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明細書 :画像処理方法、システム及びプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4458339号 (P4458339)
公開番号 特開2005-293299 (P2005-293299A)
登録日 平成22年2月19日(2010.2.19)
発行日 平成22年4月28日(2010.4.28)
公開日 平成17年10月20日(2005.10.20)
発明の名称または考案の名称 画像処理方法、システム及びプログラム
国際特許分類 G06T  11/20        (2006.01)
G01T   5/02        (2006.01)
FI G06T 11/20 100
G01T 5/02
請求項の数または発明の数 12
全頁数 26
出願番号 特願2004-108282 (P2004-108282)
出願日 平成16年3月31日(2004.3.31)
審査請求日 平成18年10月4日(2006.10.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
【識別番号】396004981
【氏名又は名称】セイコープレシジョン株式会社
発明者または考案者 【氏名】安田 仲宏
【氏名】本間 義浩
【氏名】梅島 洋介
【氏名】蔵野 美恵子
【氏名】宗 大路
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100109449、【弁理士】、【氏名又は名称】毛受 隆典
【識別番号】100107881、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 聡
審査官 【審査官】千葉 久博
参考文献・文献 特開2003-031469(JP,A)
特開平10-289318(JP,A)
特開平07-021369(JP,A)
特開平01-177682(JP,A)
魏軍, 外2名,”曲線あてはめによる楕円状粒子計測法”,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,1997年 4月18日,第97巻, 第11号,p.33-40
根本正清, 外1名,”判別関数を用いたカテゴリ間境界の微分幾何学的性質に関する一考察”,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,1994年 9月21日,第94巻, 第241号,p.1-8
調査した分野 G06T 11/00,11/20
G06T 1/00
G01T 1/00-7/12
特許請求の範囲 【請求項1】
前処理部と楕円フィット部とを備えたコンピュータにより、データベースに記憶されている画像データが示す画像に含まれる複数の画素から構成される画像オブジェクトに楕円をフィッティングする画像処理方法であって、
前記前処理部が、前記データベースに記憶されている画像データが示す画像中の画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから、所定数の画素を抽出する工程と、
前記楕円フィット部が、抽出した画素の座標を用いて、前記画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める工程と、を備え、
前記所定数の画素を抽出する工程は、前記画像オブジェクトの面積又は周長に基づいてピッチを求め、求めたピッチで該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから前記所定数の画素を抽出する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前処理部と楕円フィット部とを備えたコンピュータにより、データベースに記憶されている画像データが示す画像に含まれる複数の画素から構成される画像オブジェクトに楕円をフィッティングする画像処理方法であって、
前記前処理部が、前記データベースに記憶されている画像データが示す画像中のフィッティング対象の画像オブジェクトが、複数の画像オブジェクトが重なって1つに表示されている画像オブジェクトであるか否かを判別する工程と、
前記前処理部が、複数の画像オブジェクトが重なって1つに表示されている画像オブジェクトであると判別した場合に、判別した複数の画像オブジェクトを分離する工程と、
前記前処理部が、分離した各画像オブジェクトについて、当該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから、所定数の画素を抽出する工程と、
前記楕円フィット部が、分離した各画像オブジェクトについて、抽出した画素の座標を用いて、当該画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める工程と、を備え、
前記所定数の画素を抽出する工程は、前記画像オブジェクトの面積又は周長に基づいてピッチを求め、求めたピッチで該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから前記所定数の画素を抽出する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項3】
前記重なって1つに表示されている画像オブジェクトであるか否かを判別する工程は、前記フィッティング対象の画像オブジェクトのエッジ部に並ぶ画素での接線のなす角度が所定の誤差範囲にない場合に、複数の画像オブジェクトの輪郭の交差点であると判別する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記重なって1つに表示されている画像オブジェクトであるか否かを判別する工程は、
前記フィッティング対象の画像オブジェクトのエッジ部の画素を一方向に所定の座標ピッチで順次追跡し、直前の画素から現在の画素に向かう線分の基準線に対する一方向の角度を求め、順次の角度の差が所定の規則で減少した場合に、複数の画像オブジェクトの輪郭の交差点であると判別するものであり、
前記所定の規則で減少する場合とは、n番目の画素での基準線に対する角度をθとし、n番目の画素とn-1番目の画素との角度差をγ=θ-θn-1としたときに、以下の条件1乃至条件3の条件を総て満たして角度差γが減少した場合であり、
条件1:γ=θ-θn-1 が負
条件2:γ<誤差角
条件3:γ≦γn-2 かつ、γ≦γn-1 かつ、γ≦γn+1 かつ、γ≦γn+2
この場合のn番目の画素を交差点であると判別する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項5】
楕円で近似する画像オブジェクトを含む画像の画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データに基づいて画像データ中の各オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める楕円フィッティング手段と、
前記楕円フィッティング手段により求めた楕円を特定する情報を記憶する手段と、
を備え、
前記楕円フィッティング手段は、フィッティング対象の画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから所定数の画素を抽出し、抽出した画素の座標を用いて、前記画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める手段を含み、
