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明細書 :放射性物質分注設備

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4512801号 (P4512801)
公開番号 特開2006-349649 (P2006-349649A)
登録日 平成22年5月21日(2010.5.21)
発行日 平成22年7月28日(2010.7.28)
公開日 平成18年12月28日(2006.12.28)
発明の名称または考案の名称 放射性物質分注設備
国際特許分類 G21G   4/08        (2006.01)
G01T   1/161       (2006.01)
G21F   7/06        (2006.01)
FI G21G 4/08 G
G01T 1/161 A
G21F 7/06 R
請求項の数または発明の数 7
全頁数 16
出願番号 特願2005-179955 (P2005-179955)
出願日 平成17年6月20日(2005.6.20)
審査請求日 平成19年2月2日(2007.2.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】鈴木 和年
【氏名】鈴木 寿
【氏名】福村 利光
個別代理人の代理人 【識別番号】100064414、【弁理士】、【氏名又は名称】磯野 道造
【識別番号】100111545、【弁理士】、【氏名又は名称】多田 悦夫
審査官 【審査官】村川 雄一
参考文献・文献 特開2006-288523(JP,A)
特開2006-242668(JP,A)
実開平06-069899(JP,U)
特開平07-318694(JP,A)
調査した分野 G01T 1/00 - 7/12
G21F 1/00 - 7/06
G21G 1/00 - 5/00
G21H 1/00 - 7/00
G21J 1/00 - 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
開閉自在の子扉を有するホットセルと、前記ホットセル内に設置されて放射性物質を含む液体を放射線遮蔽容器に収容されたカラムに自動的に分注する放射性物質分注装置とを備えた放射性物質分注設備であって、
前記放射性物質分注装置は
前記放射性物質を含む液体が通過する流体輸送路を自動的に洗浄する洗浄手段と、
前記放射性物質が分注された前記カラムを含む前記放射線遮蔽容器を前記子扉に対向する位置へ自動的に搬送する搬送手段とを
備えることを特徴とする放射性物質分注設備。
【請求項2】
前記子扉は前記ホットセルのメインドアと同一作業面に設けられ、
前記搬送手段は前記作業面に沿って配設されることを特徴とする請求項1に記載の放射性物質分注設備。
【請求項3】
前記放射性物質分注装置はさらに、
前記放射線遮蔽容器に収容された前記カラムに前記流体輸送路を着脱自在に接続する接続部と、
前記接続部の接続を自動的に開放する自動脱着装置と
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射性物質分注設備。
【請求項4】
前記接続部は各々係合部を有する一対のジョイントであり、
前記自動脱着装置は前記一対のジョイントの一方に係合する第1の係合部と、
前記一対のジョイントの他方に係合する第2の係合部と、
前記第1の係合部を前記第2の係合部から離間させる方向に移動させる駆動部と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の放射性物質分注設備。
【請求項5】
前記搬送手段は、
前記放射線遮蔽容器が載置される載置台に嵌合する嵌合部材と、
前記嵌合部材を前記メインドアに対し前記ホットセルの奥行き方向に沿って往復動させる第1の駆動手段と、
前記嵌合部材を前記メインドアに対し前記ホットセルの幅方向に沿って移動させて前記嵌合部材を前記子扉と対向する位置で停止させる第2の駆動手段と、
を備えることを特徴とする請求項に記載の放射性物質分注設備。
【請求項6】
前記子扉と対向する位置における前記載置台上の前記放射線遮蔽容器の有無の検出手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の放射性物質分注設備。
【請求項7】
前記放射性物質を含む液体の放射能の濃度を測定する手段と、
前記放射能の濃度の測定結果に基づいて分注量を制御する手段と
を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の放射性物質分注設備。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬用の放射性物質分注設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、陽電子を放出して崩壊する短半減期のポジトロン核種を利用するPET(Positron Emission Tomography)が癌の診断等に用いられている。PETでは、まずグルコース等の生理代謝物質をポジトロン核種で標識した標識薬を体内に注入して、この生理代謝物質を大量に消費する臓器、例えば癌等に前記標識薬を吸収させる。そして、癌等から放出される陽電子の消滅に伴って放出される光子を体外で計測して画像処理し、CT等の他の画像処理手段と組み合わせることにより、生理代謝物質を消費する臓器の活動状況、或いは体内での癌等の位置、大きさ等を正確に知ることができる。また、短半減期の核種を用いるため、癌等を撮影した後放射能が短期間に消滅し、後日改めて撮影することにより病巣の変化を知ることができる。このようなPETの有効性に鑑み、PETに健康保険が適用されるようになり、その普及が図られている。
