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明細書 :観察対象の自動検出方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4344862号 (P4344862)
公開番号 特開2007-017345 (P2007-017345A)
登録日 平成21年7月24日(2009.7.24)
発行日 平成21年10月14日(2009.10.14)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
発明の名称または考案の名称 観察対象の自動検出方法及び装置
国際特許分類 G01N  15/14        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
G01N  33/483       (2006.01)
G01N  21/27        (2006.01)
G02B  21/00        (2006.01)
FI G01N 15/14 B
G01N 33/50 P
G01N 33/483 C
G01N 21/27 A
G02B 21/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2005-200524 (P2005-200524)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
審査請求日 平成19年5月7日(2007.5.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】古川 章
個別代理人の代理人 【識別番号】100080458、【弁理士】、【氏名又は名称】高矢 諭
【識別番号】100076129、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 圭佑
【識別番号】100089015、【弁理士】、【氏名又は名称】牧野 剛博
審査官 【審査官】渡▲辺▼ 純也
参考文献・文献 特開平03-291565(JP,A)
特開2004-054347(JP,A)
特開平10-289318(JP,A)
特開平03-123860(JP,A)
特開平05-180832(JP,A)
特開2002-133396(JP,A)
調査した分野 G01N 15/00 ~ 15/14
G01N 21/27
G01N 33/483
G01N 33/50
G02B 21/00
特許請求の範囲 【請求項1】
画像から観察対象の集合体を選別して表示するための観察対象の自動検出方法において、
二値化前に、観察対象と同程度の大きさの構造要素を用いて、画像全体に接続処理を施すことにより、観察対象と同程度の大きさの小粒子を除去する手順と、
前記接続処理を施した結果に収縮処理を加えた画像を原画像から減算することにより、前記接続処理で消失した小粒子を抽出する手順と、
これを二値化する手順と、
二値化後の画像に対して、一つの集合体内に散らばる観察対象の間隙を埋めることができる程度の大きさの構造要素を用いて、前記抽出された小粒子を接続処理により結合する手順と、
得られた画像に切断処理を施して、内部を埋めた集合体の輪郭形状を平滑化することにより、前記小粒子が観察対象程度の密度で集まっている集合体を抽出する手順と、
該集合体を特徴量に基づいて選別する手順と、
を含むことを特徴とする観察対象の自動検出方法。
【請求項2】
前記観察対象が染色体、前記集合体が分裂中期細胞であることを特徴とする請求項1に記載の観察対象の自動検出方法。
【請求項3】
画像から観察対象の集合体を選別して表示するための観察対象の自動検出装置において、
二値化前に、観察対象と同程度の大きさの構造要素を用いて、画像全体に接続処理を施すことにより、観察対象と同程度の大きさの小粒子を除去する手段と、
前記接続処理を施した結果に収縮処理を加えた画像を原画像から減算することにより、前記接続処理で消失した小粒子を抽出する手段と、
これを二値化する手段と、
二値化後の画像に対して、一つの集合体内に散らばる観察対象の間隙を埋めることができる程度の大きさの構造要素を用いて、前記抽出された小粒子を接続処理により結合する手段と、
得られた画像に切断処理を施して、内部を埋めた集合体の輪郭形状を平滑化することにより、前記小粒子が観察対象程度の密度で集まっている集合体を抽出する手段と、
該集合体を特徴量に基づいて選別する手段と、
を備えたことを特徴とする観察対象の自動検出装置。
【請求項4】
前記観察対象が染色体、前記集合体が分裂中期細胞であることを特徴とする請求項に記載の観察対象の自動検出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象の自動検出方法及び装置に係り、特に、染色体分析を行なう際に分裂中期細胞(メタフェーズ)を検出するメタフェーズファインダとして用いるのに好適な、観察対象の自動検出方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体が放射線に被曝した時に見られる染色体異常の発生頻度を観察することにより、被爆線量を推定することができる。特に、異常な染色体が出現する現象は、放射線被曝時に特異的に見られるものであり、又、光学顕微鏡を用いて通常の染色法で容易に観察することができるため、被曝線量推定のための有用な指標となっている。しかし、被曝線量が低い時には発生頻度も少なく、従って、多量の試料を観察する必要があるため、人力による観察が困難であり、自動化が期待されていた。
