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明細書 :診断用X線CT

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3864262号 (P3864262)
公開番号 特開2000-333945 (P2000-333945A)
登録日 平成18年10月13日(2006.10.13)
発行日 平成18年12月27日(2006.12.27)
公開日 平成12年12月5日(2000.12.5)
発明の名称または考案の名称 診断用X線CT
国際特許分類 A61B   6/03        (2006.01)
FI A61B 6/03 373
A61B 6/03 320R
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願平11-145147 (P1999-145147)
出願日 平成11年5月25日(1999.5.25)
審査請求日 平成16年2月20日(2004.2.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
発明者または考案者 【氏名】取越 正己
【氏名】遠藤 真広
【氏名】森井 保次
【氏名】片山 雅弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦
【識別番号】100084618、【弁理士】、【氏名又は名称】村松 貞男
【識別番号】100092196、【弁理士】、【氏名又は名称】橋本 良郎
【識別番号】100091351、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 哲
【識別番号】100088683、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 誠
【識別番号】100070437、【弁理士】、【氏名又は名称】河井 将次
審査官 【審査官】上田 正樹
参考文献・文献 特開2000-271111(JP,A)
特開昭64-072730(JP,A)
特開平04-207675(JP,A)
特開平03-095445(JP,A)
特開平06-225868(JP,A)
調査した分野 A61B6/00~6/14
G01N23/00~23/227
特許請求の範囲 【請求項1】
加速器から発せられ入射されるX線をブラッグ反射して1次反射光とn次反射光に分光する第1分光結晶と、この第1分光結晶でのブラッグ反射による1次反射光とn次反射光を入射して非対称反射でかつ光軸が重なった状態で拡大する第2分光結晶とを有する2結晶分光器と、
CdTe検出器を有し、被検者を透過した後の前記第2分光結晶からの拡大光が導かれるよう配置され、透過後のX線のエネルギーにより1次透過光とn次透過光を分別して強度を検出する検出手段と、
を有し、
この検出手段により検出される1次透過光とn次透過光によりX線の電子密度分布を得ることを特微とする診断用X線CT。
【請求項2】
加速器から発せられ入射されるX線をブラッグ反射して1次反射光とn次反射光に分光する第1分光結晶と、この第1分光結晶でのブラッグ反射による1次反射光とn次反射光を入射して非対称反射でかつ光軸が重なった状態で拡大する第2分光結晶とを有する2結晶分光器と、
CdTe検出器を有し、被検者を透過した後の前記第2分光結晶からの拡大光が導かれるよう配置され、透過後のX線のエネルギーにより1次透過光とn次透過光を分別して強度を検出する検出手段と、
を有する診断用X線CTであって、
前記2結晶分光器と前記被検者の間に配置され、フィルター素子がある部分と無い部分を組合せてなるフィルターを有し、前記2結晶分光器から出射される1次反射光とn次反射光のうち一方を選択透過するとともに、前記検出手段により検出される1次透過光とn次透過光によりX線の電子密度分布を得ることを特微とする診断用X線CT。
【請求項3】
加速器から発せられ入射されるX線をブラッグ反射して1次反射光とn次反射光に分光する第1分光結晶と、この第1分光結晶でのブラッグ反射による1次反射光とn次反射光を入射して非対称反射でかつ光軸が重なった状態で拡大する第2分光結晶とを有する2結晶分光器と、
CdTe検出器を有し、被検者を透過した後の前記第2分光結晶からの拡大光が導かれるよう配置され、透過後のX線のエネルギーにより1次透過光とn次透過光を分別して強度を検出する検出手段と、
を有する診断用X線CTであって、