【0003】
ところで、PET用のポジトロン核種はサイクロトロンを用いて生成させる。しかし、サイクロトロンは高価であり、維持管理やそれを用いた放射性核種の製造にも多大な費用と知識・経験を要する。さらに、そのための大きな放射線管理区域が必要なこと等により、多くの医療施設に設置することは困難である。
そこで、サイクロトロンの代わりに、ジェネレータと呼ばれる、比較的半減期の長い放射性同位元素をポジトロン核種の生成源に利用する方法が用いられている。これは、比較的半減期の長い放射性同位元素(親核種)のなかには、崩壊してPETに使用可能な短半減期の核種(娘核種)を生成するものがあることを利用したものである。
【0004】
具体的には、サイクロトロンで生成させた親核種を含むジェネレータを放射線遮蔽容器内に一旦貯蔵した後、この放射線遮蔽容器を医療施設へ輸送し、医療施設で親核種から生成する娘核種を溶出させてPET標識薬を合成し、診断に使用するという方法である。一旦娘核種を溶出した後も、親核種は引き続き崩壊して娘核種を生成するため、同じジェネレータから何度も娘核種を取り出すことができる。そのため、親核種をカウと呼び、この方法をミルキングと呼ぶこともある。
【0005】
以前から、99Mo(半減期66時間)から99mTc(半減期6時間)を生成させてSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)に用いることが行われていた。SPECTに用いられる核種の放射線のエネルギは、例えば99mTcが0.141MeV程度であるのに対し、PETでは0.511MeVの強いエネルギの消滅放射線(ガンマ線)を放出する核種が用いられる。
【0006】
ジェネレータにより親核種を医療機関まで輸送するためには、サイクロトロンで生成させた親核種を放射線遮蔽容器内に収納されたカラムに一旦分注する工程が必要となる。分注工程は、放射能の外部への漏洩、および作業者の被ばく量を軽減するために、鉛で囲まれた狭小なホットセルと呼ばれるチャンバー内に設置された放射性物質専用の分注装置を用いて行われる。
【0007】
放射性物質の分注装置は幾つか知られており、例えば特許文献1には99Moを親核種として娘核種99mTcを利用するジェネレータシステムにおいて、ポリ塩化ジルコニウムを99Moの吸着担体に用いるジェネレータ用カラムの製造装置(本願の分注装置に相当する)が示されている。
【0008】
特許文献1に示された「ジェネレータ用カラムの製造装置」では、ホットセル内に設置された装置で、上下をゴム栓で封止したジェネレータカラムに注射針を用いて99Moを吸着させたポリ塩化ジルコニウムのスラリを自動的に注入した後、人間が前記ジェネレータカラムをホットセルから取り出す構成になっている。

【特許文献1】特開2004-150977号公報(段落0062~0071、図1、7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に示されたジェネレータ用カラムの場合、放射性物質である99Moを吸着させたジェネレータカラムを、放射線遮蔽容器に収納せずに人間が取り出す構成となっているため、作業者が被ばくする可能性がある。このように、これまで紹介された分注装置では、作業者の被ばく量が、許容値内ではあるが相対的に高くなるという問題があった。
特に、PETで使用される核種は、前記のようにSPECTで使用される核種よりも放射線のエネルギが高いため、より効果的に作業者の被ばく量を軽減できる放射性物質分注設備の必要性が高い。
【0010】
以上の問題点に鑑み、本発明は作業者の被ばく量を軽減できる放射性物質分注設備を提供することを目的とする。
【0011】
前記問題を解決した請求項1の放射性物質分注設備は、開閉自在の子扉を有するホットセルと、ホットセル内に設置されて放射性物質を含む液体を放射線遮蔽容器に収容されたカラムに自動的に分注する放射性物質分注装置とを備えた放射性物質分注設備であって、放射性物質分注装置は放射性物質を含む液体が通過する流体輸送路を自動的に洗浄する洗浄手段と、放射性物質が分注されたカラムを含む放射線遮蔽容器を子扉に対向する位置へ自動的に搬送する搬送手段とを備えることを特徴とする構成とした。
【0012】
請求項1に記載の放射性物質分注設備は、放射性物質を含む液体が通過する流体輸送路を自動的に洗浄する洗浄手段を備えているため、放射性物質を含む液体を放射線遮蔽容器に収容されたカラムに分注する工程(以下、分注工程と記す)が終了した後、放射性物質を含む液体が通過した流体輸送路を洗浄して残留放射能を洗い流すことができるので、作業者の被ばく量を軽減することができる。
【0013】
また、本発明の放射性物質分注設備は、分注工程が終了した後、放射性物質が分注されたカラムが収容された複数の放射線遮蔽容器を子扉に対向する位置へ逐次自動的に搬送する搬送手段を備えている。ここで子扉とは、ホットセルのメインドアの他に設けられた小さな扉のことをいう。
【0014】
この搬送手段により、作業者は放射線遮蔽容器をホットセルのメインドアを開放することなく子扉から取り出すことができるので、ホットセル内にある放射能の影響を大幅に減少させることが可能となり、作業者の被ばく量を軽減することができる。また、ホットセルのメインドアを開ける必要が無いので、作業者の作業量を軽減することができる。
【0015】
