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明細書 :クリーンルーム間の搬送システム及びその搬送方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3330112号 (P3330112)
公開番号 特開2001-199543 (P2001-199543A)
登録日 平成14年7月19日(2002.7.19)
発行日 平成14年9月30日(2002.9.30)
公開日 平成13年7月24日(2001.7.24)
発明の名称または考案の名称 クリーンルーム間の搬送システム及びその搬送方法
国際特許分類 B65G 51/08      
B65G 51/18      
B65G 51/20      
FI B65G 51/08
B65G 51/18
B65G 51/20
請求項の数または発明の数 10
全頁数 9
出願番号 特願2000-007794 (P2000-007794)
出願日 平成12年1月17日(2000.1.17)
審査請求日 平成12年1月17日(2000.1.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
【識別番号】000152882
【氏名又は名称】株式会社日本シューター
発明者または考案者 【氏名】鈴木 和年
【氏名】吉田 兵吾
【氏名】佐藤 雅郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100063174、【弁理士】、【氏名又は名称】佐々木 功 (外1名)
審査官 【審査官】黒石 孝志
参考文献・文献 特開 平3-297728(JP,A)
特開 平4-125223(JP,A)
調査した分野 B65G 51/04 - 51/46
特許請求の範囲 【請求項1】
送信側クリーンルームから受信側クリーンルームに気送管が延長され該気送管の中に気送搬送物を投入して前記受信側クリーンルームで該気送搬送物を受信するクリーンルーム間の搬送システムであって、
前記気送管に配設され前記気送搬送物の送信開始と受信終了の際に前記気送管の内部の空気を低風量で吸引する排風手段を具備することを特徴とするクリーンルーム間の搬送システム。

【請求項2】
前記送信側クリーンルームの外部に配設され前記気送管に設けられた空気取入口を具備する請求項1に記載のクリーンルーム間の搬送システム。

【請求項3】
前記空気取入口は、前記送信側クリーンルームより清浄度の低いクリーンルームに配設された請求項2に記載のクリーンルーム間の搬送システム。

【請求項4】
前記気送搬送物を受信する前の所定範囲で垂下して前記気送管の部分に設けられ、前記気送搬送物を取り出す搬送物取出口に近づくに従って内径が漸減される速度減速部を具備する請求項1に記載のクリーンルーム間の搬送システム。

【請求項5】
送信側クリーンルームから受信側クリーンルームに気送管が延長され該気送管の中に気送搬送物を投入して前記受信側クリーンルームに該気送搬送物を搬送するクリーンルーム間の搬送システムであって、
前記気送搬送物を受信する前の所定範囲で垂下して配設されている前記気送管の部分に、前記気送搬送物を取り出す搬送物取出口に近づくに従って内径が漸減される速度減速部を形成したことを特徴とするクリーンルーム間の搬送システム。

【請求項6】
前記内径の漸減は、テーパ状に漸減する形状とした請求項5に記載のクリーンルーム間の搬送システム。

【請求項7】
前記内径の漸減は、階段状又は段階的に漸減する形状とした請求項5に記載のクリーンルーム間の搬送システム。

【請求項8】
送信側クリーンルームから気送搬送物を送出するときは気送管の内部の空気を排風手段により低風量で吸引してから、搬送物投入口を開口して前記気送搬送物を前記気送管に投入し、この後、前記搬送物投入口を閉塞して前記送信側クリーンルームの外部に配設された前記気送管の空気取入口から前記排風手段により高風量で前記気送管を介して空気を吸引して前記気送搬送物を受信側クリーンルームで受信し、受信後に前記排風手段を低風量に切り替えてから搬送物取出口を開口して前記搬送物を取り出すことを特徴とするクリーンルーム間の搬送方法。

【請求項9】
前記空気取入口は、前記送信側クリーンルームより清浄度の低いクリーンルーム内の気送管に設けられた請求項8に記載のクリーンルーム間の搬送方法。

【請求項10】
前記気送搬送物を受信する前の所定範囲で垂下して配設されている前記気送管は、前記搬送物取出口に近づくに従って内径が漸減されるように形成された請求項8に記載のクリーンルーム間の搬送方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、クリーンルーム相互間で気送管を用いて気送搬送物を受信するクリーンルーム間の搬送システム及びその搬送方法に係り、特にクリーンルーム内の空気を乱すことなく、気送管からの発塵を防止し、安定に気送搬送物を搬送するように改良された搬送システム及びその搬送方法に関する。

