TOP > 国内特許検索 > アナログ符号化システム > 明細書

明細書 :アナログ符号化システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4719880号 (P4719880)
公開番号 特開2007-129409 (P2007-129409A)
登録日 平成23年4月15日(2011.4.15)
発行日 平成23年7月6日(2011.7.6)
公開日 平成19年5月24日(2007.5.24)
発明の名称または考案の名称 アナログ符号化システム
国際特許分類 H04K   1/02        (2006.01)
G10L  19/00        (2006.01)
H04N   7/30        (2006.01)
G06T   9/00        (2006.01)
H04N   1/41        (2006.01)
H04N   7/167       (2011.01)
H03M   7/30        (2006.01)
FI H04K 1/02
G10L 19/00 240
H04N 7/133 Z
G06T 9/00
H04N 1/41 B
H04N 7/167 Z
H03M 7/30 A
請求項の数または発明の数 1
全頁数 13
出願番号 特願2005-319320 (P2005-319320)
出願日 平成17年11月2日(2005.11.2)
審査請求日 平成20年7月22日(2008.7.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】松藤 信哉
【氏名】田中 幹也
【氏名】棚田 嘉博
【氏名】松元 隆博
審査官 【審査官】松平 英
参考文献・文献 特開2005-333386(JP,A)
特開平11-088857(JP,A)
特開平10-155151(JP,A)
特開平11-112985(JP,A)
特開2002-094780(JP,A)
特開2002-209112(JP,A)
特開平04-362886(JP,A)
特開平10-234012(JP,A)
特開2003-009186(JP,A)
特開2003-258695(JP,A)
松藤 信哉 Shinya MATSUFUJI,雑音への耐性を考慮したアナログ暗号化方式の提案 Analog Cipher System to Consider Tolerance to Noise,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.105 No.177 IEICE Technical Report,日本,社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2005年 7月 8日,第105巻 第177号,p.7~10
松藤 信哉他,多次元直交系列の構成,電子情報通信学会技術研究報告,社団法人電子情報通信学会,2002年10月14日,Vol.102 No.391,p.23~26
藤本 亜希他,多次元直交系列を用いた直交変換の性質,電子情報通信学会技術研究報告,社団法人電子情報通信学会,2003年10月24日,Vol.103 No.400,p.61~64
調査した分野 H04K 1/00
G09C 1/00
H04L 9/00
H03M 3/00
H03M 7/00
H04N 1/41
H04N 7/167
H04N 7/30

特許請求の範囲 【請求項1】
離散多値に係る1次元又は2次元のアナログデータ(12)が入力される入力部(1)と、
初期値が入力されることで乱数を発生する乱数発生関数を備える乱数発生部(7)と、
前記乱数発生部(7)において発生された乱数を用いて複数の多次元直交系列を発生させる複数分割多次元直交系列発生部(6)と、
前記アナログデータ(12)が所定長さのブロックに分割して入力され、それぞれのブロックの前記アナログデータ(12)の符号化処理を行う複数のブロック符号化処理部とを有し、
前記ブロック符号化処理部は、
前記アナログデータ(12)の次元数よりも大きな次元数の多次元アナログデータ(13)に写像変換する写像変換部(5)と、
前記複数分割多次元直交系列発生部(6)から前記多次元直交系列を読み出して、前記写像変換部(5)によって写像変換された前記多次元アナログデータ(13)を、多次元直交変換して暗号化した変換データを生成する分割多次元直交変換部(8)と、
