TOP > 国内特許検索 > 透明薄膜電極およびそれを有する電気化学蓄電素子 > 明細書

明細書 :透明薄膜電極およびそれを有する電気化学蓄電素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4621912号 (P4621912)
公開番号 特開2006-237357 (P2006-237357A)
登録日 平成22年11月12日(2010.11.12)
発行日 平成23年2月2日(2011.2.2)
公開日 平成18年9月7日(2006.9.7)
発明の名称または考案の名称 透明薄膜電極およびそれを有する電気化学蓄電素子
国際特許分類 H01G   9/058       (2006.01)
H01G   9/025       (2006.01)
H01G   9/00        (2006.01)
FI H01G 9/00 301A
H01G 9/00 301G
H01G 9/24 Z
請求項の数または発明の数 8
全頁数 10
出願番号 特願2005-051067 (P2005-051067)
出願日 平成17年2月25日(2005.2.25)
審査請求日 平成20年2月19日(2008.2.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】杉本 渉
【氏名】高須 芳雄
【氏名】村上 泰
個別代理人の代理人 【識別番号】100088306、【弁理士】、【氏名又は名称】小宮 良雄
【識別番号】100126343、【弁理士】、【氏名又は名称】大西 浩之
審査官 【審査官】桑原 清
参考文献・文献 特開平11-031417(JP,A)
特開平02-205078(JP,A)
特開平09-074052(JP,A)
特開2004-315347(JP,A)
特開2006-233232(JP,A)
調査した分野 H01G 9/058
H01G 9/00
H01G 9/025
特許請求の範囲 【請求項1】
コロイド状のルテニウム酸化合物が電気泳動により透明体上で層状に堆積して透明膜を形成していることを特徴とする透明薄膜電極。
【請求項2】
前記透明体が、板状またはフィルム状の、プラスチックまたはガラスであることを特徴とする請求項1に記載の透明薄膜電極。
【請求項3】
酸化ルテニウムとアルカリ金属化合物とを焼成または溶融する工程、
それを酸、アルキルアミン、テトラアルキルアミンの各溶液中で順次撹拌して、ルテニウム酸化合物の層状微粒子を形成する工程、
該微粒子を溶媒に分散し、層剥離させたコロイド状ルテニウム酸化合物を形成する工程、
および該コロイド状ルテニウム酸化合物を電気泳動により透明体上で層状に堆積させて、透明膜を形成させる工程
を有していることを特徴とする透明薄膜電極の製造方法。
【請求項4】
コロイド状のルテニウム酸化合物が電気泳動により透明体上で層状に堆積している透明薄膜電極が、一対向かい合っており、その間に電解質膜が挟み込まれていることを特徴とする透明電気化学蓄電素子。
【請求項5】
前記透明体が、板状またはフィルム状の、プラスチックまたはガラスであることを特徴とする請求項4に記載の透明電気化学蓄電素子。
【請求項6】
前記電解質膜が、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系電解質膜であることを特徴とする請求項4に記載の透明電気化学蓄電素子。
【請求項7】
電気化学キャパシタであることを特徴とする請求項4に記載の透明電気化学蓄電素子。
【請求項8】
請求項3に記載の製造方法で得られた透明薄膜電極を、一対向かい合わせ、その間に電解質膜を挟み込む工程
を有していることを特徴とする透明電気化学蓄電素子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーすなわち電荷を効率的に蓄積するデバイスに用いられる透明薄膜電極、それを有し透明回路に使用される電気化学蓄電素子、およびそれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やパーソナルコンピュータのような携帯用または家庭用の電子機器に使用される電子デバイスを、透明化したり、フレキシブル化したりする開発が進められている。透明な電子デバイスとして、例えば透明太陽電池のような発電デバイスや、非特許文献1に記載されているようにアモルファス状酸化物を用いたフレキシブルな透明薄層トランジスタである集積回路デバイスなどが、知られている。
【0003】