請求項2に記載の放射性物質分注設備は、子扉はホットセルのメインドアと同一作業面に設けられ、搬送手段は作業面に沿って配設されることを特徴とする構成とした。
【0016】
請求項2に記載の放射性物質分注設備によれば、前記子扉は前記ホットセルのメインドアと同一作業面に設けられ、前記搬送手段は前記作業面に沿って配設されるため、分注後に搬送手段に載置された前記放射線遮蔽容器を小扉だけを開いて取り出すことができる。
さらに、メインドアを開くと搬送手段が暴露するようにメインドアを設けることができ、分注前に搬送手段の調整をしたり搬送手段へ放射線遮蔽容器を載置したりすることも容易となる。
同時に作業スペースが小さくなり放射線管理区域の面積を小さくできると共に、分注作業者の作業動線を短縮することができる。
【0017】
請求項3に記載の放射性物質分注設備は、さらに、放射線遮蔽容器に収容されたカラムに流体輸送路を着脱自在に接続する接続部と、接続部の接続を自動的に開放する自動脱着装置とを備えることを特徴とする構成とした。
【0018】
請求項3に記載の放射性物質分注設備によれば、自動脱着装置が接続部の接続を自動的に開放することにより、カラムおよび放射線遮蔽容器を接続部において流体輸送路から自動的に切り離すことができるので、作業者は分注工程の終了後、接続部において流体輸送路から自動的に切り離された放射線遮蔽容器を上述の子扉から取り出すことができる。すなわち、作業者がホットセル内に手を入れて流体輸送路から放射線遮蔽容器を切り離す作業が不要となるので、作業者の被ばく量および作業を軽減することができる。
【0019】
請求項4に記載の放射性物質分注設備の接続部は、各々係合部を有する一対のジョイントで構成され、自動脱着装置は一対のジョイントの一方に係合する第1の係合部と、一対のジョイントの他方に係合する第2の係合部と、第1の係合部を第2の係合部から離間させる方向に移動させる駆動部とを備えることを特徴とする構成とした。
【0020】
請求項4に記載の放射性物質分注設備によれば、自動脱着装置は一対のジョイントと第1および第2の係合部と駆動部とで構成されているので簡易で小型の自動脱着装置とすることが出来、狭隘なホットセル内での設置に適した自動脱着装置とすることができる。
【0021】
請求項5に記載の放射性物質分注設備の搬送手段は、放射線遮蔽容器が載置される載置台に嵌合する嵌合部材と、嵌合部材をホットセルの奥行き方向に沿って往復動させる第1の駆動手段と、嵌合部材をホットセルの幅方向に沿って往復動させて嵌合部材が子扉と対向する位置で停止させる第2の駆動手段とを備えることを特徴とする構成とした。
また、請求項6に記載の放射性物質分注設備の搬送手段は、さらに、子扉と対向する位置における載置台上の放射線遮蔽容器の有無の検出手段を備えることを特徴とする構成とした。
【0022】
請求項5に記載の放射性物質分注設備によれば、搬送手段は、第1の駆動手段によって放射線遮蔽容器が載置される載置台に嵌合部材を嵌合させ、次いで第2の駆動手段によって放射線遮蔽容器を載置台ごと子扉の前まで移動させた後、第1の駆動手段により嵌合部材を後退させて載置台との嵌合を解き、第2の駆動手段によって嵌合部材が連結された第1の駆動手段を次の放射線遮蔽容器が載置された載置台に嵌合可能な位置まで戻る動作を繰り返すことができる。これによりカラムが収容された放射線遮蔽容器を子扉に対向する位置へ自動的に搬送することが出来るので、狭隘なホットセル内での設置に適した自動搬送手段となる。さらに、請求項6に記載の放射性物質分注設備によれば、子扉と対向する位置における載置台上の放射線遮蔽容器の有無の検出手段を備えることにより、作業者が子扉から放射線遮蔽容器を取り出したことを検出してから次の放射線遮蔽容器の搬送を自動的に開始することができる。
【0023】
このように、作業者はホットセルの子扉まで逐次搬送されてくる複数の放射線遮蔽容器を、ホットセルのメインドアを開放することなく順次取り出すことが可能となるので、作業者の被ばく量を軽減することができる。なお、ホットセルの幅方向とは、ホットセルのメインドアに対してほぼ平行な方向をいう。
【0024】
請求項7に記載の放射性物質分注設備は流体輸送路を通過する放射性物質を含む液体の放射能の濃度を測定する手段と、放射能の濃度の測定結果に基づいて分注量を制御する手段とを備えることを特徴とする構成とした。
【0025】
請求項7に記載の放射性物質分注設備は、放射能濃度測定結果に基づいて分注量を制御する手段を備えているので、作業者を介在させることなく遠隔的かつ自動的に分注できる結果、作業者の被ばく量を軽減することができる。
また、分注量の測定結果を放射性物質の管理に利用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の放射性物質分注設備によれば、作業者の被ばく量を軽減することが可能で、さらに狭隘なホットセル内での設置に適した、放射性物質分注設備を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態について、娘核種62Cuを生成する親核種62Znを分注する場合を例に、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る放射性物質分注設備のプロセスフロー図である。
本実施形態に係る放射性物質分注設備は、開閉自在の子扉11を有するホットセル10と、ホットセル10の内部に設置される放射性物質分注装置1と、放射性物質分注設備全体を制御する制御装置28とを含んで構成される。なお、本実施形態では、子扉11はホットセル10の図示しないメインドアMD(図6参照)の下方に設けられている。