【0002】

【従来の技術】従来のクリーンルーム相互間で気送管を用いて、容器、試薬ビンなどの気送搬送物を送受する構成は、病院とか半導体工場などで使用されるが、これは例えば図6に示すような受信方式が知られている。

【0003】
このような場所で、高度なクリーン度を要求するクリーンルームは、このクリーンルーム内の空気の流れを整流して層流状態にすることが多く、この層流状態では、例えば0.5m/s程度の低風速で室内を空気が移動している。

【0004】
図6はこのようなクリーンルームの例であり、送信側クリーンルーム10は高清浄度のクリーンルームであり、これに隣接してこの送信側クリーンルーム10よりは清浄度の低い低清浄度のクリーンルーム11が設けられている。

【0005】
送信側クリーンルーム10の一方の壁にはフイルタ10a、10b,10cが配設され、これらのフイルタ10a~10cには外部から空気Aを取り入れながら空調機12から配管13を介して清浄な空気が流れ、送信側クリーンルーム10の内部が層流状態になるように空気が取り込まれる。

【0006】
また、クリーンルーム11には、送信側クリーンルーム10から隔壁9を介して空気が取り込まれるので、清浄度は送信側クリーンルーム10よりは低くなっている。このクリーンルーム11を通過した空気は配管14を介して空調機12にリターンされるが、空調機12はこれを取り入れて再び配管13に送出する動作を繰り返して空気を循環している。

【0007】
送信側クリーンルーム10の内部には、気送管15がクリーンルーム11を経由して導入され、その端部には搬送物投入口16が設けられているが、この搬送物投入口16は気送管15に固定されたフランジ16aと、一端をピン16bとして回動してフランジ16aを覆う回動蓋16cなどで構成されている。

【0008】
気送管15の受信側クリーンルーム17の近傍には、気送管15が垂直に垂下する垂直部15aとなっており、その上にサクションポート15bが形成されている。

【0009】
このサクションポート15bからは空気管18が気送管15から分岐して導出されて遠方に配設された排風機19に接続され、排気が排気管20から大気に放出されるが、この排風機19はインバータ21に印加される制御信号S1によりケーブル22を介して吸引風量が制御される。

【0010】
また、受信側クリーンルーム17に気送管15が導入される直前の垂直部15aでは気送搬送物23が落下するが、途中に段部15cにより内径を急減させて狭ばめ気送搬送物23の落下速度を減速させる速度減速部15dが形成され、この速度減速部15dは搬送物取出口24のフランジ24aに接続されている。

【0011】
このフランジ24aに対向して取出蓋25が配設されており、この取出蓋25はエアシリンダ26により速度減速部15dと同方向に移動できるように操作され、フランジ24aとの開閉がなされる。

【0012】
受信側クリーンルーム17は、その一方の壁にはフイルタ17a、17b,17cが配設され、これらのフイルタ17a~17cには外部から空気Bを取り入れながら空調機27から配管28を介して清浄な空気を流し、内部が層流状態になるように取り込まれる。

【0013】
受信側クリーンルーム17を通過した空気は、配管29を介して空調機27にリターンされるが、空調機27はこれを取り入れて再び配管28に送出する動作を繰り返して空気を循環している。

【0014】
以上の構成により、送信側クリーンルーム10から受信側クリーンルーム17に気送管15を介して気送搬送物23を搬送する場合には、回動蓋16cをピン16bを支点として回動してフランジ16aから横にずらして気送管15の搬送物投入口16を開口して、気送搬送物23を投入し、排風機19を動作させて、搬送物投入口16から送信側クリーンルーム10内の空気を吸引して気送搬送物23を搬送する。

【0015】
気送搬送物23は、サクションポート15bまで排風機19による吸引により搬送され、この後は、垂直部15aと速度減速部15dを経由して落下し、搬送物取出口24でフランジ24aに対して取出蓋25を下方にエアシリンダ26によりずらして気送搬送物23を受信側クリーンルーム17で受け取る。