前記加速器と前記2結晶分光器の間に配置され、フィルター素子がある部分と無い部分を組合せてなるフィルターを有し、前記2結晶分光器から出射される1次反射光と同じ波長の光と前記2結晶分光器から出射されるn次反射光のうち一方を選択透過するとともに、前記検出手段により検出される1次透過光とn次透過光によりX線の電子密度分布を得ることを特微とする診断用X線CT。
【請求項4】
加速器から発せられ入射されるX線をブラッグ反射して1次反射光とn次反射光に分光する第1分光結晶と、この第1分光結晶でのブラッグ反射による1次反射光とn次反射光を入射して非対称反射でかつ光軸が重なった状態で拡大する第2分光結晶とを有する2結晶分光器と、
半導体検出器を有し、被検者を透過した後の前記第2分光結晶からの拡大光が導かれるよう配置され、透過後のX線のエネルギーにより1次透過光とn次透過光を分別して強度を検出する検出手段と、
を有する診断用X線CTであって、
前記加速器と前記2結晶分光器の間に配置され、2種類のフィルター素子を隣接配置して組合せてなりフィルター素子の交互の出し入れが可能なフィルターを有し、前記2結晶分光器から出射される1次反射光と同じ波長の光と前記2結晶分光器から出射されるn次反射光と同じ波長の光の透過率または吸収率が異なる光を前記被検者に照射可能とするとともに、前記検出手段により検出される1次透過光とn次透過光によりX線の電子密度分布を得ることを特微とする診断用X線CT。
【請求項5】
前記フィルターの回転切替えを行うフィルター回転装置を備えた請求項2乃至請求項4のいずれか一つに記載の診断用X線CT。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば加速器からの広い範囲のエネルギーをもつX線を分光器に入射して得られる1次反射光とn次反射光を被検者に照射し、被検者の透過光に基づき被検者の像を撮影する診断用X線CT(Computed Tomography)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の診断用X線CTはX線管球のX線を用いるため、広い範囲のエネルギーのX線を含んでいる。X線はエネルギーが高いほど透過率が良いため、被検者の厚さが変われば、透過後のX線のエネルギー成分が異なってくる。これをビームハードニングと呼び、これはX線CTで得られるCT値の誤差要因となる。
【0003】
これに対して、1エネルギーだけの単色X線を用いると、このビームハードニング現象は生じなくCT値の精度が向上する。
【0004】
次に、2つのエネルギーの単色X線を用いると電子密度分布がわかることを説明する。X線の減弱係数μは、C.M.Tasi等の近似により、光電効果と仁科・クラインの項で表せる。
【0005】
μ(E)=KA(ρno)<Z>E-3 + KB(ρno)f(E) (1)
KA、KB:定数、ρn。:電子密度(cm-3)、 <Z>:平均的原子番号
ここで、透過率をTとすると、減弱係数μとの関係は、
T(E)=exp(-∫μ(E,x)dx)=exp(-μ(E)t) (2)
と表せる。xはX軸方向の距離、tは被検者の厚さであり、ここでμ(E)は場所に無関係の透過光の強度をS、入射光の強度をIとすると
S=TI (3)
(3)式で、2つのエネルギーE、Eの単色X線を用いると連立方程式になり、
=I(E1)T+I(E2)T
=I(E1)T+I(E2)T
略して表示すると次式となる。
【0006】
=I11+I12
=I21+I22 (4)
これで、2つのエネルギーのX線を選択(片方をゼロにする)する、または強度の比を変えて、その強度が既知であると、(4)式は解け、透過率T,Tが求まる。
【0007】
(1)、(2)式より電子密度分布の情報が得られる。この電子密度分布は粒子線がん治療の治療計画等で必要となる体内での粒子の飛程を求める際に要求されているデータである。
【0008】
従来のCT値からの近似では数%の誤差が避けられなかったが、この方式では直接電子密度分布が得られるので、治療計画の精度が向上する。
【0009】
この様に単色X線CT、とりわけ2エネルギーの単色X線CTが有効であることは理解されていたが、これを用いるには、2つの単色X線を高速に切り替えることが必要となる。エネルギー選択は白色光をシリコン、ゲルマニウム等の結晶を用いて分光する。
【0010】
一方ビームサイズに関しては、放射光は広がり角が狭いため伝送距離を長くしないと被験者に照射するサイズまで広がらない。広がり角はそれほど大きな値ではないため相当長い伝送距離を必要とし、ビームライン装置が長くなる。
【0011】
この1例として鉛直方向の広がり角を0.25mradとすると、50mmまでビームを拡大するためには200m以上の伝送距離を必要とする。そこで結晶の非対称反射を用いてビームを拡大し、距離を短縮して被験者に照射する。
