TOP > 国内特許検索 > 生体高分子検出方法およびバイオチップ > 明細書

明細書 :生体高分子検出方法およびバイオチップ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4374230号 (P4374230)
公開番号 特開2005-114472 (P2005-114472A)
登録日 平成21年9月11日(2009.9.11)
発行日 平成21年12月2日(2009.12.2)
公開日 平成17年4月28日(2005.4.28)
発明の名称または考案の名称 生体高分子検出方法およびバイオチップ
国際特許分類 G01N  33/53        (2006.01)
G01N  21/77        (2006.01)
G01N  21/78        (2006.01)
G01N  33/553       (2006.01)
G01N  33/58        (2006.01)
G01N  37/00        (2006.01)
FI G01N 33/53 M
G01N 33/53 D
G01N 21/77 Z
G01N 21/78 C
G01N 33/553
G01N 33/58 A
G01N 37/00 102
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2003-347072 (P2003-347072)
出願日 平成15年10月6日(2003.10.6)
審査請求日 平成18年4月10日(2006.4.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
【識別番号】504202472
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
発明者または考案者 【氏名】嶋本 伸雄
【氏名】須佐 太樹
【氏名】福島 和久
個別代理人の代理人 【識別番号】100078237、【弁理士】、【氏名又は名称】井出 直孝
【識別番号】100083518、【弁理士】、【氏名又は名称】下平 俊直
審査官 【審査官】白形 由美子
参考文献・文献 特開2003-262639(JP,A)
国際公開第02/010450(WO,A1)
調査した分野 G01N 33/46-33/98
G01N 37/00
特許請求の範囲 【請求項1】
ターゲット生体高分子を基板側に捕捉してターゲット生体高分子を検出する生体高分子検出方法であって、
蛍光標識したターゲット生体高分子と、プローブ生体高分子およびビーズのID認識用のポリクローナル抗体またはアドレスプローブペプチドまたは生体高分子であるアドレスリンカーを表面に固定したビーズとを溶液中に入れて、ターゲット生体高分子とプローブ生体高分子をハイブリダイズさせた後、基板上に固定の前記アドレスリンカーとは抗原・抗体の関係にあるアドレスプローブペプチドまたは生体高分子またはポリクローナル抗体で前記アドレスリンカーを抗原・抗体反応により捕捉することを特徴とする生体高分子検出方法。
【請求項2】
前記ターゲット生体高分子とビーズをバッファ溶液と共に容器中に入れ、物理的もしくは電気的もしくは化学的手段により攪拌することを特徴とする請求項1に記載の生体高分子検出方法。
【請求項3】
前記ビーズとして磁気ビーズもしくは金属またはプラスチックを用いたビーズを使用したことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の生体高分子検出方法。
【請求項4】
前記ターゲット生体高分子は、DNAからの転写産物であるRNA、またはcDNA、またはタンパク質であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の生体高分子検出方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、DNAやRNA(RNAはDNAからの転写産物、すなわちmRNAまたはrRNAまたはtRNAまたは低分子RNAなどである)、タンパク質などの生体高分子を検出する方法およびそれに用いられるバイオチップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、マイクロアレイチップを用いて生体高分子(以下DNAを例にとる)を解読する技術はよく知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、この種のDNAのマイクロアレイチップは通常次のように形成され、DNAを解読することができるようになっている。
【0003】
ガラス(あるいはプラスチック)基板上に、ターゲットとなるmRNA(cDNA)と相補的配列をもつプローブDNAをアレイ状にスポッティングして固定する。その上に、ターゲットとなるmRNA(cDNA)に蛍光ラベルを付けたものを滴下する。このとき、相補的配列同士のプローブとターゲットはハイブリダイズして結合するが、そうでないものは結合しない。
