TOP > 国内特許検索 > 医療用チューブ接続具 > 明細書

明細書 :医療用チューブ接続具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4210757号 (P4210757)
公開番号 特開2005-198782 (P2005-198782A)
登録日 平成20年11月7日(2008.11.7)
発行日 平成21年1月21日(2009.1.21)
公開日 平成17年7月28日(2005.7.28)
発明の名称または考案の名称 医療用チューブ接続具
国際特許分類 A61M  39/02        (2006.01)
F16L  21/00        (2006.01)
F16L  21/06        (2006.01)
FI A61M 5/14 459F
F16L 21/00 E
F16L 21/06
請求項の数または発明の数 3
全頁数 12
出願番号 特願2004-007296 (P2004-007296)
出願日 平成16年1月14日(2004.1.14)
審査請求日 平成17年8月25日(2005.8.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】鈴木 和年
【氏名】吉田 勇一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100064414、【弁理士】、【氏名又は名称】磯野 道造
審査官 【審査官】宮崎 敏長
参考文献・文献 特開昭53-101717(JP,A)
特開2001-301038(JP,A)
実開昭52-027368(JP,U)
特開2002-000722(JP,A)
特開平06-121840(JP,A)
調査した分野 A61M 5/00 - A61M 5/18
A61M 39/02
F16L 21/00
特許請求の範囲 【請求項1】
直径1.6mm乃至3mmの医療用の2つのチューブを両端から挿入して前記2つのチューブ同士を接続する弾性材料からなる医療用チューブ接続具であって、
前記チューブの外径よりも小さい内径の中空部を有する筒状本体と、
前記中空部の内周面から環状に延出して前記2つのチューブの挿入深さを制限するとともに、前記中空部と同軸位置に、前記チューブの内径と同径の連通孔を形成するストッパ部と、
前記筒状本体の両側端に外嵌され、前記筒状本体の外径と略同一の内径を有する一対の押さえリングと、を有し、
前記筒状本体の外周面の両端部及び前記一対の押さえリングの内周面のうちのいずれか一方に、環状突条が形成され、
前記筒状本体の外周面の両端部及び前記一対の押さえリングの内周面のうちのいずれか他方に、前記環状突条と係合する環状溝が形成されていることを特徴とする医療用チューブ接続具。
【請求項2】
前記弾性材料は、フッ素樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の医療用チューブ接続具。
【請求項3】
前記環状溝の深さは、前記環状突条の突出高さよりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の医療用チューブ接続具。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用チューブ同士を接続する医療用チューブ接続具に関し、より詳しくは、放射性同位元素を利用した放射性医薬品の製造装置に用いる医療用チューブ接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用チューブ同士を接続するチューブ接続具としては、たとえば、特許文献1に開示されているような構造のものがある。
【0003】
図6は、従来のチューブ接続具(医療用コネクタ)を示した断面図であり、(a)は接続前の状態、(b)は接続後の状態をそれぞれ示している。
医療用コネクタ100は、第1コネクタ部材120と第2コネクタ部材130とからなり、互いに着脱可能となっている。第1コネクタ部材120は、主に、円筒状であり、接続されるチューブA内に挿入可能な第1のチューブ接続部121と、この第1のチューブ接続部121の一端部に形成された平板部122と、この平板部122より外方(第1のチューブ接続部121と反対方向)に延びる外筒部123と、平板部122より外方に延び、外筒部123内に同軸的に位置し、かつ第1のチューブ接続部121の内部と連通する内筒部124と、外筒部123に設けられ、外筒部123の内方に突出する第1係合部125とを備える。また、第2コネクタ部材130は、主に、接続されるチューブB内に挿入可能な第2のチューブ接続部131と、この第2のチューブ接続部131の一端部より外方に延び、外筒部123内に挿入可能でありかつ内筒部124を内部に収納可能な筒状部132と、第1係合部125と係合可能な第2係合部136とを備えている。
