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明細書 :シンチレータの組立方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4500922号 (P4500922)
公開番号 特開2006-084328 (P2006-084328A)
登録日 平成22年4月30日(2010.4.30)
発行日 平成22年7月14日(2010.7.14)
公開日 平成18年3月30日(2006.3.30)
発明の名称または考案の名称 シンチレータの組立方法
国際特許分類 G01T   1/20        (2006.01)
F16B   2/06        (2006.01)
F16B   5/00        (2006.01)
F16B  11/00        (2006.01)
FI G01T 1/20 L
G01T 1/20 B
G01T 1/20 G
F16B 2/06 A
F16B 5/00 F
F16B 11/00 B
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2004-269568 (P2004-269568)
出願日 平成16年9月16日(2004.9.16)
審査請求日 平成19年7月30日(2007.7.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
【識別番号】591065653
【氏名又は名称】株式会社三幸
発明者または考案者 【氏名】村山 秀雄
【氏名】稲玉 直子
【氏名】奥野 敦
【氏名】古沢 孝
個別代理人の代理人 【識別番号】100094536、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 隆二
【識別番号】100109243、【弁理士】、【氏名又は名称】元井 成幸
審査官 【審査官】木下 忠
参考文献・文献 特開2003-248059(JP,A)
国際公開第2004/072680(WO,A1)
特開2004-028815(JP,A)
特開2003-279654(JP,A)
調査した分野 G01T1/00-7/12
特許請求の範囲 【請求項1】
シンチレータセルを面状に整列配置した一のシンチレータの外側面と他のシンチレータの外側面をそれぞれクランプ器具で挟持し、一の前記シンチレータと他の前記シンチレータをそれぞれ上下方向に押圧部材で押圧して前記シンチレータセルの上下位置を揃える工程と、
少なくともクランプ器具で持した一の前記シンチレータの一端面に接着剤を塗布して前記接着剤上に前記クランプ器具で持した他の前記シンチレータの一端面を載置し、一の前記シンチレータと他の前記シンチレータを上下方向に押圧部材で押圧してシンチレータの上下位置を揃え、一の前記シンチレータと他の前記シンチレータ間からはみ出した余剰接着剤を除去する工程と、
一の前記シンチレータと他の前記シンチレータを挟持する前記クランプ器具を第2のクランプ器具で外方から一括して挟持し、一の前記シンチレータと他の前記シンチレータの側方位置を揃える工程とを、
少なくとも備えることを特徴とするシンチレータの組立方法。
【請求項2】
前記クランプ器具が、前記シンチレータセルより硬度の低い複数の部材を互いに係合して構成され、内周面で前記シンチレータを挟持する内側クランプと、前記シンチレータセルより硬度の高い複数の部材を互いに係合して構成されると共に、内側クランプの外側に設けられ、締付手段の締め付けで内側クランプを外側から締め付ける外側クランプとを備えることを特徴とする請求項1記載のシンチレータの組立方法。
【請求項3】
前記シンチレータセルが四角柱形であることを特徴とする請求項1又は2記載のシンチレータの組立方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばPET(positron emission tomography)装置のシンチレータにおいて、放射線の飛来する3次元位置を同定するための検出器の多段セル集合体、即ちセルが整列配置されたシンチレータの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性アイソトープで標識された医薬品を患者に投与し、放射能の体内分布を外部から検出し、生理的活性が高い場所や濃度を測定するPET(positron emission tomography)装置が知られている。PET装置は、シンチレータセルが反射材を挟んで整列配置されたシンチレータを備えており、放射線の入射によるシンチレータの発光を受光素子で受光し、放射能の体内分布を検出する。
【0003】
