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明細書 :電子放出分布測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4461257号 (P4461257)
公開番号 特開2007-078660 (P2007-078660A)
登録日 平成22年2月26日(2010.2.26)
発行日 平成22年5月12日(2010.5.12)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
発明の名称または考案の名称 電子放出分布測定装置
国際特許分類 G01Q  60/12        (2010.01)
G01Q  10/06        (2010.01)
G01Q  10/04        (2010.01)
G01B   7/34        (2006.01)
FI G01N 13/12 101A
G01N 13/10 101F
G01N 13/10 101E
G01B 7/34 P
請求項の数または発明の数 2
全頁数 16
出願番号 特願2005-270889 (P2005-270889)
出願日 平成17年9月16日(2005.9.16)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2005年3月29日 社団法人応用物理学会発行の「2005年(平成17年)春季 第52回 応用物理学関係連合講演会講演予稿集 第2分冊」に発表
審査請求日 平成19年3月6日(2007.3.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
発明者または考案者 【氏名】佐々木 正洋
【氏名】佐藤 貴伸
【氏名】才田 守彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100110179、【弁理士】、【氏名又は名称】光田 敦
審査官 【審査官】▲高▼見 重雄
参考文献・文献 特開2004-233065(JP,A)
特開平06-176732(JP,A)
特開平07-198315(JP,A)
特開平05-306926(JP,A)
特開2002-296168(JP,A)
特開2000-283909(JP,A)
FROLOV V D,Scanning tunnelling microscopy: application to field electron emission studies. ,J Phys D,1999年 4月 7日,Vol.32 No.7,Page.815-819
R.M.Tromp,Surface Studies with the Scanning Tunneling Microscope,応用物理,1987年,第56巻 第2号,199—205頁
調査した分野 G01N 13/10-13/24
特許請求の範囲 【請求項1】
探針と、該探針を試料に対して移動させるピエゾ素子と、前記試料にバイアス電圧が印加されると前記探針と前記試料との間を流れるトンネル電流を電圧変換するプリアンプと、該プリアンプの出力側に設けられ、前記試料にバイアス電圧を印加するSTM用バイアス電源を備えたSTM制御回路と、を備えた走査型トンネル顕微鏡における電子放出分布測定装置であって、
前記STM用バイアス電源より高電圧であり前記試料にバイアス電圧を印加するFE用バイアス電源と、STM用バイアス電源とFE用バイアス電源を交互に切り換える切換スイッチと、サンプルホールド回路と、を備えており、
前記サンプルホールド回路は、タイミング信号発生器に互いに並列に接続された第1サンプルホールド回路及び第2サンプルホールド回路を有し、それぞれ前記タイミング信号発生器から送られるサンプル信号により前記プリアンプからの入力を出力するサンプリング動作を行い、ホールド信号により該ホールド信号入力直前の前記プリアンプからの入力を保持して出力する保持動作を行い、
前記第1のサンプルホールド回路は、前記プリアンプとSTM制御回路との間に設けられ、前記第2のサンプルホールド回路は、前記プリアンプと電子放出分布計測用の回路系との間に設けられており、
前記切換スイッチは、前記タイミング信号発生器から送られるスイッチ切換信号により試料に印加する電源を前記STM用バイアス電源又はFE用バイアス電源に交互に切り換え、
前記試料にFE用バイアス電源の電圧が印加されている期間は、前記第1サンプルホールド回路は保持動作が行われているが、前記第2サンプルホールド回路は前記期間中にサンプル信号が加えられると、前記プリアンプからの出力で前記電子放出分布像の計測に供することを特徴とする電子放出分布測定装置。
【請求項2】
前記プリアンプは、前記探針に接続された第1のプリアンプと、第1のプリアンプの出力側の分岐回路にそれぞれ互いに並列に接続された第2のプリアンプ及び第3のプリアンプから成り、
前記第2のプリアンプの出力側は第1サンプルホールド回路に接続されており、第3のプリアンプの出力側は第2サンプルホールド回路に接続され、