【0004】
医療用コネクタ100は、輸血用バッグや腹膜透析用器具などにおけるチューブ同士の接続のために用いられる。チューブ同士を接続する場合には、接続しようとする2本のチューブA、Bに第1のチューブ接続部121及び第2のチューブ接続部131を挿入し、第2コネクタ部材130の筒状部132を第1コネクタ部材120の外筒部123及び内筒部124に嵌合させる。輸血用バッグや腹膜透析用器具などに用いる医療用コネクタ100は、着脱、交換が容易であり、かつ、衝撃などにより分離しにくいようにする必要があるため、このような特別な係合構造を備えている。
【0005】
一方、近年、病気の診断および治療に放射性同位元素を利用した放射性医薬品が使用されている。放射性医薬品を用いた診断および治療による放射線被爆を出来るだけ小さくするためには、半減期の短い放射性同位元素、例えば15O(半減期2分)、13N(同10分)、11C(同20分)、18F(同110分)等を用いて放射性医薬品を製造するのが好ましい。
一般に、放射性医薬品は、サイクロトロンで加速した粒子をターゲットに衝突させ、衝突により発生した放射性核種を放射性薬剤製造装置に導くことによって製造される。放射性薬剤の製造過程においては、非常に強い放射線が放出されるため、放射性薬剤製造装置は、通常、鉛で囲まれたホットセルの内部に設置され、放射性薬剤を自動合成するようになっている。
【0006】
また、放射性薬剤製造装置は、種々の反応容器や分離のためのカラムの他、加熱冷却用の機器、流路を制御するためのバルブ、試料や溶媒を注入するための注入用機器、各種センサー類およびこれら多数のパーツを連結するチューブ等から構成されている。このように、放射性薬剤製造装置は、複数の機器から構成されており、また、放射性物質は、すべてチューブを介して移動させる必要があるため、一台の装置に非常に多数(50個程度)のチューブ接続具が使用される。

【特許文献1】特開平8-243171号公報(段落0028~0030、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような放射性薬剤製造装置に、従来のチューブ接続具(医療用コネクタ100)を用いると、それだけでかなりのスペースが必要となり、放射性薬剤製造装置の小型化の障害となっていた。また、限られた空間内に多数の接続具やチューブが配管されると装置内部が極めて複雑となり、故障時の修理も困難であった。また、反応容器などの部品を接続する場合、接続具が大きくなると短い間隔での接続が困難となり、部品の配置に大きな制約が生じたり、デッドボリュームが大きくなってしまう問題があった。
【0008】
また、放射性薬剤製造装置のチューブ内部の圧力は非常に大きくなる場合がある(10気圧程度)。そのため、放射性薬剤製造装置に用いるチューブ接続具は、放射性物質が漏れ出したりしないように、高度の耐圧性が要求される。しかし、従来のチューブ接続具(医療用コネクタ100)は、そのような高圧力に耐えられる耐圧性を有しているか不明であり、仮に耐えられたとしても信頼性が不十分であった。
【0009】
また、放射性薬剤製造装置のチューブは非常に細く(直径1.6~3mm程度)、従来のチューブ接続具(医療用コネクタ100)では、このような細いチューブをしっかりと固定して接続することは困難であった。このような細いチューブ同士をしっかりと固定して接続するには、雄ねじ・雌ねじを備えた特殊な接続具が必要となり、どうしてもチューブ接続具が大きくなってしまう欠点があった。
【0010】
また、医療用コネクタ100は、チューブA、Bにチューブ接続部121、131を挿入する構造であるが、このようにすると、チューブ接続部121、131の端部によって管路に段差D(図6(b)参照)が生じることとなり、この部分(デッドスペース)に薬液が溜まって死液が発生してしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、コンパクトな構造であり、高耐圧性、高気密性、さらには耐薬品性を有し、管路内にデッドスペースを生じることがない医療用チューブ接続具を提供することを課題とする
