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明細書 :シャーベット状の氷の貯蔵庫

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4608608号 (P4608608)
公開番号 特開2005-214447 (P2005-214447A)
登録日 平成22年10月22日(2010.10.22)
発行日 平成23年1月12日(2011.1.12)
公開日 平成17年8月11日(2005.8.11)
発明の名称または考案の名称 シャーベット状の氷の貯蔵庫
国際特許分類 F25C   5/04        (2006.01)
FI F25C 5/04 302B
請求項の数または発明の数 15
全頁数 17
出願番号 特願2004-018597 (P2004-018597)
出願日 平成16年1月27日(2004.1.27)
審査請求日 平成18年12月21日(2006.12.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】509093026
【氏名又は名称】公立大学法人高知工科大学
発明者または考案者 【氏名】横川 明
【氏名】松本 泰典
【氏名】池上 雅博
個別代理人の代理人 【識別番号】100082072、【弁理士】、【氏名又は名称】清原 義博
審査官 【審査官】久保 克彦
参考文献・文献 特開2002-195709(JP,A)
特開昭58-133582(JP,A)
調査した分野 F25C 5/04
特許請求の範囲 【請求項1】
海水から製造された流動性を有するシャーベット状の氷を収容する円筒形状の貯蔵室を備え、
前記貯蔵室内には、貯蔵室中心軸回りに回転する回転軸と、
前記回転軸から両側の半径方向に延設する破砕棒が配設され、
前記貯蔵室内壁から該貯蔵室の中心に向かって複数本の邪魔棒又は邪魔板が所要数延設され、
前記破砕棒は貯蔵室軸方向に配置されるとともに、前記回転軸の回転に伴い前記複数の邪魔棒又は邪魔板の間を通過し、
前記貯蔵室底面部が下方に狭くなるテーパ状に形成され、
前記貯蔵室に氷を供給する供給パイプラインと、
前記貯蔵室の上部側面及び底面部と連通連結し、底面部から排出された氷を前記貯蔵室内へ循環させる循環パイプラインを有することを特徴とするシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項2】
前記循環パイプラインが前記貯蔵室直下に配設されるポンプを備えることを特徴とする請求項1記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項3】
前記供給パイプラインはヒータで加熱可能とされるポンプを備えることを特徴とする請求項1記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項4】
前記供給パイプラインが、所定量のシャーベット状の氷を貯蔵するホッパと、
該ホッパからシャーベット状の氷を内部に配設されるスクリュによって上方に搬送し、前記貯蔵庫内にシャーベット状の氷を供給するスクリュコンベアとからなることを特徴とする請求項1又は2記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項5】
前記循環パイプラインが途中で分岐するとともに、
該分岐管は、該分岐管から前記貯蔵庫内に流入するシャーベット状の氷が該貯蔵庫内壁面を沿って流れるように貯蔵庫と連通していることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項6】
前記分岐管がそれぞれ流量調節用のバルブを備えることを特徴とする請求項5記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項7】
前記破砕棒に正面視略S字状に形成され、上下に湾曲面を有する翼部が設けられることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項8】
前記回転軸の下端に、氷を下方への流動させる1枚又は2枚以上の撹拌翼部が配設され、該撹拌翼部は平板形状であり、回転軸の左右に少なくとも1対に配置され、その下面を回転方向に向けて傾斜させることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項9】
前記回転軸の下端に、該回転軸から延設するとともに螺旋形状に形成されるスクリュ形状の撹拌翼部が配設されることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項10】
前記貯蔵室及び循環手段に断熱手段が設けられたことを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項11】
前記貯蔵室内に温度計測手段が設けられ、該温度計測手段の出力に応じて、前記回転軸の回転速度が制御されることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項12】
前記底面部から排出された水成分を前記撹拌翼部近傍から前記貯蔵室底面部にむけて下向きに噴出させる循環手段を有することを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項13】
前記撹拌翼部近傍から前記貯蔵室底面部に対して上向きまたは横向きに、外部から導入された水或いはシャーベット状の氷を噴出させることを特徴とする請求項1乃至12いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項14】
前記回転軸の下端に略半球殻状の皿部がその内面壁を下方に向けて配設されることを特徴とする請求項13記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
【請求項15】
