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明細書 :光無線通信システム、光無線通信方法、光無線基地局及び光送受信端末

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4429847号 (P4429847)
公開番号 特開2006-067500 (P2006-067500A)
登録日 平成21年12月25日(2009.12.25)
発行日 平成22年3月10日(2010.3.10)
公開日 平成18年3月9日(2006.3.9)
発明の名称または考案の名称 光無線通信システム、光無線通信方法、光無線基地局及び光送受信端末
国際特許分類 H04B  10/10        (2006.01)
H04B  10/105       (2006.01)
H04B  10/22        (2006.01)
FI H04B 9/00 R
請求項の数または発明の数 2
全頁数 24
出願番号 特願2004-250797 (P2004-250797)
出願日 平成16年8月30日(2004.8.30)
審査請求日 平成19年4月12日(2007.4.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】509093026
【氏名又は名称】公立大学法人高知工科大学
発明者または考案者 【氏名】野中 弘二
【氏名】橘 昌良
個別代理人の代理人 【識別番号】100079108、【弁理士】、【氏名又は名称】稲葉 良幸
【識別番号】100109346、【弁理士】、【氏名又は名称】大貫 敏史
【識別番号】100117189、【弁理士】、【氏名又は名称】江口 昭彦
【識別番号】100134120、【弁理士】、【氏名又は名称】内藤 和彦
【識別番号】100109586、【弁理士】、【氏名又は名称】土屋 徹雄
審査官 【審査官】山中 実
参考文献・文献 特開平11-098081(JP,A)
特開平03-109837(JP,A)
特開平07-321741(JP,A)
特開2003-264566(JP,A)
特開平11-098082(JP,A)
特開平07-307702(JP,A)
特開平11-122179(JP,A)
特開2004-186990(JP,A)
調査した分野 H04B10/00-10/28
H04J14/00-14/08
特許請求の範囲 【請求項1】
電気信号と光信号とを相互に変換する光送受信端末であって、
光無線基地局から送信される光信号を受光する複数の捕光部からなる受光手段と、
前記受光手段に於いて受信された光信号の入射光量を前記捕光部毎に検出する光量検出手段と、
前記光量検出手段に於いて検出される前記捕光部毎の入射光量に基づいて前記光送受信端末の受光姿勢を認知する認知手段と、
前記光送受信端末の前記受光手段の受光姿勢を補正する受光姿勢補正手段と、
前記光無線基地局へ光信号を送信する送信手段と、を有し、
前記複数の捕光部は、前記送信手段を中心とする円周を等分割するように配置されており、それぞれ、第1レンズと、前記第1レンズを介して受光する光信号を収集する受信部とを有し、前記第1レンズは、前記受信部の中心位置と異なる位置に中心軸が配されており、
前記受信部は、複数の前記補光部を重ね合わせて透視すると、前記補光部の中心から所定間隔の半径の円周上に等間隔となるように配置されており、
前記受光姿勢補正手段が、前記認知手段により認知される各前記捕光部に於いて検出される入射光量が略等しくなるように、前記光送受信端末の前記受光手段を上下及び/又は水平に回転させることを特徴とする光送受信端末
【請求項2】
前記複数の捕光部は、前記送信手段を中心とする円周を等分割するように配置されている構成に代えて、一列に並んで配置されていることを特徴とする請求項1記載の光送受信端末
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光無線通信システム、光無線通信方法、光無線基地局及び光送受信端末に関し、より詳しくは、オフィス空間等の一定の屋内空間内に分散された複数の情報機器間のデータ伝送を光無線通信を利用して行う光無線LANや光インターコネクションに利用される光無線通信システム、光無線通信方法、光無線基地局及び光送受信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年になって、情報通信機器等の普及や光ファイバー通信の発展に伴い、オフィス等の空間内に分散された複数の端末へ、大容量のデータ伝送を送受信することのできる通信方式が創出されている。
特に、オフィス、家庭や講堂等の一定の屋内空間内では、情報伝送やデータの共有を目的とするために、端末間を相互接続するローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)の構築が盛んに行われている。このようなLANを構築する場合、従来方式である有線方式を採用すると、端末機器の追加、移動、再構築により利用されるケーブル等のネットワーク機器の再配置が必要であるためLANを構築する、又は変更する際の柔軟性を確保することができない問題点を有していた。
【0003】
上記するような問題点を解決するために、ケーブル配線等が不要である無線方式を採用して、柔軟性を有するLANを構築することが行われている。
特に近年では、このような無線方式に、光通信技術を利用する光無線通信を採用する方式が多用されており、LANを構築するための光無線通信に関する発明が多数創出されている。
たとえば、特許文献1には、狭指向あるいは集光性を有する光信号が光束変換面にスポット照射すると、二次光源が擬似的に光束変換面に配置され、二次光源から所定範囲に比較的なだらかな光量分布になるように光信号が照射される発明が開示されている。この特許文献1に記載される発明によって、各素子等を最小限化することで経済的に小型化することができるとともに、低消費電力化・光束対応を実現することができる光送受信装置を提供している。
【0004】
また、特許文献2には、端末装置が設置されるエリアを2個以上に分割し、この分割されたエリアを円弧状に回転しながら投光する光無線基地局(特許文献2に記載される光アクセスステーション)を有する発明が開示されている。この特許文献2に記載される発明によって、信号の衝突を回避することができるとともに、信頼性の高いデータ伝送を行うことができる光情報通信システムを提供している。
【0005】
しかしながら、これら特許文献1及び2に開示される発明は、端末自体が移動する場合において、移動する複数の端末に対して柔軟に対応することができないという問題点を有していた。
特に、高速データ伝送を行うためには、ビットあたりの信号パワー密度を確保するため、拡散型ではなく指向性の高いレーザを使用する必要がある。その場合には、送受信を行う端末の移動に応じてレーザビームの向きを適宜に変更して追尾するか、又は、端末が移動したエリアをカバーできる他のレーザに信号の受け渡し(ハンドオーバ)する必要があった。このため、従来の光無線通信方法では、図20に示す如く、移動端末を追尾する動作によって光無線基地局全体が機械的に移動して、一の端末に対して光軸方向を修正していた。このため、多数の端末に対することが困難になる問題点を有していた。
また、各送受信端末に一意に対応した移動可能な光ビームを多数発することによって、複数のカバーエリアを有するとともに、多数の端末の接続を確保することができる光無線基地局を採用することもできるが、このような光無線基地局を採用する場合、各カバーエリアに光ビームを照射する光源(レーザ)を各々具備する必要が生じるため、光無線基地局自体が大掛りな装置となってしまう問題点を有していた。
更に、上記する如き複数のレーザを有する光無線基地局では、端末の移動に伴うハンドオーバを制御するための制御信号を、端末と光無線基地局間に於いて絶えず送受信しなければならず、トラフィックの増大を招く問題を有していた。
【0006】
一方、レーザを利用する光信号を送受信する高速光無線通信では、電磁波拡散の影響を受けないため、医療現場や秘密現場での大容量データ通信や屋内での移動を伴う画像通信への要求が増大している。上記のような課題を避けて移動に柔軟な利便性を考慮すると、ビームを拡散させて共有することが至便である。しかしながら、ビット単位あたりの識別に必要な限界エネルギーは、一定の大きさを必要としているため、高速通信を実行するためには平均受信パワーを増加させなければならず、レーザを狭角ビームに設定しなければならなかった。レーザを狭角ビームに設定することは、一対多のマルチアクセスを行うことは困難となり、一対一のPtoPアクセスに限られてしまう問題点を有していた。一方で、PtoPアクセスであっても、PtoPアクセスの通信を行う端末が、移動したり受光姿勢を変更したりした場合には、ビームが放射される方向性をこの端末に追従させるように制御しなければならず、利便性を失う問題点を有していた。