そして、シンチレータセルの整列配置は、手作業で位置関係を決定して配置することで行われるが、かかる整列配置作業の迅速性や正確性を高めるべく特許文献1の組立器具が提案されている。特許文献1の組立器具は、V字辺の端部から段階的にセルを整列配置するもので、鋸歯状の凹凸が交互に設けられた第1~第3固定板を備え、前段階のセルを固定する固定板上に次段階のセルを設置して上方の別の固定板で固定し、前段階のセルを固定する固定板の後退で次段階のセルを落下して配置する工程を順次繰り返して使用する。
【0004】

【特許文献1】特開2004-150991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、セルを面状に整列配置したシンチレータを積層して多段のシンチレータを組み立てる場合、上記セルを面状に配列してシンチレータを構成する場合と同様、手作業でシンチレータの位置関係を決定して組み立てていた。そのため、多段のシンチレータを組み立てる場合に、シンチレータを正確且つ迅速に多段に組み上げられる方法が切望されていた。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、例えばPET装置で用いる多段シンチレータ等を積層する多段のシンチレータを組み立てる際に、面状のシンチレータを正確且つ迅速に積層して多段に組み立てられるシンチレータの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシンチレータの組立方法は、シンチレータセルを面状に整列配置した一のシンチレータの外側面と他のシンチレータの外側面をそれぞれクランプ器具で挟持し、一の前記シンチレータと他の前記シンチレータをそれぞれ上下方向に押圧部材で押圧して前記シンチレータセルの上下位置を揃える工程と、少なくともクランプ器具で持した一の前記シンチレータの一端面に接着剤を塗布して前記接着剤上に前記クランプ器具で持した他の前記シンチレータの一端面を載置し、一の前記シンチレータと他の前記シンチレータを上下方向に押圧部材で押圧してシンチレータの上下位置を揃え、一の前記シンチレータと他の前記シンチレータ間からはみ出した余剰接着剤を除去する工程と、一の前記シンチレータと他の前記シンチレータを挟持する前記クランプ器具を第2のクランプ器具で外方から一括して挟持し、一の前記シンチレータと他の前記シンチレータの側方位置を揃える工程とを、少なくとも備えることを特徴とす
【0008】
更に、本発明のシンチレータの組立方法は、前記クランプ器具が、前記シンチレータセルより硬度の低い複数の部材を互いに係合して構成され、内周面で前記シンチレータを挟持する内側クランプと、前記シンチレータセルより硬度の高い複数の部材を互いに係合して構成されると共に、内側クランプの外側に設けられ、締付手段の締め付けで内側クランプを外側から締め付ける外側クランプとを備えることを特徴とする。
【0009】
更に、本発明のシンチレータの組立方法は、前記シンチレータセルが四角柱形であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のクランプ器具は、セルより硬度の低い複数の部材を互いに係合して構成され、内周面でセル集合体を挟持する内側クランプと、セルより硬度の高い複数の部材を互いに係合して構成されると共に、内側クランプの外側に設けられ、締付手段の締め付けで内側クランプを外側から締め付ける外側クランプとを備えることを特徴とする。
【0011】
尚、本発明のクランプ器具は、多段シンチレータなどの多段セル集合体を組み立てる場合の他、例えば単層のシンチレータなど単層のセル集合体を組み立てる場合にも利用することができる。また、本発明に於ける多段セル集合体には、例えばPET装置のシンチレータのような放射線の飛来する3次元位置を同定するための検出器の多段セル集合体以外にも、セルを整列配置する各種の多段セル集合体が含まれる。また、セルの面状の整列配置には、平面状に整列配置する場合の他、曲面状に整列配置する場合も含まれ、曲面状に整列配置する場合には所定曲率の曲面を有する押圧部材等の所要の部材や器具を用いる。
【0012】
また、本発明には、各発明の部分的な構成を他の構成に変更したものや、各発明の部分的な構成を部分的な作用効果を奏する限度で削除して上位概念化したものや、各発明の構成に他の発明の構成を追加したものが含まれる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシンチレータの組立方法及びクランプ器具を用いることにより、例えばPET装置で用いる多段シンチレータ等、面状のセル集合体を積層する多段のセル集合体を組み立てる際に、面状のセル集合体を正確且つ迅速に積層して多段に組み立てることができる。また、クランプ器具は、内側クランプの素材がセルより硬度が低いので、挟持するセルの傷付きを防止することができると共に、セルより硬度が高い外側クランプで締め付けてセル集合体を挟持するので、高い締付力や挟持力が得られセル集合体を安定して保持することができる。従って、傷付きを極力防止或いは完全防止することが求められるシンチレータやそのセルの挟持に最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では本発明のシンチレータの組立方法及びクランプ器具について、多段に積層するシンチレータの組立方法やそのクランプ器具の実施形態に基づき説明するが、本発明は係る実施形態に限定されるものではない。
