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明細書 :運動部分のCT撮影装置の作動方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4469984号 (P4469984)
公開番号 特開2006-296986 (P2006-296986A)
登録日 平成22年3月12日(2010.3.12)
発行日 平成22年6月2日(2010.6.2)
公開日 平成18年11月2日(2006.11.2)
発明の名称または考案の名称 運動部分のCT撮影装置の作動方法及び装置
国際特許分類 A61B   6/03        (2006.01)
FI A61B 6/03 370B
A61B 6/03 331
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2005-127123 (P2005-127123)
出願日 平成17年4月25日(2005.4.25)
審査請求日 平成19年2月20日(2007.2.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】森 慎一郎
【氏名】遠藤 真広
個別代理人の代理人 【識別番号】100080458、【弁理士】、【氏名又は名称】高矢 諭
【識別番号】100076129、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 圭佑
【識別番号】100089015、【弁理士】、【氏名又は名称】牧野 剛博
審査官 【審査官】安田 明央
調査した分野 A61B 6/00 - 6/14
CiNii
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
再構成された動画像を形成するように、CT撮影装置のガントリ内にある被検体の周期的運動部分の画像を得るためのCT撮影装置の作動方法において、
CT撮影装置が、
周期的運動部分の周波数と同じ周波数でガントリを回転させるステップと、
各再構成画像を運動部分の運動周期と同期したガントリ一回転分の投影像で作成することにより、運動部分の周期的な運動が止まり一過性の動きのみがある動画像を得るステップと、
行うことを特徴とする運動部分のCT撮影装置の作動方法。
【請求項2】
再構成された動画像を形成するように、CT撮影装置のガントリ内にある被検体の周期的運動部の画像を得るためのCT撮影装置において、
運動部分の周期的な運動を検出する手段と、
運動部分の周期的な運動と同じ周波数を持つようにガントリの回転速度を制御する手段と、
各再構成画像を運動部分の運動周期と同期したガントリ一回転分の投影像で作成することにより、運動部分の周期的な運動が止まり一過性の動きのみがある動画像を得る手段と、
を備えたことを特徴とする運動部分のCT撮影装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、CT撮影装置のガントリ内にある被検体の周期的な運動を繰返している部分をCT撮影してセグメント再構成するための運動部分のCT撮影装置の作動方法及び装置に係り、特に、心臓や肺の造影検査を行なう際に用いるのに好適な、運動部分のCT撮影装置の作動方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、動いている物体をCT(コンピュータ・トモグラフィ)で撮影すると、動きによる偽像(モーション・アーチファクト)が現われる。これは、動いている物体の速度に対して、CT撮影の時間分解能が悪いからである。そこで、(1)心臓など速く動くものに対しては、CTの回転速度を速めて、例えば回転時間を0.5秒以下としたり、(2)1回転で得られたデータを各心位相毎に分割し、複数スキャンにより得られるデータから同じ心位相のデータを集めて1回転分として画像を再構成する際に用いる投影像の数を例えば半分に減らすアルゴリズム(ハーフスキャン)によって、時間分解能を上げている。このような技術により、経時的な動きを観察することが可能になっている。
【0003】
一方、心臓のように周期的な動きをするものに対しては、CT撮影像のX線管球位置が異なり、しかも心臓の伸縮する位相は同じ投影像を集めて再構成する、セグメント再構成というアルゴリズムも用いられている。このためには、心臓の拍動とCT回転時間が同じになってしまうと、図1(A)及び図2に示す如く、X線管球位置が皆同じ(図1(A)の例では180度、図2の例では0度と180度)となってしまい、1回転分のデータが取れず、画像化できないため、図1(B)及び図3に示す如く、心電図から得られる患者等の被検体の拍動とCT回転時間が一致しないように、CT回転時間を変化させ、同期した投影像を用いない等、様々な工夫がなされている(特許文献1乃至3参照)。
【0004】
図2及び図3において、10は患者、20はCT撮影装置のガントリ(CTガントリとも称する)、22はX線管球、24は2次元配置されたシンチレータである。
【0005】

【特許文献1】特開平7-313504号公報
【特許文献2】特開平10-328175号公報
