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明細書 :バルブおよびバルブの組立方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4411422号 (P4411422)
公開番号 特開2005-325861 (P2005-325861A)
登録日 平成21年11月27日(2009.11.27)
発行日 平成22年2月10日(2010.2.10)
公開日 平成17年11月24日(2005.11.24)
発明の名称または考案の名称 バルブおよびバルブの組立方法
国際特許分類 F16K  11/074       (2006.01)
F16K   3/06        (2006.01)
F16K  25/00        (2006.01)
FI F16K 11/074 Z
F16K 3/06 A
F16K 25/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 12
出願番号 特願2004-142234 (P2004-142234)
出願日 平成16年5月12日(2004.5.12)
審査請求日 平成18年5月19日(2006.5.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】鈴木 和年
【氏名】吉田 勇一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100064414、【弁理士】、【氏名又は名称】磯野 道造
審査官 【審査官】刈間 宏信
参考文献・文献 実開昭55-122565(JP,U)
実開平04-106657(JP,U)
実開昭50-063627(JP,U)
実開昭59-107214(JP,U)
実開昭57-198475(JP,U)
実開昭50-115233(JP,U)
特表2002-501589(JP,A)
特開平11-336920(JP,A)
特開昭62-083566(JP,A)
特開2001-000842(JP,A)
実開昭54-068221(JP,U)
調査した分野 F16K 11/00-11/24,
F16L 41/0049/00
特許請求の範囲 【請求項1】
端面に流通溝が形成された管状部材と、
前記管状部材の端面相対回動可能に当接し、少なくとも2個以上の通気孔が形成された端面を有する凸部を備えた相手方部材と、を備え、
記管状部材の端面は、前記相手方部材の端面に対して相対的に所定位置まで回動したときにのみ一の通気孔から流入した流体が前記流通溝を経由して他の通気孔から流出可能となるように形成され且つ
前記管状部材は、内側バックアップリングを内部に装着した外側バックアップリングと前記内側バックアップリングとの間にその端面突出するように配置されておりさらに、
前記外側バックアップリングの端から突出している前記管状部材の一部に一端側が外嵌され、他端側が前記凸部に外挿される第2の外側バックアップリングと、を備え、
前記相手方部材と前記内側バックアップリングのうち少なくとも内側バックアップリングを貫通して挿入され、アクチュエータに接続されるシャフト軸により弾性部材を介して押圧固定されることを特徴とするバルブ。
【請求項2】
前記管状部材はポリテトラフルオロエチレンからなり、前記相手方部材は前記ポリテトラフルオロエチレンよりも硬質な材料を用いて形成したことを特徴とする請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
端面に流通溝が形成された管状部材と、
前記管状部材の端面と相対回動可能に当接し、少なくとも2個以上の通気孔が形成された端面を有する凸部を備えた相手方部材と、を備え、
前記管状部材の端面は、前記相手方部材の端面に対して相対的に所定位置まで回動したときにのみ一の通気孔から流入した流体が前記流通溝を経由して他の通気孔から流出可能となるように形成され、且つ
前記管状部材は、内側バックアップリングを内部に装着した外側バックアップリングと前記内側バックアップリングとの間に、その端面が突出するように配置されており、さらに、
前記外側バックアップリングの端から突出している前記管状部材の一部に一端側が外嵌され、他端側が前記凸部に外挿される第2の外側バックアップリングと、を備え、