前記分割多次元直交変換部(8)の出力データに、前段のブロック符号化処理部における前記分割多次元直交変換部(8)の出力データを重みを付けて加算し、加算結果の多次元データをより少ない次元のデータに写像して変換する次元変換部とを備えたものであるアナログ符号化システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は離散多値のアナログ情報の保護を考慮したアナログ符号化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユビキタスネットワーク社会を迎えつつあり、情報伝送や保存においては、音声や画像などのアナログ的情報(離散多値情報)が容易にやり取りできるようになった反面、それらを他人に盗み見られないような情報保護を目的とした通信が要求されている。そのために、雑音などに対する耐性が強く、しかも信頼性が高く、かつ、効率良く伝送できるようなデータ圧縮可能な符号化方式やシステムが益々必要となっている。このような状況下において、近年様々な符号化方式やシステムに関する発明が開示されている。
【0003】
例えば、情報秘匿システムの一つである単位ブロック毎に変換を行なうブロック型の符号変換方式において、次数の小さいラテン方陣Lを複数並べて段を構成し、この段を複数設け、前段の各ラテン方陣Lから後段の少なくとも二つのラテン方陣Lに変換したデータを入力させて、入力データAの各ビットが出力データBの全てのビットに影響を与えるようにして秘匿性を高めた符号化方式の開示がある(例えば、特許文献1参照)。この符号化方式によれば、秘匿性の高い符号変換を簡単にかつ正確に得ることができる。
【0004】
また、画像データに低域フィルタ及び高域フィルタを用いてフィルタリングしてフィルタ係数を生成し、当該生成したフィルタ係数を量子化して量子化係数を生成し、その量子化係数を所定の符号化方式で符号化処理して算術符号データを生成した後、当該算術符号データの少なくとも一部にスクランブル処理を施すと共に、算術符号データに基づいて符号化処理に関する所定の符号化情報を生成し、当該生成した符号化情報を格納して生成したヘッダデータにスクランブル処理を施した算術符号データを付加してパケットデータを生成する符号化装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。このような符号化装置によれば、算術符号データにスクランブル処理を施す分、量子化係数を符号化したときのデータ量の増加を防止することができ、画像データの圧縮率の低下を防止できる。
【0005】
更に、コンテンツのストリームを記録再生するストリーム記録再生装置が開示されているが、そのストリーム記録再生装置において、アナログ放送波等によって伝送されて入力されたアナログ映像音声信号からディジタルストリームを生成する符号化手段が開示されている(例えば、特許文献3参照)。このようなアナログからデジタルに変換することによって、圧縮化あるいは多重化が可能となっている。

【特許文献1】特開2000-19957号公報
【特許文献2】特開2002-135594号公報
【特許文献3】特開2003-163889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来例に開示された発明においては、いずれもアナログ情報(離散多値情報)を対象とし、情報保護と信頼性向上を念頭に入れた符号化方式では、アナログ情報をデジタル情報に直し、それをスクランブル技術、暗号化技術、誤り訂正符号化技術などを組み合わせた符号化方式が一般的である。また、データ圧縮を行う場合は高い周波数成分をカットするような離散コサイン変換やウエーブレット変換を組み込んだシステムとなる。
【0007】
また、アナログ情報は、ある一部が雑音、妨害、加工などによって大きく変形することよりも、全体的に少しずつ異なっているほうが、その品質は保障される。しかし、上記のようにデジタルに一度直して符号化する方式は、最上位ビットと最下位ビットにおける情報量のばらつきも生じるので、品質を保障し、かつ効率のよいアナログ符号化法とは言えない可能性があるという課題があった。
【0008】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、複数分割多次元直交系列を使用した分割多次元直交変換を実行することにより、簡単な構成で容易に取り扱うことができ、しかも高い品質を担保可能で秘匿性が高いアナログ符号化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のアナログ符号化システムは、離散多値に係る1次元又は2次元のアナログデータが入力される入力部と、初期値が入力されることで乱数を発生する乱数発生関数を備える乱数発生部と、前記乱数発生部において発生された乱数を用いて複数の多次元直交系列を発生させる複数分割多次元直交系列発生部と、前記アナログデータが所定長さのブロックに分割して入力され、それぞれのブロックの前記アナログデータの符号化処理を行う複数のブロック符号化処理部とを有し、前記ブロック符号化処理部は、前記アナログデータの次元数よりも大きな次元数の多次元アナログデータに写像変換する写像変換部と、前記複数分割多次元直交系列発生部から前記多次元直交系列を読み出して、前記写像変換部によって写像変換された前記多次元アナログデータを、多次元直交変換して暗号化した変換データを生成する分割多次元直交変換部と、前記分割多次元直交変換部の出力データに、前段のブロック符号化処理部における前記分割多次元直交変換部の出力データを重みを付けて加算し、加算結果の多次元データをより少ない次元のデータに写像して変換する次元変換部とを備えたものである。これは、言わば縦続型のアナログ符号化方式である。
