微粒子状ミストを確実に生成させてほとんどあらゆる有機廃液の燃焼、あるいは燃焼処理を実現する。また、単位時間当たりの処理量が多く、かつ、確実に処理できる。また、同一閉鎖容器内に圧送するだけであるから、特別の設備やコストは圧縮機以外には種火用バーナのみでよく、装置自体を小型で構成しうるうえに、製造コストも極めて低廉でよい。閉鎖容器の形状やサイズは任意に設定できるが、同時に廃液と助燃材と空気を注入するから、相互の圧送管内に他の圧送管からの流体を流入させないようにするとよい。さらに、目詰まりの原因を生じさせやすい大きな粒子の固形物を含む有機廃液や廃食油等を低圧側により近い位置に設定して混合作用と目詰まり防止機能を行なえる。空気が、下流側の場合で、空気の圧力が高い場合は、空気のみが噴出ノズルから噴出されやすくなる。この場合は少なくとも有機廃液と助燃材と略同じ圧送力で空気を中空部に圧送供給させる。
【0007】
その際に、小通路36は、噴出ノズル20のノズル孔20aの芯合わせ方向に長い通路からなるように構成するとより好ましい。
【0008】
また、小通路36を介して空気室38から混合室40へ空気を圧送する際の空気の流量を調節する調節弁機構44を設けるとよい。
【0009】
また、調節弁機構44は、ニードルの先端を小通路36の入り開口36aに突入するように進退移動するニードル弁装置50から構成するとよい。
【0010】
また、すくなくとも有機質廃液圧送管14と助燃材圧送管16とは、同じ圧縮装置66に連通されて有機質廃液と助燃材とが中空部に圧送されるようにするとなおよい。
【0011】
その際、少なくとも有機質廃液と助燃材とは略同じ圧送力で中空閉鎖容器12内に圧送されるようにするとよい。圧送力について多少の差圧が生じても燃焼反応は生じる。このとき、噴出ノズル(例えば噴出ノズルのノズル孔の径は数ミリメートルに設定する)は、大気に開放されているので、有機質廃液、助燃材(廃食油)、空気の混合流体は大気へ放出される。
【0012】
また、空気は有機質廃液又は助燃材と同じかあるいはそれらよりも高い圧力で圧送されるようにしてもよい。空気と、有機質廃液と助燃材とはそれぞれ同一圧力で中空閉鎖容器の中空部に圧送されると圧力バランスは安定し、ひいては燃焼自体を安定させる点でより好ましい。
【0013】
また、中空閉鎖容器12に圧送される助燃材と有機質廃液とは容積比で1:1~5:1で設定するとよい。
【0014】
また、本発明のエネルギー発生システムは、上記したいずれかの燃焼ノズル装置10の噴出ノズル20近傍に着火装置22を配置し、発生する燃焼エネルギーを熱源又は動力源として利用するように構成するとよい。
【0015】
また、中空閉鎖容器12に圧送する有機質廃液と助燃材との粘度に対応して噴出ノズル20の先端から着火装置22による着火位置までの距離を変更設定する着火位置可変機構74を有するようにするとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有機質系廃液の燃焼ノズル装置は、中空閉鎖容器と、中空閉鎖容器の中空部にそれぞれ異なる連通ポートで連通接続された有機質廃液圧送管と、助燃材圧送管と、空気圧送管と、中空閉鎖容器内に圧送される有機質廃液と助燃材と空気との混合流体を大気側へ噴出させる噴出ノズルと、を含み、有機質廃液と助燃材と空気とを同時に中空閉鎖容器内に圧送し噴出ノズルから噴出されるそれらの混合流体を燃材として着火燃焼させる構成であるから、簡単な構成で低コストであり、しかも小型の装置構成により小スペースでボイラやタービンその他の熱源あるいは駆動源機器へ駆動エネルギーを供給させることができる。また、基本的にどのような特性の有機廃液でも燃焼させることができるから、河川放流に頼らざるを得なかった焼酎廃液、大豆煮汁や、地中吸い込み、貯留、埋め立て処理等しか対策がなかった動物糞尿処理等について、効果的に処理ができ、しかもエネルギー源として有効活用しうる。さらに、燃焼用燃費コストを大幅に低減でき、しかも、簡単な構造により故障が少なく、しかも、装置のメンテナンスや管理を簡易に行なえる。
【0017】
また、少なくとも有機質廃液と助燃材とは略同じ圧送力で中空閉鎖容器内に圧送される構成とすることにより、相互の圧送管への逆流を防ぎ、両者の投入量バランスを安定させて混合流体の構成比を一定化させ、安定した燃焼を保持させることができる。
【0018】
また、空気は有機質廃液又は助燃材と略同じかあるいはそれらよりも高い圧力で圧送されるようにすることにより、有機質廃液又は助燃材の空気圧送管側への逆流を防止すると同時に、十分な酸素量の供給と噴出ノズル側への圧送を確実に行なうことが可能である。