前記楕円フィッティング手段は、前記画像オブジェクトの面積又は周長に基づいてピッチを求め、求めたピッチで該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから前記所定数の画素を抽出する、
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項6】
楕円で近似する画像オブジェクトを含む画像の画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データに基づいて画像データ中の各オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める楕円フィッティング手段と、
前記楕円フィッティング手段により求めた楕円を特定する情報を記憶する手段と、
を備え、
前記楕円フィッティング手段は、前記画像中の重なって表示されている複数の画像オブジェクトを判別する手段と、判別した複数の画像オブジェクトを分離する手段と、分離した各画像オブジェクトについて、当該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから所定数の画素を抽出する手段と、抽出した画素の座標を用いて、分離した各画像オブジェクトについて楕円をフィッティングする手段とを備え、
前記所定数の画素を抽出する手段は、前記画像オブジェクトの面積又は周長に基づいてピッチを求め、求めたピッチで該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから前記所定数の画素を抽出する、
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項7】
前記重なって表示されている複数の画像オブジェクトを判別する手段は、前記画像オブジェクトのエッジ部に並ぶ画素での接線のなす角度が所定の誤差範囲にない場合に、複数の画像オブジェクトの輪郭の交差点であると判別する、ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記重なって表示されている複数の画像オブジェクトを判別する手段は、前記画像オブジェクトのエッジ部の画素を一方向に所定の座標ピッチで順次追跡し、直前の画素から現在の画素に向かう線分の基準線に対する一方向の角度を求め、順次の角度の差が所定の規則で減少した場合に、複数の画像オブジェクトの輪郭の交差点であると判別するものであり、
前記所定の規則で減少する場合とは、n番目の画素での基準線に対する角度をθとし、n番目の画素とn-1番目の画素との角度差をγ=θ-θn-1としたときに、以下の条件1乃至条件3の条件を総て満たして角度差γが減少した場合であり、
条件1:γ=θ-θn-1 が負
条件2:γ<誤差角
条件3:γ≦γn-2 かつ、γ≦γn-1 かつ、γ≦γn+1 かつ、γ≦γn+2
この場合のn番目の画素を交差点であると判別する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記楕円フィッティング手段により求めた楕円の数と特徴との少なくとも1つを分析する分析手段、を備えることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記楕円フィッティング手段により求めた楕円を評価し、評価が基準レベル以下の場合に、楕円フィッティング手段による楕円を求める手段を再実行させて新たな楕円を求めさせる評価手段を備える、ことを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項11】
コンピュータを、
画像データ中の複数画素から構成される画像オブジェクトの面積又は周長に基づいてピッチを求め、求めたピッチで該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから所定数の画素を抽出し、
抽出した所定数の画素の座標を用いて、前記画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める楕円フィッティング手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
画像データ中の複数画素から構成される画像オブジェクトが、複数の画像オブジェクトが重なって1つに表示されている画像オブジェクトであるか否かを判別する判別手段、
前記判別手段によって複数の画像オブジェクトが重なって1つに表示されている画像オブジェクトであると判別された場合に、判別された複数の画像オブジェクトを分離する分離手段、
前記分離手段によって分離された各画像オブジェクトについて楕円をフィッティングする楕円フィッティング手段、として機能させるためのコンピュータプログラムであって、
前記楕円フィッティング手段は、分離された各画像オブジェクトについて、該画像オブジェクトの面積又は周長に基づいてピッチを求め、求めたピッチで該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから所定数の画素を抽出し、抽出した所定数の画素の座標を用いて、該画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、楕円近似が可能な画像オブジェクトを含む画像データ中の各画像オブジェクトを近似する楕円を求める画像処理方法、画像処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被爆量を測定する手法として、試料(例えば、有機系プラスチック等からなるプレート;飛跡検出用固体)を上着等に着けて、この試料に記録された放射線の入射量や入射方向を測定する手法が用いられている。
【0003】
即ち、飛跡検出用固体を放射線が通過すると、高分子結合が損傷を受ける。そしてこの損傷部分を所定の溶液でエッチングすると、微小なエッチピットが生じる。このエッチピットは、放射線の入射量や入射方向によって形状が異なる。したがって、試料に生じたエッチピットの形状を、顕微鏡で検査、集計することにより、放射線の入射量や入射方向が測定できる(例えば、特許文献1,2)。

【特許文献1】特開平11-174157号公報
【特許文献2】特開2001-42038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、エッチピットの数や形状の判定を、撮像装置を顕微鏡に取り付けて拡大像を撮像し、撮影画像をコンピュータ画面に表示して、専門の係員がコンピュータ画像を観察して、ピットの数、ピットの形状・サイズなどに基づいて被爆量や被爆線種を判別している。
【0005】
しかし、人的処理では、担当者の負担が大きく、正確性・迅速性に欠ける場合があるという問題がある。
【0006】
自動化することも考えられるが、自動化の手法が確立されておらず、さらに、拡大画像にノイズが多く、また、画素数が膨大であるため、処理負担が大きく、処理速度も遅いという問題の発生が予想される。
【0007】
同様の問題は、エッチピットの評価に限らず、画像を用いて様々な対象を評価・検討・判定する場合に生ずる。
【0008】
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、画像を用いた評価・検討・対象を容易及び/又は正確に行うことができる装置と方法を提供することを目的とする。
