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明細書 :放射線検出器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4420372号 (P4420372)
公開番号 特開2003-028961 (P2003-028961A)
登録日 平成21年12月11日(2009.12.11)
発行日 平成22年2月24日(2010.2.24)
公開日 平成15年1月29日(2003.1.29)
発明の名称または考案の名称 放射線検出器
国際特許分類 G01T   1/164       (2006.01)
G01T   1/161       (2006.01)
FI G01T 1/164 G
G01T 1/161 C
請求項の数または発明の数 4
全頁数 15
出願番号 特願2001-212557 (P2001-212557)
出願日 平成13年7月12日(2001.7.12)
審査請求日 平成19年1月19日(2007.1.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
発明者または考案者 【氏名】二見 康之
【氏名】富谷 武浩
【氏名】金沢 光隆
【氏名】北川 敦志
【氏名】金井 達明
【氏名】井関 康
【氏名】北 好夫
【氏名】柚木 彰
【氏名】牧野 俊一郎
【氏名】佐藤 耕輔
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦
【識別番号】100084618、【弁理士】、【氏名又は名称】村松 貞男
【識別番号】100092196、【弁理士】、【氏名又は名称】橋本 良郎
【識別番号】100091351、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 哲
【識別番号】100088683、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 誠
【識別番号】100070437、【弁理士】、【氏名又は名称】河井 将次
審査官 【審査官】井上 香緒梨
参考文献・文献 特開2001-318151(JP,A)
特開2001-033560(JP,A)
特開昭62-273478(JP,A)
特開平06-317671(JP,A)
特開平04-168391(JP,A)
調査した分野 G01T 1/161
特許請求の範囲 【請求項1】
体内に投与された放射性核種より放出される放射線を検出して核種の分布を測定する放射線検出器において、
前記放射性核種より放出される放射線が入射すると蛍光作用によりシンチレーション光を発光するシンチレーション結晶と、このシンチレーション結晶から放出されたシンチレーション光を電気信号に変換する光電子変換器と、この光電子変換器の出力信号が所定のレベルを超えるとタイミング信号を発生するタイミング信号発生回路と、このタイミング信号発生回路よりタイミング信号が入力されると前記光電子変換器の出力信号をデジタル信号に変換する信号処理回路と、一定時間間隔のパルスを発生するクロック及びこのクロックから出力されるパルスを計数するカウンタを有し、前記タイミング信号発生回路よりタイミング信号が入力されると前記カウンタで計数されたカウント値を出力する時間計測部と、この時間計測部より出力されるカウント値を記憶すると共に、前記信号処理回路で処理された出力信号を記憶する記憶部とを備えたことを特徴とする放射線検出器。
【請求項2】
請求項1記載の放射線検出器において、時間計測部は外部トリガ入力部を備え、この外部トリガ入力部に測定スタート信号が入力されるとそのときのカウンタ値を前記カウンタより前記記憶部に入力して記憶させるようにしたことを特徴とする放射線検出器。
【請求項3】
体内に投与された放射性核種より放出される放射線を検出して核種の分布を測定する放射線検出器において、
前記放射性核種より放出される放射線が入射すると蛍光作用によりシンチレーション光を発光するシンチレーション結晶と、このシンチレーション結晶から放出されたシンチレーション光を電気信号に変換する光電子変換器とを有する検出器ヘッドと、この検出器ヘッドを被検体を中心に回転させる回転機構と、一定時間間隔のパルスを発生するクロックと、このクロックから出力されるパルス数に応じて前記回転機構を駆動制御する回転駆動制御部と、前記検出器ヘッドに有する光電子変換器の出力信号が所定のレベルを超えるとタイミング信号を発生するタイミング信号発生回路と、このタイミング信号発生回路よりタイミング信号が入力されると前記光電子変換器の出力信号をデジタル信号に変換する信号処理回路と、前記クロックから出力されるパルスを計数するカウンタを有し、前記タイミング信号発生回路よりタイミング信号が入力されると前記カウンタで計数されたカウント値を出力する時間計測部と、この時間計測部より出力されるカウント値を記憶すると共に、前記信号処理回路で処理された出力信号を記憶する記憶部とを備えたことを特徴とする放射線検出器。
