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明細書 :触覚情報伝達装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4482686号 (P4482686)
公開番号 特開2005-352258 (P2005-352258A)
登録日 平成22年4月2日(2010.4.2)
発行日 平成22年6月16日(2010.6.16)
公開日 平成17年12月22日(2005.12.22)
発明の名称または考案の名称 触覚情報伝達装置
国際特許分類 G09B  21/00        (2006.01)
G01C  21/00        (2006.01)
G06F   3/01        (2006.01)
G08G   1/005       (2006.01)
FI G09B 21/00 B
G01C 21/00 Z
G06F 3/01 310A
G08G 1/005
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2004-173998 (P2004-173998)
出願日 平成16年6月11日(2004.6.11)
審査請求日 平成19年5月31日(2007.5.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】藤本 英雄
【氏名】坂口 正道
個別代理人の代理人 【識別番号】100064344、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 英彦
【識別番号】100087907、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 鉄男
【識別番号】100095278、【弁理士】、【氏名又は名称】犬飼 達彦
【識別番号】100125106、【弁理士】、【氏名又は名称】石岡 隆
審査官 【審査官】古川 直樹
参考文献・文献 特開2002-243493(JP,A)
特開平09-166958(JP,A)
特開平05-333765(JP,A)
特開2002-232317(JP,A)
特開2003-057062(JP,A)
特開2004-177360(JP,A)
特開2005-328270(JP,A)
特開2004-302437(JP,A)
調査した分野 G09B 21/00 - 29/14
G01C 21/00
G06F 3/01
G08G 1/005
特許請求の範囲 【請求項1】
人体の皮膚に直接的または間接的に接触可能な接触子と、
前記接触子が所定の運動を行うように制御する制御手段とを備え、
前記接触子の運動に伴って皮膚との間で生ずる接触摩擦によって触覚を利用して情報を伝達する触覚情報伝達装置であって、
出発地から目的地までの経路情報と地図情報とを記憶する記憶手段と、
現在地の情報を取得する位置情報取得手段とを備え、
前記制御手段は、前記位置情報取得手段が取得した現在地の情報に基づいて、前記地図情報における現在地を特定し、前記目的地に向かう方向に対応する角度の運動を前記接触子に行わせるように制御することで角度情報を伝達するものであり、
前記接触子は回転部材であり、
前記制御手段は前記角度情報を伝達するにあたって、前記回転部材の回転速度を制御する触覚情報伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載した触覚情報伝達装置であって、前記制御手段は、前記目的地に到達したことを判定すると、前記目的地への到達を利用者に報知するため、所定のパターンで前記回転部材を回転運動させる触覚情報伝達装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した触覚情報伝達装置であって、前記回転部材は板部材である触覚情報伝達装置。
【請求項4】
請求項3に記載した触覚情報伝達装置であって、前記板部材は円形状のものである触覚情報伝達装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載した触覚情報伝達装置であって、前記接触子には、皮膚と接触する接触面に凹凸を設けた触覚情報伝達装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、接触摩擦による触覚を利用して情報を伝達する触覚情報伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体に備わる知覚には、視覚,触覚,味覚,臭覚,聴覚が有る。この中で触覚は他の知覚と比べて特定の器官に依存せず、ほぼ全身に存在する。このような特性を利用して、触覚により情報を伝達する技術の一例が開示されている(例えば特許文献1を参照)。この技術では、圧電アクチュエータの高さまたは厚みを変位させ、指が圧電アクチュエータに触れることで情報を伝達するものである。