【0007】

【特許文献1】特開平10-178393号公報
【特許文献2】特開平11-317708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、オフィス空間等の一定の屋内空間内に分散された複数の情報機器間のデータ伝送を行う光無線通信であって、移動をともなってもPtoP接続を行う信号送受信端末間の対向を維持することができる仕組みを具備することにより、データ伝送を高い信頼性を有して行うことができるとともに端末の移動に伴う信号の受け渡し(ハンドオーバ)を効果的に行うことができる。また、光無線基地局装置自体を小型化にすることができる光無線通信システム、光無線通信方法、光無線通信システムで使用される光無線基地局及び光無線通信システムで使用される光送受信端末に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、各端末に具備される電気信号を光信号に変換する光送受信端末と、前記光送受信端末と光信号の送受信を行う光無線基地局の間に於ける情報伝達を行う光無線通信システムであって、前記光無線基地局が、前記光送受信端末へ光信号を送信する送信手段を有し、前記光送受信端末が、前記光無線基地局の送信手段から送信される光信号を受光する複数の捕光部からなる受光手段と、前記受光手段に於いて受信された光信号の入射光量を前記捕光部毎に検出する光量検出手段と、前記光量検出手段に於いて検出される前記捕光部毎の入射光量に基づいて前記光送受信端末の受光姿勢を認知する認知手段と、前記認知手段に於いて認知される受光姿勢から受光に最適な受光姿勢に前記光送受信端末の受光姿勢を補正する受光姿勢補正手段を有し、前記捕光部は、受光する光信号を収集する受信部と、平面視に於いて、該受信部の中心位置と異なる位置に中心軸が配される第1レンズとを有していることを特徴とする光無線通信システムを提供する。
請求項2記載の発明は、一の前記捕光部が、一の受信部と一の第1レンズを有し、前記受信部の中心が、前記第1レンズの中心と一定の所定間隔を有するとともに、前記所定間隔の半径の円周上に形成される正多角形の頂点となる位置に配されていることを特徴とする請求項1記載の光無線通信システムを提供する。
請求項3記載の発明は、前記捕光部が、複数の受信部と一の第1レンズを有し、前記複数の受信部が、平面視に於いて、第1レンズの中心を中心とする第1レンズ内に形成される円周上に所定中心角を有して配置されていることを特徴とする請求項1記載の光無線通信システムを提供する。
【0010】
請求項4記載の発明は、受光姿勢補正手段は、前記認知手段により認知される各前記捕光部に於いて検出される入射光量が略等しくなるように、前記光送受信端末の前記受光手段の受光表面及び/又は受信部を移動させることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の光無線通信システムを提供する。
請求項5記載の発明は、前記光無線基地局の前記送信手段は、複数の発光部と、各前記発光部に設けられるとともに、該発光部のカバーエリアを形成するレンズと、前記発光部の発光を制御する発光制御部を有し、前記レンズの中心軸は、前記発光部の中心軸と異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の光無線通信システムを提供する。
請求項6記載の発明は、前記光送受信端末が、前記光無線基地局へ光信号を送信する送信手段を有し、該送信手段が、前記光送受信端末の情報信号を生成するための第1制御部と、前記光送受信端末の移動によるカバーエリアの変更を促す制御信号を生成する第2制御部と、前記第1制御部からの情報信号に前記第2制御部からの制御信号を重畳する重畳部を有していることを特徴とする請求項1記載の光無線通信システムを提供する。
請求項7記載の発明は、前記認知手段が、少なくとも一の前記捕光部の入射光量が所定値よりも下回ったことを認知した場合に、前記第2制御部の制御信号が生成されることを特徴とする請求項6記載の光無線通信システムを提供する。
請求項8記載の発明は、前記重畳部が、前記第1制御部に於いて生成される情報信号の周波数に、前記第2制御部に於いて生成される制御信号を重畳することを特徴とする請求項6記載の光無線通信システムを提供する。
請求項9記載の発明は、前記重畳部が、前記第1制御部に於いて生成される情報信号の出力レベルを、前記第2制御部の制御信号に基づいて変調することにより情報信号と制御信号を重畳することを特徴とする請求項6記載の光無線通信システムを提供する。
【0011】
請求項10記載の発明は、前記重畳部が、前記第1制御部に於いて生成される情報信号のクロック周波数を、前記第2制御部の制御信号に基づいて変調することにより情報信号と制御信号を重畳することを特徴とする請求項6記載の光無線通信システムを提供する。
請求項11記載の発明は、各端末に具備される電気信号を光信号に変換する光送受信端末と、前記光送受信端末と光信号の送受信を行う光無線基地局の間に於ける情報伝達を行う光無線通信方法であって、前記光無線基地局が、前記光送受信端末へ光信号を送信し、前記光送受信端末が、光信号を複数の捕光部からなる受光手段に於いて受光するとともに、各捕光部に於いて受光された光信号の入射光量を検出し、前記光送受信端末が、検出された各入射光量に応じて前記光送受信端末の受光姿勢を認知し、前記光送受信端末が、認知された前記受光姿勢を受光に最適な受光姿勢へと補正することを特徴とする光無線通信方法を提供する。
請求項12記載の発明は、前記受光手段は、入射する光信号を受信する受信部と該光信号を集光するレンズからなる複数の捕光部を有し、一の前記捕光部が、一の受信部と一の第1レンズを有し、前記受信部の中心が、前記第1レンズの中心と一定の所定間隔を有するとともに、前記所定間隔の半径の円周上に形成される正多角形の頂点となる位置に配されていることを特徴とする請求項1記載の光無線通信方法を提供する。
請求項13記載の発明は、前記捕光部が、複数の受信部と一の第1レンズを有し、前記複数の受信部が、平面視に於いて、第1レンズの中心を中心とする第1レンズ内に形成される円周上に所定中心角を有して配置されていることを特徴とする請求項11記載の光無線通信方法を提供する。
請求項14記載の発明は、前記光無線基地局が、前記光送受信端末との送受信を可能とする複数のカバーエリアを形成し、前記光送受信端末が、前記光無線基地局からの光信号を受光するとともに、受光した光信号の入射光量を検出して、光信号を受光するに最適な前記カバーエリアを選出することを特徴とする請求項11記載の光無線通信方法を提供する。
請求項15記載の発明は、前記光送受信端末が、前記光無線基地局へ送信する情報信号に、前記カバーエリアを選出するための制御信号を重畳して送信することを特徴とする請求項14記載の光無線通信方法を提供する。
【0012】
請求項16記載の発明は、各端末に具備される電気信号を光信号に変換する光送受信端末と、前記光送受信端末と光信号の送受信を行う光無線基地局の間に於ける情報伝達を行う光無線通信システムに於いて使用される光無線基地局であって、前記光送受信端末から送信される光信号を受光する受光手段と、前記受光手段に於いて受光する光信号を情報信号と制御信号に分離する分離手段と、前記光送受信端末へ光信号を送信する送信手段を有し、前記送信手段は、複数の発光部と、各前記発光部に設けられるとともに、該発光部のカバーエリアを形成するレンズと、前記制御信号に基づいて前記発光部の発光を制御する発光制御部とを有することを特徴とする光無線基地局を提供する。
請求項17記載の発明は、前記レンズの中心軸と前記発光部の中心軸が同一線上にないことを特徴とする請求項16記載の光無線基地局を提供する。
【0013】