【請求項4】
体内に投与された放射性核種より放出される放射線を検出して核種の分布を測定する放射線検出器において、
前記放射性核種より放出される放射線を検出して電気信号に変換する半導体素子を有する検出器ヘッドと、この検出器ヘッドを被検体を中心に回転させる回転機構と、一定時間間隔のパルスを発生するクロックと、このクロックから出力されるパルス数に応じて前記回転機構を駆動制御する回転駆動制御部と、前記検出器ヘッドに有する半導体素子の出力信号が所定のレベルを超えるとタイミング信号を発生するタイミング信号発生回路と、このタイミング信号発生回路よりタイミング信号が入力されると前記半導体素子の出力信号をデジタル信号に変換する信号処理回路と、前記クロックから出力されるパルスを計数するカウンタを有し、前記タイミング信号発生回路よりタイミング信号が入力されると前記カウンタで計数されたカウント値を出力する時間計測部と、この時間計測部より出力されるカウント値を記憶すると共に、前記信号処理回路で処理された出力信号を記憶する記憶部とを備えたことを特徴とする放射線検出器。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シンチレータあるいは半導体素子を用いた放射線検出装置、特に核医学で用いられるガンマカメラ、ポジトロンカメラなどの位置敏感型放射線検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、核医学の進展につれて、体内に放射性核種を投与し、この核種より放出される放射線を検出して核種の分布を測定することにより、病巣の診断を行うことが可能となった。
【0003】
一般的にガンマ線放出核種の分布を検出する装置としては、ガンマカメラ、あるいはシンチレーションカメラがあり、ポジトロン放出核種を検出する装置としてはポジトロンカメラと呼ばれるものが、またCT技術を用いてポジトロン放出核種分布の3次元画像を得る装置としてはポジトロンCT、あるいはPETと呼ばれるものがある。
【0004】
一方、がん治療の分野では、重イオンを用いた粒子線がん治療装置が注目を集めている。この粒子線がん治療方法は、加速器リングで高エネルギーに加速した炭素などの重イオンビームをがん組織に集中的に照射し、がん細胞のみを死滅させる治療方法である。この治療方法において、照射位置の高精度化を目的として、ポジトロン放出核種である炭素同位体ビームを照射してポジトロン核種の位置検出を行うポジトロンカメラシステムが開発されつつある。
【0005】
上記ポジトロン放出核種は、核種より生成されたポジトロン(陽電子)が電子との対消滅によりほぼ180度異なる方向に2つのガンマ線を放出する。ポジトロンカメラは、この2つのガンマ線を検出し、ポジトロン核種の位置を求めるものである。よって、ポジトロン放出核種分布測定の検出の基本部分は、ガンマ線放出核種の場合と同等である。
【0006】
ここで、核医学の分野で、もっとも一般的に用いられている位置敏感型シンチレーション検出器、アンガー型ガンマカメラについて図5により説明する。
【0007】
図5はアンガー型ガンマカメラの概略構成図である。
【0008】
図5において、1はガンマカメラで、このガンマカメラ1は検出器ヘッド2と測定回路11とを備えている。
【0009】
上記検出器ヘッド2は、シンチレーション結晶3、ライトガイド4、複数個の光電子増倍管5及び鉛コリメータ6で構成されている。
【0010】
シンチレーション結晶3は、平板形状のヨウ化ナトリウムであり、例えば直径50cm、厚さ1cmの大きさを有している。このシンチレーション結晶3には、ガラス製のライトガイド4が、さらにライトガイド4には複数個の光電子増倍管5が二次元的に配置されてそれぞれ取付けられている。また、鉛コリメータ6は、複数の平行な孔を有し、シンチレーション結晶3の全面に配備されている。
【0011】
一方、計測回路11は、タイミング信号生成部12、信号処理部13、記憶部14から構成されている。
【0012】
タイミング信号生成部12には、信号ロジック15、トリガ発生器16が備えられている。また、信号処理部13には、波形整形器17とAD変換器18が備えられている。記憶部14には、通信ライン19を経由してデータ処理計算機20が接続されている。
【0013】
このような構成のガンマカメラにおいて、ガンマ線放出核種の位置検出は以下のようにして行われる。
【0014】
体内のガンマ線放出核種から放出された一つのガンマ線が鉛コリメータ6を通してシンチレーション結晶3に入射すると、シンチレーション結晶3は蛍光作用によりシンチレーション光を発光する。一つのガンマ線入射に対して放出されるシンチレーション光の数は、ガンマ線のエネルギーにもよるが、数万個程度あり、これらは全方向に向けて放出される。
