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明細書 :小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの判定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4157947号 (P4157947)
公開番号 特開2006-126083 (P2006-126083A)
登録日 平成20年7月25日(2008.7.25)
発行日 平成20年10月1日(2008.10.1)
公開日 平成18年5月18日(2006.5.18)
発明の名称または考案の名称 小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの判定方法
国際特許分類 G01N  33/53        (2006.01)
C07K   5/117       (2006.01)
C07K   7/06        (2006.01)
FI G01N 33/53 ZNAQ
G01N 33/53 D
C07K 5/117
C07K 7/06
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2004-316792 (P2004-316792)
出願日 平成16年10月29日(2004.10.29)
審査請求日 平成18年6月19日(2006.6.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
発明者または考案者 【氏名】松尾 裕彰
【氏名】森田 栄伸
個別代理人の代理人 【識別番号】100116861、【弁理士】、【氏名又は名称】田邊 義博
審査官 【審査官】海野 佳子
参考文献・文献 MORITA E. et al.,"Fast ω-gliadin is a major allergen in wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis.",J. dermatol. Sci. ,2003年11月,Vol.33,No.2,p.99-104
加藤保子 他2名,「自発運動量による穀物依存性運動誘発アナフィラキシーのメカニズム解明」,飯島記念食品科学振興財団年報,2004年 8月,Vol.2002,p.263-270
MATSUO H. et al.,"Identification of the IgE-binding Epitope in ω-5 Gliadin, a Major Allergen in Wheat-dependent Exercise-induced Anaphylaxis.",J. BIol. Chem.,2004年 3月26日,Vol.279,No.13,p.12135-12140
望月満 他2名,「食物依存性運動誘発性アナフィラキシー」,小児科診療,2003年,Vol.66,Suppl.2003,増刊号,p.39-43
澤田淳 他2名,「小麦タンパク質の免疫疾患惹起性の分子構造解析とグルタミン残基に着目した低減化法の開発」,飯島記念食品科学振興財団年報,1998年 8月,Vol.1996,p.259-264
調査した分野 G01N 33/48-98
特許請求の範囲 【請求項1】
小麦依存性運動誘発アナフィラキシーのin vitro判定に際しての、配列番号1~3に記載の3種のペプチドすべての使用。
【請求項2】
小麦依存性運動誘発アナフィラキシーのin vitro判定に際しての、配列番号1~10に記載の10種のペプチドすべての使用。
【請求項3】
小麦依存性運動誘発アナフィラキシーのin vitro判定に際しての、配列番号2,3,4および5に記載の4種のペプチドすべての使用。
【請求項4】
配列番号1~3に記載の3種のペプチドすべてを抗原として使用した小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの診断キット。
【請求項5】
配列番号1~10に記載の10種のペプチドすべてを抗原として使用した小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの診断キット。
【請求項6】
配列番号2,3、4および5に記載の4種のペプチドすべてを抗原として使用した小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの診断キット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーに対する高感度のin vitro判定が可能な即時型小麦アレルギーの判定方法および診断キットに関する。
【背景技術】
【0002】
重篤な即時型アレルギーを引き起こす食物アレルギーの原因として、小麦は、卵,乳製品に続いて3番目に患者数の多い食物として知られている。その症状としては、全身のかゆみ、おう吐、喘息や腸炎といったものが挙げられる。また近年、食物を摂取するのみでは症状が誘発されず、食物摂取後の運動や非ステロイド性消炎鎮痛薬の内服などの2次的要因が加わることにより重篤な症状が誘発される、いわゆる食物依存性運動誘発アナフィラキシーが存在することが明らかになってきた。そして、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因食物としては、小麦が最も多く報告されている(非特許文献2)。
【0003】
特に、2次的要因を必要とする食物依存性運動誘発アナフィラキシーに関しては発見および確定が困難であるので、病気の確定診断方法として、患者を入院させ、小麦製品の摂取と運動やアスピリンの内服とを組み合わせた負荷試験を行い、実際に症状が再現されるかどうかを確認する方法が知られている。
【0004】

【非特許文献1】松尾裕彰,他9名,「Identification of the IgE-binding epitope in omega-5 gliadin, amajor allergen in wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis」, The Journal ofBiological Chemistry,2004年,279巻,13号,p.12135-12140
【非特許文献2】望月満,他2名,「食物依存性運動誘発性アナフィラキシー」小児科診療2003年,4月 第66巻,増刊号,P.39-43
【非特許文献3】Kati Palosuo 他7名,「A novel wheat gliadin as a cause of exercise-induced anaphylaxis.」,Journal of Allergy andClinical Immunology,1999年,103巻,5号,P.912-917.
