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明細書 :スラッシュガスターゲットの製造方法とその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3879990号 (P3879990)
公開番号 特開2003-337200 (P2003-337200A)
登録日 平成18年11月17日(2006.11.17)
発行日 平成19年2月14日(2007.2.14)
公開日 平成15年11月28日(2003.11.28)
発明の名称または考案の名称 スラッシュガスターゲットの製造方法とその装置
国際特許分類 G21K   5/08        (2006.01)
G21K   1/00        (2006.01)
FI G21K 5/08 C
G21K 5/08 N
G21K 5/08 X
G21K 5/08 Z
G21K 1/00 E
請求項の数または発明の数 10
全頁数 10
出願番号 特願2002-143821 (P2002-143821)
出願日 平成14年5月17日(2002.5.17)
審査請求日 平成16年4月23日(2004.4.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
発明者または考案者 【氏名】柳 秀治
【氏名】野口 雅人
【氏名】上坂 充
個別代理人の代理人 【識別番号】100083024、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 昌久
【識別番号】100103986、【弁理士】、【氏名又は名称】花田 久丸
【識別番号】100083024、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 昌久
審査官 【審査官】中塚 直樹
参考文献・文献 特開2002-107499(JP,A)
特開2002-014061(JP,A)
特開2002-107494(JP,A)
特表2002-514740(JP,A)
特表平11-510855(JP,A)
特表2004-507873(JP,A)
特開平11-176595(JP,A)
特開2001-349991(JP,A)
特開2001-015323(JP,A)
特開平08-278400(JP,A)
調査した分野 G21K 5/08
G21K 1/00
G21K 5/02
NUCLEN
特許請求の範囲 【請求項1】
レーザプラズマカソード方式によるフェムト秒電子ビームの効率的発生を可能とするスラッシュガスターゲットの製造方法であって、
超臨界生成室に充填したガスを超臨界状態に加圧冷却し、ついで前記超臨界状態に加圧冷却したガスを、弁を介して前記ガスの三重点圧力以下の減圧室へ放出させ、極低温の固液二相流体よりなるターゲットを形成したことを特徴とするスラッシュガスターゲットの製造方法。
【請求項2】
重水素D+D反応を使用したフェムト秒中性子ビームの効率的発生を可能とするスラッシュガスターゲットの製造方法であって、
超臨界生成室に充填した重水素を超臨界状態に加圧冷却し、ついで前記超臨界状態の重水素を弁を介して前記重水素の三重点圧力以下の減圧室へ放出させ、極低温の固液二相の重水素流体よりなるターゲットを形成したことを特徴とするスラッシュガスターゲットの製造方法。
【請求項3】
前記減圧室への放出は断熱自由膨張により行うようにしたことを特徴とする請求項1、若しくは請求項2記載のスラッシュガスターゲットの製造方法。
【請求項4】
前記ガスは、Ar、またはN、またはH、またはDであることを特徴とする請求項1記載のスラッシュガスターゲットの製造方法。
【請求項5】
スラッシュガスターゲットを生成するためのガスを低温恒温装置を持つ超臨界生成室へ加圧導入し、導入後のガスを所定圧力と温度で冷却して超臨界ガスを形成させ、形成された超臨界ガスを下部の三重点圧力以下の減圧室へ断熱自由膨張のもとに放出させ、極低温の固液二相スラッシュガス流体よりなる高密度クラスタを形成するスラッシュガスターゲット製造装置であって、
ガス供給源より供給されたガスを冷却して超臨界状態にする超臨界生成室と、その下部に設けた臨界ガス放出用の弁と、超臨界状態を形成する低温恒温装置とよりなる上部構造体と、