請求項18記載の発明は、各端末に具備される電気信号を光信号に変換する光送受信端末と、前記光送受信端末と光信号の送受信を行う光無線基地局の間に於ける情報伝達を行う光無線通信システムに於いて使用される光送受信端末であって、前記光無線基地局から送信される光信号を受光する複数の捕光部からなる受光手段と、前記受光手段に於いて受光される光信号の入射光量を前記捕光部毎に検出する光量検出手段と、前記光量検出手段に於いて検出される前記捕光部毎の入射光量に基づいて前記光送受信端末の受光姿勢を認知する認知手段と、前記認知手段に於いて認知される受光姿勢から受光に最適な受光姿勢に前記光送受信端末の受光姿勢を補正する受光姿勢補正手段を有し、前記捕光部は、受光する光信号を収集する受信部と、平面視に於いて、該受信部の中心位置と異なる位置に中心軸が配されるレンズとを有していることを特徴とする光送受信端末を提供する。
請求項19記載の発明は、前記光送受信端末が、前記光無線基地局へ光信号を送信する送信手段を有し、前記送信手段は、前記光送受信端末の情報信号を生成するための第1制御部と、前記光送受信端末の移動によるカバーエリアの変更を促す制御信号を生成する第2制御部と、前記第1制御部からの情報信号に前記第2制御部からの制御信号を重畳する重畳部を有していることを特徴とする請求項18記載の光送受信端末を提供する。
これらの発明を提供することによって、上記課題を悉く解決する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によって、光送受信端末が受光姿勢を複数の捕光部に入射する入射光量から認知することができるので、極めて容易に且つ確実に受光姿勢を最適な受光姿勢に補正することができる光無線通信システムを提供することができる。
請求項2記載の発明によって、複数の受信部が設けられるとともに第1レンズが受信部の中心からずれて配されることになるので、各捕光部に入射される入射光量の差異を明確に把握することができ、光送受信端末の受光姿勢を極めて正確に認知することができる。
請求項3記載の発明によって、複数の受信部が設けられるとともに一の第1レンズによって入射する光信号を集光することができるように設けられることになるので、各捕光部に入射される入射光量の差異を明確に把握することができ、光送受信端末の受光姿勢を極めて正確に認知することができる。
請求項4記載の発明によって、認知手段が受光姿勢を認知し、最適な受光姿勢となるまで受光姿勢の補正が行われることになるので、光送受信端末が常時最適な受光姿勢を維持することができる光無線通信システムを提供することができる。
更に、本構成を具備することによって光データ信号を受信する際に、コンパクトな複眼光受信器で同時に送信・受信端末の姿勢認知、対向補正を行うことができる。
また特に、受信部を移動させる場合には、光送受信端末の簡略化を極めて容易に図ることができ、光無線基地局が有する適用ゾーン拡大と相まってより広い領域で光無線通信を行うことができ、更なる本技術の活用が可能となる。
【0015】
請求項5記載の発明によって、光無線基地局が発光部の中心軸とずれるカバーエリアを形成する第2レンズを有しているので、広範囲のカバーエリアを有しながら光無線基地局を極めてコンパクトにすることができるとともに、複数の光送受信端末との光信号の送受信を同時に行うことができる光無線通信システムを提供することができる。
本構成を具備することによって光データ信号を配信する際に、コンパクトな基地局で同時に複数の送信・受信端末との交信と多数の光ビーム、カバーエリアの制御を行うことができる。
請求項6、8乃至10記載の発明によって、情報信号を生成する第1制御部と制御信号を生成する第2制御部を有するとともに、これらの信号を重畳して送信することができるので、極めて効率の良い送信を行うことができる光無線通信システムを提供することができる。
請求項7記載の発明によって、第2制御部が生成する制御信号が一のカバーエリアから外れる前に確実に次のカバーエリアへのハンドオーバを行うことができる光無線通信システムを提供することができる。
【0016】
請求項11記載の発明によって、光送受信端末が受光姿勢を複数の捕光部に入射する入射光量から認知することができるので、極めて容易に且つ確実に受光姿勢を最適な受光姿勢に補正することができる光無線通信システムを提供することができる。
請求項12記載の発明によって、受信部の中心軸とレンズの中心軸がずれて配されているので、光送受信端末の受光姿勢を極めて正確に検出することができる光無線通信方法を提供することができる。
請求項13記載の発明によって、一のレンズにより光信号を集光して受光することができるので、光送受信端末の受光姿勢を極めて正確に検出することができる光無線通信方法を提供することができる。
請求項14記載の発明によって、移動する光送受信端末の動作に追従して光信号の送受信を行うことができるので、リンク断が発生することなくハンドオーバを行うことができる光無線通信方法を提供することができる。
請求項15記載の発明によって、情報信号と制御信号を重畳して送信することができるので、極めて効率の良い送信を行うことができる光無線通信方法を提供することができる。
【0017】
請求項16記載の発明によって、カバーエリアを形成するレンズが発光部とずれた位置に配されるので、広範囲のカバーエリアを有しながら光無線基地局を極めてコンパクトにすることができるとともに、複数の光送受信端末との光信号の送受信を同時に行うことができる光無線基地局を提供することができる。
請求項17記載の発明によって、光無線基地局が発光部の中心軸とずれるカバーエリアを形成するレンズを有しているので、広範囲のカバーエリアを有しながら光無線基地局を極めてコンパクトにすることができるとともに、複数の光送受信端末との光信号の送受信を同時に行うことができる光無線基地局を提供することができる。
【0018】
請求項18記載の発明によって、複数の受信部が設けられるとともに第1レンズが受信部の中心からずれて配されることになるので、各捕光部に入射される入射光量の差異を明確に把握することができ、光送受信端末の受光姿勢を極めて正確に認知することができる。
請求項19記載の発明によって、情報信号を生成する第1制御部と制御信号を生成する第2制御部を有するとともに、これらの信号を重畳して送信することができるので、極めて効率の良い送信を行うことができる光送受信端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明に係る光無線通信システム(1)の構成について説明する。
本光無線通信システム(1)では、一定の屋内空間内に配置される複数の端末(図示せず)を光無線通信により接続する技術を使用し、各端末に接続される光送受信端末(2)と、この光送受信端末(2)と光信号の送受信を行う光無線基地局(3)により、双方間データ送信を行うことによってデータの送受信を可能にしている。図1には、端末に接続される光送受信端末と一の光無線基地局との送受信の様子を示す図である。
【0020】
光送受信端末(2)は、光無線基地局(3)と光信号の送受信を行う。
図2は光送受信端末の構成を示すブロック線図であり、図3は本発明に係る光無線通信システムで使用される光送受信端末の概略斜視図を示し、図4は第1受光手段の概略構成を示す斜視図を示し、図5は第1レンズ及び受信部の配置を示す平面図であり、図6は凸レンズによる光の集光を示し、図7は複数の捕光部を配置する場合の他の実施例を示す図である。
光送受信端末(2)は、第1受光手段(21)、光量検出手段(22)、認知手段(23)、受光姿勢補正手段(24)と、第1送信手段(25)を有している。
【0021】
第1受光手段(21)は、複数の捕光部を有している。この第1受光手段(21)が有する捕光部(211)は、3以上設けられることが好ましい。この捕光部(211)を3以上設けることによって、受光姿勢(受光面)の傾斜を3次元的に把握することができるからである。複数の捕光部(211)は、ある点を中心として、この点から一定の半径を有する円周上で、且つこの円周を等分割するように配置される。
例えば、図5は第1受光手段(21)に於ける捕光部の配置に於ける一実施例を示しており、中心(O)から半径(r)の円を形成し、この円周上に4つの捕光部(211)が円周を等分割するように(この場合、中心角が90度になるように)配置されている。尚、捕光部(211)が配置される数は、3以上であれば特に限定されるものではなく、3つの捕光部(211)が配される場合であれば中心角を120度、5つの捕光部(211)が配される場合であれば中心角72度、6つの捕光部(211)が配される場合であれば中心角60度になるように配置する。
尚、本発明の光送受信端末(2)の実施例では、特に限定されない限り、捕光部が4つ設けられる端末を利用して説明を行う。
【0022】
捕光部(211)は、光信号を集光する第1レンズ(213)とこの光信号を受光する受信部(214)を有している。