前記回転軸を回転させるモータ部の電流値を測定する手段と、該電流値に基づいて前記外部から導入される海水或いはシャーベット状の氷の流量を制御する手段を備えることを特徴とする請求項13記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、海水から得られる流動性を有するシャーベット状の氷を収容する貯蔵庫であって、特に固形氷含有率70%以下のシャーベット状の氷を収容する貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、魚の鮮度を保持するために、海水から得られるシャーベット状の氷が利用されるようになってきた。特許文献1には、海水からシャーベット状の氷を製造する方法が開示されている。
しかしながら、このようなシャーベット状の氷を貯蔵する好適な手段は存在していない。
図10は従来からある流動性を有さない固形の氷の貯蔵庫の一例である。
海水から製造されるシャーベット状の氷は、流動性のない塊状の氷と異なる性質を有するため、従来からある氷の貯蔵手段によっては、様々な不都合を生ずるものであった。
流動性のない塊状の氷の場合、小塊からなる氷が多数貯蔵庫内に貯蔵される。貯蔵庫内では、該小塊からなる氷同士が固結することもあるが、図10に示すようなアジテータ(A)によって、該固結を破壊し、再び小塊の氷に戻すという手段が好適に用いられている。
しかしながら、シャーベット状の氷は、水分と微細な氷片とが渾然一体となっており、貯蔵庫に供給される段階では、塊状となっていない。更には、海水からなるシャーベット状の氷を長時間静止状態に置くと、氷の成分と水の成分が容易に分離し、微細な氷片同士が凝固・固結し、大塊なる氷片を形成する。したがって、アジテータ(A)を用いて、再び小塊の氷に戻すという手段を採用することは出来ない。
このように貯蔵室内で大塊なる氷が形成されると、貯蔵庫からの氷の排出が好適になされないこととなる。
【0003】
ここで、従来からある固形の氷の貯蔵庫を用いて、シャーベット状の氷を貯蔵した場合を説明する。
図10に示す貯蔵庫において、貯蔵室(R)内部に回転可能に設置されたアジテータ(A)が配置されている。このアジテータ(A)の本来的役割は、アジテータ(A)が回転することによって、アジテータ(A)中心軸から延設するアジテータ棒(A1)が、貯蔵室(R)内にある氷と衝突し、氷片同士の固結を防止するというものである。
このようなアジテータ(A)を備える貯蔵庫をシャーベット状の氷に適用した場合、シャーベット状の氷は貯蔵室内で固結し、大塊なる氷を形成する。ここで、アジテータ(A)を回転させると、該氷はアジテータ(A)を覆うように大塊を形成するので、アジテータ(A)とともに回転することとなる。よって、アジテータ(A)の回転によっても氷は小さくならず、排出口から取り出すことが出来なくなる。
更に、海水からなるシャーベット状の氷は、水成分と氷成分に分離しやすいため、大塊なる氷が形成されたまま排出作業が行われると、水成分のみが先に排出され、氷成分が貯蔵室に残されることとなる。
したがって、貯蔵室から取り出されるものは、最早シャーベット状の氷の体を有さない。
【0004】

【特許文献1】特開2003-42611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであって、流動性を有するシャーベット状の氷を収容する貯蔵庫であって、特に海水から作られた氷を収容する貯蔵庫に好適に使用され、好適な排出を可能とするシャーベット状の氷の貯蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、海水から製造された流動性を有するシャーベット状の氷を収容する円筒形状の貯蔵室を備え、前記貯蔵室内には、貯蔵室中心軸回りに回転する回転軸と、前記回転軸から両側の半径方向に延設する破砕棒が配設され、前記貯蔵室内壁から該貯蔵室の中心に向かって複数本の邪魔棒又は邪魔板が所要数延設され、前記破砕棒は貯蔵室軸方向に配置されるとともに、前記回転軸の回転に伴い前記複数の邪魔棒又は邪魔板の間を通過し、前記貯蔵室底面部が下方に狭くなるテーパ状に形成され、前記貯蔵室に氷を供給する供給パイプラインと、前記貯蔵室の上部側面及び底面部と連通連結し、底面部から排出された氷を前記貯蔵室内へ循環させる循環パイプラインを有することを特徴とするシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記循環パイプラインが前記貯蔵室直下に配設されるポンプを備えることを特徴とする請求項1記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
請求項3記載の発明は、前記供給パイプラインはヒータで加熱可能とされるポンプを備えることを特徴とする請求項1記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
請求項4記載の発明は、前記供給パイプラインが、所定量のシャーベット状の氷を貯蔵するホッパと、該ホッパからシャーベット状の氷を内部に配設されるスクリュによって上方に搬送し、前記貯蔵庫内にシャーベット状の氷を供給するスクリュコンベアとからなることを特徴とする請求項1又は2記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
請求項5記載の発明は、前記循環パイプラインが途中で分岐するとともに、該分岐管は、該分岐管から前記貯蔵庫内に流入するシャーベット状の氷が該貯蔵庫内壁面を沿って流れるように貯蔵庫と連通していることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
請求項6記載の発明は、前記分岐管がそれぞれ流量調節用のバルブを備えることを特徴とする請求項5記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
【0008】
請求項7記載の発明は、前記破砕棒に正面視略S字状に形成され、上下に湾曲面を有する翼部が設けられることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