該上部構造体の下端に熱絶縁手段を介して設けたスラッシュガスを生成する減圧室と、前記熱絶縁手段と、前記減圧室の周囲に設けた熱遮蔽手段とより構成したことを特徴とするスラッシュガスターゲットの製造装置。
【請求項6】
前記ガス放出用の弁はノズル付きパルス電磁弁よりなり、放出ガスを断熱自由膨張させる構成としたことを特徴とする請求項5記載のスラッシュガスターゲットの製造装置。
【請求項7】
前記低温恒温装置は、真空断熱容器と冷熱源よりなり、温度可変型のクライオスタットを介して、0~80atmの圧力と20~150Kの温度に加圧冷却保持する構成としたことを特徴とする請求項5記載のスラッシュガスターゲットの製造装置。
【請求項8】
前記真空断熱容器は、前記超臨界生成室を囲繞し外部から熱輻射を断つ輻射シールドを設け、該輻射シールドの外側と、真空断熱容器の外筒の間に真空層を介在させたことを特徴とする請求項7記載のスラッシュガスターゲットの製造装置。
【請求項9】
前記減圧室は、前記ガスの三重点圧力以下の圧力になるように減圧されていることを特徴とする請求項5記載のスラッシュガスターゲットの製造装置。
【請求項10】
前記ガス放出用の弁はノズル付きパルス電磁弁よりなり、
前記熱絶縁手段は、前記ノズル付きパルス電磁弁の周囲に設けた熱遮蔽のために75~80Kの寒剤が供給されている熱輻射シールドと、前記超臨界生成室の下端とノズル付きパルス電磁弁との間を接続するガス導入配管に設けた断熱ベローと、前記ノズル付きパルス電磁弁に設けたサーマルアンカと、より構成したことを特徴とする請求項5記載のスラッシュガスターゲットの製造装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、卓上fsレーザビームシステムにより、出力12TW(12×1012ワット)、パルス巾50fs(50×10-15秒)のレーザをターゲットに打ち込んで、該ターゲットより極短ビームを発生させるようにして、密度を上げた固液二相のスラリ状ターゲット部材に関し、特にレーザプラズマカソード方式によるフェムト秒電子ビームとフェムト秒中性子ビームの効率的発生を可能とした極低温クラスタからなるスラッシュガスターゲットの製造方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記卓上fsレーザビームシステムは、パルス巾50fs~200fsの超短パルスレーザを発生する装置で、この装置により従来は観測が困難であった室温でのピコ秒領域の現象を調べることが可能であって、
その特徴は、パルス幅が短いため超高速光化学の観測研究に向き、パルス強度が強いため強電場の物性の観測研究に向いており、そのレーザ照射によりレーザプラズマを作り、電子、X線、イオン、中性子等の極短ビームを生成する機能を持っている。
【0003】
前記レーザ照射については、まず、レーザのターゲット照射により、レーザプラズマが作られ、上記レーザプラズマによって、電子、X線、イオン、中性子等のパルス巾50fsの極短ビームを生成する。
ついで、航跡場砕破方式よりなる加速機構により10fsの電子ビームを作っている。
なお、上記レーザプラズマX線を使用した原子の動画像化に関する時間分解X線回折研究があり、レーザプラズマX線の高品質化が望まれている。
【0004】
一方、米ローレンス・リバモア国立研究所のグループが、温度100Kに冷却した高圧65atmの重水素ガスDを真空中の容器に噴射してクラスタを生成し、そこへ卓上型レーザ(120mJ、35fs、820nm)を照射してDD核融合を起こさせ、中性子の発生に成功している。
【0005】
そして、従来は、12TW50fsレーザを常温ガスジェット(He、Nなどを使用、1~20気圧)にフォーカス照射をして、プラズマ航跡場(電子密度波)を誘起するとともに、前記航跡場の砕破現象によってプラズマ波からこぼれた電子は航跡場によって加速され、プラズマカソードにより1MeVを越える高エネルギ電子が生成されている。
この高エネルギ電子を低温ターゲットに使用すると、電界も10GV/m以上になり、電子はレーザ直後の航跡場にピークにトラップされ、最高エネルギも10MeVを越え、エネルギ巾も10%以下となり、10fs程度の極短バンチになり、電子ライナック(加速器)で加速されると同等な高エネルギ電子ビームを形成する結果が得られているが、上記プラズマカソードによる電子ビームに対しても一層の高品質化が望まれている。
