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明細書 :サンプル用ラベルの使用方法、及び被検者匿名化方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3994129号 (P3994129)
公開番号 特開2003-315347 (P2003-315347A)
登録日 平成19年8月10日(2007.8.10)
発行日 平成19年10月17日(2007.10.17)
公開日 平成15年11月6日(2003.11.6)
発明の名称または考案の名称 サンプル用ラベルの使用方法、及び被検者匿名化方法
国際特許分類 G01N  35/02        (2006.01)
G06Q  50/00        (2006.01)
G06K   7/00        (2006.01)
FI G01N 35/02 C
G06F 17/60 126E
G06K 7/00 U
請求項の数または発明の数 10
全頁数 25
出願番号 特願2002-118871 (P2002-118871)
出願日 平成14年4月22日(2002.4.22)
審査請求日 平成17年3月10日(2005.3.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】西谷 亜希子
【氏名】野田 秀平
【氏名】岩川 眞由美
【氏名】今井 高志
個別代理人の代理人 【識別番号】100064414、【弁理士】、【氏名又は名称】磯野 道造
審査官 【審査官】郡山 順
参考文献・文献 特開平11-306271(JP,A)
特開平05-273216(JP,A)
特開2001-165935(JP,A)
特開2000-272191(JP,A)
実開平06-010867(JP,U)
登録実用新案第3044564(JP,U)
調査した分野 G01N 35/02
G06K 7/00
G06Q 50/00
特許請求の範囲 【請求項1】
第1のID表示部と第2のID表示部を有し、少なくとも前記第1のID表示部には、コンピュータに識別可能な表記が第1のIDとして表示され、少なくとも前記第2のID表示部には、人間に識別可能な表記が第2のIDとして表示され、前記第1のID表示部と前記第2のID表示部は対にして使用されるサンプル用ラベルの使用方法であって、
前記サンプル用ラベルは、発行元からサンプルの採取先に送付され、
前記第1のIDは、サンプルの採取先で採取されてサンプルの解析先で解析されるサンプルのサンプル番号として使用し、さらに、前記第1のIDは、第1のファイルにサンプルの解析結果と対応付けて記憶し、
前記サンプル用ラベルに表示された第2のIDと対応関係にある第3のIDを発行し、この第3のIDと前記第1のIDを第2のファイルに対応付けて記憶し、さらに、前記第3のIDと被検者の個人情報を第3のファイルに対応付けて記憶し、
前記各ファイルの管理が別々の管理者により行なわれる場合において、
前記サンプルの解析の結果、当該解析結果に係るサンプルを提供した被検者に連絡する必要があるときは、
前記第1のファイルの管理者が、連絡する必要のあるサンプルの解析結果に対応する第1のIDを前記第2のファイルの管理者に通知し、
このように第1のIDを通知された第2のファイルの管理者が、通知された第1のIDに対応する第3のIDを第2のファイルの中から抽出して、前記第3のファイルの管理者にこの抽出した第3のIDを通知し、
このように第3のIDを通知された第3のファイルの管理者が、通知された第3のIDに対応する被検者の個人情報を第3のファイルの中から抽出し、
このように抽出した被検者の個人情報に基づいて被検者を特定し、前記サンプルの解析結果についての連絡を行なうようにしたこと、
を特徴とするサンプル用ラベルの使用方法。
【請求項2】
IDの発行元にて、
被検者から採取されるサンプルに固有のサンプル番号としての第1のIDと、サンプルの採取先の施設を特定する情報を含むが被検者を特定可能な情報を含まず、かつ被検者毎のIDとなる第2のIDと、被検者に固有の被検者IDとしての第3のIDとを発行するID発行処理を行い、
前記第2のIDと前記第3のIDとを対応付けて記憶手段に記憶するIDの対応関係記憶処理を行い、
サンプルの採取先にて、
前記発行された第1のIDを用いて、当該第1のIDに対応付けて前記被検者からサンプルを採取する処理を行い、
前記発行された第2のIDを用いて、当該第2のIDに対応付けて前記被検者の個人情報を採取する処理を行い、
前記採取したサンプルを、前記第1のIDで識別された状態でサンプルの解析部門宛に送付する処理を行い、
前記採取した個人情報を、前記第2のIDで識別された状態で個人情報の管理部門宛に送付する処理を行い、
サンプルの解析部門にて、
前記第1のIDをサンプル番号として前記送付されたサンプルの解析を行い、解析結果を前記第1のIDに対応付けて、第1のファイルとして解析結果記憶用の記憶手段に記憶する解析結果の記憶処理を行い、
個人情報の管理部門にて、
前記第3のIDに対応付けて個人情報を記憶する個人情報の記憶処理を行う
被検者匿名化方法であって、
個人情報管理用のコンピュータは、前記個人情報の記憶処理として、
前記サンプルの採取先から、当該採取先にてサンプルとともに採取された個人情報が前記第2のIDで識別されて送付された際に、
入力手段を介して前記個人情報及び前記第2のIDが入力されると、前記記憶手段に記憶された前記第2のIDと前記第3のIDとの対応関係を参照して、前記入力された個人情報を前記第3のIDに対応付けて、第3のファイルとして個人情報記憶用の記憶手段に記憶する処理を行うこと、
を特徴とする被検者匿名化方法。
【請求項3】
前記IDの発行元では、コンピュータが、
前記IDの対応関係記憶処理として、発行された前記第2のIDと前記第3のIDとを対応付けて記憶手段に記憶する処理を行い、
前記ID発行処理として、発行された前記第2のIDと対応関係を有する前記第1のIDを発行する処理とを行うこと、
を特徴とする請求項2に記載の被検者匿名化方法。
【請求項4】
前記IDの発行元では、コンピュータが、
入力手段を介して入力された前記第2のIDに対応する前記第3のIDの発行処理を行うこと、
を特徴とする請求項3に記載の被検者匿名化方法。
【請求項5】
採取したサンプルを入れるサンプル容器を封筒に入れて前記サンプルの採取先に送付すると共に、サンプルを提供する被検者の個人情報が記載される登録用紙を前記サンプルの採取先に送付する場合において、
コンピュータが、
前記第2のIDを人間に識別可能なように表示した、前記封筒及び前記登録用紙に貼付するためのラベルを作成する処理を行うこと、
を特徴とする請求項2に記載の被検者匿名化方法。
【請求項6】
前記第1のファイルを記憶した解析結果記憶用の記憶手段、及び、前記第3のファイルを記憶した個人情報記憶用の記憶手段に加えて、前記第1のIDと前記第3のIDとを対応付けた第2のファイルを記憶した記憶手段が準備されており、
前記各ファイルの管理が別々の管理者により行なわれる場合において、
前記サンプルの解析の結果、当該解析結果に係るサンプルを提供した被検者に連絡する必要があるときは、
前記第1のファイルの管理者が、連絡する必要のあるサンプルの解析結果に対応する第1のIDを前記第2のファイルの管理者に通知し、
このように第1のIDを通知された第2のファイルの管理者が、通知された第1のIDに対応する第3のIDを第2のファイルの中から抽出して、前記第3のファイルの管理者にこの抽出した第3のIDを通知し、
このように第3のIDを通知された第3のファイルの管理者が、通知された第3のIDに対応する被検者の個人情報を第3のファイルの中から抽出し、
このように抽出した被検者の個人情報に基づいて被検者を特定し、前記サンプルの解析結果についての連絡を行なうようにしたこと、
を特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の被検者匿名化方法。
【請求項7】
IDの発行元にて、
被検者から採取されるサンプルに固有のサンプル番号としての第1のIDと、サンプルの採取先の施設を特定する情報を含むが被検者を特定可能な情報を含まず、かつ被検者毎のIDとなる第2のIDと、被検者に固有の被検者IDとしての第3のIDとを発行し、
そのうち、第1のIDと第2のIDをサンプルの採取先宛に通知又は送付し、
サンプルの採取先にて、
通知又は送付された2つのIDのうち、前記第1のIDをサンプルの識別子として用い、
サンプルを提供する被検者の匿名化を図る、被検者匿名化方法であって、
サンプルの採取前にコンピュータが、
サンプルを提供する被検者の数を充足する数、第2のIDを発行するステップ、