【0012】
ところで、2結晶分光器から出射した光は被験者に照射するため、X線のエネルギーが変わっても同じ光軸で同じビームサイズである必要がある。そこで非対称反射を用いてこの仕様を満たすための従来の手法を次に説明する。
【0013】
白色光から必要なエネルギーのX線を取り出すためには結晶のブラッグ反射を用いている。ブラッグ反射の関係は、(5)式で表される。
【0014】
λn=2dsinθ (5)
λ:波長、d:結晶定数、θ:ブラッグ角、n:次数
従って、反射する光の波長(エネルギー)は結晶、入射角により異なる。
【0015】
またビームを拡大するには結晶の非対称反射を用いる。その時の拡大率Mと非対称反射角αは式(6)、(7)で表せる。
【0016】
M=sin(θ+α)/(θ-α) (6)
α=tan-1[(M-1)/(M+1)×tanθ] (7)
以上の関係からエネルギーが異なるとブラッグ角も異なるため、一つの結晶の非対称反射で異なるエネルギーのX線を同じ拡大率にするのは不可能である。
【0017】
次に、分光器への入射光と出射光を同軸にするための条件を説明する。図4(a)、(b)に2結晶モノクロメータモデル図を示す。図中記号は下記の通り。
【0018】
θB1 :結晶1のブラッグ角、θB2:結晶2のブラッグ角、α :結晶2の非対称反射角、βIN :結晶2へのビーム入射角 、βOUT:結晶2からの出射角
βIN =θB2-α (8)
βOUT=θB2+α (9)
出射ビームが入射ビームに対して常に水平であるためには、図5の関係より
90°-2×θB1+βIN+βOUT=90゜
つまり、βIN+βOUT=2θB1 (10)
が成り立てばよい。(8)、(9)式を(10)式へ代入すると、
θB1=θB2 (11)
従って、ビームのエネルギーが違っても同じ結晶(ブラッグ角が等しい)を用い、2枚の結晶の角度、位置をエネルギー毎に調節してやればビームは常に同軸で出射する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
以上よりエネルギーが違っても、対称、非対称によらず同じ種類の2結晶を使って角度、位置調整すれば光軸は常に一定かつ2結晶分光器への入出射光は平行となるが、さらに照射位置でのビームサイズを等しくすることは(5)、(6)式の関係よりエネルギーが変わると拡大率が変わるため非対称反射を用いた2結晶分光器では不可能である。
【0020】
そこで、エネルギーによらずビームを照射位置へ同じ光軸、所定のサイズに拡大して導くには、従来図7に示すようにそれぞれのエネルギーにあった二組の分光器21、22を用意し、選択するエネルギーに合った分光器21又は22のいずれかに切り換えるように構成したものがある。
【0021】
これは、具体的には分光器21は種類の異なる結晶23、24を有し、また分光器22は種類の異なる結晶25、26を有しており、これらの分光器21、22は図示しない電動機を利用したピストン運動を行う切替え機構により切り替えるように構成したものである。加速器30からの広い範囲のエネルギーを持つX線1例えば白色光を、分光器21又は22により拡大し、この拡大光7を被検者4に照射して被検者4を透過する透過光を検出器5で検出し、これにより被検者4の画像を撮影可能にしたものである。
【0022】
しかし、図7に示すX線CTにあっては、検査時間の短縮、被験者が撮影中に動いてしまう、といった問題解決のため、エネルギーの切替えを高速で行う必要がある。
【0023】
また、画像を得るためにビームサイズをある程度大きくする必要があり、そのため結晶が大きくなることにより、切り換え装置に多大な加速度がかかり、装置として成り立たなくなる問題がある。
【0024】
具体的には25Hzでエネルギー切り換えをし、ミラーサイズを300mm(振幅方向のサイズ)、片振幅150mmとすると378Gもの加速度がかかり、X線エネルギー切替え機構が成り立たない。
【0025】
そこで、本発明は、広い範囲のエネルギーをもつX線から複数の単色のエネルギーのX線を高速に選択でき、エネルギーが違っても被験者の位置まで同じ光軸でX線を伝送し、等しいサイズのX線を被験者に照射するX線CT装置を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に対応する発明は、加速器から発せられ入射されるX線をブラッグ反射して1次反射光とn次反射光に分光する第1分光結晶と、この第1分光結晶でのブラッグ反射による1次反射光とn次反射光を入射して非対称反射でかつ光軸が重なった状態で拡大する第2分光結晶とを有する2結晶分光器と、
CdTe検出器を有し、被検者を透過した後の前記第2分光結晶からの拡大光が導かれるよう配置され、透過後のX線のエネルギーにより1次透過光とn次透過光を分別して強度を検出する検出手段と、
を有し、
この検出手段により検出される1次透過光とn次透過光によりX線の電子密度分布を得ることを特微とする診断用X線CTを提供する。
【0027】
請求項1に対応する発明によれば、広い範囲をもつX線が2結晶分光器に入射し、1次光とn次光を同軸上に選択して反射し、その反射光を検出器で1次光とn次光を選択し、CT画像を得ることができる。
【0028】
前記目的を達成するため、請求項2に対応する発明は、加速器から発せられ入射されるX線をブラッグ反射して1次反射光とn次反射光に分光する第1分光結晶と、この第1分光結晶でのブラッグ反射による1次反射光とn次反射光を入射して非対称反射でかつ光軸が重なった状態で拡大する第2分光結晶とを有する2結晶分光器と、
CdTe検出器を有し、被検者を透過した後の前記第2分光結晶からの拡大光が導かれるよう配置され、透過後のX線のエネルギーにより1次透過光とn次透過光を分別して強度を検出する検出手段と、
を有する診断用X線CTであって、
前記2結晶分光器と前記被検者の間に配置され、フィルター素子がある部分と無い部分を組合せてなるフィルターを有し、前記2結晶分光器から出射される1次反射光とn次反射光のうち一方を選択透過するとともに、前記検出手段により検出される1次透過光とn次透過光によりX線の電子密度分布を得ることを特微とする診断用X線CTを提供する。
【0029】
請求項2に対応する発明によれば、広い範囲をもつX線が2結晶分光器に入射し、1次光とn次光を同軸上に選択して反射し、その反射光を選択的に遮断するフィルターを切りかえることにより、1次光とn次光を高速に選択しながらCT画像を得ることができる。
【0030】
前記目的を達成するため、請求項3に対応する発明は、加速器から発せられ入射されるX線をブラッグ反射して1次反射光とn次反射光に分光する第1分光結晶と、この第1分光結晶でのブラッグ反射による1次反射光とn次反射光を入射して非対称反射でかつ光軸が重なった状態で拡大する第2分光結晶とを有する2結晶分光器と、
CdTe検出器を有し、被検者を透過した後の前記第2分光結晶からの拡大光が導かれるよう配置され、透過後のX線のエネルギーにより1次透過光とn次透過光を分別して強度を検出する検出手段と、
を有する診断用X線CTであって、
前記加速器と前記2結晶分光器の間に配置され、フィルター素子がある部分と無い部分を組合せてなるフィルターを有し、前記2結晶分光器から出射される1次反射光と同じ波長の光と前記2結晶分光器から出射されるn次反射光のうち一方を選択透過するとともに、前記検出手段により検出される1次透過光とn次透過光によりX線の電子密度分布を得ることを特微とする診断用X線CTを提供する。
【0031】
請求項3に対応する発明によれば、広い範囲をもつX線を選択的に遮断するフィルターを切りかえることにより、1次光とn次光を高速に選択し、これを2結晶分光器に入射し、1次光とn次光を同軸上に選択して反射し、その反射光を被検者に照射することでCT画像を得ることができる。
【0034】
前記目的を達成するため、請求項に対応する発明は、加速器から発せられ入射されるX線をブラッグ反射して1次反射光とn次反射光に分光する第1分光結晶と、この第1分光結晶でのブラッグ反射による1次反射光とn次反射光を入射して非対称反射でかつ光軸が重なった状態で拡大する第2分光結晶とを有する2結晶分光器と、
半導体検出器を有し、被検者を透過した後の前記第2分光結晶からの拡大光が導かれるよう配置され、透過後のX線のエネルギーにより1次透過光とn次透過光を分別して強度を検出する検出手段と、
を有する診断用X線CTであって、
前記加速器と前記2結晶分光器の間に配置され、2種類のフィルター素子を隣接配置して組合せてなりフィルター素子の交互の出し入れが可能なフィルターを有し、前記2結晶分光器から出射される1次反射光と同じ波長の光と前記2結晶分光器から出射されるn次反射光と同じ波長の光の透過率または吸収率が異なる光を前記被検者に照射可能とするとともに、前記検出手段により検出される1次透過光とn次透過光によりX線の電子密度分布を得ることを特微とする診断用X線CTを提供する。
【0035】
請求項に対応する発明によれば、広い範囲をもつX線を入射するフィルターを出し入れすることで、得られる1次光とn次光の強度比が異なる光を、被検者に照射しながらCT画像を得ることができる。
【0036】
前記目的を達成するため、請求項に対応する発明は、前記フィルターの回転切替えを行うフィルター回転装置を備えた請求項2乃至請求項4のいずれか一つに記載の診断用X線CTである。