また、この発明は、処理負担を抑えて、画像を用いた評価・検討・対象を行うことができる装置と方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、この発明の第1の観点に係る画像処理方法は、
前処理部と楕円フィット部とを備えたコンピュータにより、データベースに記憶されている画像データが示す画像に含まれる複数の画素から構成される画像オブジェクトに楕円をフィッティングする画像処理方法であって、
前記前処理部が、前記データベースに記憶されている画像データが示す画像中の画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから、所定数の画素を抽出する工程と、
前記楕円フィット部が、抽出した画素の座標を用いて、前記画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める工程と、を備え、
前記所定数の画素を抽出する工程は、前記画像オブジェクトの面積又は周長に基づいてピッチを求め、求めたピッチで該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから前記所定数の画素を抽出する、
ことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、この発明の第2の観点に係る画像処理方法は、
前処理部と楕円フィット部とを備えたコンピュータにより、データベースに記憶されている画像データが示す画像に含まれる複数の画素から構成される画像オブジェクトに楕円をフィッティングする画像処理方法であって、
前記前処理部が、前記データベースに記憶されている画像データが示す画像中のフィッティング対象の画像オブジェクトが、複数の画像オブジェクトが重なって1つに表示されている画像オブジェクトであるか否かを判別する工程と、
前記前処理部が、複数の画像オブジェクトが重なって1つに表示されている画像オブジェクトであると判別した場合に、判別した複数の画像オブジェクトを分離する工程と、
前記前処理部が、分離した各画像オブジェクトについて、当該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから、所定数の画素を抽出する工程と、
前記楕円フィット部が、分離した各画像オブジェクトについて、抽出した画素の座標を用いて、当該画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める工程と、を備え、
前記所定数の画素を抽出する工程は、前記画像オブジェクトの面積又は周長に基づいてピッチを求め、求めたピッチで該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから前記所定数の画素を抽出する、ことを特徴とする。
【0012】
前記重なって1つに表示されている画像オブジェクトであるか否かを判別する工程は、前記フィッティング対象の画像オブジェクトのエッジ部に並ぶ画素での接線のなす角度が所定の誤差範囲にない場合に、複数の画像オブジェクトの輪郭の交差点であると判別する。
【0013】
また、前記重なって1つに表示されている画像オブジェクトであるか否かを判別する工程は、
前記フィッティング対象の画像オブジェクトのエッジ部の画素を一方向に所定の座標ピッチで順次追跡し、直前の画素から現在の画素に向かう線分の基準線に対する一方向の角度を求め、順次の角度の差が所定の規則で減少した場合に、複数の画像オブジェクトの輪郭の交差点であると判別するものであり、
前記所定の規則で減少する場合とは、n番目の画素での基準線に対する角度をθとし、n番目の画素とn-1番目の画素との角度差をγ=θ-θn-1としたときに、以下の条件1乃至条件3の条件を総て満たして角度差γが減少した場合であり、
条件1:γ=θ-θn-1
が負
条件2:γ<誤差角
条件3:γ≦γn-2 かつ、γ≦γn-1 かつ、γ≦γn+1 かつ、γ≦γn+2
この場合のn番目の画素を交差点であると判別する
【0014】
上記目的を達成するため、この発明の第3の観点に係る画像処理システムは、
楕円で近似する画像オブジェクトを含む画像の画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データに基づいて画像データ中の各オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める楕円フィッティング手段と、
前記楕円フィッティング手段により求めた楕円を特定する情報を記憶する手段と、
を備え、
前記楕円フィッティング手段は、フィッティング対象の画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから所定数の画素を抽出し、抽出した画素の座標を用いて、前記画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める手段を含み、
前記楕円フィッティング手段は、前記画像オブジェクトの面積又は周長に基づいてピッチを求め、求めたピッチで該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから前記所定数の画素を抽出する、
ことを特徴とする
【0015】
上記目的を達成するため、この発明の第4の観点に係る画像処理システムは、
楕円で近似する画像オブジェクトを含む画像の画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データに基づいて画像データ中の各オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める楕円フィッティング手段と、
前記楕円フィッティング手段により求めた楕円を特定する情報を記憶する手段と、
を備え、
前記楕円フィッティング手段は、前記画像中の重なって表示されている複数の画像オブジェクトを判別する手段と、判別した複数の画像オブジェクトを分離する手段と、分離した各画像オブジェクトについて、当該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから所定数の画素を抽出する手段と、抽出した画素の座標を用いて、分離した各画像オブジェクトについて楕円をフィッティングする手段とを備え、
前記所定数の画素を抽出する手段は、前記画像オブジェクトの面積又は周長に基づいてピッチを求め、求めたピッチで該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから前記所定数の画素を抽出する、
ことを特徴とする。
【0016】
例えば、前記重なって表示されている複数の画像オブジェクトを判別する手段は、前記画像オブジェクトのエッジ部に並ぶ画素での接線のなす角度が所定の誤差範囲にない場合に、複数の画像オブジェクトの輪郭の交差点であると判別する。
また、前記重なって表示されている複数の画像オブジェクトを判別する手段は、前記画像オブジェクトのエッジ部の画素を一方向に所定の座標ピッチで順次追跡し、直前の画素から現在の画素に向かう線分の基準線に対する一方向の角度を求め、順次の角度の差が所定の規則で減少した場合に、複数の画像オブジェクトの輪郭の交差点であると判別するものであり、
前記所定の規則で減少する場合とは、n番目の画素での基準線に対する角度をθとし、n番目の画素とn-1番目の画素との角度差をγ=θ-θn-1としたときに、以下の条件1乃至条件3の条件を総て満たして角度差γが減少した場合であり、
条件1:γ=θ-θn-1
が負
条件2:γ<誤差角
条件3:γ≦γn-2 かつ、γ≦γn-1 かつ、γ≦γn+1 かつ、γ≦γn+2