【0006】
なお、高速に加速された荷電粒子(イオン・ビーム)やX線・γ線などの高エネルギ光子等の量子ビームについては、電子顕微鏡、シンクロン放射光、中性子ビームにより、物質の静止ミクロ構造が可視化されている現状にあるが、
この画像化については、二つのフェムト秒量子ビーム例えばレーザとX線技術の組合せにより原子ダイナミックス則ちエネルギの可視化が期待されている。
【0007】
上記したように、従来は常温ガスジェット(He、Nなどを使用、1~20気圧)が使用されているが、最近の米国の例に見るように温度100Kに冷却した高圧65atmの重水素ガスDを真空中の容器に噴射してレーザ照射用ターゲットを得ている。
しかし、レーザビームをフォーカス照射して、上記フェムト秒電子ビームや中性子ビームの高品質化するには、レーザ照射における照射対象となるターゲット部材に対して、レーザビームの吸収効率の向上が必要で、該部材の実現が強く望まれてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、12TW、50fs卓上レーザシステムより、フェムト秒レーザビーム(12TW、50fs)をターゲットに打ち込み、上記航跡場砕破に誘起されるフェムト秒電子ビームの効率的発生と、または前記レーザビームの打ち込みにより発生したD+D核融合反応を介してのフェムト秒中性子ビームの効率的発生を可能とすべく、ターゲット部材の密度向上を図った、極低温クラスタからなるスラッシュガスターゲットの製造方法とその装置の提供を目的とするものである。
なお、本発明の一部は、文部科学省委託事業の「小型加速器実証制作・普及事業」によるものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の第1の発明である極低温クラスタからなるスラッシュガスターゲットの製造方法は、
レーザプラズマカソード方式によるフェムト秒電子ビームの効率的発生を可能とする極低温クラスタからなるスラッシュガスターゲットの製造方法であって、
超臨界生成室に充填したガスを超臨界状態に加圧冷却し、ついで前記超臨界状態に加圧冷却したガスを、弁を介して前記ガスの三重点圧力以下の減圧室へ放出させ、極低温の固液二相流体よりなるスラッシュガスターゲットで、好ましくは数nmから数μmまでの粒径を有する極低温の球状クラスタからなるターゲットを形成したことを特徴とする。
【0010】
上記発明は、12TW、50fsレーザビームを常温ガスジェット(He、Nなど、1~20気圧)にフォーカス照射することにより得られたレーザプラズマ中に引き起こされる航跡場の砕破を利用したプラズマカソードと呼ばれる加速手段により高エネルギ電子が得られているが、この電子エネルギの強度をさらに上げるため、前記常温ガスジェットに代わる極低温スラッシュガスを使用して全体密度を上げ、レーザビームの吸収効率を上げて、高品質電子ビームを効率的に得るようにしたものである。
【0011】
また、前記レーザのターゲット照射により、レーザプラズマが作られ、上記レーザプラズマにより、電子、X線、イオン、中性子等のパルス巾フェムト秒オーダー高品質極短ビームを生成することが出来る。前記して生成されたレーザプラズマX線の使用により、これまで速すぎて可視化出来なかった原子・分子・電子の動画像化、カスケード照射による損傷をリアルタイムに観察できる。
【0012】
そして、上記好適なターゲット形成をすべく、使用ガスを後記するクライオスタットとGM冷凍機と圧縮機により超臨界ガスを形成させたのち、得られた超臨界ガスを当該ガスの三重点圧力以下の減圧室に放出させ、固液二相流体の球状クラスタを形成させて、好適なターゲットを形成させている。
【0013】
また、本発明の第2の発明は、重水素D+D反応を使用したフェムト秒中性子ビームの効率的発生を可能とするスラッシュガスターゲットの製造方法であって、
超臨界生成室に充填した重水素を超臨界状態に加圧冷却し、ついで前記超臨界状態の重水素を弁を介して前記重水素の三重点圧力以下の減圧室へ放出させ、極低温の固液二相の重水素流体よりなるターゲットを形成したことを特徴とする極低温クラスタからなるスラッシュガスターゲットを形成したことを特徴とする。