【0019】
また、空気圧送管の中空閉鎖容器との連通ポートは、有機質廃液と助燃材とのそれぞれの中空閉鎖容器との連通ポートよりも噴出ノズルに対して、より離隔した位置に設定された構成とすることにより、有機質廃液と助燃材がより噴出ノズルに近接した位置、すなわち、低圧側の外気に近い位置にそれらの有機質廃液や助燃材が注入される結果、圧送空気が有機廃液を送風しやすい状態となる。そして、目詰まり等を生じにくくさせることができ、安定した燃焼を持続させることができる。
【0020】
また、中空閉鎖容器の中空部は、空気圧送管の連通ポートが連通する空気室と、有機質廃液圧送管と、助燃材圧送管の各連通ポートが連通する混合室と、を小通路を中央にしてその両側に連通接続して設けられた構成であるから、有機質廃液と助燃材をより噴出ノズルに近接した低圧側に近い位置に注入させて、目詰まり等を生じにくくさせる上に、コンプレッサ等の空気圧供給源から受けた空気をビーム状に混合室側に圧送でき、噴出ノズル側への圧送力を確保しうる。また、ノズルの直前に混合室があるので、この部分で圧力変動をある程度緩和でき、燃焼を安定させることができる。
【0021】
また、小通路は、噴出ノズルのノズル孔の芯合わせ方向に長い通路からなる構成であるから、小通路からのビーム状の空気は混合室で他の要素と混合して混合流体とし、流れのエネルギーを大幅に損なわずにそのままノズル孔から外部に噴出されてエネルギーロスを少なくしつつ良質の微粒子状ミストを発生させることができる。
【0022】
また、小通路を介して空気室から混合室へ空気を圧送する際の空気の流量を調節する調節弁機構が設けられた構成とすることにより、混合室で生成される混合流体中の空気量の調整を処理対象の有機質廃液や、あるいは助燃材の特性に対応して自在に調節設定することが可能である。
【0023】
また、調節弁機構は、ニードルの先端を小通路の入り開口に突入するように進退移動するニードル弁装置からなる構成であるから、例えば操作部分を外部に突設させておくことにより、ニードルの進退移動のみで高精度でかつ微調整の空気流量調整設定を行える。
【0024】
また、すくなくとも有機質廃液圧送管と助燃材圧送管とは、同じ圧縮装置に連通されて有機質廃液と助燃材とが中空部に圧送される構成とすることにより、中空部から相互の圧送管側に媒体が逆流して注入量バランスを損なうことなく、安定した、確実な燃焼処理を実現し得る。
【0025】
また、中空閉鎖容器に圧送される助燃材と有機質廃液とが容積比で1:1~5:1で設定されている構成とすることにより、噴出ノズルから噴出される微粒子状ミストの燃焼を維持することができる。
【0026】
また、本発明の有機質系廃液のエネルギー発生システムは、請求項1ないし10のいずれかの燃焼ノズル装置の噴出ノズル近傍に着火装置を配置し、発生する燃焼エネルギーを熱源又は動力源として利用する構成であるから、廃棄物を簡易な構成で燃焼して廃棄物処理を簡易に行なえるうえに、その際に発生する燃焼エネルギーを利用して熱源あるいは動力源に対してエネルギー供給を行なえ、有価物として機能し得る。
【0027】
また、中空閉鎖容器に圧送する有機質廃液と助燃材との粘度に対応して噴出ノズルの先端から着火装置による着火位置までの距離を変更設定する着火位置可変機構を有する構成であるから、有機質廃液や助燃材の粘度に対応した最良の燃焼点で着火させて効率のよい火炎生成を行なって燃焼効率を向上させることができる。
【0028】
また、有機質系廃液の燃焼処理方法によれば、それぞれ別個のポートで中空閉鎖容器に連通する供給管を介して有機質廃液と、助燃材と、空気と、を同時に略同圧で圧送し、中空閉鎖容器に設けた噴出ノズルから有機質廃液と助燃材と空気との混合流体を噴出させ、該噴出流体に着火させることにより燃焼させる構成であるから、簡単な構成で、しかも小型の装置構成により小スペースで熱源あるいは駆動源機器へ駆動エネルギーを供給させることができる。また、基本的にどのような特性の有機廃液でも燃焼させることができるから、河川放流に頼らざるを得なかった焼酎廃液、大豆煮汁や、地中吸い込み、貯留、埋め立て処理等しか対策がなかった動物糞尿処理等について、効果的に処理ができ、しかもエネルギー源として有効活用しうる。さらに、燃焼用燃費コストを大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1ないし図4は、本発明の有機質系廃液の燃焼ノズル装置の第1実施形態を示している。