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1にかかる医療用チューブ接続具は、直径1.6mm乃至3mmの医療用の2つのチューブを両端から挿入して前記2つのチューブ同士を接続する弾性材料からなる医療用チューブ接続具であって、前記チューブの外径よりも小さい内径の中空部を有する筒状本体と、前記中空部の内周面から環状に延出して前記2つのチューブの挿入深さを制限するとともに、前記中空部と同軸位置に、前記チューブの内径と同径の連通孔を形成するストッパ部と、前記筒状本体の両側端に外嵌され、前記筒状本体の外径と略同一の内径を有する一対の押さえリングと、を有し、前記筒状本体の外周面の両端部及び前記一対の押さえリングの内周面のうちのいずれか一方に、環状突条が形成され、前記筒状本体の外周面の両端部及び前記一対の押さえリングの内周面のうちのいずれか他方に、前記環状突条と係合する環状溝が形成されていることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、医療用チューブ接続具は、弾性材料からなり、チューブの外径よりも小さい内径の中空部を有する筒状本体を備えることから、当該中空部にチューブを挿入すると、筒状本体は拡張される(押し広げられる)。そのため、チューブは、筒状本体の復元力によって締め付けられて保持される。なお、筒状本体の中空部の内径は、当該筒状本体が弾性変形することによってチューブが挿入可能な程度に、チューブの外形よりも小さいことが望ましい。また、当該中空部の一部分がチューブの外形よりも小径であり、他の部分がチューブの外形と同径であってもよい。
【0014】
また、医療用チューブ接続具は、中空部の内周面から環状に延出して2つのチューブの挿入深さを制限するストッパ部を備えることから、筒状本体の中空部に挿入されたチューブは、挿入深さが所定の深さに達すると、当該ストッパ部に当接する。そのため、一方のチューブを深く挿入しすぎることによって、他方のチューブの挿入深さが不十分となり、耐圧性、気密性が損なわれることを防止することができる。
【0015】
さらに、ストッパ部は、筒状本体の中空部と同軸位置に、チューブの内径と同径の連通孔を形成することから、筒状本体の中空部に挿入された2本のチューブの管路同士が、当該連通孔によって、段差を生じることなく、平滑に接続される。そのため、デッドスペースが生じることがなく、薬液が死液となって残留することがない。
【0016】
また、放射性薬剤製造装置では、一般に強酸や強アルカリ、有機溶媒などを用いることが多いため、耐薬品性に優れたものでなければならず、従来のチューブ接続具(医療用コネクタ100)ではこのような目的には使用できなかった。そのため、医療用チューブ接続具を構成する弾性材料は、フッ素樹脂を用いるのが特に好ましい(請求項2)。フッ素樹脂は、ゴム(合成ゴム)よりも硬く、他の一般的なプラスチック(ポリプロピレン等)に比べるとやわらかい性質を有する。したがって、フッ素樹脂を用いてチューブ接続具を製造すると、合成ゴムで製造した場合のように軟らか過ぎて耐圧性が不足することがなく、また、ポリプロピレン等で製造した場合のように硬すぎてチューブの挿入が困難となることがない。また、フッ素樹脂は、耐薬品性、耐熱性に優れているため、放射性薬剤製造装置に用いるのに好適である。なお、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)は、耐薬品性に優れていることから、チューブ接続具の材料として好適である。
【0017】
また、本発明に係る医療用チューブ接続具によって接続されるチューブは、フッ素樹脂(例えば四フッ化エチレン樹脂(PTFE)等)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等からなる細径(φ1.6~3.0mm程度)の細管チューブであるのが特に好ましい。放射性薬剤製造装置においては、このような細管チューブが使用されることが多く、本発明に係るチューブ接続具に挿入しても、チューブの方がつぶれてしまうようなことがない。また、前記したように、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)は、耐薬品性に優れていることから、チューブの材料としても好適である。
【0018】
本発明にかかる医療用チューブ接続具には、筒状本体の外径と略同一の内径を有する一対の押さえリングが、筒状本体の両側端に外嵌されている
【0019】
かかる構成によれば、医療用チューブ接続具は、筒状本体の外径と略同一の内径を有する一対の押さえリングが、筒状本体の両側端に外嵌されることから、当該筒状本体に挿入されたチューブと筒状本体とを外側から一層強固に締め付けることができる。このため、チューブ接続具の耐圧性、気密性が向上する。