【0016】
この場合の気送搬送物23の搬送物取出口24の近傍における動作についてさらに説明する。一般に、気送搬送物23を落下させて受信する場合には、図7に示すように、サクションポート15bの下流側の速度減速部15dの内径D1を、気送搬送物23の外径D2 にできるだけ近づけることにより、気送搬送物23の落下速度を順次、減速させ、受信時の衝撃を少なくするようにしている。

【0017】
例えば、図8に示すように、気送搬送物23に働く差圧による上向きの力Fは、気送搬送物23の前端における空気圧をPF 、気送搬送物23の後端における空気圧をPL、とすれば、
F=(PF-PL)πD22/4 ……(1)
で示される。

【0018】
この場合の力Fと、気送搬送物23の外径D2と、速度減速部15dの内径D1、及び気送搬送物23の速度vとの関係は、横軸に速度vを、縦軸に力Fを、(D2/D1)をパラメータにとって定性的に示すと、図9に示すように、同一の速度v0に対してパラメータ(D2/D1)の変化により気送搬送物23に働く力が、例えば(D2/D1)=0.75のときに力FがF1であったものが、0.8、0.9、0.95とパラメータを大きくするに従って力Fが大きくなり、0.95ではF2(>F1)になり、力Fが急速に増加する傾向を示している。

【0019】
このようにパラメータ(D2/D1)の値を調節して、気送搬送物23に働く力を増加させて減速させることが出来るが、このように減速させるのは、気送搬送物23として搬送するものの中には、例えば気送子と称する内部に各種の搬送物を入れる容器を気送する場合の他、クリーンルーム内で薬品が調合されて封入されたガラス製の試薬ビンなどをそのまま気送搬送物23として気送する場合、或いは、試薬ビンにサイクロトロンなどで照射して速やかに患者室に気送しこれを用いて患者に注射を施す場合などがあり、これらを受信するときの衝撃によりこれらの容器あるいは試薬ビンを破損する場合があるからである。

【0020】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上のようなクリーンルーム間の搬送システム及びその搬送方法にはいくつかの問題点が存在する。

【0021】
第1に、気送搬送物23の気送の際には送信側クリーンルーム10内に配設されている搬送物投入口16は気送が終了するまで、開口状態が維持され、気送のための空気も送信側クリーンルーム10内から吸引しており、このときの搬送物投入口16の近傍の風速は7~8m/sにも及ぶので、送信側クリーンルーム10内が層流状態にある空気の流れを乱すこととなる。

【0022】
そこで、送信側クリーンルーム10内から気送のための空気を直接吸引しないように構成したとしても、気送の際には気送搬送物23を気送管15の中に挿入しなければならず、また気送搬送物23を受け取るときにも気送管15から気送搬送物23を取り出さなければならず、このため受信側クリーンルーム17内の空気と気送管15内の空気とが導通状態になり、気送管15内に蓄積された微粒子の塵が受信側クリーンルーム17内に飛散するおそれが生じる。

【0023】
第2に、受信側クリーンルーム17内で気送搬送物23を受け取る際に、速度減速部15dを介して気送搬送物23が落下して取出口24で取り出されるが、この場合の減速効果を高めようとパラメータ(D2/D1)の値を1に近づけ過ぎると、図9に示す特性図からもわかるように、過大な力Fが発生して、気送搬送物23が速度減速部15dに進入した途端に跳ね返されて気送搬送物23を受信することができないという危険性がある。

【0024】

【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を解決するためのクリーンルーム間の搬送システムの第1の構成として、送信側クリーンルームから受信側クリーンルームに気送管が延長され該気送管の中に気送搬送物を投入して前記受信側クリーンルームで該気送搬送物を受信するクリーンルーム間の搬送システムであって、前記気送管に配設され前記気送搬送物の送信開始と受信終了の際に前記気送管の内部の空気を低風量で吸引する排風手段を具備するようにしたものである。