この場合のn番目の画素を交差点であると判別してもよい。
前記楕円フィッティング手段により求めた楕円の数と特徴との少なくとも1つを分析する分析手段、を配置しても良い。
【0017】
前記楕円フィッティング手段により求めた楕円を評価し、評価が基準レベル以下の場合に、楕円フィッティング手段による楕円を求める手段を再実行させて新たな楕円を求めさせる評価手段を配置してもよい。
【0018】
上記目的を達成するため、この発明の第5の観点に係るコンピュータプログラムは、
コンピュータを、
画像データ中の複数画素から構成される画像オブジェクトの面積又は周長に基づいてピッチを求め、求めたピッチで該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから所定数の画素を抽出し、
抽出した所定数の画素の座標を用いて、前記画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める楕円フィッティング手段、
として機能させる。
【0019】
上記目的を達成するため、この発明の第6の観点に係るコンピュータプログラムは、
コンピュータを、
画像データ中の複数画素から構成される画像オブジェクトが、複数の画像オブジェクトが重なって1つに表示されている画像オブジェクトであるか否かを判別する判別手段、
前記判別手段によって複数の画像オブジェクトが重なって1つに表示されている画像オブジェクトであると判別された場合に、判別された複数の画像オブジェクトを分離する分離手段、
前記分離手段によって分離された各画像オブジェクトについて楕円をフィッティングする楕円フィッティング手段、として機能させるためのコンピュータプログラムであって、
前記楕円フィッティング手段は、分離された各画像オブジェクトについて、該画像オブジェクトの面積又は周長に基づいてピッチを求め、求めたピッチで該画像オブジェクトのエッジ部の画素のうちから所定数の画素を抽出し、抽出した所定数の画素の座標を用いて、該画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める、
ことを特徴とする
【0020】
画像オブジェクトに楕円をフィッティングする際には、
楕円の方程式を(1)式で表し、
ax+bxy+cy+dx+ey+f=0
・・・(1)
-4ac=負の定数 の条件下で、
フィッティング対象の画像オブジェクトのエッジ部から選択された複数の画素について、代数距離の平方の和を、最小とする係数を求めることにより、画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める、手法が有効である。
【発明の効果】
【0021】
第1、第3,第5の発明によれば、画素を抽出して処理することにより、小さい処理負担で画像オブジェクトに適切に楕円をフィッティングすることができる。
また、第2、第4,第6の発明によれば、重なっている複数の画像オブジェクトを分離してから楕円フィッティングをおこなうので、画像オブジェクトに適切に楕円をフィッティングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態に係る画像処理システムとしての飛跡検出用固体分析システムについて説明する。
図1に示すように、この飛跡検出用固体分析システム11は、顕微鏡装置21と、画像処理装置23と、データベース(DB)25と、これらを接続するネットワークNWを備える。
【0023】
顕微鏡装置21は、撮像部211とデータ入出力部212とを備える。撮像部211には、エッチ処理された飛跡検出用固体がセットされ、撮像部211は、画像センサにより、その拡大画像の画像データ(階調データ)を取得する。一方、データ入出力部212は、飛跡検出用固体の資料番号(ID)等の任意のデータを入力する。顕微鏡装置21は、取得した画像データと入力されたIDとを対応付けてDB25上のファイルFに出力する。顕微鏡装置21の構造は任意であり、例えば、特開2003-295063,2003-295065,2003-295066号公報に開示された構成のものを使用することができる。
【0024】
画像処理装置23は、入力部235と表示部236とを備えるコンピュータ装置から構成され、機能的に、画像入力部231、前処理部232、楕円フィット部233、後処理部234を備える。
【0025】
画像入力部231は、DB25のファイルFから未処理の画像データを取り出して入力する。
【0026】
前処理部232は、画像入力部231が入力した画像データを二値化し、ノイズ成分を除去するなど、楕円フィット処理の前処理を実行する。
【0027】
楕円フィット部233は、画像上のピットの像に楕円をフィットさせる処理を行う。
【0028】
後処理部234は、ピットにフィットした楕円を元画像に重ねて表示したり、楕円の数をカウントしたり、さらに、各楕円の特徴(サイズ、長軸方向の向き)を抽出したり、被爆量や線種を特定し、さらに、これらの情報をDB25上のファイルFに格納する。
【0029】
DB25は、ファイルF,Fを含む様々なファイルを格納する。ファイルFは顕微鏡装置21で取得された飛跡検出用固体の画像を格納する。ファイルFは、画像処理装置23による処理途中及び処理済の画像データと付帯情報とを対応付けて格納する。ファイルFは、画像処理装置23による分析処理後のデータを格納する。
【0030】
ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)、インターネットなどの任意のプロトコル及びサイズのネットワークから構成される。
【0031】
次に、上記構成の飛跡検出用固体分析システム11を用いて飛跡検出用固体を分析する手順を説明する。
【0032】
分析手順の概要を示す図2の通り、まず、顕微鏡装置21に検査対象の飛跡検出用固体をセットし、撮像部211によりその階調画像の画像データ(例えば、図11(a)に模式的に示す)を取得し、データ入出力部212から入力されたIDと共にDB25のファイルFに格納する(ステップS101)。顕微鏡装置21側では、この処理を順次実行する。
【0033】
顕微鏡装置21による処理とは、別個の処理として、画像処理装置23は、画像データをDB25のファイルFから適宜読み出して、エッチピットの画像(画像オブジェクト)の輪郭に近似する楕円を求める画像処理を実行し(ステップS102)、さらに、処理結果を分析して、被爆量の判定などの処理を行い(ステップS103)、それぞれ処理結果をDB25上のファイルFとFに格納する。
【0034】
ステップS102の画像処理は、図3に示すように、入力・前処理(ステップS201)、楕円フィッティング処理(ステップS202)、後処理(ステップS203)、から構成される。
【0035】
入力・前処理は、DB25のファイルFに格納されている画像データのうちから処理対象の画像データを読み出し、二値化し、ノイズを除去する等、楕円フィッティング処理の準備のための処理である。
【0036】
図4に示すように、この入力・前処理(ステップS201)においては、まず、オペレータは入力部235を操作し、処理対象画像を指定する(ステップS301)。この指定操作に応答して、画像処理装置23は、処理対象の画像データをDB25のファイルFから読み出し、補助記憶装置等に入力する(ステップS302)。
【0037】
続いて、読み出した画像中のエッチピットの像(画像オブジェクト)を抽出する(ステップS303)。一般的に、図11(a)に模式的に示すように、エッチピットは他の平坦領域に比べて暗く撮影される。従って、周囲より暗い(階調の低い)部分を抽出することによりエッチピットの画像を抽出することができる。
