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明細書 :薬剤とその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5240959号 (P5240959)
公開番号 特開2007-137793 (P2007-137793A)
登録日 平成25年4月12日(2013.4.12)
発行日 平成25年7月17日(2013.7.17)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
発明の名称または考案の名称 薬剤とその製造方法
国際特許分類 A61K  47/48        (2006.01)
A61K   9/14        (2006.01)
A61K  47/24        (2006.01)
A61K  38/00        (2006.01)
A61K  45/00        (2006.01)
A61K  49/04        (2006.01)
A61K  39/44        (2006.01)
A61K  38/43        (2006.01)
FI A61K 47/48
A61K 9/14
A61K 47/24
A61K 37/02
A61K 45/00
A61K 49/04
A61K 39/44
A61K 37/48
請求項の数または発明の数 5
全頁数 10
出願番号 特願2005-331239 (P2005-331239)
出願日 平成17年11月16日(2005.11.16)
審査請求日 平成20年10月7日(2008.10.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
発明者または考案者 【氏名】小川 一文
【氏名】渡辺 好章
個別代理人の代理人 【識別番号】100139262、【弁理士】、【氏名又は名称】中嶋 和昭
審査官 【審査官】淺野 美奈
参考文献・文献 特開平07-063761(JP,A)
特開平02-016167(JP,A)
特開平08-337654(JP,A)
特開平04-250158(JP,A)
特開2004-305055(JP,A)
特開2004-187932(JP,A)
特開2005-069955(JP,A)
特開2005-280020(JP,A)
特開平09-184842(JP,A)
調査した分野 A61K 47/48
A61K 9/14
A61K 38/00
A61K 38/43
A61K 39/44
A61K 45/00
A61K 47/24
A61K 49/04
特許請求の範囲 【請求項1】
必要に応じて必要な時間に必要な部位で作用させるための薬物システムに使用できる磁気応答性の薬剤であって、磁性微粒子表面に共有結合し、一端にエポキシ基を含み他端でSiを介して磁性粒子表面に共有結合する分子で構成されている有機薄膜に、-CH-N-結合を介してイミノ基を有していた、抗ガン物質、抗生物質、抗菌物質、および造影剤のいずれかである薬物が結合固定されていることを特徴とする磁気応答性の薬剤。
【請求項2】
有機薄膜が単分子膜であることを特徴とする請求項1記載の磁気応答性の薬剤。
【請求項3】
磁性微粒子を少なくともエポキシ基を含むアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と磁性微粒子表面を反応させる工程と、微粒子表面を有機溶剤で洗浄して余分なアルコキシシラン化合物を除去して磁性微粒子表面に共有結合したエポキシ基を含む単分子膜を形成する工程と、イミノ基を有し、抗ガン物質、抗生物質、抗菌物質、および造影剤のいずれかである薬物を反応させて磁性微粒子表面に該薬物を固定する工程を含むことを特徴とする磁気応答性の薬剤の製造方法。
【請求項4】
シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いることを特徴とする請求項3に記載している磁気応答性の薬剤の製造方法。
【請求項5】
シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いることを特徴とする請求項3に記載している磁気応答性の薬剤の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気感応物質用いた薬剤とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、磁性微粒子表面に共有結合した有機薄膜を介して機能物質が結合固定されている磁石を用いて混合物から標的化合物の分離に使用される磁気感応物質用いた、必要に応じて必要な時間に必要な部位で作用させるための薬物システム(すなわち、ドラッグデリバリーシステム(DDS)用の薬剤)に使用できる磁気応答性の薬剤に関するものである。
【0002】
本発明において、「DDS用の磁気応答性薬剤」には、タンパク質や、アミノ酸、酵素、抗体、抗生物質、抗菌物質、あるいは造影剤など、物質内にイミノ基を含む薬物を磁性微粒子表面に固定した薬剤が含まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、薬剤の副作用を和らげたり、低減させたりする目的で、必要な時間に必要な部位で作用させるための薬物システムが数々研究開発されている。