前記相手方部材と前記内側バックアップリングのうち少なくとも内側バックアップリングを貫通して挿入され、アクチュエータに接続されるシャフト軸により弾性部材を介して押圧固定されたバルブを組み立てるためのバルブの組立方法であって、
前記管状部材の端面が前記外側バックアップリングの有する段部に突き当たるまで、前記管状部材を前記外側バックアップリングの内周壁に圧入し、前記内側バックアップリングの端面が前記外側バックアップリングの有する段部に突き当たるまで、前記内側バックアップリングを前記管状部材の内周壁に圧入して組み付けて前記管状部材の端面を突出させた後、前記第2の外側バックアップリングの一端側を、前記外側バックアップリングの端から突出している前記管状部材の一部に嵌合し、その他端側を前記凸部の外周に挿入して前記突出している端面を前記凸部の端面に当接させ、前記シャフト軸を、前記相手方部材と前記内側バックアップリングのうち少なくとも内側バックアップリングを貫通して挿入した後、前記弾性部材を介して前記シャフト軸を押圧固定する
ことを特徴とするバルブの組立方法。
【請求項4】
前記管状部材は、前記内側バックアップリングを前記管状部材の内周壁に圧入して組み付けて前記管状部材の端面を突出させた後、当該端面を研磨材平面に当接してすりあわせて研磨されていることを特徴とする請求項3に記載のバルブの組立方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは薬剤等を調製するときに用いるバルブに関し、特に放射薬剤の自動合成装置で使用されるのに適するバルブおよびバルブの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医学、薬学、生化学等の分野において、PET(Positron Emission Computed Tomography)装置は、生体機能の定量的な生理学的画像を得るための手段として有用である。特に、PET装置は、癌の診断、アルツハイマー病、躁鬱病、精神分裂病等の診断や研究において大きな威力を発揮している。この装置は、11C(半減期20分)、13N(半減期10分)、15O(半減期2分)、18F(半減期110分)等の超短半減期核種で標識した薬剤を静脈注射し、その生体内動態をPETカメラを用いて非侵襲的に体外計測するものである。
【0003】
しかし、これらの放射性薬剤を調製するには多くの困難を克服する必要がある。つまり、例えば、これらの薬剤は非常に強い放射能を放出するため、鉛で囲まれたホットセルの中で自動的に合成する必要がある。さもなければ、作業者が大量に放射線被ばくをしてしまう虞れがある。また、これらの薬剤は最終的に人体に投与されるため、薬剤の安全性を確保することも非常に重要である。しかも、これらの薬剤は超短半減期であるため、放射性核種の製造から多段階の化学反応による標識化合物の製造、分離精製、調剤処理等、多数の処理を短時間(半減期時間以内)に行う必要があり、より良い合成装置を求めて各メーカや研究機関が競合している状況にある。
【0004】
この自動合成装置は、種々の反応容器の他、加熱冷却用の機器、流路を制御するための多方バルブ(1流路あるいは多流路の、開閉あるいは流れ方向切換を行うバルブ)、試料や溶媒等を注入するための注入用機器、各種センサ類、シリンダや部品を接続するための継手等から構成されているが、大量の放射能(1Ci程度)や強酸、有機溶媒などを扱うものであることから、それぞれのパーツに耐蝕性や気密性が要求されており、加えて、狭小なホットセル内に設置されるという性質上、各パーツの小型化およびメンテナンス性が要求されている。
【0005】
ここで、前記多方バルブとして、例えば以下に述べるようなものが知られている(例えば特許文献1)。即ち、この多方バルブは、バルブケーシング内において、2個の第1の連通孔を有する固定弁座に対して2個の第2の連通孔を有し、摺動当接板を備えた可動弁板を摺動可能に当接させ、この可動弁板の摺動動作に連動して第1の連通孔と第2の連通孔との間を連通、遮断することによって流路を切換えるようにしている。

