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明細書 :有機ビスマス化合物を用いる有機化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4092448号 (P4092448)
公開番号 特開2000-026335 (P2000-026335A)
登録日 平成20年3月14日(2008.3.14)
発行日 平成20年5月28日(2008.5.28)
公開日 平成12年1月25日(2000.1.25)
発明の名称または考案の名称 有機ビスマス化合物を用いる有機化合物の製造方法
国際特許分類 C07C   1/32        (2006.01)
C07C  15/24        (2006.01)
B01J  31/12        (2006.01)
C07C 201/12        (2006.01)
C07C 205/06        (2006.01)
C07B  37/04        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 1/32
C07C 15/24
B01J 31/12 Z
C07C 201/12
C07C 205/06
C07B 37/04 Z
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 5
全頁数 13
出願番号 特願平10-194758 (P1998-194758)
出願日 平成10年7月9日(1998.7.9)
審査請求日 平成16年10月8日(2004.10.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】島田 茂
【氏名】田中 正人
【氏名】マダリ ラクシュミ ナラヤナ ラオ
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】松本 直子
参考文献・文献 特開平02-193966(JP,A)
特開平11-060532(JP,A)
Tetrahedron,1988,Vol.44,No.18,P5661-68
Chemical Abstracts,1995年,123:256235t
調査した分野 C07C 1/32
C07C 15/24
C07C 201/12
C07C 205/06
CAplus(STN)
CASREACT(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
炭素-ビスマス結合を少なくとも1個有する有機ビスマス化合物(A)と、次の一般式(II
-Y II
(式中、Rは、反応を阻害しない置換基で置換されていてもよいアリール基、反応を阻害しない置換基で置換されていてもよい複素環式基、反応を阻害しない置換基で置換されていてもよいアルケニル基の中から選ばれる1価の基を示し、Yは脱離基を示す。)
で表される有機化合物(B)とを、遷移金属触媒の存在下に反応させて、有機ビスマス化合物(A)の有機基と有機化合物(B)の有機残基とが新たな炭素-炭素結合で結合した化合物を製造する方法。
【請求項2】
有機ビスマス化合物(A)が、一般式(I)
BiR (I)
(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環式基、アラルキル基の中から選ばれる1価の基を示し、RおよびRはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環式基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基の中から選ばれる1価の基を示し、RおよびRは結合して環を形成していてもよく、またその環のなかにヘテロ原子を含んでいてもよい。)
で表される有機ビスマス化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一般式(I)におけるR及びRが結合して環を形成させる基が、2,6-ピリジンビス[1-(1-メチルエチルオキシ)]基、2,6-ピリジンビス[1-(1-エチルプロピルオキシ)]基、又はN,N’-ビス(ジメチルエチル)-ジメチルシリレンジアミノ基である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
脱離基がトリフルオロメタンスルフォナート基である請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
遷移金属触媒が、パラジウム化合物、ニッケル化合物又は白金化合物である請求項1~4のいずれかに記載の方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遷移金属触媒の存在下に有機ビスマス化合物と脱離基を有する有機化合物、好ましくは、有機トリフルオロメタンスルフォナートとを反応させることを特徴とする、新たな炭素-炭素結合の形式による有機化合物の新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遷移金属触媒存在下、有機典型金属化合物と有機トリフルオロメタンスルフォナートを反応させることによる2種の有機基の結合方法としては、有機スズ化合物(例えば、Angew. Chem. Int. Ed. Engl.誌、508ページ、25巻、1986年)、有機ホウ素化合物(例えば、j. Org. Chem.誌、2201ページ、58巻、1993年)、有機ケイ素化合物(例えば、Tetrahedron Lett.誌、2719ページ、31巻、1990年)等を用いる方法が知られている。しかし、有機ビスマス化合物を用いる方法は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、入手容易でかつ一般に低毒性である有機ビスマス化合物と入手容易な脱離基を有する有機化合物、好ましくは、有機トリフルオロメタンスルフォナートとの反応による各種の有機化合物の製造方法を提供することをその課題とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、有機ビスマス化合物が低原子価遷移金属錯体と反応しビスマス-炭素結合が開裂する可能性を見いだし、さらに脱離基を有する有機化合物、好ましくは、有機トリフロオロメタンスルフォナートを共存させると有機基同志の交差結合生成反応が起こることも見いだし、これらの事実に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、炭素-ビスマス結合を少なくとも1個有する有機ビスマス化合物(A)と、少なくとも1個の脱離基を有する有機化合物(B)とを、遷移金属触媒の存在下に反応させて、有機ビスマス化合物(A)の有機基と有機化合物(B)の有機残基とが新たな炭素-炭素結合で結合した化合物を製造する方法に関する。
