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明細書 :GSO単結晶及びPET用シンチレータ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3877162号 (P3877162)
公開番号 特開2003-300795 (P2003-300795A)
登録日 平成18年11月10日(2006.11.10)
発行日 平成19年2月7日(2007.2.7)
公開日 平成15年10月21日(2003.10.21)
発明の名称または考案の名称 GSO単結晶及びPET用シンチレータ
国際特許分類 C30B  29/34        (2006.01)
C09K  11/00        (2006.01)
C09K  11/79        (2006.01)
G01T   1/161       (2006.01)
G01T   1/202       (2006.01)
FI C30B 29/34 Z
C09K 11/00 E
C09K 11/79
G01T 1/161 C
G01T 1/202
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願2003-027893 (P2003-027893)
出願日 平成15年2月5日(2003.2.5)
優先権出願番号 2002028698
優先日 平成14年2月5日(2002.2.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成16年1月7日(2004.1.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成工業株式会社
【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】住谷 圭二
【氏名】石橋 浩之
【氏名】村山 秀雄
【氏名】清水 成宜
【氏名】小林 正明
【氏名】石井 満
個別代理人の代理人 【識別番号】100059959、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 稔
【識別番号】100067013、【弁理士】、【氏名又は名称】大塚 文昭
【識別番号】100082005、【弁理士】、【氏名又は名称】熊倉 禎男
【識別番号】100065189、【弁理士】、【氏名又は名称】宍戸 嘉一
【識別番号】100074228、【弁理士】、【氏名又は名称】今城 俊夫
【識別番号】100084009、【弁理士】、【氏名又は名称】小川 信夫
【識別番号】100082821、【弁理士】、【氏名又は名称】村社 厚夫
【識別番号】100086771、【弁理士】、【氏名又は名称】西島 孝喜
【識別番号】100084663、【弁理士】、【氏名又は名称】箱田 篤
審査官 【審査官】五十棲 毅
参考文献・文献 特開昭64-065482(JP,A)
特開平06-092781(JP,A)
特開平06-287553(JP,A)
調査した分野 C30B 1/00-35/00
C09K 11/00-11/89
G01T 1/00-7/12
CA(STN)
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
Mg、Ta及びZrの1種以上を含有するCe賦活GSO単結晶。
【請求項2】
Gd(2-X)CexMeySiO5 (xは0.003~0.05、yは0.00005~0.005であり、MeはMg、Ta及びZrからなる群から選ばれる元素、またはこれらの混合物である)単結晶である請求項1記載のGSO単結晶。
【請求項3】
Gd(2-X)CexMgySiO5 (xは0.003~0.05、yは0.00005~0.005である)単結晶である請求項1記載のGSO単結晶。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載のCe賦活GSO単結晶からなるPET用シンチレータ。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、GSO単結晶及びGSO単結晶からなるPET用シンチレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
陽電子放出核種断層撮像装置(Positron Emission computed Tomography、以下PET)では、どのような特性あるいは仕様のシンチレータを採用するかが装置全体の性能を向上させる上で最も重要な要因の一つとなる。米国を中心にPET診断の保険適用が進みビジネス拡大が進む中、高性能なPET装置を得るために、優れたシンチレータ材料の探索、実用化のための育成技術開発等が精力的に進められている。
【0003】