【0010】
こうして、複数分割多次元直交系列を分割多次元直交変換を施すことによれば、アナログデータの一部に雑音や妨害要素あるいは加工要素が含まれたとしても、それらは変換後のデータに均一に分散され、しかも逆変換される場合にも、分割多次元直交逆変換することにより均一に分散されたままとなるため、例えば音声データのような一次元データや画像データのような二次元データの場合には、雑音などが分散されて復元されるので耳や目にはその雑音などが感知できない程度にまで低減することができる。すなわち、局所的に雑音などが現れるよりも一定の品質が担保される。
【0011】
また、本発明のアナログ符号化システムは、離散多値に係る1次元又は2次元のアナログデータが入力される入力部と、初期値が入力されることで乱数を発生する乱数発生関数を備える乱数発生部と、前記乱数発生部において発生された乱数を用いて複数の多次元直交系列を発生させる複数分割多次元直交系列発生部と、前記アナログデータが所定長さのブロックに分割して入力され、それぞれのブロックの前記アナログデータの符号化処理を行う複数のブロック符号化処理部とを有し、前記ブロック符号化処理部は、前記アナログデータの次元数よりも大きな次元数の多次元アナログデータに写像変換する写像変換部と、前記複数分割多次元直交系列発生部から前記多次元直交系列を読み出して、前記写像変換部によって写像変換された前記多次元アナログデータに所定の秘密データを重みを付けて加算し、加算結果の多次元データを多次元直交変換して暗号化した変換データを生成する分割多次元直交変換部と、前記分割多次元直交変換部の出力データをより少ない次元のデータに写像して変換する次元変換部とを備えたものである。これは、言わば並列型のアナログ符号化方式である。
【0012】
このような、並列型のアナログ符号化方式においても、前述の縦続型のアナログ符号化方式と同様の利点が得られる。なお、複数分割多次元直交系列を分割多次元直交変換後にデータの圧縮を施すようにしてもよい。アナログ符号化システムにおいては、分割多次元直交変換後に、圧縮データを生成することができるので多量のデータの処理、保存を行なうことが便利であり、しかも前述のとおり品質の劣化は復元データの全体に亘るため、全体的には一定の品質を担保することができる。
【0013】
本発明のアナログ符号化方式においては、符号化し暗号化したデータを送信データに変換して送信し、受信側では受信データを逆に変換して元のアナログデータに復元することができる。
【0014】
こうして、この発明のアナログ符号化システムにおいて、暗号化データを送信する場合には、乱数発生関数に初期値を与えて乱数を発生させ、それを用いて容易に複数分割多次元直交系列を生成させ、更に、それを用いてアナログデータに分割多次元直交変換を施し、これを逆変換する際に、先の乱数発生関数の初期値を鍵としてアナログデータに復元することができる。従って、受信者側では予め送信者側と同一の乱数発生関数を備えておき、乱数発生関数の初期値さえ入手すれば、容易に乱数の発生の再現を実行することができる。このような乱数発生関数とその初期値を利用することで、鍵の送受信を容易にすることができるとともに、受信側の逆変換によるアナログデータの復元も容易となる。
【0015】
また、本発明のアナログ符号化方式においては、アナログデータをブロックに分割して前述の縦続型および並列型の構成により複数のブロックを同時に処理することができる。
【0016】
こうして、安全性をできるだけ維持したまま、高速化できるよう多値データを分割し、他の多値情報を鍵としてこれらを合成することができ、品質の劣化は復元データの全体に亘るため、全体的には一定の品質を担保することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアナログ符号化システムにおいては、複数分割多次元直交系列を分割多次元直交変換を施すことによれば、アナログデータの一部に雑音や妨害要素あるいは加工要素が含まれたとしても、それらは変換後のデータに均一に分散され、しかも逆変換される場合にも、分割多次元直交逆変換することにより均一に分散されたままとなるため、例えば音声データのような一次元データや画像データのような二次元データの場合には、雑音などが分散されて復元されるので耳や目にはその雑音などが感知できない程度にまで低減することができる。すなわち、局所的に雑音などが現れるよりも一定の品質が担保される。