【0028】
放射性物質分注装置1は、放射性物質を含む液体(以下、放射性液体という)の流れに沿って、計量槽21、中継槽22、分注槽23、接続部6、放射線遮蔽容器2に収容されたカラム3、廃液槽24を備えている。さらに付帯機器として、中継槽22にシリンジポンプ31、接続部6に自動脱着装置7等が設けられている。
放射性物質分注装置1はこれらに加えて、放射線遮蔽容器2を搬送するための搬送手段12および載置台13、放射能の濃度を測定する手段を構成する放射能センサRSと計重器W、さらに洗浄手段を構成する第1の洗浄液槽27、第2の洗浄液槽29と廃液槽24等を備えている。
【0029】
本実施形態において、放射性液体が通過する流体輸送路は、放射性液体の流れに沿って中継槽22、分注槽23、放射線遮蔽容器2に収納されたカラム3と流体輸送路との接続部6および廃液槽24を含み、更にこれらの貯槽等を連結するチューブと、計量槽21から中継槽22への流路と中継槽22から分注槽23への流路を切り替えるバルブV1を含んで構成されている。なお、図1で太い実線で示した部分が流体輸送路に相当する。また、放射性物質分注装置1を構成する各槽の出入り口や流体輸送路の分岐点にもバルブが設けられるが、図1では特に断りの無い限り、これらのバルブは省略している。
【0030】
次に、放射性物質分注設備の各構成機器について詳しく説明する。
計量槽21は、分注に用いる放射性液体の放射能の濃度を計測するための貯留槽であり、放射能センサRSと計重器Wを備えている。
計量槽21の上流側において、サイクロトロン(図示せず)で標的の自然銅に陽子を照射して親核種62Znを生成させる。この親核種62Zn並びに標的の自然銅を酸に溶解させた後、自然銅を分離除去した62Zn溶液を窒素あるいはヘリウム等の不活性ガスで計量槽21へ圧送する。計量槽21へ圧送されてくる放射性液体の放射線量は放射能センサRSで計測され、放射性液体の質量は計重器Wで計測されて制御装置28へデータが送られる。ここでは、計重器Wと放射能センサRSが、請求項にいう放射能の濃度を計測する手段に相当する。
【0031】
制御装置28は、測定された放射能の濃度と質量のデータを基に、カラム3の1基当りに分注すべき量を容積(cm3)で算出することにより、分注量を制御する手段として機能する。なお、計重器W、放射能センサRSは信号を制御装置28へ送ることができるものであればよい。放射能センサRSにはマイクロカロリメータ、半導体検出器等の公知のものを用いることができる。
【0032】
計量槽21内の放射性液体は、中継槽22に接続されたシリンジポンプ31により吸引されて中継槽22に一時的に貯留された後、バルブV1を切り替えシリンジポンプ31を加圧側に作動させることにより分注槽23へ移送される。中継槽22に一時的に貯留することで、放射性液体を吸入したとき気泡が発生しても、気泡は上昇して上方の気層部に貯留されるので、放射性液体を分注槽23へ移送するさいに気泡の巻き込みを最小限にできる。
計量槽21の材質は耐蝕性に優れたものであればよく、形状等に特に指定はない。中継槽22は、ループ状のガラス管やテフロン(登録商標)チューブ等を用いると、洗浄液による洗浄を確実に行なうことができる。
【0033】
シリンジポンプ31は、電動アクチュエータ、エアーシリンダ等のストローク幅を制御可能で、作動時に粉塵の発生のない往復駆動手段によって駆動するのが好ましく、そのストローク幅と回数は制御装置28で制御される。すなわち、制御装置28は前記したカラム3の1基当り分注量に相当する容積の放射性液体が分注槽23に蓄積されるまで、シリンジポンプ31により計量しながら計量槽21からの吸引操作と分注槽23への圧送操作を繰り返す。
【0034】
なお、放射性液体がシリンジポンプ31に浸入するとシリンジポンプ31のつまりの原因となり、またシリンジポンプ中に62Zn溶液が残留し、正確な分注の妨げとなるので、放射性液体がシリンジポンプ31に浸入しない範囲、すなわち中継槽22に留まる範囲内に駆動手段のストローク幅の上限を設定する。また、シリンジポンプ31の材質は、ガラス等の放射線に対して耐久性があり気密性の高い材料を用いることが好ましい。
【0035】
中継槽22の下流にある分注槽23は、カラム3に分注する放射性液体を一旦貯留した後、カラム3へ圧送するためものであり、その底部からはカラム3に至るチューブが延出しており、さらに不活性ガスを供給して加圧することが可能な構成となっている。
分注槽23からカラム3への放射性液体の移送は、バルブV1を閉じて分注槽23を窒素等の不活性ガスN2で加圧して圧送することにより行なうことができる。
【0036】
分注槽23にはガラス製の容器を用いることができる。放射性液体の残留を防ぎ、後の洗浄液による洗浄を容易にするためには、底部に向かい縮径する形状の容器を用いることが好ましい。
【0037】
放射性液体が分注されるカラム3には、放射性液体を流通させるためのチューブを接続する入口と出口との2本のノズルを備えた筐体の内部に、親核種を吸着する吸着層が収容される構造のものを使用することができる。このようなカラム3には、市販のカラムを使用することができる。一例を挙げると、Sep-Pak(登録商標)を使用することができる。吸着層の吸着剤は、親核種の種類により適宜選択して用いる。例えば、62Znの吸着剤にはSep-Pak Plus CM(商品名)を用いることができる。
【0038】
放射線遮蔽容器2は、放射線遮蔽材として鉛あるいはタングステンを用いた容器で、カラム3を収納する穴と、カラム3に放射性液体を流通させる前記チューブを挿通するための穴とを備えたものであればよい。このような放射線遮蔽容器2として、例えば図2に示した構造のものを使用することができる。