【0014】
上記発明は、12TW、50fsレーザビームの照射によるターゲットの吸収効率を高効率化するため、ターゲットに使用する重水素ガスをスラッシュ化して、D+D反応を起こさせるとともに、高品質の極短中性子ビームを得るようにしたものである。
則ち、高圧重水素ガスを後記するクライオスタットとGM冷凍機により超臨界ガス(16.2atm、38.2K)を形成させたのち、得られた超臨界重水素ガスを当該ガスの三重点以下の圧力(0.1908atm)の減圧室に放出させ、極低温の固液二相スラッシュ状流体の球状クラスタを形成させ、100Kに冷却した高圧(65atm)重水素ガスの真空中に放出して得られた従来例に見るクラスタより遥かに高密度の極低温ターゲットを得るとともに、高品質の極短中性子ビームを得るようにしてある。
【0015】
そして、斯かる第1、第2の発明の極低温クラスタ/スラッシュガスターゲットの製造方法における超臨界ガスの三重点圧力以下の減圧室へのガス放出は、断熱自由膨張によるジュールトムソン膨張(J-T)をさせ極低温の固液二相のスラッシュ状流体を得るようにしてある。
【0016】
なお、前記スラッシュガス化について、スラッシュ窒素、及びスラッシュ水素について行なわれた試験結果によると、スラッシュ化により従来のミスト状ターゲットの0.125kg/mの密度に比較して86.67kg/mの高密度が得られ高強度の極短ビームを得るようにしている。
【0017】
また、前記第1の発明の極低温クラスタ/スラッシュガスターゲットの製造方法において、使用ガスは、Ar、またはN、またはH、またはDであることが好ましい。
【0018】
そして、前記第1、第2の発明よりなるスラッシュガスターゲットの製造方法に好適な極低温クラスタからなるスラッシュガスターゲットの製造装置は、
スラッシュガスターゲットを生成するためのガスを低温恒温装置を持つ超臨界生成室へ加圧導入し、導入後のガスを所定圧力と温度で冷却して超臨界ガスを形成させ、形成された超臨界ガスを下部の三重点圧力以下の減圧室へ断熱自由膨張のもとに放出させ、極低温の固液二相スラッシュガス流体よりなる高密度クラスタを形成するスラッシュガスターゲット製造装置であって、
ガス供給源より供給されたガスを冷却して超臨界状態にする超臨界生成室と、その下部に設けた臨界ガス放出用の弁と、超臨界状態を形成する低温恒温装置とよりなる上部構造体と、
該上部構造体の下端に熱絶縁手段を介して設けたスラッシュガスを生成する減圧室と、前記熱絶縁手段と、前記減圧室の周囲に設けた熱遮蔽手段とより構成したことを特徴とする。
【0019】
上記発明は、前記したスラッシュガスターゲットを生成するため、重水素、水素等のガスを低温恒温装置を持つ超臨界生成室へ加圧導入し、導入後のガスを所定圧力と温度で冷却して超臨界ガスを形成させ、形成された超臨界ガスを下部の三重点圧力以下の減圧室へ断熱自由膨張のもとに放出させ、極低温の固液二相スラッシュガス流体よりなる高密度クラスタを形成させたものである。
【0020】
上記発明の極低温クラスタ/スラッシュガスターゲットの製造装置において、超臨界ガスを下部の減圧室へ放出するガス放出用の弁はノズル付きパルス電磁弁より構成し、断熱自由膨張をさせる構成とし、前記断熱自由膨張により所謂ジュールトムソン膨張をして極低温のスラッシュガスを得るようにしてある。
【0021】
上記発明は、超臨界ガスを超臨界生成室の下部に設けた減圧室にガス放出用の弁にノズル付きパルス電磁弁を設けて、減圧室内に固液二相スラッシュ状のクラスタを形成させるべく、断熱自由膨張をさせるパルス作動する構成について記載したものである。
【0022】
また、前記低温恒温装置は、真空断熱容器と冷熱源よりなり、温度可変型のクライオスタットを介して、0~80atmの圧力と20~150Kの温度に加圧冷却保持する構成よりなることが好ましい。
【0023】
上記発明は、超臨界ガス生成と保持する低温恒温装置の構成について記載したもので、生成された超臨界ガスの低温保持のための冷熱源と前記超臨界生成室を内蔵する真空断熱容器と、減圧手段と加熱手段とより構成し、圧力0~80atmのもとに温度を20~150Kに冷却する構成にし、前記冷熱源に1段目80K、2段目20Kの冷却をするGM冷凍機より構成する。