前記第2のIDに対応した第3のIDを発行するステップ、
前記第3のIDに対応した第1のIDを発行するステップ、
前記第1のIDと前記第2のIDを、通信ネットワークを介して前記サンプルの採取先のコンピータに通知又は送付するステップ、
前記第2のIDと前記第3のIDの対応関係を、記憶手段に記憶するステップを行い、
サンプル採取後にコンピュータが
前記サンプルの採取先からの返信として得られた、前記第2のIDにより識別された被検者の個人情報が入力されると、前記記憶手段に記憶された第2のIDと前記第3のIDの対応関係を参照しつつ、第2のIDに対応する前記第3のIDに対応付けて前記個人情報を、第3のファイルに記憶するステップを行うこと、
を特徴とする被検者匿名化方法。
【請求項8】
前記第1のIDを発行する処理において、コンピュータは、
疾患種別と当該疾患種別の略称との対応関係を示したテーブルを記憶手段に記憶しており、
入力手段を介して疾患種別が入力されると、前記記憶されたテーブルを参照して疾患種別の略称を決定し、当該決定した疾患種別の略称を含む第1のIDを作成すること、
を特徴とする請求項2又は請求項7に記載の被検者匿名化方法。
【請求項9】
前記発行した第1のIDが表示されたラベルを作成する処理において、コンピュータは、
前記第1のIDをバーコードに変換する処理と、前記入力された疾患種別を人間に認知可能なように文字を含む記号に変換する処理と、前記バーコード及び前記記号を並べたレイアウトを作成する処理とを行うこと、
を特徴とする請求項8に記載の被検者匿名化方法。
【請求項10】
IDの発行元にて、
被検者から採取されるサンプルに固有のサンプル番号としての第1のIDと、サンプルの採取先の施設を特定する情報を含むが被検者を特定可能な情報を含まず、かつ被検者毎のIDとなる第2のIDと、被検者に固有の被検者IDとしての第3のIDとを発行し、
前記発行した3つのIDのうちの前記第1のIDと前記第2のIDが表示されたラベルが貼付され、前記サンプルの採取先にてサンプルが採取されるサンプル容器を準備し、
前記発行した3つのIDのうちの前記第2のIDが表示され、前記サンプルの採取先にてサンプルを提供する被検者の個人情報が記載される登録用紙を準備し、
前記ラベルを貼付したサンプル容器と前記登録用紙とを、前記サンプルの採取先宛に送付し、
サンプルの採取先にて、
前記送付されたサンプル容器に、前記被検者からサンプルを採取し、サンプル容器に貼付されたラベルから前記第2のIDを消去又は取り除き、サンプルの解析部門宛に送付し、
前記送付された登録用紙に、前記サンプルを提供する被検者の個人情報を記載して、個人情報の管理部門宛に送付し、
サンプルの解析部門にて、
前記サンプルの採取先から送付されたサンプル容器に表示された第1のIDをサンプル番号としてサンプル容器に採取されたサンプルの解析を行い、前記第1のIDに対応付けて、第1のファイルとして解析結果記憶用の記憶手段に記憶する解析結果の記憶処理を行い、
個人情報の管理部門にて、
前記サンプルの採取先から送付された登録用紙に記載された個人情報の登録を行う被検者匿名化方法であって、
個人情報管理用のコンピュータは、
入力手段を介して入力された前記第2のIDに対応する前記第3のIDの発行処理と、
前記第2のIDと前記第3のIDの対応関係を記憶手段に記憶する処理とを行い、
サンプル番号発行用のコンピュータは、
前記個人情報管理用のコンピュータが発行した前記第2のIDと対応関係を有する前記第1のIDを発行する処理と、
前記個人情報管理用のコンピュータが発行した前記第2のID及び前記発行した第1のIDを用いて、印刷手段を介して前記第1のIDと前記第2のIDが表示されたラベルを作成する処理とを行い、
前記個人情報管理用のコンピュータは、
前記登録用紙が送付された際に、入力手段を介して前記登録用紙に記載された個人情報及び前記第2のIDが入力されると、前記記憶手段に記憶された前記第2のIDと前記第3のIDとの対応関係を参照して、前記入力された個人情報を前記第3のIDに対応付けて、第3のファイルとして個人情報記憶用の記憶手段に記憶する処理を行うこと、
を特徴とする被検者匿名化方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サンプル用ラベルの使用方法、及び被検者匿名化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、遺伝子に関する研究が盛んに行なわれるようになった。しかし、遺伝子に関する研究のデータは、個人のプライバシに深くかかわるものである。このため、例えば、被検者から提供された血液などのサンプルや医学的情報などの中から個人を特定できる情報(氏名、生年月日、住所など)を取り除いて匿名化する必要がある。ここで匿名化とは、例えばある種の物や情報から、個人の氏名、生年月日、住所、電話番号などの人を特定する個人識別情報を取り除くことである。また、例えば提供された血液などや医学的情報などの中から個人を特定できる情報(氏名、生年月日、住所など)を取り除くことである。この際、取り除いた情報に代えて、それだけでは個人を特定することのできない符号や番号を付すことが行なわれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、昨年(2001年)、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省の三省が共同して、ヒトゲノム・遺伝子解析研究一般に適用されるべき倫理指針として「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を告示した。従って、この指針に則って遺伝子解析研究を行なう必要がある。そのためには、この倫理指針に則った被検者の匿名化を行なう必要がある。
また、遺伝子解析研究においては、いかに多くのデータを得ることができるかが重要になる。つまり、いかに多くの被検者からサンプルや医学的情報などを得ることができるかが重要になる。このためには、被検者を確実に匿名化する必要がある。また、得られた多くのサンプルや医学的情報を確実に解析する必要がある。
【0004】
そこで、本発明は、被検者の匿名化を確実に行なうことなどのできるサンプル用ラベルの使用方法、及び被検者匿名化方法を提供することを主たる課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み鋭意研究を行ない、第1のID表示部と第2のID表示部を有し、少なくとも前記第1のID表示部には、コンピュータに識別可能な表記が第1のIDとして表示され、少なくとも前記第2のID表示部には、人間に識別可能な表記が第2のIDとして表示され、前記第1のID表示部と前記第2のID表示部は対にして使用されるサンプル用ラベルの使用方法であり、前記サンプルの解析の結果、当該解析結果に係るサンプルを提供した被検者に連絡する必要があるときは、各IDを用いて被検者を特定し、前記サンプルの解析結果についての連絡を行なうようにした。
【0006】
また、IDの発行元にて、被検者から採取されるサンプルに固有のサンプル番号としての第1のIDと、サンプルの採取先の施設を特定する情報を含むが被検者を特定可能な情報を含まず、かつ被検者毎のIDとなる第2のIDと、被検者に固有の被検者IDとしての第3のIDとを発行するID発行処理を行い、前記第2のIDと前記第3のIDとを対応付けて記憶手段に記憶するIDの対応関係記憶処理を行い、個人情報管理用のコンピュータは、前記個人情報の記憶処理として、前記サンプルの採取先から、当該採取先にてサンプルとともに採取された個人情報が前記第2のIDで識別されて送付された際に、入力手段を介して前記個人情報及び前記第2のIDが入力されると、前記記憶手段に記憶された前記第2のIDと前記第3のIDとの対応関係を参照して、前記入力された個人情報を前記第3のIDに対応付けて、第3のファイルとして個人情報記憶用の記憶手段に記憶する処理を行うこととして、被検者の匿名化を行うようにした。
【0007】
これにより、サンプルの採取、解析が効率的に行なわれる。また、被検者の匿名化が確実に行なわれる。なお、本発明は、連結不可能匿名化あるいは連結可能匿名化のいずれの方式にも適用することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下説明する実施形態は、サンプル番号、病院毎通し番号、被検者IDという3つのIDを用いて被検者の匿名化を行なう被検者匿名化方法に関するものである。かつ、被検者を匿名化しつつサンプルの識別に使用されるサンプル用ラベル(以下単に「ラベル」という)とその使用方法についてのものである。ここで、「サンプル番号」が請求項の「第1のID」に相当し、「病院毎通し番号」が請求項の「第2のID」に相当し、「被検者ID」が請求項の「第3のID」に相当する。「第1のID」に相当する「サンプル番号」は、コンピュータには識別可能、かつ人間には識別不可能になっている。
