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明細書 :体関節サポ一夕

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4625958号 (P4625958)
公開番号 特開2007-136036 (P2007-136036A)
登録日 平成22年11月19日(2010.11.19)
発行日 平成23年2月2日(2011.2.2)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
発明の名称または考案の名称 体関節サポ一夕
国際特許分類 A61F   5/01        (2006.01)
A61F   5/02        (2006.01)
A61F   4/00        (2006.01)
A61H   1/02        (2006.01)
FI A61F 5/01
A61F 5/02
A61F 4/00
A61H 1/02 C
請求項の数または発明の数 3
全頁数 7
出願番号 特願2005-336830 (P2005-336830)
出願日 平成17年11月22日(2005.11.22)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2005年5月26日 社団法人計測自動制御学会制御部門主催の「第5回 計測自動制御学会制御部門大会」において文書をもって発表
審査請求日 平成20年11月19日(2008.11.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】黒住 亮太
【氏名】山本 透
審査官 【審査官】岩田 洋一
参考文献・文献 特許第3453300(JP,B2)
特開2002-65782(JP,A)
特開平6-269470(JP,A)
特開2004-33583(JP,A)
特開2005-245792(JP,A)
特開平11-192273(JP,A)
特開2002-248144(JP,A)
特開2003-024397(JP,A)
特開2003-256005(JP,A)
特開2001-133300(JP,A)
特開2001-165268(JP,A)
特開2001-166676(JP,A)
調査した分野 A61F 5/01
A61F 5/02
A61F 4/00
A61H 1/02
A61H 7/00
A61H 15/00
特許請求の範囲 【請求項1】
使用者の身体に装着し、該使用者の動作をサポートする体関節サポータであって、
前記体関節サポータは外圧により変形可能な内部材と前記内部材の外周囲を覆うための空気膜を備える空気膜構造体を備え、
前記空気膜構造体には、
前記空気膜の内部へ送排出される空気の量を調節する電磁弁と、
前記空気膜の空気圧を取得する圧力センサと、
前記内部材の変位量を光量の変位量として取得する光センサと、
前記電磁弁を制御する体関節サポータ制御部とが接続され、
前記体関節サポータ制御部は、前記空気圧と前記光量の変位に基づき、前記電磁弁による空気の送排出の調節制御をすることを特徴とする体関節サポータ。
【請求項2】
前記体関節サポータ制御部による前記電磁弁の調節制御に、
適応学習型制御を用いることをことを特徴とする
請求項1記載の体関節サポータ。
【請求項3】
前記体関節サポータ制御部による前記電磁弁の調節制御に、
小脳演算モデルを利用することで、前記適応学習型制御の制御パラメータを決定することを特徴とする
請求項2記載の体関節サポータ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、障害者等の利用者に対して、体関節の支持、動作などを補助するか体関節サポータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、介護問題や高齢者の生活の質に関する問題が提起されると共に、障害のある人々の現状を理解し、その問題を解決しようという動きが社会的に進んでいる。そのような流れの中で、福祉機器をはじめとする生活支援機器についても、単に機能的な障害を補完する目的にとどまらず、生活の質自体を向上することに貢献することが求められている。
【0003】
例えば、福祉機器の一種として、障害者等の体関節の支持、動作などを補助する可動式体関節サポータが利用されている。
【0004】
このような福祉機器の動作を適切に制御するためは、各種の制御技術が用いられる。
体関節の中でも特に、首は、脊髄、動脈、気道等、生命維持に関わる部分の集まる非常にデリケートな部位なので、充分な安全を確保して、負担をかけないようにする必要があり、可動式首サポータの動作制御には、高い精度と信頼性とが求められる。また、首以外の部位であっても、程度の差はあるが、高い精度と信頼性が求められることには変わりない。

【特許文献1】特開2001-133300号公報
【特許文献2】特開2001-165268号公報