本発明の有機質系廃液の燃焼ノズル装置は、食品製造分野、発酵工業分野あるいは畜産業などから排出される残渣液や尿などを効果的に燃焼し、さらにその燃焼エネルギーを簡易に有効利用し得る装置であり、特に、装置構成が極めて簡単で、小型であり、製造ならびにメンテナンスコストを低廉に保持させ、さらに、燃焼用の燃料を大幅に節約することのできる装置である。本発明の有機質系廃液の燃焼ノズル装置が処理対象とする有機質系廃液は、焼酎廃液(焼酎滓)、大豆等の煮汁廃液その他の種々の食品加工工程で廃棄される廃液、豚、鶏、牛等の糞尿その他の畜産糞尿廃液その他の有機質系廃液であり、予め例えばフィルタプレスや遠心分離機等で有機固形物、無機固形物を除去した後の廃液(前処理後の廃液)であり、最終的に大気側に噴出させる噴出ノズルの少なくとも開口径以上の大きさの固形物を除いた後の廃液の処理を行なう。
【0030】
図1は、本発明の有機質系廃液の燃焼ノズル装置10を含む燃焼装置110の概略構成説明図であり、図において、本発明の有機質系廃液の燃焼ノズル装置10は、中空閉鎖容器12と、中空閉鎖容器の中空部にそれぞれ別の通路で連通接続された有機質廃液圧送管14と、助燃材圧送管16と、空気圧送管18と、中空閉鎖容器の一端側に設けられた噴出ノズル20と、を含む。そして、噴出ノズル20から有機質廃液と、助燃材と、空気との混合流体が外部あるいは大気側、例えば燃焼室150側に噴出されて着火手段22により着火されて燃焼する。
【0031】
図において、中空閉鎖容器12は、有機質系廃液の燃焼ノズル装置10の主要な部分を構成する構造体であり、その中空内部に同時に略同圧圧送される空気と処理すべき有機質廃液と助燃材とを受け入れて混合流体として噴出ノズル20から微粒子のミスト状態で噴出させる燃焼用流体発生手段である。実施形態において、中空閉鎖容器12は、耐熱素材からなる閉鎖ケースからなり、例えばステンレス製で形成されて全体としては中空の円筒形状で構成されている。実施形態では、この中空閉鎖容器のサイズは例えば直径3cm、長さ10cm程度の小型の円筒状ケース体から構成されているが、それ以上か、それ以下のサイズでもよい。
【0032】
実施形態において、中空閉鎖容器12は、円筒の両端壁121と、周壁122と、を有する円筒形状で構成され、複数の構成要素を一体的に組み付け接合させて構成されている。図1、図3において、円筒形状の一端(121a)側に混合流体を噴出させる噴出ノズル20を形成し、そのノズル孔を介して中空内部と外部とを連通させている。噴出ノズル20は微粒子状ミスト発生構造を有しており、実施形態では、中空内部との連通路をいったん絞ってオリフィス状出口20aを形成し、このオリフィス状出口から外部方向に向けて出口をしだいに拡大するようにテーパ流路26を設けて構成している。すなわち、微粒子状ミスト発生構造は、オリフィス状出口20aを有するオリフィス部24と、これに連続して拡大するテーパ流路26と、を有している。オリフィス状出口20aは、有機質系廃液と助燃材と空気との混合流体の外部への出口で最も狭い流路部分であり、実施形態では、このオリフィス状出口20aがノズル孔とされる。本実施形態において、オリフィス状出口20aは、例えば直径1~2mm程度に設定されており、5mm直径程度の各連通ポートから圧送される流体が目詰まりなく安定して確実に閉鎖容器内部に注入する一方、中空部で混合した混合流体をノズル孔からの低圧開放により確実に微粒子状ミスト化して燃焼を促進させることができる。実施形態では最狭小通路としてのオリフィス状出口20aよりも内側となる端壁121aの部分には漏斗状にしだいに進行方向(中空閉鎖容器の内側から外側に向けて)に向けて通路を小さくする拡小テーパ流路28が設けられてその拡小テーパ流路28の先端部がオリフィス状出口20aに連続して設けられている。拡大テーパ流路26は、高圧高速の混合流体がオリフィス状出口20aの出口開口(20a)から放出される際に発生する微粒子状のミストをその流路を拡大させつつ拡散させるように外部に向けて放出案内する手段である。実施形態において、オリフィス状出口20aの流路中心線r1は中空閉鎖容器の円筒軸線c1に一致するように形成されており、したがって、混合流体は該円筒軸線上あるいはこれに沿って噴出ノズル20から噴出される。
【0033】