前記第2のプリアンプに対して、第3のプリアンプは増倍率が異なることを特徴とする請求項1に記載の電子放出分布測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型トンネル顕微鏡(scanning tunneling microscope:「STM」という。)などの走査プローブ顕微鏡を応用して、走査型トンネル顕微鏡で通常得られる試料の表面形状像(本明細書では「STM像」ともいう。)だけでなく、試料における高分解能の電子放出分布像(本明細書では「FE像)」ともいう。)を同時に計測することのできる電子放出分布測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、探針と試料間に流れる電流の大きさ等を検出し、一定に制御することで試料表面の状態を計測する装置として走査型トンネル顕微鏡などの走査型プローブ顕微鏡が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
STMは、試料に一定の電圧を印加し、制御機器を用い探針と試料間に流れる電流を一定にするように試料垂直方向の位置をフィードバック制御する状態(定電流トンネルモード)で、試料を水平方向に走査したときの試料垂直方向の軌跡を、試料水平方向位置情報(試料表面の起伏形状)と対応させ、記憶装置内に二次元平面状に再配列することで試料の表面形状像を得るものである。
【0004】
ところで、従来、走査プローブ顕微鏡を活用して電界電子放出分布を計測する試みがなされている(Scanning Tunneling Field Emission Microscope:STFEM法) (非特許文献1参照)。
【0005】
また、本発明と目的は異なるものの、関連する技術として、固体表面における電子状態を高空間分解能を保ちつつエネルギー分解にて計測することを可能としたCITS法 (Current Imaging Tunneling Spectroscopy)が知られている(非特許文献2参照)。
【0006】

【特許文献1】特開平5-306926
【非特許文献1】D Frolov, A V Karabutov, V I Konov, S M Pimenov および A M Prokhorov著、 “Scanning tunnelling microscopy: application to field electron emission studies” Journal of Physics D: Applied Physics、32巻、p. 815-819、1999年
【非特許文献2】R. J. Hamers, R. M. Tromp, および J. E. Demuth著、 “Surface Electronic Structure of Si (111)-(7 x 7) Resolved in Real Space” Physical Review Letters、56巻、p 1972-1975, 1986年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記非特許文献1記載のSTFEM法は、通常の定電流トンネルモードのSTM計測において、一時的に探針と試料間の印加電圧を電界電子放出が起こるまで高めたとき、フィードバックが機能し、電流増大に抗して一定電流を保つように探針は表面から遠ざかるが、このときの探針の試料垂直方向への移動距離を計測するものである。
【0008】
しかしながら、STFEM法は、直接電流を計測するものでないため、定量的な評価が困難であるだけでなく、探針が著しく遠ざかるため電界電子放出において重要な探針と試料間距離を一定に保てないだけでなく、高い分解能を得られないという問題があった。
【0009】
そして、前記非特許文献2記載のCITS法は、電圧を試料に加えて定電流トンネルモードでSTM計測をおこなう途中において、時間分割で印加電圧を変化させ、そのときに流れるトンネル電流によりエネルギー分解局所状態密度の空間分布を得るものである。
【0010】
しかしながら、CITS法では、印加電圧を電界放出領域まで高めれば、原理的には、電界電子放出分布を計測することが可能である。しかし、測定される電流の変化量が著しく大きいため、計測系が追従できず意図した計測は実現することはできない。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的としてなされたものであり、走査型トンネル顕微鏡などにおいて、高分解能電子放出分布の測定も可能な電子放出分布測定装置を実現することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するために、探針と、該探針を試料に対して移動させるピエゾ素子と、前記試料にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加回路と、前記探針と前記試料との間を流れる電流を電圧変換するプリアンプと、該プリアンプの出力側に順次設けられたSTM制御回路と、を備えた走査型トンネル顕微鏡において、前記プリアンプとSTM制御回路との間にサンプルホールド回路を設けてなることを特徴とする電子放出分布測定装置を提供する。
【0013】