第1レンズ(213)は、光無線基地局(3)から送信される光信号を集光して、受信部(214)へと光を集光することのできる凸レンズが採用されている。
この凸レンズは、周縁部よりも中央部が厚く形成されており、凸レンズを通り過ぎた光は焦点距離にある焦点に於いて集光される。また、凸レンズの性質として、凸レンズに対して直角に入射する光は焦点で集光される(図6(a)参照)。一方で、凸レンズに対してある程度傾斜角度を有して入射する光は中心軸よりも直角方向にずれた位置に於いて集光されることになる(図6(b)参照)。
図5の平面視に於ける概略構成図で示される如く、4つの捕光部(211)は、第1レンズ(213)の中心位置と受信部(214)の中心位置が夫々ずれて配置されている。
このように第1レンズ(213)と受信部(214)の中心位置が平面視(図5参照)に於いてずれて配置されることによって、光が受光面(4つの捕光部の面)に対して略直角に入射する場合は、4つの受信部(214)で集光される入射光量は等しくなり、受信部(214)で受光する光の照射面積は略等しい面積となる。つまり、各受信部(214)での入射する光パワーが等しい状態となり、受光姿勢が最も好適な受光姿勢であると判断される。
一方で、光が受光面に対して傾斜角を有して入射される(斜めから入射される)場合は、4つの受信部(214)で集光される入射光量は異なる。例えば、図8(a)で示される如く、光が受光面に対して右斜め方向から入射されると、左側の受信部(214)では殆ど入射光量が検出されないが、右側の受信部(214)では強い入射光量が検出されることになる。つまり、各受信部(214)で検出される入射光量が異なる場合は、好ましい受光姿勢で受光されていないと判断される。尚、図8(a)で示される場合においては、受光面の左端を上方へ(右端を下方へ)回転させることによって、左側捕光部(214)と右側捕光部(214)に入射される光量を等しくすることができる(図8(b)参照)。
【0023】
上記の如き第1受光手段(21)は、4つの捕光部(211)を利用して各捕光部(211)が検出する入射光量に応じて受光姿勢を検出するが、これら捕光部(211)の配置は、図5で示される如く、平面視において、縦軸及び横軸を設け、原点から所定間隔を有して上下左右方向に配置させ、第1レンズ(213)の中心よりも原点よりの内側に受信部(214)の中心が位置するように配置する。このように原点を中心に所定間隔を有して4つの捕光部を設け、受信部(214)を第1レンズ(213)の中心よりも原点よりの内側に配置することによって、光が入射する方向を3次元的に把握することができる。
尚、受信部(214)と第1レンズ(213)が配置される中心位置のずれは、第1受光手段(21)に配置される全ての捕光部(211)に於いて一定の法則に従っている。この一定の法則とは、例えば、図4又は図5の実施例であれば、受信部(214)は、第1レンズ(213)の中心位置に対して、中心方向へ所定間隔分だけ内側に配置されていることであり、第1受光手段(21)の中心位置と第1レンズ(213)の中心を結ぶ直線上を、第1レンズ(213)の中心から一定の間隔を有して受信部(214)の中心位置が配置されているという法則である。尚、この所定間隔は、使用者によって適宜設定される。
また、第1レンズ(213)を中心として、前記所定間隔を半径とする円を形成して、この円周上に沿って、等しい弧を描くように(同じ円周角になるように)配置されることもできる。例えば、図5に示される4つの捕光部(211)が有する受信部(214)は、4つの捕光部(211)を重ね合わせた際に、所定間隔を半径とする円周上に等しい弧(等しい中心角)を形成するように配置されていることが解る。尚、後述する図7(a)及び図7(b)の実施例に於いても同様である。
【0024】
図7には、複数の捕光部を配置する場合の他の実施例を示す図である。
図7(a)で示される実施例では、第1受光手段(21)に4つの捕光部(211)が正方形の頂点を形成する如く配置されるとともに、受信部(214)の中心が第1レンズ(213)の中心よりも外側(中心方向からこの頂点方向に延長される)方向へ所定間隔を有して配されている。尚、この第1受光手段(21)の中心部には、第1送信手段(25)が配されている。
図7(b)で示される実施例では、図(a)の捕光部が一列に並んで配置されている第1受光手段(21)を示している。この捕光部(211)は、上記する如く、3つ以上設けられるとともに、上記の如き一定の法則を満たしている。尚、この一列の配列の端部に第1送信手段(25)が配置されている。
この実施例に於ける捕光部(211)は、各第1レンズ(213)の中心を中心として、所定中心角(図7(b)では90度)毎に、受信部(214)の中心が変位するように4つ設けられている。
図7(c)及び(d)で示される実施例では、平面視において、第1レンズ(213)の中心から所定半径の円周上に4つの受信部(214)の中心が、中心角が等しくなるように配置されている(図7(c)参照)。また、4つの受信部(214)の中心位置に第1送信手段(25)が配置されている。
これらの実施例では、いずれも上記説明した如く、光信号が第1レンズ(213)により集光されて、受信部(214)でその入射光量が検出されることになるが、斜め方向から入射する(受光姿勢に対して直角でない入射角度を有する)光信号を受信した際に、各受信部(214)に入射する光信号の光量の変化が生じる。
尚、第1受光手段(21)の受信部(214)が有する基本的構成は、具備される受信部(214)の数と同数分の第1レンズ(213)の中心から延設される延長線上で、且つ、各受信部(214)の中心が形成する中心角が等しくなる如く、第1レンズ(213)の中心から夫々等距離に各受信部(214)の中心が配置されることになる。
【0025】
この第1受光手段(21)の一実施例としては、図4に示される如く、縦軸及び横軸に沿って、原点から所定間隔を有して受信部(214)が配置され、これら受信部(214)の上方に所定間隔(第1レンズの焦点距離程度)を有して、且つ、第1レンズ(213)の中心位置が受信部(214)の中心位置よりも外側にずれて配される。尚、この実施例では、第1レンズ(213)が直径6mm(d1)、第1レンズ(213)の集光部(215)が直径2mm(d2)で、受信部(214)が直径2mm(d3)で、第1レンズ(213)の中心と受信部(214)の中心とのずれ(d4)が1mmに設定されている。
この場合、第1レンズ(213)の有効直径5mmであるので、光パワー面密度は6.25倍となる。また、上記するずれにより、受信部(214)で受光する光パワーの最大は、光が集光する集光部でのパワーに比して約30%の光パワーで受信することになる。尚、受信部(214)と第1レンズ(213)の厚み(d5)は、上記する如く、光パワーで受信することができるように調整されている。
【0026】
この第1受光手段(21)が設けられる受光面は、第1駆動手段(21a)と第2駆動手段(21b)によって受光面の受光姿勢を変更させることができる。第1駆動手段(21a)は、第1受光手段(21)が設けられる受光面の左右略中央に夫々設けられる回転軸(21c)を中心に上下に受光面を回転させることができる。また、第2駆動手段(21b)は、第1受光手段(21)を載置する台部(21d)に設けられ、第1受光手段(21)の受光面を水平面上に回転させることができる。
これら第1及び第2駆動手段(21a、21b)を利用することによって、第1受光手段(21)が設けられる受光面を適宜に変更させることができ、最も好適な受光姿勢に適宜に変更させることができる。
尚、これら第1及び第2駆動手段(21a、21b)は、後述する受光姿勢補正手段(24)によって、その駆動を制御されている。
【0027】
光量検出手段(22)は、上記する第1受光手段(21)の各受信部(214)で集光される入射光量を検出する。
この光量検出手段(22)は、上記の如く、入射する光の受信部(214)に照射される面積によって入射光量の変化を検出することができる素子が使用される。光量検出手段(22)に於いて使用される素子としては、フォトダイオード(PD)を採用することができる。尚、この光量検出手段(22)には、受信部(214)に入射する光量に応じて光パワーの測定することのできる素子を採用することができる。
【0028】
