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明細書 :レゾルシノール系ポリマーを前駆体としたワイヤー状炭素粒子とその製造方法及び用途

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4899042号 (P4899042)
公開番号 特開2007-039264 (P2007-039264A)
登録日 平成24年1月13日(2012.1.13)
発行日 平成24年3月21日(2012.3.21)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
発明の名称または考案の名称 レゾルシノール系ポリマーを前駆体としたワイヤー状炭素粒子とその製造方法及び用途
国際特許分類 C01B  31/02        (2006.01)
B01J  20/20        (2006.01)
H01M   4/583       (2010.01)
H01M   4/62        (2006.01)
C09D  11/00        (2006.01)
C09D   7/12        (2006.01)
C09J  11/04        (2006.01)
FI C01B 31/02 101B
B01J 20/20 A
H01M 4/58 102
H01M 4/62 A
H01M 4/62 Z
C09D 11/00
C09D 7/12
C09J 11/04
請求項の数または発明の数 10
全頁数 16
出願番号 特願2005-223142 (P2005-223142)
出願日 平成17年8月1日(2005.8.1)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成17年3月11日 社団法人日本化学会発行の「日本化学会第85春季年会 講演予稿集 1」に発表
特許法第30条第1項適用 平成17年5月10日 社団法人高分子学会発行の「高分子学会予稿集 54巻1号」に発表
審査請求日 平成20年7月23日(2008.7.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
発明者または考案者 【氏名】木島 剛
【氏名】藤川 大輔
個別代理人の代理人 【識別番号】100127513、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 悟
審査官 【審査官】廣野 知子
参考文献・文献 特開2005-029779(JP,A)
特開2002-110250(JP,A)
特開平04-209713(JP,A)
特開2002-173308(JP,A)
特開平03-127607(JP,A)
Norikazu Nishiyama et.al.,CARBON,ELSEVIER,2005年 1月 7日,43、2,269-274
調査した分野 C01B 31/00-31/36
JSTPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーと、ホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーとの共重合体を骨格成分とするワイヤー状の化合物を不活性雰囲気下で焼成することにより得られる直径0.5~50μm、長さ20~300μmのワイヤー状の形態を有することを特徴とするワイヤー状炭素粒子。
【請求項2】
レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーと、ホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーとの共重合体と、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアルキルアンモニウム塩、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンよりなる群から選択された1種以上の界面活性剤との結合によって成るワイヤー状の化合物を不活性雰囲気下で焼成することにより得られる直径0.5~50μm、長さ20~300μmのワイヤー状の形態を有することを特徴とするワイヤー状炭素粒子。
【請求項3】
レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーと、ホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーとの共重合体を骨格成分とするワイヤー状の化合物を不活性雰囲気下で焼成することにより得られる直径10~300nm、長さ1~100μmのワイヤー状の形態を有することを特徴とするワイヤー状炭素粒子。
【請求項4】
レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーと、ホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーとの共重合体と、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアルキルアンモニウム塩、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンよりなる群から選択された1種以上の界面活性剤との結合によって成るワイヤー状の化合物を不活性雰囲気下で焼成することにより得られる直径10~300nm、長さ1~100μmのワイヤー状の形態を有することを特徴とするワイヤー状炭素粒子。
【請求項5】
触媒としてのアルカリの存在下、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアルキルアンモニウム塩、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンよりなる群から選択された1種以上界面活性剤と水を1:120~1200のモル比で混合した溶液に、レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーとホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーを加え、反応させることで得られる生成物を、エタノール等のアルコール類よりなる群から選択された1種類以上の溶媒と塩酸等の酸よりなる群から選択された1種類以上の酸の混合溶液で処理することによって得られた化合物を不活性雰囲気下で焼成することを特徴とする請求項1に記載するワイヤー状炭素粒子の製造方法。
【請求項6】
触媒としてのアルカリの存在下、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアルキルアンモニウム塩、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンよりなる群から選択された1種以上界面活性剤と水を1:120~1200のモル比で混合した溶液に、レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーとホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーを加え、反応させることによって得られた化合物を不活性雰囲気下で焼成することを特徴とする請求項2に記載するワイヤー状炭素粒子の製造方法。
