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明細書 :マイクロ・ナノパターン構造体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4288347号 (P4288347)
公開番号 特開2005-161465 (P2005-161465A)
登録日 平成21年4月10日(2009.4.10)
発行日 平成21年7月1日(2009.7.1)
公開日 平成17年6月23日(2005.6.23)
発明の名称または考案の名称 マイクロ・ナノパターン構造体及びその製造方法
国際特許分類 B81C   5/00        (2006.01)
B23K  15/00        (2006.01)
B82B   1/00        (2006.01)
C23C  14/46        (2006.01)
H01L  21/285       (2006.01)
H01L  21/3205      (2006.01)
H01L  29/06        (2006.01)
FI B81C 5/00
B23K 15/00 508
B82B 1/00
C23C 14/46 C
H01L 21/285 Z
H01L 21/88 B
H01L 29/06 601N
請求項の数または発明の数 7
全頁数 15
出願番号 特願2003-403597 (P2003-403597)
出願日 平成15年12月2日(2003.12.2)
審査請求日 平成18年11月28日(2006.11.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】田中 俊一郎
【氏名】三輪 紘敬
個別代理人の代理人 【識別番号】100078190、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 三千雄
【識別番号】100115174、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 正博
審査官 【審査官】馬場 進吾
参考文献・文献 特開平09-312261(JP,A)
特開2005-96036(JP,A)
調査した分野 B81C 5/00
B23K 15/00
B82B 1/00
C23C 14/46
H01L 21/285
H01L 21/3205
H01L 29/06
特許請求の範囲 【請求項1】
基板上に超微粒子によって構成される超微細パターンを形成して得られるマイクロ・ナノパターン構造体にして、かかる超微細パターンが、前記基板上に所定の空間を隔てて積層配置された、細隙乃至は細孔を有するターゲット材からなるマスクへの高エネルギービームの斜め照射によって離脱した、該マスクの構成原子又は構成分子からなる超微粒子によって、該マスクの裏面に対応する前記基板上に形成された膜状の接続部と、該マスクの細隙乃至は細孔に対応する該基板部分が前記高エネルギービームによって穿孔されて形成された微細な孔部とから構成されていることを特徴とするマイクロ・ナノパターン構造体。
【請求項2】
前記超微細パターンが、前記超微粒子の相互に連結された形態において、又は該超微粒子からなるマイクロ・ナノメートル膜の形態において形成されている請求項1に記載のマイクロ・ナノパターン構造体。
【請求項3】
所定の超微細パターンを与えるように配設された細隙乃至は細孔を有する、ターゲット材からなるマスクを、所定の空間を隔てて基板上に積層配置せしめた状態において、該マスクに対して高エネルギービームを斜め方向から照射することにより、該マスクの構成原子又は構成分子を離脱させ、そしてその離脱させた該マスクの構成原子又は構成分子を、該マスクと前記基板との間の空間に入り込ませて、該マスクの裏面に対応する該基板に付着させ、該マスクの裏面に対応したパターンの膜状の接続部を前記構成原子又は構成分子からなる超微粒子にて形成する一方、該マスクの前記細隙乃至は細孔に対応する前記基板部分においては、該マスクの前記細隙乃至は細孔に対応する前記基板部分を前記高エネルギービームによって穿孔せしめて、微細な孔部を形成することを特徴とするマイクロ・ナノパターン構造体の製造方法。
【請求項4】
前記超微細パターンが、前記超微粒子の相互に連結された形態において、又は該超微粒子からなるマイクロ・ナノメートル膜の形態において形成されている請求項3に記載のマイクロ・ナノパターン構造体の製造方法。
【請求項5】
前記マスクと前記基板とが、10nm~2μmの距離を隔てて、積層配置される請求項3又は請求項4に記載のマイクロ・ナノパターン構造体の製造方法。
【請求項6】
前記基板が、金属基板、非金属基板、半導体基板、化合物基板又は有機材料基板である請求項3乃至請求項5の何れかに記載のマイクロ・ナノパターン構造体の製造方法。
【請求項7】
