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明細書 :マルチウェルプレート

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4461267号 (P4461267)
公開番号 特開2005-118013 (P2005-118013A)
登録日 平成22年2月26日(2010.2.26)
発行日 平成22年5月12日(2010.5.12)
公開日 平成17年5月12日(2005.5.12)
発明の名称または考案の名称 マルチウェルプレート
国際特許分類 C12M   1/18        (2006.01)
C12M   3/00        (2006.01)
FI C12M 1/18
C12M 3/00 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 6
出願番号 特願2003-359534 (P2003-359534)
出願日 平成15年10月20日(2003.10.20)
審査請求日 平成18年10月16日(2006.10.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504202472
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
【識別番号】503385060
【氏名又は名称】カジックス株式会社
発明者または考案者 【氏名】西村 昭子
【氏名】木村 正弥
【氏名】梶谷 隆文
個別代理人の代理人 【識別番号】100085486、【弁理士】、【氏名又は名称】廣瀬 孝美
審査官 【審査官】光本 美奈子
参考文献・文献 特開平10-257887(JP,A)
特開2002-159284(JP,A)
特開2005-185272(JP,A)
調査した分野 C12M 1/00~3/10
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)耐水性を有する基材シート、(b)複数の透孔を有し、基材シートに貼着された、耐水性を有するスペーサーシート、(c)スペーサーシートの透孔を介して基材シートに貼着された吸水性素材、及び(d)スペーサーシート上を覆うカバーシートからなることを特徴とするマルチウェルプレート。
【請求項2】
包装容器に密封収容されている請求項1記載のマルチウェルプレート。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はマルチウェルプレートに関する。より詳細には、微生物(菌体)、ファージ、DNA、細胞などの運搬、保管などに有用な薄型マルチウェルプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、新薬開発のソースとして微生物の産生する物質が用いられており、そのような有用産物を産生する微生物の探索が行われている。
また、昨今の遺伝子組換技術の発展により、有用物質の遺伝子を導入した微生物(形質転換体)を培養することにより、有用産物の生産が行われるようになっている。
更に、食品工業では、従前より微生物を用いた発酵により種々の食品の製造が行われてきた。
このように、医薬、生化学、食品、化学などの分野では、微生物が重要な働きをしており、クローン化された有用微生物は貴重な資源であることから慎重に保管されている。このような微生物は、通常、穿刺培養法、冷凍法、凍結乾燥法などにより保存されている。
上記の微生物を保管している研究機関などが、他の研究機関の求めに応じて、当該微生物を供給する際に微生物の運搬が行われる。微生物の運搬は、通常、微生物培養液を濾紙にスポットし、包装用ラップで包んで運搬したり、アンプルに収納した状態で運搬されている。また、微生物の数が多い場合には、マイクロタイタープレートに培養液を分注し、ビニールシートでシールして運搬したり、寒天培地にスポット植菌して運搬している。
しかし、、濾紙に吸着させて運搬する方法では雑菌が混入し易いし、運搬する微生物の数が多い場合には濾紙の枚数が増えて非効率的である。また、マイクロタイタープレート、寒天培地又はアンプルで運搬する方法では、容器の破損の問題があると共に容器が破損した場合には微生物汚染の問題もある。更に、運搬物が嵩張ることも大きな問題点である。
なお、微生物用のマルチウェルプレートしては、特開2001-218575号公報、特開2002-199874号公報などに記載のプレートが知られている。

【特許文献1】特開2001-218575号公報