【0025】
さらに、本発明は、以上の課題を解決するためのクリーンルーム間の搬送システムの第2の構成として、送信側クリーンルームから受信側クリーンルームに気送管が延長され該気送管の中に気送搬送物を投入して前記受信側クリーンルームに該気送搬送物を搬送するクリーンルーム間の搬送システムであって、 前記気送搬送物を受信する前の所定範囲で垂下して配設されている前記気送管の部分に、前記気送搬送物を取り出す搬送物取出口に近づくに従って内径が漸減される速度減速部を形成するようにしたものである。

【0026】
また、本発明は、以上の課題を解決するためのクリーンルーム間の搬送方法の構成として、送信側クリーンルームから気送搬送物を送出するときは気送管の内部の空気を排風手段により低風量で吸引してから、搬送物投入口を開口して前記気送搬送物を前記気送管に投入し、この後、前記搬送物投入口を閉塞して前記送信側クリーンルームの外部に配設された前記気送管の空気取入口から前記排風手段により高風量で前記気送管を介して空気を吸引して前記気送搬送物を受信側クリーンルームで受信し、受信後に前記排風手段を低風量に切り替えてから搬送物取出口を開口して前記搬送物を取り出すようにしたものである。

【0027】
以上の本発明に係るクリーンルーム間の搬送システムの第1の構成によれば、搬送物投入口或いは搬送物取出口をそれぞれ開口する前に排風手段により低風量で気送管内に吸引するようにしたので、気送管内にある微粒子が低風速の空気流により気送管内から送信側クリーンルーム或いは受信側クリーンルームに発塵するのを防止することができる。

【0028】
さらに、搬送物投入口或いは搬送物取出口の開口に当たっては、低風速で吸引するので、送信側クリーンルーム及び受信側クリーンルームのそれぞれの内部の空気の流れ自体を大きく乱すことがなく、全体としてクリーンルーム内の清浄度を良好に維持することができる。

【0029】
また、本発明に係るクリーンルーム間の搬送システムの第2の構成によれば、気送搬送物を受信する前の所定範囲で垂下して配設されている気送管の部分に、気送搬送物を取り出す搬送物取出口に従って内径が漸減される速度減速部を設けたので、気送搬送物が速度減速部に進入した途端に跳ね返えされることを防止することができ、さらに気送搬送物が衝撃により破損する危険も避けることができる。

【0030】
さらに、本発明に係るクリーンルーム間の搬送方法によれば、低風量運転の際には空気取入口から空気が取り入れられるので、低風量運転時において気送管内の真空圧の上昇が抑えられ、搬送物投入口を開口する際には、開口した瞬間に流れ込む空気流の量を制限することができ、クリーンルーム内の空気流に乱れが生じるのを防ぐことができる。

【0031】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係るクリーンルーム間の搬送システム及びその搬送方法の実施の形態について図を用いて説明する。図1は本発明の実施の1形態を略示的に示した全体構成図である。なお、理解を容易にするため従来のクリーンルーム間の搬送システムと同一部分には同一の符号を付して説明する。

【0032】
送信側クリーンルーム10は高清浄度のクリーンルームであり、これに隣接してこのクリーンルーム10よりは清浄度の低い低清浄度のクリーンルーム11が設けられている。そして、送信側クリーンルーム10の一方の壁にはフイルタ10a、10b,10cが配設され、これらのフイルタ10a~10cには外部から空気Aを取り入れながら空調機12から配管13を介して清浄な空気が流れ、送信側クリーンルーム10の内部が層流状態になるように取り込まれる。

【0033】
このような高清浄度の送信側クリーンルーム10、低清浄度のクリーンルーム11或いは受信側クリーンルーム17は、ルーム、つまり部屋という形をとる大きいものからボックスと呼ばれる中程度のもの、或いはセルとして呼ばれる小さいもの、さらには部屋の一部に設けられているものまで各種のものが存在するが、クリーンルームという概念には、これらのものがすべて含まれる。

【0034】
また、クリーンルーム11には、送信側クリーンルーム10から隔壁9を介して空気が取り込まれるので、清浄度は送信側クリーンルーム10よりは低くなっている。このクリーンルーム11を通過した空気は配管14を介して空調機12にリターンされるが、空調機12はこれを取り入れて再び配管13に送出する動作を繰り返して空気を循環している。