【請求項7】
触媒としてのアルカリとヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアルキルアンモニウム塩、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンよりなる群から選択された1種以上界面活性剤とメシチレン等のアルキルベンゼンよりなる群から選択された1種類以上の添加剤存在下で、レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーとホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーを反応させることで得られる生成物を、エタノール等のアルコール類よりなる群から選択された1種類以上の溶媒と塩酸等の酸よりなる群から選択された1種類以上の酸の混合溶液で処理することによって得られた化合物を不活性雰囲気下で焼成することを特徴とする請求項3に記載するワイヤー状炭素粒子の製造方法。
【請求項8】
触媒としてのアルカリとヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアルキルアンモニウム塩、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンよりなる群から選択された1種以上界面活性剤とメシチレン等のアルキルベンゼンよりなる群から選択された1種類以上の添加剤存在下で、レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーとホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーを反応させることによって得られた化合物を不活性雰囲気下で焼成することを特徴とする請求項4記載するワイヤー状炭素粒子の製造方法。
【請求項9】
前記アルカリが水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項5ないし8の何れか1項に記載するワイヤー状炭素粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし4の何れか1項に記載するワイヤー状炭素粒子を含んで成り、(a)各種物質の分離剤、吸着剤若しくは貯蔵剤、(b)繊維、ゴム、フィルム若しくはプラスチック製品などの添加剤・充填(c)塗料、インキ、接着剤若しくは紙塗工剤などの液体製品への添加剤、(d)電池材料、又は、(e)電気二重層キャパシタ材料、の多用途に使用されることを特徴とする汎用性機能材料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高性能分離剤、吸着剤、物質貯蔵剤、繊維・ゴム・フィルム・プラスチック製品・インキ・塗料・、着剤などへの添加剤、断熱材などとして使用されるレゾルシノール/ホルムアルデヒド系共重合体を骨格成分とする層状構造を構成単位とするワイヤー状形態を有することを特徴とするワイヤー状炭素粒子とその製造方法及び用途に関する。
【0002】
本明細書において、ワイヤー状とは、高分子粒子あるいはこれを前躯体として合成された炭素粒子の外形形状を指し、これらの外形形状がワイヤー状を呈している状態を指しているものであり、さらに云うと短軸と長軸の比が、1を越えたアスペクト比の高いロッド状、ひげ状、ひも状等の外形をした態様のものを含み得、いわゆる球形の粒子に対してこれと区別するためこれらを総称して云い、含むものである。
【背景技術】
【0003】
フェノールのメタ位にヒドロキシル基が置換したレゾルシノールとホルムアルデヒド等のアルデヒド類を酸またはアルカリで縮合させて得られる油状または固体状の無定形ポリマーであるレゾルシノール樹脂は、フェノール樹脂と同様に、その熱硬化性を利用して、樹脂単独で、あるいはアルコールに溶かしたワニス、または木粉、染料などとともに硬化剤を加えて処理することにより、接着剤、絶縁積層板、化粧板等に用いられてきた。これらはいずれも専ら液状または固体ポリマーとしての流動性、接着性、熱硬化性、成形性を応用したものである。
【0004】
これに対して近年、レゾルシノール樹脂を多孔質化あるいは微粒子化する技術の開発が進んでいる。Pekalaらは、レゾルシノール(R)-ホルムアルデヒド(F)の加水分解・縮合反応機構と無機酸化物のゾル-ゲル反応との類似性を指摘するとともに、RF縮合体の超臨界乾燥により比表面積約700m2/gのエアロゲルが得られることが見出されたとの報告がされている(非特許文献1)。
【0005】
そして、この多孔性のRFゲルを炭化することにより、多孔質カーボンが得られることを報告した(非特許文献2)。さらに、関連技術として、シリカ微粒子(非特許文献3)、ポリスチレンラテックス(非特許文献4)あるいはブロックコポリマー(非特許文献5)とレゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂との複合体を調製後、これを炭化することにより細孔構造を制御した炭素材料を合成した事例も報告されている。
【0006】
このように、レゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂を炭素源として、樹脂の構造・形態それ自体、あるいは各種多孔体の細孔構造に樹脂を導入してできる骨格構造を炭素構造体として写し取ることにより、特異な形状や細孔構造を有する炭素材料ならびにこれを創製する技術が開発されてきた。
【0007】
一般にポリマー微粒子は、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニル等の油性モノマーを出発原料とする場合、一般に、水系分散媒体中での乳化重合あるいは分散重合により調製される。
【0008】
また、フェノール類とアルデヒド類の重縮合により生成する熱硬化性ポリマーの場合、微粒子の合成法は出発原料による違いが大きい。すなわち、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂系では、固体ポリマーを物理的に粉砕する方法あるいは予め重合したプレポリマーを乳化重合処理する方法により微粒子が調製される。
【0009】
これに対して、レゾルシノール/ホルムアルデヒド樹脂系では、疎水媒体中で水溶性モノマーを重合することにより、直接、直径数μmの球状粒子が生成し、これを不活性ガス中で焼成すると直径数μmの球状炭素粒子得られることが報告されている(非特許文献6)。
【0010】