【非特許文献4】Kati Palosuo 他6名, 「Wheat omega-5 gliadin is amajor allergen in children with immediate allergy to ingested wheat.」,Journal of Allergy andClinical Immunology, 2001年,108巻,4号,P.634-638
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの確定診断方法に至っては、その食物負荷試験の性質上、試験中に被験者がショックを起こす場合があるという本質的問題点があった。従って、被験者の負荷がきわめて大きいという問題点があり、さらに、入院が必要である点からも被験者の負担が大きくなるという問題点があった。また、症状が再現されない場合があるという問題点もあった。
【0006】
また、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの発症可能性の有無の判定に際しては、グルテン構成タンパク質であるω-5グリアジンが原因抗原として知られているため(非特許文献3)、血液中のグルテン特異的IgE抗体を測定する診断方法が存在する。しかしながら、グルテンは多種のタンパク質より構成されており、また、小麦の品種によってもその成分含量が異なる。従って、正確な診断ができず、結局上述した確定診断方法が必要となるという問題点があった。
【0007】
また、非特許文献1に記載の本願発明者らによる報告では、ω-5グリアジンのいくつかのIgE結合エピトープ配列を特定できたものの、他にも存在するはずの原因抗原およびそのエピトープ配列が特定できていない。その結果として、ω-5グリアジン、または、そのエピトープ配列特異的IgE抗体の測定のみでは、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者の診断にもれが出てしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを被験者の負担が少なくかつ高感度で診断できるようになることを目的とする。
【0009】
また、本発明は、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを被験者の負担が少なくかつ簡易に診断できるようになることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本願発明者は鋭意検討の結果、特に、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者であれば、グルテン中の特定タンパク質、すなわち、HMW(High Molecular Weight)-グルテニンの所定アミノ酸配列とω-5グリアジンの所定アミノ酸配列がエピトープ(IgE反応部位)となりうることを突き止めた。そして、患者によっては、片方のタンパク質(中の所定アミノ酸配列)のみに反応する場合もあれば両方のタンパク質(中の所定アミノ酸配列)に反応する場合もあることを突き止めた。これらの知見により、本発明はなされたものである。
【0011】
また、請求項1に記載の発明は、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーのin vitro判定に際しての、配列番号1~3に記載の3種のペプチドすべての使用である。すなわち、請求項1にかかる発明によれば、少なくともHMW-グルテニンが発症主原因である患者、特に、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者を効率的に発見可能となる。ここで効率的にとは、擬陽性または擬陰性と判断される可能性が小さくなることをいう。なお、本願ではin vitro判定とは血液判定、血清判定、血漿判定など、一旦体内から取り出したIgEを含む体液による判定を指すものとする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーのin vitro判定に際しての、配列番号1~10に記載の10種のペプチドすべての使用である。すなわち、請求項2にかかる発明によれば、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者を最も効率的かつ高感度に発見可能となる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーのin vitro判定に際しての、配列番号2,3,4および5に記載の4種のペプチドすべての使用である。すなわち、請求項3にかかる発明によれば、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの簡易判定が可能となる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、配列番号1~3に記載の3種のペプチドすべてを抗原として使用した小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの診断キットである。すなわち、請求項4にかかる発明によれは、少なくともHMW-グルテニンが発症主原因である患者、特に、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者を効率的に発見可能となる。ここで効率的にとは、擬陽性または擬陰性と判断される可能性が小さくなることをいう。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、配列番号1~10に記載の10種のペプチドすべてを抗原として使用した小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの診断キットである。すなわち、請求項5にかかる発明によれば、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者を最も効率的かつ高感度に発見可能となる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、配列番号2,3、4および5に記載の4種のペプチドすべてを抗原として使用した小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの診断キットである。すなわち、請求項6にかかる発明によれば、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの簡易診断が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの有無を被験者の負担が少なくかつ高感度で診断できるようになる。また、本発明によれば、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの有無を被験者の負担が少なくかつ簡易に診断できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(小麦依存性運動誘発アナフィラキシーに対する抗原タンパク質の絞込み)