【0020】
なお、押さえリングは、剛性を有するように形成するのが望ましい。剛性を有する押さえリングをチューブが挿入された筒状本体に外嵌させると、チューブの挿入によって拡大(拡径)された筒状本体が、押さえリングによって強く締め付けられる。そのため、筒状本体の中空部に挿入されたチューブをしっかりと固定することができる。剛性を有するためには、例えば金属などを材料として、ある程度の厚さ(直径方向の厚さ)を有するように押さえリングを形成するのが望ましい。
【0021】
また、本発明にかかる医療用チューブ接続具は、筒状本体の外周面の両端部及び一対の押さえリングの内周面のうち、少なくともいずれか一方に、環状突条が形成されている。
【0022】
かかる構成によれば、筒状本体の外周面の両端部及び一対の押さえリングの内周面のうち、少なくともいずれか一方に、環状突条が形成されていることから、この環状突条によって筒状本体が一層押さえつけられることとなり、医療用チューブ接続具の耐圧性、気密性が向上する。
【0023】
また、本発明にかかる医療用チューブ接続具は、筒状本体の外周面の両端部及び一対の押さえリングの内周面のうち、環状突条が形成されていない方に、該環状突条と係合する環状溝が形成されていることを特徴とする。
【0024】
かかる構成によれば、環状突条と環状溝が係合することにより、押さえリングが外れ難くなり、医療用チューブ接続具の信頼性がさらに向上する。なお、環状溝の深さは、環状突条の突出高さよりも小さく(浅く)するのが望ましい。このようにすると、環状突条による締め付け効果を損なわずに、押さえリングを外れ難くすることができる。
【0025】
なお、請求項1又は請求項に記載の医療用チューブ接続具で医療用の2つのチューブを接続するための接続冶具、チューブを突出させた状態で保持可能な第1保持具と、筒状本体を突出させた状態で保持可能な第2保持具と、からなり、第1保持具は、チューブの外径よりも小さな径に形成されたチューブ設置部と、このチューブ設置部に設置されたチューブを締め付けて固定する第1クランプ機構とを備え、第2保持具は、筒状本体の外径よりも小さな径に形成された筒状本体設置部と、この筒状本体設置部に設置された筒状本体を締め付けて固定する第2クランプ機構とを備えるのが好ましい。
【0026】
放射性薬剤製造装置に用いられるチューブは、非常に細く滑りやすいものであるため、何らかの部材や機器の取り付け口に挿入したりすることが非常に困難であった。
かかる構成によれば、接続冶具は、チューブを突出させた状態で保持可能な第1保持具と、筒状本体を突出させた状態で保持可能な第2保持具と、からなり、第1保持具は、チューブの外径よりも小さな径に形成されたチューブ設置部と、このチューブ設置部に設置されたチューブを締め付けて固定する第1クランプ機構とを備え、第2保持具は、筒状本体の外径よりも小さな径に形成された筒状本体設置部と、この筒状本体設置部に設置された筒状本体を締め付けて固定する第2クランプ機構とを備えることから、これら第1保持具及び第2保持具によって、チューブと筒状本体をつぶさずにしっかりとホールドすることができる。そのため、これら第1保持具と第2保持具を手に持って、第1保持具から突出させたチューブの端部を、第2保持具から突出させた筒状本体の挿入孔(中空部)に容易に挿入することができる。
【0027】
なお、前記第1及び第2のクランプ機構は、チューブ又は筒状本体よりも小さな径の半円形の溝がそれぞれ形成された上側部材と下側部材と、これらを固定するためのネジ(及びネジ穴)によって構成するのが好ましい。これにより、チューブ及び筒状本体を着脱自在に保持することができる
【0028】
また、「チューブ設置部」及び「筒状本体設置部」は、その両端が開口しているのが好ましい。特に、筒状本体設置部は、一方の挿入孔(中空部)にチューブを挿入した状態で、他方の挿入孔(中空部)に他のチューブを挿入する必要があるが、両端が開口していれば、一方の挿入孔にチューブを挿入した状態で、当該筒状本体を第2保持具の筒状本体設置部に設置することができる。
【0029】
また、チューブと筒状本体は、第1及び第2保持具の所定個所をガイド部材に当接させたときに、互いに同軸となって対向するように保持されているのが好ましい。このようにすれば、第1保持具と第2保持具の所定個所をガイド部材に当接させながら摺動させることにより、チューブと筒状本体の中空部の位置合わせをすることなく、筒状本体の中空部にチューブを容易に挿入することができる。
【発明の効果】
【0030】