中空閉鎖容器12の周壁122には各圧送管の連通接続用の複数のポートが設けられている。実施形態において、図2、3、4に示すように、噴出ノズル20寄り側の周壁122において、直径方向に対向する位置に2個の第1、第2連通ポート30,32が、並びにそれらから噴出ノズル20に対してより離隔する位置に4個の第3、第4、第5、第6連通ポート34a、34b、34d、34eの計6個の連通ポートが円筒容器の半径方向に貫通するように設けられている。各連通ポート30~34は、中空閉鎖容器12の中空部にそれぞれ異なる位置に設けられて連通する連通手段であり、周壁122の壁を貫通する方向にそれぞれ孔30p~34epを形成して中空内部と各圧送管とをそれぞれ別の流路で連通させる。本実施形態では各連通ポートは、閉鎖容器本体の連通孔に一端側を連通接続し、他端側の一部を容器の半径方向に突設させたポート用金具で構成されている。第1連通ポート30には有機質系廃液圧送管14が連結接続され、第2連通ポート32には助燃材圧送管16が連結接続され、さらに第3から第6の連通ポートにはそれぞれ空気圧送管18が連結接続されている。これらの連通ポートの孔は本実施形態では例えば5mm程度に設定されている。例えば、実施形態程度の全体サイズで有機質系廃液が流入する混合室容積が1.2cmで設定されており、例えばこの場合には、連通ポートの孔(空気室あるいは混合室との連通孔)の径Dpは5mm~7mm程度に設定するとよい。
【0034】
さらに、図3にも示すように、中空閉鎖容器12の中空内部は、中間に小通路36を介してこの小通路36に連通するように空気室38と混合室40とを配して構成されている。小通路36は空気室38側に圧送供給された空気を混合室40側に供給する空気の通路であり、実施形態において、円筒状の中空閉鎖容器の中間位置において円筒の軸線上にその中心軸線を位置させた細長い空気の通路からなる。そして、この小通路36と両端の空気室38及び混合室40は、円筒状の閉鎖容器12の内部にダンベル状の中空部を一体的に形成するように、該閉鎖容器12は組み付け接合されている。すなわち、空気室38及び混合室40は小通路36の両端に連通接続されて、該通路36から段付き状にそれぞれ拡大した短円筒形状の中空部からなり、空気室38、小通路36、混合室40は直線列状に配置されていてそれらの中心線は噴出ノズル20のノズル孔(オリフィス状出口)と芯合わせ位置となるように形成されている。噴出ノズル20に近い室が有機廃液と助燃材とが同時に略同圧で圧送される混合室40であり、混合室40は噴出ノズル20の拡小テーパ流路28の内側空隙と(拡小テーパ流路の最大径部分)連通しており、これによって、混合室40内とノズル孔20a並びに容器12外部とを連通させている。42は、中空閉鎖容器の本体に噴出ノズル20部分を組み付けた際の気密のためのパッキンである。混合室40には、第1及び第2の連通ポート30,32が円筒容器の直径方向の両端位置に連通接続されて有機廃液並びに助燃材を圧送する。前記したように、これらのポートの孔は略同じ直径で構成され略同圧で圧送されて流入する。これは混合室40内で充填圧力の差があれば高いほうの圧力で流入する廃液あるいは助燃材が低圧で圧入されるもののほうのポートの孔から各圧送管内に流入し一部の流体を逆流させて、混合室内でのそれらの混合バランスを崩すおそれがあるからである。その意味では、厳密には、有機廃液及び助燃材の圧送力は混合室内での他のポート孔への圧入が生じない程度の圧力で、という意味であって、同圧あるいは同圧でなくともよいが、いずれにしても大気圧以上の圧力により、混合室内でのそれらの混合バランスを崩さない程度の圧力差を許容限度として任意に設定できる。空気室38は空気が圧送されて流入する室であり、混合室の直径と例えば略同一径であって一端を閉鎖容器の円筒の他端側に延長し開放した空間で形成されている。なお、この閉鎖容器の本体の他端側開放部は当然のことながら外部に対しては閉鎖されており、本実施形態では、後述する調節弁機構を介して気密閉鎖されている。図2に示すように周方向に90度ずつずらした位置に設定した第3~第6ポート34a~34dから空気室38内に圧力空気が導入される。本実施形態では空気室38に圧送された空気は小通路36を通って混合室40を経由し、さらに低圧開放端側のオリフィス状出口20aに向けて直線状に流れる。一方、混合室内の有機廃液と助燃材とは円筒容器の半径方向に貫通するように混合室40に流入しそれぞれが高速流体で一気に混合されて混合流体としてオリフィス状出口20aから噴出される。
【0035】