まず、負荷誘発試験により小麦依存性運動誘発アナフィラキシーと確定されている患者17名を被験者として、小麦のどのタンパク質が抗原であるのかを決定することとした。そこで、小麦粉から、α-グリアジン、β-グリアジン、γ-グリアジン、ω-5グリアジン、ω-1,2グリアジン、および、HMW-グルテニン、LMW(Low Molecular Weight)-グルテニンを、分子サイズ排除クロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーを用いて精製した。
【0019】
ついで、精製各種グリアジンおよびグルテニンをPVDFメンブレン(Millipore社製)にスポットし、これに10%患者血清を反応させた。続いて、メンブレンに結合したIgE抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgE抗体(バイオソース社製)およびECL-Plus Western blot detection regent(アマシャム・バイオサイエンス社製)を用いて検出した。このとき、スポット強度を画像解析ソフトであるゲルプロアナライザー(GelPro analyzer:Media Cybernetics社製)にて数値化し、血清IgEの反応性を解析することとした。
【0020】
図1は、負荷誘発試験により小麦依存性運動誘発アナフィラキシーと確定されている患者17名について、小麦中の各タンパク質に対するIgEの反応強度を示した図である。図より、患者番号4、11、13および17の4名はHMW-グルテニンに、残りの13名はω-5グリアジンに最も強く反応することが確認できた。なお、図中の単位は積算光学強度を示している。
【0021】
(HMW-グルテニンのIgE結合エピトープの同定)
次に、このHMW-グルテニンに反応するIgE抗体を保有する4名の患者の血清を再度準備し、IgE結合エピトープ配列を確定する作業を行った。初めに、既にデータベースに登録されているHMW-グルテニンのアミノ酸配列を基に、14長ペプチドを、アミノ酸の重複長を7長としてSPOTsメンブレン(シグマジェノシス社製)上に合成し、計16本のペプチドアレイを作製した。HMW-グルテニンの配列を配列表11に示した。また、図2に、14長×116本のペプチドアレイの対応図を示した。
【0022】
作製したメンブレンを10%患者血清と反応させ、結合したIgE抗体を同様に西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgE抗体およびECL-Plus Western blot detection regentにて検出した。
【0023】
図3は、4人の患者のIgE抗体反応結果である。図中、写真は8マス×15列のメンブレンであり、左右の数字は14長ペプチドの番号を示している。また、写真下は、血清と反応したペプチドの番号とそのアミノ酸配列を示している。特異的に血清IgEが結合したペプチドを位置決めすると、4人すべての患者にQQSGQGQ(配列番号3)が含まれ、また、患者1と患者4には、それぞれ、QQPGQ(配列番号1)、および、QQPGQGQQ(配列番号2)が含まれていた。従って、これらが、IgE抗体と結合するエピトープであると想定できた。なお、血清の代わりに水を添加した場合に検出されたペプチドは除外することとした(図4参照)。
【0024】
次に、エピトープであることを確定するため、QQPGQ(配列番号1)とアミノ酸配列QQPGQGQQ(配列番号2)とを含むペプチド番号17(図2および配列番号11参照)、および、QQSGQGQ(配列番号3)を含むペプチド番号69(図2および配列番号11参照)について、前後を欠失させたものをメンブレン上に合成し、患者血清IgEとの反応性を比較した。
【0025】
図5は、ペプチド番号17およびペプチド番号69を用いたエピトープ配列の決定実験の結果を示した図である。図中、写真は、ペプチド17の前端もしくは後端を欠失させた14パターンのペプチドに対する反応結果である。なお、写真横の数字はパターン番号を、その右側の配列はペプチドのアミノ酸配列を示している。図から明らかなように、QQSGQGQ(配列番号3)、QQPGQ(配列番号1)、および、QQPGQGQQ(配列番号2)はエピトープ配列であることが確認できた。
【0026】
(ω-5グリアジンのIgE結合エピトープの同定)
次に、ω-5グリアジンに最も強く反応するIgE抗体を保有する患者4名(図1の患者1,2,3,および、5)の血清を用いてω-5グリアジンのIgE結合エピトープ配列を確定する作業を行うこととした。ω-5グリアジンの全長型のアミノ酸配列は報告されていなかったので、小麦EST(Expression Sequence Tag)データベースに報告されていたω-5グリアジン断片のアミノ酸配列から、全長型のアミノ酸配列を推測した。この推定ω-5グリアジンのアミノ酸配列を基に、13長ペプチドを、アミノ酸の重複長を6長としてSPOTsメンブレン(シグマジェノシス社製)上に合成し、計66本のペプチドアレイを作製した。推定ω-5グリアジンの配列を配列表12に示した。また、図6に、13長のペプチドアレイ66本を示した。
【0027】
作製したメンブレンを10%患者血清と反応させ、HMW-グルテニンの時と同様に、結合したIgEを西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgE抗体およびECL-Plus Western blot detection regentにて検出した。
【0028】