【特許文献1】特開平11-336920号公報(段落0015~0027、図1、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1に開示されている多方バルブは、気密性等の観点から、可動弁板に取り付けられる摺動当接板をモノマーキャストナイロン等の樹脂材料によって形成している。しかし、このような樹脂材料は剛性が低いため、摺動当接板が変形し易くなり、多方バルブの耐久性、寿命等が低下するという問題がある。また、このような多方バルブの組立時に樹脂材料で形成される摺動当接板を平面性を増すために研磨すると、前記のように樹脂材料の剛性が比較的低いため、摺動当接板が変形することがあり、かえってシール性の保持に問題が発生する。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑み、管状部材の変形を防止でき、バルブのシール性、耐久性、寿命等を向上できるようにしたバルブおよびバルブの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決すべく構成されるものであり、請求項1に記載の発明は、端面に流通溝が形成された管状部材と、前記管状部材の端面相対回動可能に当接し、少なくとも2個以上の通気孔が形成された端面を有する凸部を備えた相手方部材と、を備え、前記管状部材の端面は、前記相手方部材の端面に対して相対的に所定位置まで回動したときにのみ一の通気孔から流入した流体が前記流通溝を経由して他の通気孔から流出可能となるように形成され且つ前記管状部材は、内側バックアップリングを内部に装着した外側バックアップリングと前記内側バックアップリングとの間にその端面突出するように配置されておりさらに、前記外側バックアップリングの端から突出している前記管状部材の一部に一端側が外嵌され、他端側が前記凸部に外挿される第2の外側バックアップリングと、を備え、前記相手方部材と前記内側バックアップリングのうち少なくとも内側バックアップリングを貫通して挿入され、アクチュエータに接続されるシャフト軸により弾性部材を介して押圧固定されることを特徴とするバルブである。
【0009】
請求項1に記載のバルブによれば、管状部材の端面と相手方部材の端面とを面当接させて所定位置まで相対回動させることにより、少なくとも2個の通気孔が同じ流通溝内に開口するようになる。この結果、一方の通気孔から流入した流体が流通溝を経由して他方の通気孔から流出することが可能となる。また、管状部材の内周壁および外周壁には、それぞれ内側バックアップリングおよび外側バックアップリングを嵌着して設けているから、管状部材の端面を相手方部材の端面に一定の押圧力をもって押し付けたときには、この押圧力による反力を内側バックアップリングおよび外側バックアップリングで支持することができ、管状部材が変形するのを防止することができる。特に、管状部材がポリテトロフルオロエチレンのような柔らかい材料で構成されているとき、管状部材の端面は押し付けると部分変形してシール性が悪くなるので、シール性を確保するために相対回動させる際のアクチュエータに掛ける圧力を強くしなくてはならなくなる。そこで、本管状部材の構造は、管状部材とすることで、端面の幅を極力狭くすることにより、面当接する面積を減らし、少ない圧力で単位面積当たり強い押し付けができるように、すなわち、結果的に低い圧力でアクチュエータを駆動できるように工夫したものである。
また、前記したようにして第2の外側バックアップリングを備えているため、内側バックパアップリング、及び外側バックアップリングとともに管状部材の変形を防止して強度を高めることができる。そのため、バルブの性能、信頼性をより高めることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記管状部材はポリテトラフルオロエチレンからなり、前記相手方部材は前記ポリテトラフルオロエチレンよりも硬質な材料を用いて形成したことを特徴とするバルブである。
【0011】