【0015】
このシンチレーション結晶3から放出されたシンチレーション光は、ライトガイド4を経由して複数個の光電子増倍管5に伝えられる。これらの光電子増倍管5は、シンチレーション光を受光して電気信号に変換し、その出力信号はシンチレーション光量に応じたパルス波高となる。
【0016】
各光電子増倍管5の受光量は、入射した一つのガンマ線からの距離を反映する。つまり、パルス波高が最も大きい光電子増倍管は、ガンマ線がシンチレーション光に変換された位置(以下、シンチレーション点と呼ぶ)に最も近い光電子増倍管である。したがって、光電子増倍管5の出力は、統計的なふらつきを無視すればシンチレーション点からの距離に応じた大きさのパルス波高となる。
【0017】
このとき鉛コリメータ6は、体内のガンマ線放出核種から放出されたガンマ線のうち、鉛コリメータ6の孔と平行な成分のみを通過させる働きをする。これにより、シンチレーション結晶3におけるガンマ線の検出位置は、体内におけるガンマ線放出核種の位置を反映することになる。
【0018】
これら各光電子増倍管5からの出力信号は、それぞれ計測回路11にて2つに分けられ、タイミング信号生成部12及び信号処理部13に送られる。
【0019】
タイミング信号生成部12では、信号ロジック15により光電子増倍管5が出力した事象に対して、この事象がガンマ線放出核種から放出されたガンマ線であるかどうかを判定し、真の事象であるときのみトリガ信号を出力する。
【0020】
この場合、真の事象であるか否かを信号ロジック15により判別する方法としては、例えば光電子増倍管5の出力波高値のチャンネル総和が一定範囲内にあるかどうかにより行う方法や、各光電子増倍管5の出力波高値のうち一定レベルを超えるチャンネル数により行う方法などがある。
【0021】
また、信号処理部13では、タイミング信号生成部12からトリガ信号が送られてきたときのみ信号処理を行う。すなわち、信号処理部13中の波形整形器17は、1つのガンマ線の入射に応じた光電子増倍管5の出力信号を整形し、出力最大値にてホールドを行うなどして、波形整形器17に接続されたAD変換器18に信号が読み込まれるようにレベル信号に変換処理を行う。また、必要に応じて波形整形器17で信号の積分化が行われる。レベル信号はAD変換器18においてデジタル信号に変換される。
【0022】
さらに、記憶部14は、AD変換器18からのデジタル出力を保持する。この記憶部14は通信ライン19を経由してデータ処理計算機20に接続され、記憶部14に蓄えられたデータがデータ処理計算機20に伝送される。
【0023】
ここで、記憶部14では、通信による測定のデッドタイムを減少させるため、複数事象分のデータが保持され、一定事象毎、または一定時間毎にまとめてデータ処理計算機20に伝送される。
【0024】
このデータ処理計算機20では、通信ライン19を経由して送られてきた一事象毎の各光電子増倍管5の出力波高値に対応するデジタルデータを処理し、ガンマ線のシンチレーション結晶入射位置を算出する。この算出された事象毎のガンマ線位置を複数事象に渡って蓄積することにより画像データに変換され、表示される。
【0025】
ここで、検出される事象は、しばしば時間情報を持たせるために時間毎に区切って計測される。この目的の一つは、核種の崩壊により補正率が変化するために、画像データに計数補正を行うためである。特にCT撮影を行うような回転型シンチレーションカメラでは、回転角度に対し計数補正が行われる。
【0026】
以上がアンガー型ガンマカメラの構成並びに作用である。
【0027】
次にポジトロンカメラについて説明する。
【0028】
ポジトロンカメラでは、180度異なる方向に放出された2つのガンマ線を対向する位置敏感型シンチレーションカメラにて検出し、ポジトロン核種の位置を算出する。ポジトロンカメラにおけるタイミング信号の生成は、対向するシンチレーションカメラにおけるガンマ線同時計測条件により行うのが一般的である。
【0029】
一方、現在開発中の粒子線がん治療装置におけるポジトロンカメラシステムでは、検査時間の短縮化のため、一般の核医学用核種より短寿命のポジトロン放出核種を検出することが求められている。
【0030】
ここで、短寿命核種としては、例えば寿命10秒程度の10Cなどがある。このシステムにおいて、各事象の時間情報は、他の短寿命核種との分離を行うために重要である。
【0031】
図6は核種10Cを粒子線がん治療装置により体内に注入した場合の計数率曲線を示す一例である。図中では、核種10Cを示す寿命10秒の減衰曲線の他に、さらに短寿命の核種の減衰曲線と長寿命の核種の減衰曲線が混ざり合い、バックグランドとなっていることが、時間軸の10秒を経過しても計数率が零にならないことからもわかる。