【0004】
十分ハイブリダイゼーションが進行した後、基板上をウォッシングバッファ液で洗浄し、ハイブリダイズしなかったターゲットを洗い流す。次に、読取装置で光学的に蛍光ラベルの位置および光量を読み取ることにより、ターゲットとなるmRNA(cDNA)の有無およびその量を測定することができる(例えば、特許文献2参照)。
【0005】

【特許文献1】特開2000-131237号公報(第2頁、図1-3)
【特許文献2】特開2000-235035号公報(第2頁、図7-9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のDNAマイクロアレイは上記のような一連のプロトコルにより目的とするデータが得られるが、実際には各段階のプロトコル上で色々な問題点を抱えている。その結果、得られたデータには確かさ、再現性、繰り返し特性、感度などの課題が多く、それゆえ実験データの標準化が進まず、更にはコンテンツ面での問題点と相俟って臨床現場でDNAマイクロアレイが普及するには至っていない。
色々な問題点のうち特に問題となる項目は、S/N比、検出感度、検出時間、確からしさ、再現性である。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するもので、S/N比の向上、検出感度の向上、検出時間の短縮を図った抗原抗体反応利用の生体高分子検出方法およびその方法に用いられるバイオチップを実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を達成するために、本発明では、
ターゲット生体高分子を基板側に捕捉してターゲット生体高分子を検出する生体高分子検出方法であって、
蛍光標識したターゲット生体高分子と、プローブ生体高分子およびビーズのID認識用のポリクローナル抗体またはアドレスプローブペプチドまたは生体高分子であるアドレスリンカーを表面に固定したビーズとを溶液中に入れて、ターゲット生体高分子とプローブ生体高分子をハイブリダイズさせた後、基板上に固定の前記アドレスリンカーとは抗原・抗体の関係にあるアドレスプローブペプチドまたは生体高分子またはポリクローナル抗体で前記アドレスリンカーを抗原・抗体反応により捕捉することを特徴とする。
【0009】
本発明ではビーズを使用しているため、ビーズの表面積は従来のDNAチップの表面積に比べ格段に大きくなり、そのビーズ表面に沢山のプローブ生体高分子を固定することができ、これによりビーズ上のプローブ生体高分子と溶液中のターゲット生体高分子とが邂逅する機会が格段に高まり、ターゲット生体高分子を極めて高い感度で捕捉することができる。一般にDNAアレイの約1000倍以上の感度である。
ビーズには、さらにID認識用のアドレスリンカーが固定されている。アドレスリンカーとしては、ポリクローナル抗体またはアドレスプローブペプチドまたは生体高分子が使用される。
【0010】
一方、基板上のサイトには前記アドレスリンカーと抗原・抗体の関係にある(DNAとDNAのハイブリダイゼーションに比較して格段に強力な結合力がある)アドレスプローブペプチドまたは生体高分子またはポリクローナル抗体が固定されている。基板に前記ビーズを注ぐと、抗原・抗体反応によりアドレスリンカーはアドレスプローブペプチドまたは生体高分子またはポリクローナル抗体に強力な結合力で捕捉される。
このようにして、高S/N比、高検出感度でターゲット生体高分子を基板上に捕捉することができる。
【0011】
この場合、請求項2のように、ターゲット生体高分子とビーズをバッファ溶液と共に容器中に入れ、物理的もしくは電気的もしくは化学的手段により攪拌すると、従来方式が単にブラウン運動にて相補的プローブを探すことに比べ、本発明では他からのエネルギーを得て相補的プローブを探すことになるので、邂逅する機会が格段に高まり、その結果プローブ生体高分子とターゲット生体高分子のハイブリダイゼーションを高速化することができる。
【0012】
ビーズとしては、請求項3のように磁気ビーズ、もしくは金属またはプラスチックを用いたビーズを使用する。また、ターゲット生体高分子は、請求項4のようにDNAからの転写産物であるRNA(mRNAまたはrRNAまたはtRNAまたは低分子RNA)、またはcDNA、またはタンパク質である。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のような効果がある。
(1)ビーズは表面積が大きいため沢山のプローブDNAを結合でき、したがって溶液中の微量のターゲット生体高分子を極めて高い感度(一般のDNAアレイの約1000倍以上の感度)で容易に捕捉することができる。
(2)1つのビーズに結合した沢山のプローブDNAにターゲットDNAをハイブリダイズさせ結合させ得るので、容易にS/N比を上げることができる。
【0015】