【0024】
また、前記真空断熱容器は、前記超臨界生成室を囲繞し外部から熱輻射を断つ輻射シールドを設け、該輻射シールドの外側と、真空断熱容器の外筒の間に真空層を介在させて構成する。
【0025】
た、前記超臨界生成室の下部に設けられスラッシュガスを生成する減圧室は、前記超臨界ガスの三重点圧力以下の圧力で構成するのが良く、この場合には、図3に見るように、三重点以下の圧力での放出の過程により、放出される超臨界ガスは16.2atm、38.2K)の臨界点50より、重水素ガスの三重点圧力(0.16908atm)以下の圧力に減圧された減圧室にノズルを介して噴射されるが、前記臨界ガスはその間、矢印Aに沿う断熱自由膨張(ジュール・トムソン膨張)による冷却効果により、「固+気体」域51を形成する減圧室内でクラスタ/スラッシュ重水素を生成する。
【0026】
また、前記ガス放出用の弁がノズル付きパルス電磁弁である場合に、
前記熱絶縁手段は、前記ノズル付きパルス電磁弁の周囲に設けた熱遮蔽のために75~80Kの寒剤が供給されている熱輻射シールドと、前記超臨界生成室の下端とノズル付きパルス電磁弁との間を接続するガス導入配管に設けた断熱ベローと、前記ノズル付きパルス電磁弁に設けたサーマルアンカと、より構成するのが良い。
【0027】
また、本発明装置に設けた熱遮蔽手段は、前記超臨界生成室を囲繞し外部から熱輻射を断つ熱輻射シールドに加え、前記ガス放出用の弁としてのノズル付きパルス電磁弁とガス導入配管の周りに設けた多層断熱層よりなるスーパインシュレーションよりなる構成が良い。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を例示的に説明する。但しこの実施の形態に説明されている構造部品の寸法、材質、形状、相対位置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の極低温クラスタ/スラッシュガスターゲットの製造装置の概略構成を示す断面図で、図2は図1の極低温クラスタ/スラッシュガスターゲットの製造装置を組み込んだガスジェットシステム図である。
【0029】
図1に見るように、本発明の極低温クラスタ/スラッシュガスターゲットの製造装置は、超臨界ガスを生成する超臨界生成室12と超臨界状態を形成するGM冷凍機のディスプレーサ11等を備えた上部構造物10と、形成された超臨界ガスよりスラッシュガスを生成するスラッシュガス生成用の減圧室20と、前記上部構造物10とスラッシュガス生成用の減圧室20との間に設けられた熱絶縁手段16とより構成する。
【0030】
前記上部構造物10は、超臨界生成室12と、超臨界ガスをスラッシュガス生成用の減圧室へ放出するノズル付きパルス電磁弁13と、前記超臨界生成室に超臨界状態を形成するGM冷凍機のディスプレーサ11とよりなる。
上記GM冷凍機のディスプレーサ11は、超臨界生成室12を囲繞する輻射シールド15と、該輻射シールド15の外側に設けた真空断熱容器14と、前記輻射シールド15に連設する高温側ヘッド11a(80K)と、前記超臨界生成室12の上部に連設する低温側ヘッド11b(20K)とを備える構成とする。
【0031】
前記スラッシュガス生成用の減圧室20は、前記上部構造物10の下部に設けた円筒状真空容器よりなり、その側面に円筒軸芯に直角に卓上用レーザのレーザビーム照射口21(監視窓も兼用)を設ける構成にしてある。
【0032】
前記熱絶縁手段16は、外部常温部位及び上部構造体10との間の熱絶縁を行うもので、前記パルス電磁弁13と前記超臨界生成室12の下部とを接続する導入配管13aを支持する盤状FRPサポート17と、該サポート17と上部構造物10の下部フランジとに設けた液体窒素による放出部輻射シールド16a(80K)と、前記導入配管13aに設けた断熱ベロー16bと、パルス電磁弁13に設けたサーマルアンカ16cとより構成する。
なお、前記サーマルアンカ16cは熱容量の大きい電磁弁の急速冷却のために前記導入配管の低温部位より冷熱を導入するようにしたものである。
【0033】
なお、前記熱絶縁手段16とは別に前記パルス電磁弁13と超臨界生成室12との間を結ぶ導入配管13aとの間に図示していない多段断熱層よりなるスーパインシュレーションを設けてある。