請求項2に記載のバルブによれば、管状部材を、自己潤滑性を有し、耐薬品性に優れた上にシール性のよいポリテトラフルオロエチレンを用いて形成し、また、相手方部材を管状部材よりも硬質でやはり耐薬品性に優れた材料を用いて形成したので、耐薬品性が高くシール性も優れたバルブであり、さらに管状部材と相手方部材とを相対回動させても、相手側の変形が少なくなる分、比較的弱い力で駆動させることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、端面に流通溝が形成された管状部材と、前記管状部材の端面と相対回動可能に当接し、少なくとも2個以上の通気孔が形成された端面を有する凸部を備えた相手方部材と、前記管状部材の端面が前記相手方部材の端面に対して相対的に所定位置まで回動したときにのみ一の通気孔から流入した流体が前記流通溝を経由して他の通気孔から流出可能となるように形成し、前記管状部材は、内側バックアップリングを内部に装着した外側バックアップリングと前記内側バックアップリングとの間に、その端面が突出するように配置され、前記外側バックアップリングの端から突出している前記管状部材の一部に一端側が外嵌され、他端側が前記凸部に外挿される第2の外側バックアップリングと、を備え、前記相手方部材と前記内側バックアップリングのうち少なくとも内側バックアップリングを貫通して挿入され、アクチュエータに接続されるシャフト軸により弾性部材を介して押圧固定されたバルブを組み立てるためのバルブの組立方法であって、前記管状部材の端面が前記外側バックアップリングの段部に突き当たるまで、前記管状部材を前記外側バックアップリングの内周壁に圧入し、前記内側バックアップリングの端面が前記外側バックアップリングの段部に突き当たるまで、前記内側バックアップリングを前記管状部材の内周壁に圧入して組み付けて前記管状部材の端面を突出させた後、前記第2の外側バックアップリングの一端側を、前記外側バックアップリングの端より突出している前記管状部材の一部に嵌合し、その他端側を前記凸部の外周に挿入して前記突出している端面を前記凸部の端面に当接させ、前記シャフト軸を、前記相手方部材と前記内側バックアップリングのうち少なくとも内側バックアップリングを貫通して挿入した後、前記弾性部材を介して前記シャフト軸を押圧固定することを特徴とするバルブの組立方法である
【0013】
請求項3に記載のバルブの組立方法によれば、内側バックアップリング、外側バックアップリングの嵌着により前記管状部材の端面にわずかに発生するひずみも取り除かれるので、さらにシール性が高く、より小さい駆動力で駆動可となる。
また、請求項3に記載のバルブの組立方法によれば、管状部材の端面側を内側バックアップリングおよび外側バックアップリングから突出させ、この外側バックアップリングから突出している部分に第2の外側バックアップリングを嵌合させることにより、管状部材の変形を防止して強度を高めたバルブを組み立てることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記管状部材は、前記内側バックアップリングを前記管状部材の内周壁に圧入して組み付けて前記管状部材の端面を突出させた後、当該端面を研磨材平面に当接してすりあわせて研磨されていることを特徴とする請求項3に記載のバルブの組立方法である。
【0015】
請求項4に記載のバルブの組立方法によれば、前記内側バックアップリングを前記管状部材の内周壁に圧入して組み付けて前記管状部材の端面を突出させた後、当該端面を研磨材平面に当接してすりあわせて研磨するため、突出した端面全体を均一な平滑面として仕上ることができる。そのため、管状部材と相手方部材とを高いシール性をもって当接させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、管状部材の内周壁、外周壁にそれぞれ内側バックアップリング、外側バックアップリングを嵌着したので、管状部材を相手方部材に対して一定の押圧力をもって当接させた状態で回動させても、内側バックアップリングおよび外側バックアップリングにより管状部材を小変形の状態に保持することができ、バルブの耐久性、寿命等を高めることができる。また、管状部材の肉厚を薄くできるので、低い駆動圧でアクチュエータを駆動できる。また、管状部材をポリテトラフルオロエチレンを用いて形成したので、管状部材の耐薬品性等をより一層高めることができる。さらに、管状部材の端面側を内側バックアップリングおよび外側バックアップリングから突出させることにより、管状部材の端面を研磨で表面仕上げすることができ、さらに第2の外側バックアップリングを嵌着することでよりバルブの性能、信頼性をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態に係るバルブを3流路の同時開閉バルブあるいは3流路の流れ方向同時切換バルブ(以下六方バルブと呼ぶ)に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図8を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態の六方バルブ1を装着したバルブ装置を示している。