【0038】
具体的には、例えば、図5に示す処理によりエッチピットを抽出する。
まず、その画像全体の画素をスキャンして、各画素の階調のヒストグラムを取得する(ステップS401)。一般に、階調のヒストグラムは、階調全体に均等に分布するのではなく、階調の小さいクラスタと階調の大きいクラスタとに二分される。画像処理装置23は、両クラスタの間に閾値(階調)を設定する(ステップS402)。続いて、この閾値と各画素の階調とを比較して、画像を二値化する(ステップS403)。
【0039】
ステップS403の二値化処理が終了すると、図4のノイズ除去処理を行う(ステップS304)。このノイズ除去処理は、ステップS303の抽出処理により得られた各エッチピット(画像オブジェクト)の面積(画素数)を判別し、画素数が基準値より小さければ、ノイズとして除去する処理である。
【0040】
ステップS304のノイズ除去処理が完了すると、残った各エッチピットの画像(画像オブジェクト)の外周を構成する複数の画素のうちから所定数n個の画素を抽出し、抽出した画素の座標(x、y)を判別する(ステップS305)。
【0041】
このステップS305においては、まず、画像オブジェクトの外周に位置する画素を取得する。外周上に位置する画素を取得する手法としては、任意の既知の手法を使用することも可能である。例えば、3行3列の画素行列をx軸方向及びy軸方向に走査して、各画像オブジェクトのエッジの画素を検出し、続いて、これらの画素のうちから所定の基準で選択したn個の画素の座標(x,y)を外周座標として求めるようにしてもよい。また、エッジの画素の画素列を所定画素ピッチで辿ることで、外周を構成する画素を確定する処理を行ってもよい。
なお、画像オブジェクトの外周を構成するn個の画素を抽出する処理については、図12~図15を参照して後述する。
【0042】
以上の処理で、図3のステップS201の入力・前処理が終了し、続いて、抽出された各画像オブジェクト(エッチピット)の外周を構成する画素の座標(x、y)を用いて、その画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求める楕円フィッティング処理(ステップS202)を開始する。
【0043】
楕円フィッティング処理の詳細を図6を参照して説明する。
まず、円錐Fの方程式を式(1)のようにおくこととする。
F=ax+bxy+cy+dx+ey+f ・・・(1)
【0044】
ここで、ベクトルP=[a b c d e f]、ベクトルR=[x xy y x y 1]とおくと、円錐Fの方程式は次式(2)で表される。
F(P,R)=P・R=ax+bxy+cy+dx+ey+f
・・・(2)
【0045】
注目しているエッチピットのエッジのn個の座標(x,y)i=1~nについては、ベクトルR=[xiiiiii 1]となる。
【0046】
ここで、F(P,Ri)は、ポイント(x、y)から円錐F(P,R)への代数距離と呼ばれる。一般の円錐曲線のフィッティングは、代数距離の平方の和をD(P)とおくと、D(P)=ΣF(P,R)(i=1~n)が最小となるときである。
【0047】
数学の定理によると、円錐曲線F(P,R)=0は、係数の関係b-4ac<0を満たせば、必ず楕円である。
従って、エッチピットの輪郭に最もフィットする楕円を求めるためには、代数距離ΣF(P,R)が最小になるPを、制限条件b-4ac<0のもとで、求めればよい。
【0048】
しかし、実際は、この条件で解を求めるより、ある値を便宜上定めた方が一般的である。
そこで、「制限条件b-4ac=-1」と決めて、解を求めることとする。このようにすると、楕円方程式を定義する係数群(a~f)を示すベクトルPが求まる。
【0049】
ここで、「制限条件b-4ac=-1」を、ベクトルで表現すると次のようになる。
ConstP=-1
【数1】
JP0004458339B2_000002t.gif

【0050】
ラグランジュの乗数法によって、
条件P=ConstP=-1のもとで、D(P)を最小値とするベクトルPは、連立方程式
【数2】
JP0004458339B2_000003t.gif
を充足するPのうちから選ばれる。
【0051】
ここで、Dは数式3に示す行列であり、ステップS501で設定される。
【数3】
JP0004458339B2_000004t.gif

【0052】
続いて、S=DDとおく(ステップS502)。
S=DDを(3)、(4)式に代入すると、(3a)、(4a)式が得られる。
【数4】
JP0004458339B2_000005t.gif

【0053】
数式(3a)のSP=λConstP は、「一般固有値システム」、λは「一般固有値」と呼ばれる。
一般固有値システム(3a)より、一般固有値λとその固有値に対する固有ベクトルPを求めるために、S=QQのように、行列Sを分解する(ステップS503)。ただし、Qは対称行列である。
【0054】
S=QQ を一般固有値システム(3a)に代入すると、(3b)が得られる。
P=λConstP ・・・(3b)
【0055】
ここで、V=QPとおくと、V=λQ-1ConstQ-1V となる。
【0056】
C=Q-1ConstQ-1 とおくと(ステップS504)、
V=λCV、 即ち、CV=1/λV が得られる。
【0057】
行列Cの固有値d(i=1~6)とその固有値dに対するCの固有ベクトルをVを求める(ステップS505)。
定義より、V=QPであり、P=Q-1である。これから、(1)式の解Pが求められる。
【0058】
式(1)の解Pは6個ある(i=1~6)ので、その中からD(P)の最小になるPを特定するため、一般固有値λ(i=1~6)のうちから、唯一負の値のものλを選択する。実際には、Cの固有値dとλの符号が同一であるため、負の固有値dを探し、「k」を求める(ステップS506)。
続いて、判別した「λ」に対応する固有ベクトルPを選択し、これを解とする(ステップS507)。
【0059】
続いて、制限条件b-4ac=-1を満たす唯一の解を求める。
ここで、もしベクトルuが(1)式の解であれば、任意のw(スカラ)に対して(λ,w)も(1)式の解である。そこで、解を確定するための制限条件wConstP=-1を使って、式(5)より係数wを求め(ステップS508)、さらに、式(6)でPを算出する(ステップS509)。
【0060】
=√(-1/(PConstP)=√(-λ/(PSP
・・・(5)
P=w ・・・(6)
【0061】
このP=w=[a b c d e f]が楕円フィッティング対称のエッチピット(画像オブジェクト)の輪郭に近似する楕円方程式を定義する。
【0062】
画像処理装置23はこのような楕円フィッティング処理を、選択された画像内の画像オブジェクトについて1個ずつ順番に実施し、フィッティングにより得られたベクトルPを画像オブジェクトに対応付けて特定する。
【0063】
このようにして、その画面についての、楕円フィッティング処理(図3、ステップS202)が終了すると、続いて、後処理(ステップS203)を行う。
この後処理は、図7に示すように、外枠処理(ステップS601)とオペレータによる編集処理(ステップS602)とを含む。
【0064】
