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明細書 :金微粒子接合体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4500998号 (P4500998)
公開番号 特開2006-058781 (P2006-058781A)
登録日 平成22年4月30日(2010.4.30)
発行日 平成22年7月14日(2010.7.14)
公開日 平成18年3月2日(2006.3.2)
発明の名称または考案の名称 金微粒子接合体の製造方法
国際特許分類 G02F   1/355       (2006.01)
C23C  24/00        (2006.01)
B22F   9/24        (2006.01)
FI G02F 1/355 501
C23C 24/00 ZNM
B22F 9/24 E
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2004-242698 (P2004-242698)
出願日 平成16年8月23日(2004.8.23)
審査請求日 平成19年6月25日(2007.6.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】野上 正行
【氏名】ヨン ヤン
個別代理人の代理人 【識別番号】110001036、【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
審査官 【審査官】植田 高盛
参考文献・文献 James P. Novak and Daniel L. Feldheim,Assembly of Phenilacetylene-Bridged Silver and Gold Nanoparticle Arrays,Journal of the American Chemical Society,米国,2000年 4月26日,volume 122, issue 16,pp.3979-3980
調査した分野 G02F 1/355
特許請求の範囲 【請求項1】
金のナノサイズ微粒子が複数個鎖状に相互に接合してなる金微粒子接合体の製造方法であって、
金イオンを含む溶液を還元して金のナノサイズ微粒子含有液を調製する工程と、
ナノサイズ微粒子含有液に界面活性剤を添加する工程と、を備えたことを特徴とする金微粒子接合体の製造方法
【請求項2】
前記ナノサイズ微粒子の粒子径が10~100nmであることを特徴とする請求項1に記載の金微粒子接合体の製造方法
【請求項3】
前記ナノサイズ微粒子が2個以上接合してなる請求項1又は請求項2に記載の金微粒子接合体の製造方法
【請求項4】
前記界面活性剤が第4級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の金微粒子接合体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金微粒子接合体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信や光デバイスなど光信号を媒体とする情報分野においては、光の超高速性、超短パルス特性を利用した各種デバイスの開発が進んでいる。このような光信号の特性を生かしたデバイスを開発する指針として、入力信号に対する応答性が優れ、大きな出力特性を有した材料の開発が不可欠である。このような材料特性は非線形光学特性と言われ、2次、3次非線形光学材料として、研究が進められている。2次非線形光学材料としてはリチウムナイオベート結晶が、よく知られており、入力信号の波長の1/2の長さの波長をもった光を取り出すことができ、レーザーなどへの応用がある。一方、3次非線形材料は、光の高速スイッチングや光信号の曲げ込み作用が見られることから、光信号処理デバイスとして応用でき、光コンピュータの実現も可能であると言われている。デバイスとして応用されるためには高い3次非線形感受率(χ値)を有した材料であることが必要である。
【0003】
高い3次非線形感受率を有する材料としては、重金属イオンからなるものと、ナノサイズの大きさの金属や半導体の微粒子を含有したものが知られており、それぞれ、共鳴型、非共鳴型材料と言われている。3次非線形感受率を比較すると、一般に、微粒子含有体の方が感受率が高い。半導体微粒子に関しては、電子と正孔の運動が微粒子内に制限されることで、また、金属微粒子では、金属表面に発生する表面プラズモン共鳴によって、高い非線形感受率が得られると説明されている。