【0032】
ここで、寿命10秒の減衰曲線が判別できる時間区分のみの事象を選び出すことにより核種10C以外の事象を大きく減少させることができる。
【0033】
しかしながら、従来の位置敏感型シンチレーション検出器では、事象毎に時間情報を持たないまま一旦記憶部に複数事象分の情報を蓄えた後、その情報をデータ処理計算機20に伝送するため、寿命の短い10Cのような核種に対して時間情報を得る場合は、十分な時間精度が得られないという問題がある。そのため、画像データに他の核種データが混じって画像を不明確にしたり、他の核種データを取り除くときに真の事象データが取り除かれて検出効率が低下するため、計測時間が長くなってしまう。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来のシンチレーション検出器では、短寿命の核種に対して、精度良く事象毎の時間情報を取得するのが難しく、他の核種との分離ができないという問題がある。
【0035】
本発明は上記のような問題点を解消すべくなされたもので、事象毎の時間情報を精度良く取得して、他の核種との分離を可能にし、画質の良好な放射線検出器を提供することを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下のように構成されている。
【0037】
体内に投与された放射性核種より放出される放射線を検出して核種の分布を測定する放射線検出器において、前記放射性核種より放出される放射線が入射すると蛍光作用によりシンチレーション光を発光するシンチレーション結晶と、このシンチレーション結晶から放出されたシンチレーション光を電気信号に変換する光電子変換器と、この光電子変換器の出力信号が所定のレベルを超えるとタイミング信号を発生するタイミング信号発生回路と、このタイミング信号発生回路よりタイミング信号が入力されると前記光電子変換器の出力信号をデジタル信号に変換する信号処理回路と、一定時間間隔のパルスを発生するクロック及びこのクロックから出力されるパルスを計数するカウンタを有し、前記タイミング信号発生回路よりタイミング信号が入力されると前記カウンタで計数されたカウント値を出力する時間計測部と、この時間計測部より出力されるカウント値を記憶すると共に、前記信号処理回路で処理された出力信号を記憶する記憶部とを備えている。さらに、上記時間計測部は外部トリガ入力部を備え、この外部トリガ入力部に測定スタート信号が入力されるとそのときのカウンタ値を前記カウンタより前記記憶部に入力して記憶させる。
【0039】
このような構成の放射線検出器とすれば、事象毎に精度の良い時間情報を持つことができる。したがって、計数率曲線を用いた他の核種との分離が可能となって、測定データから他の核種の混在を減少させるとともに真事象の数え落としを低下させることができ、高検出効率で、画質の良好な放射線検出器を提供することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0041】
図1は本発明によるシンチレーション検出器の第1の実施の形態を示す概略構成図で、図5に示した従来例のものと同じ部品には同一符号を付して説明する。
【0042】
図1において、31はガンマカメラで、このガンマカメラ31は検出器ヘッド2と計測回路41とを備えている。
【0043】
上記検出器ヘッド2は、シンチレーション結晶3、ライトガイド4、複数個の光電子増倍管5及び鉛コリメータ6で構成されている。
【0044】
シンチレーション結晶3は、平板形状のヨウ化ナトリウムであり、例えば直径50cm、厚さ1cmの大きさ有している。このシンチレーション結晶3には、ガラス製のライトガイド4が、さらにライトガイド4には複数個の光電子増倍管5が二次元的に配置されてそれぞれ取付けられている。鉛コリメータ6は、複数の平行な孔を有し、シンチレーション結晶3の全面に配備されている。
【0045】
一方、上記計測回路41は、タイミング信号生成部42、信号処理部13、記憶部44、時間計測部51で構成されている。
【0046】
タイミング信号生成部42には、信号ロジック45、トリガ発生器46が備えられている。また、信号処理部13には、波形整形器17とAD変換器18が備えられている。時間計測部51は、クロック52とカウンタ53、外部トリガ入力部54が備えられている。記憶部44には、通信ライン19を経由してデータ処理計算機20が接続されている。
【0047】
このような構成のガンマカメラ31において、ガンマ線放出核種の位置検出は以下のようにして行われる。
【0048】
体内に投与されたガンマ線放出核種から放出された一つのガンマ線が検出器ヘッド2の鉛コリメータ6を通してシンチレーション結晶3に入射されると、シンチレーション結晶3は蛍光作用によりシンチレーション光を発光する。