請求項8記載の発明は、前記回転軸の下端に、氷を下方への流動させる1枚又は2枚以上の撹拌翼部が配設され、該撹拌翼部は平板形状であり、回転軸の左右に少なくとも1対に配置され、その下面を回転方向に向けて傾斜させることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
請求項9記載の発明は、前記回転軸の下端に、該回転軸から延設するとともに螺旋形状に形成されるスクリュ形状の撹拌翼部が配設されることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
【0009】
請求項10記載の発明は、前記貯蔵室及び循環手段に断熱手段が設けられたことを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
請求項11記載の発明は、前記貯蔵室内に温度計測手段が設けられ、該温度計測手段の出力に応じて、前記回転軸の回転速度が制御されることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
請求項12記載の発明は、前記底面部から排出された水またはシャーベット状の氷を前記撹拌翼部近傍から前記貯蔵室底面部にむけて下向きに噴出させる循環手段を有することを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
請求項13記載の発明は、前記撹拌翼部近傍から前記貯蔵室底面部に対して上向きまたは横向きに、外部から導入された水或いはシャーベット状の氷を噴出させることを特徴とする請求項1乃至12いずれかに記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
請求項14記載の発明は、前記回転軸の下端に略半球殻状の皿部がその内面壁を下方に向けて配設されることを特徴とする請求項13記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
請求項15記載の発明は、前記回転軸を回転させるモータ部の電流値を測定する手段と、該電流値に基づいて前記外部から導入される海水或いはシャーベット状の氷の流量を制御する手段を備えることを特徴とする請求項13記載のシャーベット状の氷の貯蔵庫である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、邪魔棒又は邪魔板が大塊なる氷を固定し、破砕棒の回転にかかわらず、氷が回転しないようにし、破砕棒が大塊なる氷を破砕する。よって、貯蔵室内で形成された大塊なる氷は再び微細な氷成分となる。したがって、貯蔵室からの排出が円滑に行われることとなる。また、水成分だけ先に排出されるということがない。
更に、貯蔵室底面部が下方に狭くなるテーパ形状に形成されているため、貯蔵室からの排出がより円滑に行われる。また貯蔵室底部にシャーベット状の氷が留まることがなく、貯蔵室内に貯蔵された全ての氷の排出が可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、貯蔵室直下に配設されるポンプの吸引力により、貯蔵室からのシャーベット状の氷の排出が円滑に行われる。
請求項3記載の発明によれば、供給パイプラインのポンプがヒータによって温められるので、供給パイプライン中シャーベット状の氷が固結することなく、円滑に貯蔵庫内に氷が供給されることとなる。
請求項4記載の発明によれば、スクリュコンベアによってシャーベット状の氷が供給されるので、高いIPFを有するシャーベット状の氷を好適に供給可能となる。
請求項5記載の発明によれば、循環パイプラインによって、貯蔵庫内部に貯蔵庫水平断面に平行な回転流が形成され、貯蔵庫内部で良好なシャーベット状の氷の流動状態を担保することが可能となる。
請求項6記載の発明によれば、バルブにより、各分岐からのシャーベット状の氷の貯蔵庫への流入量を制御でき、好適な回転流を得やすくなる。
【0012】
請求項7記載の発明によれば、翼部によりシャーベット状の氷の貯蔵庫垂直断面に平行な回転流を得ることが出来るとともに、モータの回転方向の切換によって該回転流の方向を変更可能とすることができる。
請求項8乃至9記載の発明によれば、撹拌翼部が設けられるので、貯蔵室底部において、氷成分と水成分とが好適に撹拌・混合され、良質のシャーベット状の氷を得ることができる。また、撹拌翼部によって、シャーベット状の氷は貯蔵室底部の排出口に促されるので、排出がより円滑に行われることとなる。
【0013】
請求項10記載の発明によれば、断熱手段によって氷成分が溶けることがなく、IPFの低下が防止される。
請求項11記載の発明によれば、貯蔵室内に温度計測手段が設けられ、貯蔵室の温度によって適切な回転数で回転軸及び破砕棒が回転するので、好適な撹拌作用を得ることが出来る。
請求項12記載の発明によれば、貯蔵室底面部に向けて水又はシャーベット状の氷が噴出され、貯蔵室底面部にあるシャーベット状の氷の流動性を増すとともに、流圧によってシャーベット状の氷が排出口に向けて押し出されるので、好適な排出作用を得ることができる。
請求項13記載の発明によれば、貯蔵室底面部のシャーベット状の氷の流動性が増す結果、貯蔵室底面部にあるシャーベット状の氷の排出が良好に行われる。
請求項14記載の発明によれば、皿部に水又はシャーベット状の氷が衝突するので、特に回転軸下方においてシャーベット状の氷の流動性を向上させることができる。
請求項15記載の発明によれば、モータ部の電流値によって、シャーベット状の氷のIPFが判明し、モータの電流値によって外部から導入される海水或いは水の流量が制御されるので、貯蔵室底面付近にある氷のIPFを排出に対して適切な範囲にすることができ、氷の排出を良好に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るシャーベット状の氷の貯蔵庫の実施形態について、図を参照しつつ説明する。図1(a)は本発明の貯蔵庫の概略図である。図1(b)は本発明の貯蔵庫内部を上方から見た図である。
本発明の貯蔵庫(1)は、略円筒形状の貯蔵室(11)を有する。貯蔵室(11)の底面部(12)は下方に狭くなるテーパ形状をしている。また、貯蔵室(11)の上面には蓋部(13)が配設されている。底面部(12)と蓋部(13)の間には円筒形状の胴部(14)がある。