本発明は上記課題を解決するために、探針と、該探針を試料に対して移動させるピエゾ素子と、前記試料にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加回路と、前記探針と前記試料との間を流れる電流を電圧変換するプリアンプと、該プリアンプの出力側に順次設けられたSTM制御回路と、を備えた走査型トンネル顕微鏡において、前記プリアンプとSTM制御回路との間にサンプルホールド回路を設けてなる電子放出分布測定装置であって、前記バイアス電圧印加回路は、STM用バイアス電源と、該STM用バイアス電源より高電圧のFE用バイアス電源と、STM用バイアス電源及びFE用バイアス電源を交互に切り換える切換スイッチと、を備え、前記サンプルホールド回路は、前記試料にFE用バイアス電源の電圧が印加されている期間は、前記プリアンプから前記STM制御回路への出力を、前記FE用バイアス電源の電圧が印加される直前の前記プリアンプからの出力に保持するとともに、電子放出分布像の計測に供することを特徴とする電子放出分布測定装置を提供する。
【0014】
本発明は上記課題を解決するために、探針と、該探針を試料に対して移動させるピエゾ素子と、前記試料にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加回路と、前記探針と前記試料との間を流れる電流を電圧変換するプリアンプと、該プリアンプの出力側に順次設けられたSTM制御回路と、を備えた走査型トンネル顕微鏡において、前記プリアンプとSTM制御回路との間にサンプルホールド回路を設けてなる電子放出分布測定装置であって、前記バイアス電圧印加回路は、STM用バイアス電源と、該STM用バイアス電源より高電圧のFE用バイアス電源と、STM用バイアス電源及びFE用バイアス電源を交互に切り換える切換スイッチと、を備え、前記試料にSTM用バイアス電源の電圧が印加されている期間中に前記プリアンプからの出力を前記STM制御回路に入力させ、前記試料にFE用バイアス電源の電圧が印加されている期間は、前記プリアンプから前記STM制御回路への出力を、前記FE用バイアス電源の電圧が印加される直前の前記プリアンプからの入力を保持して出力するとともに、電子放出分布像の計測に供することを特徴とする電子放出分布測定装置を提供する。
【0015】
本発明は上記課題を解決するために、探針と、該探針を試料に対して移動させるピエゾ素子と、前記試料にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加回路と、前記探針と前記試料との間を流れる電流を電圧変換するプリアンプと、該プリアンプの出力側に順次設けられたSTM制御回路と、を備えた走査型トンネル顕微鏡において、前記プリアンプとSTM制御回路との間にサンプルホールド回路を設けてなる電子放出分布測定装置であって、前記バイアス電圧印加回路は、STM用バイアス電源と、該STM用バイアス電源より高電圧のFE用バイアス電源と、STM用バイアス電源及びFE用バイアス電源を交互に切り換える切換スイッチと、を備え、前記サンプルホールド回路は、タイミング信号発生器に互いに並列に接続された第1サンプルホールド回路及び第2サンプルホールド回路を有し、それぞれ前記タイミング信号発生器から送られるサンプル信号により前記プリアンプからの入力を出力するサンプリング動作を行い、ホールド信号により該保持信号入力直前の前記プリアンプからの入力を保持して出力する保持動作を行い、前記電源切換スイッチは、前記タイミング信号発生器から送られるスイッチ切換信号により試料に印加する電源を前記STM用バイアス電源又はFE用の電源に交互に切り換えることを特徴とする電子放出分布測定装置を提供する。
【0016】
前記試料にFE用電源の電圧が印加されている期間は、前記第1サンプルホールド回路は保持動作が行われているが、前記第2サンプルホールド回路は前記期間中にサンプル信号が加えられると、前記プリアンプからの出力で前記電子放出分布像の計測に供する構成とすることが好ましい。
【0017】
前記プリアンプは、増倍率の異なる2段の増幅器から成る構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電子放出分布測定装置によれば、次のような効果が生じる。即ち、走査型トンネル顕微鏡などの探針と試料との間に流れる電流を検出し、制御するSTMに簡単な回路を付加するだけで、高分解能の電子放出分布とその絶対値の測定が可能となる。しかも、この回路は、通常のSTMに追加するだけで新たな改造を特別加えることなく目的の機能を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る電子放出分布測定装置を実施するための最良の形態について、その実施例を、図面を参照して、以下に説明する。
【0020】
(原理)
探針と試料を近接させた場合のポテンシャルダイアグラムを図1(a)、(b)に示す。仕事関数とは材料固有の物性値であり、固体のフェルミ準位(Efと記載)と無限遠での電子のポテンシャルである真空準位(破線で記載)のエネルギー差である。すなわち、固体内部から真空中に電子を取り出すための必要最小限のエネルギーである。図1(a)、(b)中の仕事関数値ΦHfCは試料に用いたHfC(ハフニウムカーバイド)薄膜(後述)の仕事関数、Φwはタングステンの探針を使用した場合の探針の仕事関数である。図1(a)、(b)に示されている値(3.9eV、4.5eV)は、H.B.Michaelsonによる文献値(H.B.Michaelson著、J.Appl.Phys.22,4729(1977)に示された値)である。
