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明細書 :内分泌攪乱性物質のスクリーニング方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4501002号 (P4501002)
公開番号 特開2006-201065 (P2006-201065A)
登録日 平成22年4月30日(2010.4.30)
発行日 平成22年7月14日(2010.7.14)
公開日 平成18年8月3日(2006.8.3)
発明の名称または考案の名称 内分泌攪乱性物質のスクリーニング方法
国際特許分類 G01N  33/15        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
G01N  33/48        (2006.01)
FI G01N 33/15 Z
G01N 33/50 Z
G01N 33/48 N
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2005-014006 (P2005-014006)
出願日 平成17年1月21日(2005.1.21)
審査請求日 平成19年8月24日(2007.8.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
発明者または考案者 【氏名】徳元 俊伸
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279、【弁理士】、【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】三木 隆
参考文献・文献 特開2001-281239(JP,A)
特開2003-83954(JP,A)
特開2003-52354(JP,A)
特開2001-235463(JP,A)
特開2004-124(JP,A)
調査した分野 G01N 33/15
G01N 33/48
G01N 33/50
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
未成熟卵を有する魚を被検化学物質に接触させること、
所定期間後の前記卵の透明化率を指標として、内分泌攪乱性物質のスクリーニングを行うこと、
を含む内分泌攪乱性物質のスクリーニング方法。
【請求項2】
前記魚と被検化学物質との接触を、標準内分泌攪乱性物質の存在下で行うことを特徴とする請求項1記載の内分泌攪乱性物質のスクリーニング方法。
【請求項3】
前記魚が、コイ科、メダカ科、アユ科及びサケ科からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の内分泌攪乱性物質のスクリーニング方法。
【請求項4】
前記所定期間が、2時間~22時間であることを特徴とする請求項1又は2記載の内分泌攪乱性物質のスクリーニング方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、内分泌攪乱性物質のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外因性の内分泌攪乱物質は極めて微量で生物の内分泌系に大きな影響を与える為、いわゆる環境ホルモンとして、非常に深刻な問題となっている。このため、環境ホルモンとしての化学物質の影響を事前にスクリーニングする方法が種々開発されている。
このようなスクリーニング方法としては、例えば、真骨魚類を使用して新脈管形成活性、細胞死活性、毒性活性についての薬剤のスクリーニング方法(特許文献1)メダカ科に属する小型魚類における抗原抗体反応により環境汚染物質を検出する方法(特許文献2)、物質のアンドロゲン作用と抗アンドロゲン作用を検査するための方法(特許文献3)、発生中の魚類胚に化学物質を作用させて胚の奇形や死滅を観察するスクリーニング方法(特許文献4)及び、小型魚の死亡や遊泳障害を調べて汚染物質の有害性を試験する方法(特許文献5)などを挙げることができる。
【0003】
一方、環境ホルモンとしては、オスのメス化を誘導する物質が主としてスクリーニングの対象となっている。これに対して、本来は卵成熟を抑制する筈の非ステロイド系合成エストロゲンであるジエチルスチルベストロール(以下「DES」)が、in vitroの系で、プロゲステロン類の成す卵成熟誘起と類似の作用をなすということが見出された(非特許文献1)。