【0015】
先ず、組立方法で用いるクランプ器具10について説明する。
クランプ器具10は組み立て時に環状をなし、その内周壁で、多数のセルが面状に整列配置したセル集合体の外側面をそれぞれ内方向に押さえ該セル集合体を整列配置状態で持するクランプである。
クランプ器具10は、図1~図3に示すように、内側クランプ11と、内側クランプ11の略外周に沿って設けられる外側クランプ12とを有することが望ましい。
【0016】
内側クランプ11は平面視略四角枠状であり、略く字形の内側クランプ部材11a・11bの一対を、端部の段差になった係合部111・111で互いに係合して構成される。内側クランプ11の枠112内には、枠112と略同形同サイズの整列配置された四角柱形のシンチレータセル1で構成されたシンチレータ2が収容され、内側クランプ部材11a・11bの内面或いは内側クランプ11の内周面で挟持される。内側クランプ11は、挟持するGdSiO(GSO)結晶等のシンチレータセル1の硬度より硬度が低い素材、例えばアクリル樹脂で形成され、挟持するシンチレータセル1に傷が付かないようになっている。
【0017】
外側クランプ12も平面視略四角枠状であり、略く字形の外側クランプ部材12a・12bの一対が、端部121a・121bを平面的に当接して配置されている。外側クランプ12の枠122内には、略同形同サイズである内側クランプ11が内設され、内側クランプ11は外側クランプ12a・12bの内面或いは外側クランプ12の内周面で挟持される。外側クランプ12の各4辺に設けられたネジ穴にはネジ13が螺入され、ネジ13が内側クランプ11まで貫通されて、内側クランプ11の外周に外側クランプ12が螺着される。
【0018】
また、端部121a・121bには一連のネジ穴が形成され、両側に位置するそれぞれの端部121a・121bに貫通された前記ネジ穴にネジ14が螺入され、外側クランプ部材12a・12bが結合されていると共に、前記ネジ14の螺入量を調整して内側クランプ11に対する締付力、即ち内側クランプ11によるシンチレータ2への挟持力を調整可能になっている。外側クランプ12は、GdSiO(GSO)結晶等のシンチレータセル1の硬度より硬度が高い素材、例えば鋼製であり、内側クランプ11やシンチレータ2に対する所要の締付力或いは挟持力を確保できるようになっている。
【0019】
次に、上記クランプ器具10を用いてシンチレータ2を多段に積層する組立方法について、図3~図6に基づき説明する。尚、図3~図6では、クランプ器具10のネジ13、14やその取付部分の詳細を省略している。
【0020】
前提として、図1~図3に示すように、細長四角柱形のシンチレータセル1を縦横に整列配置して平面状のシンチレータ2を形成する。シンチレータ2を形成する場合には、例えば特許文献1の配置器具を用い、各シンチレータセル1相互間に図に省略した反射板を配置しながらセル1及び反射板を配設して、平面視正方形のシンチレータ2を形成する。
【0021】
そして、図3に示すように、シンチレータ2をクランプ器具10の略く字形のクランプ部材相互で挟持する。前記挟持の際には、まず内側クランプ部材11a、11bの内側面をそれぞれシンチレータ2の外側面に当接すると共に、内側クランプ部材11a、11bの係合部111を相互に係合し、且つ外側クランプ部材12a、12bの端部121a、121bを互いに当接する。
【0022】
その後、両側の端部121a、121bに各々設けられたネジ穴にネジ14をそれぞれ螺合し、内側クランプ部材11a、11bの内側面が略所定強さでシンチレータ2を挟持する程度にネジ14を締め付ける。即ち、外側クランプ部材12a、12bを結合するネジ14の締め付けで、内側クランプ部材11a、11bが内方に付勢され、締め付け前の枠112より極僅かに小さいシンチレータ2が内側クランプ部材11a、11bの内側面で挟持される。なお、クランプ部材の高さは、シンチレータ2の高さより低く設定されているので、シンチレータ2の接着端面側の外側面が見えるように取り付ける。
【0023】
更に、一旦締め付けたネジ14を僅かに緩め、図に省略した平らな支持台上にクランプ器具10で挟持したシンチレータ2を載置し、上方から平面状の蓋体20で押圧してシンチレータ2を構成するセル1の上下位置を揃え(図4参照)、セル1が揃った後に再度ネジ14を緊締して前記セル1が揃った状態でシンチレータ2を挟持する。また、同様の工程により、セル1の上下位置が揃った状態でクランプ器具10により挟持された別のシンチレータ2を必要段数だけ準備する。前記一のシンチレータ2と別のシンチレータ2の各セル1の形状、大きさ、縦横の配列個数は同一で対応している。