【0021】
STM計測において、図1(a)に示すように、探針と試料の電位差が仕事関数より低い場合は、次の数式1が成り立ち、電子は障壁内をトンネルする。このトンネルする電流(トンネル電流)をJとすると、数式1は次のとおりである。
【0022】
【数1】
JP0004461257B2_000002t.gif

【0023】
なお、数式1において、eは電子の電荷、mは電子の電荷、Φは仕事関数、sは探針試料間距離である。
【0024】
この数式1により、トンネル電流は探針と試料間の距離に大きく依存することがわかる。定電流トンネルモードで材料表面の観察を行う場合は上記の式に基づき、トンネル電流を一定にするように探針試料間距離sを制御し、その移動距離をSTM像として計測している。
【0025】
これに対し、図1(b)に示すように、電位差が探針の仕事関数よりも大きい場合は、電界の大きさにより障壁が薄くなり実粒子として電子が真空中に放出される。この状態を電界電子放出と定義し、数式2が成立する。なお、Fは電界である。
【0026】
【数2】
JP0004461257B2_000003t.gif

【0027】
更に印加する電圧が高い場合は、数式2の第二項が無視できる値になり数式3が成り立つ。この式は、Fowler-Nordheimの式と呼ばれている。
【0028】
【数3】
JP0004461257B2_000004t.gif

【0029】
この数式3においては、指数関数の引数に電界Fが入っており、電界の大きさが大きく放出電流に影響を与えることがわかる。固体金属の仕事関数は最も高い値に属するプラチナが、約5.7eVである。従って、6V程度以上の電圧を印加することにより電子の電子放出電流を計測し、電子放出分布の状態を計測し、その電子放出分布像を得ることが可能となる。
【0030】
(構成)
本発明に係る電子放出分布測定装置は、基本的には、STM像を得るSTMを本体とし、これに、探針の位置を保持(ホールド)しといて電子放出分布状態の計測を行って電子放出分像を得ることを可能とする手段(以下、「電子放出分布計測・ホールド手段」という。)を付加した構成を特徴とし、これにより、電子放出分布像とSTM像を同時に取得することを可能するものである。
【0031】
本体となるSTMは、探針と試料の間に電圧Aを印加し、流れるトンネル電流を一定に保つように、探針を移動しその移動距離で二次元表面上にマッピングすることで試料表面のSTM像を得る装置である。このように、探針と試料の間に流れるトンネル電流を一定に保って試料表面のSTM像を得るモードを、本明細書では「定電流トンネルモード」(「STMモード」ともいう。)という。
【0032】
電子放出分布計測・ホールド手段の概要は、通常の定電流トンネルモードのバイアス電圧と電子放出が可能なバイアス電圧を切り換えて印加するバイアス電圧印加回路と、電子放出が可能なバイアス電圧を試料に印加している際は、電流に応じた探針の移動をしないように保持する二系統のサンプルホールド回路を設け、タイミング発生回路により、定電流トンネルモードと、電子放出分布像を得るモードである電子放出分布計測モード(「FEモード」ともいう。)を交互に切り替えることのできる手段である。
【0033】
電子放出分布計測・ホールド手段によって、定電流トンネルモードに切り替えている際には、探針と試料間で電圧Aを印加し設定した待機時間を経た後にトンネル電流を計測しフィードバック機能を用いて高さ情報を取得する処理を行いSTM像を得るとともに、その探針の高さ方向の位置を保持する処理を行う。
【0034】
そして電子放出分布計測・ホールド手段によって、探針の高さ方向の位置を保持した状態で電子放出分布計測モードに切り替え、この電子放出分布計測モードで電子放出を起こすに足るバイアス電圧(試料電圧)を印加する処理を行うとともに、そのバイアス電圧下で設定した待機時間を経た後に放出される電流によって電子放出分布像を得る。その後、再度、定電流トンネルモードにもどる。これにより電子放出分布像とSTM像を同時に取得することが可能となる測定方法を提供する。
【実施例】
【0035】
(全体構成)
図2は、本発明に係る電子放出分布測定装置の実施例を説明する図であり、電子放出分布測定装置1の回路ブロック図である。この実施例の電子放出分布測定装置1は、図2の回路ブロック図に示すように、基本となるSTMの主な構成要素として、検知部2とSTM制御回路3を備えている。さらに、本発明の特徴的な構成として、定電流トンネルモードと電子放出分布計測モードを切り換えて行うための電子放出分布計測・ホールド手段4を備えている。
【0036】
検知部2は、圧電体であるピエゾ素子5によって、試料に対して垂直に近づいたり離れたりすることのできる探針6を有する。探針6に対向して置かれる試料7には、配線8を介してSTM用バイアス電源9が接続され、STM用バイアス電圧(通常のSTMモード用のバイアス電圧)が印加される。STM用バイアス電源9は、予めSTM用バイアス電圧を所定の値に選択的に設定できるように構成されている。
【0037】
探針6にはプリアンプ10が接続されている。このプリアンプ10は、試料7と探針6間に流れる電流を電圧変換(単位:V/A)し、107~8倍に増幅する。このプリアンプ10の出力側は、後記する第1サンプルホールド回路11及び第2サンプルホールド回路12に接続されている。第1サンプルホールド回路11は、後記するログアンプ13に接続されている。