貯蔵室(11)にはモータ(35)と接続するとともに、貯蔵室(11)中心で回転する回転軸(31)が配設され、回転軸(31)から複数本の破砕棒(32)が貯蔵室(11)半径方向に向かって延設している。また、貯蔵室(11)内壁からは、これら破砕棒(32)の回転によって定義される面を上下に挟むようにして、邪魔棒(33)が延設している。
回転軸(31)の回転は、少なくとも氷塊の貯蔵室(11)への投入時及びシャーベット状の氷の排出時に回転させればよい。また、以下に説明される供給パイプライン(50)及び循環パイプライン(51)も同様に、氷塊の貯蔵室(11)への投入時及びシャーベット状の氷の排出時に作動させればよい。
【0015】
貯蔵庫(1)の外側には、供給パイプライン(50)と循環パイプライン(51)からなるシャーベット状の氷の供給・循環手段が設けられている。
供給用パイプライン(50)は、投入口(24)と、投入口(24)と接続するとともに投入口(24)の真下に配設される供給ポンプ(501)と、供給ポンプ(501)と接続し、貯蔵室(11)上面と接続する供給用配管(503)からなる。
投入口(24)から投入されたシャーベット状の氷は供給用ポンプ(501)によって、供給用配管(503)を介して貯蔵庫(1)内に供給される。このように供給専用のパイプライン(50)を構築することによって、ポンプの出力を必要に応じて高めることができ、供給に適切なシステムを作ることが容易となる。
尚、供給パイプライン(50)中の曲管部、分岐管部或いは管路接続部は固結しやすいため、これを防止するために供給ポンプ(501)の入口側及び出口側にはヒータが設けられ、供給パイプライン(50)内でのシャーベット状の氷の固結を防止する手段が図られている。また、ヒータは必要に応じて、供給パイプライン(50)内の必要箇所に設けられてもよい。例えば曲管部、分岐管部或いは管路接続部にヒータを配するなどである。
尚、供給ポンプ(501)には水抜き部(512)が設けられ、適宜供給ポンプ内の水抜きが可能とされている。
【0016】
循環用パイプライン(51)は、循環排出ポンプ(510)と循環用配管(511)から構成される。循環用配管(511)は、循環排出ポンプ(510)から貯蔵庫(1)の上部側面に繋がっている。また循環用配管(511)の途中にはバルブ(512)が設けられ、該バルブ(512)の下方には横方向に分岐する分岐部が設けられ、該分岐部から排出口(513)が延設している。また該分岐部と排出口(513)との間にはバルブ(514)が更に設けられている。これらバルブ(512、514)の操作によって適宜循環経路からの排出及び貯蔵庫システム内の循環の切換が行われる。また貯蔵庫(1)底部と循環排出ポンプ(510)を繋ぐパイプの間にはバルブが配置され、該バルブは循環動作時以外は閉じられている。
循環時においては、貯蔵庫(1)の底面部(12)から排出されたシャーベット状の氷は、循環排出ポンプ(510)によって循環用配管(511)を介して再び貯蔵庫(1)内に戻され、排出時においては、排出口(513)よりシャーベット状の氷が排出される。
図1に示す如く、循環排出ポンプ(510)は貯蔵庫(1)直下に配設され、貯蔵庫(1)から循環排出ポンプ(510)へ至る経路を最短にするようにしている。これは、貯蔵庫(1)から循環排出ポンプ(510)の間での管路による圧力損失を最小限化し、循環排出ポンプ(510)の吸引力を、貯蔵庫(1)からの氷の排出に最大限に利用可能とするためである。このように、循環用パイプライン(51)が、シャーベット状の氷の供給経路とは別個に構築されているため、循環に必要なポンプの配置等の設定を適切に行うことが可能である。最良の形態としては、循環排出ポンプ(510)と貯蔵庫(1)との間に曲管などを介さず、可能な限り流動抵抗を減少させる形態が好ましい。例えば、貯蔵庫(1)から直管のみを介して循環排出パイプ(510)に接続させるなどである。
尚、供給パイプライン(50)と同様に、循環パイプライン(51)の必要箇所にヒータが設けられ、循環経路中の氷の固結を防止する手段が採られてもよい。例えば循環排出ポンプ(510)にヒータが備えられることによって、循環パイプライン(51)途中の曲管部、分岐管部或いは管路接続部等でのシャーベット状の氷の固結を防止することが可能となる。或いは、曲管部、分岐管部或いは管路接続部等を直接ヒータで温めてもよい。
また、貯蔵庫(1)の下方において、循環排出ポンプと対向する側には水抜き部(512)が設けられ、貯蔵庫(1)からシャーベット状の氷の水成分を適宜排出可能とされている。
尚、図1に示す例においては、供給パイプライン(50)と循環パイプライン(51)を別個の配管(503、512)を用いて構築したが、これらの配管(503、512)を一つの配管としてもよい。例えば、供給ポンプ(501)から延びる供給用配管(503)を循環用配管(511)に接続するなどである。このように1つの配管で、供給されるシャーベット状の氷或いは循環中のシャーベット状の氷を貯蔵庫(1)上部に搬送することで、貯蔵庫(1)の省スペース化を図ることができる。尚、この場合には、供給ポンプ(501)と該接続部との間にバルブが設けられ、供給と循環の動作の切換が可能とされることが好ましい。
【0017】
図2は、供給パイプライン(50)の他の実施形態を示す。
図2に示す供給パイプラインは製氷機によって製造されたシャーベット状の氷を一時的に所定量保管可能なホッパ(504)と、ホッパ(504)内のシャーベット状の氷を上方へ向かって搬送するスクリュコンベア(505)と、スクリュコンベア(505)内のスクリュ(507)を回転させるモータ(506)からなる。
スクリュコンベア(505)は管路内に軸部(508)と、軸部(508)に沿って螺旋状に形成されたスクリュ(507)からなり、軸部(508)はモータ(506)とギアを介して連結している。
またスクリュコンベア(505)は途中で分岐し、該分岐部(509)は貯蔵庫(1)上面と連通している。尚、分岐部(509)は貯蔵庫(1)上面よりも上方に位置している。