【0018】
また、特に複数分割多次元直交系列を分割多次元直交変換後にデータの圧縮を施すアナログ符号化システムにおいては、分割多次元直交変換後に、圧縮データを生成することができるので多量のデータの送信を行なうことが可能であり、しかも前述のとおり品質の劣化は復元データの全体に亘るため、全体的には一定の品質を担保することができる。
【0019】
また、信頼性向上のためには、暗号化した部分は誤り補正できるので、基本的には制御ビット部に対してのみ符号化を行うので、従来法に比べて、符号化効率の観点からも優れているものと期待できる。更に、本実施の形態においては、多次元直交系列は無数に存在するのでそれを鍵とすることで、多次元的に情報を複雑に変換できるので秘話性の高い暗号的符号化が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
先に、本発明者等は、周期自己相関関数がシフト零以外の位相シフトでは零を取るような多次元直交系列の一般解を与え、更に、その直交性を活用した多次元直交変換のアナログ符号化システムを提案している(特願2004-149608号)。これは、アナログ的情報を一度多次元情報に直し、それと多次元直交系列との畳み込みを行う変換である。この変換は、変換データの振幅分布はガウス分布に近づくので、性質の良いスクランブルが可能である、逆変換(相関検出)より大きな処理利得を得るので、雑音に対して高い耐性を持つ、変換情報の一部に大きな雑音が加わったとしても、それを復号すると大きな雑音は全体に広がるので誤り補正が可能などの特長を有する。更に、多次元直交系列は無限に存在し、それを知らないと情報復元が容易でないことから、暗号化が可能である。
【0021】
図1は、本発明者等が提案した、テキストや音楽などの1次元データを3次元直交系列を用いて直交変換する場合を示すアナログ符号化システムの概念図である。図1ではデータのみに着目する。図1において、1次元データ32を多次元直交変換前に何らかの方法により写像し、3次元データ33とし、その後、多次元直交変換を行う。一般には、これらを1次元データに直したりして、加工しやすいデータに符号化し、それを記録したり通信する。また、復号では、逆の操作を行い、容易に情報を取り出すことができる。具体的には、多次元直交逆変換を行い逆変換データ35を得て、さらに写像変換によって1次元データ36を得るものである。
【0022】
図2は図1に示すアナログ符号化システムにおける、離散多値情報を入力として多次元直交変換するような方式の一例を示す。Bjは多値情報列、Cjは暗号化された情報列、Ekは鍵kからなる多次元直交変換、IVは乱数発生関数初期値を示す。
【0023】
ここで、多次元直交変換は次のような2つの性質を有する。第一に、変換後はどのようなデータでもその出力値はガウス分布に近づくので性質の良いスクランブルが可能であるという性質、第二には、局所的な雑音が入ったとしても逆変換後はその雑音は全体に散らばるので誤差の少ない誤り補正が可能な符号化が実現できるという性質である。
【0024】
本発明は、この提案したアナログ符号化システムの多次元直交変換の特長を最大限活用することにより、より保全性高く、誤り補正でき、効率良いアナログ暗号化方式の実現を目的とした暗号化システムに関するものである。この暗号化方式は、乱数の初期値を鍵とすることより、複数分割多次元直交系列を自動生成し、それを用いた分割多次元直交変換に基づく方式である。
【0025】
以下に本発明の実施の形態に係るアナログ符号化システムについて図3乃至図8を参照しながら説明する。図3は本発明の特徴とする、1次元データを多次元直交変換前に複数のブロック化されたデータとする概念図であり、図4は本発明の離散多値情報を入力として多次元直交変換する暗号化方式例、図5は縦続型アナログ暗号化方式で多次元直交変換する暗号化方式例、図6は並列型アナログ暗号化方式で多次元直交変換する暗号化方式例、図7は本発明の第1の実施形態図、図8は本発明の第2の実施形態図である。
【0026】
図3には、本発明の特徴とするアナログデータを複数に分割する概念図を示し、アナログデータ32の1次元データを複数ブロックに分割し、複数分割データBj,Bj+1・・Bj+nを生成して、多次元直交変換前に何らかの方法により写像し、複数ブロックに分割された3次元データ33とする。
【0027】
ここで、離散多値情報を入力として多次元直交変換する方式は、図4で示すようにストリーム暗号の技術を適用した幾つかのモードが考えられる。基本的には、離散多値情報はブロック化され、前までの多値情報ブッロクが次のブロックに加算され、それを入力として多次元直交変換するような暗号化方式である。これにより、暗号の複雑さは更に高くなり、また、雑音に対する耐性を高めることができると考えられる。ただし、Bjはj番目の多値情報ブロック、Cjはj番目の暗号ブロック、Ekは鍵kからなる多次元直交変換、Wは適当な重み、IVは乱数発生関数初期値を示す。このように、本発明の方式は、アナログ的情報を直接暗号化し、それを2値デジタル情報に符号化する。