【0038】
プリアンプ10は具体的には、内部で二段階の増幅器が組み込まれている。即ち、探針6に接続された第1のプリアンプ14と、第1のプリアンプ14の出力側の分岐回路17にそれぞれ互いに並列に接続された第2のプリアンプ15及び第3のプリアンプ16から構成されている。
【0039】
第1のプリアンプ14は、探針6からのトンネル電流を10(V/A)倍に電流-電圧変換するものである。第2のプリアンプ15は、第1サンプルホールド回路11に接続されており、第1のプリアンプ14からの出力電圧をさらに10倍に増幅し、全体として10(V/A)倍に増幅を行う。この第2のプリアンプ15からの出力電圧を第1サンプルホールド回路11を介して STM制御回路3に入力し、探針6と試料7間の距離の高精度な制御を可能とする。さらに、フィードバック回路20の出力は、STM計測用の回路系18へ出力され、STM像を得ることができる。
【0040】
第3のプリアンプ16は、第1のプリアンプ14からの出力電圧を等倍に増幅し、全体として10(V/A)倍に増幅し、最大約1.5μAの放出電流を測定することが可能である。第3のプリアンプ16からの出力は、電子放出分布計測用の回路系19へ出力され電子放出電流として計測されて電子放出分布像を得ることができる。なお、電子放出分布像を得る回路系への出力は、増幅率を変更することにより多様な計測条件に対応させ適切な条件下での計測を実現することが可能である。
【0041】
STM制御回路3は、その入力側にログアンプ13が設けられ、その出力側にフィードバック回路20が接続されている。さらに、フィードバック回路20の出力側にはピエゾ駆動回路21が接続されており、その出力側がピエゾ素子5に接続されている。また、フィードバック回路20の出力側には、STM計測用の回路系18(フィードバック回路の出力に基づいて試料7表面の起伏を計測してSTM像を形成するSTM像形成部等)が接続されている。
【0042】
フィードバック回路20の出力は、試料7と探針6間に流れるトンネル電流を一定とするために、探針6をピエゾ素子5で制御するための出力となる。そして、この出力は、探針6の移動を決めるものであるが、この出力をSTM計測用の回路系18に出力して利用すれば、STM像を計測することができる。
【0043】
STM計測用の回路系18自体は、すでに周知のSTMにおいて使用されているものと同じ構成であり、電子放出分布計測用の回路系19もSTM計測用の回路系18とほぼ同じ構成であるが、以下において、これらを簡単に説明する。
【0044】
図3は、STM計測用の回路系18と電子放出分布計測用の回路系19を説明する図であり、実際はコンピュータ29が利用される。試料7の表面の水平方向の座標軸をX軸、Y軸とし、試料7の表面垂直方向をZ軸と定義する。図3において、XY制御用の位置情報(位置信号)を生成するXY位置情報生成部30と、STM像形成部31と、電子放出分布像形成部32が、コンピュータ29に設けられている(実際はコンピュータのCPUが機能して構成される)。
【0045】
STM像形成部31は、AD変換器33を介してフィードバック回路20に接続されており、電子放出分布像形成部32は、AD変換器34を介して第2サンプルホールド回路12に接続されている。そして、STM像形成部31及び電子放出分布像形成部32は、それぞれXY位置情報生成部30に接続されている。
【0046】
XY位置情報生成部30は、DA変換器35を介してXY方向ピエゾコントローラ36に接続されている。XY方向ピエゾコントローラ36は、探針6をXY方向に駆動するXY駆動用ピエゾ素子(探針6を試料に対して垂直に近づいたり離れたりするためのピエゾ素子5とは別途設けられたピエゾ素子)を制御するものである。
【0047】
以上の構成を示す図3において、STM計測用の回路系18は、AD変換器33と、コンピュータ29におけるSTM像形成部31及びXY位置情報生成部30とから成る。電子放出分布計測用の回路系19は、AD変換器34と、コンピュータ29における電子放出分布像形成部32及びXY位置情報生成部30とから成る。
【0048】
STMモードにおいては、STM計測用の回路系18は、フィードバック回路20の出力をAD変換器33を用いてデジタル値に変換する。そして、XY位置情報生成部30から出力される探針6をXY座標上で駆動するXY位置情報の信号に同期して、上記デジタル値をZ軸方向の位置情報として利用しマッピングを行い、二次元画像化してSTM像を作成(計測)するものである。
【0049】
また、FEモードにおいては、電子放出分布計測用の回路系19は、第2サンプルホールド回路12の出力をAD変換器34を用いてデジタル値に変換する。そして、XY位置情報生成部30から出力される探針6をXY座標上で駆動するXY位置情報の信号に同期して、上記デジタル値をZ軸方向の位置情報として利用しマッピングを行い、二次元画像化して電子放出分布像を作成(計測)するものである。
【0050】
(電子放出分布計測・ホールド手段)