図1、3において、円筒状の閉鎖容器の他端側には調節弁機構44が設けられ、この調節弁機構44の要素を介して円筒の他端側は閉鎖されている。調節弁機構44は、小通路36を介して空気室38から混合室40へ空気を圧送する際の空気の流量を調節する空気流量調節手段であり、本実施形態では中空閉鎖容器の直径よりも小さな直径の軸体ホルダ46とホルダの先端に取り付けたニードル弁48と、を含むニードル弁装置50を有している。軸体ホルダ46は閉鎖容器12の円筒軸と軸の方向を同じとするように中空閉鎖容器の空気室38の延長部39の内壁に形成されためねじ孔52に螺合され、小通路36の流路軸方向に螺進退自在に移動するボルト軸体から構成されている。この軸体ホルダ46は、閉鎖容器本体開放端側の内壁に取り付けられたパッキン54を密着摺動自在に貫通して閉鎖容器12の内外を気密閉鎖する。軸体ホルダ46の円筒軸体の一部は外部に突出して設けられ、その突出端には操作突周56が形成されている。軸体ホルダ46の外部突出部分が操作摘み部58を形成する。軸体ホルダ46はその外部突出側の反対側の端部にニードル弁48を固定している。ニードル弁48は、その先端が小通路36の入り開口36aに突入するように進退移動し、空気圧送用の第3の連通ポート34a~34dから圧送される空気の空気室38から小通路36への流入量を調節する。この場合、ニードル弁48の先端はニードルの軸心に向けて尖っており、したがって、小通路36の入り開口36aに近接する際にニードルの先端尖り部表面と入り開口36aとの隙間が尖り部の周囲に均等に形成されるから安定した流れで空気が小通路36内に入り、混合室40側に流入する。
【0036】
有機質廃液圧送管14は、前述したとおりの、焼酎廃液(焼酎滓)、大豆等の煮汁廃液その他の種々の食品加工工程で廃棄される廃液、豚、鶏、牛等の糞尿その他の畜産糞尿廃液その他の有機質系廃液(例えば含水率90%以上程度のもの)を圧送する管路手段であり、例えば合成樹脂あるいは金属管から構成するとよい。有機質系廃液圧送管14は廃液タンク60に接続され流量調整用のレギュレータ62を介して設定された流量の廃液が圧送される。廃液タンク60は種々の工程や事業所から排出される前処理後の有機系廃液の貯留タンクであり、コンプレッサからの空気圧供給管64を介してコンプレッサ66に接続されている。
【0037】
助燃材圧送管16は、空気と有機系廃液とともに中空閉鎖容器内に圧送される助燃材を圧送する管路手段であり、流量調整用レギュレータ68を介して助燃材タンク70に接続されている。そして、助燃材タンク70は空気圧供給管64を介して廃液側に圧送力を供給駆動すると同じコンプレッサ66に接続されている。ここに、助燃材は、中空閉鎖容器内で空気と有機廃液とともに混合されて噴射ノズル20から微粒子状ミストとして外部に噴出される際の燃焼補助あるいは補助燃料手段であり、この微粒子状ミストに着火させた際に生ずる燃焼反応媒体の構成要素である。具体的には、例えば油類などの、水に不溶の可燃性の液体や、可燃性ガスなどを含む。より詳しくは、助燃材としては、例えば灯油、重油、軽油、ガソリン等の液体燃料や、天然ガス、液化石油ガス、都市ガス等の気体燃料を含む流体燃料である。好ましくは、家庭、飲食物提供業者、学校、事業所、その他の施設などから排出される食用油や古くなった食用油などの廃食油が資源のリサイクルと廃棄物量の削減を通じて環境保護にも資する点でよい。
【0038】
コンプレッサ66は、少なくとも空気圧送管18に接続されて高圧空気を発生供給する空気圧発生駆動手段であり、本実施形態では流量計72を介設させた空気圧供給管64の一端側が連通接続されている。そして、4個の連通ポート34a~34dにそれぞれ接続された空気圧送管18a~18dは、N位置で相互に連通接続されており、このN位置に空気圧供給管64aの他端側が共通に連通するように接続されている。したがって、各連通ポート34a~34dから同圧の空気が空気室38内に圧送供給される。さらに、本実施形態において、該コンプレッサ66には他の空気圧供給管64b、64cを介してそれぞれ廃液タンク60並びに助燃材タンク70にも連通接続しており、これによって、空気圧送管18、有機質廃液圧送管14ならびに助燃材圧送管16のそれぞれが同じ空気圧発生駆動手段に接続されて、略同空気圧力を加えて圧送する。これによって、混合室40内での圧力差による他のポートへの逆流を生じさせないとともに、略同圧の空気圧で空気室38内に圧送するから過度の高圧により小通路36から空気のみが噴出ノズルから噴出されて燃焼を生起させにくくすることなく、適切な微粒子ミストを発生させて燃焼を好適に維持させることができる。