(3)1つのビーズに沢山のプローブDNAを結合していることと、溶液を攪拌することにより、ターゲットDNAとプローブDNAとの邂逅の機会が多くなり、検出時間(主としてハイブリダイゼーションに要する時間)を容易に短縮することができると同時に、極めて高い感度でターゲットDNAとプローブDNAとをハイブリダイズさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明では、ビーズの良いところとDNAアレイの良いところを組合わせている。ビーズの良いところは、表面積が大きいためプローブDNAを沢山結合しておくことができ(平板状のサイトにプローブDNAを結合するのに比して格段に多い)、しかも溶液中を自由に移動することができるので、溶液中のターゲット生体高分子と邂逅する機会が飛躍的に向上し、その結果溶液中の微量のターゲットDNAを極めて高い感度で捕捉することができる(一般にDNAアレイの約1000倍以上である)点である。
【0017】
しかしながら、一方で、各ビーズのIDすなわちどのビーズにどのDNAが結合したかが分らないという欠点がある。このビーズのIDを認識するため、通常、カラービーズを使ったり、2色の光源で識別したりと色々な試みがなされているが、識別できる数が少ないという問題と、装置が複雑化、高額化、大型化し、そして取り扱いが難しくなるという問題がある。本発明ではビーズ上とアレイ上のタンパク質の抗原・抗体反応により識別できるようにして、この問題をうまく解決している。
【0018】
以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。図1ないし図3は本発明に係る生体高分子検出方法の一例の原理を説明する図である。なお、ここでは、生体高分子がDNAである場合について説明する。
図1ないし図3は本発明に係る生体高分子検出方法の一例の原理を説明する図である。なお、ここでは、生体高分子がDNAである場合について説明する。
【0019】
図1に示すように、ビーズ1の表面にプローブDNA2を固定する。ビーズとしては、磁気ビーズや金属もしくはプラスチックを用いたビーズなどが使用できる。
ビーズ1の表面には、それに加えてビーズの識別情報(ID)を認識するためのアドレスリンカー3を固定する。アドレスリンカー3としては、アドレス判定用抗原もしくはアドレス判定用抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)が使用される。
他方、ターゲットとなるRNAあるいはcDNAあるいはタンパク質(以下これらを代表してRNAという)4には、蛍光タグ5を付加(標識)する。
【0020】
上記のようにして作成されたビーズ1とターゲットRNA4、そしてバッファ溶液6を共に容器7中に入れ、必要に応じて物理的もしくは電気的もしくは化学的手段によって攪拌する。その結果、ビーズ1表面のプローブDNA2には、これと相補的関係にあるターゲットRNA4が結合する。
【0021】
次に、前記結合したビーズを図2に示すバイオチップ10のアレイ状のサイト11上に注ぐ。なお、同図(a)は側面図、同図(b)は平面図である。
サイト11上には、ビーズ1表面に固定されたID認識用アドレスリンカー3を抗原・抗体反応により捕捉するアドレスプローブタンパク質12があらかじめ固定してある。なお、図3は図2の丸囲み部分Aの拡大図である。
【0022】
アドレスリンカー3とアドレスプローブタンパク質12は抗原・抗体反応により結合する。ビーズ1がどのプローブサイト11のアドレスプローブタンパク質12に結合したかは蛍光ラベル5によって認識することができる。蛍光ラベルは蛍光読取装置(図示せず)により容易に検出できる。
このようにしてターゲットRNA4の存在およびその量を効率よく測定することができる。
【0023】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【0024】
例えば、アドレスリンカーとしては、ポリクローナル抗体の他にアドレスプローブペプチドまたは生体高分子を用いることができる。この場合、これに対応して基板上にはアドレスリンカーとは抗原・抗体の関係にあるアドレスプローブペプチドまたは生体高分子またはポリクローナル抗体のいずれかを固定する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る生体高分子検出方法の一例の原理を説明する図である。
【図2】本発明に係る生体高分子検出方法の一例の原理を説明する他の説明図である。
【図3】本発明に係る生体高分子検出方法の一例の原理を説明する他の説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ビーズ
2 プローブタンパク
3 アドレスリンカー
4 ターゲットRNA
5 蛍光タグ
6 溶液
7 容器
10 基板
11 サイト
12 アドレスプローブタンパク
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2