前記高エネルギービームが、イオンビームである請求項3乃至請求項6の何れかに記載のマイクロ・ナノパターン構造体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ・ナノパターン構造体及びその製造方法に係り、特に、超微粒子によって構成される連続的な超微細パターンを効果的に形成してなるマイクロ・ナノパターン構造体と、それを有利に製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、超微粒子の如きマイクロスケール物質やナノスケール物質(以下、マイクロ・ナノ物質という)、或いは微細な文字、図形、回路等のマイクロパターンやナノパターン(以下、マイクロ・ナノパターンという)を形成することが、マイクロマシンの部品の製造や半導体回路のミニチュア化にとって重要であることが認識されてきている。そして、そのようなマイクロ・ナノ物質やマイクロ・ナノパターンの創製には、大きく分けてトップダウン法とボトムアップ法の二つが知られている。前者は、バルクの物質を壊したり或いは加工して、微細化していく方法であって、例えば、スパッタリング、エッチング、リソグラフィー等の手法によって実現されるものであり、また、後者は、原子や分子を物理的或いは化学的な方法で積み上げて、大きくしていく方法であって、原子や分子の堆積や自己組織化等の手法によって、実現されている。
【0003】
ところで、それら従来の超微粒子に対する研究や開発は、主として、超微粒子の集合体に関するものであって、超微粒子単体としての性質や応用に関する研究は充分に為されているとは言えない。これは、上述した従来の超微粒子の製造方法にも起因しており、従来の製造方法では、超微粒子を粒子単体として得ることが困難であったためである。
【0004】
また、超微粒子をデバイスや各種機能材料等に応用することが、一部で進められているが、従来の製造方法では、超微粒子を粒子単体として得ることが出来ても、その形成位置までは充分に制御することが出来ず、ましてやパターン化することは困難であって、これが、超微粒子の応用展開を妨げている。
【0005】
このため、超微粒子の単体としての物性研究や応用等を容易とするために、超微粒子を単体として作製することを可能にすると共に、超微粒子の形成位置の制御等を実現することが求められている、そこで、それに応えるべく、本発明者等は、先に、下記特許文献1において、基板上に細孔を有するターゲット材を配置し、このターゲット材の細孔内壁に対して高エネルギービームを斜め方向から照射して、かかるターゲット材の構成原子又は構成分子を離脱させ、そして、この離脱させたターゲット材の構成原子又は構成分子を前記基板に付着させて、かかる基板上の前記ターゲット材の細孔に対応した位置に、超微粒子を形成することからなる超微粒子の製造方法を提案した。このような方法により、目的とする超微粒子を、その形成位置等を制御した上で、単体として得ることが出来、また各種操作、制御、応用展開が可能となったのである。
【0006】
しかしながら、この本発明者等が先に提案せる方法にあっても、文字、図形、回路等のマイクロ・ナノパターン(超微細パターン)の形成には、未だ充分ではなく、そのため、超微粒子を利用した超微細配線、超微細デバイス、超微細機能材料等の超微細構造体を得ることは、著しく困難であった。
【0007】

【特許文献1】特開平9-312261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、超微粒子によって構成される連続的な超微細パターンが効果的に形成されてなるマイクロ・ナノパターン構造体と、それを有利に製造し得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、基板上に超微粒子によって構成される超微細パターンを形成して得られるマイクロ・ナノパターン構造体にして、かかる超微細パターンが、前記基板上に所定の空間を隔てて積層配置された、細隙乃至は細孔を有するターゲット材からなるマスクへの高エネルギービームの斜め照射によって離脱した、該マスクの構成原子又は構成分子からなる超微粒子によって、該マスクの裏面に対応する前記基板上に形成された膜状の接続部と、該マスクの細隙乃至は細孔に対応する該基板部分が前記高エネルギービームによって穿孔されて形成された微細な孔部とから構成されていることを特徴とするマイクロ・ナノパターン構造体を、その要旨としているのである。
【0010】
なお、このような本発明に従うマイクロ・ナノパターン構造体の望ましい態様においては、前記超微細パターンは、好ましくは、前記超微粒子の相互に連結された形態において、又は該超微粒子からなるマイクロ・ナノメートル膜の形態において、形成される。
【0011】
また、本発明にあっては、上記の本発明に従うマイクロ・ナノパターン構造体を有利に得るべく、所定の超微細パターンを与えるように配設された細隙乃至は細孔を有する、ターゲット材からなるマスクを、所定の空間を隔てて基板上に積層配置せしめた状態において、該マスクに対して高エネルギービームを斜め方向から照射することにより、該マスクの構成原子又は構成分子を離脱させ、そしてその離脱させた該マスクの構成原子又は構成分子を、該マスクと前記基板との間の空間に入り込ませて、該マスクの裏面に対応する該基板に付着させ、該マスクの裏面に対応したパターンの膜状の接続部を前記構成原子又は構成分子からなる超微粒子にて形成する一方、該マスクの前記細隙乃至は細孔に対応する前記基板部分においては、該マスクの前記細隙乃至は細孔に対応する前記基板部分を前記高エネルギービームによって穿孔せしめて、微細な孔部を形成することを特徴とするマイクロ・ナノパターン構造体の製造方法をも、その要旨としている。
【0012】
そして、このような本発明に従うマイクロ・ナノパターン構造体の製造方法においては、前記超微細パターンは、有利には、前記超微粒子の相互に連結された形態において、又は該超微粒子からなるマイクロ・ナノメートル膜の形態において、形成されることとなる。
【0013】