このような微粒の非線形特性が発生するためには、入力した光エネルギーが微粒子に吸収されるか共鳴する必要があり、共鳴するエネルギー近傍でのみ高い感受率が得られることになる。例えば、半導体微粒子については、CdS、CdSeでは、530、600nm、また金、銀微粒子では、530、420nm付近の波長の光を入射する必要がある。それ以外の波長の光では、感受率が全く得られない(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
ところで、光通信分野では、現在1300~1550nmの長波長信号を利用していることから、光信号制御機器としては、可視光線でも、より波長の長い光に対して高い非線形感受率を有したものか、波長選択性のない材料が望まれている。

【非特許文献1】棚橋一郎他、「新しいフォトニクス時代の材料とデバイス」第1版 フォトニクス編集幹事会編集、(株)ティー・アイ・シィー発行、平成12年4月25日、P.301-306
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように従来から知られている半導体微粒子、金、銀微粒子では、可視光線の短波長側に感受性があるものしか得られていないのが現状である。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、広い波長領域で、高い感受率を示す金微粒子接合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、広い波長領域で、高い感受率を得るために、鋭意研究を重ねた。その結果、金のナノサイズ微粒子を複数個鎖状に相互に接合したところ、より広い波長領域で、高い3次非線形感受率を示す金微粒子接合体が得られることを見出した。
【0007】
ここで本発明の金微粒子接合体が広い波長領域で、高い3次非線形感受率を示す推察機構を説明する。
金属微粒子の表面プラズモン共鳴は光の伝搬モードで決まることが一般に知られている。ここで、従来の金のナノサイズ微粒子について考察してみると、金のナノサイズ微粒子は略球形をしており、全方向に同じモードをもつことから、共鳴波長が530nm付近の単一波長となるものと推定される。一方、金のナノサイズ微粒子を複数個鎖状に相互に接合して金微粒子接合体とし、接合体の全体形状を長細くすると、光の伝搬モードに軸依存性が現れるようにより、長軸の長さに応じた表面プラズモン共鳴が発生するようになる。よって、広い波長領域で、高い3次非線形感受率を示す接合体となるものと推測される。本発明はこの知見に基づいてなされたものである。
【0008】
すなわち、請求項1の発明は、金のナノサイズ微粒子が複数個鎖状に相互に接合してなる金微粒子接合体の製造方法であって、
金イオンを含む溶液を還元して金のナノサイズ微粒子含有液を調製する工程と、
ナノサイズ微粒子含有液に界面活性剤を添加する工程と、を備えたことを特徴とする金微粒子接合体の製造方法である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ナノサイズ微粒子の粒子径が10~100nmであることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、前記ナノサイズ微粒子が2個以上接合してなることを特徴とする。
【0013】
請求項の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記界面活性剤が第4級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の金微粒子接合体は、広い波長領域で、高い3次非線形感受率を示す。よって、光学素子等へ幅広く応用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の金微粒子接合体は、以下のようにして製造することができる。すなわち、金イオンを含む溶液を還元して金のナノサイズ微粒子含有液を調製する工程、ナノサイズ微粒子含有液に界面活性剤を添加する工程、とを備えた製造方法により製造可能である。
金イオンを含む溶液としては、金の塩を溶解した溶液であれば特に限定されず、周知の溶液を用いることができ、例えば、塩酸金酸(HAuCl)、AuClを溶解させた水溶液を用いることができる。
【0016】
この溶液を還元して、溶液中に金微粒子を調製する。還元方法は特に限定されず、公知の還元方法を用いることができる。例えば、金イオンを含む溶液中にクエン酸3ナトリウム水和物、無水酢酸ナトリウムにより還元することができる。また、NaBHによっても還元することができる。