【0009】
〔用語の意味〕
また、以下の説明において使用する用語の意味内容は、次のとおりである。
「サンプル(試料)」とは、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に用いようとする血液、組織、細胞、体液、排泄物及びこれらから抽出したDNAなどの、人の体の一部並びに被検者(提供者)の診療情報(死者から提供されたものを含む)をいう。ただし、学術的な価値が定まり、研究実績として十分に認められ、研究用に広く一般に利用され、かつ、一般に入手可能な組織、細胞、体液及び排泄物並びにこれらから抽出したDNAなどは、含まれない。
「診療情報」とは、診断及び治療を通じて得られた疾病名、投薬名、検査結果などの情報をいう。
【0010】
「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」とは、被検者の個体を形成する細胞に共通して存在し、その子孫に受け継がれ得るヒトゲノム及び遺伝子の構造又は機能を、サンプルを用いて明らかにしようとする研究をいう。
「遺伝情報」とは、サンプルを用いて実施されるヒトゲノム・遺伝子解析研究の過程を通じて得られ、又は既にサンプルに付随している個人の遺伝的特徴や体質を示す情報をいう。
【0011】
「個人情報」とは、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう。なお、代表的な個人情報には、人の氏名、生年月日、住所、電話番号のほか、被検者1人1人に付された診療登録番号などの符号を含む情報などが考えられる。
【0012】
「匿名化」とは、ある人の個人情報が外部に漏洩しないように、その個人情報から個人を識別する情報の全部又は一部を取り除き、代わりにその人と関わりのない符号又は番号を付すことをいう。サンプルに付随する情報のうち、ある情報だけでは特定の人を識別できない情報であっても、各種の名簿などの他で入手できる情報と組み合わせることにより、その人を識別できる場合には、組合せに必要な情報の全部又は一部を取り除いて、その人が識別できないようにすることをいう。匿名化には、次に掲げるものがある。
a 連結可能匿名化; 必要な場合に個人を識別できるように、その人と新たに付された符号又は番号の対応表を残す方法による匿名化である。以下に説明する実施形態の匿名化は、この連結可能匿名化である。
b 連結不可能匿名化; 個人を識別できないように、上記aのような対応表を残さない方法による匿名化である。
【0013】
「個人情報管理者」とは、サンプルの提供が行なわれる機関を含め、個人情報を取り扱う研究機関において、研究機関の長の指示を受け、被検者の個人情報がその機関の外部に漏洩しないように個人情報を管理し、かつ匿名化する責任者をいう。ここで、サンプルの提供が行なわれる機関は、後記する実施形態では「協力医療機関」に相当する。また、個人情報を取り扱う研究機関は、後記する実施形態では「研究センタ」に相当する。
なお、個人情報管理者は、刑法、国家公務員法、その他の法律により業務上知り得た秘密の漏洩を禁じられている者(例えば医師、薬剤師など)でなければならない。また、個人情報管理者は、サンプルを用いてヒトゲノム・遺伝子解析研究(サンプルの提供を除く)を実施する研究責任者又は研究担当者を兼ねることはできない。
また、個人情報管理者は、原則として、研究責任者(後記する実施形態では解析部門の責任者)からの依頼に基づき、ヒトゲノム・遺伝子解析研究の実施前にサンプル又は遺伝情報を匿名化しなければならない。ただし、研究担当者などが補助者として匿名化作業を行なう場合にあっては、それが適正に行われるよう、監督しなければならない。また、個人情報管理者は、匿名化の際に取り除かれた個人情報を、原則として外部の機関に提供してはならない。また、個人情報管理者は、匿名化作業の実施のほか、匿名化されていないサンプルを使用する研究担当者を適切に監督するなど、個人情報が含まれている情報が漏洩しないよう厳重に管理しなければならない。
【0014】
「インフォームド・コンセント」とは、サンプルの提供を求められた人が、研究責任者から事前にヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する十分な説明を受け、その研究の意義、目的、方法、予測される結果や不利益などを理解し、自由意思に基づいて与えるサンプルの提供及びサンプルの取扱いに関する同意をいう。
「協力医療機関」とは、ここではサンプルの提供が行われる医療機関をいう。「提供者(被検者)」とは、ヒトゲノム・遺伝子解析研究のためのサンプルを提供する人をいう。
【0015】
≪第1実施形態≫
まず、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態での、IDの発行から、解析結果の登録(記憶)及び個人情報の登録(記憶)までを模式的に示す流れ図である。図2は、サンプル番号が有する意味を説明する表である。図3は、病院毎通し番号とサンプル番号の関係を説明する表である。図4はラベルを説明する図である。
【0016】
この第1実施形態は、(1)協力医療機関20の依頼に応じて発行元(個人情報管理者11、受付事務局12)で3つのID(サンプル番号、病院毎通し番号、被検者ID)を発行すると共にラベルLに印刷(表示)し、(2)このラベルLをサンプル採取用のスピッツに貼付して、同意書、試料提供登録票(病院毎通し番号が記載してある)、診療情報調査用紙(ラベルLが貼付してある)と併せて協力医療機関20に郵送し、(3)協力医療機関20でしかる手続を行なった後に被検者からサンプルを得、(4)サンプルを研究センタ10の解析部門で遺伝子解析し、解析結果をサンプル番号と対応付けて記憶し、(5)その一方で、被検者の同意を得た同意書と、被検者の個人情報が記載された試料提供登録票を協力医療機関20から回収し、個人情報と被検者IDと対応付けて記憶することが行なわれる。
これにより、全体として被検者の匿名化を確実に行なうと共に、サンプルの採取、その解析を円滑に行なえるようにする。
なお、試料提供登録票は、サンプル提供登録票と読み替えることもできる。
【0017】
〔個人情報管理者など〕
図1に示す個人情報管理者11は、研究責任者(後記する解析部門の責任者)の依頼があることを前提として、受付事務局12の依頼を受けて、病院毎通し番号の発行、被検者IDの発行、これらIDの受付事務局12への引き渡しを行なう。病院毎通し番号及び被検者IDの引き渡しは、この実施形態では、フレキシブルディスク(以下「FD」という)に保存した状態で行なわれる。また、個人情報管理者11は、サンプル提供後に回収される試料提供登録票に記載された個人情報を、被検者IDと対応付けて(紐付けして)「個人情報ファイル」に記憶する(請求項の「第3のファイル」に相当)。これらの処理は、個人情報管理PC110を介して行なわれる。なお、個人情報管理PC110は、通常のパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」)と同じハードウェア構成をしている。その機能の詳細については後で説明する。
【0018】
図1に示す受付事務局12は、協力医療機関20から送付されてくる注文票を受け付けて、これを個人情報管理者11に引き渡す。また、個人情報管理者11からFDに保存されて引き渡される病院毎通し番号及び被検者IDごとにサンプル番号を発行する。また、受付事務局20は、発行したサンプル番号を2次元コード化(バーコード化)して、病院毎通し番号と共に、後で説明する図4(a)に示すラベルLに印刷する。2次元コードは、コンピュータには識別可能、かつ人間には識別不可能になっている。また、サンプル番号と被検者IDとを対応付けて「被検者ID・サンプル番号ファイル」に記憶する(請求項の「第2のファイル」に相当)。これらの処理は、サンプル番号発行PC120を介して行なわれる。なお、サンプル番号発行PC120は、通常のパソコンにラベル印刷用のラベラを接続した構成をしている。ちなみに、「被検者ID・サンプル番号ファイル」と前記した「個人情報ファイル」は、別の管理者により厳重に管理されている。
【0019】
また、受付事務局12は、被検者に同意を得るための同意書、サンプル提供の際に個人情報を被検者に記載してもらう試料提供登録票、サンプルを入れるスピッツ(サンプル容器)、診療情報を記載する診療情報調査用紙のセットを郵送で送る作業を行なう。なお、スピッツ及び診療情報調査用紙には、後で説明する図4に示すラベルが貼付される。
