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明細書 :加速度評価装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4961548号 (P4961548)
公開番号 特開2007-205844 (P2007-205844A)
登録日 平成24年4月6日(2012.4.6)
発行日 平成24年6月27日(2012.6.27)
公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
発明の名称または考案の名称 加速度評価装置
国際特許分類 G01P  15/135       (2006.01)
G01P  15/18        (2006.01)
FI G01P 15/135 Z
G01P 15/00 K
請求項の数または発明の数 3
全頁数 17
出願番号 特願2006-024512 (P2006-024512)
出願日 平成18年2月1日(2006.2.1)
審査請求日 平成21年1月16日(2009.1.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】西村 一寛
【氏名】井上 光輝
審査官 【審査官】續山 浩二
参考文献・文献 特開2005-351793(JP,A)
特開2005-065789(JP,A)
特開平11-037754(JP,A)
実開昭63-111666(JP,U)
調査した分野 G01P 15/135
G01P 15/18
G01P 15/105
特許請求の範囲 【請求項1】
周囲のいずれにも固定されていない、永久磁石からなる可動部と該可動部が永久磁石の磁極面に直角な方向に直線状に自在に、その内部またはそれにより構成された空間を移動することが可能で、かつ可動部の移動が外部から目視可能なガイドと、該ガイドの一端は平板上の材料で封じられて底板として機能し、底板には当該ガイドを立てて固定・安定化させるための機構を備えており、該ガイドの内側で底板に固定されて配置された永久磁石と、該永久磁石の一方の磁極面に磁力によって吸着・一体化されている軟磁性体からなる固定部から構成され、該可動部の永久磁石と該固定部の永久磁石は、可動部と固定部の両方の永久磁石の構造中心軸が一本の直線に一致して、かつ同じ磁極の磁性面が対向して、さらに固定部の永久磁石に吸着する軟磁性体が可動部側に対向して配置されており、可動部と固定部は、互いの永久磁石の磁力の反発力により、該可動部がガイド内の該固定部の上部空間に浮上状態を維持する構造で、設定値以上の加速度が装置に作用したときに、加速度により可動部が移動して固定部側に近づき、固定部の軟磁性体の極性変化により、可動部と固定部が磁気的に吸着し、その吸着状態を保持することを特徴とする加速度評価装置
【請求項2】
固定部が設置されている端と対向するガイドの端に設けられた封止板に固定されて、同じ構成からなる固定部が配置されてなり、可動部は二組の固定部の中間に配置され、二組の固定部の永久磁石の可動部側磁極の極性は、対向する可動部の永久磁石の磁極と同じ極性を示すように配置されてなり、かつ、該可動部は両固定部からの磁力の反発力により、両固定部の間に存在している構造である事を特徴とする請求項1に記載の加速度評価装置
【請求項3】
可動部と固定部とガイドから構成された加速度評価装置を一ユニットとして、このユニットをX、Y、Zの3軸に直交するように配置して一体とした構成であることを特徴とする請求項に記載の加速度評価装置
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度に反応して、設定値以上の大きさの加速度に対して、永久磁石と軟磁性体とが磁気的に吸着・結合することにより、加速度の大きさを評価する加速度評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の加速度センサを用いて、加速度や衝撃を検出することによって、 特許文献1の「防犯・防災システム」、特許文献2の「墜落検知センサー」、特許文献3の「盗難追跡及び緊急通報装置」、特許文献4の「車両用エアバック装置」、特許文献5の「車両事故通報システム」、特許文献6の「車両事故記録装置」などが利用されている。
【0003】
また、地震発生時に電気回路を短絡させ、確実にブレーカーを遮断するものとして、特許文献7、もしくは、特許文献8の「感震短絡装置」、および、特許文献9の「振動を関知し漏電ブレーカを作動させる装置」が利用されている。地震発生から避難時間を考慮してタイマーを設けて作動する特許文献10の「主幹漏電ブレーカー用感震センサー」も利用されている。