【0039】
図2の放射線遮蔽容器2のカラム3を収納する穴40は、カラム3を隙間なく収容可能に設けられている。また、放射性液体を流通させるための入口側チューブを挿通するための穴41と、出口側チューブを挿通するための穴42は、カラム3の軸線方向に対して屈曲ないし湾曲して設けられている。このため、カラム3に吸着されている親核種の放射する放射線は、直進して必ず放射線遮蔽材により遮断され、放射線遮蔽容器2の外部に放射線が漏れることが防止される。また、親核種の62Znは一旦カラム3に吸着された後は、放射線遮蔽容器2の外部に漏れ出さないので、図2の放射線遮蔽容器2によれば、作業者の被ばく量を効果的に防止することができる。
【0040】
なお、放射線遮蔽容器2は図2のように分割可能な構造とすることができる。また、遮蔽材料の鉛によってチューブやカラム3が汚染されることを防止するため、放射線遮蔽部材43の表面はステンレス等で被覆しておくことが好ましい。
【0041】
第1の洗浄液槽27、第2の洗浄液槽29と廃液槽24は、チューブ、バルブと共に洗浄手段を構成し、第1の洗浄液槽27、第2の洗浄液槽29には放射性液体が通過する流体輸送路を洗浄するための洗浄液が貯留され、廃液槽24には洗浄後の廃液が貯留される。図1に示すように2基の洗浄液槽から延出するチューブを、中継槽22の上端に接続することができるし、別の構成としては、計量槽21の出口に接続することもできる。
【0042】
このように構成することにより、放射性液体が通過した流体輸送路を洗浄して、残留放射能を低減することが可能となり作業者の被ばく量をより有効に軽減し、かつ正確に目的の放射能量をカラム3に充填することが可能になる。洗浄液は親核種をカラム3から溶出させないものであればよく、例えば生理食塩水、エタノール水溶液、注射用水、グリシン等を使用することができる。
【0043】
娘核種62Cuを生成する親核種62Znを分注する場合、第1の洗浄液槽27に水、第2の洗浄液槽29にグリシンを貯留する。水は、中継槽22からカラム3にいたる流路に残留する62Znを、カラム3に向けて押し流すことを主目的とし、グリシンはカラム3に捕捉された62Znが崩壊して生じる微量の62Cu、および放射性液体に混入する痕跡量の自然銅を、カラム3から廃液槽24へ押し流すことを主目的とするものである。
なお、第1の洗浄液槽27、第2の洗浄液槽29から廃液槽24への洗浄液の移送は、不活性ガスにより加圧するか、あるいはシリンジポンプ31を利用して行なうことができる。詳細は後述する。
【0044】
次に接続部6および自動脱着装置7について説明する。
本実施形態では接続部6に2組の雄・雌差込式の樹脂製のジョイントを用いる。1組は分注槽23の下部から延出するチューブとカラム3の入口に至るチューブとの接続に用いられ、他の1組はカラム3の出口から延出するチューブと廃液槽24に至るチューブとの接続に用いられる。
【0045】
雄・雌差込式のジョイントとして、例えば図3に一例を示すような鍔とテーパ状差込とを有する雄ジョイント35、雌ジョイント36を使用することができる。
また、複数の接続部6を設けることで、複数のカラム3に放射性液体を分注することができる。これらの雄・雌ジョイント35,36とチューブとの接続は手動で行い、接続の切離しは次に述べる自動脱着装置7で自動的に行なう。(図4参照)
【0046】
自動脱着装置7は接続部6で接続されていた複数のチューブを自動的に切離すためのものである。チューブの切離しは、例えば図4に模式的に示す構成の装置で行なうことができる。
図4の自動脱着装置7は、着脱自在に嵌合する雄・雌ジョイント35,36の一方に係合する第1の係合部32と、雄・雌ジョイント35,36の他方に係合する第2の係合部33と、第1の係合部32および第2の係合部33の間の距離を増大させる方向へ移動させる駆動部34とを備えている。
【0047】
そして、第1の係合部32と第2の係合部33は、互いに近接した位置のときに嵌合状態の雄・雌ジョイント35,36と係合可能で、第1の係合部32と第2の係合部33とが離間したとき雄・雌ジョイント35,36が自動的に切り離されるような位置に配設されている。
【0048】
図4において、第1の係合部32と第2の係合部33は、各々雄・雌ジョイント35,36の円筒部を挿入可能な大きさの切れ込みを有する金属板であり、第2の係合部33は駆動部34の駆動軸に取り付けられている。図では2組のカラムの場合を例示している。雄・雌ジョイント35,36は2組あり、2個の雄ジョイント35,35には各々カラム3から延出する2本のチューブが接続される。また、2個の雌ジョイント36、36には各々分注槽23から延出するチューブ、および廃液槽24に至るチューブが接続される。
【0049】
第1の係合部32と第2の係合部33とを接した位置にして、嵌合している雄・雌ジョイント35,36を自動脱着装置7に係合させる。本実施形態では、第1の係合部の金属板の上面に雌ジョイント36の鍔が載置され、第2の係合部の金属板の下面に当接ないし僅かに隙間をおいた位置に雄ジョイント35の鍔がある位置となるよう配設されている。別言すれば、第1の係合部32と第2の係合部33が雄・雌ジョイント35,36の鍔の間に挟むようにして雄・雌ジョイント35,36と係合する。
【0050】