【0049】
シンチレーション結晶3から放出されたシンチレーション光は、ライトガイド4を経由して光電子増倍管5に伝えられる。これら光電子増倍管5は、シンチレーション光を受光して電気信号に変換し、その出力信号は統計的なふらつきを無視すれば、シンチレーション光量に応じたパルス波高、つまり、シンチレーション点からの距離に応じたパルス波高となる。
【0050】
このとき鉛コリメータ6は、体内のガンマ線放出核種から放出されたガンマ線のうち、鉛コリメータ6の孔と平行な成分のみを通過させる働きをする。これにより、シンチレーション結晶3におけるガンマ線の検出位置は、体内におけるガンマ線放出核種の位置を反映することになる。
【0051】
これら各光電子増倍管5からの出力信号は、それぞれ計測回路41にて2つに分けられ、タイミング信号生成部42および信号処理部13に送られる。
【0052】
タイミング信号生成部42では、信号ロジック45により光電子増倍管5が出力した事象に対して、この事象がガンマ線放出核種から放出されたガンマ線であるかどうかを判定し、真の事象であるときのみトリガ発生器46からトリガ信号を出力する。
【0053】
また、信号処理部13では、タイミング信号生成部42からトリガ信号が送られてきたときのみ信号処理を行う。すなわち、信号処理部13内の波形整形器17により1つのガンマ線の入射に応じた光電子増倍管5の出力信号を整形し、波形整形器17に接続されたAD変換器18に信号が読み込まれるようにレベル信号に変換処理を行う。また、必要に応じて波形整形器17において信号の積分化が行われる。レベル信号はAD変換器18においてデジタル信号に変換される。
【0054】
一方、時間計測部51に備えられたクロック52は、システム起動と同時にパルス信号を出し始め、カウンタ53はクロック52から出力されたパルス信号を計数している。
【0055】
この時間計測部51に対して、外部トリガ入力部54より測定スタート信号を示す外部トリガ信号が入力されると、このときのカウンタ値が記憶部44に伝送されて記憶される。このときのデータ構造として、真の事象の場合と同様の構造とし、外部トリガ信号入力であることを示すステータスとカウンタ値とに加えて、AD変換器18からのデジタル出力に相当する値を記憶するようにしておけば、演算及び解析ロジックやデータ通信ロジックを単純化することができる。
【0056】
さらに、タイミング信号生成部42から出力されたトリガ信号が時間計測部51に入力されると、このときのカウンタ値が記憶部44に伝送され、真の事象であることを示すステータスとカウンタ値、さらにAD変換器18からのデジタル出力を記憶する。
【0057】
この記憶部44に蓄えられたデータは、通信ライン19を経由してデータ処理計算機20に伝送される。この場合、記憶部44には通信による測定のデッドタイムを減少させるため、複数事象分のデータが保持され、一定事象毎、または一定時間毎にまとめてデータ処理計算機20に伝送される。
【0058】
データ処理計算機20では、通信ライン19を経由して送られてきた一事象毎の各光電子増倍管5の出力波高値に対応するデジタルデータを処理し、シンチレーション結晶3に入射したガンマ線の位置を算出する。この算出された事象毎のガンマ線入射位置を複数事象に渡って蓄積し、これらを画像データに変換した後、図示しない表示装置に表示される。
【0059】
以上説明したように本発明の第1の実施の形態においては、計測回路41にクロック52とカウンタ53が備えられた時間計測部51を設け、記憶部44の出力データに対して事象毎に信号処理部13で処理されたデジタル出力の他にカウンタ値を記録し、さらに時間計測部51に備えられた外部トリガ入力部54に測定スタート信号を入力し、このときのカウンタ値を記録するようにしたものである。そして、時刻計測部51のクロック52より一定周期でパルス信号を発生させ、事象に対応して記録されたカウンタ値から測定スタートに対応するカウンタ値を差し引くことで、正確に事象が発生した時刻を算出できるようにしている。
【0060】
したがって、例えば10Cのような短寿命核種においても、正確な計数率曲線を求めることが可能になり、10Cを示す減衰曲線として判別できる時間区分のみの事象を選び出すことにより核種10C以外からなるバックグランド事象を大きく減少させることができる。
【0061】
よって、測定により得られる画像データの画質が良好で、また真の事象の数え落としが減少するため、高効率なシンチレーション検出器を提供することが可能になる。
【0062】
上述した第1の実施の形態では、本発明をガンマカメラに適用した場合について説明したが、SPECT装置などの回転型シンチレーションカメラや、ポジトロンカメラ、さらにはPET装置、その他のシンチレーション検出器に対しても前述同様に適用実施できることは明らかである。