認知手段(23)は、光量検出手段(22)に於いて検出される捕光部(214)で集光される入射光量から、光の入射に対する受光面の受光姿勢を認知する。認知手段(23)が受光姿勢を認知する方法は、4つの捕光部(211)から検出される入射光量を夫々比較して、その誤差から受光面の光の入射に対する傾斜を認知する。例えば、図4に示される4つの捕光部を利用する場合、平面視に於いて左右の受信部の入射光量を比較し、右側の受信部が左側の受信部よりも入射光量(光パワー)が大きい際には、右側の受信部の方が光の光源よりも遠い位置に配置されていることになり(図8(a)参照)、受光姿勢である受光面が光の進行方向に対して右側が近くなるように傾斜していることを認知することができる。同様に、上下方向においても同様に受光姿勢(受光面)の傾斜を認知することができる。左右及び上下また、左と上、左と下等の各組み合わせを夫々検出することによって、より正確な受光姿勢を認知することができる。
尚、各捕光部(211)の入射光量(光パワー)に差異が無い(又は、殆ど無い)場合は、受光姿勢が最も好適な状態であるため受光姿勢の補正は行われない。
【0029】
受光姿勢補正手段(24)は、認知手段(23)に於いて認知した受光姿勢を基に、受光する光に対して最も好適な受光姿勢を、第1及び第2駆動手段(21a、21b)を利用して形成する。
認知手段(23)は絶えず4つの捕光部(211)の入射光量を検出して受光姿勢を認知しているので、各捕光部(211)で検出される入射光量が等しくなるように、この受光姿勢補正手段(24)は、各捕光部(211)の入射光量に応じて第1及び/又は第2駆動手段(21a、21b)を駆動させる。
例えば、図8(a)で示される如く、光送受信端末(2)が右側捕光部(211)の入射光量が左側捕光部(211)に比して大である場合であれば、図8(b)で示される如く、第1受光手段(21)の受光姿勢(受光面)を第1及び第2駆動手段(21a、21b)を利用して補正する。
尚、この受光姿勢補正手段(24)によって受光姿勢を補正した場合であっても、受信部(214)での入射光量(光パワー)が所定値を超えない場合には、光無線基地局(3)から送信される光信号を受信することができないエリアに光送受信端末(2)が位置していると認知手段(23)が判断し、後述する送信エリア(カバーエリア)の変更を促す切り換え用の信号(制御信号)を光無線基地局(3)へ送信する。
【0030】
受光姿勢補正手段(24)が行う光送受信端末(2)の受光姿勢の補正は、上記の如く、第1及び/又は第2駆動手段(21a、21b)を利用することによって、受光表面を移動させて光信号の入射に対して直角になるように移動させることもできるが、受信部(214)自体を第1レンズ(213)に対して平行移動させることによって、受信部(214)に集光される光信号の入射光量を調節することもできる。
例えば、図4で示される光送受信端末(2)の受信部(214)を受信保持部(216)に具備させ、この受信保持部(216)を、受信部(214)で受信する入射光量が最適(最大)となるように第1レンズ(213)に対して平行に移動させることもできる。このように受信保持部(216)を第1レンズ(213)に平行に移動させることによって、光送受信端末(2)自体を回転させる必要が無く受信部(214)に入射する光信号の入射光量を調節することができる。
図8(a)の状態であれば、第1レンズ(213)を通過した光信号は、左方向へずれて集光されているので、受信保持部(216)を左方向へ移動させる。このように移動させることによって、光信号の集光部を受信部(214)と重なるように補正することができる。
【0031】
第1送信手段(25)は、光無線基地局(3)へ光信号を送信する。この第1送信手段(25)は、第1送信部(251)、第1制御部(252)、第2制御部(253)と重畳部(254)を有している。
この第1送信部(251)は、光を発光させることにより、光無線基地局(3)へと光信号を生成して送信する。第1送信部(251)は、通常の導波路型レーザダイオード(WG-LD)と比較して光ビームの断面形状が真円に近く均一な光強度分布を有する面発光レーザ(VCSEL)を採用するが、もちろんWG-LDにおいても出力ビーム形状、配置を工夫すれば使用は可能である。
【0032】
第1制御部(252)は、光送受信端末(2)の情報信号を生成する。この情報信号とは、光送受信端末(2)から使用者が送信を所望する情報を信号に変換したものである。この第1制御部(252)は、150Mbps以上(数百M~Gbps)の情報信号を生成する。
【0033】
第2制御部(253)は、光送受信端末(2)が光無線基地局(3)との送受信を可能とする光無線基地局(3)が形成するカバーエリアの選出のために、カバーエリアの変更を促す制御信号を生成する。この制御信号によって、光送受信端末(2)が現在送受信を可能とするカバーエリアから外れる場合において、次の好適なカバーエリアへカバーエリアの切り換え(ハンドオーバ)を行うことができる。
この第2制御部(253)が生成する制御信号は、第1制御部(252)で生成される情報信号よりも周波数の低い低周波制御信号を利用して生成されている。
この制御信号の処理は、プログラム書き込み可能なPIC(Peripheral Interface Controller)Microcomputer等により生成することができるし、上記する如き処理を行うことのできる専用の論理回路を構成したLSIを利用して実行することができる。尚、光送受信端末(2)の装置のコンパクト化を考慮した場合、LSIを利用することがより好ましい。
PICによる制御信号は、通常家電等に使用される赤外線リモコン制御と類似のフォーマット形式を用いてプログラムすることができる。このフォーマットの例では、リーダ(Leader)部8bit、データ(Data)部16bit、データ(Data)部再送16bitの合計40bitで構成されている(図9参照)。
【0034】
図10には、第2制御部の一実施例の回路図を示す。この実施例では、光無線基地局(3)が形成するカバーエリアが4つの場合に於ける制御信号を生成することができる。図10では、カバーエリアの数に応じて各チャンネル(Ch.1~Ch.4)が設けられており(図中のRemote Control Switch部)、これらチャンネル毎にPICに予めプログラムされた信号フォーマットの一つが選択され制御データパルスとして生成がなされ、赤外線LD送信ユニット(第1送信手段(25))で情報信号と合成して出力される。
【0035】
上記する第2制御部(253)で生成される制御信号は、第1受光手段(21)を構成する4つの受信部(214)で受信する4つの入射光量のうち、いずれかでも所定値を超えない場合に生成される。つまり、認知手段(23)により4つの受信部(214)の入射光量を検出して、一の受信部(214)の入射光量が所定値を下回った場合に、ハンドオーバの必要状態であると認知し、第2制御部(253)へ制御信号を生成するように促す。このようにして、適切にハンドオーバ時期を検出する。
尚、この所定値は、光無線基地局(3)の送信する光信号の強度に依存するが、使用者により適宜設定される。
【0036】
重畳部(254)は、第1制御部(252)で生成される情報信号と第2制御部(253)で生成される制御信号を重畳する。
この重畳部(254)が行う二つの信号を重畳する方法は、特に限定されないが、第1制御部(252)で生成される情報信号のクロック周波数を第2制御部(253)で生成される制御信号に応じて変更(切り換え)することによって重畳する方法と、第1制御部(252)で生成される情報信号の出力レベルを第2制御部(253)で生成される制御信号に応じて変更(切り換え)することによって重畳する方法を採用することができる。
【0037】
第1の方法としては、第1制御部(252)に於いて生成される情報信号のクロック(キャリア)に、第2制御部(253)に於いて生成される制御信号を重畳する。
第2の方法としては、第1制御部(252)で生成される情報信号の出力レベルを、第2制御部(253)の制御信号に基づいてAM変調することにより情報信号と制御信号を重畳する。
第3の方法としては、第1制御部(252)で生成される情報信号のクロック周波数を、第2制御部(253)の制御信号に基づいてFM変調することにより情報信号と制御信号を重畳する。
第4の方法としては、第1制御部(252)が2以上のクロック周波数を有する情報信号を生成することができるように設定し、第2制御部(253)で生成される制御信号の出力値によって、情報信号のクロック周波数を変更して生成する。例えば、第2制御部(253)で生成される制御信号の出力値に対して所定の閾値を設定しておき、この閾値を超えた場合には、第1制御部(252)である一定値を有するクロック周波数で情報信号を生成し、この閾値を超えない場合(下回る場合)には、前記一定値とは異なるクロック周波数で情報信号を生成するように設定すれば構わない。