透明な回路を作製するには、これらのような透明な電子デバイスのほか、エネルギーバックアップ用の透明な蓄電デバイスが必要である。しかし、従来の蓄電デバイスである二次電池の電極に用いられる原材料は一般に黒色の粉末であるため、透明化が困難であった。さらに別な蓄電デバイスである電気化学キャパシタでも、その原材料が同様に黒色粉末であるうえ、大容量を蓄積するために厚膜にしなければならず、それの透明化が困難であった。
【0004】
本発明者らは、特許文献1に記載されているように、電気化学キャパシタの原材料となるもので高い比静電容量を有している層状ルテニウム酸を開発している。これを層剥離させたコロイド状ルテニウム酸化合物は、約0.5nm厚のルテニウム酸化合物の層剥離片が含有されており、約700Fg-1と極めて高い比静電容量を有している。その分散溶媒を揮発させて薄膜化させると、層状ルテニウム酸化合物の不透明な薄膜電極が作製できる。
【0005】
このような高い比静電容量を有しつつ、しかも透明である電気化学キャパシタが求められていた。
【0006】

【非特許文献1】K.Nomura, H.Ohta, A.Takagi, T.Kamiya, M.Hirano and H.Hosono, Nature, 432, 488(2004)
【特許文献1】特開2004-315347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、高い比静電容量を有し、透明な薄膜電極、それを用いた透明な電気化学蓄電素子、および簡便で効率の良いそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1に記載の透明薄膜電極は、コロイド状のルテニウム酸化合物が電気泳動により透明体上で層状に堆積して透明膜を形成していることを特徴とする。
【0009】
この電極は、無色ないしは淡着色の透明の固体型であり、その活物質量が0.0001mg~0.5mgであることが好ましい。
【0010】
請求項2に記載の透明薄膜電極は、透明体が、板状またはフィルム状の、プラスチックまたはガラスであることを特徴とする。
【0011】
透明体は、ITO(indium tin oxide:インジウム錫酸化物)-ガラス基板、ITO-ポリエチレンテレフタレート(PET)基板のようなITO-プラスチック基板が挙げられる。プラスチックであると、透明でフレキシブルな電極が得られる。
【0012】
同じく請求項3に記載の透明薄膜電極の製造方法は、
酸化ルテニウムとアルカリ金属化合物とを焼成または溶融する工程、
それを酸、アルキルアミン、テトラアルキルアミンの各溶液中で順次撹拌して、ルテニウム酸化合物の層状微粒子を形成する工程、
該微粒子を溶媒に分散し、層剥離させたコロイド状ルテニウム酸化合物を形成する工程、
および該コロイド状ルテニウム酸化合物を電気泳動により透明体上で層状に堆積させて、透明膜を形成させる工程
を有していることを特徴とする。
【0013】
ナノオーダーの厚さの極微小な層剥離片いわゆるナノシートを形成している荷電性のこのコロイド状ルテニウム酸化合物に、透明体である基板をアノードとし、別な導電性基板をカソードとし、その間に電圧を印加して、電気泳動を施すと、コロイド状ルテニウム酸化合物がアノード表面に向かって移動し、再度層状に堆積する。その際、コロイド安定化剤として機能していたテトラアルキルアンモニウムイオンはカソードに移動する。このようにしてルテニウム酸化合物がアノードで、固定化され、薄い透明膜を形成する。この製造方法は、電気泳動の際にバインダーを用いる必要がなく簡便であるうえ、短時間で行なうことができ、生産効率が良い。さらに、透明体と膜との密着性が優れている。また電気泳動時間、2極間距離や電圧を調節することにより、透明膜の厚さを自在に制御して、電荷蓄積能と透明度とを調整することができる。
【0014】
この製造方法によれば、層状ルテニウム酸化合物の層間イオンの脱インターカレートと別なイオンのインターカレートとを行なってイオン交換させ、層剥離させてから電気泳動を行なうというソフトな化学的手法で簡便に効率よく、高品質の透明薄膜電極を得ることができる。
【0015】
同じく、請求項4に記載の透明電気化学蓄電素子1は、実施例に対応する図1を参照して説明すると、コロイド状のルテニウム酸化合物が電気泳動により透明体上で層状に堆積している透明薄膜電極2・4が、一対向かい合っており、その間に電解質膜3が挟み込まれていることを特徴とする。
【0016】