外枠処理(ステップS601)は、図8(a)、(b)に示すように、各画像オブジェクトの近似楕円について、画像の外枠(四辺のいずれか)にかかっているか否かを判別し(ステップS701)、かかっていると判別した場合には(ステップS701;Yes)、処理対象外枠(右外枠または下外枠)にかかっているか否かを判別し(ステップS702)、それ以外の外枠にかかっていると判別した場合(ステップS702;画像外)には、その楕円を捨て(ステップS703)、楕円が外枠にかかっていない(ステップS701;No)又は右外枠または下外枠にかかっていると判別された場合(ステップS702;Yes)には、そのまま残す処理である。
【0065】
次に、図7のオペレータによる編集処理(ステップS602)に移る。この処理を図9を参照して説明する。
オペレータは、楕円の抽出条件、例えば、サイズ、面積、形状(例えば、楕円の長径と短径の比)、長軸の方向、等を適宜設定する(ステップS801)。次に、その条件に合致する楕円の数を求め、その数を表示する(ステップS802)。
【0066】
オペレータが、条件設定を終了したか否かを判定し(ステップS803)、終了していない場合には、ステップS801にリターンし、条件設定が終了・確定した場合には、対応する原画像(階調画像)を表示装置に表示し(ステップS804)、さらに、抽出した楕円を原画像の上に、例えば、図11(b)に例示するように、上書き表示する(ステップS805)。
【0067】
ここで、オペレータは、必要に応じて、入力部235を介して通常の入力方法を用いて、任意の楕円を指定し、任意の指示を行う(ステップS806)。画像処理装置23は、入力指示に応じた処理を実行する。
【0068】
例えば、楕円を指定して、削除が指定されると(ステップS806;削除)、その画像が削除される(ステップS807)。また、楕円が不適切であるとオペレータが判断した場合には、オペレータは、例えば、画面上をクリックする等して、任意の画像オブジェクトのエッジの情報を指定する(ステップ806;エッジ指定)。この場合、画像処理装置23は、上述と同様の処理により、指定された複数の点にフィットする楕円を描き、その楕円を再表示する(ステップS808)。また、表示された楕円が全て適切であれば、オペレータは、例えば、リターンキーを操作したり、確定ボタンを操作する。
【0069】
これらの操作に応答して、画像処理装置23は、IDと原画像と各楕円の情報とを対応付けてDB25上のファイルFに保存する(ステップS809)。
【0070】
以上で、1つの画像分の処理が終了する。
【0071】
一方、画像処理装置23は、適当なタイミングで、ファイルFを適宜アクセスして、各画像に付属している楕円の情報を判別して、各楕円の特徴量を求める。
【0072】
例えば、フィットした楕円の数、各楕円のサイズとその分布(分散)、楕円長軸の向きとその分布(分散)、等を求め、これを機知の手法を使用して分析し、被爆量や被爆線種、被爆方向などを判別し、IDに対応付けて、ファイルFに格納する。
【0073】
例えば、図10に示すように、単位面積当たりの楕円数に基づいて被爆量を判定し(ステップS901)、楕円の径に基づいて線種を判定し(ステップS902)、楕円の長軸の向きに基づいて線源の方向を判別する(ステップS903)。さらに、これらの情報を画像情報などと共にファイルFに格納する(ステップS904)。
【0074】
以上説明したように、この実際の形態の飛跡検出用固体分析システム11及びそこで実行される方法によれば、飛跡検出用固体の画像を取得し、これを分析することによりエッチピットを近似する楕円を自動的に求めることができ、しかも自動的に求めた楕円を分析して被爆量等の情報を自動で取得することも可能である。
【0075】
(画像オブジェクトの外周を構成する画素のうちからn個の画素を抽出する方法)
多数の画素を楕円のフィッティングに使用すると、各画素の座標の判別(特定)及び楕円のフィッティング処理の負担が大きくなると共に処理速度が遅くなってしまう。また、エッジラインには微妙な凸凹があるため、とびとびに取ることが望ましい。
【0076】
そこで、図16のフローチャートに示すように、楕円フィッティングに使用するエッジライン上の画素(エッジ画素)のうちから適切な数と配置のn個の画像を取得して、これをフィッティング処理に使用する。
【0077】
以下の説明では、始点の画素と終点の画素が一致し、かつ、ループを時計回りにトレースするものとする。
【0078】
図12に示すように、ループの始点のy座標は、オブジェクトの一番上の線の位置を示し、x座標はその線の一番左の画素の位置を表す。これは、画像を左上の原点位置からラスタスキャンした場合に、最初にスキャンされる画素である。そして、この画素をフィッティング対象の画素として登録する(図16;ステップS1001)。
【0079】
次に、この始点から順にNピッチで画素を選択してループをたどる(ステップS1002,S1003)。例えば、今、図13の画素(点)Pを考える。この画素を囲む画素は8個存在しうる。それらをPの8近傍という。Pからみると、垂直方向(P,P)、水平方向(P,P)、斜め方向(P,P,P,P)に隣接している画素があるとき8近傍で連結しているという。
【0080】
ここで、画素ピッチという考えを導入する。画素ピッチNとは、画像オブジェクトと背景の境界をなしている画素の連鎖上で、画素の間隔をN-1個飛ばして、N個毎に画素をとっていくことである。
例えば、画素ピッチが2ならば、境界をなしている画素の連鎖より、間隔を1個飛ばして画素を拾っていく。同様に、画素ピッチが5ならば、境界をなしている画素の連鎖より、間隔を4個飛ばして画素を拾っていく。そして拾っていった画素群がフィッティング処理の計算の対象となる(ベクトルDの構成要素)。
【0081】
座標ピッチは、画素の連鎖上で動くもので、座標ピッチで決められていく点は8近傍で連結している画素である。
今、図14に示すように、画素ピッチ2の場合について、考えると、画素PからPiまでの画素の連結でのつながり方は、負の角度方向(-90°以内)を考えると、次の9通りがある。
【0082】
1)P-P-P 2)P-P-P 3)P-P-P 4)P-P-P 5)P-P-P 6)P-P-P 7)P-P-P 8)P-P-P 9)P-P-P
そして、2ピッチで移動する際に、開始点から到達点に至るライン(直線)の傾きはD~Dの5種類ある。
【0083】
同様に、座標ピッチを5とすると、画素PからPまでの画素の連結でのつながり方は、負の角度方向(-90°以内)を考えると、図15に示すように、例えば、1)a-g-m-i-d 2)a-f-l-h-i 3)a-f-l-m-n 4)a-f-l-m-s 5)a-b-h-m-r 6)a-b-h-m-q 7)a-b-h-l-p ...
等が考えられる。そして、5ピッチで移動する際に、開始点から到達点に至るライン(直線)の傾きは13種類ある。これらの傾きについては、後述の実施の形態にて述べる複数の画像オブジェクトの分離処理に用いる。
【0084】
このようなルートを辿って画素連鎖を追跡しながら、Nピッチ進む(N-1個の画素を飛ばす)毎にその画素を楕円フィッティング用の画素として登録する。
なお、ピッチ数は、固定で予めシステムに登録されており、或いは、オペレータの指定により特定される。
【0085】
図16のステップS1001及びS1002で登録したn個の画素のx、y座標をステップS305での抽出外周座標とし、ステップS202及び図6のフローチャートにおけるフィッティング処理の対象とする。
【0086】
(第2実施の形態)
第1の実施の形態においては、ピッチ数が固定であり、例えば、大きな画像オブジェクトについては楕円を近似するための画素数が多く、小さい画像オブジェクトについては画素数が小さくなってしまう。
【0087】
そこで、以下、画像オブジェクトの形状に関わらず、一定数の画素(エッジ画素)を抽出し、これを用いて楕円を近似することができるシステムについて、図17のフローチャートを参照して説明する。