【0005】
より詳細には本発明は、遷移金属触媒の存在下に、一般式(I)
BiR (I)
(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環式基、アラルキル基の中から選ばれる1価の基を示し、RおよびRはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環式基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基の中から選ばれる1価の基を示し、RおよびRは結合して環を形成していてもよく、またその環のなかにヘテロ原子を含んでいてもよい。)
で表される有機ビスマス化合物と、一般式(II)
-Y (II)
(式中、Rはアリール基、複素環式基、アルケニル基の中から選ばれる1価の基を示し、Yは脱離基を示す。)
で表される脱離基を有する有機化合物とを反応させることを特徴とする一般式(III)
-R (III)
(式中、RおよびRは、前記と同じ意味を有する)
で表される有機化合物の製造方法に関する。
【0006】
【実施の形態】
本発明において用いられる有機ビスマス化合物(A)は、少なくとも1個の炭素-ビスマス結合を有するものであり、ビスマスに結合する他の基は反応に悪影響を及ばさないものであれば特に制限はない。また、炭素-ビスマス結合を形成する炭素原子を有する基も、反応に悪影響を及ばさないものであれば特に制限はなく、反応に悪影響を及ばさない官能基を置換基として有していてもよい。
本発明の好ましい有機ビスマス化合物としては、前記一般式(I)で表される化合物を挙げることができる。前記一般式(I)において式中のRはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環式基、アラルキル基の中から選ばれる1価の基を示す。
【0007】
前記一般式(I)におけるアルキル基としては、炭素数1~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基が好ましく、より好ましくは低級アルキル基であり、アルケニル基としては、炭素数2~30、好ましくは2~20、より好ましくは2~10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基が好ましく、より好ましくは低級アルケニル基であり、アルキニル基としては、炭素数2~30、好ましくは2~20、より好ましくは2~10の直鎖状又は分枝状のアルキニル基が好ましく、より好ましくは低級アルキニル基であり、シクロアルキル基としては、炭素数5~30、好ましくは5~20、より好ましくは6~10の単環、多環又は縮合環式のシクロアルキル基が好ましく、シクロアルケニル基としては前記したシクロアルキル基であって少なくとも1個以上の不飽和結合を有するものが好ましく、アリール基としては、炭素数6~30、好ましくは6~20、より好ましくは6~10の単環、多環又は縮合環式のアリール基が好ましく、複素環式基としては、環中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有し、1個の環の大きさが5~20員、好ましく5~10員、より好ましく5~7員であって、前記したシクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基を縮合していてもよい飽和又は不飽和の単環、多環又は縮合環式の複素環式基が好ましく、アラルキル基としては前記したアルキル基又はアルケニル基に前記のアリール基又は複素環式基が置換しているものが挙げられる。
【0008】
一般式(I)中の前記したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環式基、又は、アラルキル基は、反応を阻害しない置換基で置換されていてもよい。また、置換基が反応を阻害する可能性がある場合には、必要に応じてこれらの置換基を保護基で保護することもできる。したがって、本発明の置換基としては、反応中に保護基で保護することができる反応性の置換基も包含している。
一般式(I)中の前記したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環基、又は、アラルキル基の置換基としては、これらの基が相互に置換することができる場合には、これらの基が相互に置換したものであってもよい。例えば、アルキル置換シクロアルキル基、アルキル置換アリール基、アルキル置換複素環式基、アルキル置換アラルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキルアルケニル基、アルケニル置換アリール基などが挙げられる。
【0009】
その他の置換基としては、前記したアルキル基からなるアルコキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルシリル基、アルキル置換シロキシ基などの他に、塩素、臭素、フッ素などのハロゲン原子、メチレンジオキシ、ジメチルメチレンジオキシ基(アセトナイド)などのアルキレンジオキシ基、シアノ基などが挙げられる。
【0010】