【0028】
次に、図5に縦続型アナログ符号化方式で多次元直交変換する符号化方式例を示す。多値情報xを{x,x,・・・,x}とS分割し、分割したブロックごとに符号化の処理を行う。まず、それらを写像Mにより写像変換してn次元情報X={X,X,・・・,X}にする。ここで、Xはxを写像変換によりn次元化した情報である。
【0029】
これらは、
Y={Y,Y,・・・,Y
=Ta(X)+wj-1
と符号化(暗号化)される。ここで、Ta(X)はn次元ブロックデータXをn次元直交変換した結果を表している。また、一般には、変換データY={Y,Y,・・・,Y}は、写像mによってより低次元のデータy={y,y,・・・,y}に変換される。
【0030】
ただし、は重み、aは適当なn次元直交系列であり、各々、ブロックごとに異なっても構わない。また、xは他人には秘密のデータであり、もう一つの共通鍵の役目をする。なお、多値情報xと変換データyは、音声では1次元データ、画像では2次元データとして考えることができる。
【0031】
次に、図6に並列型アナログ符号化方式で多次元直交変換する符号化方式例を示す。多値情報xを{x,x,・・・,x}とS分割し、分割したブロックごとに符号化の処理を行う。まず、それらを写像Mにより写像変換してn次元情報X={X,X,・・・,X}にする。ここで、Xはxを写像変換によりn次元化した情報である。
【0032】
これらは、
Y={Y,Y,・・・,Y
=Ta(X
=M(x)+w(x
と符号化(暗号化)される。ここで、Ta(X)はn次元ブロックデータXをn次元直交変換した結果を表しており、M(x)はブロックデータxを写像変換した結果を表している。また、一般には、変換データY={Y,Y,・・・,Y}は、写像mによってより低次元のデータy={y,y,・・・,y}に変換される。
【0033】
ただし、は重み、aは適当なn次元直交系列であり、各々、ブロックごとに異なっても構わない。また、xは他人には秘密のデータであり、もう一つの共通鍵の役目をする。なお、多値情報xと変換データyは、音声では1次元データ、画像では2次元データとして考えることができる。
【0034】
また図7は、本発明の第1の実施の形態に係るアナログ符号化システムの構成図である。アナログ符号化システムは、大きく入力部1、演算部2、出力部3及びデータベース4から構成されている。入力部1は、データベース4に格納されている各種データが入力されたり、演算部2に対してデータを入力する際に使用されるユーザーとのインターフェースである。
【0035】
データベース4には、秘匿性の高いアナログ情報である生アナログデータ12が格納されている。この生アナログデータ12の例としては、一次元データとしては音声データ、二次元データとしては画像データがある。また、動画像は静止画像が時間的に連続するものであるため三次元データとして認識される場合がある。この生アナログデータ12は、予めデータベース4に格納されてもよいが、入力部1から演算時に演算部2の第1写像変換部5に入力されてもよい。
【0036】
生アナログデータ12は演算部2に含まれる第1写像変換部5によって写像変換され、n次元アナログデータ13となる。例えば、一次元の音声データや2次元の画像データを3次元のアナログデータに写像変換されたものである。n次元のnは、秘匿性を考慮すれば生アナログデータ12の次元よりも高い次数を表現するものであり、生アナログデータ12が一次元の音声データであれば、nは2次以上となり、生アナログデータ12が二次元の画像データであればnは3次以上となる。但し、一般的には1以上の任意の数を意味するものである。図7では、n次元アナログデータ13もデータベース4に格納されているが、格納されずに第1写像変換部5に留めておいてもよい。
【0037】
データベース4には、乱数発生関数データ15が格納されており、同じく格納されている乱数発生関数初期値14を用いることによって、乱数を発生させることができる。具体的には、演算部2の乱数発生部7によって乱数発生関数初期値14と乱数発生関数データ15が読み出され、乱数発生関数初期値14によって乱数を発生させる。但し、乱数発生関数データ15は予めデータベース4に格納することなく乱数発生部7の内部に格納しておいてもよい。また、乱数発生関数初期値14もデータベース4に予め格納されるのではなく、入力部1を介して乱数発生部7に入力されるようにしておいてもよい。
【0038】