【0035】
高清浄度の送信側クリーンルーム10の内部には、気送管30が低清浄度のクリーンルーム11を経由して外部に導出されているが、送信側クリーンルーム10側の端部には搬送物投入口31が設けられている。

【0036】
この搬送物投入口31は、気送管30に固定されたフランジ30aと、フランジ30aを覆う例えば扇形状の回動蓋32などで構成されており、図2に示すように、回動蓋32はその端部に設けられたピン30bを支点として回動してフランジ30aに接続されている気送管30を開口させるが、閉止のときはフランジ30aと回動蓋32との間は気密が保持されて閉じられ、搬送物投入口31は完全密閉される。

【0037】
そして、回動蓋32の回動は、回動蓋32の他の端部近傍に設けられた操作点32aに回動可能なように接続された空気シリンダ33のピストン33aの往復運動により行われる。

【0038】
この回動蓋32には、図2に示すように、例えばマイクロスイッチ34aが点線で示す回動蓋32の開口端で接するように配設されており、このマイクロスイッチ34aにより気送管30が開口したことを検知し、またマイクロスイッチ34bは実線で示す回動蓋32の閉止端で接するように配設されており、このマイクロスイッチ34bにより気送管30が閉止したことを検知する。

【0039】
この回動蓋32は、常時は気送管30のフランジ30aとで、送信側クリーンルーム10と気送管30との気密を保持しているが、気送搬送物23を搬送する際にのみ空気シリンダ33のピストン33aにより開口される。

【0040】
搬送物投入口31のフランジ30aの下方に位置する気送管30には、気送搬送物23の投入を検知するためのフオトセンサ35が配設され、さらにクリーンルーム11の内部に配設されている気送管30には、クリーンルーム11内の空気を気送搬送物23を搬送するに足る高風量で取り込む空気取入口36が設けられている。

【0041】
このように空気取入口36を設けることにより、排風機19が低速運転のときの気送管30の内部の真空圧の上昇を抑え、搬送物投入口31或いは搬送物取出口38が開口した瞬間の空気流の量を制限することができ、送信側クリーンルーム10或いは受信側クリーンルーム17の空気流の乱れを防ぎながら気送管30内からの発塵を防止することができる。

【0042】
一般に、排風機19の風量風圧特性曲線は、横軸に真空圧P、縦軸に風量Qをとると、回転数が同一であれば真空圧Pが増加するに従って風量Qが低下する特性を持っている。

【0043】
もし、空気取入口36を設けなければ、排風機19が図3に示す低回転数である回転数n3で回転していたとしても、排風機19の起動後も一定時間内に気送管30内は大気圧から真空圧P3、真空圧P1とたどって真空圧P0まで真空度(P0(abs)<P1(abs)<P3(abs))が高まり、搬送物投入口31或いは搬送物取出口38を開口したときには、その真空度に対応する大風量が送信側クリーンルーム10或いは受信側クリーンルーム17から気送管30の内部に吸引されることとなる。

【0044】
しかし、空気取入口36を設けると、この空気取入口36から風量Q3の空気が取り込まれるので、回転数n3で回転していたとしても、回転数n3に対応する真空圧である真空圧P3となり、これ以上の真空圧になることはない。

【0045】
なお、空気取入口36から取り入れる風量Qを、Q3<Q2<Q1と増加させてやれば、回転数nをn3<n2<n1と増やしても、真空圧Pは真空圧P1と一定となり、気送管30内の真空圧は一定以上にはならない。

【0046】
一方、気送管30の受信側クリーンルーム17の近傍には、気送管30が垂直に垂下する垂直部30aとなっており、この途中にサクションポート30bが形成されている。

【0047】
このサクションポート30bからは空気管18が気送管30から分岐して導出されて排風機19に接続され、排気が排気管20から放出されるが、この排風機19はインバータ37に印加される制御信号S1、S2によりケーブル22を介して吸引風量が制御される。

【0048】
インバータ37は、排風機19の回転数を変える機能を有し、高速運転を指示する制御信号S1が入力されれば、排風機19を高速回転させて気送管30の中の空気を気送搬送物23を搬送するに必要な強さで吸引する。