電子放出分布計測・ホールド手段4は、サンプルホールド回路22と、タイミング信号発生器23とを備えている。さらに、電子放出分布計測・ホールド手段4は、後記するが、バイアス電圧印加回路を構成する切換スイッチ24とFE用バイアス電源25を備えている。サンプルホールド回路22は、プリアンプ10の出力側の分岐回路17に、第1サンプルホールド回路11と、第2サンプルホールド回路12が並列して設けられている。
【0051】
第1サンプルホールド回路11は、その出力側がログアンプ13に接続されている。第2サンプルホールド回路12は、その出力側が電子放出分布計測用の回路系19(電子放出分布像を計測する電子放出分布像形成回路等の手段)が接続されている。この電子放出分布像は、試料7と探針6間に流れる電流がプリアンプ10で電圧変換され、第2サンプルホールド回路12でサンプリングされて、このサンプリング出力により電子放出分布像が得られる。
【0052】
第1サンプルホールド回路11及び第2サンプルホールド回路12は、第1信号線26及び第2信号線27を介してタイミング信号発生器23に接続されている。タイミング信号発生器23は、発振器28に接続されており、この発振器28からの発振信号を利用して、第1サンプルホールド回路11及び第2サンプルホールド回路12をそれぞれ制御するSTMモードタイミング信号A及びFEモードタイミング信号Bを生成する。STMモードタイミング信号A及びFEモードタイミング信号Bは、それぞれサンプリング信号及びホールド信号から成る。
【0053】
そして、タイミング信号発生器23は、これらのSTMモードタイミング信号A及びFEモードタイミング信号Bを、第1サンプルホールド回路11及び第2サンプルホールド回路12にそれぞれ送信する。
【0054】
図4は、試料7に印加されるバイアス電圧と、第1サンプルホールド回路11へ入力されるSTMモードタイミング信号Aと、第2サンプルホールド回路12へ入力されるFEモードタイミング信号Bとの経時的な変化を関係的に示すタイミングチャートである。STMモードタイミング信号A及びFEモードタイミング信号Bは、それぞれ、図4に示すようなタイミングのサンプリング信号(図4中のHigh信号)とホールド信号(図4中のLow信号)に交互に変化する。
【0055】
第1サンプルホールド回路11及び第2サンプルホールド回路12は、それぞれサンプリング信号が加えられた場合は、その入力電圧(プリアンプ10の出力電圧)と同じ電圧を出力する。
【0056】
そして、第1サンプルホールド回路11及び第2サンプルホールド回路12は、それぞれホールド信号が加えられた場合は、直前のサンプリング信号の際の入力電圧を保持(ホールド)して、この入力電圧と同じ電圧を出力する。従って、ホールド信号が加えられた場合は、入力電圧(プリアンプ10の出力電圧)が変化しても、出力電圧には影響を与えない。
【0057】
電子放出分布計測・ホールド手段4には、 バイアス電圧印加回路の切換スイッチ24及びFE用バイアス電源25(STM用バイアス電源9より高い電圧を有する電源)が設けられている。FE用バイアス電源25は、切換スイッチ24を介して試料7にFE用バイアス電圧を印加するように接続されており、しかも予めFE用バイアス電圧を所定の値に選択的に設定できるように構成されている。
【0058】
バイアス電圧印加回路の切換スイッチ24は、タイミング信号発生器23に接続され、タイミング信号発生器23からのスイッチ切換信号Cにより切り換え動作が制御されている。この切り換え制御により、バイアス電圧印加回路において配線8を、STM用バイアス電源9とFE用バイアス電源25に選択的に切り換え、試料7にSTM用バイアス電圧又はFE用バイアス電圧を選択的に印加することができる。
【0059】
タイミング信号発生器23は、図4のタイミングチャートに示すように、バイアス電圧、STMモードタイミング信号A、及びFEモードタイミング信号Bが互いにそれぞれ同期するように、スイッチ切換信号C、STMモードタイミング信号A、及びFEモードタイミング信号Bを生成して、それぞれに出力する。
【0060】
図4のタイミングチャートにおいて、バイアス電圧は、(a)に示すように電子放出分布計測モードの際の高いFE用バイアス電圧Hと、STMモードの際の低いSTM用バイアス電圧Lが一定の周期で交互に印加されている。
【0061】
そして、第1サンプルホールド回路11へのSTMモードタイミング信号A及び第2サンプルホールド回路12へのFEモードタイミング信号Bは、それぞれ、(b)、(c)に示すように、周期的に一定のサンプリング信号とホールド信号が加わっている。これらのバイアス電圧、STMモードタイミング信号A及びFEモードタイミング信号Bの切換わり周波数は、2KHz程度である。なお、この周波数は測定条件により可変できる構成としている。
【0062】
本発明では、タイミング信号発生器は、次のようなタイミングで切換信号C、STMモードタイミング信号A及びFEモードタイミング信号Bを生成し出力している。図4のタイミングチャートに示すように、STMモードタイミング信号Aでは、STM用バイアス電圧Lのタイミングのみサンプリング信号(High信号)が加わり、FE用バイアス電圧のタイミングではホールド信号(Low信号)しか加わらない。
【0063】
逆に、FEモードタイミング信号Bでは、FE用バイアス電圧のタイミングのみサンプリング信号(High信号)が加わり、STM用バイアス電圧のタイミングではホールド信号(Low信号)しか加わらない。
【0064】