また、この本発明に従うマイクロ・ナノパターン構造体の製造方法の望ましい態様によれば、前記マスクと前記基板とが、10nm~2μmの距離を隔てて、積層配置され、これによって、マスクの裏面に対応する基板上に、マスクへの高エネルギービームの斜め照射により離脱した、マスクの構成原子又は構成分子からなる超微粒子による膜状の接続部を備えた超微細パターンが、超微粒子の相互に連結された形態において、又は超微粒子からなるマイクロ・ナノメートル膜の形態において、極めて安定的に且つ確実に形成される。
【0014】
なお、本発明において、基板としては、一般に、金属基板、非金属基板、半導体基板、化合物基板又は有機材料基板が用いられ、そのような基板の上に、目的とする超微細パターンが、マスク内壁面に対する高エネルギービームの斜め照射によって生じた超微粒子によって、効果的に形成されるのである。
【0015】
また、本発明において、ターゲット材であるマスクに対して照射せしめられる高エネルギービームは、イオンビームであることが望ましく、このようなイオンビームの照射によって、超微粒子がマスクから効果的に発生せしめられて、目的とする超微細パターンが、有利に形成されることとなる。
【発明の効果】
【0016】
要するに、本発明に従うマイクロ・ナノパターン構造体においては、マスクの細隙乃至は細孔に対応する微細な孔部が設けられた基板上に、マスクの細隙乃至は細孔に対応した微細な孔部と、マスクから生じた超微粒子によって形成された、マスクの裏面に対応した接続部とを有する超微細パターンとが設けられることにより得られるものであって、また、そのような超微細パターンが、結晶粒が連続した多結晶フィルムの形態において有利に形成されているのである。
【0017】
従って、このような本発明に従うマイクロ・ナノパターン構造体にあっては、マスクが有する細隙や細孔に対応した、基板をも貫通する微細な貫通孔を備えた連続的な超微細パターンが、超微粒子により、マスクの形状等に応じた所望の形状において、効果的に形成されて、構成されており、以て、例えば分子、原子、細菌等のふるいや光フィルタ、電磁波フィルタ、光シャッタ等、微細な貫通孔を備えた連続的な超微細パターンを利用する超微細デバイスや超微細機能材料、超微細配線等として、極めて効果的に用いられ得ることとなるのである。
【0018】
そして、本発明に従う製造方法においては、マスクから離脱せしめられたマスクの構成原子又は構成分子からなる超微粒子が、マスクと基板との間の空間内に入り込んで、マスクの裏面に対応する基板上に付着せしめられる一方で、マスクの細隙乃至は細孔に対応する基板部分が高エネルギービームの照射によって穿孔されることにより、マスクの裏面に対応する部分に超微粒子にて形成された膜状の接続部と、マスクの細隙乃至は細孔に対応する部分に形成された微細な孔部とからなり、しかも、結晶粒が連続した多結晶フィルムの形態とされた超微細パターンを有するマイクロ・ナノパターン構造体が、製造されるようになっている。
【0019】
従って、かくの如き本発明に従うマイクロ・ナノパターン構造体の製造方法によれば、マスクが有する細隙や細孔に対応した、基板をも貫通する微細な貫通孔を備えた連続的な超微細パターンが、超微粒子により、マスクの形状等に応じた所望の形状において容易に形成され、以て、例えば分子、原子、細菌等のふるいや光フィルタ、電磁波フィルタ、或いは光シャッタ等、微細な貫通孔を備えた連続的な超微細パターンを利用する超微細デバイスや超微細機能材料、超微細配線等として有利に使用可能なマイクロ・ナノパターン構造体が、極めて確実に且つ安定的に製造され得ることとなるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について、詳細に説明することとする。
【0021】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構造を有するマイクロ・ナノパターン構造体の一例が、その正面形態と縦断面形態とにおいて、それぞれ概略的に示されている。それら図1及び図2から明らかなように、本実施形態のマイクロ・ナノパターン構造体は、基板10と、マイクロ・ナノパターンとしての超微細パターン12とを有し、それらが一体的に積層されてなる複層構造を有している。
【0022】
より具体的には、基板10は、全体として円形状を呈する、一定厚さのフィルム等からなっている。そして、この基板10にあっては、その内側部分の円形領域内に、略矩形状を呈する微細な孔部14が、縦横に並んで位置するように多数設けられており、また、それら多数の孔部14の間に位置する基板10部分が、縦横に延び出す細長い帯状体16とされ、以て、かかる内側部分が、全体として格子状を呈するように、多数の帯状体16が互いに直交せしめられてなる格子部18とされている。
【0023】
一方、超微細パターン12は、基板10の内側部分に設けられた格子部18に対応した格子形状を有している。即ち、この超微細パターン12にあっては、基板10の格子部18における多数の帯状体16のそれぞれに対応した幅と長さとを有する帯体が、格子状に組み合わされ、相互に接合されてなる接続部20と、基板10に設けられた多数の微細な孔部14に対応した形状の微細な孔部22とからなり、各孔部22が、基板10の各孔部14に対応位置せしめられ、且つ接続部20が、格子部18上に一体的に積層された状態で、形成されている。また、ここでは、特に、かかる超微細パターン12の接続部20が、図示しないマスクから生じた超微粒子の相互の連結により形成されたマイクロ・ナノメートル膜(マイクロメートル膜やナノメートル膜)の形態において、構成されている。