ホッパ(504)内に蓄えられたシャーベット状の氷は、スクリュコンベア(505)のスクリュ(507)の回転によって、上方へと搬送される。スクリュコンベア(505)の分岐部に至ったシャーベット状の氷は分岐部(509)を通じて、自然落下し、貯蔵庫(1)内に供給される。
このような供給パイプライン(50)によれば、ポンプが作り出す流体の圧力差によって供給するものでなく、スクリュによって物理的・機械的に搬送するものであるので、高いIPF(Ice Packing Factor)、特にIPF約45%以上の流動性の低い氷を供給するために好適である。ここで、IPF(Ice Packing Factor)とはシャーベット状の氷の特性を示す指標であり、シャーベット状の氷中の固形氷成分の割合を示すもので、IPFが100%となると、液状成分を含まない、粉雪状の氷となる。また、IPFが高くなるほど、シャーベット氷の流動性が低くなる。
本発明の貯蔵庫においては、IPFが70%以下のシャーベット状の氷が好適に用いられる。IPFが70%以下であれば、本実施例の貯蔵庫において、充分な流動性を確保できるからである。
【0018】
図3に、循環パイプライン(51)の他の実施形態を示す。図3(a)は循環パイプライン(51)及び貯蔵庫(1)の正面図であり、図3(b)は平面図である。
循環パイプライン(51)は貯蔵庫(1)に至る直前で4つの経路に分岐しており、貯蔵庫(1)と該分岐経路との4つの接続部が1つの貯蔵庫(1)水平断面において、略正方形を描くように均等に配設される。またそれぞれの経路は該正方形の辺方向に向かって貯蔵庫(1)内に入射し、それぞれの経路からのシャーベット状の氷は貯蔵室(11)の壁面に沿って流れる。
更に、各経路にはバルブが設けられ、各経路を流れるシャーベット状の氷の流量を適宜調整可能とされている。
このように循環パイプライン(51)を構築すると、貯蔵庫(1)内部において、循環パイプライン(51)から流入するシャーベット状の氷の流れによって、回転流を生じせしめることができる。これにより、循環動作中に貯蔵庫(1)内部の氷の流動性を確実に担保できるものとなる。また、バルブの調節によって、回転流の流動形態を変更可能となり、最適な回転流を実現可能とされる。
尚、図示例においては、4つに分岐した形態を示したが、この数は限定的なものではなく、1以上の接続点であればよく、例えば5つ、6つ等適宜設計可能である。尚、1或いは2の接続点の形態においては、分岐管から流入するシャーベット状の氷が貯蔵室(11)内壁面に沿って流れるように分岐管を配設することが好ましい。このようにすれば、貯蔵室全体にわたって、貯蔵室水平断面に平行な回転流を得られるからである。
尚、上記貯蔵庫(1)、供給パイプライン(50)及び循環パイプライン(51)の外周面にわたって、断熱材が張られていることが好ましい。これにより、本発明のシャーベット状の氷の保温が適切になされることとなる。
【0019】
貯蔵室(11)内部には破砕・撹拌機構が設けられている。破砕・撹拌機構は、貯蔵室(11)の中心軸上に配置される回転軸(31)、回転軸(31)から延設する破砕棒(32)、貯蔵室(11)内壁から貯蔵室の中心に向かって延設する邪魔棒又は邪魔板(33)、回転軸(31)の下端に配設される撹拌翼部(34)及び回転軸(31)を回転させるために回転軸(31)上端と接続し、蓋部(13)上面に据付けられるモータ部(35)からなる。
尚、ここで邪魔棒は断面円形状の棒体をいい、邪魔板とは断面矩形の棒体を意味する。以下これらを合わせて、邪魔棒と称する。
【0020】
本実施例において、6本の破砕棒(32)が回転軸(31)から延設している。各破砕棒(32)は回転軸(31)に沿って、左右交互に整列している。即ち、隣合う破砕棒(32)がなす平面視において角度は180°である(図1(b)参照)。このように破砕棒(32)を左右対称・軸方向交互に配列させることによって、貯蔵室(11)にあるシャーベット状の氷に対して全体的に破砕作用をもたらすことができる。
尚、破砕棒(32)の長さは、破砕棒(32)の先端が貯蔵室(11)内壁近くまで至るように形成されることが好ましい。このようにすれば、貯蔵室(11)の壁面付近にあるシャーベット状の氷を破砕することができる。
【0021】
本実施例において、20本の邪魔棒(33)が貯蔵室(11)の胴部(14)から延設している。邪魔棒(33)は4つの群に分けられ、各群は貯蔵室(11)の断面の平面視において中心角90°分割するように配置されている(図1(b)参照)。また各群の邪魔棒(33)は、貯蔵室(11)軸方向に一列に整列している。また、軸方向に並んだ各群の邪魔棒(33)はそれぞれ貯蔵室(11)の軸方向において同一高さに並んでいる。
【0022】
シャーベット状の氷は貯蔵室(11)内で固結をし、大塊なる氷を形成する。このとき、破砕棒(32)と邪魔棒(33)は氷塊の内部に突き刺さった状態となる。
回転軸(31)の回転力によって、破砕棒(32)は回転軸(31)の回転方向に向かう力を氷塊内に生じせしめる。一方で、邪魔棒(33)は該回転力に対する反力を生じせしめる。したがって、氷塊内部にはせん断力が発生し、破砕棒(32)及び邪魔棒(33)から氷塊内部にクラック(微細なわれ、亀裂)が生じ、氷塊は微細な氷片に破砕される。その結果固結した氷は、再びシャーベット状の氷に変わる。
尚、邪魔棒(33)は、その先端が回転軸(31)付近まで至るように形成されることが好ましい。このようにすれば、回転軸(31)付近にある氷を確実に破砕させることができる。
また、破砕棒(32)及び邪魔棒(33)の形状は、特に限定されるものではなく、断面円形状であってもよいし、断面矩形状であってもよい。破砕棒(32)及び邪魔棒(33)を断面円形状とすれば、氷の破砕動作に伴って生ずる破砕棒(32)及び邪魔棒(33)への曲げ力に対して構造的に強くなり、破砕棒(32)及び邪魔棒(33)が折れたり、曲がったりする危険性を低減することができる。断面矩形状の破砕棒(32)及び邪魔棒(33)を用い、その断面角部を回転方向に向ければ、氷塊中にクラックを発生させやすくなる。
【0023】
図4に、破砕棒(32)の他の実施形態を示す。