【特許文献1】特開平11-31286号公報
【特許文献2】特開2000-283995号公報
【特許文献3】特開2003-36493号公報
【特許文献4】特開平10-71911号公報
【特許文献5】特開平8-287386号公報
【特許文献6】特開2001-55175号公報
【特許文献7】特開平10-122946号公報
【特許文献8】特開2002-83530号公報
【特許文献9】登録実用新案第3057397号公報
【特許文献10】特開2000-243211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のセンサを用いた場合、例えば特許文献1~6に記載されているように、センサの駆動のための電源が必要であったり、また例えば加速度センサの出力信号が設定値を超えた場合に動作する回路を用いてデータの判別を行う場合には、それらの機器が必要となるため、構成が大掛かりになり、取り付けや判別の作業が複雑になる。 また、加速度によってこれら機器が故障したり、断線しやすくなる。
【0005】
さらに、このように、構成や取り付け作業が複雑になるため携帯して使用することが困難である、という欠点があった。
【0006】
また、特許文献7~10に記載されているように、地震発生時に電気回路を短絡する装置は、構成が複雑なうえ、精度が確定しにくく、誤動作しやすい構造となっている。
【0007】
本発明の目的は、従来の技術が有していた問題を解決し、センサ等を駆動するための電源が不要で、またデータを判別するための機器などが必要なく、取り付けのための複雑な作業が防止できる、さらには外部から加わった加速度の大きさが、設定値を越えていないかを目視や配線の接続によって直ちに確認できる加速度評価装置を提供することにある。
【0008】
また、携帯することが容易である携帯用加速度評価装置として、例えば美術品などの輸送時に携帯することで、設定値以上の加速度を加えていないかの検査や、地震の震度評価装置として、地震後に回収し評価できる装置など、従来にない携帯用加速度評価装置を提供することにある。


【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の現状に鑑み、鋭意検討を行った結果、次の発明を完成させるに至った。
【0010】
第一の発明は、周囲のいずれにも固定されていない、永久磁石からなる可動部と該可動部が永久磁石の磁極面に直角な方向に直線状に自在に、その内部またはそれにより構成された空間を移動することが可能で、かつ可動部の移動が外部から目視可能なガイドと、該ガイドの一端は平板上の材料で封じられて底板として機能し、底板には当該ガイドを立てて固定・安定化させるための機構を備えており、該ガイドの内側で底板に固定されて配置された永久磁石と、該永久磁石の一方の磁極面に磁力によって吸着・一体化されている軟磁性体からなる固定部から構成され、該可動部の永久磁石と該固定部の永久磁石は、可動部と固定部の両方の永久磁石の構造中心軸が一本の直線に一致して、かつ同じ磁極の極性面が対向して、さらに固定部の永久磁石に吸着する軟磁性体が可動部側に対向して配置されており、可動部と固定部は、互いの永久磁石の磁力の反発力により、該可動部がガイド内の該固定部の上部空間に浮上状態を維持する構造で、設定値以上の加速度が装置に作用したときに、加速度により可動部が移動して固定部側に近づき、固定部の軟磁性体の極性変化により、可動部と固定部が磁気的に吸着し、その吸着状態を保持することを特徴とする加速度評価装置、である。
【0011】
第二の発明は、第一の発明に記載の加速度評価装置において、ガイドの外部に作られた電気回路の一部をなす電気導体等が、固定部の軟磁性体の可動部側磁極近辺に配置されており、設定値以上の加速度が装置に作用したときに、加速度により可動部が移動して固定部側に近づき、固定部の軟磁性体が極性変化して、可動部と固定部が磁気的に吸着することにより、当該電気回路を電気的に接続または切断する機構を持ち、その磁気的吸着状態を保持することを特徴とする加速度評価装置、である。
【0012】