発生した乱数は演算部2の複数分割多次元直交系列発生部6によって乱数発生部7から読み出され、図3のように、複数分割多次元直交系列データ16が一義的に生成される。生成された複数分割多次元直交系列データ16はデータベース4に格納されるようにしておくとよい。また、この複数分割多次元直交系列データ16は、分割多次元直交変換部8によってデータベース4から読み出され個々に多次元直交変換されてデータ17に変換される。この変換データ17もデータベース4に格納される。さらに、演算部2の圧縮部9は、情報格納装置4から変換データ17を読みだして圧縮し、圧縮データ18を生成し、データベース4に格納する。圧縮部9は、多量のデータを送信などする際に設けられるものであるが、多量で重いデータを取り扱う必要がない場合には、必ずしも設けなくともよい。
【0039】
変換データ17あるいは圧縮データ18は、演算部2の分割多次元直交逆変換部10によって逆変換される。この逆変換の内容については後述するが、逆変換の際には、先に分割多次元直交変換部8で用いられた複数分割多次元直交系列データ16が必要となる。そこで、この複数分割多次元直交系列データ16を生成する際に、先の乱数発生関数初期値14を用いて乱数の発生を再現して分割多次元直交変換時の複数分割多次元直交系列を再生成する。
【0040】
分割多次元直交逆変換部10によって逆変換されて得られたn次元アナログデータは、さらに第2写像変換部11によって生アナログデータに変換される。この演算部2における演算結果をはじめとして、入力部1から入力されるデータやデータベース4に格納されているデータは、出力部3によって他の装置やシステムに対して出力されたり、あるいは出力部3自身に表示される。
【0041】
なお、データベース4には、演算部2の内部で演算されたデータがそれぞれ格納されるが、演算部2の各要素において演算した後にデータベース4に格納されることなく、下流側の要素に送信されるようにしておいてもよいし、下流側にデータ送信を行なうと同時に並行してデータベース4に格納するようにしてもよい。
【0042】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るアナログ符号化システムについて図8を参照しながら説明する。図8において、図7と同一部分については同一の符号を付し、その構成の説明は省略する。
【0043】
本実施の形態においては、送信側演算部19において、変換データ17あるいは圧縮データ18を生成し、それを受信側演算部20へ送信して復元するものである。従って、多次元直交変換部8によって生成された変換データ17あるいは圧縮部9によって生成された圧縮データ18は送信部21によって、受信側演算部20の受信部22へ送信される。
【0044】
受信部22は、受信した変換データ17あるいは圧縮データ18を分割多次元直交逆変換部10によって復元するが、その際に用いられる複数分割多次元直交系列データ16が必要となる。複数分割多次元直交系列データ16は、受信側演算部20の乱数発生部24によって発生される乱数を用いて、複数分割多次元直交系列発生部23によって生成される。乱数の発生には、乱数発生関数データ26が用いられるが、その乱数発生関数の初期値を鍵とするため、この初期値を送信部21から受信部22へ伝送する必要がある。あるいは、乱数発生関数とその初期値を鍵として伝送してもよい。
【0045】
受信部22によって受信された乱数発生関数の初期値は鍵とされ、乱数発生部24に送信され、さらに乱数発生部24は、第1データベース25から乱数発生関数データ26を読み出して乱数を発生させる。このときに発生される乱数は、送信側演算部19によって発生された乱数と値、順序において同じものとなる。
【0046】
乱数発生部24で発生された乱数を用いて複数分割多次元直交系列発生部23では、送信側演算部19と同様に複数分割多次元直交系列を生成する。さらに、第2データベース27に格納された圧縮データ28あるいは変換データ29を読み出して受信側演算部20の分割多次元直交逆変換部10では逆変換を実施する。この逆変換によって、n次元アナログデータ30が得られ、このn次元アナログデータ30は第2データベース27に格納される。
【0047】
更に、第2写像変換部11は、第2データベース27をデータベース4から読み出して写像変換を行い、送信側演算部19によって写像変換された生アナログデータ31を生成し、第2データベース27に格納する。なお、第2データベース27には、受信部22で受信された圧縮データ28及び変換データ29が格納されているが、必ずしも格納せずとも、受信部22で受信されたそれぞれを分割多次元直交逆変換部10が受信して逆変換を実行してもよい。また、分割多次元直交逆変換部10によって生成される多次元直交系列については、第2データベース27に格納されていないが、生成した後に第2データベース27に格納するようにしてもよい。
【0048】