工夫された方法で繊維状ポリマーの合成し、これを前駆体としてカーボンナノファイバー(CNF)を創製する技術も開発されている。すなわち、高圧電場印加下での各種ポリマーの紡糸(非特許文献7、8)、液相を反応場とするポリアクリロニトリル(PAN)の乳化重合(非特許文献9)のほか、アルミナ膜表面の細孔へのピッチの充填(非特許文献10)、陽極酸化アルミナ(非特許文献11)やセピオライト(非特許文献12)のような多孔質固体中でのPAN、ポリベンズイミダゾールの重合反応などにより繊維状ポリマーを合成し、これを不活性ガス中で焼成することにより同様サイズの繊維状炭素が得られることが報告されている。
【0011】
1992年、Mobil社により、界面活性剤ミセルを鋳型として、直径2~8nmのハニカム状のメソ細孔を有するメソボーラスシリカが創製された(非特許文献13)。その後、同様の手法により、立方格子状等各種の細孔構造をもつメソ多孔質シリカに加えて、金属酸化物や硫化物を骨格成分とする数多くのメソ多孔体が相次いで合成された(非特許文献14)。
【0012】
本発明者らも、ドデシル硫酸イオンを鋳型として、尿素を用いる均一沈澱法により生成した複合体を作製し、ついで鋳型イオンを酢酸イオンで交換することにより六方構造型希土類酸化物メソ多孔体を得ている(非特許文献15、16)。さらに、二種類のノニオン性界面活性剤からなる液晶中で塩化白金酸を還元することにより、白金ナノチューブの合成にも成功した(非特許文献17)。
【0013】
以上のようにして得られるメソ多孔体およびナノチューブの細孔径は、用いる鋳型分子の長さによってほぼ決定され、制御可能な細孔径は2nm~6nmの範囲に限られる。これに対して、界面活性剤のほかにトリメチルベンゼン等の疎水性分子を添加することにより、界面活性剤ミセルを膨潤させ、細孔径の制御範囲を拡大する方法も開発されている(非特許文献18、19)。
【0014】
一方、ポリマー微粒子についても、界面活性剤を利用した調製法が開発されてきている。最も広く用いられているのは、界面活性剤を乳化剤(分散剤)として、水系の溶媒中に形成させたエマルジョン内で、油性のビニル系モノマーを重合させる方法(乳化重合法)である。
【0015】
実例としては、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)などの合成ゴム、スチレン系、アクリル系、酢酸ビニル系などの樹脂エマルジョンなどの合成ラテックスがあげられる。この方法の主要な構成要素は、反応媒体の水、界面活性剤、水に難溶性のモノマー、水溶性の開始剤であり、重合初期に生成した重合体粒子が反応場となって重合が進行する。
【0016】
界面活性剤とモノマーあるいはポリマーをクーロン的に結合させながら重合あるいは複合化させる方法も開発されている。ポリマー電解質に界面活性剤を添加することによって生成する複合化ポリアクリル酸/ドデシルトリメチルアンモニウムイオン複合体(非特許文献20)はその代表例である。同様な反応法により、ハニカム構造をもつフェノール/ホルムアルヒド高分子複合体も得られている(非特許文献21)。
【0017】
本発明者らも界面活性剤のアルキルトリメチルアンモニウムブロミド存在下でフェノールとフルフラールを共重合することにより、チューブ状ナノ構造体を合成した(非特許文献22)。
【0018】
また最近、セチルトリメチルアンモニウムブロミド存在下で、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、炭酸ナトリウム、エタノール、水から成る混合溶液を加熱反応させると、100nm以下の不定形のクラスター集合体を生じ、さらに、デシルトリメチルアンモニウムブロミドあるいはテトラプロピルアンモニウムブロミド存在下での同様な反応では直径1~3μmの球状のレゾルシノール-ホルムアルデヒド重合体粒子が生成し、これを不活性ガス中で焼成すると同様サイズの球状炭素粒子が得られることが報告されている(非特許文献23)。
【0019】
一方、特許情報の中には、少なくとも約3~12カ月間にわたり安定な、(I)水不溶性または微溶性のアルコキシシラン、(II)乳化剤、(III)水、および(IV)アルコキシシラン官能基を含有する水分散性または乳化したポリマーを含む安定な水性硬化性シラン/ポリマー組成物(特許文献1)や、液滴の分散液を調製し、次いで、ポリマー粒子が所望とされる場合は、それら液滴中でモノマーの重合を行うことによって所望の粒子を調製することが記載されている(特許文献2)。さらにまた、UL-94のV-2等級、熱安定性、タフネス、加工性、加水分解及び化学品に対する抵抗性を有する、特定の制限された量の定義された芳香族ホスフェートエステル化合物を含む低揮発性芳香族ホスフェートエステル化合物含有カーボネートポリマー樹脂が提案されている(特許文献3)。
【0020】
そしてさらに、水相に分散された油相を含んでなり、その油小球が150nm未満の数平均サイズを有する水中油型ナノエマルジョンにおいて、少なくとも一種の油、少なくとも一種の両親媒性脂質、及び少なくとも1つの疎水性ブロックと少なくとも1つの親水性ブロックとを含む少なくとも一種の非イオン性ポリマーを含み、前記両親媒性脂質に対する油の量の比率を1から10とすることによってナノエマルションを得ること(特許文献4)が提案されている。
【0021】

【非特許文献1】Pekala、J.Mater.Sci.、24、3221~3227(1989)
【非特許文献2】R.W.Pekala,J.Non-Cryst.Solids,145,90(1992)
【非特許文献3】S.Hanほか2名、Chem.Mater.、12、3337~3341(2000)
【非特許文献4】T.F.Baumannほか1名、J.Non-Cryst.Solids、350、120~125(2004)
【非特許文献5】C.Liangほか4名、Angew.Chem.Int.Ed.、43、5785~5789(2004)
【非特許文献6】T.Yamamotoほか4名、Carbon、40、1345~1351(2002)
【非特許文献7】C.Kimほか6名、J.Raman.Spectrosc.、35、928~933(2004)
【非特許文献8】E.Zussmanほか6名、Carbon、(2005)
【非特許文献9】J.Jangほか1名、Angew.Chem.、116、3891~3894(2004)
【非特許文献10】K.Jianほか4名、Adv.Mater.、15、No.2、164~167(2003)
【非特許文献11】Y.Zhaoほか4名、M.Chem.AndPhys.、82、370~374(2003)
【非特許文献12】R.Fernandez-Saavedraほか2名、Adv.Funct.Mater.、14、No.1、77~82(2004)
【非特許文献13】C.T.Kresgaほか4名、Nature、359、710~712(1992)
【非特許文献14】木島剛ほか1名、J.Soc.Inorg.Mater.、8、3~16(2001)
【非特許文献15】M.Yadaほか3名、Inorg.Chem.、37、6470~6475(1998)、
【非特許文献16】M.Yadaほか3名、Angew.Chem.Int. Ed.、38、3506~3509(1999)
【非特許文献17】T.Kijimaほか5名,Angew.Chem.Intern.Ed.,43,228-232(2004).