図4に示す如く、破砕棒(32)付け根部から破砕棒(32)の略半分の長さに沿って、正面視S字状に形成され、上下に湾曲面を有する翼部(6)を形成してもよい。このように翼部(6)を形成することによって、貯蔵庫(1)上面に配設されたモータ(35)による回転に伴って、貯蔵庫(1)内部中心軸方向に上方向若しくは下方向の流れを形成することができる。また、モータ(35)の回転方向を変更することによって、流れの向きを変更することが可能となる。
したがって、図4に示す実施例においては、貯蔵庫(1)垂直断面に平行な回転流を形成することができる。また、図3に示す実施例を組合わせることにより、貯蔵庫(1)垂直断面及び水平断面に平行な回転流を組合わせることができ、貯蔵庫(1)内部に複雑な流れを形成できるとともに、該流れを貯蔵庫(1)内部に至らしめることができるので、より好適な循環作用を得ることができる。
【0024】
撹拌翼部(34)は、貯蔵室(11)の底面部(12)で形成される円錐形状空間の軸方向中間位置に配置される。撹拌翼部(34)は平板であり、その下面を回転方向に向けて傾斜して回転軸(31)下端に配設される。撹拌翼部(34)は回転軸(31)の回転に伴って回転するとともに、撹拌翼部(34)の下方にあるシャーベット状の氷を下方に押し出す。押し出されたシャーベット状の氷は、貯蔵室(11)の底面部(12)のテーパ端からパイプライン(21)へと送り出される。
撹拌翼部(34)が回転に伴い、シャーベット状の氷を下方に送り出すので、貯蔵室(11)からのシャーベット氷の送り出しを良好に行うことができ、またシャーベット状の氷の循環作用も良好に促すことができる。
【0025】
貯蔵室(11)内壁部に温度計測手段(4)を設けてもよい。本実施例においては、測温抵抗体が用いられている。温度計測手段(4)の出力信号に応じて、モータ部(35)の回転数を増減させてもよい。例えば、温度が基準値より下がったときにモータ部(35)の回転数を上げ、シャーベット状の氷のIPFの上昇に応じて、シャーベット状の氷を強制的により流動させるようにすることが好ましい。このようにすれば、シャーベット状の氷の温度或いは粘度に応じた最適な回転数で破砕棒(32)を回転させることができ、良好なシャーベット状の氷の排出を促すことが出来る。
【0026】
次に図1で示す構造の貯蔵庫の使用形態について以下に述べる。
シャーベット状の氷は、投入口(24)より投入される。その後、供給ポンプ(501)によって、投入口(24)に投入されたシャーベット状の氷は送り込みポンプ(502)に搬送される。その後、シャーベット状の氷は送り込みポンプ(502)によって、上方に運ばれ、貯蔵室(11)上面の蓋部(13)から、貯蔵室(11)内部に供給される。
貯蔵室(11)内において、シャーベット状の氷の貯蔵中は、通常回転軸(31)は停止している。貯蔵室(11)から氷を排出するとき、モータ(35)は作動し、回転軸(31)及びそれに連なる部分を回転させる。このように排出時のみモータ(35)を作動させることによって、IPFの低下を防止する。
この状態において、シャーベット状の氷は静止状態にあり、シャーベット状の氷は貯蔵室(11)内で大塊なる氷へと変化する。
モータ(35)を作動させると、上述の如く破砕棒(32)及び邪魔棒(33)によって、氷塊は破砕され、多数の微細な氷片となる。その後、微細な氷片と水成分は破砕棒(32)の回転によって、撹拌・混合され、シャーベット状の氷となる。
シャーベット状の氷は、貯蔵室(11)の底面部(12)のテーパ形状、氷の自重、撹拌翼部(34)及び循環排出ポンプ(510)の吸引作用によって、貯蔵室(11)の下方へと促され、貯蔵室(11)から排出される。
貯蔵室(11)から排出されたシャーベット状の氷は循環排出ポンプ(510)によって、循環用配管(511)を介して再び貯蔵室(11)内に戻される。
尚、循環パイプライン(51)のバルブ操作によって、循環パイプラインの排出口から循環中のシャーベット状の氷を取り出すことが可能である。
ここで、図2で示す供給パイプライン(50)を用いれば、高いIPFのシャーベット状の氷を貯蔵庫(1)に供給することができ、図3に示す循環パイプライン(51)の形態を用いれば、貯蔵室(11)内で水平断面に平行なシャーベット状の氷の回転流を生じせしめることができ、図4に示す破砕棒(32)を採用すれば、貯蔵室(11)垂直断面に平行なシャーベット状の氷の回転流を生じせしめることができる。更には、図3及び図4の実施形態を組合わせることによって、より複雑な流動形態を貯蔵室(11)内で生じせしめることができ、循環動作中のシャーベット状の氷の流動形態をより一層好適なものにならしめる。
【0027】
次に、上記構造の変更例を図5に示す。図5に示す実施例においては、図1に示す貯蔵庫の円柱若しくは円筒形状の破砕棒(32)に代えて、平板棒体を用いている。その他の部分の構造については、図1に示すものと同様である。
図5に示す破砕棒(321)は、撹拌翼部(34)と同様に、平板下面を回転方向に向けて傾斜を有している。また、回転軸(31)上の各破砕棒(321)取付部からは、1対の破砕棒(321)が左右に延設し、該1対の破砕棒(321)が回転軸(31)に沿って1列に並んでいる。
このような構造を有する貯蔵庫(1)は、氷塊を破砕後、各破砕棒(321)がシャーベット状の氷を撹拌するとともに、シャーベット状の氷を下方へ流動させる働きを担う。したがって、シャーベット状の氷の循環及び排出をより良好に行うことができる。
上記変更例のほかにも、様々な実施形態が考えられる。例えば、破砕棒(32)及び邪魔棒(33)を回転軸(31)に対して傾斜させて、配置することによって、より多くのシャーベット状の氷の撹拌が可能となる。
【0028】
尚、図1に示す実施例において、1本の破砕棒(32)がそれぞれの回転軸(31)との接続部から延設し、4本の邪魔棒(33)が同一水平面上に配設され、1つの撹拌翼部(34)が貯蔵室(11)の底面部(12)で形成されるテーパ空間に配設されている例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。
図6に他の実施形態を示す。図6(a)は本発明の貯蔵室(11)の断面図であり、図6(b)は貯蔵室内部を上方から見た図である。
図6に示す実施形態において、破砕棒(32)はそれぞれの接続部から半径方向に4本延設している。そして、各破砕棒(32)の組は貯蔵室(11)の軸方向に沿って、配設されている。