【0003】
顕微鏡下の試料から染色体が観察できる分裂中期細胞を自動的に選別して表示するメタフェーズファインダの機能を持つ装置は、外国企業によって市販されているが、その画像処理機能は公開されていないため不明で、少なくとも数理形態学的演算(モフォロジー演算とも称する)の構造要素を用いたものではなく、又、その処理結果は不正確なものであった。
【0004】
そこで発明者等は、非特許文献1に記載したように、メタフェーズファインダの画像処理にモフォロジー演算の構造要素を用いる装置を試作した。
【0005】

【非特許文献1】古川章他「染色体異常解析の自動化」Cytometry Research 7(1),pp1~8,1997
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1で構造要素を用いて画像処理をするのは、原画像を二値化した後の処理のみであり、入力画像を二値化する際の画像処理には構造要素が使われていなかったため、閾値と同程度に薄く染まった細胞核を染色体と分離することができず、誤った結果をしばしばもたらしていた。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、多数の染色体を含む分裂中期細胞のような、観察対象の集合体の自動収集を、より高精度に行なえるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画像から観察対象の集合体を選別して表示するための観察対象の自動検出方法において、二値化前に、観察対象と同程度の大きさの構造要素を用いて、画像全体に接続処理を施すことにより、観察対象と同程度の大きさの小粒子を除去する手順と、前記接続処理を施した結果に収縮処理を加えた画像を原画像から減算することにより、前記接続処理で消失した小粒子を抽出する手順と、これを二値化する手順と、二値化後の画像に対して、一つの集合体内に散らばる観察対象の間隙を埋めることができる程度の大きさの構造要素を用いて、前記抽出された小粒子を接続処理により結合する手順と、得られた画像に切断処理を施して、内部を埋めた集合体の輪郭形状を平滑化することにより、前記小粒子が観察対象程度の密度で集まっている集合体を抽出する手順と、該集合体を特徴量に基づいて選別する手順とを含むことにより、前記課題を解決したものである。
【0011】
又、前記観察対象が染色体、前記集合体が分裂中期細胞であることを特徴とする観察対象の自動検出方法を提供するものである。
【0012】
本発明は、又、画像から観察対象の集合体を選別して表示するための観察対象の自動検出装置において、二値化前に、観察対象と同程度の大きさの構造要素を用いて、画像全体に接続処理を施すことにより、観察対象と同程度の大きさの小粒子を除去する手段と、前記接続処理を施した結果に収縮処理を加えた画像を原画像から減算することにより、前記接続処理で消失した小粒子を抽出する手段と、これを二値化する手段と、二値化後の画像に対して、一つの集合体内に散らばる観察対象の間隙を埋めることができる程度の大きさの構造要素を用いて、前記抽出された小粒子を接続処理により結合する手段と、得られた画像に切断処理を施して、内部を埋めた集合体の輪郭形状を平滑化することにより、前記小粒子が観察対象程度の密度で集まっている集合体を抽出する手段と、該集合体を特徴量に基づいて選別する手段とを備えることにより、前記課題を解決したものである。
【0015】
又、前記観察対象が染色体、前記集合体が分裂中期細胞であることを特徴とする観察対象の自動検出装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、観察対象の集合体の自動収集を、より高精度に行なうことが可能となる。特に、二値化する前段階の処理により、小粒子のみを残すと共に、画像内の光源の不均一や、集合体の分布の偏りや、集合体の色や濃度のムラ等の影響を取り除くことができる。又、非特許文献1に記載した方法ではできなかった、閾値と同程度に薄く染まった細胞核を染色体と分離することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図面を参照して、染色体異常解析装置のメタフェーズファインダに適用した本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
本発明を実施するための染色体異常解析装置は、図1に示す如く、スライドグラス16の架台(図示省略)を搭載するための、例えばステッピングモータ(図示省略)により駆動されるXYステージ12及び自動焦点装置14を持つ小型顕微鏡10と、例えば通常のビデオカメラやハイビジョンカメラでなる撮像装置20と、例えばワークステーションでなる画像処理用コンピュータ30を備えている。
【0019】
前記XYステージ12は、染色体の大きさと比べて十分な位置分解能及び位置再現性を有する。