【0024】
かくして、本実施形態のマイクロ・ナノパターン構造体にあっては、内側部分が多数の微細な孔部14を有する格子部18とされた基板10上に、かかる基板10の孔部14に対応した微細な孔部22と、格子部18に対応した格子状の接続部20とからなる超微細パターン12が一体的に積層形成されてなる構造を有し、また、そのような超微細パターン12が、結晶粒が連続した多結晶フィルムの形態をもって、構成されているのである。
【0025】
ところで、このような構造を有するマイクロ・ナノパターン構造体は、例えば、以下のようにして、製造されることとなる。
【0026】
すなわち、先ず、図3に示されるように、基板10上に、目的とするマイクロ・ナノパターン構造体の超微細パターン12を与えるマスク24が配置されるのであるが、ここで用いられる基板10には、各種の固体材料を用いることが出来る。具体的には、結晶基板や非晶質基板を問わず、種々の固体材料からなる基板10を用いることが出来、例えば、金属基板、非金属基板、半導体基板、化合物基板、有機材料基板等を、円形のフィルム形態において、使用することが出来る。
【0027】
一方、マスク24は、超微細パターン12の接続部20を与える超微粒子の形成原料となるターゲット材にて、構成されている。このマスク24を構成するターゲット材の材質としては、Pt、Au、Cu、Al等の各種単体金属や合金、Si等の半導体、金属酸化物、金属塩化物、金属フッ化物、金属ほう化物等の化合物、高分子材料など、種々の固体材料を用いることが出来るが、それからの構成原子又は構成分子の離脱性等を考慮して、目的とするマイクロ・ナノパターン構造体の超微細パターン12を与え得る固体材料が、適宜に選択される。
【0028】
また、そのようなターゲット材からなるマスク24は、図3及び図4に示されるように、全体として、基板10に対応した円形の薄板乃至はフィルム等からなっている。そして、その内側部分には、基板10を部分的に貫通する細孔26が多数設けられており、更に、それら各細孔26は、略矩形状を呈し、マスク24の内側部分において、縦横に並んで位置するように配置されている。これによって、マスク24の内側部分が、多数の細孔26と、それら多数の細孔26同士の間の部分からなる格子状形態を呈するパターン形成部27とにて、構成されている。
【0029】
また、かかるマスク24にあっては、多数の細孔26のそれぞれにおける内壁28、換言すれば、パターン形成部27の側壁に対して、そこから、その構成原子又は構成分子からなる超微粒子を離脱させるための高エネルギービーム(30)が、基板10の板面と平行な水平面に対して所定の入射角:θをもって、上方斜め方向から照射せしめられるようになっている(図5参照)。つまり、このマスク24においては、各細孔26の内壁28が、超微細パターン12の接続部16を与える超微粒子の形成材料、換言すれば、ターゲット材料の構成原子や構成分子の供給面とされているのである。
【0030】
なお、このように、マスク24においては、内側部分に設けられる各細孔26の内壁28が、高エネルギービーム(30)の照射により、ターゲット材料の構成原子や構成分子からなる超微粒子を供給する供給面とされており、また、後述する如く、マスク24の細孔26を透過した高エネルギービーム(30)の基板10への照射によって、基板10に対して、上述の如きマスク24に設けられた細孔26に対応した微細な孔部14が形成される(図5参照)。それ故、ここで用いられるマスク24の厚さや、各細孔26の形状や形成位置等は、各細孔26の内壁28から供給された超微粒子によって基板10上に形成される超微細パターン12の形状や形成位置、高エネルギービーム(30)の入射角:θ、或いは基板10に形成される微細な孔部14の形状や形成位置等を考慮して、適宜に設定されることとなる。因みに、このマスク24に対する細孔26の形成に際しては、例えば、マスク24を与える目的材料からなる薄板乃至はフィルム等に対して、電子ビーム加工、エッチング等の化学的加工方法や電気化学的加工方法が適用されたり、或いはレーザービーム加工等が施されたりされる。
【0031】
そして、ここでは、特に、マスク24の外周側部分に、下方に突出する突部32が、一体的に設けられている。この突部32は、マスク24の厚さよりも十分に小さな、極めて低い高さを有している。
【0032】
かくして、本操作では、図3に示されるように、マスク24の外周側部分に設けられた突部32が、基板10の外周側部分の上面上に接触させられて、位置せしめられることにより、マスク24のパターン形成部27の裏面(下面)と、基板10の内側部分の表面(上面)との間に、突部32の高さに応じた、極めて小さな高さを有する微細な空間34が形成された状態で、マスク24が、基板10上に積層配置せしめられることとなるのである。
【0033】
そして、マスク14が、基板10上に、微細な空間34を隔てて配置されたら、図5の(a)に示されるように、マスク24における細孔26の内壁28に対して、高エネルギービーム30が斜め上方の方向から照射される。これによって、マスク24を構成するターゲット材の構成原子又は構成分子からなる超微粒子36が、細孔26の内壁28から離脱し、マスク24のパターン形成部27の裏面と基板10の表面との間の微細な空間34に入り込んで、マスク24のパターン形成部27の裏面に対応した基板10部分上に付着せしめられる。
【0034】