の具体例としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4-ピリジル基、ベンジル基、ビニル基、フェニルエチニル基等を例示することができる。また、RおよびRは前記したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環式基、アラルキル基などのほかに、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基の中から選ばれる1価の基であってもよい。アルコキシ基としては前記したアルキル基から誘導されるアルコキシ基、好ましくは低級アルコキシ基であり、アリールオキシ基としては前記したアリール基から誘導されるアリールオキシ基であり、アミノ基は遊離のアミノ基の他に前記したアルキル基やアリール基などでN-置換されたアミノ基が包含される。RおよびRは結合して環を形成していてもよく、またその環のなかにヘテロ原子を含んでいてもよい。また、R及びRがビスマス原子と共に環を形成した場合に、当該環に含まれるヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素などが挙げられる。当該環は各種の置換基を有していてもよいし、シクロアルキル環、アリール又は複素環などの他の環が結合していてもよい。
【0011】
およびRの具体例としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4-ピリジル基、ベンジル基、ビニル基、フェニルエチニル基、メトキシ基、フェノキシ基、1,2-エチレンジオキシ基、1,2-シクロヘキシレンジオキシ基、1,2-フェニレンジオキシ基、2,6-ピリジンビス[1-(1-メチルエチルオキシ)]基、2,6-ピリジンビス[2-(1,1-ジフェニルエチルオキシ)]基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N,N’-ジメチル-1,2-エチレンジアミノ基、N,N’-ビス(ジメチルエチル)-1,2-フェニレンジアミノ基、N,N’-ビス(ジメチルエチル)-ジメチルシリレンジアミノ基、2,6-ピリジンビス[N-フェニル(メチルアミノ)]基等を例示することができる。
【0012】
本発明の少なくとも1個の脱離基を有する化合物(B)としては、本発明の方法により新たな炭素-炭素結合を形成するために脱離し得るものであれば特に制限はない。脱離基の例としては、スルフォナート基、ハロゲン、アシルオキシ基などが挙げられるが、スルフォナート基が好ましく、より具体的にはトリフルオロメタンスルフォナート基が好ましい。
本発明の有機化合物(B)は次の一般式(II)
-Y (II)
(式中、R及びYは前記したものを示す。)
で表され、より好ましい例としては次の一般式(IV)
-OSO-CF (IV)
(式中、Rは前記したものを示す。)
で表される有機トリフルオロメタンスルフォナートである。
【0013】
前記一般式中のRは前記したアリール基、複素環式基、アルケニル基の中から選ばれる1価の基を示し、Rの具体例としては、フェニル基、チエニル基、ピリジル基、ビニル基、シクロヘキセニル基等を例示することができる。
【0014】
本発明の反応の生起には、遷移金属触媒の使用は必須であり、触媒が存在しない場合には、反応は全く進行しない。遷移金属触媒としては、種々の構造のものを用いることができるが、好適なものは、いわゆる低原子価の遷移金属錯体である。好ましい遷移金属としては、ニッケル、パラジウム、コバルト、白金、イリジウム、ルテニウムなどがある。本発明の触媒はこれらの遷移金属の化合物を使用することができる。また、これらの触媒をそのまま反応系に加えてもよいが、反応系中で容易に低原子価遷移金属錯体に変換される適当な前駆錯体を用いることも好ましい態様である。
【0015】
本発明に用いられる遷移金属触媒を具体的に例示すると、以下の通りである。テトラカルボニルニッケル、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル、(η-エチレン)ビス(トリエチルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル、ジメチルビス(トリメチルホスフィン)ニッケル、クロロ(η-シクロペンタジエニル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル等のニッケル触媒。
【0016】
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、テトラキス(トリメチルホスフィン)パラジウム、トリス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリエチルホスフィト)パラジウム、テトラキス(トリフェニルアルシン)パラジウム、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(η-エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(η-無水マレイン酸)[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン] パラジウム、ビス(シクロオクタ-1,5-ジエン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、クロロ(メチル)(1,5-シクロオクタジエン)パラジウム、ジエチルビス(トリフェニルフォスフィト)パラジウム、ジエチルビス(トリメチルフォスフィト)パラジウム、ジエチルビス(トリ-i-プロピルフォスフィト)パラジウム、ジメチル[1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジメチル[1,3-ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジメチル[1,2-ビス(ジメチルアミノ)エタン]パラジウム、ジメチルビス(4-エチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン)パラジウム、ビス(t-ブチルイソシアニド)ジメチルパラジウムビス(1,1,3,3-テトラメチルブチルイソシアニド)ジメチルパラジウムジフェニルビス(メチルジフェニルホスフィニト)パラジウム、ジベンジルビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジエチニルビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジネオペンチル(2,2’-ビピリジル)パラジウム、ブロモ(メチル)ビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ベンゾイル(クロロ)ビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、シクロペンタジエニル(フェニル)(トリエチルホスフィン)パラジウム、η-アリル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)パラジウム、π-アリル(1,5-シクロオクタジエン)パラジウムテトラフルオロほう酸塩、ビス(π-アリル)パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ジクロロエチレンジアミンパラジウム、塩化パラジウム、パラジウム炭素などの担持パラジウム金属等のパラジウム触媒。
【0017】
テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金、ビス(トリフェニルホスフィン)エチレン白金、テトラキス(トリエチルフホスフィン)白金、ビス(1,5-シクロオクタジエン)白金、ビス(ジベンジリデンアセトン)白金、白金ブラック等の金属白金触媒等。
【0018】
オクタカルボニル二コバルト、ヘキサカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)二コバルト等のコバルト触媒。
【0019】
クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ドデカカルボニル四ロジウム、ヒドリドテトラカルボニルロジウム、塩化ロジウム等のロジウム触媒。
ドデカカルボニル四イリジウム、クロロトリカルボニルイリジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)イリジウム、クロロカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)イリジウム等のイリジウム触媒。
【0020】
ドデカカルボニル三ルテニウム、テトラヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェルホスフィン)ルテニウム等のルテニウム錯体。
【0021】
これらの触媒は、反応系中で合成したものを精製せずそのまま用いてもよく、また二種以上の混合系触媒として用いてもよい。さらに上記錯体と各種配位子を系中で混合してそのまま用いてもよい。この反応の触媒系にリン配位子を持つものを用いる場合、系中の触媒金属原子と配位子中のリン原子の当量比は金属原子1に対しリン原子0~10望ましくは0.5~5がよい。
また、これらの触媒は担体に担持して使用することができる。
【0022】
これら遷移金属触媒の使用量はいわゆる触媒量で良く、一般的には有機ビスマス化合物(A)に対して20モル%以下で十分である。有機ビスマス化合物(A)と有機化合物(B)との使用比率は、一般的にはモル比で1:1が好ましいが、これより大きくても小さくても、反応の生起を阻害するものではない。
【0023】
反応は特に溶媒を用いなくてもよいが、必要に応じて溶媒中で実施することもできる。溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系、THF、ジグライムなどのエーテル系、DMF、DMAなどのアミド系、塩化メチレン、ジクロンエタンなどのハロゲン化炭化水素系の溶媒が一般的に用いられる。反応温度は、あまりに低温では反応が有利な速度で進行せず、あまりに高温では触媒が分解するので、一般的には0℃ないし200℃の範囲から選ばれ、好ましくは室温ないし150℃の範囲で実施される。
【0024】
本反応の中間体は酸素や水に敏感であり、反応の実施は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気で行うのが好ましい。反応混合物からの生成物の分離は、蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等によって容易に達成される。
【0025】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、もとより本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1
次式で表される有機ビスマス化合物、
【0027】
【化1】
JP0004092448B2_000002t.gif(2,6-Py(CEtO)BiPh)
【0028】
を0.25mモル、1-ナフタレントリフルオロメタンスルフォナートを0.25mモル、Pd(PPhを0.037mモルを含むトルエン溶液4mlを窒素雰囲気下60℃で18時間攪拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィーで分離することにより1-フェニルナフタレンを55%の収率で得た。
【0029】
実施例2
次式で表される有機ビスマス化合物、
【0030】
【化2】
JP0004092448B2_000003t.gif(2,6-Py(CMeO)BiPh)
【0031】
を0.15mモル、4-ニトロフェニルトリフルオロメタンスルフォナートを0.15mモル、Pd(PPhを0.007mモルを含むベンゼン溶液0.5mlを窒素雰囲気下60℃で11時間攪拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィーで分離することにより4-ニトロビフェニルを37%の収率で得た。
【0032】
実施例3
次式で表される有機ビスマス化合物、
【0033】
【化3】
JP0004092448B2_000004t.gif(2,6-Py(CMeO)BiMe)
【0034】