【特許文献2】特開2002-199874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、多数の微生物を簡便に且つ安全に運搬・保管しえる薄型マルチウェルプレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のマルチウェルプレートは、(a)耐水性を有する基材シート、(b)複数の透孔を有し、基材シートに貼着されたスペーサーシート、(c)スペーサーシートの透孔を介して基材シートに貼着された吸水性素材、及び(d) ペーサーシート上を覆うカバーシートからなる。
上記のマルチウェルプレートは、全体の厚みが3mm以下、通常は1mm以下、素材の選択によっては0.5mm以下とすることができ、超薄型のマルチウェルプレートである。
【発明の効果】
【0005】
本発明のマルチウェルプレートによれば、一枚のプレートで多数の微生物(又は動物細胞)を運搬することができるので極めて効率的であり、しかも運搬容器の破損による微生物の損失や微生物汚染の問題も解消でき、更に超薄型であるので嵩張らないという特長を有し、その上安価に製造できるという格別の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
本発明の一実施例を図1及び2に示す。図1は本発明のマルチウェルプレートの平面概略図であり、図2は図1のA-A線端面概念図である。図1及び図2において、1は基材シート、2はスペーサーシート、3は透孔、4は吸水性素材、5はカバーシートである。
なお、図1及び図2は、本発明の一例として96ウェルのマルチウェルプレートを示しているが、ウェルの数は96に限定されるものではなく、所望に応じて適宜な数でよく、例えば6,12、24、48、384などが例示される。
また、本明細書において、シートはフィルムを含む概念である。
【0007】
図1及び図2において、基材シート1は耐水性を有する材料、好ましくはプラスチック素材からなり、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、シリコーン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)などが例示される。
基材シート1の厚さは特に限定されず、スペーサーシート2などを保持できる強度を有すればよく、通常50~100μm程度のシートが用いられる。
【0008】
基材シート1の上面には接着剤が塗布されており、係る接着剤層(図示は省略)を介してスペーサーシート2が貼着されている。スペーサーシート2には、透孔3が一列8個で12列形成されており、合計96個の透孔3が設けられている。
透孔3の形状は円筒形にされ、径としては通常直径5mm程度とされるがこの径に限定されるものではない。透孔3は通常円筒形とされるが、係る形状に特定されず、断面が矩形の孔であってもよい。なお、前述のように、係る透孔3はウェルを形成するものであって、その数は96個に限定されるものではない。
スペーサーシート2の材質は特に限定されないが、通常耐水性を有するプラスチック素材が用いられ、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、シリコーン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)などが例示される。スペーサーシート2の厚さは特に限定されず、通常300~400μm程度のシートが用いられる。
【0009】
基材シート1に貼着されたスペーサーシート2の透孔3内には、吸水性素材4が基材シート1に貼着されている。吸水性素材4は、微生物含有液を滲み込ませ、微生物を保持できる材質であれば特に限定されないが、繊維状素材が好ましく、例えば濾紙、不織布、フエルトなどが例示される。
吸水性素材4の形状は、透孔3に適合するような形状であればよく、前述のように透孔3が直径5mmとされる場合には、吸水性素材4は直径3mm程度に調製される。吸水性素材4は透孔3内に収納され、吸水性素材4の上端が透孔3と略同じ高さ又はやや突出する程度に調製される。
【0010】
吸水性素材4を収納したスペーサーシート2は、その上面をカバーシート5で被覆する。カバーシート5の材質・厚みは特に限定されないが、通常、自己粘着性を有するプラスチックシートが好ましく、厚さ100μm程度とされる。
【0011】
上記のようにカバーシート5で被覆された本発明のマルチウェルプレートは、密封可能の容器(例えば、ポリ袋、ポリ容器等)に収容し、密封するの好ましい。容器としては、ポリ袋が簡便で好ましい。
【0012】
以下、本発明のマルチウェルプレートの使用方法を説明する。