【特許文献3】特開2001-198121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来は、造影検査における造影剤の流れや、カテーテル検査/手術等におけるカテーテルや挿入チューブ、飲食物の動き等、一過性の動きを観測することはできなかった。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、心臓や胸部等の周期的な運動を繰返している臓器の動きを止め、その中を造影剤やカテーテル、チューブ、飲食物等が動いていく画像を得られるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
シンチレータをCTガントリ20の軸方向に64列並べた最新の64列CTでは、患者のテーブルを固定して、同じ軸方向位置で何回もガントリを回転させる、いわゆるシネスキャンにより、1回転で軸方向(患者の体軸方向)に最大40mmの範囲を撮影して、3次元(立体)データを得ることが可能であるが、従来の16列CTや、それよりも列数が少ないCTで、広範囲に画像を取得する場合には、一回転CT撮影を行い寝台をずらす過程を繰り返し行うステップアンドシュートスキャンや、テーブルを移動させながらCTスキャンを行なうヘリカルスキャンを行なっていた。しかし、これは画像毎に時間が異なるため、静止物体ならば問題はないが、動く物体の場合は、位相がずれて画像が崩れてしまい、3次元画像に時間の次元を加えた4次元画像とは言えない。
【0009】
一方、現在開発中の256列CTでは、1回転で軸方向に約100mmの範囲の画像取得が可能であり、広範囲に亘る4次元画像が取得可能となる。従って、従来の4次元画像では、図4に頭部の例で示す如く、図4(A)のように、患者10を輪切りにするアキシャル断面での診断が主流であったものが、256列CTとなると、図4(B)に示す如く、患者の正面から観察するコロナル(Coronal)断面や、図4(C)に示す如く、矢印方向から観察するサジタル(Sagital)断面、それに、(D)に示す如く、斜めのオブリーク(Oblique)断面等、様々な角度から4次元画像の観察が可能となると考えられる。
【0010】
この256列CTの技術は、特に造影剤を用いた検査で威力を発揮する。心臓検査を例に取ると、時間分解能をハーフスキャンやCT回転時間の高速化により高め、経時的に動きを観察する診断方向ばかり求められてきたが、逆の発想で、心臓の拍動と同じ周期でCTガントリを回転させると、心臓が止まっているように見える。当然時間分解能は最大限に高くはないので、モーション・アーチファクトは現われる。
【0011】
本発明は、このような知見に基づいてなされたもので、再構成された動画像を形成するように、CT撮影装置のガントリ内にある被検体の周期的運動部分の画像を得るためのCT撮影装置の作動方法において、CT撮影装置が、周期的運動部分の周波数と同じ周波数でガントリを回転させるステップと、各再構成画像を運動部分の運動周期と同期したガントリ一回転分の投影像で作成することにより、運動部分の周期的な運動が止まり一過性の動きのみがある動画像を得るステップと、を行うようにして、前記課題を解決したものである。
【0012】
本発明は、又、再構成された動画像を形成するように、CT撮影装置のガントリ内にある被検体の周期的運動部の画像を得るためのCT撮影装置において、運動部分の周期的な運動を検出する手段と、運動部分の周期的な運動と同じ周波数を持つようにガントリの回転速度を制御する手段と、各再構成画像を運動部分の運動周期と同期したガントリ一回転分の投影像で作成することにより、運動部分の周期的な運動が止まり一過性の動きのみがある動画像を得る手段と、を備えることにより、同じく前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、心臓や肺等の実際には周期的に動いている部分が、4次元表示しても停止しているように見えることを活かして、造影検査を行ない、造影剤の流入(ウォッシュイン)、流出(ウォッシュアウト)、染まり方を観察することによって、止まった臓器の中を造影剤だけが流れていき、筋肉の壁が染まっていくという、一過性の現象について、従来には無い診断情報が得られる。従って、ガン細胞や心筋梗塞等の既往症による染まり方や流れ方の違いでガンや既往症の部位が分かり、染まり易さで心筋の状態が分かり、代謝解析が可能となる。又、カテーテル、チューブや飲食物等の動きや消化具合も、周期運動をする心臓や呼吸性移動の影響を抑えて把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
本実施形態は、図5に示す如く、CTガントリ20の回転位置を検出するための、例えば回転センサ30及びガントリ位置検出器32でなるガントリ位置検出手段と、患者10の心拍を計測するための、例えば体表面に装着される電極34及び心電計36でなる心拍計測手段と、該心拍計測手段の出力に応じて心拍間隔を演算する心拍間隔演算部42、該心拍間隔演算部42の出力及び前記ガントリ位置検出手段の出力に応じてCTを制御するためのCT制御部44、該CT制御部44の出力によりCTガントリ20を回転するための、例えば駆動装置50及びダイレクトドライブ用モータを示すモータ52でなる回転手段を制御する回転手段制御部46を備えた制御装置40とを含んで構成されている。
【0016】
前記CTガントリ20には、図6又は図7に示す如く、軸方向に多数(例えば256個)のシンチレータが内蔵されたブレード26が周方向に多数(例えば912チャンネル)備えられ、2次元計測が可能とされている。