【0049】
また、低速運転を指示する制御信号S2が入力されれば、排風機19を低速回転させて気送管30の中の空気を低風量で吸引するが、この場合の低風量とは気送搬送物23の気送には不十分な風量であって乱流域から層流域までの風量をいう。

【0050】
また、サクションポート30bの下流であって受信側クリーンルーム17に気送管30が導入される直前の垂直部30aでは気送搬送物23が落下するが、途中から内径をテーパ状に狭ばめて気送搬送物23の落下速度を減速させる速度減速部30dが形成されており、この速度減速部30dは搬送物取出口38のフランジ38aに接続されている。

【0051】
このテーパ状の速度減速部30dは、気送搬送物23の落下方向に沿って気送管30の内径を、パラメータ(D2/D1)が気送搬送物23の落下につれて1に近づけるように順次に細く形成してあり、これにより速度減速部30dでの気送搬送物23の跳ね返りを防止しながら、気送搬送物23の落下速度を安全確実に最大限に減速させることができる。

【0052】
なお、速度減速部は、図1に示す実施態様ではテーパ状に形成したが、これに限られず、例えば、図4に示すように、気送搬送物23が下流に落下するに従って段階的に気送管30の内径が細くなるような階段状の形状とした速度減速部30eとしてもよい。

【0053】
このフランジ38aに対向して取出蓋39が配設されており、この取出蓋39はエアシリンダ40により上下方向に操作され、フランジ38aとの開閉がなされる。

【0054】
搬送物取出口38は、常時はフランジ38aと取出蓋39とで気密が保持されているが、気送搬送物23を取り出すときのみ取出蓋39がエアシリンダ40により下降され、気送管30が受信側クリーンルーム17に開口する。

【0055】
なお、このフランジ38aの近傍の速度減速部30d、ないしはその近傍には気送搬送物23が到達したか否かを検知するための例えばフオトセンサ41などが配設されている。

【0056】
また、受信側クリーンルーム17は、その一方の壁にはフイルタ17a、17b,17cが配設され、これらのフイルタ17a~17cには外部から空気Bを取り入れながら空調機27から配管28を介して清浄な空気を流し、内部が層流状態になるように取り込まれる。

【0057】
受信側クリーンルーム17を通過した空気は、配管29を介して空調機27にリターンされるが、空調機27はこれを取り入れて再び配管28に送出する動作を繰り返して空気を循環している。

【0058】
搬送物投入口31側では、図1に示すように、フオトセンサ35から気送搬送物23の投入を検知するための投入検知信号SIが、また搬送物取出口38側では、フオトセンサ41から気送搬送物23が到達したか否かを検知する到達検知信号SOがそれぞれ出力されている。

【0059】
また、回動蓋32の開口端に設けられたマイクロスイッチ34aからは、図2に示すように、気送管30が開口したことを検知する接点信号MOが、回動蓋32の閉止端に設けられたマイクロスイッチ34bからは気送管30が閉止したことを検知する接点信号MSがそれぞれ出力されている。

【0060】
そして、これらの投入検知信号SI、到達検知信号SO、接点信号MO、および接点信号MSは、すべてコントローラ42に出力され、一方コントローラ42からは、回動蓋32を回動させるための空気シリンダ33の操作信号RSと、取出蓋39を上下させるためにエアシリンダ40を駆動する操作信号ASとを出力する。

【0061】
このコントローラ42には、送信側クリーンルーム10から受信側クリーンルーム17に気送搬送物23を気送するために必要なシーケンスプログラムが内蔵されており、後述するように、インターフエイスの一部として機能する気送要求端TMからの気送要求により、搭載されているマイクロコンピュータによりこれらのプログラムが実行され、一連の気送運転が行われる。

【0062】
次に、以上のように構成された本発明に係るクリーンルーム間の搬送システムにおいて気送搬送物23を気送により搬送する搬送方法について、図5に示すフローチャート図を用いて説明する。

【0063】
まず、ステップST1においてコントローラ42のインターフエイスである気送要求端TMに気送要求を出し、これによりステップST2ではコントローラ42がインバータ37に排風機19が低速運転することを指示する制御信号S2を出力して、排風機19の低風量運転を開始させる。

【0064】
この後、コントローラ42は、ステップST3において、搬送物投入口31が完全に開口したか否かを図2に示すマイクロスイッチ34aから出力される接点信号MOを監視することにより検知する。