【特許文献1】特開平6-18341号公報(第3-4頁,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示された技術によれば面圧や面の凹凸で情報を伝達できるものの、面圧や面の凹凸と情報内容との関連を学習しなければならず、指で感じた圧力や凹凸に基づいて学習した情報内容を導き出さなければならないので時間を要していた。
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、事前に学習する必要もなく、従来よりも短時間で簡易に情報を伝達し得る触覚情報伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)課題を解決するための手段(以下では単に「解決手段」と呼ぶ。)1は、図1に模式的に表すように、人体の皮膚Hに直接的または間接的に接触可能な接触子4と、接触子4が所定の運動を行うように制御する制御手段7とを備え、接触子4の運動に伴って皮膚Hとの間で生ずる接触摩擦によって触覚を利用して情報を伝達することを要旨とする。
【0005】
解決手段1によれば、制御手段7が制御する接触子4の運動に伴って皮膚Hとの間で接触摩擦生じ、この接触摩擦を触覚で感知し、情報として脳に伝達する。図1に表す制御手段7は、例えば接触子4を運動させる駆動部5と、駆動部5を制御する制御部6とを有する。接触子4の運動は、例えば回転運動(回転方向は一方向回転でもよく、正逆方向回転でもよい)や往復運動(前進運動と後退運動との組み合わせであって、直線的でもよく曲線的でもよい)等が該当する。接触子4が回転する方向や往復運動する方向等は、事前に学習しなくても感覚的に理解することができる。また回転方向や運動方向は学習するまでもなく、時間を要せずに内容を把握できる。したがって、従来よりも短時間で簡易に情報を伝達することができる。
【0006】
(2)解決手段2は、解決手段1に記載した触覚情報伝達装置1であって、出発地から目的地までの経路情報2bと地図情報2aとを記憶する記憶手段2と、現在地の情報を取得する位置情報取得手段3とを備え、制御手段7は、地図情報2aにおける現在地を特定し、目的地に向かう方向に対応する角度の運動を接触子4に行わせるように制御することで角度情報を伝達することを要旨とする。なお、出発地は出発位置に相当し、目的地は目的位置に相当し、現在地は現在位置に相当する。
【0007】
出発地から目的地に行くにあたっては、高さ方向の情報はあまり重要でないのに対して、左右方向の情報は重要になる。解決手段2によれば、地図情報2a(すなわち地図上)における現在地を特定したうえで、目的地に向かう方向に対応する角度の運動を接触子4に行わせる。つまり目的地に到達するまで接触子4に触れていれば、接触子4の角度が変化した位置で左右方向の向き(すなわち進路)を変えることができ、目的地に辿り着くことができる。したがって、歩行や走行の支援を行うことができる。
【0008】
(3)解決手段3は、解決手段1または2に記載した触覚情報伝達装置1であって、制御手段7は角度情報を伝達するにあたって、接触子4が変位する変位量を制御することを要旨とする。
【0009】
解決手段3によれば、制御手段7は接触子4の変位量を制御することにより角度情報を伝達する。変位量としては、例えば接触子4を回転させる場合には回転角が該当し、接触子4を往復運動させる場合には移動量が該当する。変位量(回転角や移動量)が大きくなるにつれて向きを大きく変え、変位量が小さくなるにつれて向きを小さく変えればよい。したがって、左右方向の向きをどれだけ変えればよいのかが簡単に分かる。
【0010】
(4)解決手段4は、解決手段1から3のいずれか一項に記載した触覚情報伝達装置1であって、制御手段7は角度情報を伝達するにあたって、接触子4の運動速度を制御することを要旨とする。
【0011】
解決手段4によれば、制御手段7は接触子4の運動速度を制御することで角度情報を伝達する。運動速度としては、例えば接触子4を回転させる場合には回転速度が該当し、接触子4を往復運動させる場合には移動速度が該当する。運動速度(回転速度や移動速度)が速くなるにつれて向きを大きく変え、運動速度が遅くなるにつれて向きを小さく変えればよい。したがって、左右方向の向きをどれだけ変えればよいのかが簡単に分かる。