また、受付事務局12は、協力医療機関20から郵送(返送)された診療情報調査用紙の記載事項を、サンプル番号と対応付けて「診療情報DB」に記憶する。
【0020】
図1に示す協力医療機関20は、前記したとおり、サンプルの提供が行なわれる医療機関である。この協力医療機関20は、サンプルを提供してくれる被検者から所定の手続に則ってサンプルの提供を受ける。そして、協力医療機関20は、提供を受けたサンプルを研究センタ10に送り、サンプル提供の際に記入などされた同意書及び試料提供登録票を個人情報管理者11宛てに郵送する。
また、協力医療機関20は、診療情報調査用紙に診療情報を記入して、受付事務局12宛てに郵送する。なお、診療情報とは、前記したとおり、診断及び治療を通じて得られた疾病名、投薬名、検査結果などの情報をいう。
【0021】
研究センタ10(その解析部門)は、得られたサンプルの解析を行ない、解析結果をサンプル番号と対応付けて「ゲノムDB」に記憶する。この「ゲノムDB」は、請求項の「第1のファイル」に相当する。この「ゲノムDB」は、前記した「被検者ID・サンプル番号ファイル」の管理者とも、「個人情報ファイル」の管理者とも異なる管理者により厳重に管理されている。
なお、図1に示すように、研究センタ10は、遺伝子の解析研究を行なう解析部門と、前記した個人情報管理者11、受付事務局12を含んで構成されている。ちなみに、研究センタ10は、協力医療機関20などの協力を得て広くサンプルを収集し、前記した「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」を行なう研究機関である。
【0022】
〔サンプル番号など〕
まず、図2を参照してサンプル番号を説明する。本実施形態のサンプル番号は、例えば「VolPB0014W0」のように11桁の英数字から構成されているが、その意味は以下のとおりである。
最初の3桁の英字は疾患名(癌の種別)を示す識別子(疾患名情報)である。つまり、サンプルがどの疾患に係るものであるかを示す識別子である。なお、Volはボランティアの略であり、そのサンプルがボランティア(の人)から提供されたことを示す(疾患名とは直接関係がないが便宜上疾患名に区分する)。次の1桁の英字は、サンプルが、治療の前(P)・中(D)・後(A)のどの段階にあるものかを示す識別子(治療の段階情報)である。次の1桁の英字は、サンプルが、血液(B)・組織(T)・診療情報(I)・正常組織(N)の何れであるかを示す表記である。つまり、サンプルの種別を示す識別子(サンプル種別情報)である。なお、Iとある診療情報は文字通りの情報であり、有体物とは異なる。ちなみにこの実施形態では、ボランティアからは血液の提供しか受け付けないこととしているので、最初の3桁にVolとある場合は、サンプルの種別はBでしかあり得ない。その次の4桁の数字は、被検者に特有の番号(同一被検者認識No.、被検者の同一性情報)であり、同じ番号ならば同じ被検者である。最後の2桁のW0は、例えば被検者の数が増えた場合、管理項目が増えた場合などに対処するための予備の領域(拡張領域)である。
【0023】
ちなみにサンプル番号には、個人を特定できる情報は一切含まれていない。
なお、サンプル番号は、「ゲノムDB」に、サンプルの解析結果と対応付けて記憶される。また、サンプル番号は、「被検者ID・サンプル番号ファイル」に、被検者IDと対応付けて記憶される。
【0024】
次に、図3を参照して、病院毎通し番号の意味と、病院毎通し番号とサンプル番号との対応関係を説明する。この図3の病院毎通し番号「重粒子-1」における重粒子の表記は、協力医療機関20の名称(病院名)の略称である。ハイフンに続く数字の表記は通し番号であり、同一の被検者ならば同一の番号である。例えば、被検者がA市民病院の患者の○△さんならば「A市民-n」である。nは、整数でありその被検者(患者)に固定した数値になる。つまり、病院毎通し番号は、サンプルの採取先ごとにカテゴライズされた被検者に対する情報である。一方、この図3のサンプル番号「BrePI0034W0」は、図2を参照して説明したとおりの情報を有するものである。
【0025】
この図3から理解されるように、病院毎通し番号とサンプル番号は、1対mの関係を有する(mは1以上の整数)。つまり、1つの病院毎通し番号に対して、サンプル番号が複数存在する場合がある。換言すると、被検者が同じならば疾患やサンプルの種別(つまりサンプルの数)にかかわらず、病院毎通し番号は同じになる。なお、病院毎通し番号は、サンプル番号と同様に個人を特定できる情報は一切含まれていない。
【0026】
被検者IDは、被検者一人一人に異なるユニークなIDになっている。この被検者IDは、後で詳細に説明するが、病院毎通し番号に対応して発行(生成)される。なお、被検者IDは、個人情報管理者11が管理する個人情報ファイルに、個人情報と対応付けて記憶される。ちなみに匿名化とは、前記したように、「ある人の個人情報が外部に漏洩しないように、その個人情報から個人を識別する情報の全部又は一部を取り除き、代わりにその人(被検者)と関わりのない符号又は番号を付すこと」をいうが、被検者IDは、匿名化のプロセスにおいて付された「その人(被検者)と係わりのない符号又は番号」に相当する。
【0027】
なお、病院毎通し番号は、後で何れにも記憶されずに消去される。従って、病院毎通し番号を知得しても、知得した病院毎通し番号からどのように辿っていっても、個人情報に行き当たることはない。
【0028】
〔ラベル〕
ここで図4を参照してラベルL,L’を説明する。図4(a)に示すのは、別体に構成されたラベルLであり、表面にバーコード(2次元コード)化したサンプル番号を記載したラベル片L1(「第1の表示部」に相当)と、表面に病院毎通し番号(この図では「重粒子-1」)を記載したラベル片L2(「第2の表示部」に相当)から構成されている。なお、裏面(台紙側の面)はノリ面になっている。図4(b)に示すのは、一体に構成されたラベルL’であり、表面にバーコード(2次元コード)化したサンプル番号を記載した表示部L1’と、病院毎通し番号(この図では「重粒子-1」)を記載した表示部L2’がミシン目で分離可能に構成されているラベルL’である(台紙側の裏面はノリ面である)。
【0029】
ちなみに、サンプル容器としてのスピッツにラベルL(L’)を貼付する場合、ラベルL(L’)の表示部L1(L1’)と表示部L2(L2’)を離間するようにして貼付すると、経験上、剥がすときに剥がし易いという利点がある。また、貼付するスピッツが筒状をしていることを考えると、病院毎通し番号とサンプル番号は縦に並べて貼付した方が、同時に視認できてサンプル採取の際に都合がよいという利点がある(スピッツを回転させなくとも両方の番号が見える)。従って、縦に並べて貼付し易いように、図4において、ラベル片L1・L2(L1’・L2’)を縦に配置するように印刷してもよい。
【0030】
〔全体の動作〕
次に、図1を参照して、IDの発行から、解析結果の記憶及び個人情報の記憶までの動作を説明する(適宜図2~図5参照)。ここでは、採血を主として説明する。図5は採血の手順を説明する図である。
【0031】
まず、協力医療機関20が該当する被検者の人数分の採血管(スピッツ)や診療情報調査用紙をあらかじめ受付事務局12に注文する(S11)。注文は、予め配布されている注文票を郵送したり、ファックス送信したりすることで行なうことができる。また、電話や、電子メールなどを利用して行なうことができる。なお、注文は、事前の面談などによりあらかじめ当たりを付けた患者さん(被検者)のものに対して行なうようにし、サンプル番号の発行やスピッツの送付などが無駄にならないようにする。
【0032】
注文を受けた受付事務局12は、個人情報管理者11に対して病院毎通し番号の発行及び被検者IDの発行を依頼する(S12)。
【0033】
依頼を受けた個人情報管理者11は、解析部門の責任者の依頼があることを前提として、個人情報管理PC110を使って、病院毎通し番号の発行(S13)と被検者IDの発行(S14)を注文の数だけ行なう。なお、病院毎通し番号の発行などの詳細は後で説明する。
発行した病院毎通し番号と被検者IDは、FDに保存した状態で受付事務局12に引き渡す。
【0034】
受付事務局12は、FDを引き渡され(S15)、このFDの中に保存されている被検者IDに基づいてサンプル番号を発行する(S16)。サンプル番号を発行すると、病院毎通し番号と共にラベルLに印刷する(図4参照、S17)。印刷するラベルLの数は、スピッツの数+診療情報調査用紙の数分である。なお、この作業はサンプル番号発行PC120を使って行なう。