【0037】
請求項に対応する発明によれば、請求項2~請求項において、フィルターを回転させることで、エネルギーを高速に切り替えCT画像を得ることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0039】
<実施形態1
(構成)
本実施形態は、図1に示すように、加速器30からの広い範囲のエネルギーをもつX線1を入射して1次反射光及びn次反射光6に分光して被検者4に照射するものであって、第1結晶2及び第2結晶3を有する1個の分光器を備えている。そして、被検者4を透過する1次透過光及びn次透過光を検出する例えばCdT(カドニュームテルル)からなる検出器5を備えている。
【0040】
本実施形態では、第1結晶2で必要なエネルギーが選択され、第2結晶3の非対称反射によりビームが拡大される。被験者4を透過し、検出器5で検出される。
【0041】
(作用、効果)
次に、以上のように構成された実施形態1の作用、効果について説明する。加速器30から発せられたX線1から第1結晶2のブラッグ反射により必要なエネルギー(放射光)すなわち1次光及びn次光6が選択される。第1結晶2で反射された光は第2結晶3の非対称反射で必要なサイズに拡大される。
【0042】
第1結晶2と第2結晶3の反射光は、(5)式に従うため、1次光は(1)式で、n=1とn次光が反射する。1次光もn次光もブラッグ角と非対称反射角は等しくなるため、非対称反射では同じサイズに拡大される。(6)式、(7)式において1次光とn次光の光軸すなわち拡大光7は重なり、被験者4を透過し、検出器5まで導く。検出器5はX線のエネルギーにより、分別して強度を検出し、CT画像を得る。(1)式、(2)式、(3)式により電子密度分布が得られる。
【0043】
本実施形態によれば、X線1から必要な複数のエネルギーの光を選択し、必要なビームサイズに拡大して同じ光軸で被験者4に照射でき、電子密度分布を得ることが可能である。
【0044】
<実施形態2(請求項2、請求項6に対応)>
(構成)
図2に示すように、加速器30からの広い範囲のエネルギーをもつX線1を、入射して1次反射光とn次反射光に分光するものであって、第1結晶2及び第2結晶3を有する1個の分光器を備えている。
【0045】
また、分光器から出射される1次反射光及びn次反射光6のうち一方を選択透過して被検者に照射するものであって、後述する1種類のフィルター素子が有る部分14とフィルター素子が無い部分13を組合せてなるフィルター10を備えている。
【0046】
フィルター10のフィルター素子が有る部分14には、1次光を2次光に対して透過率の異なるフィルター素子、例えば1次光に33keVを用いて、フィルター素子にヨウ素を用いる。
【0047】
フィルター10は、回転装置11に回転可能に連結されている。また、被検者4を透過する1次透過光とn次透過光を検出する検出器5を備えている。
【0048】
(作用、効果)
次に、以上のように構成された実施形態2の作用、効果について説明する。加速器30から発せられたX線1から第1結晶2のブラッグ反射により必要なエネルギーが選択される(1次光及び2次光6)。第1結晶2で反射された光は第2結晶3の非対称反射で必要なサイズに拡大される。第1結晶2と第2結晶3の反射光は、(5)式に従うため1次光[(5)式でn=1]と2次光が反射する。1次光も2次光もブラッグ角と非対称反射角は等しくなるため、非対称反射では同じサイズに拡大される。[(2)式、(3)式]の1次光と2次光の拡大光7は重なっている。
【0049】
フィルター素子の有り部分14には、33keVに対する吸収率は高く、2次の66keVに対する吸収率は小さいヨウ素を用いる。その透過光は、1次光と2次光が混在しているが、その強度の比はフィルター無し部分13に対して大きく変えることができる。すなわち(4)式で
11:フィルター素子無し部分13の1次光(33keV)の被験者前面の強度
12:フィルター素子無し部分13の2次光(66keV)の被験者前面の強度
21:フィルター素子有り部分14の1次光(33keV)の被験者前面の強度
22:フィルター素子有り部分14の2次光(66keV)の被験者前面の強度
となり、連立方程式が解け、透過率T、Tが求まり、(1)式、(2)式より電子密度分布が得られる。
【0050】
<実施形態3(請求項4、請求項6に対応)>
(構成)
本実施形態は、図3に示すように、加速器30からの広い範囲のエネルギーをもつX線1を入射して1次反射光とn次反射光に分光するものであって、第1結晶2及び第2結晶3を有する1個の分光器を備えている。
【0051】