上記のように、カバーシート5で被覆され、密封容器に収容されたマルチウェルプレートは、慣用の滅菌手段(例えば、電子線滅菌、ガンマー線滅菌、高圧蒸気滅菌等)で滅菌する。この滅菌状態で、使用者に供給される。
使用者は、クリーンルームで容器を開封し、本発明のマルチウェルプレートを取り出し、取り出した後、カバーシート5を剥離する。
次いで、上面が開放されたスペーサーシート2の透孔3内の吸水性素材4に微生物含有液を滴下し、滲み込ませて微生物(菌株)を保持する。微生物含有液は、通常、定常期まで培養・保存されている微生物を慣用の媒体(例えば、生理食塩水等)に分散させた液が用いられる。微生物含有液の滴下量は適宜選択することができるが、通常10μl程度とされる。
【0013】
なお、本発明のマルチウェルプレートには複数の吸水性素材4が設けられているので、それぞれに異なった微生物(菌株)を保持することができる。即ち、添付図面の96穴マルチウェルプレートであれば、96種類の微生物を保持することができる。
かくして、各吸水性素材4に微生物を保持した後、カバーシート5でスペーサーシート2の上面を覆う。カバーシート5で覆うことにより、雑菌のコンタミネーションを防止すると共に孔相互間の混入を防ぐことができる。
【0014】
カバーシート5で被覆した後、前述の容器(好ましくはポリ袋)に収納し、開口部を慣用の密封手段(例えば、ヒートシール、密封チャック等)で密封し、運搬に供する。
運搬された本発明のマルチウェルプレートは、受け取った使用者がクリーンルームで開封し、カバーシート5を剥離した後、慣用の固型培地上にレプリカすることにより、プレート上の全微生物を一度に培養することができる。
【0015】
なお、上記の微生物については特に限定されず、例えば大腸菌、枯草菌、酵母などが例示される。また、当該微生物は、組換遺伝子を含む形質転換体であってもよく、更には組換遺伝子を有するファージが感染した微生物であってもよい。更に、凍結保存が可能な微生物においては、適当な凍結保護剤(例えば、DMSO等)を含む微生物含有液を、前記吸水性素材4に滴下し、以下は上記と同様に密封した後、凍結処理をしてもよい。係る態様によれば、凍結状態で微生物を保管することが可能になる。
【0016】
本発明のマルチウェルプレートは、微生物の運搬に供される他、動物細胞の運搬にも利用可能である。動物細胞は通常足場依存性を有するが、前記の吸水性素材4が動物細胞の足場として機能する。従って、動物細胞含有液を、前記の吸水性素材4に滴下し、以下は上記と同様に密封することにより、動物細胞の運搬に供することができる。この際、当該動物細胞含有液に凍結保護剤を添加することにより、凍結状態で動物細胞を運搬し、また保存することも可能である。
動物細胞としては、慣用の株化細胞の他、組換遺伝子を含む動物細胞(形質転換体)であってもよい。係る形質転換体の調製に用いられる動物細胞としては、遺伝子組換技術で繁用される動物細胞、例えば、マウス線維芽細胞C127、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO、サルCOS細胞などが例示される。
【実施例】
【0017】
以下、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。
実施例1
基材シートとしてPP製シート(電気化学工業社製、85mm×145mm×80μm)を用い、その一面にシリコン系接着剤を均一に塗布した。
一方、スペーサーシートとしてPP製シート(タキロン社製、85mm×145mm×350μm)を用い、それに直径約5mmの透孔を、図1に示されるように一列8個で12列の等間隔で設けた。このスペーサーシートを、上記の接着剤層の上に重ね合わせて貼着した。
次いで、市販濾紙(厚さ約350μm)を直径約3mmの円形に裁断したものを用意し、この濾紙を上記の透孔に一枚ずつ加え、押圧することにより基材シートに貼着させた。
更に、スペーサーシートの上面を、PE製カバーシート(FSK社製)で被覆した後、ポリ袋(220mm×95mm)に収容し、開口部をヒートシールした後、電子線滅菌して、本発明のマルチウェルプレートを調製した。
【産業上の利用可能性】
【0018】
有用微生物や動物細胞の運搬・保存に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のマルチウェルプレートの一例を示す平面概略図である。
【図2】図1のA-A線端面概念図である。
【符号の説明】
【0020】
1 基材シート
2 スペーサーシート
3 透孔
4 吸水性素材
5 カバーシート
図面
【図1】
0
【図2】
1