GSOシンチレータは蛍光出力、蛍光減衰時間、エネルギー分解能などの特性に優れ、また材料の化学的安定性にも優れているためPET用シンチレータとして採用されている。図1、図2にCe濃度の異なる2種類のGSOシンチレータのエネルギースペクトル(137Cs)及び発光減衰曲線を示す。図から、Ce濃度0.5mol%のGSOの方がCe濃度1.5mol%のGSOに比べて蛍光出力、エネルギー分解能に優れることがわかる。一方蛍光減衰時間は、Ce濃度1.5mol%のGSOの方が短く(早く)優れる。したがって、Ce濃度による蛍光出力と蛍光減衰時間の優劣は逆の関係にあることがわかる。
【0004】
従来のGSO単結晶シンチレータには以下のような問題が指摘されている。
(1)発光のSlow成分の存在
GSOシンチレータの発光減衰曲線は2成分系からなり、減衰の速い成分(Fast成分)は30~60ns、遅い成分(Slow成分)は400~600nsである。遅い成分の出力比は20%程度のため、PET利用で大きな問題とはなっていないが、計数率特性を向上させる上で好ましくなく、低減が望まれる。
【0005】
(2)Ce濃度増加による着色
1.0 mol%以上のCe濃度のGSOでは、僅かであるが淡黄色の着色が見られる。着色は蛍光出力、エネルギー分解能を劣化させることから、好ましくない。図3にCe濃度の異なる2種類のGSOの透過率を示す。Ce濃度1.5mol%の透過率の方が、Ce濃度0.5 mol%に比べて低いことがわかる。着色は、発光に寄与しない4価のCeが原因と考えられる。GSOには、Ce濃度を上げることで蛍光減衰時間を短くできる特長があるが、その結果蛍光出力が劣化する問題がある。蛍光減衰時間と蛍光出力の両立を図る方法としては、4価のCeを減らすことができる不純物の探索が有効と考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、蛍光減衰時間が速く、Slow成分の出力比が小さく、着色がなく透明性の高いGSO単結晶及び該単結晶からなるシンチレータ、特にPET用シンチレータを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するために種々検討を行い、GSO:Ce結晶(Ceを含有するGSO単結晶、すなわちCe賦活GSO単結晶)に少量の不純物(ドーパント)を添加した単結晶が、上記課題を解決し得る事を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、Mg,Ta及びZrの1種以上を含有するCe賦活GSO単結晶を提供するものである。
本発明のCe賦活GSO単結晶は、好ましくはGd(2-X)CexMeySiO5 (xは0.003~0.05、yは0.00005~0.005であり、MeはMg、Ta及びZrからなる群から選ばれる元素、またはこれらの混合物、例えば、MgzZr1-z(zは0以上1以下の数である)等)単結晶であり、さらに好ましくはGd(2-x)CexMgySiO5 (xは0.003~0.05、yは0.00005~0.005)単結晶である。
本発明はまた、上記Ce賦活GSO単結晶からなるPET用シンチレータを提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のMg、Ta及びZrの1種以上を含有するCe賦活GSO単結晶は、酸化ガドリニウム(Gd23)、酸化シリコン(SiO2)及び酸化セリウム(CeO2)と、酸化マグネシウム(MgO)、五酸化タンタル(Ta25)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物とを、原子比でGd=1.95~2.0、Si=1.0、Ce=0.003~0.05、Mg、Ta、Zrまたはこれらの混合物=0.00005~0.005となる割合で含有する溶融物から、例えば、チョクラルスキー法等により種結晶を用いて結晶を成長させる方法により製造することができる。
【0009】
結晶成長の際の雰囲気は、不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等)中に、酸素が容積規準で0.5%~2.5%含まれるガスを使用することが好ましい。上記結晶を溶融させる坩堝等の容器の材質は、特に限定はないが、2000℃以上の融点を有するものが好ましく、イリジウムが最も好適である。
結晶成長の際の結晶材料の溶融温度は、好ましくは1900~2000℃、さらに好ましくは1940~1960℃である。