次に、印刷したラベルLをスピッツに貼付する(S18)と共に、診療情報調査用紙に貼付する(S19)。そして、同意書、試料提供登録票、スピッツ、診療情報調査用紙をセットにして(S20)、注文のあった協力医療機関20に注文の数だけセットを郵送する。
【0035】
郵送を受けた協力医療機関20は、診察(サンプルの採取…)を行なう。診察に際しては、インフォームド・コンセントを被検者に行なう(S21)。同意が得られると同意書と試料提供登録票に必要事項の記入を行ない、これを郵送で個人情報管理者11宛てに郵送する。なお、試料提供登録票には、病院毎通し番号が記載される。ちなみに、1人の被検者から複数のサンプルを提供してもらう場合は、同意書及び試料提供登録票は1枚ずつ、つまり1人分で済ますことができる。
【0036】
次に、協力医療機関20は、サンプル採取(採血)を行なう(S23)。採血の際には、図4に示すように病院毎通し番号とサンプル番号の内容の一部を、「前」「乳」のように人間に読める文字(表記)にしてあるので、このラベルLを貼付してあるスピッツが同一の被検者から提供されるサンプルを入れるものであるのか否か、どの疾患に係るものであるのか否か、治療のどの段階にあるものであるのか否かを知ることができる。このため、サンプルの取り違えなどをなくすことができる。なお、被検者がボランティアの場合は、「前」「乳」のような記載はしていない。
【0037】
採血により採られたサンプルの血液は、ラベルLが貼付してあるスピッツに入れる。血液を入れると、スピッツに貼付してある病院毎通し番号を剥がして(剥離、S24)、これを捨てる。余分な情報を捨てて、匿名化が完全に行なえるようにするためである。
【0038】
ここで、図5を参照して採血を補足説明する(被検者がボランティアの場合)。ボランティアの場合の採血用のスピッツは、図5に示すように、例えば2本が対になって封筒に入れられて協力医療機関20宛てに郵送されてくる。封筒には血液用との表示と、病院毎通し番号が表示され、協力医療機関20で間違いが生じないようにしている。
【0039】
封筒からスピッツを取り出すと、スピッツにはそれぞれラベルLが貼付してある。図5に示すように、ラベルLのラベル片L1とラベル片L2は、離間し、かつスピッツの縦方向に並べて貼付してある。被検者からの採血は、それぞれのスピッツに5ml以上行なう(最低でも1本は採血する)。採血が終わると、試料提供登録票に被検者の氏名を含む個人情報と病院毎通し番号を記載する。そして、記入の確認が終わったらラベルLのうち、病院毎通し番号が表示されたラベル片L2のみを剥がして捨てる。
【0040】
なお、サンプル番号が表示されたラベル片L1に、図4に示すような「前」「乳」などの表記がないのは、このラベルLはボランティア用に印刷されたものだからである。つまり、ボランティアからは採血しか認められておらず、かつ治療前・中・後も関係ないからである。
【0041】
説明を図1に戻す。
採血の終わったスピッツ(サンプル番号のみ貼付)は、病院間便で協力医療機関20から研究センタ10宛てに配送する(S25)。
また、協力医療機関20は、被検者の診察を行ない、診療情報調査用紙に診療情報を記入する(S26)。記入した診療情報調査用紙は、病院毎通し番号のラベルL2を剥がし(切離、S27)、受付事務局12宛てに郵送する(S28)。剥がした病院毎通し番号のラベルL2は捨てる。
【0042】
ところで、ステップS22で個人情報管理者11宛てに郵送された同意書及び試料提供登録票のうち、同意書は研究センタ10で厳重に保管する(S31)。ちなみに、同意書に被検者の個人名が記載してあっても、その個人名とサンプル(遺伝子解析結果)とが結びつくことがない。このため、研究センタで保管しても問題ない。一方、試料提供登録票には個人情報が記載されているが、この個人情報は、被検者IDと対応付けて個人情報管理PC110の「個人情報ファイル」に記憶される(S32)。この記憶の際には、試料提供登録票に記載されている病院毎通し番号が利用される(病院毎通し番号をキーにして被検者IDを検索し、これと個人情報を対応付けて記憶する)。
【0043】
また、ステップS25で研究センタ10宛てに郵送されたサンプルは、研究センタで解析が行なわれる(S41)。解析に際しては、バーコードリーダ(2次元コードリーダ)でバーコード(2次元コード)化されたサンプル番号を読み取って、コンピュータ画面上に表示するようにされる。コンピュータ画面には、前記した例えば「VolPB0014W0」のような表示がなされ、今解析しているサンプルが何であるかが研究者に判るようになっている。このため、解析の作業が円滑に行なわれる。解析結果は、「ゲノムDB」にサンプル番号と対応付けて記憶される(S42)。つまり、サンプル番号をキーにして解析結果を読み出せるようになっている。さらに、その逆もできるようになっている。
【0044】
また、ステップS28で受付事務局12に郵送された診療情報調査用紙は、「診療情報DB」にサンプル番号と対応付けて記憶される(S43)。
【0045】
このようにすることで、被検者の匿名化が確実に行なわれ、遺伝子解析の研究を被検者の秘密を保持して遂行することができる。殊に、匿名化にかかる部分を、協力医療機関20として労力をかけずに行なえると共にスピッツも送られてくるので、協力医療機関20の負担が少なく協力を得やすい。また、ラベルLにより、サンプルの採取を間違いなく行なうことができる。同様に、ラベルLのサンプル番号が意味を持っているので、解析の段階において、作業を円滑に行なうことができる。また、1.サンプルの解析結果を記憶した「ゲノムDB」、2.被検者IDとサンプル番号の対応関係を記憶した「被検者ID・サンプル番号ファイル」、3.被検者IDと個人情報の対応関係を記憶した「個人情報ファイル」は、それぞれ別の管理者により管理が行なわれているので、さらに被検者の匿名化が確実に行なわれる。また、個人情報が記載してある試料提供登録票とサンプルが入ったスピッツは、それぞれ異なる宛先に異なる送付手段で送付されるので、この点からも被検者の匿名化が確実に行なわれる。
【0046】
〔連結可能匿名化〕
前記したように、本実施形態の匿名化は、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に対応した連結可能匿名化である。この点について説明する。
遺伝子解析の結果、例えば疾患を発見したとする。この場合、被検者又は被検者の親族などに連絡することが、倫理的に妥当と判断される場合が生じることがある。このような場合、次のように連絡すべき被検者を特定する(割り出す)。
【0047】
まず、解析結果に異常が見つかった場合は、連絡すべき異常かどうかを判断する。連絡すべきであると判断したときは、解析結果に対応するサンプル番号を確認する。確認は、例えば解析部門の管理者がサンプルの解析結果に対応するサンプル番号を「ゲノムDB」の中から抽出することにより行なうことができる。また、「ゲノムDB」を利用するまでもなく、例えばサンプルが入ったスピッツのラベルを、バーコードリーダに読み取らせることにより確認することができる。
【0048】
つぎに、このように確認したサンプル番号を「被検者ID・サンプル番号ファイル」を管理する管理者(受付事務局12)に通知する。この管理者は、通知されたサンプル番号をキーにして「被検者ID・サンプル番号ファイル」を検索し、対応する被検者IDを抽出する(割り出す)。そして、この管理者(受付事務局12)が、このように割り出した被検者IDを、「個人情報ファイル」を管理する個人情報管理者11に通知する。
【0049】
被検者IDを通知された「個人情報ファイル」の管理者である個人情報管理者11は、被検者IDをキーにして「個人情報ファイル」を検索し、対応する個人情報を抽出する。そして、連絡すべき被検者を特定する。
その後、しかるべき手段・手法により、特定した被検者本人又は親族などに連絡する。
【0050】
もちろん、この一連の手続きは逆の場合もあり得る。つまり、被検者本人から遺伝子解析の結果を知りたいという希望があれば、「個人情報ファイル」から被検者IDを検索し、被検者IDから「被検者ID・サンプル番号ファイル」を検索してサンプル番号を割り出し、そのサンプル番号に基づいてゲノムDBから解析結果を検索することもできる。
【0051】
このようにすることで、必要が生じた場合に被検者の秘密を保持しつつ確実に被検者を特定することができる。また、その逆に、秘密を保持しつつ確実に被検者に遺伝子解析の結果を知らせることができる。
【0052】
〔病院毎通し番号、被検者ID、サンプル番号の発行〕
次に、病院毎通し番号、被検者ID、サンプル番号の発行を、図面を参照して説明する。