【非特許文献18】B.Lindlarほか3名、Microporous and Mesoporous Mater.44-45,89-94,2001
【非特許文献19】Y.Liangほか1名、Microporous and Mesoporous Mater.44-45,72,(2004)
【非特許文献20】M.Antoniettiほか1名、Angew.Chem.Int.Ed.Eng.、33、1869(1994)
【非特許文献21】I.Moriguchiほか5名、Chem.Lett.、1171~1172(1999)
【非特許文献22】M.Uotaほか7名、MRS.Symp.Proc, 775,29-34(2003)
【非特許文献23】Nishiyama et al.、Carbon,43, 269-274,(2005)
【特許文献1】特許第3468776号
【特許文献2】特許第3530527号
【特許文献3】特許第3645910号
【特許文献4】特開2001-226221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、以上、従来技術について紹介、列挙した有機系ポリマー粒子および炭素生成物その調製法に関する多岐にわたる研究報告、先行技術を念頭に置きつつ、新規な合成プロセスで調製された、新規な物性、形態を有する炭素材料を提供しようというものである。
【0023】
すなわち、炭素の形状を間隔1~10nmの層状構造を構成単位とする直径2~100μm、長さ20~300μmのワイヤー状形態を反映した構造とすることにより、電気的、化学的、熱的、物理的に優れた機能を特異的に発現させてなる炭素を提供しようというものである。また、これによって、化学、電子、情報、環境の技術革新に寄与する新規素材を提供しようとするものである。
【0024】
レゾルシノール(R)-ホルムアルデヒド(F)の加水分解・縮合反応機構が無機酸化物のゾル-ゲル反応と類似していることがPekalaらにより示されて以来、RF高分子ゲルは、その特徴である多孔性と高い比表面積を生かして燃料電池の電極補助剤やカーボン前駆体等として利用されてきた。
【0025】
そこで、もし、精密にナノ加工された熱硬化性高分子の形態をそのまま炭化物として写し取ることができれば、ナノカーボンの設計と合成を自在に行うことが可能となり、電極、発熱体、強化剤、吸着材、断熱材、導電材、集電体、抵抗、磁気遮蔽材、耐食性材料、多孔性吸着剤等として使用される炭素材料の高性能化・機能化・精密化を図ることができる。
しかし、RF共重合体をナノオーダーで精密に制御することに成功したとの報告はない。
【課題を解決するための手段】
【0026】
そこで、発明者は、水溶液中におけるレゾルシノールとホルムアルデヒドの反応が、有機テンプレート法で合成されるシリカ多孔体MCM-41のシリカ源であるケイ素アルコキドと類似のゾルーゲル反応を示すことから、レゾルシノール系ポリマーでも同様な鋳型効果が発揮されるとの着想のもとに、炭素前駆体となるポリマー粒子の創製を実現すべく、反応に用いる原料、触媒及び界面活性剤の種類ならびに反応条件についてさらに鋭意研究を進めた。
【0027】
その結果、鋳型ミセルにカチオン性界面活性剤、触媒にアルカリを使用した条件で、高度に形態制御された熱硬化性ポリマー粒子の合成に成功した。さらに、カチオン性界面活性剤を含む反応混合物に塩基性縮合剤とアルキルベンゼン等の添加剤を加えて重合させることにより、ワイヤー状形態を有する熱硬化性ポリマー粒子を合成することに成功した。さらに、これらを不活性雰囲気下で焼成するとその形態を反映した炭素が得られることを見出した。
【0028】
すなわち、本発明者等は、鋭意研究をした結果、前示課題を以下に記載する技術的構成が講じられた発明によって解決、達成することに成功したものである。
すなわち、第1の発明は、
(1)レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーと、ホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーとの共重合体を骨格成分とするワイヤー状の化合物を不活性雰囲気下で焼成することにより得られる直径0.5~50μm、長さ20~300μmのワイヤー状の形態を有することを特徴とするワイヤー状炭素粒子である
第2の発明は、
(2)レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーと、ホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーとの共重合体と、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアルキルアンモニウム塩、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンよりなる群から選択された1種以上の界面活性剤との結合によって成るワイヤー状の化合物を不活性雰囲気下で焼成することにより得られる直径0.5~50μm、長さ20~300μmのワイヤー状の形態を有することを特徴とするワイヤー状炭素粒子である
第3の発明は、
(3)レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーと、ホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーとの共重合体を骨格成分とするワイヤー状の化合物を不活性雰囲気下で焼成することにより得られる直径10~300nm、長さ1~100μmのワイヤー状の形態を有することを特徴とするワイヤー状炭素粒子である
第4の発明は、
(4)レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーと、ホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーとの共重合体と、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアルキルアンモニウム塩、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンよりなる群から選択された1種以上の界面活性剤との結合によって成るワイヤー状の化合物を不活性雰囲気下で焼成することにより得られる直径10~300nm、長さ1~100μmのワイヤー状の形態を有することを特徴とするワイヤー状炭素粒子である