【0063】
さらに、近年では放射線を検出し、これを電気信号に変換して出力する半導体素子が開発され、この半導体素子をシンチレーション結晶と光電子変換素子からなる検出器ヘッドと置換しても、前述同様の作用効果を得ることができる。このような半導体素子として代表的なものとしてシリコン(Si)があげられる。
【0064】
図2は本発明によるシンチレーション検出器の第2の実施の形態を示す概略構成図で、図1と同一部品には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
【0065】
第2の実施の形態では、図1と同一構成の検出器ヘッド2と計測回路41とを備え、さらに呼吸動作をモニタするための呼吸モニタ装置62と呼吸同期パルス発生回路63とを設け、この呼吸同期パルス発生回路63の出力端を信号ライン64を経由して計測回路41の時間計測部51に備えられた外部トリガ入力部54に接続する構成とするものである。
【0066】
上記呼吸モニタ装置62は、呼吸動作をモニタし、図3に示すような呼吸波形を出力する。図3において、横軸(時間軸)上側が吸期を下部が呼期を示し、また呼吸波形に複数のレベルL1、L2,-L1,-L2が設定されている。
【0067】
また、上記呼吸同期パルス発生回路63は、図3に示す呼吸波形が一定レベルを超えるとパルスを発生し、通過するレベルおよび通過方向によってパルスの波高値が変化するよう設定されている。
【0068】
このような構成のガンマカメラ61において、ガンマ線放出核種の位置検出は以下のようにして行われる。
【0069】
体内に投与されたガンマ線放出核種から放出された一つのガンマ線が検出器ヘッド2の鉛コリメータ6を通してシンチレーション結晶3に入射されると、シンチレーション結晶3は蛍光作用によりシンチレーション光を発光する。
【0070】
シンチレーション結晶3から放出されたシンチレーション光は、ライトガイド4を経由して光電子増倍管5に伝えられる。これら光電子増倍管5は、シンチレーション光を受光して電気信号に変換し、その出力信号は統計的なふらつきを無視すれば、シンチレーション光量に応じたパルス波高、つまり、シンチレーション点からの距離に応じたパルス波高となる。
【0071】
このとき鉛コリメータ6は、体内のガンマ線放出核種から放出されたガンマ線のうち、鉛コリメータ6の孔と平行な成分のみを通過させる働きをする。これにより、シンチレーション結晶3におけるガンマ線の検出位置は、体内におけるガンマ線放出核種の位置を反映することになる。
【0072】
これら各光電子増倍管5からの出力信号は、それぞれ計測回路41にて2つに分けられ、タイミング信号生成部42および信号処理部13に送られる。
【0073】
タイミング信号生成部42では、信号ロジック45により光電子増倍管5が出力した事象に対して、この事象がガンマ線放出核種から放出されたガンマ線であるかどうかを判定し、真の事象であるときのみトリガ信号を出力する。
【0074】
また、信号処理部13では、タイミング信号生成部42からトリガ信号が送られてきたときのみ信号処理を行う。すなわち、信号処理部13の波形整形器17により1つのガンマ線の入射に応じた光電子増倍管5の出力信号を整形し、波形整形器17に接続されたAD変換器18に信号が読み込まれるようにレベル信号に変換処理を行う。また、必要に応じて波形整形器17において信号の積分化が行われる。レベル信号はAD変換器18においてデジタル信号に変換される。
【0075】
一方、時間計測部51に備えられたクロック52は、システム起動と同時にパルス信号を出し始め、カウンタ53はクロック52から出力されたパルス信号の積算数を数えている。
【0076】
この時間計測部51に対して、外部トリガ入力部54より測定スタート信号を示す外部トリガ信号が入力されると、このときのカウンタ値が記憶部44に伝送されて記憶される。このときのデータ構造として、真の事象の場合と同様の構造とし、外部トリガ信号入力であることを示すステータスとカウンタ値とに加えて、AD変換器18からのデジタル出力に相当する値を記憶するようにしておけば、演算及び解析ロジックやデータ通信ロジックを単純化することができる。
【0077】
さらに、タイミング信号生成部42から出力されたトリガ信号が時間計測部51に入力されると、このときのカウンタ値が記憶部44に伝送され、真の事象であることを示すステータスとカウンタ値、さらにAD変換器18からのデジタル出力を記憶する。
【0078】
また、時間計測部51に対して、外部トリガ入力部54を通して呼吸同期パルス発生回路63から呼吸同期パルスが入力されると、このときのカウンタ値と呼吸同期パルスの波高値をあらわす値が記憶部44に伝送されて記憶される。
【0079】