一般には、アナログ的情報は、最初に2値デジタル情報に変換され、それを、ストリーム暗号化方式などを使用して暗号化する。基本的には暗号化されたデジタル情報は、ブロック化されて、その先頭に制御ビットが付加される。ここで、雑音に対する信頼性を向上させるには、そのブロック化された全てのビットに対して符号化する必要がある。
【0049】
これに対して、本実施の形態においては、アナログ的情報を直接暗号化し、それを2値デジタル情報に符号化するものであり、アナログ的情報の複数分割多次元直交系列を分割多次元直交変換を実施して伝送し、それを復元することによれば、雑音を全体に散らばらせることが可能であるため、局所的な劣化は認められず、全体的に影響が希釈化されるため、全体的には、一定の品質を担保することができる。
【0050】
また、信頼性向上のためには、暗号化した部分は誤り補正できるので、基本的には制御ビット部に対してのみ符号化を行うので、従来法に比べて、符号化効率の観点からも優れているものと期待できる。
【0051】
更に、本実施の形態においては、多次元直交系列は無数に存在するのでそれを鍵とすることで、多次元的に情報を複雑に変換できるので秘話性の高い暗号的符号化が可能であるとなる。
【0052】
以上説明したとおり、本実施の形態に係るアナログ符号化システムにおいて、暗号化データを送信する場合には、乱数発生関数に初期値を与えて乱数を発生させ、それを用いて容易に複数分割多次元直交系列を生成させ、更に、それを用いてアナログデータに分割多次元直交変換を施し、これを逆変換する際に、先の乱数発生関数の初期値を鍵としてアナログデータに復元することができる。従って、受信者側では予め送信者側と同一の乱数発生関数を備えておき、乱数発生関数の初期値さえ入手すれば、容易に乱数の発生の再現を実行することができる。このような乱数発生関数とその初期値を利用することで、鍵の送受信を容易にすることができるとともに、受信側の逆変換によるアナログデータの復元も容易となる。
【0053】
また、分割多次元直交変換は、アナログデータの一部に雑音や妨害要素あるいは加工要素が含まれたとしても、それらは変換後のデータに均一に分散される性質を備えており、しかも逆変換される場合にも均一に分散されたままとなるため、雑音などが感知できない程度にまで低減させることができ、一定の品質が維持することができる。
【0054】
更に、圧縮部を備えることによれば、複数分割多次元直交系列を分割多次元直交変換後に、圧縮データを生成することができるので多量のデータの送信を行なうことが可能であり、しかも前述のとおり品質の劣化は復元データの全体に亘るため、全体的には一定の品質を担保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係るアナログ符号化システムは、秘匿性の高いネットワーク構築や、音声、画像、情報信号などを伝送する際の暗号化システムとして金融システム、情報通信システム、行政システム、移動体通信システム、放送システム、セキュリティシステム、防衛システムなど汎用性の高いニーズが見込めるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】既提案のアナログ符号化システムの概念図である。
【図2】既提案の離散多値情報を入力として多次元直交変換する方式の一例である。
【図3】本発明の1次元データを多次元直交変換前に複数のブロック化する概念図である。
【図4】本発明の離散多値情報を入力として多次元直交変換する暗号化方式例である。
【図5】本発明の縦続型アナログ暗号化方式で多次元直交変換する暗号化方式例である。
【図6】本発明の並列型アナログ暗号化方式で多次元直交変換する暗号化方式例である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るアナログ符号化システムの構成図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るアナログ符号化システムの構成図である。
【符号の説明】
【0057】
1 入力部
2 演算部
3 出力部
4 データベース
5 第1写像変換部
6 多次元直交系列発生部
7 乱数発生部
8 多次元直交変換部
9 圧縮部
10 多次元直交逆変換部
11 第2写像変換部
12 生アナログデータ
13 n次元アナログデータ
14 乱数発生関数初期値
15 乱数発生関数データ
16 多次元直交系列データ
17 変換データ
18 圧縮データ
19 送信側演算部
20 受信側演算部
21 送信部
22 受信部
23 多次元直交系列発生部
24 乱数発生部
25 第1データベース
26 乱数発生関数データ
27 第2データベース
28 圧縮データ
29 変換データ
30 n次元アナログデータ
31 生アナログデータ
32 1次元データ
33 3次元データ
34 変換データ
35 逆変換データ
36 1次元データ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7