【0029】
以下、第5、第6、第7および第8の発明は前記第1、第2、第3および第4の発明のワイヤー状炭素粒子の製造方法を提示するものである。また、第9の発明は、第5ないし第8の何れかの発明を限定したものである。
すなわち、第5の発明は、
(5)触媒としてのアルカリの存在下、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアルキルアンモニウム塩、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンよりなる群から選択された1種以上界面活性剤と水を1:120~1200のモル比で混合した溶液に、レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーとホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーを加え、反応させることで得られる生成物を、エタノール等のアルコール類よりなる群から選択された1種類以上の溶媒と塩酸等の酸よりなる群から選択された1種類以上の酸の混合溶液で処理することによって得られた化合物を不活性雰囲気下で焼成することを特徴とする前記(1)項に記載するワイヤー状炭素粒子の製造方法である。
第6の発明は、
(6)触媒としてのアルカリの存在下、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアルキルアンモニウム塩、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンよりなる群から選択された1種以上界面活性剤と水を1:120~1200のモル比で混合した溶液に、レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーとホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーを加え、反応させることによって得られた化合物を不活性雰囲気下で焼成することを特徴とする前記(2)項に記載するワイヤー状炭素粒子の製造方法である。
第7の発明は、
(7)触媒としてのアルカリとヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアルキルアンモニウム塩、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンよりなる群から選択された1種以上界面活性剤とメシチレン等のアルキルベンゼンよりなる群から選択された1種類以上の添加剤存在下で、レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーとホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーを反応させることで得られる生成物を、エタノール等のアルコール類よりなる群から選択された1種類以上の溶媒と塩酸等の酸よりなる群から選択された1種類以上の酸の混合溶液で処理することによって得られた化合物を不活性雰囲気下で焼成することを特徴とする前記(3)項に記載するワイヤー状炭素粒子の製造方法である
第8の発明は、
(8)触媒としてのアルカリとヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアルキルアンモニウム塩、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンよりなる群から選択された1種以上界面活性剤とメシチレン等のアルキルベンゼンよりなる群から選択された1種類以上の添加剤存在下で、レゾルシノール類の芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーとホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーを反応させることによって得られた化合物を不活性雰囲気下で焼成することを特徴とする前記(4)項に記載するワイヤー状炭素粒子の製造方法である。
第9の発明は、 前記アルカリが水酸化ナトリウムであることを特徴とする前記(5)ないし(8)の何れか1項に記載するワイヤー状炭素粒子の製造方法である。
【0030】
また、以下、第10の発明は、第1、第2、第3および第4の発明の炭素粒子の用途発明を提示しているものである。
すなわち、第10の発明は、
(10)前記(1)ないし(4)に記載する何れか1項に記載するワイヤー状炭素粒子を含んで成り、(a)各種物質の分離剤、吸着剤若しくは貯蔵剤、(b)繊維、ゴム、フィルム若しくはプラスチック製品などの添加剤・充填(c)塗料、インキ、接着剤若しくは紙塗工剤などの液体製品への添加剤、(d)電池材料、又は、(e)電気二重層キャパシタ材料、の多用途に使用されることを特徴とする汎用性機能材料である
【0031】
本発明によって炭素前駆体として得られたポリマー粒子は、その合成方法において先に紹介した先行文献(非特許文献23)に記載された球状ポリマー粒子に類似がある。しかし、同報告によるレゾルシノール-ホルムアルデヒド高分子粒子は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド系の反応によって得られる粒径100nm以下のクラスター集合体、ならびにデシルトリメチルアンモニウムブロミドあるいはテトラプロピルアンモニウムブロミド系の反応によって得られる直径1~3μmの球状粒子に限られる。
【0032】
これに対して、以下に述べる実施例1および実施例2の電子顕微鏡像で明らかなように、本発明によって炭素前駆体として得られるレゾルシノール-ホルムアルデヒド高分子は、間隔1~10nmの層状構造を構成単位とする直径2~100μm、長さ20~300μm、ならびに直径10~300nm、長さ1~100μmのワイヤー状の構造を有することを特徴とする化合物であることが証拠付けられており、先行文献の報告例とは構造的、形態的に大きな違いがある。