【特許文献1】特表2002-504667号公報
【特許文献2】特開2001-281239号公報
【特許文献3】特開2004-016236号公報
【特許文献4】特開2003-052354号公報
【特許文献5】特開2003-083954号公報
【非特許文献1】Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2004, 101(10), p3686-3690.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスクリーニング方法は、複雑な操作を必要とする上に、小型魚やその胚などの奇形や障害、死亡を観察したりする為、比較的長時間を要するものであり、簡易且つ短時間に結果が得られるものではなかった。
従って、本発明は、内分泌攪乱性物質を、簡便に且つ短時間でスクリーニングできるスクリーニング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の内分泌攪乱性物質のスクリーニング方法は、未成熟卵を有する魚を被検化学物質に接触させること、所定期間後の前記卵の透明化率を指標として、内分泌攪乱性物質をスクリーニングすること、を含むことを特徴とするものである。
また、前記スクリーニング方法では、前記魚と被検化学物質との接触を、標準内分泌攪乱性物質の存在下で行ってもよい。
【0006】
本発明者は、魚の卵が成熟すると卵核胞が崩壊して透明になる現象が比較的短時間で起こること、また、魚を個体で用いた場合でも、卵の成熟に関して外部環境に鋭敏に影響を受け得ることを見出した。これらのことから、卵の透明化率を指標にすることよって、魚個体を利用した簡便な方法で短時間に内分泌攪乱物質であるか否かを判定することができる。特に、本発明では、魚の個体をそのまま利用するので、in vitro系での卵に対する影響と異なり、卵巣全体が反応することによって卵巣内の卵の大多数による反応結果が示される。このため、100%に近い卵が透明化するか殆ど全部の卵が透明化しないといった明確な結果となる。内分泌攪乱性物質のスクリーニングとしては、このように明確な結果が示されることは重要なことであり、短時間で明確な結果に基づいて効果的にスクリーニングを行うことができる。また個体を用いることによって毒性試験も兼ねることができ、同時に2つの試験を実行するので、より短時間で多くの情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、内分泌攪乱性物質を、簡便に且つ短時間でスクリーニングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の内分泌攪乱性物質のスクリーニング方法は、未成熟卵を有する魚を被検化学物質に接触させること、所定期間後の前記卵の透明化率を指標として、内分泌攪乱性物質をスクリーニングすること、を含むものである。
【0009】
ここで用いられる魚は、卵の成熟過程において内分泌攪乱性物質による卵の透明化が生じる魚であれば、淡水魚又は海水魚であってもよく、例えば、コイ科(ゼブラフィッシュ、キンギョなど)、メダカ科(メダカなど)、アユ科(アユなど)、サケ科(アマゴ、ニジマスなど)などの魚を挙げることができる。このうち、コイ科、メダカ科、アユ科のような、扱いやすく、また卵の成熟が比較的早い小型の淡水魚が好ましく、中でも、卵の透明化の反応が顕著である上に多数の卵を孕むことができるゼブラフィッシュ、キンギョ、メダカであることが特に好ましい。
上記魚は、未受精卵を有する雌の魚であることが必要であり、未成熟卵を有する成体であることが好ましい。ここで成体とは、魚の種類によって異なるが、例えばゼブラフィッシュの場合では、2ヶ月齢~4ヶ月齢の個体を挙げることができる。
【0010】
また、未成熟卵を多量の孕む成体であることが、効率よくスクリーニングを行う観点から特に好ましい。卵巣に未成熟卵を多量に孕むか否かは、先ずは、雌成体の魚の外観をもって判断することができる。すなわち、腹が膨れた個体を選別する。更に、同じ腹が膨れていても既に卵成熟を起こしている卵を孕んでいる場合もあるので、その個体も排除することが好ましい。従って、各個体の腹を軽く押してみて、透明化した卵が押し出された場合には、スクリーニングに供するには不適格として排除し、残された個体をスクリーニングに供し得る卵巣に未成熟卵を多量に孕む雌成体の魚として選別することが特に好ましい。
【0011】