さらに第三の発明は、周囲のいずれにも固定されていない、永久磁石からなる可動部と該可動部が永久磁石の磁極面に直角な方向に直線状に自在に、その内部またはそれにより構成された空間を移動することが可能で、かつ可動部の移動が外部から目視可能なガイドと、該ガイドの一端は平板上の材料で封じられて底板として機能し、底板には当該ガイドを立てて固定・安定化させるための機構を備えており、該ガイドの内側で底板に固定されて配置された永久磁石と、該永久磁石の一方の磁極面に磁力によって吸着・一体化されている二組の軟磁性体からなる固定部から構成され、該可動部の永久磁石と該固定部の永久磁石は、可動部と固定部の両方の永久磁石の構造中心軸が一本の直線に一致して、かつ同じ磁極の極性面が対向して、さらに固定部の永久磁石に吸着する軟磁性体が可動部側に対向して配置されており、可動部と固定部は、互いの永久磁石の磁力の反発力により、該可動部がガイド内の該固定部の上部空間に浮上状態を維持する構造で、設定値以上の加速度が装置に作用したときに、加速度により可動部が移動して固定部側に近づき、固定部の軟磁性材料の極性変化により、可動部と固定部が磁気的に吸着し、その後軟磁性体の極性変化により二組の軟磁性体の対向面において磁気的に分離して、可動部側にある軟磁性体のみが可動部と一体となり新たな組み合わせの可動部を形成し、固定部永久磁石との結合状態から離れることにより、新たな可動部が固定部の上部空間に浮上する状態を保持することを特徴とする加速度評価装置、である。
【0013】
第四の発明は、第三の発明に記載の加速度評価装置において、ガイドの外部につくられた電気回路の一部をなす電気導体等が、固定部の二組の軟磁性体の間の磁極近辺に配置されており、設定値以上の加速度が装置に作用したときに、加速度により可動部が移動して固定部側に近づき、固定部の軟磁性体の極性変化により、可動部と固定部の軟磁性体が磁気的に吸着し、その後軟磁性体の極性変化により2組の軟磁性体の対向面において磁気的に分離して、可動部側にある軟磁性体のみが可動部と一体となり新たな組み合わせの可動部を形成し、固定部永久磁石との結合状態から離れることにより、当該電気回路を電気的に接続または切断する機構を持ち、かつ新たな可動部が固定部の上部空間に浮上する状態を保持することを特徴とする加速度評価装置、である。
【0014】
第五の発明は、第一ないし第二、または第三ないし第四の発明に記載の加速度評価装置において、固定部が設置されている端と対向するガイドの端に設けられた封止板に固定されて、同じ構成からなる固定部が配置されてなり、可動部は二組の固定部の中間に配置され、二組の固定部の永久磁石の可動部側磁極の極性は、対向する可動部の永久磁石の磁極と同じ極性を示すように配置されてなり、かつ、該可動部は両固定部からの磁力の反発力により、両固定部の間に存在している構造である事を特徴とする加速度評価装置、である。
【0015】
第六の発明は、第五の発明に記載の加速度評価装置において、可動部と固定部とガイドから構成された加速度評価装置を一ユニットとして、このユニットをX、Y、Zの3軸に直交するように配置して一体とした構成であることを特徴とする加速度評価装置、である。
【0016】
このように、本発明においては、ガイドが形成する一定の空間内において、永久磁石と軟磁性体とを組み合わせて可動部と固定部を構成し、可動部と固定部の永久磁石は互いにその磁力が反発するように配置し、加えられた加速度の大きさに依存して可動部が固定部側に近づき、固定部の軟磁性体の極性変化により、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合し、その結合状態を保持することを特徴とした、電源等の不要な、シンプルな構成で加速度を評価する装置を提案した。(第一の発明)
【0017】
さらには、本発明においては、ガイドが形成する一定の空間内において、永久磁石と軟磁性体とを組み合わせて可動部と固定部を構成し、可動部と固定部の永久磁石は互いにその磁力が反発するように配置し、加えられた加速度の大きさに依存して可動部が固定部側に近づき、固定部の軟磁性体の極性変化により、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合し、その後新たな組み合わせの可動部を形成し、固定部永久磁石との結合状態から離れることにより、新たな可動部が固定部の上部空間に浮上する状態を保持することを特徴とした、電源等の不要な、シンプルな構成で加速度を評価する装置を提案した。(第三の発明)
【0018】
また本発明によれば、第一または第三の発明に加えて、ガイドの外部に作られた電気回路の一部をなす電気導体等が、加えられた加速度の大きさに依存して、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合または脱着・分離する際に、当該電気回路を電気的に接続または切断する機構を付属させて、加速度の強さと外部電気回路が連動したスイッチ機能を設けた加速度評価装置を提案した。(第二および第四の発明)
【0019】