引き続き、かかる高エネルギービーム30の照射が一定時間継続され、マスク(ターゲット材)24から連続して、構成原子や構成分子からなる超微粒子36が離脱せしめられることにより、図5の(b)に示されるように、マスク24のパターン形成部27の裏面に対応した基板10部分上に、目的とする超微細パターン12の接続部20が、超微粒子36が相互に連結された配列形態において、パターン形成部27に対応した格子形状を有するマイクロ・ナノパターンとして、形成される。
【0035】
そして、このとき、高エネルギービーム30が、マスク24の各細孔26を通じて、それら各細孔26に対応する基板10部分に直接に照射されることによって、そのような各細孔26に対応する基板10部分が、高エネルギービーム30にて、各細孔26に対応した形状をもって効果的に穿孔される。そして、その結果、基板10の内側部分に、各細孔26に対応した略矩形状を呈する微細な孔部14が、縦横に並んで位置するように多数設けられ、また、それら多数の孔部14の間に位置する基板10部分、つまり、マスク24のパターン形成部27の裏面に対応した基板10部分が、パターン形成部27に対応した格子形状を呈する格子部18(帯状体16)とされる。
【0036】
なお、本操作で、マスク24や基板10に照射される高エネルギービーム30の照射角度(入射角):θは、高エネルギービーム30が、マスク24における細孔26の内壁28や、マスク24の各細孔26に対応する基板10部分に直接に照射可能で、且つかかる基板10部分を穿孔し得るエネルギーを確保可能な角度であれば、特に限定されるものではなく、マスク24の細孔26の大きさや、該細孔26の内壁28の高さ(マスク24の厚さ)に応じて、適宜に決定されるところである。つまり、高エネルギービーム30の照射角度(入射角):θは、望ましくは0°を越え、且つ90°未満とされるのであり、具体的には、例えば、マスク24の矩形状の細孔26の一辺の大きさが7.5μm程度である場合には、高エネルギービーム30の照射角度:θが、好ましくは23~40°程度とされるのである。
【0037】
そして、このようにして、高エネルギービーム30が、マスク24における細孔26の内壁28や、マスク24の各細孔26に対応する基板10部分に対して直接に照射されることよって、超微粒子36が相互に連結された配列形態と所望の形状とを有する接合部20が、基板10上に確実に形成され得ると共に、マスク24の各細孔26に対応する基板10部分が確実に穿孔されて、目的とする形状を備えた微細な孔部22が、安定的に形成され得ることとなる。また、例えば、マスク24と基板10とが、適当な治具にて、傾斜せしめられた状態で配置される場合には、高エネルギービーム30の照射角度(入射角):θの好適な上限値(90°未満)と下限値(0°超)に対して、それらマスク24と基板10の水平面に対する傾斜角度が、適宜に増減せしめられて、好適範囲が設定されることは、勿論である。
【0038】
かくして、本操作において、基板10における微細な孔部14の形成位置に、マスク24の細孔26に対応した微細な孔部22が設けられると共に、基板10における格子部18上に、マスク24のパターン形成部27に対応した接続部20が、結晶粒が連続した多結晶フィルムの形態において形成される。即ち、かかる基板10上に、マスク24が有する細孔26に対応した微細な孔部22と、マスク24から生じた超微粒子36によって形成された接合部20とからなる連続的な超微細パターン12が、マスク24のパターン形成部27に対応した格子形状をもって形成される。そして、その後、マスク24が超微細パターン12上から取り除かれて、目的とするマイクロ・ナノパターン構造体が得られることとなるのである。
【0039】
なお、ここで形成される超微細パターン12の接続部20の高さ(厚さ)を決定する一因として、例えば、マスク24のパターン形成部27の裏面と、基板10の内側部分の表面との間に形成される前記微細な空間34の高さ、つまり、それらマスク24のパターン形成部27の裏面と基板10の内側部分の表面との間の距離が挙げられるが、かかる距離は10nm~2μm程度とされていることが望ましく、より望ましくは50~500nmである。
【0040】
何故なら、マスク24のパターン形成部27の裏面と基板10の内側部分の表面との間の距離が10nmを下回る場合には、マスク24のパターン形成部27の裏面と、基板10の内側部分の表面との間に形成される微細な空間34の高さが小さ過ぎるため、マスク24から離脱した超微粒子(ナノ粒子)の微細な空間34への侵入が困難となって、マスク24のパターン形成部27の裏面に対応した基板10部分上に、目的とする超微細パターン12の接続部20が形成され難くなるからである。また、かかる距離が2μmを越える場合には、今度は前記微細な空間34の高さが大き過ぎるため、マスク24の各細孔26に対応した基板10部分に対する高エネルギービーム30の直接照射が困難となって、そのような高エネルギービーム30の直接照射により、該基板10部分を穿孔することが難しくなり、その結果、微細な孔部22を有する超微細パターン12の形成が困難となってしまうからである。
【0041】