請求項1に係る医療用チューブ接続具によれば、コンパクトであり、耐圧性、気密性に優れ、死液が発生することがない。そのため、放射性薬剤製造装置及びホットセルを小型化することが可能となり、設置スペースを小さくすることができる。また、少量の試料(1μL-1mL)を扱うことが殆どである放射性薬剤製造装置において、その収量増や品質の向上が期待できる。
【0031】
請求項2に係る医療用チューブ接続具によれば、耐薬品性、耐熱性に優れた医療用チューブ接続具とすることができる。
【0032】
請求項3に係る医療用チューブ接続具によれば、環状突条による締め付け効果を損なわずに、押さえリングを外れ難くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明に係る医療用チューブ接続具(以下、単に「チューブ接続具」という。)の好適な実施形態について、図1、図2及び図3を参照して説明する。図1は第1実施形態にかかるチューブ接続具を示した斜視図である。また、図2は第1実施形態に係るチューブ接続具を示した断面図である。また、図3は第2実施形態に係るチューブ接続具を示した断面図である。
【0037】
<第1実施形態>
第1実施形態に係るチューブ接続具1は、図1に示すように、筒状本体2と、ストッパ部3と、一対の押さえリング4とから構成されている。
チューブ接続具1には、その両端からチューブT、Tがそれぞれ挿入される。
【0038】
筒状本体2は、弾性材料からなる円筒状の部材である。筒状本体2の中空部は、ストッパ部3によって区画されて、一対の挿入孔5、5を構成する。挿入孔5、5は、チューブT、Tの外径よりも若干小さく形成されている。そのため、挿入孔5、5にチューブT、Tを挿入すると、筒状本体2が押し広げられる。その結果、チューブT、Tは、筒状本体2の復元力によって締め付けられて保持される。
【0039】
ストッパ部3は、筒状本体2の中空部の軸方向中央部の内周面から環状に延出している。チューブT、Tは、図2に示すように、このストッパ部3に当接するまで挿入孔5、5に挿入される。換言すれば、ストッパ部3は、チューブT、Tの挿入深さが所定の深さとなるように調整している。そのため、一方のチューブTが深く挿入され過ぎることにより、他方のチューブTの挿入深さが足りなくなるようなことがない。
【0040】
ストッパ部3の中央部には、一方の挿入孔5と他方の挿入孔5とを連通する連通孔6が形成されている。連通孔6は、挿入孔5と同軸に、かつ、当該挿入孔5、5に挿入されるチューブTの内径(管路の直径)と同径に形成されている。そのため、チューブTの内周面と当該連通孔6とに段差を生じさせることなく、チューブTの管路同士を平滑に接続することができる(図2参照)。
【0041】
押さえリング4、4は、リング状の部材であり、中心軸方向の幅が筒状本体2に比して短尺に形成されている。一方、直径方向の厚さは、剛性を有するように、比較的厚く形成されている。また、押さえリング4の内径は、筒状本体2の外径(チューブTが挿入されていない状態の外径)と略同一に形成されている。また、押さえリング4、4は、筒状本体2の挿入孔5、5にチューブT、Tが挿入された状態で、筒状本体2の両側の端部に外嵌される。このとき、筒状本体2はチューブT、Tの挿入によって外径が拡大しているが、押さえリングが剛性を備えているため、筒状本体は強く締め付けられることとなる。
【0042】
なお、押さえリング4は弾性材料により、ある程度の弾性を有するように形成してもよい。かかる場合には、押さえリング4は、チューブTが挿入された筒状本体2に、押し広げられて外嵌されることとなる。そのため、筒状本体2と、これに挿入されているチューブT、Tとは、押さえリング4の復元力によって、一層締め付けられることとなる。チューブ接続具1の使用方法については、後に詳しく説明する。
【0043】
<第2実施形態>
図3(a)は第2実施形態に係るチューブ接続具を示した斜視図、(b)は第2実施形態に係るチューブ接続具を示した断面図である。なお、第1実施形態に係るチューブ接続具と同一の部材には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
第2実施形態に係るチューブ接続具1’は、筒状本体2と、ストッパ部3と、一対の押さえリング4とから構成されている。そして、筒状本体2の外周面の両端部には環状溝7、7が形成されており、押さえリング4、4の内周面には環状突条8、8が形成されている。
【0045】
環状溝7、7は、筒状本体2の外周面に凹設された環状の溝であり、筒状本体2の両側端に形成されている。
【0046】