また本発明によれば、第一ないしは第二、または第三ないしは第四の発明に加えて、可動部が二組の同じ構成の固定部の間に挟まれて存在し、可動部が加えられた加速度の大きさに依存していずれの固定部方向に近づいても、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合または脱着・分離し、その状態を保持することを特徴とした加速度評価装置を提案した。(第五の発明)
【0020】
さらに本発明によれば、第五の発明における加速度評価装置を一ユニットとして、そのユニットをX,Y,Zの3軸に直交するように配置して一体化させることにより、あらゆる方向の加速度を評価できる加速度評価装置を提案した。(第六の発明)
【0021】
本発明において用いる永久磁石としては、着磁されたサマリウムコバルト磁石、ネオジウム磁石、フェライト磁石、ボンド磁石、アルニコ磁石などを用いることができる。なかでも、磁力の強さ、減磁曲線の直線性などからネオジウム磁石が好ましい。
【0022】
また、これら永久磁石の態様としては必ずしも一個で構成される必要はなく、複数個の永久磁石を用いて一体化し、実質的に一個として機能すればよい。
【0023】
本発明において用いる軟磁性体としては、永久磁石の磁力によって磁化されるものであればよく、磁性をもつステンレス、鉄、ニッケル、コバルト、鉄コバルト合金材料、その他合金材料、アモルファス材料、フェライト材料などを用いることができる。なかでも、軟磁気特性の高さから、鉄が好ましい。
【0024】
また、これら軟磁性体は、本発明においては、可動部または固定部の永久磁石と一体化して使われるが、一体化する方法としては、粘着剤による方法、磁気的な吸着による方法ないしは機械的に結合させる方法などを使うことができる。
【0025】
さらには、軟磁性材料の形状は、例えば、直方体、円柱状、リング状、球形状とすることができ、直方体、円柱状、リング状に関しては、径方向、軸方向においても用いることができる。
【0026】
さらに、軟磁性体は必ずしも一個で構成される必要はなく、複数個の軟磁性体を用いて一体化し実質的に一個として機能すればよい。
【0027】
本発明において用いる電気的に接続または切断する機構とは、電気導体の接続又は遮断による方法のほか、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合または磁気的に脱着・分離する際の、可動部周辺磁界分布の変化により接断するリレーなどを用いてもよい。
【0028】
また、本発明において用いる電気回路には、単に回路の接続、切断のみでなく、該回路に接続または連動することによって、例えば、音や光を発する、あるいは文字を表示させる機能を有するものやそれらを組み合わせたものを用いても良い。
【0029】
本発明において用いるガイドは、透明な円筒状の構造のほか、複数の棒状の柱から構成される構造でもよい。また、永久磁石や軟磁性体を円筒状の構造にすることでその内径内に棒状の柱を配置させた構造でもよい。なかでも、透明な円筒状の構造のものが、組み立てやすく、また扱いやすいなどの点で好ましい。
【0030】
ガイドの底板は、他の方法で加速度評価装置が周辺の器具や装置などに固定できれば、なくてもよい。
【0031】
また本発明による加速度評価装置の、可動部が移動する空間を密閉し、空気以外の媒体例えば溶液を充填すると、その溶液の粘度を変えることによって、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合する加速度の値が変化し、装置の設定値を調整することができる。
【0032】
本発明の加速度評価装置においては、上述の構造の選択や、永久磁石の種類や形状、磁力の強さ、また軟磁性体の種類、磁気特性や形状、さらには永久磁石と軟磁性体の組み合わせ、装置の構成や大きさなどによって、評価する加速度の値や周波数の範囲を、自由に設定できる特徴を持つ。


【発明の効果】
【0033】
本発明の加速度評価装置は、以下に示す効果を有する。
【0034】
本発明の加速度評価装置は、構成要素がシンプルで、また駆動するための電源が不要であるため、設置場所の制約や取り付けに伴う作業の複雑化が防止される。
【0035】
また振動などによる機器の故障や回路の断線などによる、計測が不可能になる場合もなく、設定した値以上の加速度が作用したか否かを、可動部と固定部の磁気的吸着・結合の状態を目視することで、すぐに確認することができる。
【0036】
さらに、外部の電気回路等と連動してスイッチ機能を持たせ、アラームの発生や状態の表示、あるいは他の装置の接断など、機能を付加させることも可能である。
【0037】
また、上記理由により携帯することが容易であることから、携帯用加速度評価装置として、従来は困難であった、例えば美術品などの輸送時に携帯することで、輸送時に設定値以上の加速度を加えていないかなどを確認する等、新しい分野での利用が可能である。