【0033】
さらに、これらポリマー粒子の製造方法も本発明と先行文献とでは異なっている。すなわち、先行文献では触媒としての炭酸ナトリウムの存在下、界面活性剤と水をモル比1:3000で混合した希薄水溶液中でレゾルシノールとホルムアルデヒドの共重合反応を進めているのに対して、本発明では先行文献と同じ界面活性剤を使いつつも、触媒となる水酸化ナトリウムの存在下、界面活性剤と水のモル比が1:360と相当に濃厚な溶液中で反応を進行させ、しかも請求項3および請求項4の生成物の場合は反応混合物にトリメチルベンゼン等の疎水性分子を添加するという決定的な違いがある。すなわち、セチルトリメチルアンモニウムブロミドという共通の界面活性剤を使用した合成プロセスであっても、得られる生成物は先行文献ではクラスター集合体であるのに対して、本発明では層状構造体とその層状構造を構成単位とするワイヤー状の構造体が得られており、双方において得られる高分子粒子の形態が全く異なることは明らかである。
【0034】
さらに、先行文献では、界面活性剤のミセル形態を壊すあるいは不安定化させる作用があるエタノールが反応系に添加されている。このため、先行文献の場合は、希薄な濃度域でしかもエタノールで不安定化した形態を持つミセルとレゾルシノール/ホルムアルデヒド共重合体とが複合化されることになり、不安定化なミセル形態を反映したクラスター粒子が得られるのに対して、本発明では、濃厚な濃度域で形成されるミセルの形態を反映した構造を持つ層状あるいは球状のレゾルシノール/ホルムアルデヒド共重合体が得られるものと考えられる。
【0035】
このように、用いる界面活性剤と水の混合比の大小が、先行文献と本発明における生成物の形状と粒子径に決定的な違いをもたらしていることは明らかである。
【0036】
さらに、先行文献においても、以上に紹介したレゾルシノール/ホルムアルデヒド共重合体からなるクラスター集合体および球状粒子を不活性ガス中で焼成することにより、前駆体と類似のサイズと形状を有する炭素を得ている。しかし、上述したように、本発明によるレゾルシノール/ホルムアルデヒド共重合体は、先行文献における共重合体とはその合成条件を異にし、その結果、生成物の形状は全く異なっている。このため、前者を焼成処理して得られる炭素も、先行文献における炭素生成物とは全く異なる形状を有しており、炭素生成物とその製造方法に決定的な違いがあることは明白である。
【発明の効果】
【0037】
以上の構成によって、本発明は以下に列記するように多岐にわたる優れた作用効果が奏せられ、これにより各種分野において使用されることが期待される。
(1)これを物質分離材として用いた場合、酸・アルカリ領域において化学的に安定でかつ粒子形態・サイズが制御されたクロマトグラフィーの担体、イオン交換樹脂等への応用が期待できる。
(2)これを物質貯蔵材として用いた場合、その特異な形状により、水素等の小分子やイオンの貯蔵に効果的に働くことが期待される。
(3)これを繊維、ゴム、フィルムあるいはプラスチック製品などの添加剤として用いた場合、化学的熱的に安定でその特異な形状より、製品の改質、補強に大きく貢献できる。
(4)これを塗料、インキ、接着剤あるいは紙塗工剤などの液体製品への添加剤として用いた場合、化学的熱的に安定でその特異な形状より、製品の改質に大きく貢献できる。
(5)これを電池材料として用いた場合、粒子の特異な形状・組成より、電極材料として高性能化が期待できる。
(6)これを電気二重層キャパシタ材料として用いた場合、粒子の特異な形状・組成より、高性能化が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
この出願の発明は、以上の特徴を持つものであるが、以下実施例を添付した図面に基づき、具体的に説明する。ただし、これらの実施例は、あくまでも本発明の一つの態様を開示するものであり、決して本発明を限定する趣旨ではない。すなわち、本発明のねらいとするところは2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類とアルデヒドの共重合体を主要成分として組織された、直径0.5~50μm、長さ20~300μならびに直径10~300nm、長さ1~100μmのワイヤー状粒子の形態を反映した炭素生成物を提供するところにあることは、前述したとおりである。
【0039】
その前駆体となる高分子の含有成分と構造は、1種類以上のフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーと1種以上のアルデヒド類との共重合体を骨格成分とする特定寸法・形態のポリマー粒子であり、その構成成分であるフェノール類とアルデヒド類に関しても、組成的に多様な組み合わせを許容するものであることに加え、置換反応等の操作により骨格組織中に容易に他の置換基が導入されることから、実に多様な組み合わせを含むものである。
【0040】
これに加えて、構造形態を制御するアルキルベンゼンと界面活性剤においても、その組成的に多様な組み合わせを許容するものである。
【0041】
また、製造方法の骨子は、界面活性剤溶液中でフェノール類とアルデヒド類各1種類以上を混合し塩基性縮合剤のもとで、あるいはさらにトリメチルベンゼン等の疎水性分子を添加して反応させ、特定寸法・形態のポリマー前駆体を誘導するというものであり、構造体を構築するための各段階での最適反応温度や反応混合物組成も対象とするモノマー種や用いる界面活性剤の特性によって多様に変化し、その結果、前駆体の焼成によって得られる炭素の構造・形態にも違いが現れる。
【0042】
対して、実施例は、本発明に対して、あくまでもその一態様例を示すものにすぎず、本発明を構成するモノマー種や製造方法もこの実施例によって限定されるべきではない。
【0043】
図1(a)は本発明で合成されたポリマー前駆体高分子の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。これによると前駆体高分子はワイヤー状の形態をとっていることが確認された。さらに、これを窒素雰囲気下で600℃6時間焼成すると、高分子形態を反映した炭素生成物が得られることが分かった(図1(b))。