雄・雌ジョイント35,36の切離しは、雄・雌ジョイント35,36の鍔の間に挟まれている第1の係合部32および第2の係合部33の間の距離を、駆動部34によって増大させることにより行なわれる。これにより、雌ジョイント36に接続されているカラム3から延出する2本のチューブを雄ジョイント35から切離すことができる。すなわち、カラム3を放射線遮蔽容器2と共に接続部6において自動的に切り離すことができる。なお、駆動部34は一定のストロークで往復運動する装置であればよく、エアーシリンダ、電動アクチュエータ等、公知の装置を用いることができる。
【0051】
このように、自動脱着装置7により放射性物質が吸着されているカラム3を放射線遮蔽容器2に収容された状態でホットセル10のメインドアMD及び子扉11を開けることなく、接続部6から自動的に切離すことができるので、作業者の被ばく量を軽減することができる。
【0052】
なお、自動脱着装置7の構成は本実施形態に限定されず、接続部6の接続を開放してカラム3を放射線遮蔽容器2と共に流体輸送路から自動的に切り離すものであればよい。例えばエアーシリンダの代わりに機械式バネを用いる構成とすることもできる。
【0053】
次に子扉11について、図6を参照して説明する。本実施形態の子扉11は、ホットセル10のメインドアMDと同一作業面にあり、メインドアMDの下方に設けられて手動で自在に開閉できる構造となっている。このような構成により作業スペースが小さくなり放射線管理区域の面積を小さくできる。また、メインドアMDを開放して放射線遮蔽容器2を放射性物質分注装置1に取り付ける作業と、子扉11から放射線遮蔽容器2を取り出す作業を同一作業面で行えるので、分注作業者の作業動線を短縮することができる。
【0054】
別の構成として、メインドアMDを、小扉11を設けた二重扉とすることもできる。また、子扉11をメインドアMDとは異なる作業面に設けてもよい。あるいは、子扉11をエアーシリンダ等で自動的に開閉する構造とすることもできる。なお、メインドアMDと子扉11の内部には、鉛等の放射線遮蔽材の内張りが設けられている。
【0055】
次に、放射線遮蔽容器2を子扉11に対向する位置へ自動的に搬送する搬送手段12について図5に示した模式図を参照して説明する。
図5に示すように、搬送手段12は、放射線遮蔽容器2が載置される載置台13に嵌合する嵌合具50と、嵌合具50をホットセル10の奥行き方向に沿って移動させる第1の駆動手段52と、嵌合具50をホットセル10の幅方向に沿って小扉方向へ移動させて嵌合具50が子扉11と対向する位置で停止させる第2の駆動手段53と、子扉11と対向する位置における載置台13上の放射線遮蔽容器2の有無の検出手段54と、載置台13を移動可能に載置するフリーローラコンベアとを備えている。
【0056】
より詳しくは、本実施形態に係る嵌合具50は、第2の駆動手段53と共に可動テーブル60の上に設置されてホットセル10の幅方向に沿って一定ストローク幅で左右に動かされ、可動テーブル60と共に第1の駆動手段52によりホットセル10の奥行き方向に沿って一定ストローク幅で前後に動かされる。
【0057】
嵌合具50には、ホットセル10の幅方向に延在するガイド溝61が設けられる。そして、このガイド溝61を可動テーブル60に設けられたピン63と係合させて、可動テーブル60に対してホットセル10の幅方向に摺動可能に取り付けられる。そして、第2の駆動手段53によりホットセル10の幅方向に往復動させられる。
【0058】
また、可動テーブル60は、左右一対のガイド溝62にホットセル10の奥行き方向に沿って前後に摺動可能に取り付けられ、かつ第1の駆動手段52に連結されて前後に往復動する。
なお、第1の駆動手段52と第2の駆動手段53は、嵌合具50および可動テーブル60の位置を正確に決められるものであればよく、例えばエアーシリンダ、電動アクチュエータ等を用いることができる。
【0059】
第2の駆動手段53により子扉11に対向する位置まで搬送された放射線遮蔽容器2は、作業者により子扉11を通してホットセル10内部から取り出される。このとき、制御装置28は検出手段54からの信号により放射線遮蔽容器2が取り出されたことを検知することができる。なお、検出手段54には例えば近接スイッチ、リミットスイッチあるいは光センサ等、公知の手段を用いることができる。なお、検出手段の代わりに手動スタートスイッチを設けることもできる
【0060】
載置台13は、あらかじめフリーローラを配列したフリーローラコンベア上に第2の駆動手段53のストローク幅間隔で順に並べられているので、制御装置28は、放射線遮蔽容器2が取出されたことを検知すると、第1の駆動手段52を起動して嵌合具50を後退させ、次いで第2の駆動手段53を起動して次の放射線遮蔽容器2がある位置まで嵌合具50を右方に移動させ、次に嵌合具50を第1の駆動手段52により前進させて載置台13に嵌合させた後、嵌合具50を第2の駆動手段53で子扉11に対向する位置まで左方に移動させることにより放射線遮蔽容器2を繰り返し自動的に搬送する。そして、予め制御装置28に入力されていた回数が満了すると、搬送を終了する。
【0061】
このように搬送手段12を構成することで、嵌合具50を第1の駆動手段52により載置台13に嵌合させ、さらに載置台13と放射線遮蔽容器2を第2の駆動手段53により子扉11と対向する位置まで移動させることができる。そして、作業者は放射線遮蔽容器2をホットセル10のメインドアMDを開放することなく子扉11から取り出すことができるので、作業者の被ばく量を軽減することができる。また、ホットセル10のメインドアMDを開ける必要が無いので、作業者の作業を軽減することができる。
【0062】