なお、空気圧送管18からの空気室38への圧力は、有機質廃液又は助燃材と同じかあるいはそれらよりも高い圧力で圧送される必要がある。空気圧送管18、有機質廃液圧送管14ならびに助燃材圧送管16からの圧力は少なくとも大気圧よりも高い圧力である必要がある。ただし、大気圧との関係で大幅に高圧で設定する必要はなく、連通ポート30~34から閉鎖容器の中空部へのある程度の吐出力があればよい。好ましくは、圧力Pは1<P<10気圧程度であるとよい。10気圧以上の圧力とすると廃液、助燃材、空気量の空気室あるいは空気を受け入れた混合室での混合状態が微妙な圧力差で大きく変動するおそれが高く、燃焼に好ましい条件で噴出ノズルから噴出させるための設定を不必要に困難にするおそれがある。空気圧送管18、有機質廃液圧送管14ならびに助燃材圧送管16のそれぞれに同じ空気圧を供給するためには、必ずしもそれぞれの管が同じコンプレッサに接続されている必要はなく、別々の発生駆動手段により略同圧の設定により空気を圧送するようにしてもよい。
【0039】
これによって、燃焼ノズル装置10の噴出ノズル20近傍に着火装置22を配置し、発生する燃焼エネルギーを熱源又は動力源として利用することができる。この場合、図1における燃焼室150内の着火装置22による着火はそれに必要な程度の極めて弱いパイロットバーナでよく、したがって、燃料消費量もわずかの量である。
【0040】
次に本実施形態の作用について図1、図3を主に参照して説明すると、例えば有機廃液を焼酎廃液とし、助燃材に廃食油を用いる場合、同圧発生装置としてのコンプレッサ66からの圧縮空気は空気圧供給管64a、64b、64cを介してそれぞれ空気室38及び混合室40に連通ポート30~34を介して高圧で圧送される。この際、空気は流量計72、有機廃液及び助燃材は流量調整レギュレータ62,68によりそれぞれ流量を調節されて供給される。空気室38及び混合室40には略同圧の圧送力で空気、有機廃液、助燃材が同時に供給されており、それらの混合流体はすべて混合室40から噴出ノズル20を介して低圧の外部(外気)側へ噴出される。小通路36を介して空気室38から混合室40へ流入する空気量はニードル弁装置50を介して装置の外部から手動の摘み操作で可能となっている。小通路36から混合室側に出る空気は直線状の小通路により案内されて直線状かつビーム状となって混合室に流出しその流出方向のエネルギーを大幅に減殺されることなくオリフィス状出口20aから低圧大気側に微粒子状ミストが放出される。この際、混合室40内には空気流れ方向と直交、あるいは略直交方向から圧送される有機廃液及び助燃材と高速に混合される。図2のように、本実施形態では有機廃液と助燃材とは混合室内で同一直線上を対向方向から衝突するように供給され、相互にぶつかり合いながら混合し、さらにこれに直交方向から空気室からの空気が圧送される。これによって、噴出ノズルのオリフィス状出口20aの内側部分で大きな圧力となるとともに,この出口20aを出ると混合流体は一気に圧力を開放され、例えば120度の開き角に設定されたテーパ流路26の拡大壁に案内されて微粒子状ミストとして外部に拡大するように噴出される。この微粒子状ミストが燃材とされる。そして、噴出ノズルの先端近傍に予め設置したパイロットバーナ等の着火装置22を介して着火し、例えば燃焼室150内で燃焼する。上記のように、同時に同圧で圧入した有機廃液と助燃材と空気とを混合流体とし、この状態で外部に噴出させて微粒子状ミスト状態で着火させるから、有機廃液の特性、例えば粘度、繊維質成分や油分の多寡いかんにかかわらず基本的にどのような有機廃液も燃焼処理可能である。また、このため、廃棄物として環境負荷を増加させていたものを燃料の一部として機能させ、熱源あるいは動力源として駆動力を供給することができる。なお、廃食油と有機廃液との混合比は、体積比で例えば1:1から1:5程度の範囲であるとよく、廃食油のほうが有機廃液よりも少ないと安定した燃焼が得られにくい。
【0041】
なお、図5に示すように、有機廃液と助燃材とはすれ違い状に混合室内に流入するように各連通ポート30,32を混合室に連通接続させてもよく、例えば同圧空気を上流側の空気室から圧送して混合流体として噴出ノズルから外部に噴出させるようにするとよい。
【0042】