本発明における被検化学物質には、内分泌攪乱性物質であるか否かのスクリーニング対象となるあらゆる物質が該当し、化学的に合成可能なもの、天然物から単離精製可能なもの、或いは天然等に得られるが各成分及び成分比が不明な混合物の如き、化学的作用のある物質の総称を意味し、例えば、医薬品、治療剤、環境的薬剤、農業的薬剤または工業的薬剤、汚染物質、化粧品、薬物、有機化合物、脂質、グルココルチコイド、抗生物質、ペプチド、タンパク質、糖、炭水化物、キメラ分子などを挙げることができる。これら化学物質は、水溶性を有しているのが望ましいが、水溶性でない場合や非常に小さな水溶性しか示さない場合には、例えば、有機溶媒に溶解または分散させた状態でその少量を添加する方法で対処することもできる。勿論、必要に応じて、精製水で希釈したり、逆に濃縮したりすることも可能である。
【0012】
ここで、本発明における内分泌攪乱性物質とは、卵成熟化に対して正の作用、即ち透明化促進作用を有する物質(プロゲステロン様物質)と、負に作用、即ち透明化阻止作用を有する物質(抗プロゲステロン物質)との双方を含む。
【0013】
以下に、プロゲステロン様物質について更に説明する。
多くの脊椎動物の卵は、卵成熟と呼ばれる最終段階を経て受精可能な卵として生み出される。この分子レベルでの仕組みは脊椎動物間で基本的には共通しており、脳から放出されるホルモンの作用により卵巣で作られるステロイドホルモンが卵に作用し卵成熟が引き起こされる。魚類卵の場合には、最終成熟を引き起こすステロイド性のホルモン、すなわち卵成熟誘起ホルモンは、17α,20β-ジヒドロキシ-4-プレグネン-3-オン(以下「17,20β-DHP」)である。17,20β-DHPは、プロゲステロンと同様の作用を示すことから、17α-OH-プレグネノロンや17α-OH-プロゲステロンなどと共に、プロゲステロン類(プロゲスチン)と呼ばれている。17,20β-DHPは、天然のホルモンで、魚類の場合、最も高い卵成熟を引き起こし、ほとんどの魚の未成熟卵の透明化を引き起こす。これと同様に、プロゲステロン類も未成熟卵の透明化を引き起こし、従って、卵成熟誘起ホルモンでもないのに未成熟卵に透明化を引き起こす化学物質はプロゲステロン様物質としての内分泌攪乱性があると考えられる。
【0014】
またこのようなプロゲステロン様物質には、男性ホルモンであるテストステロンも含まれる。テストステロンによっても、プロゲステロンと同様に卵成熟が引き起こされ、卵の透明化をもたらすことが報告されており、被験化学物質がテストステロンに類似の作用として未成熟卵に透明化をもたらす場合もあるためである。
【0015】
プロゲステロン様物質をスクリーニングするには、被検化学物質を単独で魚と接触させればよく、卵の透明化を誘導できる物質をプロゲステロン様物質として特定することができる。
【0016】
これに対して抗プロゲステロン物質は、上述したプロゲステロン様物質の卵透明化作用に拮抗して又は阻害することによって、卵の透明化を阻止する物質である。
抗プロゲステロン物質をスクリーニングするには、魚と被検化学物質との接触を標準内分泌攪乱性物質の存在下で行えばよい。
【0017】
標準内分泌攪乱性物質には、単独で卵の透明化を誘導することができる公知の物質が該当する。このような物質としては、プロゲステロン様物質としての作用を有する化合物、例えば、前述したような17,20β-DHP、17α-OH-プレグネノロン、17α-OH-プロゲステロンなどを挙げることができる。
【0018】
このような標準内分泌攪乱性物質を用いた場合には、本来ならば標準内分泌攪乱性物質により卵成熟が誘起されて卵の透明化を生ずる筈であるが、被験化学物質が標準内分泌攪乱性物質と拮抗する作用又は阻害する作用を有する場合には、卵成熟誘起が阻害され、卵の透明化が起こらない。従って、この透明化が起こらない被検化学物質を、抗プロゲステロン物質として特定することができる。
【0019】
被検化学物質と上記魚との接触は、例えば、被検化学物質を含む飼育水で魚を飼育することによって容易に実施することができる。このとき、被検化学物質は、如何なる形態・濃度で飼育水中に存在してもよく、当業者であれば、適宜、希釈又は濃縮することができる。
標準内分泌攪乱性物質を用いる場合には、卵の透明化を確実に誘導する濃度で使用すればよく、当業者であれば標準内分泌攪乱性物質の種類に応じて適宜適切な濃度を容易に選択することができる。なお、被検化学物質や魚の種類等に応じて、標準内分泌攪乱性物質の使用濃度は適宜変更してもよい。
【0020】