を0.23mモル、1-ナフタレントリフルオロメタンスルフォナートを0.24mモル、Pd(PPhを0.011mモルを含む重ベンゼン(C)溶液0.5mlを窒素雰囲気下80℃で18時間攪拌した。反応混合物のNMR分析により1-メチルナフタレンが40%収率で生成していることを確認した。
【0035】
実施例4
次式で表される有機ビスマス化合物、
【0036】
【化4】
JP0004092448B2_000005t.gif(MeSi(NtBu)Bi-tol)
【0037】
を0.17mモル、4-ニトロフェニルトリフルオロメタンスルフォナートを0.17mモル、Pd(PPhを0.0087mモルを含むトルエン溶液0.6mlを窒素雰囲気下60℃で14時間攪拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィーで分離することにより4-メチル-4’-ニトロビフェニルを20%の収率で得た。
【0038】
実施例5
次式で表される有機ビスマス化合物、
【0039】
【化5】
JP0004092448B2_000006t.gif(MeSi(NtBu)Bi-Me)
【0040】
を0.25mモル、1-ナフタレントリフルオロメタンスルフォナートを0.24mモル、Pd(PPhを0.012mモルを含むC溶液0.6mlを窒素雰囲気下室温で48時間攪拌した。反応混合物のNMR分析により1-メチルナフタレンが50%収率で生成していることを確認した。
【0041】
実施例6
次式で表される有機ビスマス化合物、
【0042】
【化1】
JP0004092448B2_000007t.gif(2,6-Py(CEtO)BiPh)
【0043】
を0.125mモル、1-ナフタレントリフルオロメタンスルフォナートを0.125mモル、Pd(PPhを0.0125mモルを含むN-メチル-2-ピロリジノン溶液3mlを窒素雰囲気下60℃で18時間撹拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィーで分離することにより1-フェニルナフタレンを78%収率で得た。
【0044】
実施例7
次式で表される有機ビスマス化合物、
【0045】
【化1】
JP0004092448B2_000008t.gif(2,6-Py(CEtO)BiPh)
【0046】
を0.125mモル、1-ナフタレントリフルオロメタンスルフォナートを0.125mモル、Pd(PPhを0.0125mモルを含むジメチルフォルムアミド溶液3mlを窒素雰囲気下60℃で18時間撹拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィーで分離することにより1-フェニルナフタレンを77%収率で得た。
【0047】
実施例8
次式で表される有機ビスマス化合物、
【0048】
【化1】
JP0004092448B2_000009t.gif(2,6-Py(CEtO)BiPh)
【0049】
を0.125mモル、1-ナフタレントリフルオロメタンスルフォナートを0.125mモル、Pd(PPhを0.0125mモルを含むテトラヒドロフラン溶液3mlを窒素雰囲気下60℃で18時間撹拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィーで分離することにより1-フェニルナフタレンを51%収率で得た。
【0050】
実施例9
次式で表される有機ビスマス化合物、
【0051】
【化1】
JP0004092448B2_000010t.gif(2,6-Py(CEtO)BiPh)
【0052】
を0.125mモル、1-ナフタレントリフルオロメタンスルフォナートを0.125mモル、Pd(PPhを0.0125mモルを含む1,2-ジクロロエタン溶液3mlを窒素雰囲気下60℃で18時間撹拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィーで分離することにより1-フェニルナフタレンを16%収率で得た。
【0053】
実施例10
次式で表される有機ビスマス化合物、
【0054】
【化1】
JP0004092448B2_000011t.gif(2,6-Py(CEtO)BiPh)
【0055】
を0.125mモル、1-ナフタレントリフルオロメタンスルフォナートを0.125mモル、トリス(ジベンジリデンアセトン)二白金を0.006mモルを含むトルエン溶液3mlを窒素雰囲気下60℃で18時間撹拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィーで分離することにより1-フェニルナフタレンを8%収率で得た。
【0056】
実施例11
次式で表される有機ビスマス化合物、
【0057】
【化1】
JP0004092448B2_000012t.gif(2,6-Py(CEtO)BiPh)
【0058】
を0.125mモル、1-ナフタレントリフルオロメタンスルフォナートを0.125mモル、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケルを0.0125mモル、トリフェニルホスフィンを0.025mモル含むトルエン溶液3mlを窒素雰囲気下60℃で18時間撹拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィーで分離することにより1-フェニルナフタレンを8%収率で得た。
【0059】
実施例12
トリフェニルビスマスを0.13mモル、1-ナフタレントリフルオロメタンスルフォナートを0.36mモル、Pd(PPhを0.017mモルを含むトルエン溶液1.5mlを窒素雰囲気下室温で1時間、60℃で2時間、80℃で3時間30分攪拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィーで分離することにより1-フェニルナフタレンを3%の収率で得た。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、入手容易な有機ビスマス化合物と有機トリフルオロメタンスルフォナート類の反応により有機基の交差結合生成反応を実現できる。2種類の有機基の交差結合生成反応は医農薬の合成において極めて重要な反応であり、また、有機系電子材料をはじめとする各種有機系材料の製造にも有用である。従って本発明の産業的意義は多大である。