【0017】
前記ブレード26は、格子状のコリメータから軸方向の構造を取り除いた構造を有し、材料としては、アルミニウムや鉛、モリブデン等が用いられる。このブレード26の幅は、検出器のエレメントの幅に並んでいる。このブレード26には、例えばセラミックやガドリニウム、キセノン等でなるシンチレータが内蔵されている。
【0018】
以下、作用を説明する。
【0019】
本発明による心拍動同期CTと従来の心拍動非同期CTの模式図を図1に示す。図1(A)に示す、本発明の心拍動同期CTでは、1心拍にCTが1回転するため、模式図の心電図(ECG)のR波(ECGで一番尖がっている部分)から次のR波の間に、CTが0度から360度回転する。これに対して、図1(B)に示す従来の心拍動非同期CTでは、心拍動に関係なくCTが回転している。この心拍動非同期CTでは、R-R波間に必ずしもCTが1回転しているわけではなく、図1(B)の場合、CT回転の方が心拍動よりも速くなっている。
【0020】
従来の心電図同期CT撮影では、図1(B)に示すように、心拍動と同じCT回転時間にならないようにすることで、矢印の部位の位相の心臓を造影すると、CTの管球位置が180度、195度、200度等、全てばらばらの管球位置の像が取得できる。従って、このばらばらの角度位置を基準とする画像が各々1回転(360度)分集まれば、それぞれの画像を再構成できる。しかし、図1(B)の方法では、絶対時間でばらばらの位相から、心臓のある1位相の画像を作成するため、造影剤の流れ等、一過性の動きを捉えることはできない。又、心筋の染まりも分からない。因みに、従来の心電図同期CT撮影では、CT撮影中ずっと造影剤は充満しているように、注入している。
【0021】
一方、図1(A)に示す心拍動同期CTでは、矢印の部分では、X線管球位置が同じ位置(図では180度)になっている。CTの再構成では、再構成に用いる投影像の情報は、全て再構成画像に反映される。よって、心拍動同期CTでは、CT1回転中に1心拍の情報のみが不足なく含まれている。従って、矢印の部分からCT1回転しても、矢印から少しずれた位置から1回転させても、それらの回転中には、必ず1心拍の情報が含まれている。即ち、どの管球位置からCT回転を始めても、1心拍の情報が含まれており、拍動によりモーション・アーチファクトの現われ方は同じになる。
【0022】
これらを、X線管球位置を少しずつずらした位置からCT1回転分再構成を続けて、動画を作成すると、拍動によるモーション・アーチファクトは同じに現われるため、心臓は止まって見える。一方、造影剤の動きは一過性であり、各CT1回転の間に含まれる造影剤における情報は、ばらばらであるため、動画にしてみると、造影剤の動きが観察できる。
【0023】
また、心拍間隔演算部42を間隔記憶部と予測部とで構成し、常に間隔記憶部に過去に連続した所定回数にさかのぼる心拍間隔を記憶しておき、予測部でその記憶データを参照していて変化が現れた場合、その傾向を分析して次回の心拍間隔の変化を予測し、その予測結果をCT制御部44に出力してガントリ20の回転速度が追従するようにモータ52の回転速度を制御することもできる。
【0024】
なお、不整脈等により追従不可能に拍動が乱れた場合には、対応する画像は捨てることができる。
【0025】
本実施形態においては、モータ52によりCTガントリ20をダイレクトドライブしているので、応答性が高く、高速回転が可能である。なお、ベルトドライブとすることもできる。
【0026】
前記実施形態においては、心臓を例にとっていたが、本発明の適用対象は心臓だけでなく、肺等、呼吸性移動等を含む周期運動をするもの一般に適用可能である。
【実施例】
【0027】
心臓ファントムを用いてデータ取得を行なった。ここでは、1分間に45回、60回の心拍でファントムを動かし、造影剤を注入しながら撮影した。動くのは、内側の三角錐の部分で、左右に動く。CTの回転時間は、1回転1秒であり、心拍60回の場合と同期することになる。
【0028】
図8は、そのときのコロナル断面を示したものである。上段(A)が従来の心拍非同期CT撮影で、下段(B)が本発明による心拍同期CT撮影画像である。右にいく程、時間が進む。本発明による心拍同期CT撮影では、造影剤が充満してきても、動態部分が二重に映るだけであるが、従来の心拍非同期撮影の場合には、動いているのが分かる(右から1番目と2番目)。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の原理を説明するためのタイムチャート
【図2】同期撮影の様子を示すCTガントリの正面図
【図3】非同期撮影の様子を示すCTガントリの正面図
【図4】CT撮影される画像の例を示す図
【図5】本発明に係るCT撮影装置の実施形態の構成を示すブロック図
【図6】同じくCTガントリ部分の一例を示す斜視図
【図7】同じくCTガントリ部分の他の例を示す斜視図
【図8】本発明の実施例を従来例と比較して示す断面図
【符号の説明】
【0030】
10…患者
20…CTガントリ
22…X線管球
26…ブレード
30…回転センサ
32…ガントリ位置検出器
34…電極
36…心電計
40…制御装置
42…心拍間隔演算部
44…CT制御部
46…回転手段制御部
50…駆動装置
52…モータ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7