飼育の条件は、魚の種類等に応じて通常の飼育環境をそのまま適用すればよく、例えば、水温等を適温、例えば25℃に整えて、ふつうの生育環境下に静置しておけばよい。このとき、一水槽内に入れる魚の数又は水槽の大きさは、魚の呼吸量と飼育水の量との関係で呼吸不足とならない数又は大きさとすることが通常であり、当業者であれば、適切な魚の数及び水槽の大きさを容易に設定することができる。なお、飼育水や水槽水は、スクリーニングに供する魚の通常の生息環境に合わせて淡水又は海水が基本となる。
【0021】
被検化学物質と魚との接触時間は、本発明において卵の透明化を達成するために必要な時間であり、短時間すぎると、被験化学物質が魚の体内に吸収されても、未だ、未成熟卵に影響を及ぼすに到らない場合があり、また、長時間すぎると、体内で卵が死に始めて卵の形がおかしくなって透明化したかどうかの判定が難しくなる場合があるため、適切に設定する必要がある。被験化学物質の内分泌攪乱性の強さと飼育水中に加えたその濃度に応じて異なるが、一般に、2時間経過後から22時間経過後の間であることが好ましく、2時間経過後から10時間経過後が更に好ましく、2時間経過後から5時間程度であることが特に好ましい。2時間経過前であると、影響が判然とせず、確かな傾向として確認することができない場合があり、22時間以上となると、魚の種類によっては透明化が判別し難くなると共に、時間的に効率的ではなくなる場合がある。
【0022】
上記接触期間経過後の卵は透明化が誘導されているので、計測対象となる卵において、透明化した卵と透明化していない卵を識別して、卵の総数に対する透明化している卵数の割合を透明化率とすることができる。
透明化率を算出するために用いられる卵の総数は、このような用途に用いられる通常の個数、例えば、少なくとも10個以上あればよいが、正確性を高めるためには、少なくとも20個以上用いることが特に好ましい。
【0023】
透明か否かの判定は、魚体が透明であれば、魚体を照明下などに晒して容易に判定することができる。魚体が透明でない場合には、卵を卵巣から魚の体外に取り出して行えばよい。
卵を魚の体外に取り出すには、魚の腹から卵巣を取り出した後に卵巣から卵を取り出すことが好ましい。このとき例えば魚の種類に対応したリンガー液で満たされたシャーレの中に一旦卵巣を入れ、ピンセット等で卵巣を崩して卵を取り出し、卵が一層となるようにシャーレの中で一面に広げておくことが好ましい。このように卵を一層に広げることによって、その後の観察がしやすくなり、例えば、下から照明を当て、カラーで写真撮影などを行うことによって観察することができる。
撮影等を行った場合には、黒っぽく写るのが未成熟卵であり、明るく透けて写るのが卵成熟誘起され透明化した卵であるので、これを画像処理すれば、透明化した卵と透明化していない卵とを識別してカウントすることもできる。また、目視の場合には、薄黄色の不透明の卵か透明の卵かの違いとして分別して数えることができる。
【0024】
卵の透明化率による内分泌攪乱性物質のスクリーニングは、被検化学物質による透明化率の増加に基づくプロゲステロン様物質のスクリーニングであってもよく、標準内分泌攪乱性物質を用いて、卵の透明化率の減少に基づく抗プロゲステロン物質のスクリーニングであってもよい。被検化学物質を単独で用いた場合に、透明化率すなわち卵成熟率が100%近くとなった被検化学物質は、プロゲステロン様物質として判定することができる。
一方、標準内分泌攪乱性物質を併用した場合に、卵成熟率が0%近くとなった被検化学物質は、抗プロゲステロン物質として判定することができる。
【0025】
なお、卵成熟率が数10%などのときには、検査誤差の場合を考慮して、被験化学物質の飼育水中における被検化学物質の濃度を高めたり又は低めたりすることが好ましい。これにより、複数の濃度間による傾向を確認することで、明快に判定することができる。
また、必要に応じて更に細かい分析等と組み合わせて用いることが、内分泌攪乱性物質の判定を確実にスクリーニングする観点から特に好ましい。
【0026】
本発明のスクリーニング方法によれば、内分泌攪乱性物質を、簡易に且つ短時間でスクリーニングすることができる。このスクリーニング方法は、環境の保全の確認や特定化学物質の判定、更には新規内分泌攪乱性物質の単離・開発などに広く活用することができる。
特に、内分泌攪乱性物質の有無を数時間という短時間で且つ非常に簡易に確認することができるので、短時間で数多くの化学物質を検討することができ、初期の篩い分け手法として効果的に利用することができる。