【特許文献1】特表2002-500177号公報
【特許文献2】特表2000-503763号公報
【特許文献3】特開平09-328438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら混合物から磁力を用いて分離可能な磁気感応物質及びその製造方法、さらには磁力を用いて必要な部位に薬剤を集中させるというシステムに用いる薬剤及びその製造方法は、未だ開発、提供されていない。
【0005】
本発明は磁力を用いて分離あるいは集積が可能な磁気感応物質を製造し、触媒等に用いた物質の分離を高能率に行うことを目的とする。また、磁力を用いて生体内の必要部位に集中させることができ、且つ、投薬量が極めて少なくて済むDDS用の薬剤を製造し、薬剤による副作用を和らげたり、薬剤の使用量を低減させたりすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(削除)
【0007】
(削除)
【0008】
(削除)
【0009】
前記課題を解決するための手段として提供される第一の発明は、必要に応じて必要な時間に必要な部位で作用させるための薬物システムに使用できる磁気応答性の薬剤であって、磁性微粒子表面に共有結合し、一端にエポキシ基を含み他端でSiを介して磁性粒子表面に共有結合する分子で構成されている有機薄膜に、-CH-N-結合を介してイミノ基を有していた、抗ガン物質、抗生物質、抗菌物質、および造影剤のいずれかである薬物が結合固定されている磁気応答性の薬剤である。
【0010】
の発明は、第の発明に於いて、有機薄膜が単分子膜である磁気応答性の薬剤である。
【0011】
第三の発明は、磁性微粒子を少なくともエポキシ基を含むアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と磁性微粒子表面を反応させる工程と、微粒子表面を有機溶剤で洗浄して余分なアルコキシシラン化合物を除去して磁性微粒子表面に共有結合したエポキシ基を含む単分子膜を形成する工程と、イミノ基を有し、抗ガン物質、抗生物質、抗菌物質、および造影剤のいずれかである薬物を反応させて磁性微粒子表面に該薬物を固定する工程を含むことを特徴とする磁気応答性の薬剤の製造方法である。
【0012】
(削除)
【0013】
(削除)
【0014】
(削除)
【0015】
の発明は、磁性微粒子を少なくともエポキシ基を含むアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と磁性微粒子表面を反応させる工程と、微粒子表面を有機溶剤で洗浄して余分なアルコキシシラン化合物を除去して磁性微粒子表面に共有結合したエポキシ基を含む単分子膜を形成する工程と、イミノ基を有する薬物を反応させて磁性微粒子表面に該薬物を固定する工程を含む磁気応答性の薬剤の製造方法である。
【0016】
(削除)
【0017】
の発明は、第の発明に於いて、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いる磁気応答性の薬剤の製造方法である。
【0018】
の発明は、第の発明に於いて、シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いる磁気応答性の薬剤の製造方法である。
【0019】
以下、本発明に関してその内容を更に説明する。
【0023】
一方、本発明は、磁性微粒子を少なくともエポキシ基を含むアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と磁性微粒子表面を反応させる工程と、微粒子表面を有機溶剤で洗浄して余分なアルコキシシラン化合物を除去して磁性微粒子表面に共有結合したエポキシ基を含む単分子膜を形成する工程を用いて、磁性微粒子表面に共有結合した有機薄膜に、-CH-N-結合を介してイミノ基を有していた、抗ガン物質、抗生物質、抗菌物質、および造影剤のいずれかである薬物が結合固定されている磁気応答性の薬剤を製造提供することを要旨とする。
【0024】
ここで、有機薄膜が単分子膜であると、機能物質の特性を損なうことがないので都合がよい。
また、表面に共有結合した単分子膜が一端にエポキシ基を含み他端でSiを介して磁性粒子表面に共有結合する分子で構成されているので、機能物質を共有結合で固定するのに都合がよい。
【0025】
さらにこのとき、エポキシ基を含む単分子膜を形成する工程の後、イミノ基を有する薬物を反応させて磁性微粒子表面に薬物を固定するので、薬物を安定に固定する上で都合がよい。
また、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、製造時間を短縮できて都合がよい。
また、シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いると、より一層製造時間を短縮できて都合がよい。
【0026】
(削除)
【発明の効果】
【0027】
以上説明したとおり、本発明によれば、磁力を用いて分離あるいは集積が可能な磁気感応物質を製造でき、触媒等に用いた物質の分離を高能率に行える効果がある。
また、磁性微粒子表面に薬物を薬物本来の機能をほぼ保ったままで固定したDDS用の薬剤を製造提供でき、人体投与後、磁力を用いて必要部位に薬剤を集積させることにより、効果を減じることなく薬剤の投与量を低減できたり、薬剤の副作用を和らげるという特別の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、磁性微粒子を少なくともエポキシ基を含むアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と磁性微粒子表面を反応させる工程と、微粒子表面を有機溶剤で洗浄して余分なアルコキシシラン化合物を除去して磁性微粒子表面に共有結合したエポキシ基を含む単分子膜を形成する工程と、前記エポキシ基を介して機能性の物質を結合固定する工程により、磁性微粒子表面に共有結合した有機薄膜を介して機能物質が結合固定されている磁気感応物質を製造提供するものである。
【0029】
本発明は、磁性微粒子を少なくともエポキシ基を含むアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と磁性微粒子表面を反応させ、微粒子表面を有機溶剤で洗浄して余分なアルコキシシラン化合物を除去して磁性微粒子表面に共有結合したエポキシ基を含む単分子膜を形成し、タンパク質や、アミノ酸、酵素、抗体、抗生物質、抗菌物質、あるいは造影剤など、物質内にイミノ基を含む薬物を反応させて磁性微粒子表面に薬物を固定することにより、薬物が磁性微粒子表面に共有結合した単分子膜を介して結合固定されているDDS用の薬剤を製造提供するものである。
【0030】
したがって本発明の薬剤には、人体投与後、磁力を用いて必要部位に薬剤を集積させる機能があり、効果を減じることなく薬剤の投与量を低減できたり、薬剤の副作用を和らげたりできるという作用がある。
【0031】
以下、本願発明の詳細を実施例を用いて説明するが、本願発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0032】
なお、本発明に関する磁気感応性物質には、機能物質として触媒や凝集剤が固定された磁気感応性物質があり、磁気応答性の薬剤には、タンパク質や、アミノ酸、酵素、抗体、抗生物質、抗菌物質、あるいは造影剤など、物質内にイミノ基を含む薬物を磁性微粒子表面に固定した薬剤があるが、まず、代表例として、機能物質であるペニシリンGを固定した磁性微粒子を取り上げて説明する。
【実施例1】
【0033】
まず、粒径が数十ナノメートルの無水のマグネタイト1を用意し、よく乾燥した。次に、化学吸着剤として機能部位にエポキシ基と他端にアルコキシシリル基を含む薬剤、例えば、下記式(化1に示す薬剤を99重量%、シラノール縮合触媒として、例えば、ジブチルスズジアセチルアセトナートを1重量%となるようにそれぞれ秤量し、シリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサンに1重量%程度の濃度(好ましい化学吸着剤の濃度は、0.5~3%程度)になるように溶かして化学吸着液を調製した。
【0034】
【化1】
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【0035】
この吸着液に前記無水のマグネタイト微粒子を混入撹拌して普通の空気中(相対湿度45%)で室温で2時間程度反応させた。このとき、無水のマグネタイト微粒子表面には水酸基2が多数含まれているの(図1a)で、前記化学吸着剤の-Si(OCH)基と前記水酸基がシラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール(この場合は、脱CHOH)反応し、下記式(化2)に示したような結合を形成し、磁性微粒子表面全面に亘り表面と化学結合したエポキシ基を含む化学吸着単分子膜3が約1ナノメートル程度の膜厚で形成される(図1b)。
【0036】
その後、トリクレン等の塩素系溶媒を添加して撹拌洗浄すると、表面にエポキシ基有する化学吸着単分子膜で被われたマグネタイト微粒子を作製できた。
【0037】
【化2】
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【0038】
この処理部は、被膜がナノメートルレベルの膜厚で極めて薄いため、粒子径を損なうことはなかった。
なお、洗浄せずに空気中に取り出すと、反応性はほぼ変わらないが、溶媒が蒸発し粒子表面に残った化学吸着剤が粒子表面で空気中の水分と反応して、粒子表面に前記化学吸着剤よりなる極薄のポリマー状の有機薄膜が形成されたマグネタイト微粒子が得られた。この状態でも、後工程の反応で問題が出るほどの厚膜の被膜は形成されず、単分子膜とほぼ同様の取り扱いが可能であった。
【0039】
また、この方法の特徴は脱アルコール反応であるため、マグネタイト微粒子のような酸で破壊されるような物でも使用可能である。
【0040】
次に、前記エポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われたマグネタイト微粒子をアルコール中に分散し、ペニシリンGを加えて加温反応させた。ここで、ペニシリンGにはβラクタム環の隣にイミノ基が含まれているので、下記式(化3)に示したような反応でエポキシ基とイミノ基が付加してペニシリンGが磁性微粒子表面に1層結合固定され、その後、不要の未反応ペニシリンGを洗浄除去するとペニシリンGが表面に固定されたDDS用の磁気感応性の薬剤を製造できた(図1c)。
【0041】
【化3】
JP0005240959B2_000004t.gif