この六方バルブ1は、樹脂材料で形成された複数本の線状配管2,2,…(本実施の形態では六本)が一括して接続される接続装置3と、流路を切り換えるためのロータ4とを備え、このロータ4を回動させるためのロータリーアクチュエータ5が接続されている。この六方バルブ1は、両端側がそれぞれ固定台6,7によって固定支持されている。また、符号Sはロータリーアクチュエータ5から回転力が伝達されるシャフト軸であり、符号Cはロータリーアクチュエータ5の駆動力をロータ4に伝達するためにシャフト軸Sを接続するカップリングである。
【0019】
六方バルブ1は、図4および図5に示すように、管状部材30と、管状部材30の端面に設けられた流通溝30B,30B,…(本実施の形態では三つ)と、相手方部材である取付部材10と、取付部材10に設けられた通気孔10D2(本実施の形態では六つ)と、管状部材30を装着する内側バックアップリング31と、外側バックアップリング32と、第2の外側バックアップリング21とによって構成されている。
【0020】
接続装置3は、図2に示すように、管状部材30に当接する相手方部材である取付部材10と、前記した複数の線状配管2,2,…と、各線状配管2に装着される複数の圧入部材11,11,…と、取付部材10側に押圧される押圧部材12とを備えて構成されている。なお、本実施の形態では、取付部材10を挟んで押圧部材12と反対側にリング状の補助部材20が配置されている。また、この補助部材20を挟んで取付部材10とは反対側にリング状の第2の外側バックアップリング21が同心円状に配置されている。
【0021】
取付部材10は後記の管状部材30に用いるポリテトラフルオロエチレンよりも硬質な材料、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を用いて形成するのが好ましい。取付部材10は、図2および図3に示すように、円板状の本体部10Aと、この本体部10Aの片面中央部分に一体的に設けられた円板状の凸部10Bとを備えている。また、取付部材10には、その中心に本体部10Aと凸部10Bとを貫通するシャフト孔10Cが形成されており、このシャフト孔10Cの周囲に本体部10Aと凸部10Bとを貫通する複数(本実施の形態では六つ)の取付孔10D,10D,…が形成されている。さらに、取付部材10には、各取付孔10Dの周囲に本体部10Aを貫通する複数(本実施の形態では四つ)のボルト挿通孔10E,10E,…が形成されている。前記取付孔10Dは、図3に示すように、押圧部材12側に開口し、奥部に向かうに従って徐々に縮径した底部を有する円錐状をなすテーパ孔部10D1と、テーパ孔部10D1の底部中央から補助部材20側に開口する同一径で細長く延びる通気孔10D2とを有している。なお、シャフト孔10Cには、シャフト軸S(図1参照)が挿通され、ボルト挿通孔10EにはボルトB1が挿通される。
【0022】
圧入部材11は、テーパ孔部10D1に挿入される合成樹脂または合成ゴムからなるもので、図2および図3に示すように、外周面がテーパ孔部10D1に対応するテーパをもつ円錐台状をなす筒体として形成され、その内周側には線状配管2が挿入されている。また、圧入部材11のテーパと取付孔10Dのテーパ孔部10D1のテーパでは、圧入部材11の方が多少鋭角に形成されており、かつ、圧入部材11の外周の最小径が取付孔10Dのテーパ孔部10D1の最小径よりも大きく設定されている。従って、圧入部材11を取付孔10Dのテーパ孔部10D1の奥方向へと圧入すると、圧入部材11の外周面の先端が先にテーパ孔部10D1の孔壁に圧接し、さらに圧入されることで圧入部材11の外周面が径方向内側に向けて押し付けられ、その結果、圧入部材11の内周面が弾性変形により縮径し、線状配管2の外周面に圧接することになる。
【0023】