また、内分泌攪乱性物質ではないと判定された被検化学物質については、種々の用途、例えば、薬事的効果を期待するものであれば医薬品、美容的効果を期待するものであれば化粧品、塗膜を得たいものであれば塗料などに用いることができ、スクリーニング後に、各用途別の形態に処方して利用することができる。
【実施例】
【0027】
以下に本発明の実施例について説明するが、これに限定されるものではない。また実施例中の%は、特に断らない限り、重量基準である。
[実施例1]
0.5μMのDES(ジエチルスチルベステロール、シグマ社製)及びプロゲステロン様物質であることがわかっている0.1μMの17,20β-DHP(シグマ社製)をそれぞれ添加した500mlの飼育水(水温28℃)を2つ用意して、水温28.5℃で14時間明環境/10時間暗環境下で維持されたゼブラフィッシュの雌成体(1群:3匹)を、その中に入れた。所定時間毎に魚をそれぞれの水槽から取り出し、魚の腹から卵巣をシャーレに取り出した。ピンセットを用いてシャーレ上で卵巣から卵を取り出し、重ならないように一層に広げて、写真撮影を行った。このとき、20個以上の卵が1視野に入るようにした。その後、写真内の透明化した卵の数を数えて、透明化率を求めた。結果を図1に示す。
図1に示されるように、ゼブラフィッシュの卵の透明化を指標とした本発明のスクリーニング方法では、約3時間で17,20β-DHPの場合には100%の透明化率となり、内分泌攪乱性物質であることを短時間で正確に判定することができた。これにより、本発明のスクリーニング方法は内分泌攪乱性物質のスクリーニングに有効であることが証明された。
また、DESも、17,20β-DHPと同様にゼブラフィッシュの卵を透明化できることが明らかとなり、3時間程度で充分に内分泌攪乱性物質として判定することができた。
【0028】
[実施例2]
次に本スクリーニング方法の感度について確認するため、17,20β-DHPの濃度を0.1μM、0.01μM及び0.001μMとした以外は実施例1と同様にして、魚を飼育水に入れて3時間静置し、卵の透明化率を計測した。
その結果、0.1μMの場合の透明化率は100%であり、0.01μMの場合の透明化率は98%であり、0.001μMの場合の透明化率は0%であった。
これにより、0.01μMという低い濃度であっても充分に感度よく内分泌攪乱性物質をスクリーニングできることが明らかとなった。
【0029】
[実施例3]
DESの濃度を0.5μM及び0.1μMとし、被検化学物質として1μMのテストステロン(シグマ社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、魚を飼育水に入れて3時間静置し、卵の透明化率を計測した。
その結果、卵の透明化率は、それぞれ、0.5μMのDESでは、94%、0.1μMのDESでは0%、テストステロンでは100%であった。これにより、テストステロンも、DESと同様にプロゲステロン様物質として作用することを3時間の飼育で簡便に明らかにすることができた。
【0030】
[実施例4]
次に、標準内分泌攪乱性物質として、卵成熟誘起ホルモンたる17,20β-DHPを0.01μMの濃度で添加すると共に、被験化学物質としてペンタクロロフェノール(和光純薬工業社製、以下「PCP」)を0.01μMの濃度で添加した以外は、実施例1と同様にして、500mlの飼育水中に、ゼブラフィッシュの3匹を入れて3時間静置した。3時間経過後に、卵の透明化率を測定したところ、透明化率は0%であった。
この結果、本来ならば17,20β-DHPによって卵の透明化率が100%となるところを、被験化学物質のPCPにより卵成熟が阻害されたことがわずか3時間でわかった。
このことは、農薬として使用されてPCPが、卵成熟誘起ホルモン作用を阻害する抗プロゲステロン物質であることを示している。このような抗プロゲステロン物質を、本発明によれば、わずか3時間で検出することができる。
【0031】
これらの実施例から、本発明のスクリーニング方法を用いることによって短時間で簡便に内分泌攪乱性物質をスクリーニングできることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例に係るDES及び17,20β-DHPを被検化学物質としたときの卵の透明化率の経時変化を示すグラフである。
図面
【図1】
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