【0042】
この薬剤は、粒径がたかだか数十ナノメートルなので、純水に分散して血管注射しても、血管が詰まることはない。さらに、この薬剤は、磁石を近づけると磁石に引き寄せられる機能を持っているため、患部近傍に磁石を設置しておくと血液が一定時間体内を循環する間に磁力で薬剤を患部に集中できる。
したがってトータルの投与量が極めて少なくても、患部近傍のみペニシリンGを高濃度にできるため副作用を低減でき、効率の良い治療が可能となる。
【0043】
なお、この技術は、タンパク質や、アミノ酸、酵素、抗体、抗生物質、抗菌物質、あるいは造影剤など、物質内にイミノ基を含む薬物なら薬効を減じない範囲で全て適用が可能である。例えば、セファレキシンでも、同様のイミノ基や、アミノ基を含んでいるので、同様に適用できた。
【0044】
また、上記実施例では、エポキシ基を含む化学吸着剤として式(化1)示した物質を用いたが、上記のもの以外にも、下記(1)~(10)に示した物質が利用できた。
【0045】
(1) (CHOCH)CH2O(CH2)Si(OCH)3
(2) (CHOCH)CH2O(CH2)11Si(OCH)3
(3) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(4) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(5) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(6) (CHOCH)CH2O(CH2)Si(OC)3
(7) (CHOCH)CH2O(CH2)11Si(OC)3
(8) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(9) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(10) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
【0046】
ここで、(CHOCH)-基は、下記式(化4)で表される官能基を表し、(CHCHOCH(CH)CH-基は、下記式(化5)で表される官能基を表す。
【0047】
【化4】
JP0005240959B2_000005t.gif