【0038】
以上のように、本発明による加速度評価装置は、人間の動きにともなう小さい加速度から、地震による大きな加速度まで、幅広い範囲、様々な現象に対して利用可能であり、優れた加速度評価機能と多様な応用例を提供するものである。


【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明を実施するための最良の形態について、図を参照して説明する。
【0040】
第一の発明に対応する実施形態は、図1に示すように略鉛直状に立てられた加速度評価装置において、ガイド6内で反発する可動部(磁石)1と固定部(磁石)5の間に固定部(軟磁性体)2を挿入・配置することによって、この固定部(軟磁性体)2を媒介として、図2のように設定値以上の加速度でこれら反発しあった永久磁石を磁気的に吸着・結合させる現象を利用した加速度評価装置である。(なお、ガイドの底板は図示していない。)
【0041】
固定部(磁石)5に固定部(軟磁性体)2を近づけると固定部(軟磁性体)2は磁化され図1のような磁化状態となる。
【0042】
前記した固定部(磁石)5と固定部(軟磁性体)2を固定し、その上部に可動部(磁石)1をガイド6を用いて図1のように配置させた場合、向き合う面が同極となるため反発し合う。
【0043】
上部の可動部(磁石)1に加速度が加わって固定部(軟磁性体)2に近づいた場合、固定部(軟磁性体)2の磁化状態が変化する。
【0044】
この固定部(軟磁性体)2の磁化状態が変化することで、可動部(磁石)1と向き合う面が同極から徐々に変化し、最終的には、図2のように異極となり磁気的に吸着・結合する。
【0045】
この状態を目視することによって、加わった加速度の大きさを評価する加速度検査装置として利用できる。
【0046】
第二の発明に対応する実施形態は、永久磁石と軟磁性体というシンプルな組み合わせのままで、第一の発明に対応する実施形態の持つ機能のみならず、電気回路の接断を利用した装置の動作も可能とする加速度評価装置である。
【0047】
具体的には、第一の発明に対応する実施形態に加えて、図3に示すように略鉛直状に立てられた加速度評価装置において、可動部(磁石)1と固定部(軟磁性体)2が磁気的に吸着・結合する面に、絶縁性の粘着層9と、導電層8からなる導体(テープ)を切断して図のように貼り付けて、設定値以上の加速度が加わった場合に、図4のように可動部(磁石)1の導電面が導電層8と接触して導通するスイッチとして利用するものである。(なお、ガイドの底板および加速度評価装置周辺以外の電気回路は図示していない。)
【0048】
また、図5のように、可動部(磁石)1と固定部(軟磁性体)2が磁気的に吸着・結合する面に設置した、折れやすい構造をした導電層8と絶縁性の粘着層9からなる導体が、設定値以上の加速度が加わった場合に、図6のように可動部(磁石)1が固定部(軟磁性体)2に吸着したときに間に挟まれ折れて断線するスイッチとして利用するものである。
【0049】
第三の発明に対応する実施形態は、第一の発明に対応する実施形態と同様に、永久磁石と軟磁性体というシンプルな組み合わせのままで、第一の発明に対応する実施形態の持つ機能のみならず、電気回路の接断を利用した装置の動作も可能とする加速度評価装置である。
【0050】
具体的には図7に示すように、固定部(磁石)5に固定部(中間層軟磁性体)4および固定部(軟磁性体)2を近づけると固定部(中間層軟磁性体)4および固定部(軟磁性体)2は磁化され図7のような磁化状態となり、磁気的に一体化される。
【0051】
固定部(軟磁性体)2とその上部にある可動部(磁石)1は、図7のように配置させた場合向き合う面が同極となるため反発し合う。
【0052】
上部の可動部(磁石)1に加速度が加わって固定部(軟磁性体)2に近づいた場合、固定部(軟磁性体)2の磁化状態が変化する。
【0053】
上部可動部(磁石)1と向き合う固定部(軟磁性体)2の磁化状態が同極から徐々に変化し、可動部(磁石)1と固定部(軟磁性体)2が磁気的に吸着・結合し、その後新たな組み合わせの可動部(可動部(磁石)1と固定部(軟磁性体)2)を形成し、固定部(中間層軟磁性体)4と固定部(軟磁性体)2との間で磁気的に脱着・分離し、固定部永久磁石との結合状態から離れることにより、最終的に、新たな可動部が固定部の上部空間に浮上する状態(図8)を保持する。(なお、ガイドの底板は図示していない。)
【0054】
この状態を目視することによって、加わった加速度の大きさを評価する加速度検査装置として利用できる。
【0055】