押圧部材12は、金属材料を用いて筒状に形成されている。そして、押圧部材12は、図3に示すように、取付部材10の本体部10Aの側面(凸部10Bの反対側の側面)に当接する円板状の当接部12Aと、この当接部12Aの外縁に沿って形成された周壁部12Bとを備えており、周壁部12Bの内側に取付部材10の本体部10Aが嵌合して収容されるようになっている。また、押圧部材12には、その中心にシャフト孔12Cが形成されており、このシャフト孔12Cの周囲の当接部12Aには該当接部12Aを貫通する複数(本実施の形態では六つ)の貫通孔12D,12D,…が形成されている。さらに、各貫通孔12Dの周囲には当接部12Aを貫通する複数のボルト挿通孔12E,12E,…が形成されている。なお、各貫通孔12Dには線状配管2が挿通される。また、各ボルト挿通孔12EにはボルトB1が挿通される。さらに、シャフト孔12Cにはシャフト軸S(図1参照)が挿通される。
【0024】
補助部材20は、金属材料を用いた環状平板からなり、その中心に形成された穴20Dは、取付部材10の凸部10Bに外嵌される。また、補助部材20には、複数(本実施形態では四つ)のボルト挿通孔20Aが形成され、このボルト挿通孔20Aには、ボルトB1が挿通される。なお、補助部材20には、ロータ4(図2参照)の回動範囲を規制するためのストッパ20B,20Cが設けられている。
【0025】
ロータ4は、図4ないし図6に示すように、管状部材30と、管状部材30の内周側に設けられた円筒状の内側バックアップリング31と、管状部材30が段部32Dを介して嵌合される大径穴32Eを有する外側バックアップリング32とを備えて構成されている。ロータ4は、図示しないキーと共にロータリアクチュエータ5に接続されたシャフト軸Sと一体に回転するように構成されている。
【0026】
ここで、管状部材30は、例えばポリテトラフルオロエチレン等の耐薬品性を有する樹脂材料を用いて円筒状に形成されている。ポリテトラフルオロエチレンは、硬度が高く、自己潤滑性も高く、柔軟性があるので、面圧を高くすることができ、そのためシール性が向上させられる。また、この管状部材30は、その軸方向一側の端面が段部32Dに当接され、内側バックアップリング31および外側バックアップリング32の各々の軸方向他側の端面から突出した環状の突出端面30Aを有している。そして、管状部材30の突出端面30Aには、円周方向に離間して円弧状に延びる3つの流通溝30B,30B,…が形成されている。また、この管状部材30の突出端面30Aは取付部材10の凸部10Bの端面10B1に対して回動可能に当接されるように構成されている(図5参照)。なお、後記のピン33が補助部材20のストッパ20Bに係合するまでロータ4を回動させることにより、管状部材30の各流通溝30Bの両端に取付部材10の通気孔10D2を開口させ、その結果、図8(a)中に矢印で示すように流体を流通させることができる。一方、ピン33が補助部材20のストッパ20Cに係合するまでロータ4を逆向きに回動させることにより、図8(b)中に矢印で示すように流体の流れ方向を切換制御することができる。また、ロータ4を図8(c)に示すように、図8(b)の状態から時計回りに例えば30度回転させることにより、流路を閉じることができる。
【0027】
また、内側バックアップリング31は、例えば金属材料等を用いて筒状に形成されており、管状部材30よりも軸方向寸法が小さく設定されている。そして、内側バックアップリング31は、管状部材30の内周壁に圧入により嵌着されている。また、内側バックアップリング31の内周側にはシャフト孔31Aが形成されており、このシャフト孔31Aにはシャフト軸S(図1参照)が挿入される。
【0028】
さらに、外側バックアップリング32は、例えば金属材料等を用いて筒状に形成されている。そして、外側バックアップリング32は、軸方向寸法が内側バックアップリング31と同様に、管状部材30よりも小さく形成された筒部32Aと、筒部32Aの軸方向他側に一体形成された底部32Bとを備えており、管状部材30は筒部32A内に圧入により嵌着されている。また、外側バックアップリング32の底部32Bの内周内には他のシャフト孔32Cが形成されており、このシャフト孔32Cにはシャフト軸S(図1参照)が挿入される。なお、外側バックアップリング32の筒部32Aにはピン穴32Fが穿設されている。このピン穴32Fは、組み立て後に一体として形成することも可能である。そして、このピン穴32Fにはピン33の一端側が挿入されており、このピン33の回動により管状部材30と外側バックアップリング31とが一体に回動されるように構成されている。
【0029】