【0088】
ここで、理解を容易にするため、取り扱う図形を真円とし、半径をrとする場合について考える。
まず、円周長をLとした場合、L=2πrとなる。
【0089】
円周上の点(楕円フィッティングに使用する画素)を6画素に固定する場合を考える。フィッティングに使用する2画素間の円周長は、2πr/6=πr/3 である。
これより、座標ピッチpはπr/3となる。
【0090】
円の面積Sは、S=πrである。この面積Sを用いると、座標ピッチpの基準は、次のように定まる。
p=(1/3)√(πS)
【0091】
例えば、面積が1000画素のときの座標ピッチについて考えると、座標ピッチpの基準は、ほぼ18.6画素になる(実際は、この値近傍の整数値)。また、このとき、隣り合わせのピッチ間(長さはr)より小さな円(半径r/2以内)は、ゴミとみなして、拾わないことになる。
【0092】
次に、楕円について考える。楕円の場合は、円周長をL,面積をSとすると、近似的に次式が成立する。
L=4S=4∫√(acost+bsint)dt(t=0~π/2)
【0093】
この式に、離心率k=√((a-b)/a)を代入すると、
L=4a∫√(1-ksint)dt (t=0~π/2)が得られる。
この方程式は、楕円積分での第2種完全楕円積分にあたり、解は例えば完全楕円積分表を参照して解くことができ、予め、DB25上に格納した完全楕円積分表を参照して離心率kに対応する解を得る。
【0094】
円周上の点をm点決めることを考えると、2点間の円周長はL/mとなり、この値に近い整数値が座標ピッチpとなる。具体的に面積を1000としたときの座標ピッチについては、次の通りである。S=πab=1000とすれば、ab≒318.3。例えば、a=(√2)bとすれば、k=0.5、a≒21.2、b≒15.0となる。k=0.5のとき、∫√(1-ksint)dt(t=0~π/2)=1.35064となり、これをL/mに代入すると、m=6ならば、画素ピッチp≒19.1となり、これを基準に画素ピッチを20と定める。
【0095】
そこで、まず、画像オブジェクトを構成する画素の数をカウントする等の手法で、画像オブジェクトの面積(画素数)を求め(図17,ステップS1101)、続いて、面積と予め設定されている離心率などから周長Lを求め(ステップS1102)、選択すべき画素数nからピッチpを決定し(ステップS1103)、画像オブジェクトと背景との境界線(言い換えれば輪郭線)を辿って画素連鎖を追跡しながら、上式で求めたpピッチ進む(p-1個の画素を飛ばす)毎に、その画素のx、y座標をステップS305での抽出外周座標とし(ステップS1004)、ステップS202及び図6のフローチャートにおける楕円フィッティング処理の対象とする。
【0096】
この実施の形態によれば、楕円で近似する画像オブジェクトの形状によらず、所定数の画素を適切に抽出し、抽出した画素の座標から画像オブジェクトの輪郭に近似する楕円を求めることができる。
【0097】
なお、各画像のオブジェクトの面積は、例えば、画像オブジェクトと背景との境界の閉ループ内の画素数をカウントする既知の手法を使用して容易に取得可能である。
【0098】
(第3実施の形態)
エッチピットのうちには、図11(a)で示すように、2つのエッチピットが重なっているものが存在する。このような場合には、ピットを分離してから楕円フィッティングを行わないと、例えば、2つのエッチピットを大きな楕円でフィッティングしてしまい、被爆量等を適切に判別できなくなるおそれがある。
【0099】
そこで、以下、重なっているエッチピットを分離してから楕円フィッティングを行う画像処理システムについて説明する。
2つのエッチピットが重なっていることを判別する手法を述べる。ここでは、画像オブジェクトの輪郭を反時計方向にNピッチで辿ったとき、角度が急激に変わる場所(変曲点)が現れたときに、その点が2つの楕円の交差点であると考えることとする。
【0100】
図18を参照して基本的な例を具体的に説明する。
今、2つのエッチピットが重なっている画像オブジェクトと背景との境界線BLをスタート点Pから辿る場合を考える。
【0101】
スタート点P1から画素連鎖を辿り、P→P→P→P→P→・・・と辿っていくとする。そして、P,P,P,P,P...での接線をTL,TL,TL,TL,TL...とする。そして、接線TLとTLの交差角をθ1、接線TLとTLの交差角をθ2、接線TLとTLの交差角をθ3、接線TLとTLの交差角をθ4、...とする。
【0102】
ここで、θ1とθ2の差、θ2とθ3の差、θ3とθ4との差、...は、楕円のサイズや離心率、さらに、ピッチにより定まる一定の誤差範囲に入るはずである。ところが、2つの楕円が交差している点の近傍では、誤差範囲を超えて大きく変化する(角度変換点)ことが多い。そこで、そのような場合には、その角度変換点を2つの楕円の交差点とする。
【0103】
さらに、画素連鎖を辿って次の角度変換点を見つけると、最初の変換点から次の変換点までが1つの楕円の円弧であると判別することができる。そして、その円弧上の複数点の座標から近似する楕円をフィッティングする。
【0104】
即ち、画像処理装置23は、画素連絡をスタート点からピッチpで順次辿り、各選択点Pでの接線TLの方向を求めて記録し、これと1つ前の接線TLi-1との交差角θiを求め、この交差角θiが許容誤差範囲を超える点Piを複数の楕円、すなわち、2つの楕円の交差点と判別する。そして、輪郭線BLを1周辿って、2つの隣接する交差点間の円弧を1つの楕円の円弧とみなして、その円弧上の複数点の座標から楕円をフィッティングする。ここでは、便宜上、2つの楕円の重なりについて、説明したが、基本的な考え方は3つ以上の楕円の重なりについても同様である。
【0105】
なお、図18では、理解を容易にするため、点Pの間隔を大きくしているが、複数楕円の交差点の判別には、3~7画素ピッチ程度で辿ることが望ましい。この画素ピッチが大きすぎると、交差点を正確に判別するこができず、小さすぎると、処理量が大きくなってしまうためである。
【0106】
また、この場合に、交差角θを求めるために選択する画素Pの全てを楕円のフィッティングに使用する必要はない。例えば、交差角θを求めるためには5画素ピッチで境界線BLを辿り、分離した後の円弧上の所定数の画素を、その面積等から求めるようにしてもよい。
上述の手順をフローチャートにまとめると図19に示すようになる。
【0107】
境界線の画素連鎖を辿り、交差点を検出する手法を図20を参照してさらに詳しく説明する。
ここでは、輪郭線BLを、ポイントP→P→P→P→P→P...と左周りに辿る場合を考える。図示するように、θ=ポイントPとPを結ぶラインLP0-P1が水平ラインとなす角、θ=ポイントPとPを結ぶラインLP1-P2が水平ラインとなす角、θ=ポイントPとPを結ぶラインLP2-P3が水平ラインとなす角、θ=ポイントPとPを結ぶラインLP3-P4が水平ラインとなす角、θ4=ポイントP4とP5を結ぶラインLP4-P5が水平ラインとなす角、...とする。これらの角度は、図20に示すように、ポイントP→P、P→Pの各線分の始点に交わる水平ラインに対し、始点からみて線分とは反対の側からの画素連鎖を辿る方向である反時計回りの角度としてある。図20では楕円の上側を辿った場合を示してあり、角度は、水平ラインに対して始点の右側からの反時計回りの角度である。
【0108】
続いて、差角の増減を表す増減角を次にように定義する。
γ=θ-θn-1
(γ=θ-θ、γ=θ-θ、γ=γ-γ...)