第四の発明に対応する実施形態は、永久磁石と軟磁性体というシンプルな組み合わせのままで、第三の発明に対応する実施形態の持つ機能のみならず、電気回路の接断を利用した装置の動作も可能とする加速度評価装置である。
【0056】
具体的には、図9に示すように略鉛直状に立てられた加速度評価装置において、固定部(磁石)5とこれに磁気的に吸着・結合している固定部(中間層軟磁性体)4および固定部(軟磁性体)2において、固定部(中間層軟磁性体)4と固定部(軟磁性体)2との結合面に、図3と同様の導電層8と絶縁性の粘着層9からなる導電体(テープ)を切断して図のように貼り付けてあり、あらかじめ固定部(軟磁性体)2が導電体として回路の一部を構成し、回路が導通状態である構造のものを、設定値以上の加速度が加わった場合に、可動部(磁石)1と固定部(軟磁性体)2が磁気的に吸着・結合し、その後新たな組み合わせの可動部(可動部(磁石)1と固定部(軟磁性体)2)を形成し、図10のように固定部(中間層軟磁性体)4と固定部(軟磁性体)2との間で磁気的に脱着・分離し、固定部永久磁石との結合状態から離れることにより、 最終的に、新たな可動部が固定部の上部空間に浮上する状態(図10)を保持することにより、電気回路の導通が遮断される。
【0057】
このようにして、加速度が加わった場合の可動部(磁石)1の動きを、断線スイッチとして利用するものである。(なお、ガイドの底板および加速度評価装置周辺以外の電気回路は図示していない。)
【0058】
また、図11に示すように略鉛直状に立てられた加速度評価装置において、固定部(磁石)5とこれに磁気的に吸着・結合している固定部(中間層軟磁性体)4および固定部(軟磁性体)2において、固定部(中間層軟磁性体)4と固定部(軟磁性体)2との結合面に、バネ性導電体8aを切断して図のように貼り付けてあり、あらかじめ固定部(軟磁性体)2が固定部(中間層軟磁性体)4と磁気的に吸着・結合することで回路の一部が遮断され、回路が非導通状態である構造のものを、設定値以上の加速度が加わった場合に、可動部(磁石)1と固定部(軟磁性体)2が磁気的に吸着・結合し、その後新たな組み合わせの可動部(可動部(磁石)1と固定部(軟磁性体)2)を形成し、図12のように固定部(中間層軟磁性体)4と固定部(軟磁性体)2との間で磁気的に脱着・分離し、固定部永久磁石との結合状態から離れることにより、 最終的に、新たな可動部が固定部の上部空間に浮上する状態(図12)を保持するとともに、バネ性導電体8aが接触し、電気回路の導通が接続される。
【0059】
このようにして、加速度が加わった場合の可動部(磁石)1の動きを、接続スイッチとして利用するものである。(なお、ガイドの底板および加速度評価装置周辺以外の電気回路は図示していない。)
【0060】
第五の発明に対応した実施形態は、可動部が二組の同じ構成の固定部の間に挟まれて存在し、加速度によりいずれの方向に近づいても、固定部と磁気的に吸着・結合または脱着・分離が可能となり、よりすばやい、かつ確実な加速度の評価を可能とする加速度評価装置である。
【0061】
具体的には、図13に示すように略鉛直状に立てられた加速度評価装置において、可動部(磁石)1を、可動部と反発する固定部(固定部(下部磁石)5bおよび固定部(上部磁石)5aの中間に挟み込む構造としたものにおいて、それぞれの固定部(磁石)(5aと5b)の可動部側の磁極に固定部(上部および下部軟磁性体)(2aと2b)を吸着・一体化させた構造とする。設定値以上の加速度が加わった場合、図14のように、固定部(下部軟磁性体)2bの磁化状態が変化することで可動部(磁石)1と磁気的に吸着・結合する。逆方向に加速度が加わった場合には、可動部(磁石)1は固定部(上部軟磁性体)2aと磁気的に吸着・結合する。
【0062】
このように、いずれの方向に対しても可動部が固定部と磁気的に吸着・結合でき、加速度を評価できる。(なお、ガイドの底板は図示していない。)
【0063】
さらに、図15に示すように略鉛直状に立てられた加速度評価装置において、可動部(磁石)1を、可動部と反発する二組の固定部(下部磁石5bおよび上部磁石5a)の中間に挟み込む構造としたものにおいて、それぞれの永久磁石(5aと5b)の可動部側の磁極に軟磁性体(4aと2a、4bと2b)を吸着・一体化させた構造とする。設定値以上の加速度が加わった場合、固定部(下部軟磁性体)2bの磁化状態が変化することで可動部(磁石)1と磁気的に吸着・結合する。その後新たな組み合わせの可動部(可動部(磁石)1と固定部(下部軟磁性体)2b)を形成し、図16のように軟磁性体4bと2bとの間で磁気的に脱着・分離し、固定部永久磁石との結合状態から離れることにより、最終的には、新たな可動部が固定部の上部空間に浮上する状態(図16)を保持する。
【0064】
