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明細書 :導電性セラミックス製品の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4572290号 (P4572290)
公開番号 特開2005-289695 (P2005-289695A)
登録日 平成22年8月27日(2010.8.27)
発行日 平成22年11月4日(2010.11.4)
公開日 平成17年10月20日(2005.10.20)
発明の名称または考案の名称 導電性セラミックス製品の製造方法
国際特許分類 C04B  35/00        (2006.01)
C04B  35/10        (2006.01)
H05K   9/00        (2006.01)
FI C04B 35/00 J
C04B 35/10 Z
H05K 9/00 M
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2004-104792 (P2004-104792)
出願日 平成16年3月31日(2004.3.31)
審査請求日 平成19年3月23日(2007.3.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】高橋 実
【氏名】藤 正督
【氏名】堀田 禎
【氏名】藤本 恭一
【氏名】出原 清二
【氏名】田口 義高
【氏名】森 俊治
個別代理人の代理人 【識別番号】100078190、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 三千雄
【識別番号】100115174、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 正博
審査官 【審査官】押見 幸雄
参考文献・文献 特開2001-199764(JP,A)
特開2003-095731(JP,A)
特表平11-503709(JP,A)
調査した分野 C04B 35/00-35/22
H05K 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
セラミックス原料に対して炭素原子を分子中に有する重合性物質の少なくとも1種を、かかる重合性物質全体の炭素量がセラミックス原料の100質量部に対して0.1~2.01質量部となる割合において配合してなる組成物を、成形型内に供給し、該成形型内において前記重合性物質を重合せしめて、該重合性物質の重合体である高分子化合物が均一に存在せしめられてなる成形体を形成した後、該成形体を還元焼成することにより、得られるセラミックス焼結体を構成するセラミックス粒子間に、前記高分子化合物の還元焼成物よりなる導電路を形成せしめることを特徴とする体積抵抗率が1.0×108 Ω・cmより小さい導電性セラミックス製品の製造方法。
【請求項2】
前記重合性物質が、ビニル系不飽和単量体であることを特徴とする請求項1に記載の導電性セラミックス製品の製造方法。
【請求項3】
前記重合性物質として、ビニル系不飽和単量体と共に、架橋性単量体が用いられることを特徴とする請求項1に記載の導電性セラミックス製品の製造方法。
【請求項4】
前記成形型内に供給される組成物が、水スラリーの形態において調製される一方、前記重合性物質が親水性乃至は水溶性であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の導電性セラミックス製品の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性セラミックス製品の製造方法に係り、特に、電波吸収体や静電気防止材等として好適に用いられ得る導電性セラミックス製品の製造方法に関するものである。

【背景技術】
【0002】
