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明細書 :生体吸収型治療診断装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4500997号 (P4500997)
公開番号 特開2005-348822 (P2005-348822A)
登録日 平成22年4月30日(2010.4.30)
発行日 平成22年7月14日(2010.7.14)
公開日 平成17年12月22日(2005.12.22)
発明の名称または考案の名称 生体吸収型治療診断装置
国際特許分類 A61B  17/00        (2006.01)
A61F   7/00        (2006.01)
A61F   7/08        (2006.01)
A61F   7/12        (2006.01)
FI A61B 17/00 320
A61F 7/00 320Z
A61F 7/08 331
A61F 7/12 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2004-170363 (P2004-170363)
出願日 平成16年6月8日(2004.6.8)
審査請求日 平成19年5月31日(2007.5.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】藤本 英雄
【氏名】春日 敏宏
【氏名】野上 正行
【氏名】坂口 正道
個別代理人の代理人 【識別番号】100078721、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 喜樹
審査官 【審査官】寺澤 忠司
参考文献・文献 特開平04-074125(JP,A)
特開2003-217339(JP,A)
特開2004-105722(JP,A)
特開2006-286656(JP,A)
調査した分野 A61B 17/00
A61F 7/00
A61F 7/08
A61F 7/12
特許請求の範囲 【請求項1】
リン酸マグネシウムハイドロゲル、またはリン酸カルシウムハイドロゲル、もしくはリン酸亜鉛ハイドロゲルを主体として形成された本体と、その本体の対向する部位に設置された電極とを有しており、
外周が、前記本体および電極より電気抵抗の大きい物質で覆われており、
充電機能および放電機能を有しているとともに、
注射器を利用して病原細胞に直接投与可能な大きさを有していることを特徴とする治療装置。
【請求項2】
電極がカーボンからなるものであることを特徴とする請求項1に記載の治療装置。
【請求項3】
カーボンからなる電極の設置部分以外の本体の外周が、ポリ乳酸および/またはポリグリコール酸によって被覆されていることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の治療装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
癌等の病原細胞を死滅させることが可能な小型の治療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌等の病原細胞の存在を起因とする病気を治療するための方法として、手術して病原細胞を取り除く外科的な療法の他に、放射線療法、温熱療法等が知られている。また、癌の治療薬としては、特許文献1の如きレチノイド等をはじめとして、多種多様な物質が開発されている。
【0003】

【特許文献1】特開平7-69893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、放射線療法や温熱療法においては、主に体外から患部に放射線を照射したり、体外から患部を加温したりするものであるため、体内深部の癌細胞を効果的に死滅させることができない。加えて、そのような放射線療法や温熱療法においては、体表付近の正常な組織に損傷を与えてしまう虞もある。一方、現在の癌の治療薬は、いずれも高い薬効があるとはいえず、副作用をもたらす虞のあるものも多い。
【0005】
本発明の目的は、上記従来の癌等の病原細胞の存在を起因とする病気の治療における問題点を解消し、病原細胞を効果的に死滅させることができる上、病原細胞以外の組織に損傷を与えず、副作用をもたらさない実用的な治療を可能とする治療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる本発明の内、請求項1に記載された発明は、リン酸マグネシウムハイドロゲル、またはリン酸カルシウムハイドロゲル、もしくはリン酸亜鉛ハイドロゲルを主体として形成された本体と、その本体の対向する部位に設置された電極とを有しており、外周が、前記本体および電極より電気抵抗の大きい物質で覆われており、充電機能および放電機能を有しているとともに、注射器を利用して病原細胞に直接投与可能な大きさ(たとえば、直径約50μmの微細な略球状)を有していることを特徴とする治療装置である。