環状突条8、8は、それぞれの押さえリング4、4の内周面に凸設された環状の突条である。
【0047】
押さえリング4、4が筒状本体2の両側端にそれぞれ外嵌されると、環状突条8、8と環状溝7、7とが互いに係合して、押さえリング4、4が筒状本体2から外れ難くなる。そのため、チューブ接続具1’の信頼性が向上する。また、筒状本体2が、環状突条8、8によってしっかりと押さえつけられることとなるため、チューブ接続具の耐圧性、気密性が一層向上する。
【0048】
なお、第2実施形態においては、筒状本体2の外周面に環状溝7、7を設け、押さえリング4の内周面に環状突条8、8を設けたが、互いに逆の位置に設けてもよい。また、押さえリングが外れるおそれがない場合には、環状溝7、7は必ずしも必要ではない。また、筒状本体2の外周面と押さえリング4の内周面の両方に環状突条を設けるようにしてもよい。かかる場合には、環状突条同士が互いに係合して外れ難くなる。
【0049】
<チューブ接続具の使用方法>
次に、チューブ接続具1を用いてチューブT同士を接続する方法について説明する。
まず、チューブTを筒状本体2の挿入孔5に挿入する前に、押さえリング4の中空部にくぐらせておく。
【0050】
そのあとで、チューブTの先端部を挿入孔5に押し込む。このとき、挿入孔5は、チューブTの外径よりも若干小さく形成されているため、チューブTが挿入されると、その外径が若干拡大する。筒状本体2は、弾性材料で形成されているため、元に戻ろうとする力(復元力)が働き、挿入孔5に挿入されたチューブTを締め付けて保持する。
【0051】
チューブTは、ストッパ部3に当接するまで押し込まれる(図2参照)。ストッパ部3に形成された連通孔6は、チューブTの中空部(管路)と同軸、同径に形成されているため、チューブTの管路同士が連通孔6を介して平滑に接続される。このため、デッドスペースが形成されず、したがって、薬液が死液となって残留することがない。
【0052】
そして、先にチューブTにくぐらせておいた押さえリング4を筒状本体2の端部に外嵌させる。押さえリング4の内径は、チューブTを挿入していない状態の筒状本体2の外径と略同径に形成されているところ、この時点では、筒状本体2は、チューブTの挿入により外径が若干拡大している。そのため、押さえリング4を筒状本体2の端部に外嵌させると、押さえリング4は押し広げられることとなり、その復元力によって、筒状本体2の端部とチューブTが締め付けられて一層密着することとなる。これにより、チューブ接続具1は、高い耐圧性、気密性を備えることとなる。
【0053】
<接続冶具>
ここで、筒状本体2の挿入孔5にチューブTを容易に挿入するための接続冶具(補助具)について説明する。図4は接続冶具の断面図であり、(a)は挿入前、(b)は挿入後の状態を示している。また、図5は接続冶具の側面図であり、(a)は図4(a)のA矢視図、(b)は図4(a)のB矢視図である。なお、図4は、図5のC-C断面およびD-D断面を示している。
【0054】
接続冶具10は、図4(a)に示すように、第1保持具20と第2保持具30とから構成されている。また、本実施形態においては、接続冶具10は、作業台などの平面Y上に載置して使用するものとする。
【0055】
第1保持具20は、直方体形状を呈しており、第1上側部材21と、第1下側部材22とから構成されている。第1上側部材21の下面と第1下側部材22の上面には、チューブTを挟み込むための半円形の溝21a、22aが形成されている。溝21a、22aは、第1保持具20の一つの角部R(直方体の一辺)と平行に形成されている(図5(a)参照)。
【0056】
また、第1上側部材21と第1下側部材22には、第1上側部材21を貫通し、第1下側部材22に達するネジ穴24が形成されており、ネジ23が挿入されている。このネジ23を締めたり緩めたりすることにより、溝21a、22aに挟み込んだチューブTを着脱自在になっている。チューブTは、筒状本体2の挿入孔5の深さと同じか、それよりも長めに、溝21a、22aから突出されて保持される。
【0057】
第2保持具30は、第1保持具20と略同様に、直方体形状を呈しており、第2上側部材31と、第2下側部材32とから構成されている。第2上側部材31の下面と第2下側部材32の上面には、筒状本体2を挟み込むための半円形の溝31a、32aが形成されている。溝31a、32aは、第2保持具30の一つの角部R(直方体の一辺)と平行に形成されている(図5(b)参照)。
【0058】