セラミックスは、一般に、優れた耐熱性、耐摩耗性、軽量性等を有しているところから、古くより、様々な機械工具や機械要素等における工業材料として利用されているが、近年では、特に電気・電子分野において、比較的高い電気伝導性を示す導電性セラミックスの需要が高まってきている。ここで、そのような導電性セラミックスとしては、半導体である炭化珪素セラミックスや、イオン導電性を示すジルコニア系セラミックス(ジルコニア固体電解質)等が広く知られているが、従来より、アルミナ等のセラミックス材料に様々な導電性材料(化合物)を添加することにより導電性を付与した導電性セラミックスやその製品についても、各種提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平1-243388号公報)においては、窒化珪素系セラミックスに、第一の導電性化合物たる0.1~50vol%のSiCと、第二の導電性化合物として、10~70vol%のIVa、Va及びVIa族の遷移金属元素の炭化物等の1種又は2種以上の化合物を含む導電性セラミックス焼結体からなることを特徴とするセラミックスヒーターが提案されており、また、特許文献2(特開平5-85839号公報)においては、低導電性セラミックスと、5~30体積%の高導電性セラミックスと、5~45体積%の気相成長炭素繊維とを焼結させてなることを特徴とする導電性セラミックスが、提案されている。更に、特許文献3(特開2001-181038号公報)においては、SiO2 、Al23、MgO、SrO及びCaOを含むガラスに対して、導電性付与材として、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化錫、酸化ニオブ、酸化ニッケル、酸化コバルト、炭化チタン及び窒化チタンの群から選ばれる少なくとも1種を、20~80重量%の割合で含有してなる導電性セラミックスが、提案されている。
【0004】
しかしながら、このような従来の導電性セラミックスにおいて、導電性の向上を目的として添加せしめられる導電性材料(化合物)は、一般に密度が大きいものが多く、また、導電性の向上を図るためには、セラミックス材料に対して一定割合以上の導電性材料を添加する必要があったため、導電性材料が添加された従来の導電性セラミックスにあっては、軽量であることが必要とされる小型電子部品の材料として利用することが困難なものが多かった。
【0005】
また、上述の如き導電性セラミックスは、セラミックス原料に各種導電性材料(化合物)を配合してなる組成物を焼成することにより、その焼結体として得られるものであるが、例えば、導電性材料として炭素繊維を用いた場合にあっては、その焼成の際に、組成物中においてセラミックス粒子の焼結と共に導電性材料(炭素繊維)が配向し、その結果、得られる焼結体における電気的性質(体積抵抗率)が測定する方向により異なるという、いわゆる異方性を示す恐れがあった。
【0006】
さらに、近年、多様な電子部品、機能部品等の開発が要求されているところ、それらに用いられる工業材料という観点からも、従来にはない新規な組成よりなる導電性セラミックス製品の開発が、望まれているのである。
【0007】

【特許文献1】特開平1-243388号公報
【特許文献2】特開平5-85839号公報
【特許文献3】特開2001-181038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、軽量で、且つ電気的性質において等方性を有する導電性セラミックス製品を、有利に製造し得る方法を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明は、上述せる如き課題を解決するために、セラミックス原料に対して炭素原子を分子中に有する重合性物質の少なくとも1種を配合してなる組成物を、成形型内に供給し、該成形型内において前記重合性物質を重合せしめて、該重合性物質の重合体である高分子化合物が均一に存在せしめられてなる成形体を形成した後、該成形体を還元焼成することにより、得られるセラミックス焼結体を構成するセラミックス粒子間に、前記高分子化合物の還元焼成物よりなる導電路を形成せしめることを特徴とする導電性セラミックス製品の製造方法を、その要旨とするものである。

【0012】
なお、このような導電性セラミックス製品の製造方法においては、前記重合性物質として、有利にはビニル系不飽和単量体が用いられ、更に有利には、ビニル系不飽和単量体と共に架橋性単量体が用いられることとなる。
【0013】
さらに、本発明に従う導電性セラミックス製品の製造方法においては、前記成形型内に供給される組成物が、水スラリーの形態において調製される一方、前記重合性物質として、親水性乃至は水溶性の物質が用いられるのである。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明に従って得られる導電性セラミックス製品にあっては、セラミックス焼結体を構成するセラミックス粒子間に形成されている導電路が、炭素原子を有する高分子化合物の還元焼成物にて構成されているところから、従来の、密度の大きな導電性材料を用いた導電性セラミックス(製品)と比較して、比較的軽量な物となっているのである。