記憶部44は通信ライン19を経由してデータ処理計算機20に接続されており、記憶部に蓄えられたデータがデータ処理計算機20に伝送される。ここで、記憶部44では、通信による測定のデッドタイムを減少させるため、複数事象分のデータが保持され、一定事象毎、または一定時間毎にまとめてデータ処理計算機に伝送される。
【0080】
データ処理計算機20では、通信ライン19を経由して送られてきた一事象毎の各光電子増倍管波高値に対応するデジタルデータを処理し、シンチレーション結晶3に入射したガンマ線の位置を算出する。この算出された事象毎のガンマ線位置を複数事象に渡って蓄積し、これらを画像データに変換した後、図示しない表示装置に表示される。
【0081】
このような構成の第2の実施の形態とすれば、第1の実施の形態と同様に測定により得られる画像データの画質が良好で、また真の事象の数え落としを減少させることができる。
【0082】
また、データに記録された呼吸同期パルスとその波高値を識別すれば、各事象が発生したときの呼吸波形の位相を得ることができると共に、これら位相毎に画像データを作成することにより、呼吸による臓器の移動による位置変動を補正することが可能になる。さらに、事象毎に記録されたカウンタ値により、各位相において事象が発生した時刻を用いて画像データを補正することが可能になり、より精度良い画像データを得ることができる。
【0083】
上述した第2の実施の形態では、呼吸動作、すなわち肺および横隔膜の動きによる臓器の移動による位置変動を補正する例について示したが、心臓画像を得るための心拍や、その他の臓器の動きについても、これらの動き波形を前述同様に時間計測部51を経由して記憶部44に入力するようにすれば、前述同様に動きに対する補正を行うことができる。
【0084】
上述した第2の実施の形態では、ガンマカメラに適用した場合について説明したが、SPECT装置などの回転型シンチレーションカメラや、ポジトロンカメラ、さらにはPET装置、その他のシンチレーション検出器に対しても前述同様に適用実施できることは明らかである。
【0085】
さらに、上記第2の実施の形態において、放射線の検出可能な半導体素子を検出器ヘッドとして用いても、前述同様に精度の良い画像データを得ることのできる。
【0086】
次に、本発明第3の実施形態に関わる位置敏感型シンチレーション検出器、回転型ガンマカメラについて説明する。
図4は本発明によるシンチレーション検出器の第3の実施の形態として回転型ガンマカメラを示す概略構成図で、図1と同一部品には同一符号を付して説明する。
【0087】
図4において、71はガンマカメラで、このガンマカメラ71は検出器ヘッド2と計測回路77とを備えている。
【0088】
上記検出器ヘッド2は図1のそれと同一構成なので、ここではその説明を省略する。
【0089】
また、上記計測回路77は、タイミング信号生成部42、信号処理部13、記憶部44、時間計測部78で構成されている。
【0090】
タイミング信号生成部42には、信号ロジック45、トリガ発生器46が備えられている。また、信号処理部13には、波形整形器17とAD変換器18が備えられている。時間計測部78は、カウンタ79、外部トリガ入力部80が備えられている。記憶部44には、通信ライン19を経由してデータ処理計算機20が接続されている。
【0091】
一方、上記検出器ヘッド2は、回転機構73に取り付けられ、ベッド72を中心として回転できるように構成されている。この回転機構73には、パルスモータ74が取付けられ、さらにこのパルスモータ74にクロック76を有する回転制御装置75が接続されている。
【0092】
また、回転制御装置75のクロック76と時間計測部78のカウンタ79とが通信ライン81を経由して接続され、さらに回転制御装置75とデータ処理計算機20との間も通信ライン82により接続されている。
【0093】
このような構成のガンマカメラ71において、ガンマ線放出核種の位置検出は以下のようにして行われる。
【0094】
回転制御装置75よりデータ処理計算機20に測定開始信号が入力されると、これと同時にクロック76が動作をはじめ、クロック76から出力されるパルスは回転機構73のパルスモータ74および時間計測部78のカウンタ79に送信される。パルスモータ74は受信したパルス数に応じてベッドの周りに検出器ヘッド2を回転させる。
【0095】
このとき時間計測部78のカウンタ79は、クロック76から出力されたパルス信号を計数している。
【0096】
体内に投与されたガンマ線放出核種から放出された一つのガンマ線が検出器ヘッド2の鉛コリメータ6を通してシンチレーション結晶3に入射されると、このシンチレーション結晶3から放出されたシンチレーション光は、ライトガイド4を経由し光電子増倍管5に伝えられる。これら光電子増倍管5は、シンチレーション光を受光して電気信号に変換し、その出力信号は計測回路77に入力する。