狭隘なホットセル10の中で分注装置1を設置する空間を確保し、質量の重い鉛製の遮へい容器を安全に、しかも高い信頼性をもって輸送するためには、放射線遮蔽容器2はできるだけ床に低い位置に配列することが好ましい。これに伴い、搬送手段12もできるだけ背が低いことが必要となる。特に、放射線遮蔽容器2は鉛製で、1個の質量が15Kg程度あるため、駆動ローラを配列した駆動ローラコンベア、あるいはベルトコンベアでも搬送可能であるが径の大きな駆動ローラやプーリーが必要となり、コンベア高さが高くなる。
本実施形態で示した構成の搬送手段12は全高が低くできるので、前記のようなコンベアの設置場所が狭隘なホットセル10の中に確保できない場合に、好適に用いることができる。
【0063】
その他、制御装置28は放射性物質分注装置1全体の監視・制御を行なうもので、PLC、プロセスコンピュータ等を適宜選択して用いることができる。また、流体輸送路を構成するチューブ、バルブには放射性物質を含む水溶液に曝されるため化学的な安定性の高い樹脂材料を用いることが好ましく、例えばテフロン(登録商標)、ポリ塩化ビニル、PEEK(登録商標)を用いることができる。
【0064】
次に、本実施形態の放射性物質分注設備を用いた放射性物質の分注について、62Znの分注を行なう場合を例に説明する。特に断りの無い限り、流路を形成するためのバルブ操作、シリンジポンプ31の駆動等は制御装置28で行なわれる。
【0065】
<準備作業>
先ず、ホットセル10のメインドアMDを開け、カラム3を収容した複数の放射線遮蔽容器2(本実施形態では4基)を、接続部6を介して放射性物質分注装置1に取り付ける。このとき、放射線遮蔽容器2は各々載置台13に乗せてフリーローラコンベア上の所定の位置に置く。載置台13は互いに載置台間に嵌合具を挿入する空間をあけて、第2の駆動手段53のストローク幅で並ぶように構成されている。その後ホットセル10のメインドアMDを閉じる。
【0066】
次いで、親核種の62Znを準備する。62Znは、図示しないサイクロトロンで自然銅に陽子線を30MeVの条件で照射することで得られる。生成した62Znを含む自然銅を、硝酸水溶液で溶解する。62Znが完全に溶解したら2規定の塩酸を加え、分離用カラムに62Znを吸着させ、自然銅を分離する。さらに、分離カラムを2規定の塩酸及び99.5%のエタノールで洗浄する。最後に62Znを水で溶出させ計量槽21へ移送する。
【0067】
<自動分注工程>
放射線遮蔽容器2、および62Zn溶液の準備ができたら制御装置28により自動分注工程を開始する。
【0068】
計量槽21へ移送された62Znの水溶液(以下62Znと記す)の質量と放射能量を計重器Wと放射能センサRSにより計測し、制御装置28はこの計測データを基に4基のカラム3各々への分注量を容積(cm3)として算出する。各々のカラムに充填される放射能量は、使用日などの使用条件に基づきあらかじめ決められている。
なお、この質量と放射能量のデータは操業記録および品質管理記録としても用いることができる。
【0069】
次に、複数のカラム3のうちの目的とする1基に分注すべき容積の62Znを、シリンジポンプ31により計量しながら分注槽23に貯留する。
制御装置28はカラム3への分注量に応じてあらかじめ設定されたシリンジポンプ31のストローク幅及び回数を記憶しており、計量槽21から62Znを中継槽22に吸い上げ、次いでバルブを切り替えて中継槽22から分注槽23に至る流路を形成して62Znを分注槽23へ圧送する。操作を前記設定した回数繰り返しカラム3のうちの目的とする1基に分注すべき量の62Znを、分注槽23に貯留する。
【0070】
ここで別な方法として、図1に示すように計量槽21から中継槽22に至る流路中に設けたバルブV1から計量槽21へ戻る流路を設けておくことができる。この構成では、分注工程を開始する際に、まず計量槽21からバルブV1までの流路内を放射性液体で満たすために、計量槽21から62Znを中継槽22に吸い上げ、次いでバルブV1を切り替えて中継槽22から計量槽21に至る流路を形成し、計量槽21へ放射性液体の一部を戻す操作を行なう。これにより、計量槽21からV1までの流路が62Znで満たされ、その後の分注操作中に液体の流路や中継槽22にエアーが巻き込まれることが予防されるので、最初の1基に注入される62Znの液量が2番目以降に比べて少なくなることがなく、従って計量が正確になる。
次に、前記の如くカラム3の1基に分注すべき容積の62Znを、シリンジポンプ31により計量しながら分注槽23に貯留する分注工程を開始する。
【0071】
次いで、分注槽23から目的のカラム3を経由して廃液槽24に至る流路を形成しておき、次にバルブV1を閉じて分注槽23を窒素で加圧して、貯留された62Znを目的のカラム3に分注する。当然、この時他のカラム3を経由する流路は閉じられている。この操作により62Znはカラム3に吸着されて、残余の水を主成分とする溶媒は廃液槽24へ送られる。すなわち、中継槽22から廃液槽24に至る流体輸送路には、放射性物質が若干残留している。
【0072】
<洗浄工程>
カラム3のうちの目的の1基についての自動分注工程が終了したら、洗浄工程に移る。
水が貯留された第1の洗浄液槽27から中継槽22の上端、分注槽23、目的のカラム3を経由して廃液槽24に至る流路を形成し、次いで第1の洗浄液槽27を窒素加圧して水を前記流路に流通させることにより、中継槽22の下部や分注槽23に残留する62Znを、目的のカラム3に向けて押し流すことができる。
【0073】
これに続き、第2の洗浄液槽29から目的のカラム3を経由して廃液槽24に至る流路にグリシン水溶液を流通させることにより、62Znが崩壊して生じた微量の62Cu、および62Znに混入している痕跡量の自然銅を、廃液槽24へ押し流すことができる。また、同時に経路4を洗浄し内部に残留する放射能を除去することができる。