このように、マスク24のパターン形成部27の裏面と基板10の内側部分の表面との間の距離を、上述の如き好適範囲内の値とすることにより、マスク24から連続的に供給されて、マスク24のパターン形成部27の裏面に対応した基板10部分上に付着せしめられる超微粒子36同士が連結されてなる接合部20と微細な孔部22とからなる超微細パターン12が、かかる距離に応じた厚さのマイクロ・ナノメートル膜の形態において、より確実に形成されることとなる。そして、そのような超微細パターン12をより確実に得るために、マスク24のパターン形成部27の裏面と基板10の内側部分の表面との間の距離が、50~500nmとされていることが、より望ましいのである。
【0042】
また、超微細パターン12の接続部20の厚さの他、その幅、或いは超微細パターン12のそれそれの孔部22における各辺の長さ等は、マスク24のパターン形成部27における細孔26同士の間の部分の幅、或いはマスク24の細孔26の各辺の長さ等に応じて、それぞれ決定されるところである。即ち、マスク24のパターン形成部27や各細孔26の各種のサイズを適宜に変更することによって、超微細パターン12の接続部20や孔部22のサイズが、例えば数nmから数百μm程度の大きさにおいて、比較的に自由に設計され得るのである。
【0043】
ところで、本操作でマスク24に照射せしめられる高エネルギービーム30は、特に限定されるものではなく、マスク(ターゲット材)24から構成原子や構成分子を離脱させ得るエネルギーを有しておればよく、例えばアルゴン(Ar)イオンビームのようなイオンビームの他、このイオンビームと同等の衝撃とスパッタ効率をマスク24に与えることの出来る電子線、レーザービーム、X線、γ線、中性子線、粒子ビーム等を挙げることが出来る。
【0044】
また、かかる高エネルギービーム30として、Arイオンビームの如きイオンビームを用いる場合にあっては、加速電圧としては、3~10kV程度、ビーム電流としては、0.5~1.5mA程度が採用され、更に、照射時間としては、少なくとも1秒以上が、採用されることとなる。中でも、イオンビームの照射時間が長くなればなる程、超微細パターン12の粒子の大きさは大きくなるのであり、また、高さ(膜厚)も高く(厚く)なるのであって、それ故に、本発明にあっては、有利には300秒以上、特に400秒以上の時間の間、イオンビームが照射せしめられ、これにより、マスク24のパターン形成部27の裏面に対応する基板10の格子部18(帯状体16)上に、結晶粒の大きな粒子にて構成される超微細パターン12が、マスク24のパターン形成部27と基板10の格子部18との間の距離に対応する高さを限度として、効果的に形成されることとなる。また、好ましくは、そのようなイオンビームの照射時間の調整によって、超微細パターン12が、基板10の格子部18における各帯状体16と同一の幅において形成される。
【0045】
なお、この高エネルギービーム30として、イオンビームを用いる場合において、加速電圧やビーム電流が小さ過ぎると、マスク24から構成原子や構成分子を効率よく離脱させることが出来ず、一方、加速電圧やビーム電流が大き過ぎると、マスク24の損傷のみが増大して、構成原子や構成分子の離脱状態を制御することが困難となる。また、高エネルギービーム30として、電子線、レーザービーム、X線、γ線、中性子線、粒子ビーム等を用いる場合においても同様である。更に、高エネルギービーム30の照射雰囲気は、使用ビームに応じて設定すればよく、例えば、真空雰囲気、アルゴン雰囲気のような不活性雰囲気等が挙げられ、また、化合物からなる超微粒子を形成する場合には、酸素含有雰囲気や窒素含有雰囲気等を用いることも可能である。
【0046】
また、本発明にあっては、かかる超微細パターン12の形成に際して、その配設形態は、高エネルギービーム30の加速電圧、照射時間、照射角度によって制御され、具体的には加速電圧を変えることにより、パターンの線幅と位置が制御され、また、照射時間によって粒子の大きさや高さが制御され、更に、照射角度によってパターンの線の位置と幅が制御されることとなる。特に、超微細パターン12における結晶粒径は、IC等の配線パターンがマイクロ・ナノメーター化することにより、大きな影響をもたらし、その一つとして、粒界が多いとエレクトロマイグレーションが起こり易くなって、断線の原因ともなるところから、粗粒であることが望まれているのであり、また、他の影響とするところは、機械的強度であって、微細結晶粒ほど、強度が上昇するとされているのである。従って、結晶粒径は電気的・機械的性質に大きく影響するところから、本発明に従って、結晶粒径を作り分けることは有効である。
【0047】
なお、上述の如き高エネルギービーム30の照射時の基板10は、室温に保持された状態であってもよく、また、それが加熱された状態であっても、何等差し支えない。この基板10の温度は、得られる超微粒子36、ひいては超微細パターン12の結晶状態に影響を及ぼし、基板10を室温状態とした場合には、結晶性の低い或いは非晶質状態の超微粒子36が得られ易くなる。また、基板10を加熱した場合には、その温度により、超微粒子36の結晶状態を制御することが出来る。また、この超微粒子36の結晶状態は、超微粒子形成後の基板加熱や電子線照射等によっても制御することが出来る。更に、そのような加熱や電子線照射によって、形成された超微粒子36同士を融合させ、連続体とすることも可能である。
【0048】
そして、前記した高エネルギービーム30を照射する際に、基板10は、一般に、回転させることなく、位置固定に保持されることとなるが、また必要に応じて、回転させることも可能である。これによって、マスク24の各細孔26の全ての内壁28に対して、高エネルギービーム30が十分に照射され、以て、かかる内壁28から超微粒子36が、より十分に離脱せしめられて、そのような超微粒子36からなる超微細パターン12の接合部16が、更に効率的に形成されることとなる。