【0053】
まず、病院毎通し番号から被検者IDを発行する手順を、図6及び図7を参照して説明する(適宜図1など参照)。図6は、病院毎通し番号から被検者IDを発行するフローチャートである。図7は、病院毎通し番号を発行する際に表示される画面例である。
【0054】
図1の個人情報管理PC110では、図6に示す次の手順の処理が行なわれる。即ち、個人情報管理PC110を立上げると、開始時処理がなされ、被検者ID未設定レコードの削除、削除メッセージの表示が行なわれる(S111)。そして、開始時の画面が表示され、画面に配された新規入力、検索、終了のボタンの選択を促す(S112)。促された操作者は、マウスクリックにより、いずれかを選択する(S113)。ステップS114において、終了をマウスクリックすると処理を終了する(END)。検索をマウスクリックするとステップS121に移行する。新規入力をマウスクリックすると新規入力画面が表示されるので、キーボードから新規データを入力する(S115)。
【0055】
ここでは、新規入力がマウスクリックされ、ステップS115の処理が実行されるものとする。ステップS115の処理においては、個人情報管理PC110には、図7に示す画面が表示される(Personal Profile Database)。この画面においては病院毎通し番号の入力ボタンが選択されており、病院毎通し番号を入力する。図7では、病院毎通し番号は、漢字姓の項目の記載で判るように「重粒子-1」が入力されている。また、生年月日、性別、郵便番号などの項目にはダミーのデータが入力されている。新規発行におけるこの段階では、個人情報は判らないからである。ちなみに、疾患名が判れば必要な書類やスピッツの数も判るので、被検者が特定されていなくても以後の処理を行なえる。
一方、図7の疾患種別、病院名、病院住所の項目は実データを入力する。病院毎通し番号は、病院(協力医療機関20)の注文に応じて発行するものであるから、実データを入力することができる。なお、個人情報管理PC110は、例えば図2に示すような疾患種別と略称の対応関係を示したテーブルを有しており、入力に際して、操作者が疾患種別を「乳癌」と入力すれば、コードの項目には「Bre」と自動で表示される。逆に「Bre」と入力すると疾患種別に「乳癌」と表示される。
【0056】
このようにキーボードから新規データを入力すると(病院毎通し番号などを入力すると)、ID発行(図7では「IDは項/バーコード作成」)、レコード削除(図7では「表示レコード削除」)、終了のいずれかを選択する(S116)。ちなみに、レコード削除、S115において詳細なデータの入力は必要ない。また、終了の場合は、S115においてデータの入力は全く必要ない。
【0057】
操作者によりステップS116でレコード削除がマウスクリックされると、S127に移行して表示中のレコードを削除する。つまり、図7でいえば、「重粒子-1」という表示中のレコードをデータベースから削除する。終了をマウスクリックすると処理を終了する(END)。また、ID発行をマウスクリックするとS117に移行して、既存データとの重複を姓名などでチェックする。重複がある場合は、エラーメッセージを表示すると共に、入力中の重複レコードを削除する(S118)。例えば、「重粒子-1」という病院毎通し番号を削除したければ、S115において「重粒子-1」と入力し、S116においてレコード削除を選択する。なお、削除するのは、今入力しようとしている病院毎通し番号であり、データベースに記憶されている病院毎通し番号ではない。
ちなみに、病院毎通し番号は被検者に特有のものであり、重複が生じないようにする。よって、重複が生じた場合(被検者の氏名が異なるのに病院毎通し番号が同じ場合)は、フローチャートの処理は、操作者に対して、今入力しようとしている病院毎通し番号を別の番号に変えさせる。このため、処理はステップS112に移行する。
【0058】
一方、S117で重複がない場合(新規発行の場合)は、乱数を発生させて、この乱数をもとに被検者IDデータベースから被検者IDを得てコピーする。そして、被検者IDが重複しないように、コピー元を削除する(S119)。換言すると、予め準備してある被検者IDデータベース(未発行の被検者IDが多数登録してあるデータベース)の中から乱数で、病院毎通し番号に対応する1つの被検者IDを決定する。決定した後は、同じ被検者IDが重複して発行されないように、該データベースの決定した被検者IDを削除する。
【0059】
そして、病院毎通し番号、疾患種別、被検者IDなどをCSV(コンマ区切り)形式でファイル出力する(FDに保存、S120)。このS120でFDへのファイル出力がなされるとS112に移行して、処理を継続する。なお、CSV形式のファイル名は「ID.csv」である。
【0060】
ところで、操作者がステップS114で検索をマウスクリックすると、検索画面が表示されるのでキーボードから検索の条件を入力する(S121)。条件入力後、マウスクリックにより選択入力する(S122)。そして、検索実行かキャンセルを選択する(S123)。キャンセルを選択するとステップS124をスキップしてステップS125に移行する。一方、実行を選択すると検索表示画面が表示され、検索結果が表示される(S124)。つまり、検索した病院毎通し番号が表示される。
【0061】
次に、バーコード再作成、新規入力、削除、検索、終了の内のいずれかをマウスクリックして選択する(S125、S126)。例えば、ステップS125で病院毎通し番号をマウスクリックにより選択した後、ステップS126で削除をマウスクリックすると、当該病院毎通し番号が削除される。バーコード再作成についても同様である。ちなみに、新規入力のときはステップS112に移行し、バーコード再作成のときはステップS120に移行し、削除のときはステップS127に移行し、終了のときはENDに移行する。なお、バーコード再作成は、後記するサンプル番号の発行処理を経て、既にサンプル番号が発行されていることが前提である。バーコードは、サンプル番号に基づいて作成されるものだからである。
【0062】
このように、個人情報管理PC110を使って病院毎通し番号の発行及び被検者IDの発行を、番号やIDが重複することなく行なえる。また、削除などの管理も確実に行なえる。このため、番号やIDの発行及び発行後のメンテナンスに要する労力を大幅に削減することができる。また、病院毎通し番号は、個人情報がはっきりしていない状況でも発行できるので、個人情報の知得とは切り離して発行作業が行なえる。このため、協力医療機関20から注文が来ると、滞ることなく病院毎通し番号及び被検者IDを発行することができるという大きな利点がある。
【0063】
次に、サンプル番号を発行する手順を、図8及び図9を参照して説明する(適宜図1など参照)。図8は、被検者IDからサンプル番号を発行するフローチャートである。図9は、サンプル番号を発行する際に表示される画面例である。
【0064】
図1のサンプル番号発行PC120では、図8に示す次の手順の処理が行なわれる。即ち、サンプル番号発行PC120を立上げると、開始処理がなされ、初期画面が表示される(S141)。初期画面は図9に示すものであり、該画面には、被検者ID登録(「ID登録/Sample No.発行」)、検索(「検索モード」)、終了の各スクリプト起動用のボタンが配してある。そして、ステップS142では、操作者が表示されたボタンをマウスクリックにより選択する。
【0065】
ステップ143では、どのボタンがマウスクリックされたかを判断して、終了ならば処理を終了する(END)。検索ならばステップS147に移行して検索画面を表示し、キーボードから条件入力し、検索実行し、結果を表示する。そして、ステップS141に移行する。また、ステップS143において、ID登録ならば「ID.csv」からデータ入力する。この実施形態でのデータ入力は、具体的には、「ID.csv」に保存(格納)されているデータの中から、疾患種別、被検者IDなどのデータを、サンプル番号発行PC120がインポートすることである。なお、予め、「ID.csv」が保存されたFDがサンプル番号発行PC120のFD用のドライブ挿入されている。
【0066】
データ入力後、既存データとの重複をチェックする(S145)。重複がある場合は、ステップS148に移行して、エラーメッセージを表示し、入力中の重複レコードを削除する。そして、S141に移行する。重複がない場合は、サンプル番号を決定する(S146)。サンプル番号は、前記した「VolPB0014W0」のようにシーケンシャルな値になる。そして、ステップS141に移行して、次々にサンプル番号を発行する。ちなみに、被検者IDが同じでも、疾患種別が異なれば、異なるサンプル番号が発行される(図2など参照)