【0007】
請求項2に記載された発明の構成は、請求項1に記載された発明において、電極がカーボンからなるものであることにある。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、カーボンからなる電極の設置部分以外の本体の外周を、ポリ乳酸および/またはポリグリコール酸によって被覆したことを特徴とするものである。なお、本発明のポリ乳酸としては、トウモロコシを発酵させた乳酸を原料としておりL-乳酸、D-乳酸、DL-乳酸等を構成単位に含むもの等を好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の治療装置は、充電機能および放電機能を有しているとともに、放電された電気を熱に変換することが可能であるため、本発明の治療装置を充電した上で、癌等の病原細胞に直接的に投与すれば、病原細胞内で発熱することにより、病原細胞以外の組織に損傷を与えず、副作用をもたらすこともなく、非常に効果的に病原細胞を死滅させることができる。また、生体に対する適合性に優れているため、発熱した後には、短期間の内に生体内に吸収される。また、主原料であるリン酸ゲルが、生体に対する適合性に優れており、発熱した後には、短期間の内に分解され、一部が生体内に吸収され、一部が排出されるため、生体に悪影響を及ぼすことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る治療装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
[リン酸塩ゲルの作製]
アイロンプレス急冷法によってZnO・Pガラスを作成し、そのZnO・Pガラスを直径10μm以下になるように細かく粉砕することによってガラス粉末を得た。しかる後、得られたガラス粉末とイオン交換水とを所定の容器内において等重量比で混合し、その容器をシーリングして3日間放置することによって、リン酸亜鉛ハイドロゲル(以下、ZPゲル)を作製した。
【0013】
[治療装置の作製]
得られたZPゲルを直径約50μmの微細な略球状に成形した。しかる後、その球状のZPゲルの外周の対向する2つの部位(球体の中心に対して対称な2つの部位)に、粉末状のカーボン約30重量部と澱粉糊約70重量部とを混合した混合組成物を、約10μmの厚みとなるように塗布した。しかる後、2箇所に塗布された混合組成物が露出した状態となるように、混合組成物の塗布部分以外のZPゲルを、ポリ乳酸約50重量部とポリグリコール酸約50重量部との混合組成物で被覆することによって治療装置を作製した。作製された治療装置を図1に示す。治療装置Mは、略球状のZPゲル1(以下、本体Bという)の対向する2つの位置に、カーボンと澱粉糊とからなるカーボン電極2,2が塗布された状態になっている。また、カーボン電極2,2を塗布した部分を除くZPゲル1(本体B)の外周が、絶縁体であるポリ乳酸とポリグリコール酸との混合組成物3によって被覆されている。
【0014】
[治療装置の機能]
得られた治療装置Mは、図2の如く、カーボン電極2,2に電圧(たとえば、1V)を所定の時間に亘って(たとえば、24時間)印可した場合に、キャパシタとして機能し、所定量の電気(約60mF/g)を蓄えることができる。
【0015】
そして、上記の如く所定量の電気を蓄えた治療装置Mの外周を、ZPゲル1やカーボン電極2,2より電気抵抗の大きい物質で覆った場合には、その物質の内部をZPゲル1から放電された電流が流れるため、その物質は、発熱体として機能する。そのように治療装置Mの外周を発熱体で覆う方法としては、たとえば、粉末状のカーボン約10重量部と澱粉糊約90重量部とを混合した混合組成物(すなわち、発熱体)の中に治療装置Mを浸漬させる方法等を採用することができる。なお、図3は、治療装置Mの外周を発熱体4で覆った状態を示したものである。
【0016】
[治療装置の使用方法]