第5の方法としては、第1制御部(252)で生成される情報信号の出力レベルを多段階に変更できるように設定し、第2制御部(253)で生成される制御信号の値によって、情報信号の出力レベルを変更して生成する。例えば、第4方法と同じように、第2制御部(253)で生成される制御信号の出力値に対して所定の閾値を設定しておき、この閾値を超えた場合には、第1制御部(252)である一定値を有する出力レベルで情報信号を生成し、この閾値を超えない場合(下回る場合)には、前記一定値とは異なる出力レベルで情報信号を生成するように設定すれば構わない。
【0038】
図11には、第1送信部(251)、第1制御部(252)、第2制御部(253)及び重畳部(254)の一実施例を示す回路図を示す。この回路図では、第1制御部(252)で作成された情報信号を第2制御部(253)で生成される制御信号の出力値によって、情報信号のクロック周波数を変更部(255)に於いて変更して生成する。変更された光信号は、第1送信手段(25)で送信される。
【0039】
上記する情報信号及び制御信号は、重畳部(254)に於いて重畳されるが、2種類の信号を重畳することは信号品質の大きな劣化の原因となる。しかしながら、本発明では、第1制御部(252)で生成される情報信号は、数Gbps程度の超高速強度変調信号であり、第2制御部(253)で生成される制御信号は数分の1程度で応答可能である低速信号であるため、数kbit/sec程度の速度である。つまり、これらの信号が、大きくかけ離れた周波数含有帯域の信号であることになるため、互いに殆ど干渉することなく同系列の光送受信端末で交信することができる。しかも、遅い制御信号は早い情報信号のクロック周波数変調情報として搭載されるため、信号強度の変動や環境変化にも高い耐性を有している。
つまり、情報信号と制御信号は、互いの信号の変調方式、信号速度に重なりが無いため、送信信号の変調方式、プロトコルの変更にも柔軟に対応することができる。
図11にその一例を示しているが、この情報信号に含有される制御信号(情報信号のクロック周波数の変動による信号)を検知する方法は、光ファイバ通信で確立されたPLL回路を利用することによるクロック再生回路を利用することができるので、安価で且つ高い汎用性を有している。
【0040】
光無線基地局(3)は、上記光送受信端末(2)との光信号の送受信を行う。図12は、本発明に係る光無線基地局の構成を示すブロック線図である。
光無線基地局(3)は、第2受光手段(31)、分離手段(32)と第2送信手段(33)を有している。
【0041】
第2受光手段(31)は、光送受信端末(2)から送信される光信号を受信(受光)する。この第2受光手段(31)は、第1受光手段(21)で採用されるフォトダイオード(PD)を利用することができる。
分離手段(32)は、第2受光手段(31)に於いて受信された光信号を、情報信号と制御信号に分離する。光送受信端末(2)からの光信号は、光送受信端末(2)の重畳部(254)により情報信号及び制御信号が重畳されて生成されているので、この分離手段(32)により2つの信号を復元することになる。
この分離手段(32)は、光送受信手段(2)の重畳部(254)に於ける重畳方法によって、この分離手段(32)が行う分離(復元)方法が異なる。
この分離手段(32)が行う光信号の分離方法は、特に限定されず、光送受信端末(2)によって適宜変更される。例えば、制御信号に応じてクロック周波数が変更された光信号を受信する場合であれば、情報信号を復調するためにクロック周波数を復元する回路と、この復元された情報信号のクロック周波数の変化を検出して制御信号を復調する回路を設けることによって、情報信号及び制御信号を復元することができる。
また、制御信号に応じて情報信号の出力レベルが変更された光信号を受信する場合であれば、受信した光信号の強度の変化を検出して制御信号を復調する回路と、復調した制御信号から情報信号のクロック周波数を復元する回路と、この復元されたクロック周波数から情報信号を復調する回路を設けることによって、情報信号及び制御信号を復元することができる。
【0042】
図13には、本発明に係る光無線基地局の一実施例を示す回路図である。この実施例に於ける回路では、第2受光手段(31)から受信した光信号を増幅器(34)で増幅し、この信号をサンプリング器(35)でサンプリングするとともに位相ループ回路(36)でクロック周波数を復元する。更に、復調された制御信号とクロック周波数を乗算器(37)に掛け合わせ、情報信号を復元することができる。
【0043】
図14には、本発明に係る第2送信手段の概略構成図が示され、図15には、第2送信手段の動作を示す全体概略構成図を示し、図16には光無線基地局の一実施例の回路図を示す。
第2送信手段(33)は、複数の発光部(331)、複数の第2レンズ(332)、発光制御部(333)を有している。
発光部(331)は、光送受信端末(2)の第1送信手段(25)でも使用される面発光レーザ(VCSEL)を採用する。尚、この光無線基地局(3)では、多数の発光部を所望の微細な配置で得られるコンパクトなレーザアレーが必要なため、アレー化が容易なVCSELが特に好適に使用される。
第2レンズ(332)は、第1レンズ(213)と同様凸レンズであり、この第2レンズ(332)を利用することにより、光無線基地局(3)をコンパクトにするとともに、発光部(331)の形成する方向のよく制御された多数の光ビームにより多数の小さなセル、つまり小カバーエリアを効率良く配置でき、広範囲に亘るカバーエリアを形成することができる。
【0044】
この第2送信手段(33)の発光部(331)と第2レンズ(332)について説明する。尚、この実施例に於いては、発光部(331)及びこの発光部(331)に対応する第2レンズ(332)は夫々4つずつ具備する場合を説明するが、この数は特に限定されるものではなく、ハンドオーバによる送受信可能エリアを拡大させようとすれば、カバーエリアを広く(小さいカバーエリアであるセル数を多く)するために、発光部(331)及び第2レンズ(332)の数を多く設ければ構わない。
また、この実施例では、発光部(331)と第2レンズ(332)を一列に配置した場合を示しているが、配列順序は特に限定されるものではなく、カバーエリアを形成する光無線基地局(3)の利用形態に沿って設定することができる。
【0045】
図14で示す如く、4つの発光部(331)が所定間隔(D)を有して配置されている。この所定間隔(D)は、特に限定されるものではないが、光無線基地局(3)により形成される光ビームが形成するおのおののカバーするエリアを図14で示す如く、小さいカバーエリア(セル)毎に重複部が形成されるように所定間隔(D)を設定する。このように重複部を形成することによって、カバーエリアの変更を必要とする際に、光送受信端末(2)と光無線基地局(3)との送受信が、絶えずいずれかのカバーエリアにて連続的に行われることになり、リンクが断絶することがない。尚、図13で示される光無線基地局(3)の実施例では、高速光無線の需要環境として大講堂やホールを想定しており、情報伝送距離(光送受信端末と光無線基地局の有効送受信距離)を約20mとし、一のカバーエリアの利用範囲を直径1mの円形となるように設定している。
このように小さいカバーエリア(セル)領域に設定することにより、一セル領域内に多数の異なる光送受信端末(2)とユーザが存在する状態はさけることができ、複数端末が各々別のカバーエリア(セルエリア)で独立してPtoP接続を実現することができる。このため、総スループットは非常に広帯域が可能である。
セルが小さくなると、広いエリアをカバーするために多数の発光部が必要となるが、本光無線基地局(3)が有するVCSELアレー(第2送信手段(33))は、数100程度の発光部をLSIチップと同程度のサイズに集積することができるため極めてコンパクトに設計することができ、装置自体(光無線基地局(3))が大掛りなものとなる心配が無い。
更に、利用状態にある光送受信端末(2)数が少ない状態であっても、VCSELアレー全てを発光させる必要はないので、守秘性も高く且つ消費電力も低減することができる。従って、全領域、カバーエリアを共有し、ユーザ数にかかわらず全ての発光部を駆動して全領域に広く信号を撒き散らす共有バス型のCSMA-CD方式に比べ、高速性、広帯域性、守秘性及び電力利用効率に於いて極めて優れた効果を奏することができる。