【特許文献3】特開2001-166676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような福祉機器は、使用する人の状態に柔軟に適応した動作制御を行うことが好ましい。なぜなら、使用する人によって障害等の程度は異なり、また同じ人であっても、
障害等の状態は常に変化するので、適切な支援動作を実現するためには、使用する人の状態に柔軟に適応することが求められているからである。
【0006】
しかし、従来の制御技術の多くは、主にプラスチックなどの石油化学製品を生産する
化学工場におけるプロセスシステムの制御や、工業用ロボットの制御など、人の介在しない機械系の中で用いられてきたものであって、人体を対象とする福祉機器のように、動作制御に高い柔軟性や信頼性を必要とする機器に、そのまま利用することはできない。
【0007】
化学プロセス制御系などでは、比例・積分・微分制御、いわゆるPID(Proportinal Integral Differential)制御手法が広く用いられている。これは、PIDゲインのもつ物理的意味が明確であり、制御構造が比較的簡単であることなどによるものである。しかし、制御性能に大きな影響を与えるPIDゲインの調整法については、通常、非線形性を有するシステムに柔軟に適応させることはできなかった。すなわち、非線形なシステムの制御については、動作点近傍での線形近似システムを求め、それに対して線形フィードバック制御を使用して、PIDゲインを決定することが一般的であるが、この手法では制御性能に限界があるうえ、制御対象の特性変化には適応させることが難しい。したがって、これら従来の制御技術では、人体を対象とする福祉機器のように、個人差や経時変化に柔軟に適応すべき機器の制御を満足に行うことはできなかった。
【0008】
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、対象となる人体の個体差や経時変化に柔軟に適応し、高い精度と信頼性とを実現する体関節サポータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る体関節サポータは、上記課題を解決するために、使用者の身体動作をサポートする体関節サポータであって、外圧により変形可能な内部材とその内部材の外周囲を覆う空気膜を備える空気膜構造体を備えている。
上記構成空気膜構造体には、上記空気膜の内部へ送排出される空気の量を調節する電磁弁と、
上記空気膜の空気圧を取得する圧力センサと、上記内部材の変位量を光量の変位量として取得する光センサと、上記電磁弁を制御する体関節サポータ制御部が接続されている。ここで、上記体関節サポータ制御部は、上記空気圧と前記光量の変位に基づき、前記電磁弁による空気の送排出の調節制御をするようにしている。
【0010】
また、本発明に係る体関節サポータでは、上記体関節サポータ制御部による上記電磁弁の調節制御に適応学習型制御を用いる。
【0011】
また、本発明に係る体関節サポータでは、上記体関節サポータ制御部による前記電磁弁の調節制御に、小脳演算モデルを利用することで、上記適応学習型制御の制御パラメータを決定している。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、本発明に係る体関節サポータによれば、比較的簡単な制御構造によって、安定した制御を実現すると共に、システムの非線形性にかかわらず、利用者の個人差や経時変化に柔軟に対応することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔1.システムの概観〕
本発明の一実施形態に係る体関節サポータを含むシステムの概観を図1、図2を参照して説明する。
【0014】
体関節サポータシステムは以下の部位により構成されている。使用者の意思を入力する入力機器であるユーザ意思取得部100。なお、本実施の例では眼鏡形状の視線入力装置を使用している。使用者の身体に装着する、体関節サポータ200。
上記体関節サポータの空気圧を制御する体関節サポータ制御部300。体関節サポータ200に内蔵する空気圧アクチュエータを動作させる空気圧を供給するためのエアコンプレッサー400。空気圧アクチュエータに送る空気量を調節する電磁弁500。体関節サポータの圧力情報と変位情報を関節サポータ制御部300に送信する制御情報インターフェース601。体関節サポータに対して空気を送排出するための空気インターフェース602。
【0015】
なお、ユーザ意思取得部100は、ユーザの意思を取得する部分であり、視線に限定されず、身体のあらゆる場所の動作を検知可能な部分とすることも可能である。例えば、任意のスイッチ、ジョイスティック、マイクロフォンなどが使用可能である。
【0016】
なお、体関節サポータ制御部はマイクロコンピュータシステムにより実現され、制御方式として、実施時における制御対象に対して、リアルタイムにフィードバック制御が可能となる適応学習型PID制御を用いる。適応学習型PID制御の一例としてCMAC-PID制御などが利用可能である。なお、即応性を要求されない場合は、IP制御でもよい。また、制御対象により、P、I、Dの各成分を利用するか否かは自由に選択可能である。