【0010】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。原料として酸化ガドリニウム(Gd23、純度99.99質量%)、二酸化珪素(SiO2、純度99.99質量%)、酸化セリウム(CeO2、純度99.99質量%)、ドーパントとして酸化マグネシウム(MgO、純度99.99質量%)、五酸化タンタル(Ta25、純度99.99質量%)、二酸化ジルコニウム(ZrO2、純度99.99質量%)を使用して、チョクラルスキー法によって単結晶を育成した。単結晶から10×10×10mm3の試料を採取して、波長460nmでの透過率を測定した。また、シンチレータのエネルギースペクトル(137Cs)及びデジタルオシロにより発光減衰曲線を測定し、蛍光減衰時間、減衰成分の出力比(Fast成分/Slow成分)、及び蛍光出力(相対比)をまとめて表1に示した。ただし、それぞれの実施例の結果は単結晶インゴットの上部と下部について測定し、その平均値を示した。なお、本実施例は好適な一例を示すものであり、本発明を限定するものではない。
【0011】
(実施例1) Gd2SiO5:Ce,Mg単結晶シンチレータ
Mgを添加した単結晶を試作した。酸化ガドリニウム(Gd23)、酸化シリコン(SiO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マグネシウム(MgO)を、原子比でGd=1.995、Si=1.0、Ce=0.005、Mg=0.002となる割合で含有する溶融物から、チョクラルスキー法により、種結晶を用いて、1950℃、引き上げ速度2mm/hr、種結晶の回転速度30rpmで結晶を成長させた。寸法は約φ25mm×60mmで、無色透明な結晶であった。結晶中のCeの濃度は約1.5mol%、Mgの濃度は0.0006~0.00015 mol%であった。濃度測定は、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、以下ICP)質量分析法を用いた。表1に得られた単結晶のシンチレータ特性を、同様の条件で育成したMgを含有しないGSO単結晶と比較して示す。
【0012】
(実施例2) Gd2SiO5:Ce,Ta単結晶シンチレータ
Taを添加した単結晶を試作した。酸化ガドリニウム(Gd23)、酸化シリコン(SiO2)、酸化セリウム(CeO2)、五酸化タンタル(Ta25)を、原子比でGd=1.995、Si=1.0、Ce=0.005、Ta=0.002となる割合で含有する溶融物から、チョクラルスキー法により、種結晶を用いて、1950℃、引き上げ速度2mm/hr、種結晶の回転速度30rpmで結晶を成長させた。寸法は約φ25mm×60mmで、無色透明な結晶であった。結晶中のCeの濃度は約1.5mol%、Taの濃度は0.0006~0.00015 mol%であった。濃度測定は、ICP質量分析法を用いた。表1に得られた単結晶のシンチレータ特性を、同様の条件で育成したTaを含有しないGSO単結晶と比較して示す。
【0013】
(実施例3) Gd2SiO5:Ce,Zr単結晶シンチレータ
Zrを添加した単結晶を試作した。酸化ガドリニウム(Gd23)、酸化シリコン(SiO2)、酸化セリウム(CeO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)を、原子比でGd=1.995、Si=1.0、Ce=0.005、Zr=0.002となる割合で含有する溶融物から、チョクラルスキー法により、種結晶を用いて、1950℃、引き上げ速度2mm/hr、種結晶の回転速度30rpmで結晶を成長させた。寸法は約φ25mm×60mmで、無色透明な結晶であった。結晶中のCeの濃度は約1.5mol%、Zrの濃度は0.0006~0.00015 mol%であった。濃度測定は、ICP質量分析法を用いた。表1に得られた単結晶のシンチレータ特性を、同様の条件で育成したZrを含有しないGSO単結晶と比較して示す。
【0014】
【表1】
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【0015】
表1に示した通り、不純物としてMg、Ta、Zrをドープすると、Ce濃度が1.5mol%程度であっても着色せず、透過率も低くならない。それに加え、Slow成分の出力比は約半分に低減され、蛍光減衰時間がGSO:Ceと比べて1/3程度速くなっている。
【0016】
【発明の効果】
本発明のGSO単結晶は、蛍光減衰時間が速く、出力比が小さく、着色がなく透明性が高いため、PET用シンチレータとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】GSOのエネルギースペクトルを示すグラフである。(1) GSO:Ce濃度0.5mol%(蛍光出力:486ch、分解能:8.26%)、(2) GSO:Ce濃度1.5mol%(蛍光出力:329ch、分解能:9.96%)
【図2】GSOの発光減衰曲線を示すグラフである。(蛍光減衰時間:Ce濃度0.5mol%、1.5mol%それぞれ60ns、35ns)
【図3】Ce濃度の異なる2種類のGSO単結晶の透過率(t200mm)を示すグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2