【0015】
また、本発明の導電性セラミックス製品の製造方法にあっては、重合性物質の重合体である高分子化合物が均一に存在せしめられてなる成形体を還元焼成するものであるところから、得られるセラミックス焼結体を構成するセラミックス粒子間においては、前記高分子化合物の還元焼成物よりなる導電路が、均一に形成せしめられることとなるのであり、以て、得られる導電性セラミックス製品においては、その導電性について、等方性を示すこととなるのである。
【0016】
このように、本発明に従って得られる導電性セラミックス製品は、比較的軽量であり、また、その電気的性質(体積抵抗率)においても等方性を示すものであるところから、例えば、電子機器のノイズ対策等に用いられる電波吸収体や各種デバイスにおける静電気防止材等として有利に用いられるのであり、更には、燃料電池における燃料極としての利用も期待されるものである。

【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ところで、本発明に従って導電性セラミックス製品を製造するに際しては、先ず、セラミックス原料と、炭素原子を分子中に有する重合性物質とを配合せしめてなる組成物が、準備されることとなる。

【0018】
ここで、本発明において用いられ得るセラミックス原料としては、従来より公知のセラミックスであれば、如何なるものであっても用いることが可能であり、具体的には、アルミナ系、ムライト系、ジルコニア系等の酸化物系セラミックスや、炭化ケイ素系、窒化ケイ素系、窒化アルミニウム系、窒化ホウ素系、グラファイト系等の非酸化物系セラミックス等を、用いることが出来る。それらの中でも、本発明においては、特にアルミナ系セラミックスが、有利に用いられることとなる。
【0019】
また、そのようなセラミックス原料を用いて組成物を調製する際には、一般に、かかるセラミックス原料の粉状物又は粒状物が用いられるのであり、その大きさ(平均粒径)は、0.1~10μm程度、好ましくは0.1~5μm程度、更に好ましくは0.1~1μm程度の大きさとされる。けだし、粉状物(粒状物)の平均粒径が大きすぎたり、或いは小さすぎたりすると、十分な強度を有する焼結体が得られない恐れがあるからである。
【0020】
一方、このような所定大きさのセラミックス原料と共に配合せしめられる、炭素原子を分子中に有する重合性物質(以下、単に重合性物質とも言う)としては、成形型内において重合せしめることが可能であって、かかる重合によって得られる重合体(高分子化合物)とセラミックス原料とが均一に存在してなる成形体を得ることが出来るものであれば、如何なる物質であっても用いることが可能である。
【0021】
具体的には、そのような重合性物質として、メタクリルアミド等のビニル系不飽和単量体や、混合することによりウレタン樹脂となるポリオール類及びイソシアネート化合物、更には、所定の硬化剤と併用することによって分子間架橋が進行するエポキシ樹脂等の、従来より、セラミックス製品を製造する際にセラミックス原料に配合されるバインダー(結合剤)等を例示することが出来るが、本発明においては、それらの中でも、特に、メタクリルアミド等のビニル系不飽和単量体が、有利に用いられる。なお、本明細書において、ビニル系不飽和単量体とは、化合物分子中の炭素-炭素二重結合が開裂付加することによって重合体(ビニル系樹脂)を形成し得るすべての化合物を意味し、ビニル化合物、ビニリデン化合物及びビニレン化合物等を包含するものである。
【0022】
また、重合性物質として、上述の如きビニル系不飽和単量体を用いる場合にあっては、かかるビニル系不飽和単量体と共に、架橋性単量体を用いることが好ましい。このように、ビニル系不飽和単量体と架橋性単量体とを併用して用いることにより、それら単量体を成形型内において重合せしめることにより得られる成形体において、三次元網状構造を呈する高分子化合物を有利に形成せしめることが可能である。なお、そのような架橋性単量体としては、公知の2官能性又は多官能性の化合物の中から、用いられるビニル系不飽和単量体の種類に応じたものが適宜に選択されることとなるが、例えば、ビニル系不飽和単量体としてメタクリルアミドを用いた場合にあっては、N,N’-メチレンビスアクリルアミド等が有利に用いられる。