また、邪魔棒(33)は同一水平面上に3本、平面視において中心角を120°分割にして貯蔵室(11)内壁から、貯蔵室(11)中心に向かって延設している。
更に、撹拌翼部(34)は貯蔵室(11)の底面部(12)で形成されるテーパ空間内に2つ、貯蔵室(11)の軸方向に沿って並んでいる。
本発明の貯蔵庫(1)は上記のような構造を採用でき、貯蔵室(11)の容積等の諸条件によって、適宜破砕棒(32)及び邪魔棒(33)の本数の変更が可能である。これら破砕棒(32)や邪魔棒(33)の本数の組み合わせを適宜変更することによって、最も撹拌効率のよい組み合わせとすればよい。
尚、破砕棒(32)の本数としては、各接続部から1本以上延設することが好ましく、更には、1本から4本の破砕棒(32)を各接続部から延設することが、貯蔵庫(1)の撹拌効率及び設計の面から好ましい。
また、邪魔棒(33)の本数としては、同一水平面上に複数本延設していることが好ましい。設計の面から、2本或いは3本の邪魔棒(32)の本数が好適に採用できる。
図6の実施例において、撹拌翼部(34)は、貯蔵室(11)の底面部(12)で形成されるテーパ空間に2つ配設されている。このように、テーパ部に複数の撹拌翼部(34)を配設することによって、テーパ空間内の撹拌作用を高めるとともに、貯蔵室(11)のテーパ端におけるシャーベット状の氷の排出をより促すことができる。本発明においては、このようにテーパ空間に少なくとも1以上の撹拌翼部(34)が配置されることが好ましい。
【0029】
図7に撹拌翼部の他の形態を示す。図7(a)は貯蔵室(11)の底面部(12)に配設される撹拌翼部(34)の一実施形態を示し、図7(b)は他のもう一つの実施形態である。
上記実施例において、撹拌翼部(34)は平板状であったが、図7に示す実施例では、撹拌翼部(34)は、回転軸(31)に沿って螺旋状に形成されるスクリュ形状をしている。図7(a)に示す例では螺旋径が一定のスクリュ形状をしており、図7(b)に示す例では、螺旋径が底面部(12)のテーパ形状に応じて下方に向かって小さくなる略円錐形状のスクリュとなっている。このように撹拌翼部(34)をスクリュ形状に形成しても上記と同様に貯蔵庫からのシャーベット状の氷の排出を円滑に行わせる作用を得ることが可能となる。
特に図7(b)に示す例において、貯蔵室(11)の底面部(12)の円錐形状のテーパ角に平行となるように、スクリュの螺旋径が下方に向かって減少していくようにされるため、貯蔵室(11)の底面部(12)にあるシャーベット状の氷全体に排出作用を促すことが可能となる。
【0030】
破砕棒(32)及び邪魔棒(33)の断面形状については、上述の円形断面、矩形断面、傾斜した平板以外のものを採用することができる。例えば、平板状の破砕棒(32)をねじったスクリュ形状とすることで、シャーベット状の氷の下方への流動をより促すことができる。
このように、破砕棒(32)及び邪魔棒(33)の形状を丸棒、平板、スクリュ、角棒、或いは三角断面形状とし、これらの形状を破砕棒(32)及び邪魔棒(33)に組合わせて採用することで、最も好適な撹拌効率を得ることができる。
【0031】
図8にシャーベット状の氷の排出をより効果的に行う手段の一例を示す。
海水からなるシャーベット状の氷を貯蔵室(11)内で静止状態にして貯蔵すると、氷成分と水成分に分離する。このため、排出を行おうとすれば水成分のみが先に貯蔵室(11)から排出されることとなる。そのようになると、貯蔵室(11)の残される氷のIPFは相対的に高いものとなり、貯蔵室(11)からの排出が好適に行われなくなる。
図8及び9に示す実施形態は、貯蔵室(11)から先に排出される水成分を再度貯蔵室(11)内に戻し、該水成分により、貯蔵室(11)底部の排出口でのシャーベット状の氷の流動性を高め、好適な排出作用を得るための手段が図られている。
図8に示す実施形態において、貯蔵室(11)の底面部(12)から延出するパイプライン(21)から分岐する分岐パイプライン(25)が貯蔵室(11)の胴部(14)下方を貫通している。また、分岐パイプライン(25)の先端に取り付けられたノズルは撹拌翼部(34)の上方に位置し、貯蔵室(11)の底面部(12)で形成されるテーパ空間の方向に向いている。分岐パイプライン(25)にはポンプ(26)が設けられ、ポンプ(26)によって、パイプライン(21)内を通過するシャーベット状の氷の一部は分岐パイプライン(25)内に導入され、貯蔵室(11)下方のテーパ空間内に噴出される。また、分岐パイプライン(25)に配されるポンプ(26)の上流側には、副貯蔵室(27)が設けられている。分岐パイプライン(25)に導入されたシャーベット状の氷は副貯蔵室(27)に一時的に蓄えられることになる。
このような構造とすると、特に貯蔵室(11)内のシャーベット状の氷が少なくなったときに、良好な排出を得ることができる。貯蔵室(11)内のシャーベット状の氷が少なくなると、自重による排出効果が低減することとなる。これを補うために、分岐パイプライン(25)から、副貯蔵室(27)に蓄えられたシャーベット状の氷或いは水を貯蔵室(11)の底面部(12)に向けて噴射させる。このようにすると、該噴射されたシャーベット状の氷或いは水により、貯蔵室(11)の底面部(12)に堆積するシャーベット状の氷の流動性が増し、撹拌翼部(34)、底面部(12)のテーパ形状及び分岐パイプライン(25)から噴出されるシャーベット状の氷或いは水の流圧によって、シャーベット状の氷の排出が促進されることになる。
尚、この分岐パイプライン(25)は複数設けられることが好ましい。
【0032】
図8に示される実施形態の変更例として、分岐パイプライン(25)でシャーベット状の氷を循環させる代わりに、外部から海水若しくは水を導入してもよい。
上述の如く、シャーベット状の氷は水の成分と氷の成分に分離しやすく、氷の成分が貯蔵室(11)の排出口に多く集結すると、排出が円滑に行われないことがある。このような場合、外部から水の成分を供給し、テーパ空間内のシャーベット状の氷のIPFを低減させ、流動性を高めることによって、円滑な排出作用を得ることが可能となる。