【0044】
実施例1;
レゾルシノール、水酸化ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミドおよび水1:1:1:360のモル比の溶液を調製した。この溶液を撹拌しながら、レゾルシノール:ホルムアルデヒド1:4(モル比)の溶液を添加して50℃で2時間、続いて90℃で72時間反応させた後、パラホルムアルデヒド(モル比4)と共にさらに150℃で24時間水熱処理した。得られた固相を遠心分離、洗浄し、減圧乾燥を行い、固体生成物を得た。得られた生成物を窒素雰囲気下で600℃6時間焼成した。
走査型電子顕微鏡(SEM)像より、この炭素は前駆体高分子の形態は層状構造を構成単位とするひも状粒子であることが分かった(図1(a))。また、炭化した高分子の形態は、前駆体構造を反映していることが分かった(図1(b))。
【0045】
実施例2;
レゾルシノール、水酸化ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、メシチレンおよび水1:0.25:1:1:360のモル比の溶液を調製した。この溶液を撹拌しながら、レゾルシノール:ホルムアルデヒド1:4(モル比)の溶液を添加して50℃で2時間、続いて90℃で72時間反応させた後、パラホルムアルデヒド(モル比4)と共にさらに150℃で24時間水熱処理した。得られた固相を遠心分離、洗浄し、減圧乾燥を行い、固体生成物を得た。得られた生成物を窒素雰囲気下で600℃6時間焼成した。
走査型電子顕微鏡(SEM)像より、前駆体高分子の形態は平均直径80nmのワイヤー状粒子の集合体であることが分かった(図2(a))。また、炭化した高分子の形態は、前駆体構造を反映していることが分かった(図2(b))。
【0046】
本発明は、以上の実施例に加え、多岐にわたる実験例を積み重ね、得られたデータを整理した結果、前記(1)、(2)、(3)および(4)項に記載したポリマー粒子であることが確認されたものである。
【0047】
そしてその結果、本発明は、レゾルシノール系樹脂を主要成分として組織された高分子を前駆体とすることで直径0.5~50μmならびに直径10~300nmのワイヤー状炭素を得ることに成功したものであり、その意義は極めて大であると確信する。その詳細な物性や、諸特性及び各種技術分野における作用効果に関する具体的データ等の開示、及びこれに関連して誘導される新たな技術的可能性、発展性等の研究開発は、今後の研究に待つところ大であり、委ねられているものであるが、その組成と特徴的な構造からして、諸分野において優れた作用効果を奏しうることの可能性は極めて大である。
【0048】
すなわち、特有なプロセスによって形態制御されたワイヤー状炭素粒子の特異な形状とその細孔の微細性、あるいは分子ふるい、物質分離、小分子の貯蔵、電気伝導あるいは電気絶縁性、特定分子に対する選択的吸着特性等の各種有用な機能を有し、これら有用機能の発現によって高性能分離剤、吸着剤、物質貯蔵剤、繊維・フィルム・プラスチック製品・インキ・塗料・接着剤・紙塗工剤などへの添加剤、電池材料、キャパシタ材料など工業的に極めて重要な各種用途に供することのできる炭素を得ることに成功したものである。
【0049】
2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類とアルデヒドの共重合体を主要成分として組織されたワイヤー状高分子を前駆体として得られた直径0.5~50μm、長さ20~300μのワイヤー状炭素(請求項1および請求項2)ならびに直径10~300nm、長さ1~100μmのワイヤー状炭素(請求項3および請求項4)の製造方法は、前記実施例で具体的に開示したところであるが、これを、反応混合物の調製から実施する場合の製造方法における反応条件について言及、要約すると、以下の通りである。
【0050】
まず、直径0.5~50μm、長さ20~300μのワイヤー状炭素(請求項1および請求項2)を製造する方法である。
その反応条件は、例示的に要約すると以下の通りである。
レゾルシノール1モルに対し、セチルトリメチルアンモニウムブロミドを0.1~2モル好ましくは1モル、水酸化ナトリウムを0.01~3モル好ましくは1モルおよび水を120~1200モル好ましくは360モルを加えた溶液に、ホルムアルデヒドを1~6モル好ましくは4モルおよびレゾルシノールを0~2モル好ましくは1モルを加え、撹拌しながら40~100℃好ましくは50℃で0~3時間好ましくは2時間続いて、40~100℃好ましくは90℃で0~100時間好ましくは72時間反応させたのち、パラホルムアルデヒドを2~6モル好ましくは4モルと共に、90~180℃好ましくは150℃で0~48時間好ましくは24時間反応した。以降、2通りの焼成操作を行った。
【0051】
特許請求の第2項記載の炭素については、得られたポリマー生成物を、洗浄、乾燥した試料を不活性雰囲気下で600~3000℃好ましくは600~1400℃で、0.5~12時間好ましくは6時間焼成し、目的物を得た。
【0052】
特許請求の第1項記載の炭素については、得られた生成物を洗浄、回収した試料0.5gあたりエタノール10~100ml好ましくは50mlを加え、20~60℃好ましくは25℃で0~24時間好ましくは24時間浸漬したのち、これに1~12mol/l好ましくは5mol/lの塩酸0.5~5ml好ましくは1mlを添加し、20~60℃好ましくは25℃で0~24時間好ましくは6時間攪拌した。得られた生成物を洗浄、乾燥し、試料を得た。得られた試料を不活性雰囲気下で600~3000℃好ましくは600~1400℃で、0.5~12時間好ましくは6時間焼成し、目的物を得た。
【0053】
次に、直径10~300nm、長さ1~100μmのワイヤー状炭素(請求項3および請求項4)を製造する方法について説明する。