図7は、4人の患者のIgE抗体反応結果である。図中、4名の患者血清IgE抗体が共通して比較的強く反応したペプチドはペプチド番号5,8,10,13,18,21,23,24,26,28,32,34,36,37,38,39,40,41,43,45,46,47,49,50,51,52,53,54,57,58,60および64であった。なお、ペプチド番号61と62は患者3のIgE抗体にのみ結合した。
【0029】
この結果から特異的に血清IgEが結合したペプチドを位置決めすると、ペプチド番号10,26および43中に見られるQQIPQQQ(配列番号4)、ペプチド番号5,8,21,32,36,37,39,40,45,46,47,49,51,52,53,54,58および60中に見られるQQFPQQQ(配列番号5)、並びに、ペプチド番号13,18,23,24,28,34,41および50中に見られるQQLPQQQ(配列番号8)がIgE結合エピトープの一部として予想された。さらに、IgEの反応が強く認められたペプチド番号38,57,61,62および64のアミノ酸配列中にもQQIPQQQ(配列番号4),QQFPQQQ(配列番号5),QQLPQQQ(配列番号8)以外のIgE結合エピトープ配列が存在すると予想された。
【0030】
この知見を基に、ペプチド番号26,28,38,47,57,61,62および64について、HMW-グルテニンと同様に一部欠失させたペプチドをSPOTsメンブレン上に合成し、患者血清IgEとの反応性を比較した。その結果、QQIPQQQ(配列番号4),QQFPQQQ(配列番号5),QQLPQQQ(配列番号8)はIgE結合エピトープ配列であると確認できた。さらに、QQSPQQQ(配列番号7),QQSPEQQ(配列番号6),QQYPQQQ(配列番号9),PYPP(配列番号10)もIgE結合エピトープであることが明らかとなった。
【0031】
(小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者血清IgEのエピトープに対する反応性の検討)
次に、負荷試験により確定診断された小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者28名の血清が、上記手法により決定された10種のエピトープ配列に対してどのように反応するかを調べた。図8に結果を示す。図示したように、すべての患者は、何れかのエピトープ配列に結合するIgE抗体を保有していた。
【0032】
なお、図中の最下段は、従来、診断に有効であるとされていたグルテン特異的IgE検査結果を示している。従来検査では、陽性判定数値とされる0.35を超えず、陰性と判定されてしまっていた患者8名(図8中の患者番号1,8,13,16,18,19,23および24)に関しても、本試験では陽性と判定され、感度が高いことが確認できた。
【0033】
従って、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの発症可能性の有無に関しては、被験者の血液を用いて、配列番号1~10に記載のペプチドと反応するか否かによって判定可能となる。診断キットとして適用も可能であり、担体に配列番号1~10のペプチドを結合させたもの作製してもよい。用法としては、被験者の血清を診断キットに滴下し、所定時間経過後血清を洗い流し、IgE抗体反応があった場合にのみ反応する試薬を滴下する方法が挙げられる。
【0034】
なお、図8から明らかなように、28名の患者は、HMW-グルテニンとω-5グリアジンの何れかにもしくは何れもにIgE抗体を有するが、HMW-グルテニンに対してIgE抗体を有する患者は必ずQQPGQGQQ(配列番号2)またはQQSGQGQ(配列番号3)に反応し、ω-5グリアジンに対してIgE抗体を有する患者は必ずQQIPQQQ(配列番号4)およびQQFPQQQ(配列番号5)に反応する。従って、配列番号2,3、4および5のペプチドを用いた簡易診断キットとしての応用も可能である。
【0035】
また、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者であれば、そのIgE抗体が必ず配列番号1~10のいずれかに記載のエピトープに結合するが、逆に、並列番号1~10のいずれかのエピトープに結合するIgE抗体を有する人が、必ずしも、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者ではなく、発症に特に運動負荷を必要としない即時型小麦アレルギー患者である場合がある。実際に、ω-5グリアジンは即時型小麦アレルギーの原因抗原としても報告されている(非特許文献4)。従って、配列番号1~10のいずれかに記載のエピトープ配列を含むペプチドないしタンパク質を用いて、一般的な即時性小麦アレルギーの診断も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、自覚症状のない潜在的な小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者を発見可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】負荷誘発試験により小麦依存性運動誘発アナフィラキシーと確定されている患者17名について、小麦中の各タンパク質に対する反応強度を示した図である。
【図2】HMW-グルテニン由来の14長×116本のペプチドアレイの対応図を示した図である。
【図3】4人の患者のHMW-グルテニン由来のペプチドに対するIgE抗体反応結果を示した図である。
【図4】血清の代わりに水を添加した場合の反応結果を示した図である。
【図5】ペプチド17およびペプチド69を用いたエピトープ配列の決定実験の結果を示した図である。
【図6】ω—5グリアジン由来の13長×66本のペプチドアレイの対応図を示した図である。
【図7】4人の患者のω-5グリアジン由来のペプチドに対するIgE抗体反応結果を示した図である。
【図8】小麦依存性運動誘発アナフィラキシー試験の陽性患者28名の血清を用いて同定したエピトープ配列と個々の患者の反応結果とを示した図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3-1】
2
【図3-2】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8