【0012】
(5)解決手段5は、解決手段1から4のいずれか一項に記載した触覚情報伝達装置1であって、接触子4には皮膚Hと接触する接触面4aに凹凸を設けたことを要旨とする。
【0013】
解決手段5によれば、接触子4の接触面4aには凹凸が設けられているので、接触によって皮膚Hとの間で生ずる摩擦力が大きくなる。摩擦力が大きくなれば触覚への伝達が容易になり、伝達すべき内容がより明確になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接触子の運動は、事前に学習しなくても感覚的に理解することができる。また接触子の運動によって認識する方向は、時間を要せずに内容を把握できる。したがって、従来よりも短時間で簡易に情報を伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、実施例に従って説明する。
【実施例】
【0016】
本実施例は、携帯端末装置の一つである携帯電話機を用いて本発明を実現する例であって、図2~図6を参照しながら説明する。まず図2には、携帯電話機10に回転伝達装置20を装着した例を示す。具体的には、正面図を図2(A)に示し、側面図を図2(B)に示し、背面図を図2(C)に示す。
【0017】
触覚情報伝達装置1は、別個に構成された携帯電話機10と回転伝達装置20とからなる。携帯電話機10は、表示器11や操作ボタン12等を有する。表示器11は液晶表示器等が用いられ、各種情報を表示する。操作ボタン12は、電話番号等の入力時に操作する。回転伝達装置20は携帯電話機10の背面側に着脱可能に構成されており、円板22,駆動制御装置21,接続ケーブル23等を有する。駆動制御装置21は、円板22の回転方向や回転角を制御する。接続ケーブル23は、駆動制御装置21と携帯電話機10との間で信号を伝達可能に接続する。
【0018】
駆動制御装置21によって回転を制御される円板22は、接触子4に相当する。当該円板22は、携帯電話機10を手で持ったときに接触面22aが掌と接触可能に構成されている。接触面4aに相当する接触面22aには、掌で円板22の回転方向や回転角を認識し易くするために、図3(A)にも示すように矢印を模した凸部22bが形成されている。凸部22bとして模す形状は矢印に限らず、掌で円板22の回転方向や回転角を認識し易ければ任意である。例えば、図3(B)に示す線分(本例では一の直線と交差する二の直線とを示す)や、図3(C)に示す点または点列、図3(D)に示す模様(本例では縞模様と格子模様とを示す)などが該当する。
【0019】
上述のように構成した触覚情報伝達装置1において、出発地から目的地に誘導して案内するための構成および処理について図4,図5を参照しながら説明する。図4には携帯電話機10および回転伝達装置20の構成例をブロック図で表し、図5には情報取得処理および回転制御処理にかかる手続き例をフローチャートで表す。
【0020】
図4に示す携帯電話機10は、通信処理部13,測位処理部16,メモリ17,データ制御部19等を有する。通信処理部13は、通信網Nを通じて他の端末装置(コンピュータ等)との間で通信を制御する。通信網Nは、電話網やインターネット網が該当する。位置情報取得手段3に相当する測位処理部16は、複数(通常は3つ以上)のGPS衛星STから発信されるGPS電波を受信して現在地を測位する。記憶手段2に相当するメモリ17には、出発地や目的地に関するデータや、地図データ14,経路データ15,現在地データ18等を記憶する。地図情報2aに相当する地図データ14は、出発地と目的地とを含む地図のデータである。当該地図データ14は、携帯電話機10の製造時に予め記憶させてもよく、通信網Nを通じて取得して記憶させてもよい。経路情報2bに相当する経路データ15は、地図データ14における出発地から目的地まで誘導する経路のデータである。当該経路データ15は、操作ボタン12を操作して入力してもよく、操作ボタン12によって出発地と目的地とが入力されると自動的に作成してもよい。現在地データ18は、測位処理部16によって測位された現在地のデータである。データ制御部19は、データの入力や、回転伝達装置20との間で行う通信を制御する。
【0021】