【0074】
この変形例として、中継槽22の中間に第1の洗浄液槽27、第2の洗浄液槽29から延出するチューブをつなぎ、シリンジポンプ31を利用して、中継槽22の中間付近より上半分に水を吸引して中継槽22に一時貯留し、その後、廃液槽24にむけて洗浄し、これに続きグリシンで同様に洗浄することもできる。
【0075】
<放射線遮蔽容器の搬送・取出し工程>
一つのカラムの自動分注工程と洗浄工程が終了したら、次のカラムに同作業を行い、準備した全てのカラム3について作業が終了したら放射線遮蔽容器2の搬送・取出し工程に移る。
制御装置28は予め入力されていた数のカラム3に対する分注が終了した後、自動脱着装置7を起動して、接続部6、6・・の接続をすべて開放して、放射線遮蔽容器2、2・・を自動分注装置の流体輸送路から切り離す。そして、搬送手段12により4基の放射線遮蔽容器2を逐次子扉11に対向する位置まで搬送する。
【0076】
作業者は子扉11に対向する位置まで放射線遮蔽容器2が搬送されてきたことを確認したら、子扉11を開けて放射線遮蔽容器2を取り出す。このとき、カラム3から延出する2本のチューブの各チューブ端に予め三方活栓を取付けておけば、取出し後にこの三方活栓を閉じることでカラム3内への異物の混入を防止できると共に、医療機関での娘核種を溶出させるためのチューブの接続端とすることができる。
【0077】
このように、本実施形態に係る分注によれば、洗浄工程により流体輸送路には放射性物質は残留しておらず、また取出し工程でホットセル10のメインドアMDを開放する必要も無いので、作業者の被ばくを最小限にとどめることができる。
【0078】
なお、カラム3に分注された親核種62Znの量を検査する品質検査を行なう場合には、取出し工程の前に行なうことができる。品質検査用のサンプルは、第2の洗浄液槽29から中継槽22、分注槽23、目的のカラム3から、廃液槽24をバイパスして品質検査設備に至る流路を形成しておき、この流路に第2の洗浄液槽29からグリシン水溶液を溶出液として流通させることにより採取することができる。
【0079】
親核種の62Znは自動分注工程中も崩壊して娘核種の62Cuとなる。従ってカラム3に吸着された親核種62Znの量を正確に検査するためには、ある基準時から品質検査までの経過時間を厳密に測定する必要がある。具体的には、前記の洗浄工程でグリシンをカラム3に流通させて娘核種62Cuを取り去った時点を基準時とする。そして、その後の経過時間を正確に測定し、再度グリシンをカラム3に流通させて流出する62Cuの放射能量を品質検査用の分析器で正確に測定する。62Znの量は、この経過時間と62Cuの放射線量の測定値とから算出することができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、分注工程及び洗浄工程がすべての射線遮蔽容器2に対し完了した後にホットセル10から放射線遮蔽容器2を取り出すものとして説明したが、特定の射線遮蔽容器2の分注工程及び洗浄工程が完了するたびにその射線遮蔽容器2を取り出すようにもできる。
【0081】
また、本実施形態では一台の自動脱着装置7を設けるものとして説明したが、接続部6毎に自動脱着装置7を設けて個別に放射線遮蔽容器2と接続部6との接続を切離すようにすることもできる。さらに、接続部6は手動で接続するものとして説明したが、自動的に接続する構成とすることもできる。
あるいは、本実施形態では放射性液体の移送手段としてシリンジポンプ31で吸引・加圧する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば不活性ガスによる加圧操作で放射性液体を移送することもできる。シリンジポンプ31を用いる場合は、シリンジポンプ31のストローク調整により放射性液体の移送量を容易に制御することができる。
【0082】
また、放射性物質について、本実施形態ではPET用の親核種を分注する場合を例に説明したが、SPECT用の親核種の分注に用いることもできるし、他の医薬用の放射性物質を分注に用いることもできる。
【0083】
また、分注槽23には一つのカラムに圧送する放射性液体毎にそれぞれ一旦貯留する例を示したが、各カラムに圧送する総量をまとめて一旦貯留し、既知の方法によりそれを各カラムに分配することもできる。その後、各カラムの洗浄工程を連続して行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施形態に係る放射性物質分注装置のプロセスフロー図である。
【図2】放射線遮蔽容器の一例を示す断面図である。
【図3】接続部の一例を示す図である。
【図4】自動脱着装置の模式図である。
【図5】搬送手段の模式図である。
【図6】ホットセルの子扉の一例を表す図である。
【符号の説明】
【0085】
1 放射性物質分注装置
2 放射線遮蔽容器
3 カラム
6 接続部
7 自動脱着装置
10 ホットセル
11 子扉
12 搬送手段
13 載置台
24 廃液槽
27 第1の洗浄液槽
28 制御装置
29 第2の洗浄液槽
32 第1の係合部
33 第2の係合部
34 駆動部
35 雄ジョイント
36 雌ジョイント
50 嵌合部材
52 第1の駆動手段
53 第2の駆動手段
54 検出手段
RS 放射能センサ(放射能の濃度を測定する手段)
W 計重器(放射能の濃度を測定する手段)

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5