(作用)
以上の構成から成る実施例の電子放出分布測定装置1の作用(動作)を説明する。タイミング信号発生器23は、スイッチ切換信号を切換スイッチ24に送り、切換スイッチ24を、STM用バイアス電源9とSTM用バイアス電源9に交互に接続されるように切り換え、図4(a)に示すように、STM用バイアス電圧又はFE用バイアス電圧を試料7に交互に印加する。
【0065】
さらに、このバイアス電圧に図4に示すように同期して、タイミング信号発生器23は、第1サンプルホールド回路11及び第2サンプルホールド回路12にSTMモードタイミング信号A及びFEモードタイミング信号Bを送り、それぞれサンプリング信号とホールド信号を入力させる。
【0066】
STMモード:
STMモードにおける動作の概要をまず説明する。試料7にSTM用バイアス電圧(低バイアス電圧)が印加されると、試料7と探針6間にトンネル電流が流れる。探針6は試料7上を走査しているので試料7の起伏により探針6と試料7表面の距離が変化すると、流れるトンネル電流が変化する。
【0067】
その変化を無くすようにフィードバック回路20を介してピエゾ素子5を用い探針6を移動させ、トンネル電流が予め設定されている値になるよう探針6と試料7の間隔を調節する。その際の移動距離を二次元表面上にマッピングすることで試料7表面のSTM像を得ることができる。
【0068】
この動作を、図4においてさらに詳細に説明する。図4の(イ)の期間では、STM用バイアス電圧Lが試料7に印加され、第1サンプルホールド回路11にSTMモードタイミング信号Aとしてサンプリング信号が入力され、第2サンプルホールド回路12にFEモードタイミング信号Bとしてホールド信号が入力されている。
【0069】
すると、試料7に印加されたSTM用バイアス電圧によって、試料7と探針6との間に流れるトンネル電流がプリアンプ10で電圧に変換され、これが第1サンプルホールド回路11に入力され同じ値の電圧として出力される。この出力電圧は、ログアンプ13で増幅されて、フィードバック回路20に入力されて、ここで試料7と探針6との間に流れるトンネル電流が一定となるようなフィードバック電圧を生成する。
【0070】
このフィードバック電圧は、ピエゾ駆動回路21を介してピエゾ素子5に印加され、ピエゾ素子5を移動して試料7と探針6との間に流れるトンネル電流が一定となるようにピエゾ素子5を試料7に対して移動する。他方、フィードバック電圧は、探針6の移動相当電圧として、STM計測用の回路系18へ出力され、STM像の計測(STM像)の生成に供せられる。
【0071】
第1サンプルホールド回路11に加えられるSTMモードタイミング信号Aが、サンプル信号からホールド信号に変わる(図4(b)の期間(イ)参照)と、第1サンプルホールド回路11からの出力は、その変わる直前の出力電圧が次のサンプル信号が加わるまで保持(ホールド)され、ピエゾ素子5も移動しない状態に維持される。
【0072】
電子放出分布計測モード:
電子放出分布計測モードの動作の概要をまず説明する。タイミング信号発生器23からのスイッチ切換信号によって、切換スイッチ24がFE用バイアス電源25に(高バイアス電源)に接続され、図4の(ロ)の期間に示すように、バイアス電圧としてFE用バイアス電圧Hが試料7に印加され、第1サンプルホールド回路11にSTMモードタイミング信号Aとしてホールド信号が入力され、第2サンプルホールド回路12にFEモードタイミング信号Bとしてサンプリング信号が入力される。
【0073】
すると、試料7に印加されたFE用バイアス電圧によって、試料7と探針6との間には、STMモードのトンネル電流に比べてきわめて大きなフィールドエミッション電流が流れる。このフィールドエミッション電流は、プリアンプ10でSTMモードの場合に比べて大きな電圧として変換される。プリアンプ10からの出力電圧が第1サンプルホールド回路11と第2サンプルホールド回路12に入力される。
【0074】
ところで、このように試料7と探針6との間に大きなフィールドエミッション電流が流れると、仮にSTMモードであれば、出力電圧は、STM制御回路3により探針6を試料7から離れるように大きく移動する。
【0075】
しかしながら、電子放出分布計測モードでは、プリアンプ10からの出力電圧が第1サンプルホールド回路11に入力されても、第1サンプルホールド回路11は、ホールド信号が加えられておりホールド状態が維持されているから、第1サンプルホールド回路11の出力は変わらず、プリアンプ10から大きな電圧は出力しない。
【0076】
一方、第2サンプルホールド回路12にはFEモードタイミング信号Bとしてサンプリング信号を加えられており、プリアンプ10からの大きな電圧が入力すると、この入力と同じ大きな電圧を出力し、この出力値に基づいて電子放出分布計測用の回路系19で、電子放出電流が計測され(例えば、電子放出分布像形成装置により)、電子放出分布像が得られる。
【0077】
図4の(ロ)の期間において、第2サンプルホールド回路12に加えられるSTMモードタイミング信号Aが、サンプル信号からホールド信号に変わると、第2サンプルホールド回路12からの出力は、その変わる直前の大きな出力電圧が次のサンプル信号が加わるまで保持(ホールド)される。
【0078】