この状態を目視することによって、加わった加速度の大きさを評価する加速度検査装置として利用できる。
【0065】
逆方向に加速度が加わった場合には、可動部(磁石)1は固定部(上部軟磁性体)2aと磁気的に吸着・結合し、新たな可動部となって、下部固定部の上部空間に浮上する状態を保持する。
【0066】
このように、いずれの方向に対しても可動部が固定部と磁気的に吸着・結合でき、加速度を評価できる。(なお、ガイドの底板は図示していない。)
【0067】
第六の発明に対応した実施形態は、第五の発明に対応した実施形態に記載された加速度評価装置を1ユニットとして、このユニットをX、Y、Zの直交する3軸に配置して一体化した構成の加速度評価装置である。
【0068】
具体的には、図17に示すように各ユニットを直交・3軸化して一体化させることで、この3軸加速度評価装置11をどのように配置してもあらゆる方向で加速度の評価ができ、より実際の現象に対応した評価を可能とするものである。
【0069】
この3軸の各ユニットは必ずしも同じ構成のユニットである必要は無く、例えば、X軸は第五の発明に対応した実施形態のうち、第一の発明に対応する実施形態のもの、Y軸は第五の発明に対応した実施形態のうち、第二の発明に対応する実施形態のもの、Z軸は第一の発明に対応した実施形態のもの、を用いてもよい。(なおZ軸方向は、略鉛直方向とする。)


【実施例】
【0070】
本発明を実施例にもとづき更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0071】
実験装置の構成を図18に、実験装置によって得られた実験結果を図19に示す。
【0072】
図18には、振動を加える場合の実験装置の構成を示す。信号発生器(2416A、東洋テクニカ製)で正弦波を発生させ、増幅器(MODEL114、 AR BROWN製)を用いて増幅させることで加振器(MODEL113、AR BROWN製)は動作する。加振台には、標準センサ(SA-120R、COLUMBIA REASEARCH製)と本発明の加速度評価装置を固定させ、標準センサの信号と信号発生器の信号をA/D変換カード(NR-110、KEYENCE製)によってパソコンに保存し解析する。使用した標準センサは駆動させるための電源が必要で、その共鳴周波数が60Hz程度のものを用いた。出力は加速度(G)に比例し、DCから共鳴周波数の1/3以下のおよそ20 Hzまでは、周波数に依存せず一定の2.5V/Gを出力する。Z軸方向で用いる場合は、静止した状態で重力1Gがかかるため、バイアス電圧2.5Vを差し引くことで振動による変化分を求めることができる。計測は、1.0から20.0Hzの範囲で加速度の大きさを3G程度まで増加させて行い、徐々に加速度の大きさを増加させることで可動部と固定部が磁気的に吸着・結合する加速度の値を同じ周波数において3回以上測定を行った。
【0073】
加速度評価装置は図13の構成とし、可動部(磁石)1として直径3mm長さ12mmのネオジウム磁石、固定部(下部軟磁性体)2bとして直径3.2mm長さ6.4mmの純鉄製円柱、固定部(上部磁石)5aおよび固定部(下部磁石)5bとして直径3mm長さ1.5mmのネオジウム磁石、ガイド6として内径3.6mm外径4.2mm幅50mmのプラスチックパイプ、とした。なお、可動部(磁石)1は、長さが1.5mmの磁石を8個一体化したものを用いている。
【0074】
これらを粘着テープを用いて固定した上部磁石固定台7aおよび下部磁石固定台7bに配置し、可動部が固定部に近づき磁気的な吸着・結合を起こすときの加速度の値を周波数を変えて測定した。振動方向は重力の方向である。
【0075】
結果を図19に示す。
【0076】
この構成では、2Hzのとき約1.02G以上の加速度を印加することで動作する、即ち磁気的な吸着・結合が起こる。さらに周波数を高くすると動作する加速度の値は徐々に減少し、周波数10Hzにおいて最小となり、約0.25G以上の加速度で動作する。さらに周波数が高くなると動作する加速度の値は急激に上昇し14Hzのとき約1.11G以上の加速度を印加することで動作する。動作する加速度の値は、同じ周波数において3回以上測定しているがほぼ同じ値である。
【0077】
本実施例によれば、可動部と固定部の磁気的吸着・結合が、加速度と周波数との間で一定の関係で起きる。この磁気的吸着・結合が起きる条件を詳細に把握することにより、様々な加速度の値に反応する加速度評価装置が作製可能である。
【0078】
本発明者らは、装置の作製に資するため、更に多くの実施例を実験・検討することにより、磁気的吸着・結合が起きる加速度と周波数との関係についての傾向を把握した。図20,21に結果を示す。