上記のような有機質系廃液の燃焼ノズル装置は、例えば図6に示すような熱源機器やエネルギー発生装置に連結接続させて熱源あるいは動力源として利用できる。例えば図6の例では、噴出ノズル20の近傍に着火装置22を配置した燃焼ノズル装置10に、タービンや発電機を接続し、工業用の各種動力源に用いることができる。また、ボイラや暖房あるいは蓄熱装置などに接続して、高温、高圧蒸気を発生させ、さらには熱交換等を介して室内空調機器への熱源機器として利用することができる。この場合、混合室40からは空気と有機廃液と助燃材との混合流体、特に助燃材を予め流体中に混合させた状態の微粒子ミスト状態で燃焼させるから、噴出ノズル先端からの着火装置による着火位置までの距離により燃焼効率を変動させる。すなわち、有機廃液には高粘度、あるいは粘度を有するものが多く、噴出の際の粒子の到達距離もそれぞれ異なる。したがって、燃焼物としてのこれらの廃液及び助燃材の到達位置付近が最も火力が強くなる。このため、有機廃液の種類あるいは使用する助燃材によって、ノズル先端から着火位置までの距離を可変設定するとよい。図9において、噴出ノズル20の前方近傍に着火位置可変機構74が設けられている。着火位置可変機構74は、トーチ部76と、燃焼雰囲気から離隔された位置に設置されたガス貯留用タンク78と、タンクを移動させる案内フレーム上を直線状に進退移動するスライダ80と、スライダとラック・ピニオン結合された伝達部82と、駆動モータ84と、を含む。モータ駆動力でスライダ80を移動させることにより、噴出ノズル20の先端位置からのトーチ部76による着火位置を可変設定し最適の燃焼条件で有機廃液を燃焼させる。特に、中空閉鎖容器に圧送する有機質廃液と助燃材との粘度に対応して噴出ノズルの先端からの着火位置を設定するとよい。
【0043】
次に、参考例について図7、8に基づき説明するが、前記した第1実施形態と同一部材には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この参考例の有機質系廃液の燃焼ノズル装置11は、中空閉鎖容器12の中空部が空気室と混合室のように2分割されて連通された構造ではなく、閉鎖した一端壁側寄り位置から他端側の噴出ノズル20に連通する直状円柱形状の中空室86となっており、この中空室の円柱状空隙より少し小さな径で中空室の壁面との間に周状に連通する周状空隙88を形成するように円筒管90を収容させている。円筒管90の一端側は噴出ノズルの拡小テーパ流路28の入口部分に臨む位置に配置されるとともに、他端側は円柱状空隙の終端部との間に合流空隙92を形成するように終端部から少し控えた位置に設定してある。そして、この円筒管90の周方向複数個所には複数の空気注入孔94が穿孔されている。また、空隙88に連通するように空気圧送管に接続された4個の連通ポート34a~34dが設けられている。連通ポート34a~34dから圧送される圧縮空気は複数の空気注入孔94を介して円筒管90の内部に流入する。
【0044】
また、合流空隙92に連通するように廃液圧送管としての第1連通ポート96、助燃材圧送管としての第2連通ポート98が本参考例ではY字状に該合流空隙92に連通するように形成されている。円筒管90の一端側開口は合流空隙92に臨んで連通しており、かつ、合流空隙92は円筒管90の中空内部にのみ連通するように形成されている。これによって、略同圧の圧送力で有機廃液と助燃材が同時に合流空隙92に圧送され、低圧側の装置外部側に向けて円筒管の中空部を通って噴出ノズル20側に流れる。有機廃液と助燃材が円筒管90内の中空部を直線状に流動する際、複数の空気注入孔94から圧縮空気が圧入され、これらの3つの要素が混合した混合流体の状態で噴出ノズル20側に至り、さらに、装置外部に微粒子状ミスとなって噴出される。なお、図9中、100は中空閉鎖容器本体と噴出ノズル20との組み付け接合時の気密用パッキン、102は、円筒管90と噴出ノズル内部側との接合気密パッキン、104は中空閉鎖容器本体と他端延長部との接合用気密パッキン、106は、他端延長部と円筒管90との組み付け接合時の気密パッキンである。
【0045】
なお、噴出ノズル20の構造に関し、図8に示すように最狭隘部分であるオリフィス状出口20aの手前の内部側入口部分を拡小テーパ流路とせずに、断面円弧状凹部としてもよい。
【0046】
上記の参考例の有機質系廃液の燃焼ノズル装置においても、例えば図6に示すような熱源機器やエネルギー発生装置に連結接続させて熱源あるいは動力源として利用できることはもちろんである。また、燃焼対象や助燃材の粘度特性に応じた着火位置可変機構74を設置することもできる。
【0047】
上記のように、極めて小形の中空閉鎖容器内に略同圧で同時に異なる連通ポートを介して空気と、有機廃液と、助燃材とを圧送し、これを噴出ノズルから低圧側に向けて噴射する際の混合流体の微粒子状ミストの燃焼に関しては、実験的にも確認されている。