尚、この一実施形態に於いて、発光部(331)である送信部の拡がり角度θは、下記の式(数1)により算出される。尚、伝送距離(L)20m、カバーエリア半径(r)0.5mであるので、拡がり角度θは、2.86度となる。
従って、この実施例においては、光ビームの軸角度差を2.8度未満に抑えることによって、重複部を有するカバーエリアを形成することができる。
【0046】
【数1】
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【0047】
図14に示す如く、発光部(331)に対応する第2レンズ(332)は、発光部(331)の中心軸よりも外側にずれて配置されている。図14で示される一実施例に於いて、対称軸(A-A破線)に対して夫々2つの発光部(331)と第2レンズ(332)が具備されており、対称軸よりも遠い位置にあればあるほど第2レンズ(332)の中心軸(B-B線)は、発光部(331)の中心軸(C-C線)とのずれが大きくなる。このように第2レンズ(332)の中心軸(B-B線)と発光部(331)の中心軸(C-C線)とのずれが、対称軸(A-A破線)から遠ざかるに従って、大きくなることにより、広いカバーエリアを形成することができる。尚、この場合、上記する如く、ビーム拡がり角度θが2.86度になるように配置することが最適であり、光ビーム角度を約1度傾けさせるためには、第2レンズの中心軸を発光部の中心軸よりも直角方向に約90μmのずれを有するように配置することになる。
従って、光ビーム角度θを2.86度に設定するためには、約260μm(=2.86×90μm)のずれを有するように配置する。このように配置することによって、重複部を有するようにカバーエリアを形成することができる(図14及び15参照)。
【0048】
発光制御部(333)は、光送受信端末(2)から送信される制御信号に基づいて発光部(331)の発光を制御する。図16に発光制御部の一実施例の回路図を示す。この制御信号には、光送受信端末(2)が光無線基地局(3)と送受信を行うための最適なカバーエリアを形成するために発光する発光部(331)の情報が入力されている。この制御信号を基にして、光送受信端末(2)と送受信を行うことを可能にするカバーエリアが形成される。
例えば、光送受信端末(2)から送信される制御信号に最適なチャンネル番号の情報(例えば、Ch.3)が含まれ、この制御信号のチャンネル番号の情報に従って発光部(331)を適宜選択し発光させる(Ch.3のカバーエリアを形成する発光部を発光させる)。
以上が光送受信端末及び光無線基地局の構成の説明である。
【0049】
次に、本発明に係る光無線通信システムの作動を図面を参照しつつ説明する。
図1は、光無線通信システムの動作を示すイメージ図であり、図17は光送受信端末の動作のフローチャートである。
まず、光送受信端末(2)及び光無線基地局(3)を夫々適宜に接続する。光送受信端末(2)を使用者のノートパソコン等の携帯端末に接続し、光無線基地局(3)をホールや大講堂等の一定の空間を形成する空間内の天井部に配置する。尚、光送受信端末(2)及び光無線基地局(3)は、上記する如き構成のものを使用する。
光送受信端末(2)と光無線基地局(3)を光信号により通信リンクが保たれている状態に準備する。尚、以下に作動状態を説明するが、端末(光送受信端末)の移動は特に限定されるものではなく、説明上のためのものであり、端末の移動は制限されているものではない。
【0050】
光無線基地局(3)と高速情報信号の双方向無線通信を行っている状態から、使用者(端末)が左方向へ移動する。この端末の移動に伴い、光送受信端末(2)も左へ移動する(S1)。
光送受信端末(2)が左に移動することによって、光無線基地局(3)からの光信号を受光する受光姿勢が好適な姿勢ではなくなり、捕光部(211)で受光する入射光量の変化が生じる。
光送受信端末(2)の左方向への移動に伴い、第1レンズ(213)により受信部(214)で捕光する光の面積に変化が生じる。
このとき、光量検出手段(22)に於いて、各受信部(214)の入射光量が検出される(S2)。
この光量検出手段(22)に於いて各入射光量が検出されると、認知手段(23)により各受信部(214)の入射光量から受光姿勢が認知される(S3)。
この場合、光送受信端末(2)が左方向へ移動しているので、図8(a)で示される如く、各受信部(214)に入射する光信号の面積が異なっており、認知手段(23)は、右側の受信部(214)と左側の受信部(214)の入射光量が相違することを把握し、受光面が光無線基地局(3)の光信号が送信される光軸に対して、右側が左側に比して近い距離になるように傾斜していることを認知する。
【0051】
認知手段(23)によって受光姿勢の傾斜が認知されると、受光姿勢補正手段(24)へ受光面(受光姿勢)が、送信される光信号の光軸に対して直角(最適な受光姿勢)となるように補正される(S4)。
このとき、認知手段(23)により受光面の左側が光無線基地局(3)に近い距離になるように傾斜していることが認知されているので、受光面の左側が光無線基地局(3)に対して遠い距離(受光面の右側が光無線基地局(3)に対して近い距離)になるように第1及び/又は第2駆動手段(21a、21b)を駆動させる。
第1及び/又は第2駆動手段(21a、21b)を利用して認知手段(23)が最適な受光姿勢であると認知するまで上記ステップ(S2)~ステップ(S4)が繰り返され、絶えず最適な受光姿勢で光信号を受信することができる。
【0052】
次いで、ハンドオーバが行われる場合の作動を説明する。図18には、ハンドオーバが行われる際のフローチャートを示す。
光送受信端末(2)が左方向へ移動し続けた場合、一のカバーエリアでは、送受信することの困難になる場所へと移動することになる。
この場合、まず、光送受信端末(2)の4つの受信部(214)のうちカバーエリアの端部に位置することになる受信部(214)の入射光量が極端に低下する(S11)。
入射光量の低下に応じて、上記する如く、受光姿勢補正手段(24)により受光姿勢が補正されて、最適な受光姿勢になるよう補正されるが、この場合、受光姿勢の補正を行っても、入射光量の低下を抑制することができずに、所定値よりも低い入射光量の値となる。
このとき、認知手段(23)は、カバーエリアから光送受信端末(2)が外れようとする位置にあることを認知する(S12)。
【0053】
認知手段(23)によって、カバーエリアから外れる位置にあることが認知されると、第2制御部(253)に於いて、カバーエリアを変更するための制御信号が生成される(S13)。
この制御信号は、図16に示される如き回路を利用することによって、光送受信端末(2)が光無線基地局(3)と送受信を可能とするカバーエリアが選択され、このカバーエリアを形成するためのチャンネル番号(Ch番号)を有している。
【0054】
第2制御部(253)に於いて制御信号が作成されると、重畳部(254)に於いて第1制御部(252)に於いて生成された情報信号に、この制御信号が重畳される(S14)。
この重畳部(254)が行う第1制御部(252)で生成される情報信号と第2制御部(253)で生成される制御信号との重畳は、上記する如き方法を利用して重畳することができる。
重畳部(254)で重畳された光信号は、第1送信手段(25)により、光無線基地局(3)へと送信される(S15)。
尚、この第1送信手段(25)に於いて光信号が送信される場合には、光送受信端末(2)は受光面が光無線基地局(3)方向へと向きを有しているので、送受信が断絶することはない。
【0055】
光送受信端末(2)の第1送信手段(25)から送信される光信号は、光無線基地局(3)の第2受光手段(31)により受光される(S16)。
受光された光信号は、情報信号と制御信号が重畳される信号であるので、分離手段(32)へ送られる。分離手段(32)へ送られた光信号は、分離手段(32)により、情報信号と制御信号とに復元される(S17)。
この分離手段(32)が行う2つの信号の復元方法は、上記する如く、光送受信端末(2)の重畳部(254)で行われた信号の重畳方法に従って設定される。
【0056】
分離手段(32)により分離されて復元された制御信号及び情報信号は夫々所定の処理がされる。このとき、制御信号は発光制御部(331)へ送られる(S18)。
発光制御部(331)へ送られた制御信号は、光送受信端末(2)が光無線基地局(3)と送受信を可能とするカバーエリアの情報が抽出され、光無線基地局(3)が有する複数の発光部(331)からこの光送受信端末(2)にとって最適なカバーエリアを形成する発光部(331)が選択される(S19)。