その後、クランプ器具10で挟持された一のシンチレータ2を平らな支持台上に載置し、セル1が縦横に整列配置しているシンチレータ2の上面に、RTVゴム等の乾燥速度が緩やかな接着剤を塗布し、塗布した接着剤上に各セル1の位置及び全体の位置を一のシンチレータ2を対応させて別のシンチレータ2の下面を載置し、シンチレータ2を2段に積層する。この場合にも、上記と同様に、各シンチレータ2を挟持する各クランプ器具10或いは別のシンチレータ2を挟持するクランプ器具10のネジ14を僅かに緩め、上方から平面状の蓋体20で押圧して各シンチレータ2を構成する各セル1の上下位置を揃え(図5参照)、再度ネジ14を緊締して各セル1の上下位置が揃った状態で一と別のシンチレータ2をそれぞれクランプ器具10で挟持する。また、蓋体20の押圧で一のシンチレータ2(1段目)と別のシンチレータ2(2段目)との間からはみ出した接着剤は一段目と二段目のクランプ器具の隙間から拭き取り等で除去する。
【0024】
そして、1段目と2段目を積層した2段のシンチレータ2を、接着剤が乾燥する前に、シンチレータ2を挟持するクランプ器具10と供に、図6に示す平らな支持台30上に載置し、平面視略く字形で垂直な側壁41が立設する一対のクランプ部材40a、40bをクランプ器具10の外周に配設し、係合部42・42を互いに係合すると共に端部43a・43bを平面的に当接し、端部43a、43bに一連で形成されたネジ穴にネジを螺入してクランプ部材40a、40bを結合して第2のクランプ器具を構成し、クランプ部材40a、40bの各側壁41を外側クランプ部材12a、12bの外側面にそれぞれ当接して1段目、2段目のクランプ器具10を締め付けて一括挟持する。
【0025】
前記締め付け挟持により、1段目とシンチレータ2の各セル1と2段目のシンチレータ
2の各セル1が完全に対応して配置されるので、二段に積層する場合は、その状態で1段
目と2段目のシンチレータ2との間に介在する接着剤を乾燥させる。尚、必要に応じて、
クランプ器具40内のクランプ器具10で挟持された1段目、2段目のシンチレータ2に
対し、上方から蓋体20で押圧して1段目と2段目のシンチレータ2の各セル1の上下位
置を揃え、押圧状態を継続しながら接着剤を乾燥させてもよい。
【0026】
より多く積層する場合は、前記一括持後、一旦第2のクランプ器具を取り外し、別途上記と同様の工程により、セル1の上下位置が揃った状態でクランプ器具10により挟持された3段目のシンチレータ2を準備し、1段目と2段目のシンチレータ2の積層体に3段目のシンチレータ2を前記同様に積層し、再び第2のクランプ器具を前記同様に取り付ける。以下、上記と同様の工程を経て、例えば4段のシンチレータ2の積層体など、完成品の所要段数のシンチレータ2を構成する。
【0027】
なお、接着剤は積層する上下シンチレータの対接する両面に塗布してもよい。また、格段を積層した最後に、第2のクランプ器具でまとめて一括挟持することもできる。また、内側クランプと外側クランプの間に、例えばゴムのような所定の弾性部材層を設け、ネジ14を締めたとき、一定圧でセル集合体を持するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のシンチレータの組立方法は、例えばPET装置で用いる多段シンチレータ等を組み立てる場合等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態に於ける及びクランプ器具を示す平面図。
【図2】図1の及びクランプ器具のA-A線矢視断面図。
【図3】図1の及びクランプ器具でシンチレータを保持する状態を示す斜視説明図。
【図4】及びクランプ器具で保持したシンチレータに押圧部材を押さえ付ける状態を示す斜視説明図。
【図5】及びクランプ器具で保持した2段のシンチレータに押圧部材を押さえ付ける状態を示す斜視説明図。
【図6】及びクランプ器具で保持した2段のシンチレータを第2のクランプ器具で保持する状態を示す斜視説明図。
【符号の説明】
【0030】
1 シンチレータセル
2 シンチレータ
10 クランプ器具
11 内側クランプ
11a、11b 内側クランプ部材
111、42 係合部
112 枠
12 外側クランプ
12a、12b 外側クランプ部材
121a、121b 端部
122 枠
13、14 ネジ
20 蓋体
30 支持台
40a、40b クランプ部材
41 側壁
42 係合部
43a、43b 端部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5