更にこの実施形態においては、モータ(35)を一定速度で回転させるように可変電流を用い、このモータ(35)の電流値を測定する手段を設け、モータ(35)にかかる負荷を測定し、その負荷からシャーベット状の氷のIPFを算出し、該IPFを適切に低減させるように外部から水成分の流量を適切に制御する自動制御手段を設けてもよい。
【0033】
図9には、分岐パイプライン(25)を用いた他の実施形態が示されている。図9(a)は撹拌翼部(34)周辺におけるシャーベット状の氷の流動性を増すための一実施形態を示し、図9(b)は図9(a)の実施形態の変更例を示す。
図9に示す実施形態において、図5に示す実施形態と異なるのは、分岐パイプライン(25)に接続されたノズルの位置と向きであり、その他の構成は図8に示す構成と同様である。
図9(a)の実施形態においては、ノズルは回転軸(31)の真下に配設される。またノズルは上向きにされている。
回転軸(31)の真下は、撹拌翼部(34)のもたらす作用が小さいのでシャーベット状の氷が堆積しやすい。この撹拌翼部(34)の作用を補完するために、図9(a)に示す実施形態においては、分岐パイプライン(25)から噴出するシャーベット状の氷或いは水によって、回転軸(31)真下にあるシャーベット状の氷を流動させ、良好な排出作用を得るものである。
尚、この実施形態において、ノズルを横方向に向けてもよい。この場合は貯蔵室(11)の底面部(12)にある氷全体の流動性を増し、良好な排出が行われる。
図9(b)は図9(a)に示す実施形態に加えて、回転軸(31)の下端に略半球殻状の皿部(36)が、その内壁面を下方に向けて配設されている。
皿部(36)には、分岐パイプライン(25)から噴出されたシャーベット状の氷が衝突し、皿部(36)は該シャーベット状の氷を撹拌翼部(34)下方に向かって跳ね返らせる。したがってシャーベット状の氷は撹拌翼部(34)下方で対流・流動することになり、貯蔵室(11)下方の排出口付近でのシャーベット状の氷の循環性並びに流動性が高まることとなる。
尚、図9に示す実施形態と図8に示す実施形態を組合わせることによって、シャーベット状の氷の貯蔵室(11)下方における流動性を一層高めることができる。
更に、図9に示す実施形態において、分岐パイプライン(25)を排出口から延出するパイプライン(21)から分岐させる代わりに、外部からの水成分供給源と接続させてもよい。このようにすると、貯蔵室(11)下方にあるシャーベット状の氷のIPFを適宜低減することができ、より円滑な排出を促すことができる。
【0034】
以上、本発明の構成について様々な実施形態を示したが、これらを適宜組合わせて本発明とできることはもちろんである。
上記に示す様々な実施形態の構成を採用した本発明の貯蔵庫の使用形態の例を示す。
シャーベット状の氷を貯蔵庫内に供給する際には、図1に係る形態を用いて、供給ポンプ(501)によって、貯蔵庫(1)内にシャーベット状の氷を供給してもよい。高いIPFを有するシャーベット状の氷の場合においては、図2に示す形態を採用することが好ましい。
循環時においては、回転軸(31)を回転させることにより、貯蔵室(11)内で固結したシャーベット状の氷を破砕しつつ、貯蔵室(11)から氷を排出させる。図8又は図9に示す形態に基づき、貯蔵室(11)から先に排出されるシャーベット状の氷の水成分を分岐パイプライン(25)により、貯蔵室(11)底部のシャーベット状の氷の流動性を高め、排出の円滑性を促すことが好ましい。貯蔵室(11)底部の氷の流動性が高まり、固結した氷成分が貯蔵室上方に浮上するならば、循環ポンプ(510)を作動させて、流動性の高いシャーベット状の氷を貯蔵室(11)上方へ戻すとともに、流動性の低い固結した氷成分を貯蔵室(11)下方へ至らしめ、更に該固結した氷成分を図8或いは図9に示す実施形態により、流動性を高めることができる。これを順次繰り返すことによって、貯蔵庫(1)内にある氷全体が均一な流動性を有するシャーベット状の氷となる。このようにシャーベット状の氷の流動性が均一になった後、循環経路に設けられた排出口(513)から均質なシャーベット状の氷を取り出すことができる。
上記使用例は例示的なものであり、本明細書中で示されたいずれの実施例が採用されてもよいことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、海水から得られる流動性を有するシャーベット状の氷を収容する貯蔵庫に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る貯蔵庫の実施形態を示す図である。(a)は、本発明の貯蔵庫の概略図である。(b)は貯蔵庫内部を上方から見た図である。
【図2】本発明に係る供給パイプラインの一実施形態を示す図である。
【図3】本発明に係る循環パイプラインの一実施形態を示す図である。
【図4】本発明に係る破砕棒の一実施形態を示す図である。
【図5】本発明に係る貯蔵庫の変更例を示す図である。
【図6】本発明に係る貯蔵庫の他の実施形態である。(a)は、本発明の貯蔵室の断面図、(b)は貯蔵室内部を上方から見た図である。
【図7】本発明に係る撹拌翼部の実施形態を示す図である。(a)はスクリュ型の撹拌翼部を示す図であり、(b)は円錐形状の撹拌翼部を示す図である。
【図8】本発明に係る貯蔵庫の排出作用を円滑に行うための一実施形態である。
【図9】本発明に係る貯蔵庫の排出作用を円滑に行うための他の実施形態である。図6(a)はその一例であり、図6(b)は図6(a)に示す実施形態の変更例である。
【図10】従来の固形氷の貯蔵庫を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1・・・・・貯蔵庫
11・・・・貯蔵室
12・・・・底面
2・・・・・循環手段
31・・・・回転軸
32・・・・破砕棒
321・・・破砕棒
33・・・・邪魔棒
34・・・・プロペラ部
35・・・・モータ部
36・・・・皿部
50・・・・供給パイプライン
505・・・スクリュコンベア
507・・・スクリュ
51・・・・循環パイプライン
6・・・・・翼部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9