ハンドオーバにより最適なカバーエリアを形成する発光部(331)が発光する(S20)。光無線基地局(3)は、光送受信端末(2)にとって最適なカバーエリアを選択して、ハンドオーバを実行することになる。
このように、光無線基地局(3)が複数の発光部(331)と第2レンズ(332)を利用することにより、複数のカバーエリア(セル)を形成することで、光送受信端末(2)の移動に対して柔軟に対応することができるとともに、複数の光送受信端末(2)との送受信を行うことができ、高速で且つPtoP接続を可能とすることができる。
【0057】
次に、本光無線通信システム(1)を利用する他の実施例について説明する。この他の実施例では、広い屋内領域における本システム(1)を利用する場合であり、図19には他の実施例の場合に於ける利用形態を示す。
この実施例では、複数の光無線基地局(3)が設けられている。上記動作説明では、一つの光無線基地局(3)の有する複数のカバーエリア内を光送受信端末(3)が移動する場合を説明したが、天井が低く屋内が長細いような屋内空間(例えば、部屋幅が広い工場の生産ラインや展示会場等)に於いては、一の光無線基地局(3)が形成するカバーエリアでは、充分に光無線通信のエリアを形成することができない場合がある。このような場合には、図19に示す如く、複数の光無線基地局(3)を設けることによって光無線通信を行う。
この図19に示される如き実施例においては、天井に複数の光無線基地局(3)が配され、一の光無線基地局(3)が屋内空間の光無線通信可能なエリアの一部分(ゾーン)を形成し、複数の光無線基地局(3)により屋内空間全てのエリアで光無線通信を可能としている。各光無線基地局(3)が形成する光送受信端末(2)と光無線通信可能となるゾーンが隣合う光無線基地局(3)が有するゾーンと重複するように、光無線基地局(3)が配置されている。このように光無線基地局(3)を配置することにより、リンク断の無い高速無線通信を実現することができる。
複数の光無線基地局(3)は、Gb-Ether等の光ファイバ通信の規格に従って相互に有線及び/又は無線により接続されている。光無線基地局(3)同士を光無線接続する場合には、光通信の総スループットは基地局(3)間の光無線接続速度で制限されることになる。
【0058】
この実施例において、光送受信端末(2)から送信されるビーム切り替え要求である制御信号は、1つの光無線基地局(3)の内部に於いての移動の場合は、ゾーン内のセル移動(一のセルから他のセルへ移動)のハンドオーバを行うための信号であり、他の光無線基地局(3)のゾーンに移動する(他の光無線基地局(3)が有するゾーンの一つのセルへ移動する)場合は、他の光無線基地局(3)のゾーンへのサービスゾーン移動のハンドオーバを行うための信号である。
このように制御信号を一の光無線基地局(3)のセル間の移動による制御信号と、一の光無線基地局(3)から他の光無線基地局(3)の移動による制御信号と2種類の信号を発信することによって、瞬断なく情報信号のやりとりを行うことができる。
尚、この光無線基地局(3)の切り替えを行うための制御信号は、一の光無線基地局(3)のセル(カバーエリア)の変更のための制御信号と同じ手法で生成することで実現することができる。
【0059】
上記の如く、一の光無線基地局(3)から他の光無線基地局(3)へ光送受信端末(2)からの光信号の送受信担当が変更する際には、光送受信端末(2)の移動に伴いサービスゾーンの基地局方位が変わるため、光信号の送信される方向が大きく変化することになり、光送受信端末(2)の大きな姿勢制御の切り替えが必要となる。例えば、図19には、光送受信端末(2)がゾーン(B)からゾーン(C)まで移動している様子を示しているが、この図19からも解るように、光無線基地局(3a)から送信される光信号の送信角度(受光姿勢)と、光無線基地局(3b)から送信される光信号の送信角度(受光姿勢)が大きく異なっており、光送受信端末(2)の受光姿勢補正手段(24)により、最適な受光姿勢となるよう受光表面及び/又は受信部(214)が移動されることになる。
このような場合、受光姿勢補正手段(24)が行う受光姿勢の補正は、第1及び/又は第2駆動手段(21a、21b)を利用して受光表面を変更させることによって行われるが、第1及び/又は第2駆動手段(21a、21b)を利用して受光姿勢を変更させると消費電力が大きくなるので、受信部(214)を有する受信保持部(216)を移動させることにより、光信号の集光部を受信部(214)へ移動させることが好ましい。
尚、図19で示されるような場合であれば、ゾーン(B)からゾーン(C)へと光送受信端末(2)が移動すると、左上方向から入射されていた光信号が、光無線基地局(3)の変更(切り換え)により、右上方向から入射されることになる。この光信号の入射の変更により、光送受信端末(2)の受信部(214)が左方向へ移動する(スライドする)ように受信保持部(216)が移動され、受信部(214)に光信号が集光されることになり、リンク断が行われることなく光信号の送受信が行われる。
このように、複数の光無線基地局(3)を配した屋内空間であっても、リンク断無しに光無線基地局(3)の切り替えを行うことができる。
このように受信保持部(216)を移動させることにより、光送受信端末(2)の受光回転運動が伴わないため、機械精度や再現性、コンパクト性も格段に向上し、マイクロマシンなど超微細構造の導入も容易である。このことにより、実質的に送受信方位を変更することが可能となり、この移動に伴う光の入射方向の変化により受信部(214)がスライドして、方位制御と等価な働きをすることができる。
このように、広い屋内空間であっても、複数の光無線基地局(3)を利用することによって、本光無線通信システム(1)を効果的に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、オフィス空間等の一定の屋内空間内に分散された複数の情報機器間のデータ伝送を光無線通信を利用して行う光無線LANや光インターコネクションに利用される光無線通信システム、光無線通信方法、光無線通信システムで使用される光無線基地局及び光無線通信システムで使用される光送受信端末に関する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】端末に接続される光送受信端末と一の光無線基地局との送受信の様子を示す図である。
【図2】光送受信端末の構成を示すブロック線図である。
【図3】本発明に係る光無線通信システムで使用される光送受信端末の概略斜視図を示す。
【図4】第1受光手段の概略構成を示す斜視図を示す。
【図5】第1レンズ及び受信部の配置を示す平面図である。
【図6】凸レンズによる光の集光を示し、(a)はレンズに対して直角に光が入射する場合を示し、(b)はレンズに対して傾斜して光が入射する場合を示す。
【図7】複数の捕光部を配置する場合の他の実施例を示す図である。
【図8】光送受信端末の動作を示し、(a)は補正動作前、(b)は補正動作後を示す。
【図9】データ構成を示す。
【図10】第2制御部の一実施例の回路図を示す。
【図11】第1送信部、第1制御部、第2制御部及び重畳部の一実施例を示す回路図を示す。
【図12】本発明に係る光無線基地局の構成を示すブロック線図である。
【図13】本発明に係る光無線基地局の一実施例を示す回路図である。
【図14】本発明に係る第2送信手段の概略構成図が示す。
【図15】第2送信手段の動作を示す全体概略構成図を示す。
【図16】光無線基地局の一実施例の回路図を示す。
【図17】光送受信端末の動作のフローチャートである。
【図18】ハンドオーバが行われる際のフローチャートを示す。
【図19】本システムを利用する他の実施例を示す。
【図20】従来の光送受信端末と光無線基地局の動作を示す。
【符号の説明】
【0062】
1・・・光無線通信システム
2・・・光送受信端末
21・・第1受光手段
211・捕光部
213・第1レンズ
214・受信部
22・・光量検出手段
23・・認知手段
24・・受光姿勢補正手段
25・・第1送信手段
252・第1制御部
253・第2制御部
254・重畳部
3・・・光無線基地局
31・・第2受光手段
32・・分離手段
33・・第2送信手段
331・発光部
332・第2レンズ
333・発光制御部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19