【0023】
なお、本発明に従って得られる導電性セラミックス製品にあっては、重合性物質の重合体(高分子化合物)が還元焼成されることにより生ずる生成物(還元焼成物)が、セラミックス焼結体中において導電路として機能するものであるため、重合性物質の配合割合が少ない組成物を用いると、かかる組成物の成形体を還元焼成して得られるセラミックス焼結体が充分な電気伝導性を発揮しない恐れがある。従って、充分な電気伝導性を発揮するセラミックス焼結体、具体的には、その体積抵抗率が1.0×108 Ω・cmより小さいセラミックス焼結体を製造するためには、セラミックス原料の100質量部に対する、重合性物質全体の炭素量(質量)の割合が、0.1質量部以上、好ましくは0.1~6質量部程度となるように、重合性物質の配合量が決定されることとなる。

【0024】
また、重合性物質を重合せしめる際には、一般に、かかる重合性物質に応じた重合開始剤や重合触媒等が用いられることとなる。かかる重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫化カリウム、有機過酸化物、過酸化水素化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物等を、また、重合触媒としては、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等を、それぞれ例示することが出来る。なお、そのような重合開始剤等にあっては、その種類や配合量等が、重合性物質の重合速度に影響を与えるため、成形型内において重合性物質を良好に重合せしめることが可能であれば、必ずしも、重合性物質と共に組成物中に配合する必要はない。例えば、組成物を調製した後、かかる組成物を所定の成形型内に供給する際に、同時に、重合開始剤及び重合触媒を成形型内に供給することも可能である。
【0025】
本発明においては、セラミックス原料に対して、上述の如き重合性物質のうちの少なくとも1種が配合されて、所定の組成物が調製されることとなるが、かかる組成物は、一般に、所定の媒体中にセラミックス原料及び重合性物質を添加し、混合することにより、セラミックス原料等が均一に分散されてなる水系又は非水系のスラリーの形態にて調製される。かかるセラミックス原料等が分散せしめられる媒体としては、水(蒸留水)、有機溶媒、或いはこれらの混合溶媒等の何れも使用することが出来るが、取扱いが容易である等の観点から、好ましくは水(蒸留水)が用いられ、水スラリーの形態にて調製される。
【0026】
また、そのようなスラリー状の組成物を調製するに際しては、媒体中に、セラミックス原料の粒状物(又は粉状物)を均一に分散せしめることを目的として、分散剤を用いることが好ましい。かかる分散剤としては、従来より公知の各種分散剤の中から、セラミックス原料や重合性物質等の種類に応じたものが、適宜に選択されて用いられるのであり、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム系分散剤(アニオン系分散剤)等が、用いられる。
【0027】
なお、本発明において用いられる組成物に対しては、上述したような成分以外にも、種々の目的の下に、様々な成分を配合することが可能である。具体的には、多孔質なセラミックス焼結体(導電性セラミックス製品)を製造する際には、気泡を含んだスラリー状の組成物を調製することが必要であるところ、組成物中において気泡を生成せしめるために、起泡剤を配合したり、或いは、スラリー状の組成物中にガスを導入することにより気泡を発生させる場合には、かかる気泡の発生を容易にする界面活性剤等、更には、導入した気泡を組成物中において安定に保持するための増粘剤や糊剤等を、配合することが出来る。ここで、起泡剤としては、タンパク質系起泡剤や界面活性剤系起泡剤等を、また、界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸や高級アルキルアミノ酸等を、更に、増粘剤や糊剤としては、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、サッカロース、糖蜜、キサンタンガム等を、それぞれ例示することが出来る。
【0028】