【0017】
CMAC-PID制御とは、ニューラルネットワークの一種である小脳演算モデル(Cerebellar Model Articulation Controller)CMACを用いてPID制御を調整することによって、適応学習型の制御系を実現するものであり、階層型ニューラルネットワークと比較して強い非線形性を持つような対象物の制御において、オンラインでの短時間学習に適している。
【0018】
本発明では、体関節サポータ200の空気圧の制御を、体関節サポータ200から取得する空気圧情報、および変位情報に基づきCMAC-PID制御により行うものである。
【0019】
〔2.体関節サポータの構造〕
次に、本発明の体関節サポータ200の構造について、図2を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の体関節サポータ200の構造を模式的に表現している図である。
体関節サポータ200は、複数の空気膜構造体700により構成されている。
【0020】
空気膜構造体700はウレタンフォーム710が空気膜720で覆われており、空気膜720の中にエアコンプレッサー400より空気が送り込まれて空気層が形成される。この空気層の空気の流入量と排出量は電磁弁500の開閉により調節される。電磁弁500の開閉制御は体関節サポータ制御部500により行われる。空気膜720にかかる空気圧は、圧力センサ730により取得され体関節サポータ制御部300に伝送される。
【0021】
またウレタンフォーム710には、2本の光ファイバが挿入されており、先端が隣接して配置される。片方はLED等の光源711であり、片方は光源711の光量を測定するフォトセンサ712である。フォトセンサ712は、光源711の光量およびその変位を測定可能であり、測定結果は体関節サポータ制御部300に伝送される。
【0022】
ウレタンフォーム710が身体800からの圧力を受けて変形することによりウレタンフォーム710の密度が変化し、その結果フォトセンサ712での検出される光量が変化する。すなわち、ウレタンフォーム710の変位はフォトセンサ712で測定される光量の変化となり、体関節サポータ制御部300に伝送される。
【0023】
なお、単にフォトセンサ712で測定される光量のみを体関節サポータ制御部300に伝送し、体関節サポータ制御部300にて光量変化を計測してもよい。なお、ウレタンフォーム以外にも、柔軟な素材でありかつ上記LED光を散乱させるような素材が利用可能である。
【0024】
〔3.システムの動作〕
次に、本発明の体関節サポータの動作について、図1から図3を用いて説明する。
本発明の体関節サポータを装着したユーザ1が、体を移動させたい方向に視線を移動させると、その視線方向をユーザ意思取得部300が取得し、体関節サポータ制御部300へ送信する。
【0025】
体関節サポータ制御部300は、ユーザ意思取得部100で取得した視線方向に対応付けられた動作を行うため、それら動作にさらに対応付けられた体関節サポータ200の空気構造体700に空気を送排出する電磁弁500を作動させ、空気構造体700の空気圧へを所定圧力へ変化させる。
【0026】
なお、この変化させる過程において体関節サポータ制御部300はCMAC-PID制御を用いて電磁弁500の開閉動作を制御する。さらに前記制御を行うために、体関節サポータ制御部300は、体関節サポータの空気膜構造体700の圧力センサ730により取得した空気膜720の圧力と、体関節サポータの空気膜構造体700のウレタンフォーム710が変形する際に(図3参照)、フォトセンサ712により測定された光量の変位を制御パラメータとして利用する。
【0027】
以上のように体関節サポータを構成し、動作させることにより、対象となる人体の個体差や経時変化に柔軟に対応可能で在り、高い精度と信頼性とを備えるサポートを提供することが可能となる。
【0028】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である.すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範疇に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、障害者等の利用者に対して、体関節の支持、動作などを補助する体関節サポータに幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る体関節サポータを含むシステムの概観図。
【図2】体関節サポータの構造を示す模式図。
【図3】体関節サポータへ圧力がかかった場合のウレタンフォーム密度の変化を示す模式図。
【符号の説明】
【0031】
1 ユーザ
100 ユーザ意思取得部
200 体関節サポータ
300 体関節サポータ制御部
400 エアコンプレッサー
500 電磁弁
601 制御情報インターフェース
602 空気インターフェース
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2