図では、γは正、γは正、γは負、である。
【0109】
このような前提のもとで、ある点Pnで、以下の条件を満たすときに、その点で2つの楕円が交差しているとみなす。即ち、増減角がこの規則で減少した場合に2つのオブジェクトの輪郭の交差点であると判断する。
1.γ=θ-θn-1 が負
2.γ<誤差角
3.γ≦γn-2
γ≦γn-1
γ≦γn+1
γ≦γn+2
(前の2点より増減角が小さく、かつ、後の2点よりも小さい。前後4点より明らかに減少している)
【0110】
ただし、4.画像の外枠にかかる点は、重なっている点とはみなさない。
誤差角は、例えば、図15,図16に示したピッチ別の取りうる方向のうち、どの角度範囲までを誤差とみなさないかということにより定まる。
上述の手順をフローチャートにまとめると図21に示すようになる。
【0111】
同様の考え方に基づいて、中間ファイルを用いて変曲点を検出する処理方法を説明する。
まず、画像オブジェクトの外周を所定ピッチでトレースしながら、各サンプル点Pのx座標xとy座標yとを求め、図22(a)に示すように中間ファイルに順次格納する。
【0112】
次に、点Piと次の点Pi+1とを結ぶラインが水平となす角度θを、次式により求め、図22(b)に示すように中間ファイルに格納する。
θ=atan2((yi+1-y),(xi+1-x))
即ち、点Pのx座標値xと点Pi+1のx座標値xi+1との差Δxと、点Pのy座標値と点pi+1のy座標値yi+1との差Δyと、を求めて、点PからPi+1への増分に対して、Δy/Δxのatan(アークタンジェント)を求める。この角度θは、水平方向線と成す角度にあたり、-πラジアンからπラジアンの範囲の値である。なお、Δxと、Δyが共に0のときには0とする。
【0113】
次に、図22(c)に示すように、増加角γ=θ-θi-1とし、中間ファイルに追加する。
但し、θi-1>π/2 かつ θ<-π/2 ならば、γ=γ+2π
θi-1<-π/2 かつ θ> π/2 ならば、γ=γ-2π
【0114】
続いて、γ<誤差角で、かつ、γiが前後各々2つの全てのγi-2,γi-1,γi+1,γi+2の値以下の点Pを変曲点とみなし、図22(d)に示すように、Yesを付ける。
【0115】
以上の一連の処理により、画像オブジェクトの外周の画素を所定ピッチで辿り、そのx,y座標を求めることにより、以後の演算処理により、変曲点を求めることができる。
【0116】
以上の一連の処理(中間ファイルを用いた処理)により、画像オブジェクトの外周の画素を所定ピッチで辿り、そのx,y座標を求めることにより、以後の演算処理により、変曲点を求めることができる。
【0117】
具体例に基づいて説明すると、画像オブジェクトの外周の画素を所定ピッチで辿り、中間ファイル上に、例えば、図23(a)に示す一連の座標データが得られたとする。すると、θiを求めることにより、図23(b)の表に示すデータが中間ファイル上に得られる。さらに、γを計算することにより、図23(c)に示すデータが中間ファイル上に得られる。最後に、各γについて、条件を充足するか否かを判別することにより、図23(d)に示すように、変曲点であるか否かを示すマーク(フラグ)を中間ファイルに格納する。
【0118】
なお、上述の例では、画像オブジェクトの円周を所定ピッチで辿って、円周上の全ての画素の座標を中間ファイルに格納した後で、θ、γなどを計算しているが、画素列を辿り1つの画素を抽出する度に、θやγを計算するようにしてもよい。
【0119】
以上説明したように、この第3の実施の形態によれば、複数のエッチピットが重なって形成されている画像オブジェクトを、2つの楕円に分離してフィッティングすることができる。従って、被爆量等を適切に判別することができる。
【0120】
この発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施の形態においては、楕円をフィッティングする対象として、エッチピットを取り上げたが、他のフィッティングにも適用可能である。例えば、生態組織(細胞等)、工業製品などについても同様に適用可能である。
【0121】
また、顕微鏡装置21と画像処理装置23とをネットワークNWで接続する例を示したが、例えば、顕微鏡装置21で撮影した画像をCD、DVDなどの記録媒体に格納して搬送し、画像処理装置23で記録媒体からデータを読み出して処理するようにしてもよい。
【0122】
また、この発明は、装置、システム、方法の形態のものだけでなく、コンピュータを、上述の装置又はシステムの全体又は一部として動作させ、或いは、上述の各工程・ステップを実行させるコンピュータプログラムをも含む。この場合には、プログラムは、例えば、記録媒体に記録されて或いは通信回線を介して提供・頒布され、これがインストールされて、コンピュータのメモリに格納されてCPUにより実行される。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の実施の形態にかかる飛跡検出用固体分析システムの構成図である。
【図2】図1に示す画像処理装置が実行する飛跡検出用固体分析処理を示すフローチャートである。
【図3】図2の画像処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】図3の入力・前処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】図4に示すエッチピット抽出処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】図3に示す楕円フィッティング処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】図3の後処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】図7に示す外枠処理の内容を示す図である。
【図9】図7に示す編集処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】図2の被爆量測定処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】顕微鏡の撮影画像と、楕円をフィットした画像とを例示する図である。
【図12】画素連鎖を辿る処理を説明するための図である。
【図13】8連画素について説明する為の図である。
【図14】2画素ピッチで画素連鎖を辿る処理を説明するための図である。
【図15】5画素ピッチで画素連鎖を辿る処理を説明するための図である。
【図16】画像オブジェクトの外周上の画素を所定ピッチで抽出する処理を説明するためのフローチャートである。
【図17】画像オブジェクトの外周上の画素を所定ピッチで抽出する処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】エッチピットが重なって形成された画像オブジェクトを2つの楕円に分離する処理を説明するための図である。
【図19】複数の楕円を分離するために、楕円の外周の交差点を判別・抽出する処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】エッチピットが重なって形成された画像オブジェクトを2つの楕円に分離する処理を詳しく説明するための図である。
【図21】複数の楕円を分離するために、楕円の外周の交差点を判別・抽出する処理を説明するためのフローチャートである。
【図22】中間ファイルを用いて、楕円の外周の交差点を判別・抽出する処理を説明するための中間ファイルの内容とその変化を示す図である。
【図23】中間ファイルを用いて、楕円の外周の交差点を判別・抽出する処理を説明するための中間ファイルの内容とその変化を示す図である。
【符号の説明】
【0124】
11 … 飛跡検出用固体分析システム
21 … 顕微鏡装置
23 … 画像処理装置
25 … DB(データベース)
図面
【図1】
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【図8】
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【図18】
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【図21】
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【図23】
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