【0017】
金のナノサイズ微粒子の粒径は特に限定されないが、10~100nmが好ましく、50~80nmがさらに好ましく、60~70nmが特に好ましい。この範囲内の粒径とすることで、高い3次非線形感受率が得られるからである。なお、ナノサイズ微粒子の粒径は、クエン酸3ナトリウム水和物の添加量を適宜変更することにより容易に調製することができる。
次に、この金微粒子を含有した溶液に界面活性剤を添加する。界面活性剤としては、特に限定されず、公知のイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を使用することができる。特にこれらの界面活性剤の中でも、例えば、テトラブチルアンモニウムクロライド(tetrabutylammonium chloride)等の第4級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤が好ましい。
【0018】
界面活性剤は、金のナノサイズ微粒子同士を引き寄せて結合させるための結合助剤となり、金微粒子が相互に接合される。
より詳細には、図5(A)に示すように溶液中では、金のナノサイズ微粒子は、その表面にクエン酸等由来のアニオンが吸着しており、相互の凝集が妨げられて単分散した状態となっているものと推測される。
この状態の溶液にセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(cetyltrimethylammonium bromide(CTAB))等の界面活性剤を前記アニオンの電荷が中和されない程度の低濃度で加えると、図5(B)に示すように、界面活性剤由来のカチオンにより金のナノサイズ微粒子相互に弱い結合力が生じて、金のナノサイズ微粒子が鎖状に凝集するものと推測される。
【0019】
また、溶液中の金と、添加する界面活性剤とのモル比は、特に限定されないが、金:界面活性剤=500:1~300:1(モル比)とすると、金のナノサイズ微粒子が2個接合した金微粒子接合体が生成しやすく、金:界面活性剤=200:1~130:1(モル比)とすると、金のナノサイズ微粒子が3個接合した金微粒子接合体が生成しやすく、金:界面活性剤=120:1~80:1(モル比)とすると、金のナノサイズ微粒子が2~5個接合した金微粒子接合体が生成しやすい傾向にある。
【0020】
さらに、以上のように調製された金微粒子接合体を基板上に固着して複合基板とすることもできる。基板の材質は、特に限定されないが、例えばガラス基板を使用することができる。この基板を、例えば、アミノプロピルトリエトキシシラン(APTMS)溶液に浸漬して、その表面をアミノプロピルトリエトキシシラン化(APTMS化)させることが望ましい。APTMS化することにより、金微粒子接合体を基板表面に固定することができるからである。
【0021】
このようにした基板を金微粒子含有液中に浸漬して、基板表面に金微粒子接合体を固定する。
以上のようにして、基板上に金微粒子接合体が一層固定されるが、金微粒子接合体を基板上で多層化するためには、基板をさらに、アミノプロピルトリエトキシシラン(APTMS)溶液に浸漬して、その表面をアミノプロピルトリエトキシシラン化(APTMS化)させた上で、この基板を金微粒子接合体を含有する溶液中に浸漬する。このように、基板のアミノプロピルトリエトキシシラン化(APTMS化)、金微粒子接合体を含有する溶液中への浸漬を繰り返すことで金微粒子接合体が多層に積層した複合基板を得ることができる。
【0022】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
1.金のナノサイズ微粒子の状態観察
(1)まず、溶液中での金のナノサイズ微粒子の状態が界面活性剤の添加により、どのように変化するのかを観察するために以下の実験を行った。
【0023】
<溶液Aの調製>
塩化金酸(HAuCl)の1wt%水溶液を100mlと、くえん酸三ナトリウム二水和物38.8mM 150mlとを9000mlの沸騰水に入れ、塩酸金酸を還元し、金のナノサイズ微粒子を含有する溶液を調製した。この溶液を溶液Aとする。
【0024】
<溶液Bの調製>
溶液A9250mlに、0.6mMのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(cetyltrimethylammonium bromide(CTAB))を、10ml加えて、室温で1時間反応させ溶液Bを得た(なお、溶液中の金と、界面活性剤とのモル比は、金:界面活性剤=400:1(モル比)とされている)。