【0067】
これにより、重複なくサンプル番号を発行することができる。また、「ID.csv」さえあれば、滞ることなくサンプル番号を発行することができる。なお、発行されたサンプル番号は、被検者IDと対にして(対応付けて)サンプル番号DB(Sample Number Database)に記憶される。
【0068】
次に、ラベルを印刷する手順を、図10~図13を参照して説明する(適宜図1など参照)。図10は、ラベルを印刷するフローチャートである。図11は、バーコードデータの作成を行なう際に表示される画面例である。図12は、乳癌レイアウトのラベルを画面表示した図である。図13は、病院毎通し番号レイアウトのラベルを画面表示した図である。
【0069】
まず、サンプル番号発行PC120にインストールされているバーコード印刷用のソフトウェアを起動する。このソフトウェアは、外部スクリプトからの呼出しによって起動する。また、前記した「ID.csv」が保存されたFDがサンプル番号発行PC120のFD用ドライブに挿入されている。
ソフトウェアが起動するとバーコード印刷の前準備として、前回の印刷処理中に何らかのエラーで残存したレコードを含む全ての印刷用のレコードを削除する(S161)。次に、挿入されているFDの「ID.csv」からデータを入力する(S162)。具体的には、FDに保存されているCSV形式の「ID.csv」から疾患種別、被検者IDをインポートする。次に、サンプル番号が発行されているかチェックする(S163)。具体的には、前記したサンプル番号DBを、インポートした被検者IDで検索し、サンプル番号の発行の有無を確認する。
【0070】
そして、ステップS164において判断して、サンプル番号が既発行の場合は、バーコード生成用サンプル番号を決定する(S165)。具体的には、ステップS165では、図11に示す画面(Barcode Data Creator)が表示されるので、ここで、どのデータを印刷するのかをマウスで選択し、OKボタンをマウスクリックする。すると、バーコード印刷用のソフトウェアがバーコードデータをCSV形式でファイル生成する(「Barcode.csv」、S166)。そして、終了メッセージ表示後、メモリ上の全てのレコードを削除する(S167)。そして、処理を終了する(END)。一方、ステップS164で、サンプル番号未発行と判断された場合は、エラーメッセージ表示後、メモリ上の全てのレコードを削除する(S168)。そして、処理を終了する(END)。この処理は、サンプル番号をバーコード化して印刷するものだからである。
【0071】
ラベルの印刷は、サンプル番号発行用PC120を使って、「Barcode.csv」に保存されているデータを読み出して行なう。図12には一例として乳癌レイアウトのラベル(ラベル片L1に相当)を示しているが、この図に示されるように、ラベルL1(L1’)には、バーコード化したサンプル番号、「乳」及び「前」の表示がなされている。「乳」と「前」の表示は、サンプル番号を人間には判読できないバーコード(2次元コード)化したための手当てである。これにより、目視で判別でき、サンプル採取の段階や研究の段階で、取り扱う人間に安心感を与えたり、サンプルの取り違えの防止などに役立つ。ちなみに、乳癌レイアウトのほかに、血液レイアウトなどがある。図13のレイアウトでは、病院毎通し番号として「重粒子-1」が表示されている。
そして、好みのレイアウトで印刷する。なお、サンプル番号発行用PC120には、バーコードラベル印刷用のラベラが接続されている。
【0072】
以上説明した第1実施形態では、以下のような優れた特徴を有する。
即ち、被検者IDとサンプル番号を用いることで、2段階の匿名化を行なっている。このため、匿名化におけるセキュリティが強化される。また、同一被検者に対して、複数種類のサンプルが発生する場合にも確実に対処して、被検者の匿名化を行なうことができる。また、特別の理由がある場合には、複数種類の何れに付されたサンプル番号からでも、当該サンプルを提供した被検者の個人情報にたどり着くことができる(連結可能匿名化)。また、協力医療機関で匿名化が行なえない場合でも、個人が特定できない形で、協力医療機関が採取したサンプルや個人情報を直接研究センタに持ち込むことができる(協力医療機関に成り代わって匿名化する)。さらに、サンプル番号と個人情報の対応関係は記録として存在しない。このため、サンプル番号を公表しても、その番号だけからは個人情報を得ることができない。よって、サンプル番号そのものを論文や学会などで使用することができる。
【0073】
また、前記したとおり、サンプル番号自身に、遺伝子解析上必要なサンプル情報が含まれている。このため、個人情報や診療情報とマッチングさせなくとも、サンプル番号だけで遺伝子解析に必要な情報がタイムリにわかる。よって遺伝子解析が効率化される(研究の精度そのものの向上にも寄与する)。また、ラベルに表示された病院毎通し番号などの表示から、迅速・確実なサンプルの配送を行なうことができる(サンプルの受け渡しを確実かつスピードアップして行なえる)。
【0074】
サンプル番号はバーコード化して、ラベルに表示される。このため、例えば、輸送段階などサンプルが他人の手にわたっても、専用のリーダがないと読めないので、セキュリティが高い。また、個人情報が記載してある試料提供登録票とサンプルが入ったスピッツは、それぞれ異なる宛先に異なる送付手段で送付されるので、この点からもセキュリティが高い。
よって、協力医療機関20のような外部の団体などからサンプルを広く集めて解析するのに、好適に適用することができる。
【0075】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態を、図面を参照して説明する。
なお、第1実施形態は血液を例に説明したが、この第2実施形態では組織(乳癌)を例にして説明する。ここで、図14は、第2実施形態での処理の流れを模式的に示す図である。図15は、協力医療機関20Aにおける組織(乳癌)の採取を説明する図である。
【0076】
図14を参照して、協力医療機関20Aにおける組織の採取を説明する。
なお、協力医療機関20Aは、第1実施形態(図1など参照)の協力医療機関20と同様にして注文票を受付事務局12に送付し、同意書、試料提供登録票、スピッツ及び診療情報調査用紙が手許に送付されているものとする。また、この際には、サンプル番号なども第1実施形態と同様にして、必要な数だけ発行されているものとする。サンプル番号などの意味内容は、第1実施形態と同じであるのでその説明を省略する。
【0077】
協力医療機関20Aは、被検者に対してインフォームド・コンセントを行ない、同意を得る。同意は、手術時(乳癌切除の手術時)に採取した組織の一部を提供してもらう、というものである。そして、協力医療機関20Aは、手術時に組織(サンプル)を採取する。サンプルは、協力医療機関20A宛てに送付されてきたスピッツに入れる。この際、サンプルは可能な限り凍結状態にして研究センタ10に送付する。同意書、試料提供登録票なども、第1実施形態と同様にして研究センタ10に郵送する。
また、協力医療機関20Aは、第1実施形態と同様にして、診療情報調査用紙に診療情報を記入し受付事務局12に郵送する。
【0078】
研究センタ10の個人情報管理者11は、個人情報と被検者IDとを対応付けて「個人情報ファイル」に記憶する。また、研究センタ10の受付事務局12は、サンプル番号と診療情報を対応付けて「診療情報DB」に記憶する。また、研究センタ10(解析部門)は、得られたサンプルの解析を行ない、解析結果をサンプル番号と対応付けて「ゲノムDB」に記憶する。これらの点は、第1実施形態と同じである。
【0079】
また、第2実施形態では、被検者が乳癌の患者であるので、協力医療機関20Aの担当医師の依頼に基づいて、サンプルの解析結果を当該担当医師に送付する。これにより、担当医師は、腫瘍組織の遺伝子解析の結果を参照して遺伝子カウンセリングを行なうことができる。
【0080】
ところで、第2実施形態では、次のようにして組織の採取が行なわれる(図15参照)。
組織(サンプル)を入れる採取容器(スピッツ)は、封筒に入れられた状態で研究センタ10から送られてくる。封筒には5本のスピッツが入っている。
【0081】
採取前に封筒からスピッツを取り出す。スピッツは、黄色キャップのもの1本、紫色キャップのもの2本、青色キャップのもの1本、赤色キャップのもの1本、合計5本である。各スピッツには、バーコード化したサンプル番号のラベル片L1と病院毎通し番号のラベル片L2とがラベルLとして、縦方向に離間して貼付してある。なお、黄色キャップのものは液体が入っている。