レゾルシノール1モルに対し、セチルトリメチルアンモニウムブロミドを0.1~2モル好ましくは1モル、水酸化ナトリウムを0.01~3モル好ましくは0.25モル、メシチレンを0.1~10好ましくは1および水を120~1200モル好ましくは360モルを加えた溶液に、ホルムアルデヒドを1~6モル好ましくは4モルおよびレゾルシノールを0~2モル好ましくは1モルを加え、撹拌しながら40~100℃好ましくは50℃で1~3時間好ましくは2時間続いて、40~100℃好ましくは90℃で0~100時間好ましくは72時間反応させたのち、パラホルムアルデヒドを2~6モル好ましくは4モルと共に、90~180℃好ましくは150℃で0~48時間好ましくは24時間反応した。以降、2通りの焼成操作を行った。
【0054】
特許請求の第4項記載の炭素については、得られた生成物を、洗浄、乾燥し、試料を得た。得られた試料を不活性雰囲気下で600~3000℃好ましくは600℃で、0.5~12時間好ましくは6時間焼成し、目的物を得た。
【0055】
特許請求の第3項記載の炭素については、得られた生成物を洗浄、回収した後、その試料0.5gあたりエタノール10~100ml好ましくは50mlを加えて20~60℃好ましくは25℃で0~24時間好ましくは24時間浸漬したのち、これに1~12mol/l好ましくは5mol/lの塩酸0.5~5ml好ましくは1mlを添加し、20~60℃好ましくは25℃で0~24時間好ましくは6時間攪拌した。得られた生成物を洗浄、乾燥後、不活性雰囲気下で600~3000℃好ましくは600℃で、0.5~12時間好ましくは6時間焼成し、目的物を得た。
【0056】
以上、レゾルシノール-ホルムアルデヒド系ポリマーを前駆体とする炭素生成物を得る際の反応操作と反応条件を説明したが、それ以外のレゾルシノール-アルデヒド系ポリマー粒子においても前示した反応操作、反応条件と同様の手順ないしはこれに準じた操作条件によって実施される。
【0057】
すなわち、このポリマー粒子の反応混合物の調製から、最終生成物を得るまでの過程は、次のように構成される。まず、原料の選択の際には、アルキルトリメチルアンモニウムイオンと結合するフェノキシドを与えるフェノール系の中でも水に易溶であるレゾルシノールとホルムアルデヒドのように、モノマーが3次元的に重合し、界面活性剤と結合し、水(水系溶媒)に溶けやすいものを選択し、均一組成溶液から構造化を促すことが望ましい。
【0058】
メシチレン未添加系では、水酸化ナトリウムの仕込み量を変えることで、層状あるいはその形態を構成単位とするワイヤー状粒子あるいは球状粒子を選択的に作り分けることができる。水酸化ナトリウムは、レゾルシノールとホルムアルデヒドの反応の触媒作用を示すと同時に、レゾルシノールのヒドロキシル基をイオン化する役割も担うものと考えられるため、アニオン化したレゾルシノールとセチルトリメチルアンモニウムブロミドの相互作用の度合いにより、ミセル形態が変化し、最終生成物の形態にも影響を与えるものと予想される。
【0059】
メシチレン添加系では、水酸化ナトリウム量を考慮しつつ、鋳型ミセル構造の大きさ・形態を変化させる効果があるメシチレンのような添加剤を添加することで、微細なワイヤー状形態へ導くミセル構造が形成され、それを鋳型としてレゾルシノールとホルムアルデヒドが重合反応をした結果、高分子ナノワイヤーが生成されるものと考えられる。
【0060】
つまり、水酸化ナトリウムとメシチレンの量を調節することで、レゾルシノール系高分子のナノオーダーの形態制御が可能になるものと考えられる。
以上のことを踏まえて、まず、始めにレゾルシノール、界面活性剤、水酸化ナトリウム、水から成る均一組成の溶液を調製する。この溶液にホルムアルデヒド溶液を添加することで反応開始とし、溶液全体が均一に混合されるように攪拌することが望ましい。
【0061】
このとき、調製溶液の粘性が増大することがあるので、十分な攪拌が得られる装置を使用することが肝要である。反応温度は、最終生成物の形態、収率を考慮して設定するが、反応初期は組成を均一にするために50~60℃の低温で、それ以降は重合体の架橋密度を上げるために80~90℃で少なくとも1時間以上加熱することが望ましい。パラホルムアルデヒドの添加や90~180℃の範囲での水熱処理およびエタノール/塩酸処理は必要に応じて行うことが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、炭素生成物が前述のような構造になっているため、次のような効果が期待でき、各種分野において利用され今後大いに使用され、産業の発展に寄与するものと期待される。
(1) これを物質分離材として用いた場合、酸・アルカリ領域において化学的に安定でかつ粒子形態・サイズが制御されたクロマトグラフィーの担体、イオン交換樹脂等への応用が期待できる。
(2) これを物質貯蔵材として用いた場合、その特異な形状により、水素等の小分子やイオンの貯蔵に効果的に働くことが期待される。
(3)これを繊維、ゴム、フィルムあるいはプラスチック製品などの添加剤として用いた場合、化学的熱的に安定でその特異な形状より、製品の改質、補強に大きく貢献できる。
(4)これを塗料、インキ、接着剤あるいは紙塗工剤などの液体製品への添加剤として用いた場合、化学的熱的に安定でその特異な形状より、製品の改質に大きく貢献できる。
(5)これを電池材料として用いた場合、粒子の特異な形状・組成より、電極材料として高性能化が期待できる。
(6)これを電気二重層キャパシタ材料として用いた場合、粒子の特異な形状・組成より、高性能化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明のワイヤー状のポリマー化合物およびその炭化物の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察写真。aは実施例1で炭素前駆体となるヒモ状ポリマー粒子のSEM像。bは実施例1で得られた炭素のSEM像。
【図2】本発明のワイヤー状のポリマー化合物と炭素の走査型電子顕微鏡による観察写真。aは実施例2で得られるワイヤー状ポリマー粒子。bは実施例1で得られた炭素のSEM像。
図面
【図1】
0
【図2】
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