また、第2の外側バックアップリング21は、リング状に形成され、その一端側を管状部材30の外側バックアップリング32の端より突出した部分に外嵌し、その他端側を取付部材10の凸部10Bに外挿されている。なお、第2の外側バックアップリング21の前記他端側は取付部材10の凸部10Bの外径に対し若干プラス公差に加工されていて、回動時にそこに生じる摩擦を低減するようにされている。
【0030】
次に、以上のように構成された接続装置3およびロータ4の組立手順についてそれぞれ説明する。
【0031】
(接続装置3の組立手順)
まず、図3に示すように、押圧部材12の各貫通孔12Dのそれぞれに線状配管2の一端に装着した圧入部材11を挿入しつつ、押圧部材12の周壁部12Bの内側に取付部材10を嵌め込み、さらに、補助部材20を取付部材10の凸部10Bに外嵌する。そして、次に、取付部材10の各ボルト挿通孔10Eおよび押圧部材12の各ボルト挿通孔12Eを位置合わせした状態で、各ボルトB1を挿通し、各ナットN1で締結すると、押圧部材12が取付部材10側に押圧され、その結果、各圧入部材11が取付部材10の各取付孔10Dに圧入される。そして、押圧部材12の当接部12Aが取付部材10の本体部10Aに当接するまでボルトB1とナットN1とを締め付けると、圧入部材11が変形して圧入部材の孔壁が線状配管2の全周を締め付け、この圧入部材11のくさび効果で線状配管2が取付部材10に固定され、同時に取付部材10の通気孔10D2内面の先端部とも固定されシールされる。
【0032】
(ロータ4の組立手順)
まず、図6に示すように、管状部材30の端面が外側バックアップリング32の段部32Dに突き当たるまで、管状部材30を外側バックアップリング32の内周壁に圧入し、ピン穴32F内にピン33を挿入する。次に、内側バックアップリング31の端面が外側バックアップリング32の段部32Dに突き当たるまで、内側バックアップリング31を管状部材30の内周壁に圧入する。そして、このように組み付けたロータ4の突出端面30Aに対し、図7に示すように研磨板40の表面に研磨剤(図示せず)を付け、管状部材30の突出端面30Aを、この研磨板40に押し付けて擦ることにより、突出端面30Aの表面仕上げを行う(研磨工程)。この研磨工程では、例えば放射薬剤を扱う場合など、高いシール性を付与する必要があるため、突出端面30A全体を均一な平滑面として仕上げる。ここで、ロータ4の管状部材30は、突出端面30Aを内側バックアップリング31および外側バックアップリング32から一定寸法だけ突出させているので、研磨時に内側バックアップリング31および外側バックアップリング32が研磨板40に当たるのを防止でき、突出端面30Aを円滑に研磨することができる。
【0033】
次に、第2の外側バックアップリング21の一端側を管状部材30の外側バックアップリング32の端より突出した部分に嵌合し、その他端側を取付部材10の凸部10Bの外周に挿入した状態で、ロータ4の突出端面30Aを、この凸部10Bの端面に当接させる(図3参照)。そして、最後にシャフト軸S(図1参照)を、図3に示すように取付部材10のシャフト孔10C、押圧部材12のシャフト孔12C、管状部材30のシャフト孔31A,32C(図4参照)にそれぞれ挿通し、ナットNとスプリングP(図1参照)を用いることにより、接続装置3とロータ4とを一体に緊締し、さらに、シャフト軸Sの一端につけた図示しない溝とアクチュエータの回転軸に取り付けたカップリングCを接続し、固定台6,7を用いて六方バルブ1を組み立てる。以上の方法のように管状部材30の外側バックアップリング32を2分割することで、前記研磨後に圧入する第2の外側バックアップリング21の差込深さを浅くできるので柔らかい管状部材30を変形させることなく内側バックアップリング31および外側バックアップリング21,32により管状部材30をしっかり支持できる。
なお、カップリングCをロータ4に含ませる構造とすることもでき、その場合ロータ4とシャフト軸Sとを抜け止め付きキー接合する組み立て構造としてもよいし、ロータ4とシャフト軸Sを一体物から加工して製造する構造としてもよい。また、段部32および底部32Bは、内側バックアップリング31側に設けることもできる。
【0034】
次に、六方バルブ1の動作について説明する。