回転伝達装置20は、上述したように駆動制御装置21や円板22等を有する。駆動制御装置21は、回転制御部24やモータ25を有する。回転制御部24は、携帯電話機10から地図データ14,経路データ15,現在地データ18等を受けて、進路に従ってモータ25の回転を制御する。上述した携帯電話機10および回転制御部24は、制御部6に相当する。駆動部5に相当するモータ25には、例えばステッピングモータを用いるが、サーボモータや超音波モータ等を用いてもよい。円板22はモータ25の回転軸に固定するが、回転軸に直接固定できない場合には回転軸と円板22との間にトルク伝達機構を介在させてもよい。トルク伝達機構は、例えばギア,ベルト,チェーン,ウォーム減速機,歯車減速機等によって構成する。
【0022】
図5において、左側の情報取得処理はデータ制御部19の機能を実現する手続きであり、右側の回転制御処理は回転制御部24の機能を実現する手続きである。これらの情報取得処理および回転制御処理は、例えば回転伝達装置20の接続ケーブル23を携帯電話機10に接続し、通信可能な状態に至ったことを契機として実行される。
【0023】
まず情報取得処理では、操作ボタン12の操作によって入力された出発地や目的地等のデータをメモリ17に記憶する〔ステップS10〕。もし地図データ14がメモリ17に記憶されていない場合には(ステップS11でNO)、ステップS10で入力された出発地や目的地等に基づいて通信網Nを通じて地図データ14を取得してメモリ17に記憶する〔ステップS12〕。地図データ14が記憶されると、目的地までの経路データをメモリ17に記憶する〔ステップS13〕。経路データは、操作ボタン12から入力してもよく、出発地や目的地等のデータおよび地図データ14に基づいて経路生成プログラムを実行して自動的に設定してもよい。この経路生成プログラムはメモリ17に予め記憶しておくか、通信網Nを通じて取得してメモリ17に記憶しておく必要がある。
【0024】
そして、測位処理部16によって現在地を測位してメモリ17に記憶する〔ステップS14〕。測位処理部16は、GPS衛星STから発信されるGPS電波を受信し、このGPS電波に含まれるデータ(例えば軌道要素や、世界標準時とGPS時の補正情報など)に基づいて現在地を測位する。ステップS14の記憶によって、メモリ17には目的地,現在地,経路,地図等にかかる各データが記憶される。こうしてメモリ17に記憶されたデータに基づいて目的地,現在地,経路,地図等のうちで少なくとも一つを表示器11に表示し〔ステップS15〕、メモリ17に記憶されたデータの全部または一部を回転伝達装置20に送信する〔ステップS16〕。ステップS15では、表示器11に表示するだけでなく、携帯電話機10に備えたスピーカから音声や効果音等によって現在地や進路方向等を案内するとなお分かり易くなる。上述したステップS14~S16の処理は、回転伝達装置20から終了信号を受信するまで継続して実行する〔ステップS17〕。
【0025】
回転制御処理では、携帯電話機10から送信されたデータを受信すると〔ステップS20〕、当該受信データに基づいて現在および経路を地図と照合する〔ステップS21〕。この照合の結果、左折や右折等のように進路を変更する必要がある場合には(ステップS22でYES)、進路に合わせたモータ25の回転駆動により円板22を回転させ〔ステップS23〕、当該ステップS23における円板22の回転制御は経路に沿った進路に変わるまで継続する(ステップS24でNO)。ステップS23で制御する円板22の状態は利用者が認識できればよいので、一方向回転(例えば左回転または右回転)を続けてもよく、所定角度(例えば45度や90度等)に回転した後の状態を維持し続けてもよい。進路を大きく変えるときは円板22の回転速度を速めたり回転角を大きくし、進路を少し変えるときは円板22の回転速度を遅くしたり回転角を小さくすると分かり易い。
【0026】
左折や右折等を終えて経路に沿った進路に変わると(ステップS24でYES)、モータ25を回転駆動して円板22を標準状態(例えば直進を表す状態)に戻す〔ステップS25〕。目的地に到達するまでは、上述したステップS20~S25を繰り返し実行して利用者の走行や歩行を支援する(ステップS26でNO)。利用者が目的地に到達すると(ステップS26でYES)、終了信号を携帯電話機10に送信したうえで〔ステップS27〕、情報取得処理および回転制御処理をともに終了する。
なお、ステップS27では目的地への到達を利用者に報知するため、所定のパターン(例えば5秒間程度にわたって、左回転と右回転とを交互に切り換えるパターンや、一方向回転と停止とを交互に切り換えるパターン等)で円板22を回転運動させるとよい。また、携帯電話機10では終了信号を受けて表示器11に目的地に到達した旨を文字や図形等で表示するとよい。
【0027】