また、得られる導電性セラミックス製における強度の向上等を目的として、セラミックス製繊維材料や、金属製あるいはセラミックス製のチップ材料等を配合することや、更には、組成物に含まれるセラミックス原料の焼結を促進する微量の無機化合物等を配合することも、可能である。
【0029】
そのようにして調製された組成物にあっては、必要に応じて重合開始剤や重合触媒と共に、目的とする導電性セラミックス製品の形状に応じた成形型内に供給され、成形型ごと所定時間、所定温度の下に静置されることにより、かかる成形型内において、組成物中の重合性物質が重合せしめられる。
【0030】
ここにおいて、成形型内における重合性物質の重合は、重合性物質の種類、重合開始剤や重合触媒の有無等によって、その進行速度が異なるため、成形型内にて組成物が保持される時間及び温度は、それら様々な条件を総合的に考慮して、設定されることとなる。一般には、媒体として水を用いた水スラリー状の組成物の場合には、20℃以上、好ましくは25~80℃、より好ましくは25~35℃の温度が設定され、その設定された温度にて、10分以上、好ましくは20分~数時間、より好ましくは1~4時間の間、静置される。
【0031】
そして、重合性物質を含有する組成物が、成形型内にて所定時間、所定温度の下に静置されると、かかる成形型内においては、組成物に含まれる重合性物質の重合が効果的に、且つ、成形体全体において均一に進行することとなり、以て、所定時間経過後に脱型して得られる成形体にあっては、重合性物質の重合体である高分子化合物が均一に存在せしめられた構造を呈するのである。
【0032】
上述の如くして得られた成形体は、特にスラリー状の組成物を用いた場合、多量の水乃至は有機溶媒等を含有するものであるため、一般には、還元焼成される前に乾燥されることとなる。
【0033】
なお、かかる成形体を乾燥させる際の乾燥方法や各種条件(乾燥温度、乾燥時間等)については、成形体に含まれる各成分や揮発させる媒体(水、有機溶媒等)等に応じてたものが、適宜に選択されて、採用されることとなる。例えば、水スラリー状の組成物を用いた場合にあっては、25~30℃程度の温度に設定された乾燥器の室内に成形体を載置し、かかる室内の湿度(相対湿度:RH)が、5~15%RH/日程度の割合において低下するように調節しながら、室内の相対湿度が60%RH程度となるまで、数日間かけて乾燥させることが好ましい。
【0034】
そして、上述の如くして得られた成形体を、所定温度にて還元焼成することにより、導電性セラミックス製品が得られるのである。

【0035】
すなわち、セラミックス原料と、炭素原子を有する重合性物質の重合体である高分子化合物とが均一に存在せしめられてなる成形体を、還元焼成すると、かかる成形体に含まれるセラミックス原料からは、セラミックス粒子が生成する一方、高分子化合物からは、通常の空気(酸素)雰囲気下での焼成とは異なり、炭素原子を有する還元焼成物が生成する。かかる還元焼成物は、焼結体外へ飛散せず、焼結体内に残存し、生成したセラミックス粒子間に導電路を有利に形成せしめることとなり、以て、セラミックス焼結体として、優れた導電性を発揮する本発明に係る導電性セラミックス製品が製造されるのである。
【0036】
なお、そのような還元焼成の際に用いられ得る焼成炉としては、窒素雰囲気等の還元雰囲気下で成形体を焼成することが可能なものであれば、如何なるものであっても用いることが可能であり、例えば、黒鉛坩堝や、電気炉等の各種焼成炉等を用いることが可能である。
【0037】
また、本発明において、成形体の還元焼成を行なう際の各種条件(焼成温度、焼成時間、昇温速度等)は、用いられるセラミックス原料の種類等に応じて、適宜に設定されることとなる。例えば、セラミックス原料としてアルミナ粉末を用いた場合にあっては、焼成温度(最高温度)として1000~1600℃程度の温度が設定され、また、焼成時間(焼成温度において保持する時間)は、1~5時間程度とされる。
【0038】
このようにして得られた導電性セラミックス製品にあっては、優れた導電性を発揮するだけでなく、比較的軽量なものであり、また、その優れた導電性が等方性を示す等の特性をも、発揮するものである。

【実施例】
【0039】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0040】