よって、保持された大きな出力電圧の状態で維持され、しかも第1サンプルホールド回路11がその出力電圧をホールドしているから、ピエゾ素子5は移動しないように維持される。このため、電子放出分布計測モードでは、電子放出分布像とともに、STM像が計測(生成)される。
【0079】
図4(ハ)の期間では、図4(イ)の期間と同じ動作が行われ、試料7にはSTM用バイアス電圧が印加され、第2サンプルホールド回路12はホールド動作を維持するが、第1サンプルホールド回路11はサンプル動作を行い、試料7表面の起伏に応じて試料7と探針6との間に流れるトンネル電流が一定となるように、STM制御回路3は動作するとともに、STM像が計測(生成)がされる。
【0080】
図4(ニ)での期間では、図4(ロ)と同じ動作が行われ、試料7にはSTM用バイアス電圧が印加され、第1サンプルホールド回路11及び探針6はホールド状態を維持するが、第2サンプルホールド回路12サンプル動作を行い、試料7表面の起伏に応じて試料7と探針6との間にフィールドエミッション電流が流れ、この電流がプリアンプ10で変換された大きな電圧に基づいて、電子放出分布像が計測(生成)される。
【0081】
以上、説明するとおり、電子放出分布測定装置1 によれば、STMモードとなる期間とFEモードとなる期間がほぼ2KHzという周波数で交互に切り替わり、この結果、STM像と電子放出分布像が同時に観察できる。
【0082】
しかも、試料7にFE用バイアス電圧が印加され、試料7と探針6との間に流れる電流はSTMモードに比べてきわめて大きな電流が流れても、この時は第1サンプルホールド回路11はホールド状態で、STM制御回路により探針6が大きく移動するようなことなく、きわめて精度の高いSTM像及び電子放出分布像の計測(生成)ができる。
【0083】
(実験例)
本発明の実施例の実験例として、電子放出分布測定装置1を用いて測定実験を行ったので以下に説明する。この実験例では、Si基板上にスパッタ装置を用いて堆積したHfC多結晶薄膜を試料とし、その電子放出分布像の測定を行った。試料であるHfC多結晶薄膜表面は、大気により汚染されているため、測定に先立ちまず、アルゴンイオンスパッタ装置を用い試料の最表面の清浄化を行った。
【0084】
探針6は、電界研磨を行い作製したタングステンを用いた。STM用バイアス電圧及びFE用バイアス電圧の設定値、並びに設定トンネル電流は任意であり、測定対象とする試料7により適宜設定する。本実験例では、STM用バイアス電圧は-1.0Vに設定し、トンネル電流は5.0nAに設定した。そして、FE用バイアス電圧を-7.0Vに設定し計測を行った。
【0085】
本実験例では、電子放出分布測定装置1でSTM像及び電子放出分布像が同時に得られたが、そのSTM像を図5に示し、電子放出分布像を図6に示す。図5に示すSTM像における明るい部分は、形状の高さが高い部分である。そして、図6に示す電子放出分布像における明るい部分は、電子放出量が多い部分である。この図6によって、この試料7では、粒塊の境界から多くの電子が放出されていることがはじめて確認された。
【0086】
以上、本発明に係る電子放出分布測定装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のとおりの本発明に係る電子放出分布測定装置によれば、走査型トンネル顕微鏡などの探針と試料との間に流れるトンネル電流等を検出あるいは制御する機器による電子放出分布の測定用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の原理を説明する図であり、(a)はトンネル電流の概念図で、(b)は電子放出電流の概念図である。
【図2】(a)は本発明に係る電子放出分布測定装置の実施例を説明する図であり、電子放出分布測定装置の回路ブロック図であり、(b)はその一部の詳細図である。
【図3】本発明の実施例STM計測用の回路系と電子放出分布計測用の回路系を説明する図である。
【図4】試料に印加されるバイアス電圧と、第1サンプルホールド回路及び第2サンプルホールド回路へ入力されるSTMモードタイミング信号及びFEモードタイミング信号との経時的な変化を関係的に示すタイミングチャートである。
【図5】実験例で得られたSTM像である。
【図6】実験例で得られた電子放出分布像である。
【符号の説明】
【0089】
1 電子放出分布測定装置
2 検知部
3 STM制御回路
4 電子放出分布計測・ホールド手段
5 ピエゾ素子
6 探針
7 試料
8 配線
9 STM用バイアス電源
10 プリアンプ
11 第1サンプルホールド回路
12 第2サンプルホールド回路
13 ログアンプ
14 第1のプリアンプ
15 第2のプリアンプ
16 第3のプリアンプ
17 分岐回路
18 STM計測用の回路系
19 電子放出分布計測用の回路系
20 フィードバック回路
21 ピエゾ駆動回路
22 サンプルホールド回路
23 タイミング信号発生器
24 切換スイッチ
25 FE用バイアス電源
26 第1信号線
27 第2信号線
28 発振器
29 コンピュータ
30 XY位置情報生成部
31 STM像形成部
32 電子放出分布像形成部
33 AD変換器
34 AD変換器
35 DA変換器
36 XY方向ピエゾコントローラ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5