次に、図5に示す情報取得処理および回転制御処理を実行して、利用者を目的地に歩いて行く際に案内する例について図6を参照しながら説明する。図6において、地図および経路等のデータを図6(A)に表し、円板22の状態を図6(B)~図6(F)にそれぞれ表す。本例では、利用者が進行する方向に対応した回転角度で円板22の回転を制御する。なお、上下左右等の方向は図6(A)に従って記載する。
【0028】
図6(A)に表す地図データ14において、例えば出発地Psを駅とし、目的地Peを公園とする(ステップS10)。本例の経路データ15には、駅の位置P1を起点として、位置P2,P3,P4,P5でそれぞれ進路を変更し、終点となる位置P6に至る経路が設定されている(ステップS13)。出発地Psで測位したときは(ステップS14)、破線で表す領域内が表示器11に表示される(ステップS15)。
【0029】
利用者が歩き始めてから位置P2に到達するまで、円板22は図6(B)に示すような直進を表す標準状態を維持する(ステップS25)。利用者が位置P2に到達すると進路を変える必要があるので、円板22は右方向に90度回転して図6(C)に示すような右折を表す状態になる(ステップS23)。円板22の回転を掌で感知した利用者は、その回転角を認識して位置P2では右折すればよいと分かる。利用者が右折し終えると、円板22は再び図6(B)に示すような直進を表す標準状態に戻る(ステップS25)。
【0030】
利用者が位置P3に到達すると、円板22は回転して図6(D)に示すような斜め左(左側に45度回転)を指示する状態になる(ステップS23)。この指示に従って利用者が向きを変えると、円板22は再び図6(B)に示すような直進を表す標準状態に戻る(ステップS25)。こうした円板22の回転によって、利用者は位置P4に向かって歩行することができる。同様にして、位置P4では円板22が図6(E)に示すような斜め右(右側に45度)に回転し、位置P5では円板22が図6(F)に示すような左折(左側に90度)に回転する(ステップS23)。そのため、利用者は位置P4で斜め右に進路を変え、位置P5では左折することができる。位置P5を左折した利用者が歩行し続けて位置P6に到達すると、目的地への到達が報知される(ステップS27)。よって、利用者は目的地に到達したことが容易に分かる。
【0031】
上述した実施例によれば、以下に示す各効果を得ることができる。
(1)人体の皮膚Hに直接的に接触可能な円板22と、円板22が回転運動を行うように制御する携帯電話機10,回転制御部24およびモータ25(制御手段7に相当)とを備え、円板22の運動に伴って皮膚Hとの間で生ずる接触摩擦によって触覚を利用して情報を伝達する構成とした{図4を参照}。円板22が回転する方向や往復運動する方向等は、事前に学習しなくても触れるだけで感覚的に理解することができる。また回転方向や運動方向は学習するまでもなく、時間を要せずに内容を把握できる。したがって、従来よりも短時間で簡易に情報を伝達することができる。
【0032】
(2)出発地から目的地までの経路データ15と地図データ14とを記憶するメモリ17と、GPS電波に基づいて現在地の情報を取得する測位処理部16とを備えた{図4を参照}。そして、地図データ14における現在地を特定し、目的地に向かう方向に対応する角度の運動を円板22に行わせるように制御することで角度情報を伝達する構成とした{図5の回転制御処理を参照}。目的地に到達するまで利用者が円板22に触れていると、円板22の角度が変化した位置で進路を変えることができ、目的地に辿り着くことができる。したがって、例えば視覚障害者や健常者を誘導する場合等のように、歩行や走行の支援を行うことができる。
【0033】
(3)角度情報を伝達するにあたって、円板22が回転する回転角(すなわち変位量)を制御する構成とした{図5のステップS23および図6を参照}。したがって、進路を変えるにあたって左右方向の向きをどれだけ変えればよいのかが簡単に分かる。
本例では円板22の回転角を制御する構成としたが、円板22の回転速度を制御する構成としてもよい。円板22の回転速度が変化させると、その速度変化を掌(皮膚Hに相当)で感知し、進路を変えることができる。
【0034】
(4)円板22には、掌と接触する接触面22aに凸部22b(凹凸に相当)を設ける構成とした{図2(A)を参照}。本例では凸部22bを設ける構成としたが、凹部(例えば溝)を設ける構成としてもよく、凸部22bと凹部とを混在する構成としてもよい。さらには、円板22の接触面22aに代えて、あるいは接触面22aとともに、側面に凸部22bや凹部を設ける構成としてもよい。これらの凸部22bや凹部は、接触によって掌との間で生ずる摩擦力が大きくなる。摩擦力が大きくなれば触覚への伝達が容易になり、伝達すべき内容がより明確になる。