【0049】
また、かかる高エネルギービーム30の照射に際しては、目的とする超微細パターン12を得るべく、マスク24に設けた細孔26の内壁28に沿って、高エネルギービーム30を、順次、照射するように操作することも可能である。
【0050】
ところで、本発明にあっては、上述の如き超微細パターン12の形成操作を、マスク24を取り変えて、繰り返し行なうことによって、3次元構造のマイクロ・ナノパターン膜を有利に形成することが可能である。具体的には、一つのマスクを用いて、高エネルギービームの斜め照射を行ない、第一の超微細パターンを基板上に形成した後、かかる第一の超微細パターンの上に、第二のマスクを重ねて、更に、高エネルギービームの斜め照射を行ない、第二の超微細パターンを、基板上に形成された第一の超微細パターンの上に形成せしめることにより、二つのパターンが重畳されてなる超微細複合パターンが形成され得るのであり、更に、第三、第四のマスクを用いて、高エネルギービームの斜め照射を繰り返すことにより、更に複雑な超微細複合パターンが形成され得るのである。
【0051】
また、図1及び図2に例示の具体例とは異なり、基板10とマスク24とを相対的に移動可能と為して、高エネルギービーム30の照射時において、それらの少なくとも何れか一方を移動させるようにすれば、基板10の表面に、任意のパターニングにて、超微細パターン12を形成することが出来るのであり、更に、基板10を円柱形状や円筒形状の如き3次元形状の物体として、それを軸心周りに回転せしめるようにしても、超微細パターン12を、任意のパターニングにおいて、それら3次元形状の物体表面に形成することも可能である。
【0052】
そして、このようにして得られた本発明に従うマイクロ・ナノパターン構造体は、前述せる如く、マスク24が有する細孔26に対応した、基板10をも貫通する微細な貫通孔を備えた連続的な超微細パターン12が、マスク24のパターン形成部27に対応した格子形状をもって形成されてなる構造を有しており、従って、例えばふ分子、原子、細菌等のふるいや光フィルタ、電磁波フィルタ、或いは光シャッタ等、微細な貫通孔を備えた連続的な超微細パターンを利用する超微細デバイスや超微細機能材料、超微細配線等に用いられて、その実現や高精細化に大いに寄与せしめ得るのである。
【0053】
なお、前記実施形態では、マイクロ・ナノパターン構造体が、基板10上に、超微細パターン12が一体的に積層されてなる複層構造をもって構成されていたが、例えば、超微細パターン12から基板10を取り除いて、この超微細パターン12の単体のみにて、マイクロ・ナノパターン構造体を構成することも出来る。これによって、基板10と超微細パターン12とからなるものでは利用され得なかった超微細デバイスや超微細機能材料、超微細配線等に対して、有利に使用され得ることとなる。
【0054】
また、前記実施形態で用いられるマスク24には、その内側部分に、格子形状を呈するパターン形成部27が設けられていたが、このパターン形成部27の形状や形成位置等は、目的とするマイクロ・ナノパターン構造体における超微細パターン12の形状や形成位置等に応じて、適宜に変更され得るものであることは、勿論である。
【0055】
また、マスク24にパターン形成部27を与える細孔26は、マスク24を貫通する孔形態を呈するものであればよく、例えば、スリット等のような細隙形態を呈するものであっても、何等差し支えないのである。即ち、マスク24に形成される細孔26の形状や形成位置、形成個数等は、前記実施形態に例示されるものに、決して限定されるものではないのである。
【実施例】
【0056】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが理解されるべきである。
【0057】
<実施例1>
先ず、基板として、アモルファス炭素フィルム(厚さ:15nm)を準備する一方、ターゲット材となるマスクとして、銅製ディスク(直径:3mm、厚さ:3.2μm)を準備した。また、ここで準備されたマスクには、図4に示される如き構造を有するもの、即ち、一辺が7.5μmの正矩形状を呈する多数の貫通孔が、細孔として、縦横に並ぶように、電子ビーム加工で形成されると共に、それらの細孔同士の間に位置する部分にて、幅が5μmの帯体が形成されて、それらの帯体にて、格子状のパターン形成部が設けられてなり、更に、一方の面に、高さが200nmの突部が一体形成されてなるものを使用した。
【0058】
そして、図3及び図5に示されるマイクロ・ナノパターン構造体の製造工程に従い、準備された基板上に、同じく準備されたマスクを載置した。このとき、マスクの一方の面に一体形成された突部の先端を、基板の表面に接触させることで、基板とマスクとの間に、突部の高さに応じた200nm程度の微細な空間が形成されるようにした。その後、この基板とマスクとを所定の支持部材上に配置した状態で、イオンミリング装置(gatan DuoMill)の照射室内の室温ステージ上に、セットした。
【0059】
次いで、かかる基板とマスクとを位置固定に保持しつつ、Arイオンビームを、マスクにおける細孔の内壁に対して、加速電圧:5kV、照射時間:300秒、Arイオンビームの水平方向に対する照射角度:θを30°として、Arイオンビーム照射を行なった。その結果、基板上に、超微細パターンが形成せしめられたマイクロ・ナノパターン構造体(実施例1)を得た。なお、イオンミリング装置の照射室内は、Arガスにて7.3×10-3Paの圧力下に満たされた。また、そこでは、Arガスの流速は、2.7×10-83/秒であった。