また、温度可変操作には、前記GM冷凍機のディスプレーサ11の低温側ヘッド11bと超臨界生成室12との間に設けられたヒータにより、超臨界生成室のガス温度が所定温度に到達した後はガスが固化しないように温度調整を行うようにしてある。
【0034】
図2は、図1の極低温クラスタ/スラッシュガスターゲットの製造装置を組み込んだガスジェットシステム図である。
図1、図2に見るように、本システムは、GM冷凍機のディスプレーサ11を含む上部構造物10と、該構造物に熱絶縁手段を介してその下部に連設したレーザビーム照射口を備えたスラッシュガス生成用の減圧室20とよりなる本体装置に、スラッシュガス生成用のガスを送出する高圧ガスボンベ22と、真空排気用の真空ポンプ23a、23bと、輻射シールド用寒剤供給源である液体窒素デュワ24と、GM冷凍機のHeコンプレッサ18とより構成する。
【0035】
上記構成により、フェムト秒電子ビームまたはフェムト秒中性子ビーム用スラッシュガスターゲットの生成の場合は、高圧ガスボンベ22より真空ポンプ23aで真空排気した系内へガスを導入置換し、ついで輻射シールド15に液体窒素を流し、ついで、図示しない減圧弁で圧力調整をして任意の圧力(0~80atm)を設定するとともに、GM冷凍機のディスプレーサ11の低温側ヘッド11bで冷却されている超臨界生成室12へ導入し、臨界温度以下に冷却する。
ついで、スラッシュガス生成用の減圧室20を真空ポンプ23bで真空排気をし、所定の三重点圧力以下に減圧する。
上記超臨界生成室12で超臨界状態になった超臨界ガスは下部に取り付けたパルス電磁弁13を介してスラッシュガス発生用の減圧室20へ断熱自由膨張させて固液二相のスラッシュ状クラスタよりなるスラッシュガスターゲットを生成させ、ついでレーザビーム照射口21よりレーザビームの照射がなされる。
【0036】
前記スラッシュガスターゲットにより形成される密度は、重水素の場合86.67kg/mの値が得られ、従来の重水素・ミストをターゲットとした場合の密度0.125kg/mに比較し格段の差があり、そのためレーザビームの照射により、フェムト秒電子ビームやフェムト秒中性子ビームは高品質のものが得られ、これまで速すぎて可視化出来なかった原子・分子・電子の動画像化ができるとともに、カスケード照射損傷のその場観察が可能となる。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、上記構成により下記効果を奏する。
スラッシュガスの生成に際して、超臨界ガスの形成より断熱自由膨張を介して行うことにより、固液二相のスラッシュ状流体を得る構成としたため、高密度の球状クラスタ状ターゲットを得ることが出来、
上記ターゲットにより高品質のフェムト秒電子ビームやフェムト秒量子ビームを得ることができ、従来速すぎて可視不可能であった物理・化学現象の観察が期待出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の極低温クラスタ/スラッシュガスターゲットの製造装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】 図1の極低温クラスタ/スラッシュガスターゲットの製造装置を組み込んだガスジェットシステムの系統図である。
【図3】 本発明の極低温スラッシュガス生成の際、超臨界ガスがパルス電磁弁を介してスラッシュガス生成用減圧室への断熱自由膨張を行う過程での固液二相スラッシュ状態で排出する状況を示す図である。
【符号の説明】
10 上部構造物
11 GM冷凍機のディスプレーサ
11a 高温側ヘッド
11b 低温側ヘッド
12 超臨界生成室
13 パルス電磁弁
13a 導入配管
14 真空断熱容器
15 輻射シールド
16 熱絶縁手段
16a 放出部輻射シールド
16b 断熱ベロー
16c サーマルアンカ
17 盤状FRPサポート
18 Heコンプレッサ
20 スラッシュガス生成用の減圧室
21 レーザビーム照射口
22 高圧ガスボンベ
23a、23b 真空ポンプ
24 液体窒素デュワ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2