【産業上の利用可能性】
【0079】
以上述べたように、本発明の加速度評価装置は、構成要素が複雑でなく、センサ等を駆動するための電源が不要であり、また設置場所の制約や取り付けに伴う作業の複雑化が防止される。
【0080】
また、可動部と固定部の磁気的吸着・結合の状態を目視することで、設定値以上の加速度が作用したか否か、直ちに確認できる。
【0081】
さらには、上記の理由から、携帯することが容易であるため携帯用振動検査器として、今まで評価できなかったような例、例えば美術品などの輸送時に携帯することで、設定値以上の振動を加えていないかなどの検査や、地震の震度評価装置として、地震後に回収し評価できる装置などに利用できる。
【0082】
このように本発明による加速度評価装置は、人間の動きにともなう小さい加速度から、地震による大きな加速度まで、幅広い範囲、様々な現象に対して利用可能であり、構成も複雑でないため、廉価でまた量産にも適するものである。


【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】可動部と固定部が磁気的に吸着・結合する前の加速度評価装置である。
【図2】図1において、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合した後の加速度評価装置である。
【図3】可動部と固定部が磁気的に吸着・結合する前の電気回路スイッチのオフ状態である。
【図4】図3において、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合した後の電気回路ス イッチのオン状態である。
【図5】可動部と固定部が磁気的に吸着・結合する前の電気回路スイッチのオフ状 態である。
【図6】図5において、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合した後の電気回路ス イッチのオフ状態である。
【図7】可動部と固定部が磁気的に吸着・結合する前の加速度評価装置である。
【図8】図7において、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合しさらに脱着・分離した後の加速度評価装置である。
【図9】可動部と固定部が磁気的に吸着・結合する前の電気回路スイッチのオン状態である。
【図10】図9において、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合しさらに脱着・分離した後の電気回路スイッチのオフ状態である。
【図11】可動部と固定部が磁気的に吸着・結合する前の電気回路スイッチのオフ 状態である。
【図12】図11において、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合しさらに脱着・分離した後の電気回路スイッチのオン状態である。
【図13】可動部と固定部が磁気的に吸着・結合する前の加速度評価装置
【図14】図13において、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合した後の加速度 評価装置である。
【図15】可動部と固定部が磁気的に吸着・結合する前の加速度評価装置
【図16】図15において、可動部と固定部が磁気的に吸着・結合しさらに脱着・分離した後の加速度評価装置である。
【図17】3軸式加速度評価装置である。
【図18】実験装置の構成である。
【図19】加速度評価装置の動作する加速度の周波数応答の実験結果である。
【図20】加速度評価装置の動作する加速度の周波数応答の傾向を示す実験結果のまとめである。
【図21】加速度評価装置の動作する加速度の周波数応答の傾向を示す実験結果の まとめである。
【符号の説明】
【0084】
1 : 可動部(磁石)
2 : 固定部(軟磁性体)
2a: 固定部(上部軟磁性体)
2b: 固定部(下部軟磁性体)
3 : 可動部(軟磁性体)
4 : 固定部(中間層軟磁性体)
4a: 固定部(中間層上部軟磁性体)
4b: 固定部(中間層下部軟磁性体)
5 : 固定部(磁石)
5a: 固定部(上部磁石)
5b: 固定部(下部磁石)
6 : ガイド
7 : 磁石固定台
7a: 上部磁石固定台
7b: 下部磁石固定台
8 : 導電層(導電テープの上部)
8a: 導電層(バネ性導電体)
9 : 絶縁性の粘着層(導電テープの下部)
10: 加速度評価装置
10a: Z軸加速度評価装置
10b: Y軸加速度評価装置
10c: X軸加速度評価装置
11 : 3軸加速度評価装置

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20