この電気化学蓄電素子は、透明であり、薄くても大容量の電荷を蓄積することができる。
【0017】
請求項5に記載の透明電気化学蓄電素子は、前記透明体が、板状またはフィルム状の、プラスチックまたはガラスであることを特徴とする。
【0018】
プラスチックであると、透明でフレキシブルな電気化学蓄電素子となる。
【0019】
請求項6に記載の透明電気化学蓄電素子は、前記電解質膜が、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系電解質膜であることを特徴とする。
【0020】
ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系電解質膜は、具体的にはNafion(デュポン社の登録商標)膜が挙げられ、より具体的にはNafion117膜(同社製)が挙げられる。
【0021】
電解質膜は酸溶液が含浸されていることが好ましい。
【0022】
請求項7に記載の透明電気化学蓄電素子は、電気化学キャパシタとして作用するというものである。
【0023】
この電気化学キャパシタは、高い比静電容量を有し、透明性に優れ小型のものである。
【0024】
同じく請求項8に記載の透明電気化学蓄電素子の製造方法は、請求項2に記載の製造方法で得られた透明薄膜電極を、一対向かい合わせ、その間に電解質膜を挟み込む工程
を有していることを特徴とする。
【0025】
この電気化学蓄電素子の製造方法によれば、高品質の透明電気化学蓄電素子を、簡便で効率よく得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の透明薄膜電極は、透明電気化学蓄電素子のような蓄電デバイスの電極として用いられる。それを電極として組み込んだ電気化学蓄電素子も、透明である。そのうえ大容量の電荷を蓄積できるから、透明な回路を作製するために用いられる。さらにフレキシブルにすることもできる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
本発明の透明電気化学蓄電素子は、第1~7工程の製造方法により作製される。
【0029】
第1工程で、酸化ルテニウムとアルカリ金属化合物との混合物を700~900℃で焼成、または500~700℃で溶融し、層間にアルカリ金属イオンが介在している微粒子状の層状ルテニウム酸化合物を得る。
【0030】
第2工程で、この化合物を、硫酸水溶液のような酸性水溶液中で撹拌し、介在するカリウムイオンの少なくとも一部をプロトンに交換させ、層間にプロトンが介在している層状ルテニウム酸微粒子を得る。
【0031】
第3工程で、層状ルテニウム酸微粒子を、アルキルアミン水溶液中で撹拌して、介在するプロトンの少なくとも一部をアルキルアンモニウムイオンに交換させ、層間にアルキルアンモニウムイオンが介在している層状ルテニウム酸化合物中間体を得る。このアルキルアミンのアルキル基として直鎖、分岐鎖または環状で炭素数18以下の基が挙げられる。アルキルアミンはエチルアミンであることが特に好ましい。
【0032】
第4工程で、この中間体を、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で撹拌して、介在するアルキルアンモニウムイオンの少なくとも一部をテトラアルキルアンモニウムイオンに交換させ、層間にテトラアルキルアンモニウムイオンが介在している層状ルテニウム酸化合物の微粒子を得る。テトラアルキルアンモニウムのアルキル基として直鎖、分岐鎖または環状で炭素数18以下の基が挙げられ、前記アルキルアミンのアルキル基と同一であっても異なっていてもよい。テトラアルキルアンモニウムの各アルキル基が同一であっても異なっていてもよい。このようなテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドとしてテトラn-ブチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。
【0033】
第5工程で、この微粒子を、有機溶媒のような分散溶媒中に分散させ、層剥離させて、それの上澄みからコロイド状ルテニウム酸化合物を得る。分散溶媒は、高誘電率であることが好ましい。非プロトン性であると一層好ましい。このような高誘電率溶媒として、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、炭酸エチレン、炭酸プロピレンおよびニトロメタンが挙げられる。中でもアセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0034】