【0065】
コントローラ42が、開口したとの接点信号MOを検知したときは、ステップST4において、気送搬送物23が搬送物投入口31から投入されるが、コントローラ42はステップST5において確実に投入されたか否かをフオトセンサ35から出力される投入検知信号SIを監視して検知する。

【0066】
この後、コントローラ42は、ステップST6において、搬送物投入口31が完全に閉止されたか否かを、図2に示すマイクロスイッチ34bから出力される接点信号MSにより検知する。

【0067】
搬送物投入口31が完全に閉止されたことを確認したら、コントローラ42は、高風量運転を開始すべくインバータ37に排風機19が高速運転することを指示する制御信号S1を出力して、排風機19の高風量運転を開始させる。

【0068】
これにより、搬送物投入口31に投入された気送搬送物32は、送信側クリーンルーム10から気送管30の中を気送により搬送されてサクションポート30bまで搬送され、この後は、気送管30の垂直部30aで気送搬送物23が落下して速度減速部30dを経て搬送物取出口38に緩やかに到着する。

【0069】
気送搬送物23がこの搬送物取出口38に到着したか否かは、ステップST8において、搬送物取出口38の近傍に配設されたフオトセンサ41により到達検知信号SOとして検知され、この到達検知信号SOは、コントローラ42により検知される。

【0070】
気送搬送物23の到着が到達検知信号SOにより確認されると、開口に先だって、コントローラ42は、ステップST9において、低風量運転を開始すべくインバータ37に排風機19が低速運転することを指示する制御信号S2を出力して、排風機19の低風量運転を開始させる。

【0071】
排風機19の低風量運転を開始させた後、コントローラ42は、ステップST10において、エアシリンダ40に取出蓋39を下降させるための操作信号ASを出力して搬送物取出口38を開口させる。

【0072】
この後、ステップST11において、気送搬送物23を取り出し、コントローラ42は、エアシリンダ40に取出蓋39を上昇させるための操作信号ASを出力して、ステップST12において、搬送物取出口38を閉止させ、この閉止確認の後、ステップST13において、低風量運転を停止させて、一連のシーケンス制御を終了する。

【0073】
なお、以上の説明では、コントローラ42によりあらかじめプログラムされたシーケンスに従って気送搬送物23をクリーンルーム間を気送により搬送する場合について説明したが、これらの手順は手動により実行することができることは言うまでもない。

【0074】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明に係るクリーンルーム間の第1の搬送システムによれば、搬送物投入口或いは搬送物取出口をそれぞれ開口する前に排風手段により低風量で吸引するようにしたので、気送管内はある程度の真空に保たれた状態となり低風速の気送管内への引き込み空気流のため、これらを開口しても気送管内にある微粒子は、気送管内から送信側クリーンルーム或いは受信側クリーンルームに発塵するのを防止することができる。

【0075】
さらに、搬送物投入口或いは搬送物取出口の開口に当たっては、低風速で吸引するので、送信側クリーンルーム及び受信側クリーンルームのそれぞれの内部の空気の流れ自体を大きく乱すことがなく、全体としてクリーンルーム内の清浄度を良好に維持することができる。

【0076】
さらに、本発明に係るクリーンルーム間の第2の搬送システムによれば、気送搬送物を受信する前の所定範囲で垂下して配設されている気送管の部分に、気送搬送物を取り出す搬送物取出口に従って内径が漸減される速度減速部を設けたので、気送搬送物が搬送物取出口に緩やかに到着させることができ、気送搬送物が速度減速部に進入した途端に跳ね返えされることを防止しながら、気送搬送物の落下速度を安全確実に最大限に減速させて気送搬送物が衝撃により破損する危険を大幅に軽減させることができる。

【0077】
また、本発明に係るクリーンルーム間の搬送方法によれば、低風量運転の際には空気取入口から空気が取り入れられるので、低風量運転時において気送管内の真空圧の上昇が抑えられ、搬送物投入口を開口する際には、開口した瞬間に流れ込む空気流の量を制限することができ、クリーンルーム内の空気流に乱れが生じるのを防ぐことができる。
図面
【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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