【0035】
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例に従って説明したが、本発明は当該実施例に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することが可能である。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0036】
(1)上述した実施例では、触覚情報伝達装置1として携帯電話機10および回転伝達装置20を適用した。携帯電話機10に代えて、他の端末装置を適用してもよい。他の端末装置としては、例えば携帯型コンピュータや、携帯情報端末(PDA;Personal Digital Assistance)、腕時計、カーナビゲーションシステム、自動車等が該当する。回転伝達装置20は、携帯電話機10または他の端末装置に組み込んだり、一体化する構成としてもよい。例えば、携帯電話機10や腕時計等に組み込んで背面側に円板22を設けたり、自動車やオートバイのハンドルに組み込む。さらに、端末装置とは別体に構成するものの、人体の皮膚Hと接触可能な物に回転伝達装置20の全部または一部を組み込む構成としてもよい。具体的には、回転伝達装置20を構成する一部の要素(例えばモータ25および円板22)を眼鏡,被服,ベルト,靴,帽子,アクセサリー,カバン,バッグ等に組み込む。アクセサリーには、ネックレス,指輪,腕輪,パスケース,財布等が該当する。
いずれの形態にせよ、人体の皮膚Hと直接的または間接的に接触するように円板22を設ければよい。この場合でも、当該円板22の回転運動は事前に学習しなくても利用者は感覚的に理解できる。円板22の回転運動によって認識する方向は、時間を要せずに内容を把握できる。したがって、従来よりも短時間で簡易に情報を伝達できる。
【0037】
(2)上述した実施例では、円板22の接触面22aで掌と接触するように、すなわち面で皮膚Hと接触するように構成したが、点や線で皮膚Hと接触するように構成してもよい。例えば円板22に代えて、棒状部材で接触子4を構成する。棒状部材の側面(もしくは外周面)を用いて皮膚Hと線状に接触させるときは、円板22と同様に回転させてたり、ソレノイドを駆動して進路に見合う方向に往復運動させる。棒状部材の端部を用いて皮膚Hと点で接触させるときは、ソレノイドを駆動して進路に見合う方向に往復運動させる。このような接触形態であっても、運動方向や運動速度の大小で情報を伝達できる。
【0038】
(3)上述した実施例では、接触子4として円板22(すなわち円形状の板部材)で構成したが、円形状以外の平面形状(例えば楕円形状や、三角形や四角形のような多角形状等)で形成したり、板部材以外の立体形状(例えば円筒部材や円錐形状,角錐形状,立方体形状等)で構成してもよい。これらの部材であっても、利用者は時間を要せず感覚的に部材を通じて情報を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の構成例を模式的に表す図である。
【図2】携帯電話機に伝達装置を装着した例を示す図である。
【図3】接触子における接触面の構成例を表す図である。
【図4】携帯電話機および回転伝達装置の構成例を表すブロック図である。
【図5】情報取得処理および回転制御処理にかかる手続き例を表すフローチャートである。
【図6】地図および経路等のデータと円板の状態との一例を表す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 触覚情報伝達装置
2 記憶手段
2a 地図情報
2b 経路情報
3 位置情報取得手段
4 接触子
4a 接触面
5 駆動部
6 制御部
7 制御手段
H 皮膚
10 携帯電話機(触覚情報伝達装置,制御部,制御手段)
11 表示器
12 操作ボタン
13 通信処理部
14 地図データ(地図情報)
15 経路データ(経路情報)
16 測位処理部(位置情報取得手段)
17 メモリ(記憶手段)
18 現在地データ(現在地情報)
20 伝達装置(触覚情報伝達装置)
21 駆動制御装置
22 円板(接触子)
22a 接触面
22b 凸部(凹凸)
23 接続ケーブル
24 回転制御部(制御部,制御手段)
25 モータ(駆動部)
N 通信網
ST GPS衛星
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5