【0048】
[実験例]焼酎廃液をメタン発酵して行なわれるメタンガス回収プロセスでの焼酎滓発酵残渣を有機廃液とし、助燃材としては廃食油を用いて図3の構成の燃焼ノズル装置による燃焼実験を行なった。図9は、その際の燃焼実験の概念構成図であり、噴出ノズルは横方向に向けて配置され、横方向に向けて混合流体が噴出される。噴出口からLの距離にパイロットバーナを設置して火種を作る。種火に到達した混合流体は火炎を形成し、その火炎挙動をデジタルビデオカメラで撮影し、パイロットバーナの位置及び焼酎廃液の発酵残渣と廃食油の比率を変化させ、火炎長さの変化を計測した。パイロットバーナの位置は噴射口からの距離Lで表し、火炎長さは最も火炎が長くなった瞬間のバーナ中心軸から火炎最長点までの距離λで表した。焼酎廃液発酵残渣と廃食油の比率が2:1、1:0、1:1、0:1、1:2の場合について行なった。さらに、各比率について、バーナ距離L[mm]を30,50,80,100,150,200及び250について行なった。
[結果と考察]火炎長さは図10に示すように、二つのパターンに分類できる。発酵残渣が廃食油よりも高い比率で含まれる場合と低い比率で含まれている場合である。発酵残渣の比率が高い場合、火炎はあまり発達しない。またバーナ距離が増大するにつれて火炎長さも増大した。一方廃食油の比率が高い場合や廃食油と発酵残渣の割合が同じ場合では、火炎は非常に発達し、バーナ距離は短いほうが火炎長さは長い。焼酎粕廃液の発酵残渣は粘度が低いため横方向に噴射した後、遠くまで液滴が飛散するが、廃食油は粘度が高いため飛距離が伸びない。したがって噴射口近くの噴霧には廃食油が多く含まれているが、噴射ノズルから離れると発酵残渣の比率が高くなる。以上の点から、噴射口付近には発熱量の高い廃食油が多量に含まれていて、火炎長さも長くなると思われる。以上より、噴霧は、ノズル噴射口から100~150mm程度の位置において、焼酎廃液の発酵残渣と廃食油がよく混合されていることが分る。また、噴霧はノズル噴射口から50mm程度の位置で最もよく燃焼する。さらに、混合流体の発酵残渣と廃食油の割合は、同等か廃食油の割合を大きくしなければならない。但し、廃食油のみよりは発酵残渣が混合しているほうがよく燃焼することが分った。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の有機質系廃液の燃焼ノズル装置、並びにエネルギー発生システムは、上記した実施形態の構成にのみ限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲における変更、改良も本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機質系廃液の燃焼ノズル装置を含む燃焼装置の概念構成説明図である。
【図2】第1実施形態に係る中空閉鎖容器の横断面図である。
【図3】第1実施形態に係る有機質系廃液の燃焼ノズル装置の縦断面説明図である。
【図4】図3の有機質系廃液の燃焼ノズル装置の正面図である。
【図5】有機廃液及び助燃材と中空閉鎖容器との連通位置を異ならしめた中空閉鎖容器の横断面図である。
【図6】本発明の有機質系廃液の燃焼ノズル装置を用いたエネルギー発生システムのブロック構成図である。
【図7】本発明の参考例に係る有機質系廃液の燃焼ノズル装置の縦断面説明図である。
【図8】有機質系廃液の燃焼ノズル装置の噴出ノズル部分の他の例を示す要部拡大断面図である。
【図9】着火位置可変機構を含む実施形態概念図兼、燃焼実験の概念構成図である。
【図10】実験例における噴出ノズル先端からトーチまでの距離Lと、トーチから火炎の先端までの距離λとの関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0051】
10 有機質系廃液の燃焼ノズル装置(第1実施形態)
12 中空閉鎖容器
14 有機質廃液圧送管
18a、18b、18c、18d 空気圧送管
20 噴出ノズル
22 着火手段
26 拡大テーパ流路
30 第1連通ポート
32 第2連通ポート
34a、34b、34c、34d 第3,4,5,6、連通ポート
36 小通路
38 空気室
40 混合室
50 ニードル弁装置
66 コンプレッサ
74 着火位置可変機構
96 第1連通ポート
98 第2連通ポート
110 燃焼装置
150 燃焼室
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9