【0025】
<溶液Cの調製>
溶液A9250mlに、0.6mMのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(cetyltrimethylammonium bromide(CTAB))を、30ml加えて、室温で1時間反応させ溶液Cを得た(なお、溶液中の金と、界面活性剤とのモル比は、金:界面活性剤=133:1(モル比)とされている)。
【0026】
<溶液Dの調製>
溶液A9250mlに、0.6mMのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(cetyltrimethylammonium bromide(CTAB))を、50ml加えて、室温で1時間反応させ溶液Cを得た(なお、溶液中の金と、界面活性剤とのモル比は、金:界面活性剤=80:1(モル比)とされている)。
【0027】
(2)金のナノサイズ微粒子の状態観察結果
溶液A~Dをそれぞれカーボン製の網に掬いとり、これをTEM(透過型電子顕微鏡、JEOL社製、型番JEM2010HT)にて観察した。結果を図1に示す(なお、図1(a)は溶液Aに対応し、図1(b)は溶液Bに対応し、図1(c)は溶液Cに対応し、図1(d)は溶液Dに対応する。)
図1(a)に示されるように、溶液Aでは、金のナノサイズ微粒子は接合せず、孤立状態(単独状態)であった。ところが、図1(b)に示されるように溶液B中では、金のナノサイズ微粒子が2個ずつ接合した接合体が形成されていた。 また、図1(c)に示されるように、溶液C中では、金のナノサイズ微粒子が2又は3個接合した接合体が形成されていた。
また、図1(d)に示されるように、溶液D中では、金のナノサイズ微粒子が、2~5個接合した接合体が形成されていた。
以上のように、界面活性剤により、金のナノサイズ微粒子同士が接合されることが判明した。また、界面活性剤の添加量を変えると接合される金のナノサイズ粒子の個数が変化することが分かった。
【0028】
2.ナノサイズ微粒子の基板への固定
(1)次に金のナノサイズ微粒子を基板に固定し、その表面状態を原子間力顕微鏡(AFM)で観察した。
<基板Aの調製>
まず、ガラス基板をアミノプロピルトリエトキシシラン(APTMS)溶液(10wt%溶液)に浸漬して、その表面をアミノプロピルトリエトキシシラン化(APTMS化)させた。
その後、この基板を溶液Aに12時間、室温で浸漬した。そして、溶液Aから基板を取り出した後、再びアミノプロピルトリエトキシシラン(APTMS)溶液に12時間、室温で浸漬した。次に、アミノプロピルトリエトキシシラン(APTMS)溶液から基板を取り出した後、基板を300℃で40分加熱して基板Aを調製した。
【0029】
<基板Bの調製>
溶液Aの代わりに溶液Bを使用した以外は、基板Aと同様にして基板Bを調製した。
【0030】
<基板Cの調製>
溶液Aの代わりに溶液Cを使用した以外は、基板Aと同様にして基板Cを調製した。
【0031】
<基板Dの調製>
溶液Aの代わりに溶液Dを使用した以外は、基板Aと同様にして基板Dを調製した。
【0032】
(2)基板表面のナノサイズ微粒子の観察結果
基板A~Dの表面をAFM(Seiko社製、原子間力顕微鏡SPI3800N, Scanning mode :Direct Force Mode(DFM))にて観察した。結果を図2に示す。なお、図2(a)は基板Aに対応し、図2(b)は基板Bに対応し、図2(c)は基板Cに対応し、図2(d)は基板Dに対応する。また、各写真の左下に示された白抜きのスケールバーはそれぞれ100nmを示している。
なお、図2(a)~(d)には、各写真の破線部分の断面の様子も下欄に付記されている。
図2(a)に示されるように、基板A表面では、金のナノサイズ微粒子は接合しておらず、単独の状態であった。
また、図2(b)に示されるように、基板B表面では、金のナノサイズ微粒子が2個接合した接合体が形成されていた。
また、図2(c)に示されるように、基板C表面では、金のナノサイズ微粒子が2又は3個接合した接合体が形成されていた。
また、図2(d)に示されるように、基板D表面では、金のナノサイズ微粒子が2~5個接合した接合体が形成されていた。
以上のように、界面活性剤を添加した溶液B~Dに浸漬して調製した基板B~Dの表面では、金のナノサイズ微粒子が接合された接合体が形成されていることが分かった。
【0033】
(3)光吸収スペクトルの測定
基板A~Dの光吸収スペクトルをJasco社製のUbest-570によって測定した。