【0082】
サンプルの採取は次のように行なう。即ち、図15の右上に枠で囲って示したように、所定部位から標本(サンプル)を摘出し、切り出す。そして、癌部を30mgずつ3本のスピッツに入れる(30mg×3)。スピッツは、黄色キャップのもの1本と紫色キャップのもの2本である。また、非癌部30mgを青色キャップのスピッツに入れる。皮膚部30mgを赤色キャップのスピッツに入れる。
【0083】
採取が終わると各スピッツから病院毎通し番号のみを剥がし、これを捨てる。なお、各スピッツのラベル片L1には、識別が容易なように、「癌」、「乳」のような表示がなされている。このスピッツは、協力医療機関20Aから研究センタ10に送られ、遺伝子解析がなされる(図14参照)。
【0084】
この第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果がえられるほか、乳癌の組織を採取して、確実に解析することができる。また、協力医療機関20Aに与える負担を少なくしてサンプルを得ることができる。よって、研究センタ10は、幅広く遺伝子に関するデータを蓄積することが可能になる。また、協力医療機関20Aは、研究センタ10の高度な技術による遺伝子解析の結果を踏まえて、被検者に遺伝子カウンセリングを行なうことができる。
【0085】
≪第3実施形態≫
次に、本発明の第3実施形態を、図面を参照して説明する。
なお、この第3実施形態では組織(子宮頸癌など)を例にして説明する。ここで、図16は、第3実施形態での処理の流れを模式的に示す図である。図17は、協力医療機関20Bにおける組織(子宮頸癌など)の採取を説明する図である。
【0086】
図16を参照して、協力医療機関20Bにおける組織の採取を説明する。
なお、協力医療機関20Bは、第1実施形態(図1など参照)の協力医療機関20と同様にして注文票を受付事務局12に送付し、同意書、試料提供登録票、スピッツ及び診療情報調査用紙が手許に送付されているものとする。また、この際には、サンプル番号なども第1実施形態と同様にして、必要な数だけ発行されているものとする。サンプル番号などの意味内容は、第1実施形態と同じであるのでその説明を省略する。
【0087】
協力医療機関20Bは、被検者に対してインフォームド・コンセントを行ない、同意を得る。同意は、生検時に採取した組織の一部を提供してもらう、というものである(生検は組織を採取して行なう診断方法である)。そして、生検時に組織(サンプル)を採取する。サンプルは送付されてきたスピッツに入れる。サンプルは、可能な限り凍結状態にして研究センタ10に送付する。同意書、試料提供登録票なども、第1実施形態と同様にして研究センタ10に郵送する。
また、協力医療機関20Bは、第1実施形態と同様にして、診療情報調査用紙に診療情報を記入し受付事務局12に郵送する。
【0088】
これらの点は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
但し、第3実施形態では、協力医療機関20Bでの放射線治療を行なうことを前提にしているので、治療中、治療後の生検の際にも、被検者(看者)の同意のもとにサンプルを提供してもらう(サンプルを採取する)。
【0089】
なお、第3実施形態では、次のようにして組織の採取が行なわれる(図17参照)。
組織(サンプル)を入れる採取容器(スピッツ)は、封筒に入れて研究センタ10から送られてくる。封筒には黄色いキャップのスピッツが1本入っている。なお、封筒は、放射線治療前、中、後の3種類(3つの封筒)である。
【0090】
各段階での採取の際に封筒からスピッツを取り出す。そして、組織30mgをサンプルとしてスピッツに入れる。採取が終わったら病院毎通し番号のラベル片L2を剥がして捨てる。ラベル片L1には、「前」、「子頸」の表示がされ、識別が容易にしてある。「前」は放射線治療前を意味し、「子頸」は子宮頸癌を意味する。このスピッツは、研究センタ10に送られ、サンプルの遺伝子解析がなされる。遺伝子解析の結果は、図16に示すように協力医療機関20Bの依頼に基づいて、研究センタ10から該協力医療機関20Bの担当医師に送付される。
【0091】
この第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果がえられるほか、放射線治療の前、中、後の各段階での子宮頸癌などの組織を採取して、確実に解析することができる。また、協力医療機関20Bに与える負担を少なくしてサンプルを得ることができる。よって、研究センタ10は、幅広く遺伝子に関するデータを蓄積することが可能になる。
【0092】
以上説明した本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。
例えば、発行したサンプル番号などを電子データとしてネットワーク経由で協力医療機関20(20A,20B)に送り、協力医療機関20(20A,20B)でラベルL(L’)を印刷するようにしてもよい。また、例えば、ラベル片L1(L1’)を廃止して、ラベル片L1(L1’)の表示内容を直接スピッツ(サンプル容器)に表示するようにしてもよい。このようにしても、本発明(被検者匿名化方法)の技術的範囲に属するのはいうまでもない。また、ラベル片L2(L2’)についても同様であり、例えば消しゴムや指先で擦る(スクラッチする)と病院毎通し番号が消えるようにしてスピッツに表示し、ラベル片L2(L2’)を廃止するようにしてもよい。つまり、ラベルL(L’)を用いないようにしてもよい。また、実施形態では、添付の一例として、ラベルをスピッツに貼付する態様(糊付けする態様)を説明したが、貼付は添付の一態様であり、ラベルを紐でスピッツに括りつけたり引っ掛けたりするなどの態様でもよい。また、本発明は、遺伝子解析以外の分野にも適用することができるのはいうまでもない。また、ファイル名、スピッツの本数、キャップの色などは一例であり、本発明がこれに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0093】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、被検者の匿名化を確実に行なうことができる。また、多くのサンプルの採取ができ、採取したサンプルの解析も行ないやすくなる、などの顕著な効果がある。また、本発明によれば、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に則った遺伝子解析研究を適切に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる第1実施形態でのIDの発行から、解析結果の登録及び個人情報の登録までを模式的に示す流れ図である。
【図2】 サンプル番号が有する意味を説明する表である。
【図3】 病院毎通し番号とサンプル番号の関係を説明する表である。
【図4】 ラベルを説明する図であり、(a)は別体に構成されたラベルであり、(b)は一体に構成されたラベルである。
【図5】 採血の手順を説明する図である(被検者がボランティアの場合)。
【図6】 病院毎通し番号から被検者IDを発行するフローチャートである。
【図7】 病院毎通し番号を発行する際に表示される画面例である。
【図8】 被検者IDからサンプル番号を発行するフローチャートである。
【図9】 サンプル番号を発行する際に表示される画面例である。
【図10】 ラベルを印刷するフローチャートである。
【図11】 2次元コードデータの作成を行なう際に表示される画面例である。
【図12】 乳癌レイアウトのラベルを画面表示した図である。
【図13】 病院毎通し番号レイアウトのラベルを画面表示した図である。
【図14】 本発明にかかる第2実施形態での処理の流れを模式的に示す図である。
【図15】 図14の協力医療機関における組織(乳癌)の採取を説明する図である。
【図16】 本発明にかかる第3実施形態での処理の流れを模式的に示す図である。
【図17】 図16の協力医療機関における組織(子宮頸癌など)の採取を説明する図である。
【符号の説明】
10…研究センタ(発行元、第1のファイルの管理者)
11…個人情報管理者(発行元、第3のファイルの管理者)
12…受付事務局(発行元、第2のファイルの管理者)
20…協力医療機関(サンプルの採取先)
L、L’…ラベル(サンプル用ラベル)
L1,L1’…ラベル片(第1のID表示部)
L2,L2’…ラベル片(第2のID表示部)
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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