【0060】
その後、かくして得られた実施例1のマイクロ・ナノパターン構造体をイオンミリング装置から取り出して、マスクを除去した後、かかるマイクロ・ナノパターン構造体を観察のためのTEM(透過型電子顕微鏡:JEOL社製JEM-2010)装置に移し、このTEM装置にて、基板上に形成された超微細パターンのマイクロ・ナノ構造を観察した。この観察の際に撮影した、互いに異なる拡大率の顕微鏡写真を図6及び図7に示した。
【0061】
図6及び図7から明らかなように、本発明手法に従って得られた実施例1のマイクロ・ナノパターン構造体にあっては、マスクの格子状のパターン形成部に対応した格子形状をもって、超微粒子が相互に連結されてなるマイクロ・ナノメートル膜の形態において形成された接合部と、マスクの細孔に対応する基板部分が穿孔されて形成された微細な孔部とからなる超微細パターンが、基板上に形成されて、構成されていることが認められた。なお、かかる実施例1のマイクロ・ナノパターン構造体では、超微細パターンの各孔部における、Arイオンビームの照射方向に延びる辺部の長さが9.5μmで、それと隣り合う辺部の長さが8.5μmとなっていた。また、接続部における、Arイオンビームの照射方向に隣り合う孔部同士の間の部分の幅が3μmで、Arイオンビームの照射方向に直角な方向に隣り合う孔部同士の間の部分の幅が4μmとなっており、更に、かかる接続部の厚さは20~100nmであった。
【0062】
<実施例2>
先ず、基板として、実施例1で用いられたものと同じアモルファス炭素フィルムを準備する一方、ターゲット材となるマスクとして、銅製ディスク(直径:3mm、厚さ:0.5μm)を準備した。また、ここで準備されたマスクには、直径が300nmの円形状を呈する多数の貫通孔からなる細孔が、互いに50nmの間隔を隔てて縦横に並ぶように、電子ビーム加工で形成されて、それらの細孔同士の間に位置する部分にてパターン形成部が設けられてなり、更に、一方の面に、高さが50nmの突部が一体形成されてなるものを使用した。
【0063】
そして、実施例1と同様にして、基板上に、マスクを、突部の高さに応じた50nm程度の微細な空間が形成されるように載置した後、それら基板とマスクとを所定の支持部材上に配置した状態で、イオンミリング装置(gatan DuoMill)の照射室内の室温ステージ上に、セットし、その後、Arイオンビームを、マスクにおける細孔の内壁に対して、Arイオンビームの水平方向に対する照射角度:θを70°とした以外は実施例1と同様な条件で照射した。
【0064】
かくして、基板上に、超微細パターンが形成せしめられたマイクロ・ナノパターン構造体(実施例2)を得た。その後、この得られた実施例2のマイクロ・ナノパターン構造体をイオンミリング装置から取り出して、マスクを除去した後、かかるマイクロ・ナノパターン構造体を観察のためのTEM(透過型電子顕微鏡:JEOL社製JEM-2010)装置に移し、このTEM装置にて、基板上に形成された超微細パターンのマイクロ・ナノ構造を観察した。
【0065】
その結果、本発明手法に従って得られた実施例2のマイクロ・ナノパターン構造体にあっては、図示されてはいないものの、マスクのパターン形成部に対応した形状をもって、超微粒子が相互に連結されてなるマイクロ・ナノメートル膜の形態において形成された接合部と、マスクの細孔に対応する基板部分が穿孔されて形成された微細な円形の孔部とからなる超微細パターンが、基板上に形成されて、構成されていることが認められた。なお、かかる実施例2のマイクロ・ナノパターン構造体では、超微細パターンの各孔部の直径が310nmで、超微細パターン12における隣り合う孔部同士の間に位置する接合部の幅が40nmとなっていた。また、かかる接続部の厚さは40~100nmであった。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に従うマイクロ・ナノパターン構造体の一例を示す正面説明図である。
【図2】図1におけるII-II断面説明図である。
【図3】本発明手法に従ってマイクロ・ナノパターン構造体を製造する工程の一例を説明するための図であって、基板上に、マスクを載置した状態を示している。
【図4】本発明手法に従ってマイクロ・ナノパターン構造体を製造する際に用いられるマスクの横断面説明図であって、図3のIV-IV断面に相当する図である。
【図5】本発明手法に従ってマイクロ・ナノパターン構造体を製造する工程の図3に続く工程を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明手法に従って製造されたマイクロ・ナノパターン構造体における基板上の超微細パターンの表面を撮影した顕微鏡写真である。
【図7】図6に示されたマイクロ・ナノパターン構造体における基板上の超微細パターンの表面を、更に拡大して撮影した顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0067】
10 基板 12 超微細パターン
14 孔部 18 格子部
20 接続部 22 孔部
24 マスク 26 細孔
27 パターン形成部 30 高エネルギービーム
34 空間 36 超微粒子
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6