基板Aでは、孤立した金のナノサイズ微粒子しか存在しないため、530nmに表面プラズモン共鳴吸収バンドが観察されるのみであった。
これに対して基板Bでは、530nmに加えて、620nmにも吸収が観察された。基板Cでは、530nmに加えて、620nm、715nmにも吸収が観察された。基板Dでは、530nmに加えて、620nm、715nm、830nm、1100nmにも吸収が観察された。
【0034】
この結果と、上述のAFMの観察結果とを照らし合わせると、620nmの吸収が2個のナノサイズ微粒子が接合した金微粒子接合体に起因するものであり、715nmの吸収が3個のナノサイズ微粒子が接合した金微粒子接合体に起因するものであり、830nmの吸収が4個のナノサイズ微粒子が接合した金微粒子接合体に起因するものであり、1100nmの吸収が5個のナノサイズ微粒子が接合した金微粒子接合体に起因するものであるものと推測される。
【0035】
このように基板B~Dでは、幅広い波長領域での吸収が観察されることが分かった。これは、基板B~Dでは、ナノサイズ微粒子が相互に接合した金微粒子接合体が形成されており、その全体形状が長細くなっているため、光の伝搬モードに軸依存性が現れるようにより、長軸の長さに応じた表面プラズモン共鳴が発生したためと推測される。また、吸収強度は、金微粒子接合体を担持した基板B~Dの方が、孤立した金のナノサイズ微粒子を担持した基板Aよりも強い値を示している。これは、基板B~Dに担持された金微粒子接合体では、長軸の長さに応じた表面プラズモン共鳴が発生するようになり、高い3次元非線形感受率を示したためと推測される。
【0036】
(4)3次元非線形感受率の測定
次に基板A及び基板Dについて、3次元非線形感受率χ(3)を測定した。χ(3)の測定には、測定装置としては、The Solid State Laser社製(Spectra-Physics Tsunami)に、アンプ(OPA-800CF)を付設したものを用いた。なお、この測定方法は、L.Guo,G.Ma,Y.Liiu,J.Mi,S.Qian,L.Qiu,Appy.Phys.B2002,74,253に記載のものに準じて行った。
詳細には、この測定(フェムト秒OKE実験)は、室温において、基板A及び基板D、及びリファレンスとしてのcdsに対して行い、Ti:Sapphire レーザーを用いた。使用したのは100f.s.パルスのレーザーであり82MHzの周波数をもち、波長は400~1200nmとした。100f.s.パルスのレーザーを、ポンプ光とプローブ光に分け、そして、それぞれのスポット径が50μmのサイズとなるように絞り込んで各基板、及びリファレンスに当てた。プローブ光は偏光板P1を通過させ、偏光方向はポンプ光の方向に対して45°とした。偏光分光器は、偏光板と対角位置に配置した。OKEシグナルは、ロックインアンプにつながれた光ダイオードによって検出し、コンピュータで解析した。そして、χ(3)の値は、cdsをリファレンスとして、下記等式により計算した。
【数1】
JP0004500998B2_000002t.gif
ここで、
=基板のOKEシグナル強度
ref=cdsのOKEシグナル強度
=基板の線形屈折指数
ref=cdsの線形屈折指数
=基板中でのポンプ光とプローブ光との相互距離
ref=cds中でのポンプ光とプローブ光との相互距離
R=補正係数
χref(3)=cdsの3次元非線形感受率
を意味する。
結果を図4に示す。基板Aでは、530nmにピークをもつだけで長波長側でχ(3)が著しく小さくなることが分かる(530nm付近では4.1×10-10esuであるのに対して、720nm付近では、9.0×10-12esuであった)。
【0037】
これに対して基板Dでは長波長側においても高いχ(3)感受性が得られることが判明した(532nm付近では4.0×10-10esu、620nm付近では、8.0×10-10esu、720nm付近では、10.0×10-10esu、815nm付近では、5.1×10-10esuであった)。
以上のように、基板Dでは、広い波長領域で高い3次非線形感受率を示すことが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】溶液中の金ナノ微粒子のTEM像である。
【図2】基板のAFM像である。
【図3】基板の吸収スペクトルを示すグラフである。
【図4】基板A及びDの3次元非線形感受率χ(3)の値を示すグラフである。
【図5】金のナノサイズ微粒子が鎖状に凝集する推定機構を説明する説明図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4