【0097】
この計測回路77では、各光電子増倍管5からの出力信号を2つに分けられ、タイミング信号生成部42および信号処理部13に送られる。
【0098】
タイミング信号生成部42では、信号ロジック45により光電子増倍管5が出力した事象に対して、この事象がガンマ線放出核種から放出されたガンマ線であるかどうかを判定し、真の事象であるときトリガ発生器46からトリガ信号を出力する。
【0099】
また、信号処理部13では、タイミング信号生成部42からトリガ信号が送られてきたときのみ光電子増倍管5の出力信号をデジタル信号に変換する。
【0100】
さらに、タイミング信号生成部42から出力されたトリガ信号が時間計測部51に入力されると、このときのカウンタ値が記憶部44に伝送され、真の事象であることを示すステータスとカウンタ値、さらにAD変換器18からのデジタル出力を記憶する。
【0101】
この記憶部44に蓄えられたデータは、通信ライン19を経由してデータ処理計算機20に伝送される。この場合、記憶部44には通信による測定のデッドタイムを減少させるため、複数事象分のデータが保持され、一定事象毎、または一定時間毎にまとめてデータ処理計算機20に伝送される。
【0102】
データ処理計算機20では、通信ライン19を経由して送られてきた一事象毎の各光電子増倍管5の出力波高値に対応するデジタルデータを処理し、シンチレーション結晶3に入射したガンマ線の位置を算出する。この算出された事象毎のガンマ線入射位置を複数事象に渡って蓄積し、これらを画像データに変換した後、図示しない表示装置に表示される。
【0103】
このような構成の第3の実施の形態によれば、回転制御装置75のクロック76から出力されるパルスにより回転機構73の制御が行われ、これと同時にカウンタ79によりクロック76から出力されるパルス数を計数して、事象データに事象が発生したカウンタ値を記憶部44に記憶させている。これにより、データに記録されたカウンタ値を識別することにより、事象の発生したときの検出器ヘッド2の回転角度が一意に求められることが可能になる。
【0104】
したがって、検出器ヘッド2の回転角度を一定時間保持する必要がなく、例えば高速回転させながら測定することが可能になる。この場合、計数率が変化する時間よりも回転速度を大きくすることができるので、検出器ヘッド2の回転角度に応じて計数率補正を行う必要がなくなる。よって、計数率補正に伴う不確定性が減少し、精度の良い画像を得ることが可能になる。
【0105】
なお、確認のために、予め決められた角度になる毎に角度をあらわす信号が外部入力トリガ信号口より入力されるようにしておけばよい。この場合、カウンタ値が記憶部44に伝送され、記憶される。このときのデータ構造として、外部トリガ信号入力であることを示すステータスを付記する。
【0106】
上述した第3の実施の形態では、本発明を回転型ガンマカメラに適用した場合について説明したが、PET装置にも前述同様に適用実施できるものである。
【0107】
さらに、上記実施の形態では、シンチレーション結晶を用いたシンチレーション検出器について示したが、位置敏感型半導体素子を検出器ヘッド2に代えて設けたものにおいても、前記実施の形態と同様に実施することができる。
【0108】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、事象毎の時間情報を精度良く取得して、他の核種との分離を可能にし、画質の良好な放射線検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による放射線検出器の第1の実施の形態を示す概略構成図。
【図2】本発明による放射線検出器の第2の実施の形態を示す概略構成図。
【図3】同実施の形態における呼吸モニタ装置による呼吸波形を示す図。
【図4】本発明による放射線検出器の第3の実施の形態を示す概略構成図。
【図5】従来例におけるガンマカメラの概略構成図。
【図6】ガンマカメラにおいて計数率の時間変化を示す図。
【符号の説明】
1、31、71…ガンマカメラ
2…検出器ヘッド
3…シンチレーション結晶
4…ライトガイド
5…光電子増倍管
6…鉛コリメータ
11、41,77…計測回路
12、42…タイミング信号生成部
13、43…信号処理部
14、44…記憶部
15、45…信号ロジック
16、46…トリガ発生器
17…波形整形器
18…AD変換器
19,81…通信ライン
20…データ処理計算機
51,78…時間計測部
52,76…クロック
53,79…カウンタ
54,80…外部トリガ入力部
72…ベッド
73…回転機構
74…パルスモータ
75…回転制御装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5