第6工程で、コロイド状ルテニウム酸化合物を透明体上に付し、電気泳動を施して、該コロイド状ルテニウム酸化合物を透明体上で再び層状に堆積させ、その層の間にテトラアルキルアンモニウムイオンのようなイオンが非介在である膜を形成する。水で洗浄すると、透明薄膜電極が得られる。電気泳動時間は、泳動電界にもよるが、2分以下であることが好ましく、15~60秒であるとなお一層好ましい。電気泳動は、通常より遥かに低い1~20Vの泳動電圧、電極間距離が0.5~5cmで、印加されることが好ましい。電界が約5V/cmであるとなお一層好ましい。
【0035】
第7工程で、図1に示すように、この透明薄膜電極の対2および4の間に、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系電解質膜3を挟み、加熱した後、この電解質膜3の間隙に硫酸水溶液のような酸溶液を含浸すると、透明電気化学蓄電素子として電気化学キャパシタ1が得られる。
【0036】
この電気化学キャパシタ1は、背後の基材5が明瞭に透けて見えるというものである。
【0037】
それの具体的な作製例を実施例1に示す。
【0038】
(実施例1)
(第1工程)酸化ルテニウム(和光純薬工業(株)社製;化学用)と炭酸カリウムとを混合し、圧搾してペレット化した。それをArガス気流下、850℃で12時間加熱し焼成した。得られた焼成物を粉砕した後、水で洗浄し、15000r.p.m.で15分間遠心分離した。得られた沈殿物を120℃で12時間乾燥すると、層間カリウムイオン介在層状ルテニウム酸化合物が得られた。
【0039】
(第2工程)これを0.5MのHSO水溶液に加え、60℃で撹拌し、介在するイオンを交換させた。それを水で洗浄し、15000r.p.m.で15分間遠心分離した後を、120℃で12時間乾燥することにより、層間プロトン介在層状ルテニウム酸微粒子を得た。
【0040】
(第3工程)この層状ルテニウム酸微粒子の100重量部を、70%エチルアミン水溶液50重量部に加え、25℃で24時間撹拌し、介在するイオンを交換させた。析出物をアセトンで洗浄し、15000r.p.m.で15分間遠心分離した後、真空乾燥することにより、層間エチルアンモニウムイオン介在層状ルテニウム酸化合物中間体を得た。
【0041】
(第4工程)この中間体を10%のテトラn-ブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に加え、25℃で50時間撹拌し、介在するイオンを交換させた。それを15000r.p.m.で30分間遠心分離して上澄み液から分離し、層間テトラn-ブチルアンモニウムイオン介在層状ルテニウム酸化合物微粒子を得た。
【0042】
(第5工程)この微粒子を、N,N-ジメチルホルムアミドに分散させて、ルテニウム酸化合物を層剥離させた。その液を、2000r.p.m.で30分間遠心分離させた。その上澄みを分取すると、コロイド状ルテニウム酸化合物が得られた。
【0043】
(第6工程)ITO-ガラス基板上にコロイド状ルテニウム酸化合物を付し、北斗電工社製の商品名HZ-3000を用いてそれに電気泳動を施した。電気泳動条件は、泳動電界が5V/cm、電極間距離1または2cmというものである。5V、1cmで5、15、30、60または120秒間、10V、2cmで15、30または60秒間、電気泳動することにより、合計8種類の透明薄膜電極が得られた。
【0044】
(第7工程)同じ時間電気泳動させて得た対の透明薄膜電極2・4の間に、Nafion117膜3を挟み、130℃で1時間熱処理した。その後、0.5MのHSO水溶液の電解液に浸し、隙間に硫酸がしみ込んだ電気化学蓄電素子として電気化学キャパシタ1が得られた。
【0045】
(実施例2)
実施例1の第6工程で、透明体をITO-ガラス基板から、厚み125μmで表面抵抗10~22Ω/sqであるITO-PET基板(株式会社トービ製;品名OTEC:品番113B-N125N)にかえたことおよび泳動時間を30分にしたこと、泳動電圧を5V、電極間距離を1cmとしたこと以外は実施例1と同様にして、フレキシブルな薄膜電極および電気化学キャパシタを得た。
【0046】
(実施例1および2の薄膜電極および電気化学キャパシタの物性評価)
実施例1および2の第6工程で得た透明薄膜電極の外観を観察し、また実施例2の薄膜電極の曲げ特性を評価した。引き続く第7工程で得た電気化学キャパシタの外観を観察し、さらにその電気化学測定を行なった。