図3に示すように、まず、ロータリーアクチュエータ5を作動させ、ピン33が補助部材20のストッパ20Bに係合するまでロータ4を回動させることにより、管状部材30の各流通溝30Bの両端に取付部材10の通気孔10D2を開口させる(図8(a)参照)。この結果、通気孔10D1,10D1,…と各流通溝30Bとの組み合わせにより、図8(a)中に矢印で示すように流体を流通させることができる。一方、ロータリーアクチュエータ5を作動させ、ピン33が補助部材20のストッパ20Cに係合するまでロータ4を回動させることにより、図8(b)中に矢印で示すように流体の流れ方向を切換制御することができる。また、ロータ4を図8(c)に示すように、図8(b)の状態から時計回りに例えばピン33をストッパ20Bとストッパ20Cの中間位置として30度(0度より大きく、60度未満であればよい)回転させることにより、流体の流れを制止することができる。
【0035】
このように構成される本実施の形態では、ロータ4を、管状部材30と、管状部材30の内周側に設けられた円筒状の内側バックアップリング31と、管状部材30が段部32Dを介して嵌合される大径穴32Eを有する外側バックアップリング32とを備えて構成したので、管状部材30を相対的に軟質な樹脂材料を用いて形成した場合でも、内側バックパアップリング31、外側バックアップリング32、さらには第2の外側バックアップリング21により管状部材30の変形を防止して強度を高めることができ、六方バルブ1の耐久性、寿命等を高めることができる。
【0036】
また、ロータ4の管状部材30を例えばポリテトラフルオロエチレンを用いて形成すると、管状部材30の耐薬品性をより一層高めることができる。さらに、管状部材30の突出端面30Aを内側バックアップリング31および外側バックアップリング32からそれぞれ突出させることにより、管状部材30の突出端面30Aを研磨で表面仕上げすることで、例えば放射薬剤を扱う場合など、高いシール性を付与することができ、六方バルブ1の性能、信頼性を高めることができる。
【0037】
内側バックアップリング31及び外側バックアップリング32は、その目的から少なくとも管状部材30より剛質材を用いる必要があるが、ステンレスなどの金属材料を用いることが好ましい。
【0038】
なお、本実施の形態では、バルブを六方バルブに用いる場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られることなく、より多くのあるいはより少ない流路を構成するのに用いてもよい。また、流路の開閉のみに用いてもよいし、流路の切換のみに用いてもよいし、その両方に用いても良い。さらに、流通溝と通気孔の設計により、特定方向流路のみの開閉と他方流路の流路切換に用いることもできる。
【0039】
また、本実施の形態では、管状部材30をポリテトラフルオロエチレンを用いて形成する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限られることなく、例えば管状部材30をポリプロピレン等を用いて形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る六方バルブを示す斜視図である。
【図2】図1中の六方バルブを取付部材側からみた状態を示す分解斜視図である。
【図3】図1中の六方バルブを押圧部材側からみた状態を示す分解斜視図である。
【図4】図1中のロータを示す分解斜視図である。
【図5】図2中の取付部材およびロータを示す分解斜視図である。
【図6】図2中のロータを単体で示す縦断面図である。
【図7】ロータの突出端面を研磨している状態を示す斜視図である。
【図8】六方バルブの動作説明図で、(a)は、流通溝を介して流体が流れている状態を示す図、(b)は、(a)の状態からロータを60度回転させたときの流体の流れ方向を示す図、(c)は、(b)の状態からロータを30度回転させて流体の流れを遮断した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 六方バルブ
3 接続装置
4 ロータ
10 取付部材
10B1 端面
21 第2の外側バックアップリング
30 管状部材
30A 突出端面
30B 流通溝
31 内側バックアップリング
32 外側バックアップリング
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7