【0048】
【化5】
JP0005240959B2_000006t.gif

【0049】
さらに、実施例1において、シラノール縮合触媒には、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が利用可能である。さらに具体的には、酢酸第1スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第1スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2-エチルヘキセン酸鉄、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネートを用いることが可能であった。
【0050】
また、膜形成溶液の溶媒として、沸点が50~250℃程度で、水を含まない有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、あるいは、フッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒、ジメチルホルムアミド、あるいは、それら混合物を用いることが可能であった。さらに、吸着剤がアルコキシシラン系の場合で且つ溶媒を蒸発させて有機被膜を形成する場合には、前記溶媒に加え、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいは、それら混合物が使用できた。
【0051】
具体的に使用可能なものは、有機塩素系溶媒、非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド、あるいは、それら混合物等を挙げることができる。
【0052】
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加しても良い。
【0053】
一方、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いた場合、同じ濃度でも処理時間を半分~2/3程度まで短縮できた。
【0054】
さらに、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(1:9~9:1範囲で使用可能だが、通常1:1前後が好ましい。)して用いると、処理時間をさらに数倍早く(30分程度まで)でき、製膜時間を数分の一まで短縮できる。
【0055】
例えば、シラノール触媒であるジブチルスズオキサイドをケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を1時間程度にまで短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0056】
さらに、シラノール触媒を、ケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3と、シラノール触媒であるジブチルスズビスアセチルアセトネートの混合物(混合比は1:1)に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を30分程度に短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0057】
したがって、以上の結果から、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物がシラノール縮合触媒より活性が高いことが明らかとなった。
【0058】
さらにまた、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物の内の1つとシラノール縮合触媒を混合して用いると、さらに活性が高くなることが確認された。
【0059】
なお、ここで、利用できるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8-トリアザ-1,8-ノナジエン、3,11-ジメチル-4,7,10-トリアザ-3,10-トリデカジエン、2,10-ジメチル-3,6,9-トリアザ-2,9-ウンデカジエン、2,4,12,14-テトラメチル-5,8,11-トリアザ-4,11-ペンタデカジエン、2,4,15,17-テトラメチル-5,8,11,14-テトラアザ-4,14-オクタデカジエン、2,4,20,22-テトラメチル-5,12,19-トリアザ-4,19-トリエイコサジエン等がある。
【0060】
また、利用できる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、あるいは酢酸、プロピオン酸、酸、マロン酸等があり、ほぼ同様の効果があった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
また、上記実施例では、マグネタイト微粒子を例として説明したが、本発明は、表面に水酸基のような活性水素を含んだ磁性微粒子で有れば、どのような磁性ナノ粒子にでも適用可能である。具体的には、鉄、クロム、ニッケルやそれらの合金等よりなる磁性金属微粒子やフェライトやマグネタイト、酸化クロム等よりなる磁性金属酸化物微粒子等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例1における磁性微粒子の反応を分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前の磁性微粒子表面の図、(b)は、エポキシ基を含む単分子膜が形成された後の図、(c)は、さらに、ペニシリンGが結合固定された後の図を示す。
【符号の説明】
【0063】

マグネタイト微粒子

水酸基

エポキシ基を含む単分子膜
エポキシ基を含む単分子膜で被覆されたマグネタイト微粒子
ペニシリンGが結合固定されたマグネタイト微粒子
図面
【図1】
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