【0047】
(a. 薄膜電極の外観観察)
実施例1で泳動電圧を10V、電極間距離を2cmとし、15、30または60秒間、電気泳動した3種類の薄膜電極の外観を目視で観察した。電気泳動時間が15秒間である薄膜電極は、背後の基材に付された文字が極めて明瞭に透けて見える程度にほぼ無色の透明であり、僅かに不均質な薄膜を形成したものであった。電気泳動時間が30秒間である薄膜電極は、僅かに着色されているが、背後の基材に付された文字が明瞭に透けて見える程度に透明であり、極僅かに不均質な薄膜を形成したものであった。電気泳動時間が60秒間である薄膜電極は、一層濃く着色されているが、背後の基材に付された文字が不明瞭ながら透けて見える程度に透明であり、均質な薄膜を形成したものであった。
【0048】
(b. 薄膜電極の曲げ特性および強度評価)
実施例2で得た薄膜電極の曲げ特性および物理的強度について評価したところ、PETフィルムと同等の曲げ特性を有しており、フレキシブル性、膜強度ともにPETフィルムと同等であり、特段問題は認められなかった。
【0049】
(c. 電気化学キャパシタの外観観察)
実施例1で15、30または60秒間、電気泳動した前記3種類の薄膜電極から作製した夫々の電気化学キャパシタの外観を目視で観察した。電気化学キャパシタは、薄膜電極の場合にその電気泳動時間が長くなるにつれて着色していたのと同じような外観が観察された。実施例2で得た電気化学キャパシタについても同様であった。
【0050】
(d. 電気化学キャパシタの電気化学測定)
実施例1のように泳動電圧を10V、電極間距離を2cmとし、15または30秒間電気泳動を施して作製された電気化学キャパシタについて、サイクリックボルタンメトリーによる電気化学測定を行なった。それのサイクリックボルタモグラムを図2に示す。
【0051】
なおその電気化学測定の測定条件は、電気化学測定システム(北斗電工(株)製;商品名HZ-3000)を用い、電位走査範囲が-0.5~+0.5V、電解液が0.5M HSOというものである。
【0052】
そのサイクリックボルタモグラムの形状から明らかなように、電気化学キャパシタとして作用していることが確認された。このサイクリックボルタモグラムを用いて算出した2mVs-1走査の場合のキャパシタンスは、15秒間電気泳動して作製した電気化学キャパシタが3mC/cmであるのに対し30秒間電気泳動して作製した電気化学キャパシタが4mC/cmであった。
【0053】
また泳動電圧を5V、電極間距離を1cmで5、15、30、60または120秒間、泳動電圧を10V、電極間距離を2cmで15、30または60秒間、電気泳動を施して作製された電気化学キャパシタについて、泳動時間に対するキャパシタンスの変化を図3に示す。泳動時間とキャパシタンスとが、比例関係にあることが示された。
【0054】
さらに、泳動電圧を10V、電極間距離を2cmで30秒間電気泳動して作製された電気化学キャパシタの走査速度を2~50mV/sまで変えたときのサイクリックボルタモグラムの変化を図4に示す。図4から明らかなように理想的な矩形のボルタモグラム形状を示した。各走査速度毎のキャパシタンスは、50mV/sのとき6.7mF、20mV/sのとき7.2mF、5mV/sのとき7.7mF、2mV/sのとき8.4mFであった。早い走査速度でも電荷蓄積が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の透明薄膜電極を用いた電気化学蓄電素子は、透明太陽電池や透明トランジスタとハイブリッド化して、各種の透明な電子機器の電子デバイスに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を適用する電気化学蓄電素子を示す斜視図である。

【0057】
【図2】本発明を適用する電気化学蓄電素子のサイクリックボルタモグラムを示す図である。

【0058】
【図3】本発明を適用する電気化学蓄電素子を作製するときの泳動時間とそれのキャパシタンスの変化との関係を示す図である。

【0059】
【図4】本発明を適用する電気化学蓄電素子の走査速度を2~50mVまで変えたときのサイクリックボルタモグラムの変化を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1は電気化学蓄電素子、2・4は薄膜電極、3は電解質膜、5は背後の基材である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3