治療装置Mを用いて、癌等の病原細胞の治療を行う場合には、治療装置Mに比べて十分に面積が大きい2枚の平行な電極の間に、無数(約1000個~数100,000個)の治療装置M,M・・を挟み込んだ状態で、電極に所定量の電圧を印可することによって、無数の治療装置M,M・・を充電する。しかる後に、速やかに、充電された治療装置M,M・・の周囲を上記したような発熱体4で被覆する。そして、そのように発熱体4で被覆された無数の治療装置M,M・・を、注射器等を利用して癌等の病原細胞に直接的に投与する。そのように投与した場合には、治療装置M,M・・は、病原細胞内で発熱するため、病原細胞を死滅させることが可能となる。
【0017】
[治療装置の効果]
治療装置Mは、上記の如く、リン酸塩ゲルを主体として形成された本体Bと、その本体Bの対向する部位に設置されたカーボン電極2,2とを有しており、充電機能および放電機能を有しているため、充電した後に発熱体4で被覆し、癌等の病原細胞に注射器等を利用して直接的に投与した場合に、病原細胞内で発熱するため、病原細胞を死滅させることができる。また、治療装置Mは、リン酸塩ゲル1、カーボンおよび澱粉糊からなるカーボン電極2,2、ポリ乳酸およびポリグリコールからなる絶縁体3、カーボンおよび澱粉糊からなる発熱体4を構成要素とするものであるので、生体に対する適合性に優れており、拒絶反応を引き起こすことなく短期間の内に生体内に吸収され、副作用を引き起こす心配がない。
【0018】
また、治療装置Mは、電極がカーボンからなるカーボン電極2,2であるため、非常に効率的に充電させることができる。
【0019】
さらに、治療装置Mは、カーボンからなる電極2,2の設置部分以外のリン酸塩ゲル1を、ポリ乳酸とポリグリコール酸とからなる絶縁体3によって被覆したものであるため、片方の電極から他方の電極へ電気がリークすることによって放電してしまう事態を効果的に防止することができる。
【0020】
加えて、治療装置Mは、外周が、リン酸塩ゲル1およびカーボン電極2,2より電気抵抗の大きい物質(すなわち、カーボン電極2,2よりカーボンの添加濃度が薄い澱粉糊)で覆われているため、発熱効率が良好であり、高い精度で病原細胞を死滅させることができる。
【0021】
(6)本発明の変更例の説明
なお、本発明の治療装置の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、リン酸塩ゲル、電極、絶縁体、発熱体等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【0022】
たとえば、リン酸塩ゲルは、リン酸亜鉛ゲルに限定されず、リン酸マグネシウムゲルやリン酸カルシウムゲルに変更することも可能である。なお、上記実施形態の如く、リン酸亜鉛ゲルを利用した場合には、充電機能が高いものとなるため、病原細胞を死滅させる機能が一層優れたものとなる。加えて、治療装置の形状は、必ずしも上記実施形態の如き球状に限定されず、必要に応じて楕球状等の別の形状に変更することができる。
【0023】
また、電極は、澱粉糊にカーボンを添加したものに限定されず、電気伝導性の良好なその他の物質を用いることも可能である。なお、澱粉糊にカーボンを添加して電極を作製する場合には、澱粉糊とカーボンとの混合比を適宜変更することができる。
【0024】
さらに、絶縁体も、ポリ乳酸とポリグリコール酸との混合組成物に限定されず、ポリ乳酸やポリグリコールを単独で用いることも可能であるし、リン酸塩ゲルやカーボン電極に比べて十分に抵抗値の大きいその他の物質を用いることも可能である。なお、ポリ乳酸とポリグリコール酸とを混合して絶縁体を作製する場合には、ポリ乳酸とポリグリコール酸との混合比を適宜変更することができる。加えて、発熱体も、上記実施形態の如きカーボンと澱粉糊との混合組成物に限定されず、リン酸塩ゲルおよび電極を構成する物質より抵抗の大きい他の物質に変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の治療装置は、上記の如く優れた機能を有するものであるから、癌等の病原細胞の存在を起因とした病気の治療に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】治療装置を示す説明図である。
【図2】治療装置を充電している状態を示す説明図である。
【図3】発熱体を被覆した治療装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
M・・治療装置
1・・リン酸ゲル
2・・電極(カーボンと澱粉糊との混合組成物)
3・・絶縁体(ポリ乳酸とポリグリコール酸との混合組成物)
4・・発熱体(カーボンと澱粉糊との混合組成物)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2