また、第2上側部材31と第2下側部材32には、第2上側部材31を貫通し、第2下側部材32に達するネジ穴34が形成されており、ネジ33が挿入されている。このネジ33を締めたり緩めたりすることにより、溝31a、32aに挟み込んだ筒状本体2を着脱自在になっている。筒状本体2は、すくなくともストッパ部3から一方の端部までを溝31a、32aから突出された状態で保持される。
【0059】
図5(a)(b)に示すように、平面Yには、第1保持具20と第2保持具30とを沿わせて摺動させるためのガイド部材Gが凸設されている。第1保持具20及び第2保持具30は、それぞれの角部R、Rがガイド部材Gに当接するように、平面Y上に載置される。
【0060】
第1保持具20に保持されたチューブTと、第2保持具30に保持された筒状本体2とは、平面Y上に載置されたときに、互いに同軸となって対向するように、平面Yから中心軸までの高さHと、ガイド部材Gの側面から中心軸までの幅Wが、互いに等しくなるように保持される。
【0061】
そして、平面Y上に載置した第1保持具20と第2保持具30とを、ガイド部材Gに沿って、互いに近づくように摺動させる(図4(b))。これにより、第1保持具20に突出した状態で保持されたチューブTの端部が、第2保持具30に保持された筒状本体2の挿入孔5に当接し、さらに力を加えることで、挿入孔5の中に押し込まれる。
【0062】
さらに、図示は省略するが、同様の方法で、反対側の挿入孔5にもチューブTを挿入する。具体的には、まず、第1保持具20のネジ23を緩めてチューブTから第1保持具20を取り外す。そして、第2保持具30のネジ33を緩めて、まだチューブTを挿入していない筒状本体2の挿入孔5部分を反対側から突出させ、ネジ33を締め付けて再度固定する。つぎに、第1保持具20を他のチューブT(図示せず)に取り付けて、前記した方法により、筒状本体2の挿入孔5に挿入する(図2、図3参照)。
【0063】
チューブTと筒状本体2は、非常に細く、また、小さいものであり、滑りやすいものであるため、これらを手で保持して挿入する作業は非常に煩雑で時間がかかるが、接続冶具10を用いれば、第1保持具20及び第2保持具30によってこれらをしっかりとホールドすることができ、さらに、ガイド部材Gに沿って動かすことで、自動的に位置決めして挿入することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である
【0065】
例えば、筒状本体2及びストッパ部3の材料としては、フッ素樹脂が好適であるが、フッ素樹脂と同等或いは近似した硬度、性質を有する他の材料を使用してもかまわない。
【0066】
また、本実施形態に係る接続冶具10の第1保持具20、第2保持具30は、直方体形状となっているが、筒状本体2とチューブTを、ガイド部材Gと平行に保持することができ、かつ、その状態でガイド部材に沿って摺動することができるのであれば、どのような形状でもかまわない。また、本実施形態に係る接続冶具10を構成する第1保持具20及び第2保持具30は、上下2つの部材に分割可能に形成したが、チューブT及び筒状本体2を保持可能であれば、一体的な構造であってもかまわない。
【0067】
さらに、本実施形態に係る接続冶具10は、ガイド部材Gに沿って摺動させることによって、チューブTを挿入孔5に挿入することとしたが、本発明に係る接続冶具は、このような使用方法に限られるものではなく、第1保持具20と第2保持具30とを手に持って、チューブTの端部を筒状本体2の挿入孔5に当接させて、そのまま押し込むように用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1実施形態に係るチューブ接続具を示した斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るチューブ接続具を示した断面図である。
【図3】(a)は第2実施形態に係るチューブ接続具を示した斜視図、(b)は第2実施形態に係るチューブ接続具を示した断面図である。
【図4】接続冶具の断面図であり、(a)は挿入前、(b)は挿入後の状態を示す。
【図5】接続冶具の側面図であり、(a)は図4(a)のA矢視図、(b)は図4(a)のB矢視図である。
【図6】従来のチューブ接続具を示した断面図であり、(a)は接続前の状態、(b)は接続後の状態を示す。
【符号の説明】
【0069】
1 チューブ接続具
2 筒状本体
3 ストッパ部
4 押さえリング
5 挿入孔
6 連通孔
7 環状溝
8 環状突条
10 接続冶具
20 第1保持具
30 第2保持具
T チューブ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5