【0020】
前記自動焦点装置14は、特に焦点合わせ用の光を照射しないパッシブ方式のものを用いる。なお、焦点合わせ用の例えば赤外光を照射するアクティブ方式のものを用いることもできる。
【0021】
前記画像処理用コンピュータ30には、次の処理を行なうソフトウェアが内蔵されている。
【0022】
(1)本発明により、スライドグラス16上の分裂中期細胞を検出し、その位置を記録する。
【0023】
(2)分裂中期細胞の拡大図を撮像し、以後の画像処理に適したものを選別する。
【0024】
(3)細胞中の個々の染色体を切り離し、染色体上の動原体の位置を検出する。
【0025】
(4)異常染色体の候補を画面に表示し、必要により人間の手で修正する。
【0026】
(5)結果を集計し、異常染色体の発生率を求める。
【0027】
以下、図2を参照して、本発明に係るメタフェーズファインダの処理を説明する。
【0028】
まずステップ100で、図3に示す如く、撮像装置20の視野22だけXYステージ12を動かしてスライドガラス16を移動し、自動焦点装置14で焦点を合わせた後、撮像することにより、図4に示すような撮影画像(原画像とも称する)を得る。
【0029】
次にステップ110で、原画像中の観察対象である染色体程度の大きさの小粒子を抽出する。具体的には、まず画像全体に接続(Closing)処理を施すことにより、図5に示す如く、染色体と同程度の大きさの小粒子を除去する。この時の構造要素には、染色体の画像と同程度の大きさのものを用いる。
【0030】
次いで、図5に示した接続処理結果に、やや収縮(Erosion)処理を加えて、図6に示すような画像を得て、これを原画像から減算することにより、図7に示す如く、図5の処理で消失した小粒子を抽出する。このときの構造要素は、抽出されるべき小粒子以外の物体の周辺部が、減算するときに残らないような大きさにする。
【0031】
次いでステップ120に進み、適切な閾値で二値化して、図8に示すような二値化画像を得る。
【0032】
次いでステップ130で、小粒子が細胞内の染色体程度の密度で集まっている部分を抽出する。具体的には、抽出された小粒子を、接続処理により結合して、図9に示すような集合体の輪郭画像を得る。このときの構造要素には、一つの分裂中期細胞の内部に散らばる染色体の間隔を埋めることができる程度の大きさのものを用いる。構造要素が小さすぎると、間隙を埋めることができず、逆に構造要素が大きすぎると、隣接した別個の分裂中期細胞を結合してしまうことが多くなるので、適切な大きさの構造要素を用いる必要がある。
【0033】
次に、得られた輪郭画像に切断(Opening)処理を行ない、内部を埋めた分裂中期細胞の輪郭形状を平滑化して、図10に示すような集合体の画像を得る。
【0034】
次いでステップ140に進み、抽出された集合体を、形状(面積・縦横比・円形度等)についての特徴量に基づいて選別する。
【0035】
その結果得られた測定値から、染色体を含む像であるかを判定し、スライドグラス16上の位置を求めて記録する。
【0036】
次いで、ステップ150で終了点か否かを判定し、終了点でない場合には、ステップ160に進み、図3に示した如く、スライドグラス16を移動して、次の画像を撮像する。
【0037】
以上のことを繰り返して、スライドグラス16上の試料が載っている部分を走査する。
【0038】
走査した結果の記録を再生し、検出した細胞を顕微鏡の視野の中央に持ってくることにより、染色体の検出等、以降の処理を容易に行なうことができる。
【0039】
なお、前記実施形態においては、本発明が、染色体が観察できる分裂中期細胞を検出するメタフェーズファインダに適用されていたが、本発明の適用対象は、これに限定されず、例えば望遠鏡により得た画像から銀河群や球状星団を選別する際や、超音波画像から魚群を探知する際や、航空写真から人や船の集団を見つける際にも同様に適用できる。又、観察対象のサイズが違う時には、サイズ毎に本発明に係る処理を行なうことにより、サイズ毎の分布を知ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態である染色体異常解析装置の構成を示すブロック図
【図2】前記実施形態の処理手順を示す流れ図
【図3】同じくスライドグラス上の走査位置を示す平面図
【図4】同じく撮影画像(原画像)の例を示す図
【図5】図4に接続(Closing)処理を施した画像を示す図
【図6】図5に収縮(Erosion)処理を施した画像を示す図
【図7】図6を原画像から減算した画像を示す図
【図8】図7を二値化して小粒子を抽出した画像を示す図
【図9】図8に接続処理を施して得た集合体の輪郭画像を示す図
【図10】図9に対して切断(Opening)処理を施し、平滑化して集合体を抽出した画像を示す図
【符号の説明】
【0041】
10…光学顕微鏡
12…XYステージ
14…自動焦点装置
16…スライドグラス
20…撮像装置
30…画像処理用コンピュータ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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