先ず、セラミックス原料としてのアルミナ粉末(昭和電工株式会社製、易焼結性アルミナ、AL-160SG-4* 、平均粒径:0.6μm)と、重合性物質としてのメタクリルアミドと、架橋性単量体としてのN,N’-メチレンビスアクリルアミドと、分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム系分散剤(株式会社中京油脂製、セルナD305)と、蒸留水とを用いて、これらを下記表1に掲げる割合において配合し、3種類の水スラリー状の組成物(組成物A~C)を調製した。各組成物における炭素量の割合、具体的には、、アルミナ粉末100質量部に対する、メタクリルアミド及びN,N’-メチレンビスアクリルアミドに含まれる炭素量(質量)の割合についても、下記表1に併せて示す。なお、かかる組成物の調製は、先ず、蒸留水に、メタクリルアミドとN,N’-メチレンビスアクリルアミドを溶解せしめ、次いで、ポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を添加し、さらに、アルミナ粉末を加えた後、25℃に設定された恒温水槽中にて24時間、湿式ボールミル混合することにより行なった。
【0041】
【表1】
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【0042】
そのようにして準備された3種類の組成物を用いて、以下の実験を行なった。なお、以下の各実験においては、重合触媒として、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンを、また、重合開始剤として、過硫酸アンモニウム(ペルオキシ二硫酸アンモニウム)を、それぞれ用いた。
【0043】
実験例 1
組成物Aに対して、0.13gの重合開始剤及び0.13gの重合触媒を添加した後、かかる重合開始剤等が添加された組成物Aの適量を、円盤形状(直径5cm×厚さ1cm)の成形型、及び立方体形状(2cm×2cm×2cm)の成形型内に供給した。それら2種類の成形型を、室内(温度:25℃)において1.5時間静置することにより、組成物に含まれるメタクリルアミドとN,N’-メチレンビスアクリルアミドとを重合させた後、成形型から脱型することにより、円盤形状の成形体及び立方体形状の成形体を得た。
【0044】
得られた各成形体を恒湿乾燥器の室内に載置し、かかる室内の相対湿度が90%RHから60%RHとなるまで、1日当たり10%RHの割合にて低下せしめ、3日間かけて乾燥した。かかる乾燥の後、円盤形状の成形体については、黒鉛坩堝を用いて、1550℃の温度にて2時間、還元焼成することにより、セラミックス焼結体(試料1)を得た。また、立方体形状の成形体については、窒素雰囲気とされた小型電気炉を用いて、窒素ガスを導入しながら、1550℃の温度にて2時間、還元焼成し、セラミックス焼結体(試料2)を得た。このようにして得られた各セラミックス焼結体(試料1、2)について、嵩密度及び体積抵抗率を測定し、その結果を、下記表2に示す。なお、体積抵抗率の測定は、二端子法に従って実施した。
【0045】
実験例 2
組成物B、Cのそれぞれに対して、0.13gの重合開始剤及び0.13gの重合触媒を添加した後、かかる重合開始剤等が添加された各組成物の適量を、立方体形状(2cm×2cm×2cm)の成形型内にそれぞれ供給した。実験例1と同様の条件の下に、各成形型内において、組成物中のメタクリルアミドとN,N’-メチレンビスアクリルアミドとを重合させ、2種類の立方体形状の成形体を作製した後、実験例1と同様に、各成形体を乾燥させた。そして、かかる乾燥後の成形体を、窒素雰囲気とされた小型電気炉内において、窒素ガスを導入しながら、1550℃の温度にて2時間、還元焼成することにより、2種類のセラミックス焼結体(試料3、4)を得た。得られたセラミックス焼結体(試料3、4)のそれぞれについて、嵩密度及び体積抵抗率を測定し、その結果を、下記表2に示す。
【0046】
【表2】
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【0047】
かかる表2の結果からも明らかなように、本発明に係る導電性セラミックス製品の製造方法に従って作製されたセラミックス焼結体(試料1~4)にあっては、何れも、優れた導電性を示すことが確認された。また、各セラミックス焼結体(試料1~4)の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察したところ、何れのセラミックス焼結体も、比較的均一な大きさのセラミックス粒子にて構成されていることが、認められたのである。