また、分光器から出射される1次反射光とn次反射光をそれぞれ入射するものであって、該1次反射光とn次反射光の透過率又は吸収率が異なる光を被検者4に照射する2種類のフィルター素子8、9からなるフィルター20を備えている。フィルター素子8は、n次光を遮断する物質でできた半円形の半透過材から構成されている。また、フィルター素子9は、フィルター素子8の逆のn次光のみを透過し、1次光を遮断する物質でできた半円形の半透過材から構成されている。
【0052】
フィルター20はこれを回転駆動するための回転装置11が連結されている。
【0053】
さらに、被検者4を透過する1次透過光とn次透過光を検出する検出器5を備えている。
【0054】
(作用、効果)
次に、以上のように構成された実施形態3の作用、効果について説明する。加速器30から発せられたX線1は、第1結晶2のブラッグ反射により必要なエネルギーが選択される(1次光及びn次光6)。第1結晶2で反射された光は第2結晶3の非対称反射で必要なサイズに拡大される。第1結晶2と第2結晶3の反射光は(5)式に従うため1次光[(5)式でn=1]とn次光が反射する。1次光もn次光もブラッグ角と非対称反射角は等しくなるため、非対称反射では同じサイズに拡大される。[(2)式、(3)式]1次光とn次光の拡大光7は重なっている。フィルター20は、1次光のみを透過しn次光を遮断するフィルター素子8と、n次光のみを透過し1次光を遮断するフィルター素子9を合わせて構成されており、これを撮影に必要なエネルギー切り換えに合わせて回転装置11により一定速度で回転させ、撮影に必要な2エネルギーのうちの1エネルギーのX線1を一定間隔で交互に被験者4に照射し、検出器5で各エネルギーのX線の強度を測定する。
【0055】
本実施形態によれば白色光から必要な2エネルギーの光を選択し、必要なビームサイズに拡大して同じ光軸で必要なX線エネルギーを高速で交互に被験者に照射する事が可能でフィルター20を回転させるだけで2エネルギーのうち必要なエネルギー光を選択するため、X線のエネルギー切り換えを高速で行うことが可能となる。
【0056】
<実施形態4(請求項3、請求項6に対応)>
本実施形態は、図5に示すように、図2の実施形態と異なる点は、フィルター10と分光器の位置を逆にした点、具体的にはフィルター10を加速器30側に配置し、フィルター10を透過した光を、結晶2、3を有する分光器に入力させ、分光器で得られる反射光を被検者4に照射させるようにしたものである。これ以外の点は図2の実施形態と同一である。本実施形態の作用、効果も実施形態2と同一である。
【0057】
<実施形態5(請求項5、請求項6に対応)>
本実施形態は、図6に示すように、図3の実施形態と異なる点は、フィルター20と分光器の位置を逆にした点で、具体的にはフィルター20を加速器30側に配置し、フィルター20を透過した光を、結晶2、3を有する分光器に入力させ、分光器で得られる反射光を被検者4に照射させるようにしたものである。これ以外の点は図3の実施形態と同一である。本実施形態の作用、効果も実施形態3と同一である。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、加速器から発せられる広い範囲のエネルギーを持つX線からCT撮影に必要な複数のエネルギーを選択し、同じサイズで同じ光軸で被験者の位置までビームを導くことが可能で、かつ高速でエネルギーの切り換えが可能な診断用X線CTを提供できる。
また従来のCT値からの近似では数%の誤差が避けられなかったが、この方式では、2つのエネルギーのX線を選択することにより直接電子密度分布が得られるので、治療計画の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を説明するための概略構成図。
【図2】本発明の実施形態2を説明するための概略構成図。
【図3】本発明の実施形態3を説明するための概略構成図。
【図4】本発明の診断用X線CTの原理を説明するための図。
【図5】本発明の実施形態4を説明するための概略構成図。
【図6】本発明の実施形態5を説明するための概略構成図。
【図7】従来の診断用X線CTの課題を説明するための概略構成図。
【符号の説明】
1…X線
2…第1結晶
3…第2結晶
4…被験者
5…検出器
6…1次光及びn次光
7…拡大光
8…フィルター素子
9…フィルター素子
10、20…回転フィルター
11…回転装置
13…フィルター無し部分
14…フィルター有り部分
30…加速器
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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